JP5844885B2 - 紙葉類処理装置 - Google Patents

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Description

本発明は、紙幣や有価証券と言った紙葉類を取り扱う紙葉類処理装置に関する。
この種の紙葉類処理装置は、自動取引装置(Automated Teller Machine;ATM)や両替機、銀行員などの使用する紙幣入出金機、自動券売機といった紙幣処理装置の形態で広く普及しており、通常、紙幣を金種別に収納する金種別カセットを有し紙幣の入出金処理を行う。一般に、取引処理装置の運用においては、金種別カセットへの紙幣の装填が行われ、随時または定期的に、装置内の紙幣を計数して紙幣の残高を特定する精査処理が行われる。
紙幣処理装置における精査処理は、金種別カセットに収納済みの紙幣を実際にカセットから取り出して循環搬送させ、その搬送の間に紙幣枚数の計数や紙幣の記番号の読取を行った上で、カセットに紙幣が改めて収納される。こうした精査処理では、紙幣の実際の取り出しと再収納が金種別カセットごとになされることから、精査処理に比較的長時間を要していた。そして、この精査処理の実行中は、紙幣処理装置の運用が一時的にストップされることから、精査処理の短縮化を図る種々の手法が提案されている(例えば特許文献1参照)。
特開2010−282535号公報
上記従来の精査処理では、金種別カセットごとの紙幣の取り出し枚数を減らすことで精査時間の短縮化を図っているものの、全ての金種についての精査処理を行うことに変わりはなく、改善の余地が残されていた。
なお、この課題は、紙幣の入出金処理を行う紙幣処理装置に限らず、紙葉類の処理を行う紙葉類処理装置において共通の課題であった。
本発明は、上述した従来の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、紙葉類処理装置において、精査処理に要する時間の短縮化を図ることを目的とする。
上記した目的の少なくとも一部を達成するために、本発明は、以下の形態として実施することができる。
複数種別の紙葉類を扱う紙葉類処理装置であって、
前記紙葉類の種別ごとに用意されて紙葉類を収納すると共に、該収納した紙葉類の繰り出しを行う複数の種別カセットと、
個々の前記種別カセットへの紙葉類の収納搬送と、個々の前記種別カセットから繰り出された紙葉類の繰り出し搬送とに関与する搬送経路と、
前記搬送経路を搬送される紙葉類の枚数を計数しつつ、該搬送される紙葉類から紙葉類種別を特定する種別情報を取得する種別情報取得部と、
前記種別カセットにおける紙葉類の収納枚数の特定に支障を来す特異事象の発生状況を、前記種別カセットごとに検知する特異事象検知部と、
前記種別情報取得部による紙葉類の計数枚数に基づいて、前記特異事象の発生前後における紙葉類の現状収納枚数を、前記種別カセットごとに管理するカセット管理部と、
前記種別カセットにおける紙葉類の収納状況を、種別カセットごとに表示する表示部とを備え、
該表示部は、
前記特異事象が起きていないことにより前記現状収納枚数が確定済みのカセットであることを示す第1表示態様と、前記特異事象が起きたことにより前記現状収納枚数が未確定のカセットであることを示す第2表示態様と、前記特異事象が起きたことにより前記現状収納枚数が未確定ではあるものの推定可能なカセットであることを示す第3表示態様とを表示可能であり、前記種別カセットごとの前記収納状況を、前記第1表示態様と前記第2表示態様と前記第3表示態様のいずれかの表示態様を用いて前記種別カセットごとに同時に表示する。
(1)本発明の一形態としては、複数種別の紙葉類を扱う紙葉類処理装置であって、前記紙葉類の種別ごとに用意されて紙葉類を収納すると共に、該収納した紙葉類の繰り出しを受ける複数の種別カセットと、個々の前記種別カセットへの紙葉類の収納搬送と、個々の前記種別カセットから繰り出された紙葉類の繰り出し搬送とに関与する搬送経路と、前記搬送経路を搬送される紙葉類の枚数を計数しつつ、該搬送される紙葉類から紙葉類種別を特定する種別情報を取得する種別情報取得部と、前記種別カセットにおける紙葉類の収納枚数の特定に支障を来す特異事象の発生状況を、前記種別カセット毎に検知する特異事象検知部と、前記種別情報取得部による紙葉類の計数枚数に基づいて、前記特異事象の発生前における紙葉類の現状収納枚数を、前記種別カセットごとに管理するカセット管理部と、前記種別カセットにおける紙葉類の収納状況を、種別カセットごとに表示する表示部とを備える。該表示部は、前記特異事象が起きていないことにより前記カセットごとの前記現状収納枚数が確定済みのカセットについての第1表示態様と、前記特異事象が起きたことにより前記カセットごとの前記現状収納枚数が未確定のカセットについての第2表示態様とを使い分けて、前記収納状況を種別カセットごとに表示する。
この形態の紙葉類処理装置では、個々の種別カセットについて、紙葉類の現状の収納状況を表示しつつ、紙葉類の収納枚数の特定に支障を来す特異事象が発生していない種別カセット(以下、特異事象未発生カセットと称する)と、この特異事象が発生した種別カセット(以下、特異事象発生カセットと称する)とで、紙葉類の収納状況の表示の態様を異なるものとする。よって、この表示態様が第1表示態様の種別カセット(特異事象未発生カセット)は、特異事象が起きていないことにより現状収納枚数が確定済みであると認識され、特異事象が発生した種別カセット(特異事象発生カセット)は、特異事象が起きたことにより現状収納枚数が未確定であると認識される。こうした認識が表示態様の相違により容易になされるので、特異事象未発生カセットについては、現状収納枚数が確定済みであることから精査処理の選択の候補から除外して精査処理を実行しないようにした上で、特異事象発生カセットを精査処理の実行対象として選択できる。この結果、精査処理を行う種別カセットの数自体を少なくできるので、精査処理に要する時間をより短縮化できる。
種別カセットにおける紙葉類の収納枚数の特定に支障を来す特異事象としては、個々の種別カセットにおけるカセット開閉アクセスの他、種別カセットからの枚様毎の紙葉類繰り出し不良或いは当該カセットへの枚様毎の紙葉類収納不良、紙葉類の受入や払い出しに伴う紙葉類搬送の際のいわゆる連れ出し等、種々の事象が想定できる。
(2)上記形態の紙葉類処理装置において、前記現状収納枚数を前記収納状況に含んで表示するようにでき、こうすれば、収納枚数についても確認できる。
(3)上記のいずれかの形態の紙葉類処理装置において、前記種別カセットとは別に用意され、前記特異事象を引き起こした紙葉類を前記搬送経路を経て収納可能とされた非種別カセットと、前記特異事象を引き起こした紙葉類を前記搬送経路を経て前記非種別カセットに振り分けて収納する振分部とを備え、前記カセット管理部は、前記特異事象を引き起こした紙葉類が前記振分部により前記非種別カセットに収納された場合には、前記非種別カセットへの収納枚数を前記種別情報取得部により計数もしくは推定して前記非種別カセットへの収納枚数を求め、該収納枚数を前記現状収納枚数から減算した収納枚数を前記現状収納枚数として、前記種別カセットごとに管理し、前記表示部は、前記現状収納枚数が未確定のカセットについての前記第2表示態様を、前記非種別カセットへの収納枚数が前記種別情報取得部により計数された場合と前記収納枚数が推定された場合とで区別して、前記収納状況を種別カセットごとに表示するようにできる。
この形態の紙葉類処理装置では、特異事象が発生した場合、特異事象を引き起こした紙葉類が前記振分部により前記非種別カセットに収納される。こうして収納された紙葉類は、非種別カセットに留まり、紙葉類処理装置の装置外に持ち出されることはないので、特異事象の発生後の特異事象発生カセットでの収納枚数と非種別カセットに収納された枚数との和は、特異事象の発生前の特異事象発生カセットでの収納枚数と一致する。そして、特異事象を引き起こした紙葉類が非種別カセットに収納されれば、現状収納枚数が未確定のカセット(特異事象発生カセット)についての前記第2表示態様を、非種別カセットに収納された枚数の計数と推定とで区別する。この場合、非種別カセットに収納された枚数が計数されれば、当該収納枚数およびこれを減算して求めた特異事象発生カセットの現状収納枚数は確定する。よって、この特異事象発生カセットを精査処理の選択の候補から除外することができ、精査処理を行う種別カセットの数をより少なくして、精査処理に要する時間の更なる短縮化を図ることができる。また、非種別カセットへの収納枚数が推定されたとしても、その推定の収納枚数と特異事象の発生後の特異事象発生カセットでの収納枚数との和は、既述したように特異事象の発生前の特異事象発生カセットでの収納枚数と一致する。よって、特異事象発生カセットを精査処理の選択の候補から除外することができ、精査処理を行う種別カセットの数をより少なくして、精査処理に要する時間の更なる短縮化を図ることができる。
(4)上記のいずれかの形態の紙葉類処理装置において、前記種別カセットから紙葉類を繰り出し、該繰り出した紙葉類を前記搬送経路で搬送しつつ前記種別情報取得部にて枚数計数と前記種別情報の取得とを行い、前記種別情報ごとの種別の紙葉類についての枚数を紙葉類の繰り出し対象となった前記種別カセット毎に特定する精査処理を実行する精査処理部と、前記第2表示態様で前記現状収納枚数を未確定として表示した前記種別カセットについて、前記精査処理部への前記精査処理の実行を指示する精査処理指示部とを備えるようにできる。
この形態の紙葉類処理装置では、現状収納枚数が第2表示態様で未確定であるとして表示された種別カセット(特異事象発生カセット)について、精査処理指示部からの精査処理の実行指示により、精査処理を実行できる。そして、精査処理の実行対象のカセット数は少ないことから、短時間の内に、精査処理を完了できる。
(5)上記の形態の紙葉類処理装置において、前記精査処理指示部は、前記特異事象を引き起こした紙葉類が前記振分部により前記非種別カセットに収納された場合には、前記精査処理部への前記精査処理の実行指示を、前記特異事象検知部が前記特異事象の発生を検知した前記種別カセットについては抑制するようにできる。
この形態の紙葉類処理装置では、精査処理を行う種別カセットの数をより少なくして、精査処理に要する時間を更に短縮化できる。
既述した形態の紙葉類処理装置における精査処理は、種別カセットに収納された全ての紙葉類を繰り出す手法の他、既述した従来技術で採られたように、既知の収納枚数までの紙葉類については、精査処理に際して繰り出さないようにする手法とできる。
本発明の一実施例における取引処理装置としての自動取引装置(以下、「ATM」とも呼ぶ)10の構成を概略的に示す説明図である。 ATM10の背面をその扉を開けた状態で概略的に示す背面側外観図である。 ATM10の構成を機能的に示す説明図である。 実施例における紙幣処理装置100の構成を概略的に示す説明図である。 金種別カセット140における紙幣の枚様毎の収納と繰り出しの検知とカセット内の紙幣へのアクセス検知の様子を模式的に示す説明図である。 紙幣装填や精査処理における係員操作部250の表示の様子を示す説明図である。 係員による作業開始の際の係員操作部250の初期画面の様子を示す説明図である。 紙幣装填処理の流れを示すフローチャートである。 紙幣処理装置制御部190が管理するデータの様子を示す説明図である。 図6に示す全てのカセットの収納枚数がゼロの初期状態からエラー等なしで紙幣装填をした場合の係員操作部250の表示の様子を示す説明図である。 紙幣繰り出し処理の流れを示すフローチャートである。 既述したエラー等がないまま紙幣の繰り出し処理が開始される際の係員操作部250におけるカセット状況表示260の様子とエラー等がないまま紙幣の繰り出し処理が終了した際のカセット状況表示260の様子とを示す説明図である。 紙幣繰り出しの過程で既述したエラー等が起きて紙幣の繰り出し処理が終了した際のカセット状況表示260の様子を説明図である。 紙幣収納処理の流れを示すフローチャートである。 既述したエラー等がないまま紙幣の収納処理が開始される際のカセット状況表示260の様子とエラー等がないまま紙幣の収納処理が終了した際のカセット状況表示260の様子とを示す説明図である。 紙幣収納の過程で既述したエラー等が起きて紙幣収納処理が終了した際のカセット状況表示260の様子を説明図である。 カセットアクセスの有無の検知処理の流れを示すフローチャートである。 第2金種カセット140Bにカセットアクセスが検知された場合のカセット状況表示260の様子を示す説明図である。 精査処理の前半の流れを示すフローチャートである。 精査処理の後半の流れを示すフローチャートである。
以下、本発明の実施の形態について、その実施例をその図面と共に以下の順序で説明する。
A−1.装置構成:
A−2.紙幣装填処理:
A−3.紙幣繰り出し処理:
A−4.紙幣収納処理:
A−5.精査処理:
A−6.精査方法判定処理:
A−1.装置構成:
図1は本発明の一実施例における取引処理装置としての自動取引装置(以下、「ATM」とも呼ぶ)10の構成を概略的に示す説明図、図2はATM10の背面をその扉を開けた状態で概略的に示す背面側外観図、図3はATM10の構成を機能的に示す説明図である。ATM10は、例えば金融機関や小売店、公共施設等に設置され、顧客の操作に従い、金融機関等の提供する現金出納等のサービスを自動で提供する装置である。ATM10は、現金自動預け払い機とも呼ばれる。
図1〜図3に示すように、ATM10は、顧客の取引カードや取引明細票を処理するカード・明細票処理装置210と、通帳を処理する通帳処理装置220と、硬貨を取り扱う硬貨処理装置230と、紙幣を取り扱う紙幣処理装置100と、取引に必要な情報を表示すると共に顧客の操作を受け付けるユーザーインターフェースとしての顧客操作部240と、係員の操作のための係員操作部250と、ATM10の各部を制御する本体制御部300と、を備えている。係員操作部250は、後述の紙幣補充や精査処理の際に、係員に作業に必要な情報を表示するすると共に係員の操作を受け付けるユーザーインターフェースとして構成されている。ATM10は、その背面側に背面扉12を開閉自在に備え、当該扉と装置筐体内に、上記の紙幣処理装置100と、明細票処理装置210と、通帳処理装置220と、硬貨処理装置230と、係員操作部250の他、後述の紙幣処理装置制御部190を備える。
紙幣処理装置100の備える紙幣処理装置制御部190は、CPUとプログラムやデータ等を記憶するメモリとを有し、本体制御部300による制御の下、紙幣の装填、入金(収納)、出金(繰り出し)、精査といった処理を行なう。なお、紙幣処理装置制御部190は、本体制御部300の制御の下、本発明における情報取得や、カセット管理、精査対象カセット選択、精査処理、これらに伴う紙幣搬送としての機能を果たす精査/搬送制御部192と、特異事象の検知としての機能を果たす検知部194を備える。
図4は実施例における紙幣処理装置100の構成を概略的に示す説明図である。紙幣処理装置100は、紙幣Sの入口および出口としての入出金口110と、搬送路(L1〜L10)を有し搬送路上において紙幣Sを搬送する搬送機構170と、図示しない撮像部を有し搬送路上を搬送される紙幣Sの真偽・金種の識別、記番号の読み取り取得、計数といった処理を行う識別部120と、紙幣Sを一時的に保持する一時保留部130と、紙幣Sを金種別に収納する3つの金種別カセット140と、識別部120による識別ができなかった紙幣S(リジェクト紙幣)を回収するリジェクトカセット150と、金種別カセット140に補充する紙幣Sや金種別カセット140から回収した紙幣Sを収納する補充回収カセット160と、カセットからの繰り出し時や搬送時にジャムを起こした紙幣(ジャム紙幣)を収納するジャムカセット180とを備えている。上記のリジェクト紙幣は、識別部120での紙幣の真偽により不適合な紙幣、カセットからの繰り出しの際に重なり合った紙幣、折れ曲がったりして真偽が不明な紙幣などをいう。なお、図4では、紙幣処理装置制御部190(図3参照)の図示は省略している。
金種別カセット140は、紙幣Sを入出金可能な状態で搬送路と接続され、搬送路から紙幣Sを受け入れて収納すると共に、紙幣Sを繰り出して搬送路上に送り出す。本実施例では、三つの金種別カセット140を一群として、第1金種カセット140A〜第3金種カセット140Cで構成し、第1金種カセット140Aは万円札専用のカセットとされ、第2金種カセット140Bは五千円札専用のカセットとされ、第3金種カセット140Cは千円札専用のカセットである。以下、第1金種カセット140A〜第3金種カセット140Cを総称する際には、金種別カセット140と称し、金種ごとのカセットについては、第1金種カセット140A、第2金種カセット140B、第3金種カセット140Cと個別に称する。
金種別カセット140は、搬送路との接続位置から見て奥側(カセット底部側)から手前側(カセット天井側)に向けて順に紙幣Sを並べて収納し、手前側から奥側に向けて順に紙幣Sを1枚ずつ繰り出す。従って、金種別カセット140からの紙幣Sの繰り出しは、金種別カセット140への紙幣Sの収納順序と逆の順序で(金種別カセット140への収納順がより後である紙幣Sほど先に繰り出されるように)実行される。
図5は金種別カセット140における紙幣の枚様毎の収納と繰り出しの検知とカセット内の紙幣へのアクセス検知の様子を模式的に示す説明図である。図示するように、金種別カセット140は、第1センサー142と第2センサー144とを備え、第1センサー142は、金種別カセット140への紙幣収納および金種別カセット140からの紙幣繰り出しが、一枚ずつ行われたか否かを検知する。第2センサー144は、カセットの図示しない蓋が開けられて収納済み紙幣へのアクセスの有無を検知する。両センサーの検知信号は紙幣処理装置制御部190に送られ、紙幣処理装置制御部190は、第1センサー142の検知信号に基づいて、金種別カセット140への紙幣収納および金種別カセット140からの紙幣繰り出しが、一枚ずつ行われたか否か判定する。そして、複数枚の収納や繰り出し(いわゆる連れ出し)が起きれば、紙幣処理装置制御部190は、金種別カセット140における紙幣Sの収納枚数の特定に支障を来すとして、複数枚の収納や繰り出しを起こした金種別カセット140を後述の精査処理の対象カセットとして選択等する。また、紙幣処理装置制御部190は、第2センサー144の検知信号に基づいて、金種別カセット140に収納済み紙幣へのアクセスの有無を判定する。そして、カセットアクセスがあれば、紙幣処理装置制御部190は、金種別カセット140における紙幣Sの収納枚数の特定に支障を来すとして、カセットアクセスがあった金種別カセット140を後述の精査処理の対象カセットとして選択等する。この他、紙幣処理装置制御部190(図3参照)は、各金種別カセット140について、収納されている紙幣に関する所定の情報を後述するように記憶・管理する。
リジェクトカセット150は、紙幣Sの入金のみが可能な状態で搬送路と接続され、搬送路からリジェクト紙幣を受け入れて収納する。補充回収カセット160は、セパレータ162によって、補充する紙幣Sや回収した紙幣Sを収納する補充回収部163と、紙幣装填処理(後述)の際に補充回収部163から繰り出された紙幣Sのうちで識別部120により異常と識別された紙幣S(補充リジェクト紙幣)を収納する補充リジェクト部164と、に分割されている。補充回収部163は、紙幣Sを入出金可能な状態で搬送路と接続され、紙幣Sを1枚ずつ繰り出して搬送路上に送り出すと共に、搬送路から紙幣Sを受け入れて収納する。補充リジェクト部164は、紙幣Sの入金のみが可能な状態で搬送路と接続され、搬送路から補充リジェクト紙幣を受け入れて収納する。搬送機構170は、例えばローラーやベルト、搬送経路を切り替えるゲート等を用いて構成され、上記の各カセットへの紙幣収納や各カセットからの紙幣繰り出しに関与する搬送路L1〜L10を形成する。図4には、搬送機構170の各搬送路における紙幣Sの搬送方向を矢印で示している。ジャムカセット180は、紙幣Sの入金のみが可能な状態で搬送路と接続され、搬送路からジャム紙幣を受け入れて収納する。
顧客操作部240(図2参照)は、タッチパネルを有し、タッチパネル上に必要な操作内容を表示して顧客の操作を案内する。例えば、顧客操作部240は、預け入れ、引き出し、振り込み等の取引種別の入力や、暗証番号、金額の入力等を案内する画面を表示し、顧客により入力された指示を本体制御部300に伝える。
係員操作部250(図2参照)は、銀行の係員等の作業者がATM10を運用、保守するための操作部であり、紙幣の装填や精査などの指示を行なうための入力部や、装置状態、運用モード、装填や精査の処理結果、障害個所等を表示し、本発明における表示部としての機能を発揮する。図6は紙幣装填や精査処理における係員操作部250の表示の様子を示す説明図である。係員操作部250は、タッチパネル構成とされ、紙幣装填や精査処理に際して、本体制御部300の制御下において、図示するように、その表示画面に、カセット状況表示260と、全計数スイッチ表示262と、計数スイッチ表示264と、印字スイッチ表示266とを含んで表示する。全計数スイッチ表示262は、金種別カセット140の全てのカセットについて後述の精査処理を行う際に、係員に押圧操作される。計数スイッチ表示264は、紙幣処理装置制御部190にて後述するように精査処理対処として選択された金種別カセット140について後述の精査処理を行う際に、係員に押圧操作される。印字スイッチ表示266は、図6に示す表示を外部のプリンターや明細票処理装置210にて印刷する際に、係員に押圧操作される。
カセット状況表示260は、図4における各カセットの配置に倣った並びで、第1カセット表示281〜第6カセット表示286を含み、第1カセット表示281は、第1金種カセット140Aに対応する。同じく、第2カセット表示282は第2金種カセット140Bに、第3カセット表示283は第3金種カセット140Cに、第4カセット表示284はリジェクトカセット150に、第5カセット表示285は補充回収カセット160に、第6カセット表示286はジャムカセット180に、それぞれ対応する。これら各カセット表示には、その上部に、カセットの区別表記の文字記号とこれを取り囲む周囲模様を含み、下部には、カセットにおける紙幣Sの収納枚数を数字表記する。収納枚数は、後述の補填処理等の際に紙幣処理装置制御部190にて取得され、更新記憶されるので、その記憶数値が表示される。カセット区別文字周囲の模様は、図6に示した周囲模様の表示態様に示すように、カセット収納枚数が確定している態様(以下、確定態様)と、カセット収納枚数が後述の要因により未確定ではあるものの推定可能な状況での態様(以下、推定態様)と、カセット収納枚数が後述の要因により確定不可な態様(以下、未確定態様)のいずれかとされ、その表示態様は、紙幣処理装置制御部190の記憶する後述のカセット管理データにて定まる。
この他、カセット状況表示260は、第1カセット表示281〜第3カセット表示283を、紙幣装填の対象となる第1金種カセット140A〜第3金種カセット140Cまでのカセット群として取り扱って表示し、このカセット群表示270Gには、その上部に、カセット群の区別表記の文字記号とこれを取り囲む周囲模様を表示する。また、第1金種カセット140A〜第3金種カセット140Cにリジェクトカセット150を加えたカセット群としても、カセット群表示280Gとし、この表示には、その上部に、カセット群の区別表記の文字記号とこれを取り囲む周囲模様を表示する。更に、補充回収カセット160とジャムカセット180をも加えた装置全体としても表示し、この表示(装置表示290G)には、その上部に、全てのカセットを含む装置の区別表記の文字記号とこれを取り囲む周囲模様を表示する。これら群表示・装置表示における周囲模様にあっても、既述したように確定態様と、推定態様と、未確定態様が使い分けられる。
本体制御部300(図2参照)は、CPUとプログラムやデータ等を記憶するメモリとを有し、CPUが記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、各種処理・取引の制御を実現する。また、本体制御部300は、図示しないインターフェースを介してホストコンピューター400に接続され、ホストコンピューター400との間で必要な情報のやりとりを行なう。例えば、本体制御部300は、係員操作部250の上記したカセット状況表示260のデータを、ホストコンピューター400に送信する。よって、ホストコンピューター400の管理部署、例えば銀行では、ATM10における各カセット毎の紙幣収納状況を把握できる。
A−2.紙幣装填処理:
次に、紙幣装填処理について説明する。図7は係員による作業開始の際の係員操作部250の初期画面の様子を示す説明図である。係員操作部250は、図2の背面扉12がオープンされたことにより、本体制御部300の制御を受けて図7の初期画面252を表示し、当該画面に、紙幣装填スイッチ254と、精査処理実行スイッチ256と、その他のメンテナンススイッチ258と、運用開始スイッチ259とを含ませる。紙幣装填スイッチ254が操作されると、本体制御部300は、紙幣処理装置制御部190と協働して後述の紙幣装填処理を実行する。精査処理実行スイッチ256は、予め定められたタイミングで精査処理を実行する際に操作され、本体制御部300は、この操作を受けて後述の精査処理を行う。メンテナンススイッチ258は、例えば、メカ的なメンテナンス等の際に操作される。運用開始スイッチ259は、後述の紙幣補填処理の終了時等に係員に操作され、本体制御部300は、この操作を受けて、後述するようにATM10の運用(紙幣繰り出し、収納)を開始または再開する。
図8は紙幣装填処理の流れを示すフローチャートである。紙幣装填処理は、補充回収カセット160に収納された補充用紙幣を、搬送路を介して金種別カセット140に搬送し、金種別カセット140内に装填(収納)する処理である。紙幣装填処理は、本体制御部300(図3)の制御の下、紙幣処理装置制御部190(および紙幣処理装置制御部190に制御される紙幣処理装置100の各部)によって実行される。紙幣装填処理は、係員操作部250を介した紙幣装填スイッチ254(図7参照)の押圧操作を受けて開始される。
紙幣装填処理が開始されると、まず、第1金種カセット140A〜第3金種カセット140Cのそれぞれの金種別カセット140の収納枚数が確定しているか否かを判定する(ステップS110)。紙幣装填処理は、ATM10の稼働に伴って不足した紙幣を補填するタイミング、或いは、ATM10の稼働前の所定のタイミング、例えば、全ての金種別カセット140の交換のタイミングや定期的に定めた紙幣補填タイミングで実行される。こうした各タイミングにおいて、常に、金種別カセット140の収納枚数が確定していないことも想定されるため、紙幣装填処理の最初に、上記の判定を行う。この場合、紙幣装填処理を、全ての金種別カセット140の交換タイミングのように、各カセットでの収納枚数が確定した状況下で行う運用であれば、ステップS110の判定は省略できる。つまり、カセット交換のタイミングであれば、図6に示すように、金種別カセット140を始めとする全てのカセットの収納枚数はゼロに確定しているので、ステップS110の判定は省略できる。
ステップS110にて金種別カセット140の収納枚数が未確定である判定すると、後述の精査処理に進み(ステップS120)、当該処理が終了するまで待機する。こうすることで、収納枚数が未確定のままで紙幣補填を行うような事態を回避できる。
このステップS110の判定は、紙幣処理装置制御部190がカセット毎に管理する管理データに基づいて下される。図9は紙幣処理装置制御部190が管理するデータの様子を示す説明図である。図示するように、紙幣処理装置制御部190は、カセット毎に、収納枚数(枚数)、その確定、カセットへのアクセスの有無、紙幣繰り出しや搬送等のエラーの有無、エラーがあった場合の当該エラーに関与した紙幣枚数の計数或いは推定の状況の各データを記憶する。図において、枚数データは、各カセットの収納枚数に該当し、後述の紙幣繰り出し処理や出金処理、精査処理の過程でその都度、取得して記憶管理される。確定データは、カセットへのアクセス有無や、リジェクト、ジャム等の障害の有無に基づいて、収納枚数が確定しているか否かを示すデータであり、アクセスデータは、カセットへのアクセス有無を示し、エラーデータは、リジェクト、ジャム等の障害の有無を示す。図9において、RB2の文字表記のカセット、即ち第2金種カセット140B(図4参照)では、アクセスデータがアクセス有りとなっていることから、第2金種カセット140Bにおける紙幣Sの収納枚数の特定に支障を来すので、確定データは不可(NG)とされている。これらデータにあっても、後述の紙幣繰り出し処理や出金処理、精査処理、検知処理の過程でその都度、取得して記憶管理される。
また、図9において斜線で示されるデータ欄は、そのカセットについては、考慮する必要がない、或いはデータ管理する必要がないことを意味する。例えば、ジャム紙幣を収納するジャムカセット180は、ATM10に固定のカセットであり、蓋の開閉といったアクセスを考慮する必要はない。また、ジャムカセット180は、そもそも搬送等に支障を起こしたジャム紙幣を収納することから、その除去等の作業が必要なため、アクセスを考慮する必要はない。
計数或いは推定の状況データは、紙幣繰り出しや搬送等のエラーがあった場合に、当該エラーに関与した紙幣の枚数が計数されたか(K)、推定されたものか(S)とされ、横線は、現時点では、エラーがないためにこうしたデータが取得されていないことを意味する。これらデータにあっても、後述の紙幣繰り出し処理や出金処理、精査処理、検知処理の過程でその都度、取得して記憶管理される。
一方、図8のステップS110にて、上記の管理データから収納枚数が確定済みであると判定すると、補充回収カセット160の補充回収部163から紙幣Sを1枚繰り出して搬送機構170の搬送路にて搬送される(ステップS130)。繰り出された紙幣Sは、搬送路L10、L6、L2(図4参照)を介して識別部120に搬送される。この紙幣Sの繰り出しと搬送において、紙幣Sが一枚ずつの繰り出しがなされたか否かを第1センサー142(図5参照)によって検知しつつ、紙幣Sの搬送の間のエラーであるジャムやリジェクトの有無を搬送機構170の駆動状態から検知する。そして、この検知結果から紙幣Sの繰り出し/搬送が枚様毎のものであるか否かを検知し(ステップS132)、エラー有りと判定すれば、該当する紙幣Sをジャムカセット180或いはリジェクトカセット150、もしくは補充回収カセット160の補充リジェクト部164に搬送して保管する(ステップS134)。こうした搬送・保管は、紙幣処理装置制御部190の制御を受けた搬送機構170の振分によりなされる。
ステップS134では、ジャムカセット180或いはリジェクトカセット150、もしくは補充リジェクト部164へ紙幣Sの搬送保管に際し、その紙幣Sの枚数の計数或いは推定を行う。例えば、枚様毎のジャムであれば、紙幣搬送がやや遅くなるといった支障は出るものの、ジャム紙幣の計数は可能であるので、こうした場合は、ジャムカセット180に搬送保管する紙幣S(ジャム紙幣)の枚数を識別部120の通過の際に計数する。この場合には、図9において、ジャムカセット180に対応したJamのデータ欄には、計数/推定データにおいて計数(K)のデータが蓄積される。リジェクト紙幣についても、第1センサー142にて複数枚の連れ出しが検知されれば、その検知対象となった紙幣Sは、補充回収カセット160に搬送保管される。そして、この場合には、識別部120による計数が不可であることから、識別部120の通過時間や、第1センサー142のセンサー検知時間等から、その枚数を推定し、補充回収カセット160に対応したAB4のデータ欄には、計数/推定データにおいて推定(S)のデータが蓄積され、確定データには不可(NG)のデータが蓄積される。こうして、紙幣処理装置制御部190は、図9に示すカセット管理データを紙幣補填処理の間において更新記憶する。ステップS134に続いては、先のステップS130に戻り、それ以降の枚様毎の繰り出し・搬送とその検知を行う。
ステップS132で枚様毎の繰り出し・搬送がなされたと判定すると、搬送されつつある紙幣Sから、識別部120によって少なくともその金種種別が取得される(ステップS140)。この場合、識別部120による紙幣Sの記番号の読み取りを実行するようにすれば、紙幣の真偽も判定できる。識別部120による金種の識別結果に従い、正常に識別された紙幣Sは搬送路L3、L8を介して金種毎に金種別カセット140に収納される(ステップS150)。正常に識別されなかった紙幣Sは補充リジェクト部164に搬送して収納され、その際の紙幣Sの枚数は、識別部120にて計数もしくは推定される(ステップS134)。なお、識別部120より下流の搬送路での搬送においても、上記したジャムの有無の検知と、その結果に伴う紙幣Sのジャムカセット180への搬送保管、並びに計数等を行うようにすることもできる。
紙幣Sが金種別カセット140に収納されると、紙幣処理装置制御部190が記憶・管理する当該金種別カセット140の装填枚数が1だけ加算される(ステップS160)。ステップS130〜S160の処理は、補充回収カセット160に装填されたすべての紙幣について繰り返し実行される(ステップS170)。
すべての紙幣についてステップS130〜S160の処理が完了すると(ステップS170:Yes)、紙幣処理装置制御部190は、カセット毎にその収納枚数を更新記憶して、図9に示すカセットデータを管理する。以上で紙幣装填処理が完了する。紙幣装填処理が完了すると、紙幣装填処理の結果が紙幣処理装置制御部190から本体制御部300に通知され、係員操作部250は、紙幣装填後の各カセットについての収納枚数データや、その確定状況等を表示する。紙幣装填処理の完了後、係員が係員操作部250の運用開始スイッチ259(図7参照)を操作すると、本体制御部300は、この操作を受けて、ATM10を稼働可能な状態、即ち、顧客による両替、引出、入金等の操作が可能な状態とし、ATM10の運用が開始または再開される。
ここで、係員操作部250における表示の例について説明する。図10は図6に示す全てのカセットの収納枚数がゼロの初期状態からエラー等なしで紙幣装填をした場合の係員操作部250の表示の様子を示す説明図である。この図10では、補充回収カセット160からの紙幣装填により、万円札専用の第1金種カセット140Aは、1500枚の万円札を収納し、五千円札専用の第2金種カセット140Bは、1200枚の五千円札を収納し、千円札専用の第3金種カセット140Cは、2500枚の千円札を収納していることを、上記各カセットに対応した第1カセット表示281〜第3カセット表示283にて、その収納枚数数値にて表示する。リジェクトカセット150や補充回収カセット160、ジャムカセット180では、エラー等無く紙幣補充がなされたことから、これらカセットには紙幣の収納はなく、この様子は、これらカセットに対応した第4カセット表示284〜第6カセット表示286にて、収納枚数がゼロとして表示されている。
また、これらカセット表示における周囲模様、およびカセット群表示270Gや、カセット群表示280G、装置表示290Gの周囲模様にあっても、カセットの収納枚数は確定済みである表示態様で、表示されている。こうした枚数表示や、周囲模様の表示態様は、図8での紙幣装填処理の際に更新記憶した図9のカセット管理データにて決定され、図10の表示態様では、図9のカセット管理データは、その確定データは全て良(OK)となり、アクセスデータやエラーデータについても全て良(無し)となる。計数/推定データは、データ無しとなる。
A−3.紙幣繰り出し処理:
次に、紙幣繰り出し処理について説明する。紙幣繰り出し処理は、ATM10の運用開始後または再開後の稼働状況下において、紙幣処理装置100の金種別カセット140に収納済みの紙幣Sを繰り出し、入出金口110を介して出金する処理である。紙幣繰り出し処理は、本体制御部300(図3)の制御の下、紙幣処理装置制御部190(および紙幣処理装置制御部190に制御される紙幣処理装置100の各部)によって実行される。顧客により顧客操作部240を介して現金引き出し取引の実行が指示されると、カード・明細票処理装置210によるカードの受け付け、または、通帳処理装置220による通帳の受け付けが行われる。その後、顧客により顧客操作部240を介して暗証番号や引き出し金額が入力されると、本体制御部300によりホストコンピューター400への引き出し取引の実行可否の照会が行われる。ホストコンピューター400により取引可能との通知がなされると、紙幣繰り出し指示が本体制御部300から紙幣処理装置制御部190に通知され、紙幣繰り出し処理が開始される。図11は紙幣繰り出し処理の流れを示すフローチャートである。
紙幣繰り出し処理が開始されると、指定された引き出し金額に応じて繰り出すべき紙幣の金種毎の枚数が設定され、当該設定に従い金種別カセット140から紙幣Sが1枚繰り出され、この紙幣Sが搬送機構170の搬送路にて搬送される(ステップS210)。繰り出された紙幣Sは、搬送路L9、L2(図4参照)を介して識別部120に搬送される。この紙幣Sの繰り出しと搬送において、紙幣処理装置制御部190は、紙幣Sが一枚ずつ繰り出されたか否かを第1センサー142(図5参照)によって検知しつつ、紙幣Sの搬送の間のエラーであるジャムやリジェクトの有無を搬送機構170の駆動状態から検知する。そして、この検知結果から紙幣Sの繰り出し/搬送が枚様毎のものであるか否かを検知し(ステップS212)、エラー有りと判定すれば、該当する紙幣Sをジャムカセット180或いは補充回収カセット160に搬送して保管する(ステップS214)。
ステップS214では、既述した紙幣補填処理におけるステップS134と同様、ジャムカセット180或いは補充回収カセット160へ紙幣Sの搬送保管に際し、その紙幣Sの枚数の計数或いは推定を行い、図9に示すカセット管理データを更新記憶する。ステップS214に続いては、先のステップS212に戻り、それ以降の枚様毎の繰り出し・搬送とその検知を行う。
ステップS212で枚様毎の繰り出し・搬送がなされたと判定すると、搬送されつつある紙幣Sから、識別部120によって少なくともその金種種別が取得される(ステップS220)。この場合、識別部120による紙幣Sの記番号の読み取りを実行するようにすれば、紙幣の真偽も判定できる。識別部120より下流の搬送路での搬送においても、上記したジャムの有無の検知(枚様毎の搬送検知)を行い(ステップS222)、その結果に伴う紙幣Sのジャムカセット180への搬送保管、並びに計数等を行う(ステップS214)。
識別部120による識別結果に従い、正常に識別された紙幣Sは搬送路L3、L6、L7を介して入出金口110に搬送され、正常に識別されなかった紙幣Sは搬送路L3、L8を介してリジェクトカセット150に搬送して収納され、その際の紙幣Sの枚数は、識別部120にて計数もしくは推定される(ステップS214)。
紙幣Sが入出金口110に搬送されると、直前のステップS210において紙幣Sの繰り出しが行われた金種別カセット140に関し、紙幣処理装置制御部190が記憶・管理する当該金種別カセット140の装填枚数が1だけ減算される(ステップS250)。次に、この金種別カセット140に関し、紙幣処理装置制御部190は、カセット毎にその収納枚数を更新記憶して、図9に示すカセットデータを管理する(ステップS260)。その後、繰り出すべき紙幣Sの繰り出しがすべて完了したか否かが判定され(ステップS270)、未だ完了していないと判定された場合には(ステップS270:No)、処理はステップS210に戻る。
紙幣の繰り出し完了判定(ステップS280)において、引き出し金額に応じて設定された繰り出すべき紙幣の繰り出しが完了したと判定されると(ステップS280:Yes)、紙幣繰り出し処理が完了する。なお、紙幣繰り出し処理が完了すると、出金結果が紙幣処理装置制御部190から本体制御部300に通知される。顧客により指示された引き出し金額分の紙幣Sが入出金口110に正常に放出されると、引き出し取引が完了する。
ここで、上記の紙幣繰り出し処理の間における係員操作部250の表示の様子について説明する。紙幣処理装置制御部190は、図9に示すカセット管理データをATM10の稼働の間にも更新記憶して管理しているので、係員操作部250は、当該データに基づいて、図10に示したカセット毎の収納枚数等が反映したカセット状況表示260を、常時、表示可能である。そして、係員操作部250で表示したATM10の稼働中における各カセットの紙幣収納の状況(例えば、図10)をホストコンピューター400にその都度送信できる。図12は既述したエラー等がないまま紙幣の繰り出し処理が開始される際の係員操作部250におけるカセット状況表示260の様子とエラー等がないまま紙幣の繰り出し処理が終了した際のカセット状況表示260の様子とを示す説明図、図13は紙幣繰り出しの過程で既述したエラー等が起きて紙幣の繰り出し処理が終了した際のカセット状況表示260の様子を説明図である。図12では、紙幣の繰り出し処理開始前において、万円札専用の第1金種カセット140Aは、1500枚の万円札を収納し、五千円札専用の第2金種カセット140Bは、1200枚の五千円札を収納し、千円札専用の第3金種カセット140Cは、2500枚の千円札を収納していることを、上記各カセットに対応した第1カセット表示281〜第3カセット表示283での収納枚数数値にて表示する。リジェクトカセット150や補充回収カセット160、ジャムカセット180では、これらカセットは紙幣を収納していない様子が、これらカセットに対応した第4カセット表示284〜第6カセット表示286にて、収納枚数がゼロとして表示されている。
また、これらカセット表示における周囲模様、およびカセット群表示270Gや、カセット群表示280G、装置表示290Gの周囲模様にあっても、カセットの収納枚数は確定済みである表示態様(図6に示した確定態様)で、表示されている。こうした枚数表示や、周囲模様の表示態様は、紙幣の繰り出し処理開始前の図9のカセット管理データにて決定され、図12(A)の表示態様では、図9のカセット管理データは、その確定データは全て良(OK)となり、アクセスデータやエラーデータについても全て良(無し)となる。計数/推定データは、データ無しとなる。
図12(B)は、エラー等がないまま紙幣の繰り出し処理、例えば20枚の千円札の繰り出しが終了した際の係員操作部250の表示である。よって、第3金種カセット140C(図4参照)に対応した第3カセット表示283は、図11のステップS210〜260の繰り返しにより、開始前の収納枚数である2500から20を減算した数値の2480を現状収納枚数として表示する。その他の金種別カセット140に対応した第1カセット表示281等では、繰り出しがないので、繰り出し前のままの枚数が数値表示されている。しかも、エラー等がないまま紙幣の繰り出し処理が終了しているので、各カセット表示における周囲模様、およびカセット群表示270Gや、カセット群表示280G、装置表示290Gの周囲模様にあっても、カセットの収納枚数は確定済みである表示態様(図6に示した確定態様)で、表示されている。
その一方、図13では、入出金口110への千円札の繰り出し枚数は20枚であるものの、結果的に20枚の千円札を入出金口110に繰り出す間に、紙幣繰り出し時や搬送中のジャムや連れ出しといったエラーが起きた際の表示態様を示している。こうしたエラーを起こした紙幣Sは、そのエラー種別に応じてリジェクトカセット150或いはジャムカセット180に振り分けて搬送・保管される(図11:ステップS214)。ところで、上記した連れ出し等のエラーは、金種別カセット140、この場合は第3金種カセット140Cにおける紙幣Sの収納枚数の特定に支障を来し得るので、図13では、この様子を次のように表示している。
図12や図13に示す係員操作部250におけるカセット状況表示260の表示態様は、図9に示すカセット管理データで定まり、このカセット管理データでは、エラーを起こした紙幣Sの図11のステップS214による枚数の計数或いは推定により、第3金種カセット140Cに対応したRB3のデータ欄において、エラーデータは(有)となる。計数/推定データは、計数と推定に応じて更新され、既述したように枚様毎のジャムであればジャム紙幣の枚数は識別部120の通過の際に計数されて、計数(K)のデータが蓄積され、確定データは良(OK)のデータが蓄積される。そして、この場合には、リジェクトカセット150或いはジャムカセット180に振り分け搬送・保管された枚数が上記したように計数されて確定する。次いで、エラーを起こした紙幣Sの計数済みの収納枚数は、その搬送先のリジェクトカセット150或いはジャムカセット180に対応したデータ欄に、枚数データとして更新記憶される。また、第3金種カセット140Cに対応したRB3のデータ欄における枚数データは、エラーを起こした紙幣Sの上記計数済みの収納枚数(例えば、10)を、20枚の繰り出しの結果である第3金種カセット140Cの収納枚数(2480)から減算した収納枚数(2470)となり、これらデータは、更新記憶される。図9では、リジェクトカセット150に対応したAB4のデータ欄において、上記のようにエラー有りでありながら、枚数計数(K)により、確定データが良(OK)である様子が示されている。この場合、20枚の繰り出しの結果である第3金種カセット140Cの上記収納枚数(2480)は、エラーが起きなかった場合に確定する収納枚数である。
複数枚の連れ出しのようにエラーを起こした紙幣Sの計数が不可であれば、紙幣処理装置制御部190は、連れ出し紙幣の識別部120の通過時間、第1センサー142のセンサー検知時間等から、エラーを起こした紙幣Sの枚数を推定する。そして、図9のカセット管理データでは、計数/推定データにおいて推定(S)のデータが蓄積され、確定データは不可(NG)のデータが蓄積され、これらデータは既述したように更新記憶される。図13の表示態様は、第3金種カセット140Cに関し、計数/推定データにおいて推定(S)のデータが蓄積され、確定データは不可(NG)のデータが蓄積された場合の表示態様に該当し、次のように定まる。
まず、紙幣処理装置制御部190は、リジェクトカセット150に振り分け搬送・保管されたと推定される推定収納枚数(例えば、5)を上記したように推定する。この推定収納枚数(5)は、エラーを起こした紙幣Sの搬送先であるリジェクトカセット150に対応したAB4のデータ欄に、枚数データとして更新記憶され、リジェクトカセット150に対応した第4カセット表示284に、図13に示すように、数値表示される。この際、リジェクトカセット150に対応した第4カセット表示284の周囲模様は、枚数データが推定値であるため、図6で示した推定態様となる。また、第3金種カセット140Cに対応した第3カセット表示283における枚数表示は、図13に示すように、エラーを起こした紙幣Sの上記の推定収納枚数(5)を、20枚の繰り出しの結果である第3金種カセット140Cの収納枚数(2480)から減算した収納枚数(2475)となる。この場合、第3金種カセット140Cに対応した第3カセット表示283が表示した上記の減算収納枚数は、エラーを起こした紙幣Sの推定収納枚数(5)から求めたものであることから、推定値となる。よって、第3金種カセット140Cに対応した第3カセット表示283の周囲模様は、図6で示した推定態様となる。
また、カセット群表示270Gは、枚数が推定の第3カセット表示283を含むことから、第1カセット表示281〜第3カセット表示283までの枚数にあっても推定枚数を含むので、カセット群表示270Gの周囲模様は、図6で示した推定態様となる。この場合、カセット群表示270Gと第4カセット表示284を含むカセット群表示280Gは、枚数が推定の第3カセット表示283と第4カセット表示284とを含むものの、この両カセット表示の枚数の和は、20枚の繰り出しの結果である第3金種カセット140Cの収納枚数(2480)と一致し、確定する。また、リジェクトカセット150に収納した紙幣Sは、金種別カセット140への搬送によって、ATM10の運用に供することができる。よって、カセット群表示280Gの周囲模様は、図6で示した確定態様となる。装置表示290Gも同様である。なお、エラーによりリジェクトカセット150に収納した紙幣Sの枚数が計上可能であれば、第3金種カセット140Cからの繰り出し枚数および収納済み枚数は確定するので、図13のカセット状況表示260は、第3カセット表示283および第4カセット表示284の他、カセット群表示270Gにあっては、その周囲模様は図6の確定態様となる。
A−4.紙幣収納処理:
次に、紙幣収納処理について説明する。紙幣収納処理は、ATM10の稼働開始後に、入出金口110を介して入金された紙幣Sを金種別カセット140に収納する処理である。紙幣収納処理は、本体制御部300(図2)の制御の下、紙幣処理装置制御部190(および紙幣処理装置制御部190に制御される紙幣処理装置100の各部)によって実行される。顧客により顧客操作部240を介して現金預け入れ取引の実行が指示されると、入金処理および紙幣収納処理が実行される。入金処理では、顧客により入出金口110に投入された紙幣Sが入出金口110から繰り出され、搬送路L2を介して識別部120に搬送され、識別部120により識別される。識別部120により正常に識別された紙幣Sは、搬送路L3、L4を介して一時保留部130に搬送・収納され、正常に識別されなかった紙幣Sは、搬送路L3、L6、L7を介して入出金口110に返却される。入金処理が完了すると、その結果が紙幣処理装置制御部190から本体制御部300に通知され、顧客操作部240に表示される。顧客により顧客操作部240に表示された入金金額が確認されると、本体制御部300から紙幣処理装置制御部190に収納指示が送られ、紙幣収納処理が開始される。図14は紙幣収納処理の流れを示すフローチャートである。
紙幣収納処理が開始されると、一時保留部130(図4参照)に収納されている紙幣Sが1枚繰り出され(ステップS310)、繰り出された紙幣Sが搬送路L5、L6、L2を介して識別部120に搬送され、搬送されつつある紙幣Sから、識別部120によって紙幣Sの識別および記番号の読み取りが行われる(ステップS320)。その後、識別部120による識別結果に従い、紙幣Sが搬送路L3、L8を介して該当する金種の金種別カセット140に搬送・収納される(ステップS330)。なお、識別部120にて正常に識別されなかった紙幣Sは、搬送路L3、L6、L7を介して入出金口110に返却される。
この紙幣Sの繰り出しと搬送・収納において、紙幣処理装置制御部190は、紙幣Sが一枚ずつ金種別カセット140に収納されたか否かを第1センサー142(図5参照)によって検知しつつ、紙幣Sの搬送の間のエラーであるジャムやリジェクトの有無を搬送機構170の駆動状態から検知する。そして、この検知結果から紙幣Sの収納/搬送が枚様毎のものであるか否かを検知し(ステップS332)、エラー有りと判定すれば、該当する紙幣Sをジャムカセット180或いは補充回収カセット160に搬送して保管する(ステップS334)。
ステップS334では、既述した紙幣補填処理におけるステップS134や紙幣繰り出し処理におけるステップS214と同様、金種に応じた金種別カセット140への紙幣Sの搬送保管に際し、その紙幣Sの枚数の計数或いは推定を行い、図9に示すカセット管理データを更新記憶する。ステップS334に続いては、先のステップS310に戻り、それ以降の枚様毎の繰り出しと収納/搬送、および上記の検知を行う。
ステップS332で枚様毎の繰り出しと収納/搬送がなされたと判定すると、直前のステップS330において紙幣Sの収納先となった金種別カセット140に関し、紙幣処理装置制御部190が記憶・管理する当該金種別カセット140の収納枚数が1だけ加算される(ステップS340)。次に、この金種別カセット140に関し、紙幣処理装置制御部190は、カセット毎にその収納枚数を更新記憶して、図9に示すカセットデータを管理する(ステップS350)。
その後、一時保留部130に収納されたすべての紙幣Sについて収納処理が完了したか否かが判定され(ステップS360)、未だ完了していないと判定された場合には(ステップS360:No)、ステップS310からS350までの処理が再度実行される。すべての紙幣Sについて収納処理が完了したと判定された場合には(ステップS360:Yes)、紙幣収納処理が完了する。紙幣収納処理が完了すると、収納結果が紙幣処理装置制御部190から本体制御部300に通知され、現金預け入れ取引が完了する。
上記の紙幣収納処理の間においても、ステップS334を行うことで、紙幣処理装置制御部190は、図9に示したカセット管理データを随時更新管理する。よって、図12や図13に示したカセット状況表示260が可能となる。以下、紙幣収納処理の間における係員操作部250のカセット状況表示260について説明する。図15は既述したエラー等がないまま紙幣の収納処理が開始される際のカセット状況表示260の様子とエラー等がないまま紙幣の収納処理が終了した際のカセット状況表示260の様子とを示す説明図、図16は紙幣収納の過程で既述したエラー等が起きて紙幣収納処理が終了した際のカセット状況表示260の様子を説明図である。図15では、既述した図12のカセット状況表示260と同様、各金種の金種別カセット140や、リジェクトカセット150等の紙幣収納済み枚数を、対応する第1カセット表示281等にて数値表示する。カセット表示における周囲模様についても、カセットの収納枚数は確定済みである確定態様(図6参照)で表示されている。こうした枚数表示や、周囲模様の表示態様は、紙幣収納処理開始前の図9のカセット管理データにて決定され、図15(A)の表示態様では、図9のカセット管理データは、その確定データは全て良(OK)となり、アクセスデータやエラーデータについても全て良(無し)となる。計数/推定データは、データ無しとなる。
図15(B)は、エラー等がないまま紙幣収納処理、例えば10枚の五千円札の収納が終了した際の係員操作部250の表示である。よって、第2金種カセット140B(図4参照)に対応した第2カセット表示282は、図14のステップS310〜350の繰り返しにより、開始前の収納枚数である1200に10を加算した数値の1210を現状収納枚数として表示する。その他の金種別カセット140に対応した第1カセット表示281等では、紙幣収納がないので、収納前のままの枚数が数値表示されている。しかも、エラー等がないまま紙幣収納処理が終了しているので、各カセット表示における周囲模様、およびカセット群表示270Gや、カセット群表示280G、装置表示290Gの周囲模様にあっても、カセットの収納枚数は確定済みである表示態様(図6に示した確定態様)で、表示されている。
その一方、図16では、五千円札の収納枚数は10枚であるものの、結果的に10枚の五千円札を収納する間に、搬送中やカセット収納時のジャムといったエラーが起きた際の表示態様を示している。こうしたエラーを起こした紙幣Sは、そのエラー種別に応じてリジェクトカセット150或いはジャムカセット180に振り分けて搬送・保管される(図14:ステップS334)。ところで、上記のエラーは、金種別カセット140、この場合は第2金種カセット140Bにおける紙幣Sの収納枚数の特定に支障を来し得るので、図16は、既述した図13と同様に、この様子を次のように表示している。
図15や図16に示す係員操作部250におけるカセット状況表示260の表示態様は、図9に示すカセット管理データで定まり、このカセット管理データは、エラーを起こした紙幣Sの図14のステップS334による枚数の計数或いは推定を経て、既述したように更新管理される。図16(C)は、ジャムカセット180への収納枚数を推定した状態におけるカセット状況表示260であり、図示するように、ジャムカセット180に対応した第6カセット表示286の周囲模様は、図6で示した推定態様となる。この第6カセット表示286の表示数値は、推定収納枚数(例えば、2)となる。また、第2金種カセット140Bに対応した第2カセット表示282における枚数表示は、エラーを起こした紙幣Sの上記の推定収納枚数(2)を、10枚の収納結果である第2金種カセット140Bの収納枚数(1210)から減算した収納枚数(1208)となる。この場合、第2金種カセット140Bに対応した第2カセット表示282が表示した上記の減算収納枚数は、エラーを起こした紙幣Sの推定収納枚数(2)から求めたものであることから、推定値となる。よって、第2金種カセット140Bに対応した第2カセット表示282の周囲模様は、図6で示した推定態様となる。なお、10枚の収納した際の結果である第2金種カセット140Bの上記収納枚数(1210)は、エラーが起きなかった場合に確定する収納枚数である。
また、カセット群表示270Gは、枚数が推定の第2カセット表示282を含むことから、第1カセット表示281〜第3カセット表示283までの枚数にあっても推定枚数を含むので、カセット群表示270Gの周囲模様は、図6で示した推定態様となる。この場合、カセット群表示270Gと第3カセット表示283を含むカセット群表示280Gは、枚数が推定の第3カセット表示283を含むことから、周囲模様は、図6で示した推定態様となる。そして、カセット群表示280Gと第6カセット表示286を含む装置表示290Gは、ATM10の運用(紙幣繰り出しや収納)に用いられない紙幣Sを収納するジャムカセット180に対応した第6カセット表示286を含むことから、その周囲模様は、図6で示した推定態様となる。なお、エラーによりジャムカセット180に収納した紙幣Sの枚数が計上可能であれば、金種別カセット140への収納枚数は確定するので、図16のカセット状況表示260は、第2カセット表示282および第6カセット表示286の他、カセット群表示270Gや、カセット群表示280G、装置表示290Gにあっても、その周囲模様は図6の確定態様となる。
A−5.精査処理:
次に、精査処理について説明する。精査処理は、所定のタイミング、例えば、所定の稼働期間経過後や、金種別カセット140への紙幣補填等のタイミングに、装置内の紙幣の残高を把握するために、金種別カセット140に収納されている紙幣Sを計数して枚数を特定する処理である。精査処理は、本体制御部300(図3)の制御の下、紙幣処理装置制御部190(および紙幣処理装置制御部190に制御される紙幣処理装置100の各部)によって実行される。精査処理は、係員により空の補充回収カセット160が紙幣処理装置100にセットされ、係員操作部250を介した精査処理実行スイッチ256(図7参照)の押圧操作を受けて開始される。精査処理は上記のように係員操作を経て実行され、本実施例では、金種別カセット140における紙幣Sの収納枚数の特定に支障を来すカセットアクセスの有無に応じて、精査処理の対象カセットを後述するように選択する。つまり、カセットアクセス有無の検知処理は、精査処理と密接に関係することから、先に検知処理について説明する。
図17はカセットアクセスの有無の検知処理の流れを示すフローチャートである。この検知処理は、金種別カセット140等へのアクセスが有り得る状況下、例えば、図に示す背面扉12が開けられてから閉められるまでの間において、紙幣処理装置制御部190にて繰り返し実行される。この検知処理では、紙幣処理装置制御部190は、まず、金種別カセット140の第2センサー144(図5参照)によって、個々の金種別カセット140へのカセットアクセスの有無を検知し(ステップS410)、アクセス無しと判定すれば、処理を終了する。その一方、カセットアクセスが有ったと判定すると、紙幣処理装置制御部190は、アクセス有りと検知した第2センサー144を有する金種別カセット140、即ちカセットアクセスがあった金種別カセット140を特定する(ステップS420)。そして、この特定した金種別カセット140について、図9に示したカセット管理データを更新記憶して(ステップS430)、処理を終了する。図9では、第2金種カセット140Bに対応するRB2のデータ欄に、その確定データがNGとされた状態が示されており、これは、上記のステップS420にて、第2金種カセット140Bに対してカセットアクセスがあり、その結果が更新記憶されていることになる。図18は第2金種カセット140Bにカセットアクセスが検知された場合のカセット状況表示260の様子を示す説明図である。
図示するように、カセットアクセス検知の第2金種カセット140Bに対応する第2カセット表示282では、その周囲模様は、図9の確定データNGに対応して、図6の未確定態様となり、それ以外のカセットに対応したカセット表示の周囲模様は、図6の確定態様となる。そして、未確定態様の第2カセット表示282を含むカセット群表示270G、およびこれをふくむカセット群表示280G、装置表示290Gにあっても、全て、その周囲模様は図6の未確定態様となる。なお、各カセットに対応したカセット表示では、その時点での収納枚数が数値表示されるが、第2カセット表示282では、紙幣Sの収納枚数の特定に支障を来すカセットアクセス検知に伴い未確定な収納枚数となる。
上記した検知処理の処理結果を参照しつつ、精査処理は次のようになされる。図19は精査処理の前半の流れを示すフローチャート、図20は精査処理の後半の流れを示すフローチャートである。
係員による精査処理実行スイッチ256(図7)の操作を経て精査処理が開始されると、紙幣処理装置制御部190は、図9に示したカセット管理データを読み込む(ステップS510)。ついで、その読み込んだカセット管理データに基づいたカセット状況表示260の表示と精査対象のカセットの提示とを行う(ステップS520)。こうして表示されるカセット状況表示260は、既述した図10、図12〜13、図15〜16、図18のいずれかの表示態様を採ることになる。
個々の金種別カセット140で収納枚数が確定済みであれば、カセット状況表示260は、図10と、図12、図15のように、第1カセット表示281等の各カセット表示の周囲模様を確定態様で表示する。いずれかの金種別カセット140で収納枚数が推定枚数であれば、カセット状況表示260は、図13と、図16のように、収納枚数が推定枚数のカセット表示(例えば、第2カセット表示282)についてのみ、その周囲模様を推定態様で表示する。いずれかの金種別カセット140でカセットアクセス検知があれば、カセット状況表示260は、図18のように、カセットアクセス検知のカセット表示(例えば、第2カセット表示282)についてのみ、その周囲模様を未確定態様で表示する。つまり、カセット状況表示260は、既述したジャムやリジェクトといったエラーやカセットアクセスが起きていないことにより収納枚数が確定済みの金種別カセット140と、既述したエラーが起きても当該エラーをもたらした紙幣Sの枚数が計上されて確定した金種別カセット140と、既述したエラーにより収納枚数が推定された金種別カセット140と、カセットアクセス検知の金種別カセット140とで、それぞれのカセットに対応した第1カセット表示281等の周囲模様の表示態様を使い分けて、収納枚数をカセットごとに表示する。
そして、既述したジャムやリジェクトといったエラーやカセットアクセスが起きていないことにより収納枚数が確定済み、或いは、既述したエラーが起きても当該エラーをもたらした紙幣Sの枚数が計上されて確定済みの場合は(図10、図12、図15参照)、紙幣処理装置制御部190は、第1カセット表示281等の周囲模様を確定態様で表示することで、精査対象カセットを提示しない。また、既述したエラーにより収納枚数が推定されていても、こうした推定をもたらした紙幣Sが収容されたカセットの収容枚数との和がエラー前の金種別カセット140の収容枚数と同じであれば(図13、図16参照)、紙幣処理装置制御部190は、第1カセット表示281等の周囲模様を推定態様で表示することで、精査対象カセットを提示しない。その一方、カセットアクセス検知の金種別カセット140については(図18参照)、紙幣処理装置制御部190は、第1カセット表示281等の周囲模様を未確定態様で表示することで、当該金種別カセット140を精査対象カセットとして提示する。この場合、周囲模様をフラッシュ点滅等して、提示するようにすることもできる。
紙幣処理装置制御部190は、上記のカセット状況表示260の表示の後、係員による計数精査の開始を待機する(ステップS525)。係員は、上記のカセット状況表示260で示される精査対象カセットの提示状況を見て、図7の係員操作部250における全計数スイッチ表示262或いは計数スイッチ表示264、もしくは印字スイッチ表示266を操作する。紙幣処理装置制御部190は、このスイッチ操作に応じて、精査処理を開始する。
ステップS520において、上記の確定態様或いは推定態様で第1カセット表示281等の周囲模様が示されていれば、係員は、精査処理が必要な金種別カセット140は無いとして、印字スイッチ表示266を操作する。そうすると、紙幣処理装置制御部190は、係員操作部250に表示していたカセット状況表示260を、外部のプリンターや明細票処理装置210にて印刷して(ステップS527)、精査処理を終了する。この場合、ホストコンピューター400にカセット状況表示260を送信することもできる。
ステップS520において、上記の未確定態様で第1カセット表示281等の周囲模様が示されていれば、係員は、この未確定態様での表示に対応した金種別カセット140では、精査処理が必要であるとして、計数スイッチ表示264を操作する。そうすると、紙幣処理装置制御部190は、未確定態様での表示に対応した金種別カセット140が精査対象に選択されたとして、この金種別カセット140、具体定期には図18に示す第2カセット表示282に対応した第2金種カセット140Bから紙幣Sを1枚ずつ繰り出して搬送し(ステップS530)、識別部120によって当該紙幣Sの金種の識別と記番号を読み取って取得する(ステップS540)。識別部120により正常に識別された場合には、紙幣Sが補充回収カセット160に回収収納され(ステップS550)、紙幣処理装置制御部190は、該当金種の精査枚数を1ずつインクリメントして記憶する。なお、識別部120により正常に識別されなかった場合には、紙幣Sがリジェクトカセット150に収納される。
次に、精査対象となった金種別カセット140から全ての紙幣Sが繰り出されて搬送されたか否かを判定し(ステップS555)、ここで肯定判定するまで、ステップS530〜550の処理を繰り返す。全ての紙幣Sの繰り出し搬送が終了したと判定した場合には(ステップS555:Yes)、回収収納した紙幣Sを精査対象となっていた金種別カセット140に返送して枚数精査すべく、補充回収カセット160から紙幣Sを1枚ずつ繰り出して搬送し(ステップS560)、識別部120による当該紙幣Sの金種の識別と記番号の読取とその取得(ステップS570)、精査対象の金種別カセット140への紙幣Sの返送収納(ステップS580)を順次実行する。そして、ステップS570での読取の際、識別部120により正常に識別された紙幣Sが精査対象の金種別カセット140に返送収納されると共に、紙幣処理装置制御部190は、該当金種の精査枚数を1ずつインクリメントして、その枚数を紙幣Sが実際に金種別カセット140に返送収納された枚数、即ち、精査枚数として記憶する。なお、識別部120により正常に識別されなかった場合には、紙幣Sがリジェクトカセット150に収納され、このリジェクト紙幣の枚数は、上記の精査枚数から除外される。
次に、補充回収カセット160から全ての回収収納紙幣が繰り出されて搬送されたか否かを判定し(ステップS585)、ここで肯定判定するまで、ステップS560〜580の処理を繰り返して、精査対象の金種別カセット140についての精査処理が完了する。こうして、ステップS520で提示した精査対象の金種別カセット140についての精査処理が完了すると、紙幣処理装置制御部190は、その精査結果を印刷すると共に、ホストコンピューター400に送信する。また、係員操作部250におけるカセット状況表示260については、カセットアクセスがあったために精査対象とされた第2金種カセット140Bに対応する第2カセット表示282(図18参照)の周囲模様を、未確定態様から第1カセット表示281のように確定態様にその表示態様を変更する。なお、上記のステップS530〜585までの処理群は、一つの金種別カセット140について、その収容枚数を精査する一連の処理であることから、以下、カセット単位精査処理(ステップS600)と称する。
一方、ステップS520において、係員にて全計数スイッチ表示262が操作されると、紙幣処理装置制御部190は、全ての金種別カセット140についての精査処理を実行する。例えば、ATM10を稼働する場合、所定期間ごとに全ての金種別カセット140についての精査処理を行うよう、機器運用する場合が有り得る。こうした場合において、係員は、カセット状況表示260の表示を通した精査対象カセットの提示の有無に拘わらず、全計数スイッチ表示262を操作する。こうして全ての金種別カセット140についての精査処理が指示されると、紙幣処理装置制御部190は、図20に示すように、一つの金種別カセット140、例えば第1金種カセット140Aについて、既述した一連のカセット単位精査処理を実行する(ステップS610)。そして、全ての金種別カセット140についてカセット単位精査処理が完了すると(ステップS620)、紙幣処理装置制御部190は、その精査結果を印刷すると共に、ホストコンピューター400に送信する。また、紙幣処理装置制御部190は、カセット状況表示260については、第1カセット表示281〜第3カセット表示283の周囲模様を確定態様とする。
以上説明したように、本実施例のATM10では、取り扱う紙幣Sを金種ごとの第1金種カセット140A〜第3金種カセット140Cに収納し、取引に際して各カセットから紙幣Sを繰り出したり収納する。本実施例のATM10は、上記の金種別カセット140における紙葉類の収納枚数の特定に支障を来すエラー等の特異事象、具体的にはジャムや、リジェクト、或いはカセットアクセスの有無を検知する(図8:ステップS134、図11:ステップS214、図14:ステップS334、図17:ステップS410)。そして、本実施例のATM10は、上記の特異事象が発生する前における紙幣Sの現状収納枚数を、金種ごとの第1金種カセット140A〜第3金種カセット140Cについてそれぞれ管理し(図9)、第1金種カセット140A〜第3金種カセット140Cにおける紙幣Sの収納状況を、種別カセットごとに、カセット状況表示260にて第1カセット表示281〜第3カセット表示283のように表示する(図6等)。
第1金種カセット140A〜第3金種カセット140Cの収納状況の表示に当たっては、特異事象が起きていないことにより現状収納枚数が確定済みの金種別カセット140については、当該カセットに対応した第1カセット表示281〜第3カセット表示283の上端側の周囲模様を、カセット収納枚数が確定している確定態様で表示する。また、特異事象が起きたことにより現状収納枚数が未確定の金種別カセット140については、当該カセットに対応した第1カセット表示281〜第3カセット表示283の上端側の周囲模様を、カセット収納枚数が確定不可な未確定態様で表示する。つまり、本実施例のATM10は、現状収納枚数が確定済みの金種別カセット140と現状収納枚数が未確定の金種別カセット140とで、その表示態様を使い分け、それぞれの金種別カセット140での紙幣収納状況を種別カセットごとに異なる表示態様で表示する(図6、図18)。よって、本実施例のATM10によれば、精査処理を担当する係員に対して、第1金種カセット140A〜第3金種カセット140Cのどの金種別カセット140が紙幣Sの収納枚数が確定済みであり、どの金種別カセット140が紙幣Sの収納枚数が未確定であることを容易に且つ確実に認識させることができる。このため、紙幣Sの収納枚数が確定済みの金種別カセット140については、精査処理の選択の候補から除外して精査処理を実行しないようにした上で(図19:ステップS525)、収納枚数が未確定の金種別カセット140を精査処理の実行対象として選択できる。この結果、本実施例のATM10によれば、精査処理を行う金種別カセット140の数自体を少なくできるので、精査処理に要する時間をより短縮化できる。
また、本実施例のATM10では、第1金種カセット140A〜第3金種カセット140Cにおける紙幣Sの収納状況をカセット状況表示260の第1カセット表示281〜第3カセット表示283にて表示するに当たり、カセット毎に紙幣Sの収納枚数を表示する。よって、精査処理を担当する係員に対して、金種別カセット140の現状の収納枚数をカセット毎に容易に認知させることができる。
また、本実施例のATM10では、リジェクトを起こした紙幣Sを収納するリジェクトカセット150を金種別カセット140とは別に設け、リジェクトが起きるとそのリジェクト紙幣をリジェクトカセット150に搬送機構170にて振り分けて収納する。そして、金種別カセット140における紙幣Sの収納枚数についてのデータ管理(図9)に当たっては、リジェクトカセット150に収納された紙幣の収納枚数を管理するほか、この収納枚数を減算した収納枚数を、リジェクト発生に関連した金種別カセット140の収納枚数として管理し、これら収納枚数を、カセット状況表示260におけるカセット毎の第1カセット表示281〜第4カセット表示284に表示する。よって、本実施例のATM10によれば、リジェクト紙幣の枚数を係員に認知させることができる。ジャムについても同様である。
しかも、本実施例のATM10は、リジェクトカセット150に収納したリジェクト紙幣の枚数を、識別部120や第1センサー142により計数もしくは推定する。そして、リジェクト発生により収納枚数が未確定となり得る金種別カセット140に対応した第1カセット表示281〜第3カセット表示283の周囲模様の表示態様を、リジェクトカセット150に収納された枚数の計数と推定とで区別する。この場合、リジェクトカセット150に収納された枚数が計数されれば、この収納枚数、およびリジェクト発生により収納枚数が未確定となり得る金種別カセット140の現状収納枚数は確定する。よって、リジェクト発生により収納枚数が未確定となり得る金種別カセット140については、収納枚数が確定したとして扱って第1カセット表示281等の周囲模様を確定態様で表示できると共に、当該金種別カセットを精査処理の選択の候補から除外することができる。このため、精査処理の対象となる金種別カセット140の数はより少なくなるので、精査処理に要する時間の更なる短縮化を図ることができる。
また、リジェクトカセット150への収納枚数が計数できずに当該収納枚数を推定した場合には、リジェクト発生により収納枚数が未確定となり得る金種別カセット140についての第1カセット表示281〜第3カセット表示283の周囲模様を、推定態様で表示する(図6、図13)。こうして推定態様で周囲模様を表示したカセット表示に対応する金種別カセット140の収納枚数は、上記の推定枚数によることから推定された枚数となる。ところが、リジェクトカセット150における推定収納枚数とリジェクト発生により収納枚数が未確定となり得る金種別カセット140の収納枚数との和は、リジェクト発生前の金種別カセット140の収納枚数と一致し、リジェクト紙幣はリジェクトカセット150に留まって装置外に持ち出されることはない。よって、本実施例のATM10によれば、推定態様で周囲模様を表示したカセット表示に対応する金種別カセット140についても、精査処理の選択の候補から除外して、精査処理を行う金種別カセット140の数をより少なくして、精査処理に要する時間をより短縮化できる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこのような実施の形態になんら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において種々なる態様での実施が可能である。例えば、図16に示すカセット状況表示260において、係員が、推定態様で表示されている第2カセット表示282を押圧した後に、計数スイッチ表示264を押圧すれば、推定態様の第2カセット表示282に対応した第2金種カセット140Bを、精査対象にして、当該カセットの精査処理を行うようにすることもできる。
10…自動取引装置(ATM)
12…背面扉
100…紙幣処理装置
110…入出金口
120…識別部
130…一時保留部
140…金種別カセット
140A…第1金種カセット
140B…第2金種カセット
140C…第3金種カセット
142…第1センサー
144…第2センサー
150…リジェクトカセット
160…補充回収カセット
162…セパレータ
163…補充回収部
164…補充リジェクト部
170…搬送機構
180…ジャムカセット
190…紙幣処理装置制御部
194…検知部
210…明細票処理装置
220…通帳処理装置
230…硬貨処理装置
240…顧客操作部
250…係員操作部
252…初期画面
254…紙幣装填スイッチ
256…精査処理実行スイッチ
258…メンテナンススイッチ
259…運用開始スイッチ
260…カセット状況表示
262…全計数スイッチ表示
264…計数スイッチ表示
266…印字スイッチ表示
270G…カセット群表示
280G…カセット群表示
281…第1カセット表示
282…第2カセット表示
283…第3カセット表示
284…第4カセット表示
285…第5カセット表示
286…第6カセット表示
290G…装置表示
300…本体制御部
400…ホストコンピューター
192…精査/搬送制御部
S…紙幣
L1〜L10…搬送路

Claims (6)

  1. 複数種別の紙葉類を扱う紙葉類処理装置であって、
    前記紙葉類の種別ごとに用意されて紙葉類を収納すると共に、該収納した紙葉類の繰り出しを行う複数の種別カセットと、
    個々の前記種別カセットへの紙葉類の収納搬送と、個々の前記種別カセットから繰り出された紙葉類の繰り出し搬送とに関与する搬送経路と、
    前記搬送経路を搬送される紙葉類の枚数を計数しつつ、該搬送される紙葉類から紙葉類種別を特定する種別情報を取得する種別情報取得部と、
    前記種別カセットにおける紙葉類の収納枚数の特定に支障を来す特異事象の発生状況を、前記種別カセットごとに検知する特異事象検知部と、
    前記種別情報取得部による紙葉類の計数枚数に基づいて、前記特異事象の発生前後における紙葉類の現状収納枚数を、前記種別カセットごとに管理するカセット管理部と、
    前記種別カセットにおける紙葉類の収納状況を、種別カセットごとに表示する表示部とを備え、
    該表示部は、
    前記特異事象が起きていないことにより前記現状収納枚数が確定済みのカセットであることを示す第1表示態様と、前記特異事象が起きたことにより前記現状収納枚数が未確定のカセットであることを示す第2表示態様と、前記特異事象が起きたことにより前記現状収納枚数が未確定ではあるものの推定可能なカセットであることを示す第3表示態様とを表示可能であり、前記種別カセットごとの前記収納状況を、前記第1表示態様と前記第2表示態様と前記第3表示態様のいずれかの表示態様を用いて前記種別カセットごとに同時に表示する
    紙葉類処理装置。
  2. 前記表示部は、前記現状収納枚数を前記収納状況に含んで表示し、前記種別カセットは、紙幣の収納および繰り出しが一枚ずつ行われたか否かを検知する第1のセンサーと、前記種別カセットの蓋が開けられたことを検知する第2のセンサーとを有する請求項1に記載の紙葉類処理装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の紙葉類処理装置であって、
    紙葉類種別の特定ができなかった紙葉類を回収するリジェクトカセットと、カセットからの繰り出し時や搬送時にジャムを起こした紙葉類を収納するジャムカセットと、前記複数の種別カセットに補充する紙葉類や前記複数の種別カセットから回収した紙葉類を収納する補充回収カセットとを、前記特異事象を引き起こした紙葉類を前記搬送経路を経て収納可能とされた非種別カセットとして備えると共に、
    前記特異事象を引き起こした紙葉類を前記搬送経路を経て前記非種別カセットに振り分けて収納する振分部を備え、
    前記カセット管理部は、
    前記特異事象を引き起こした紙葉類が前記振分部により前記非種別カセットに収納された場合には、前記非種別カセットへの収納枚数を前記種別情報取得部により計数もしくは推定して求め、前記非種別カセットについて前記求めた収納枚数を前記現状収納枚数から減算して得られた収納枚数と、前記特異事象を引き起こして前記非種別カセットに収納された紙葉類の前記収納枚数が計数もしくは推定のいずれで得られたものかであることとを、前記非種別カセットごとに管理し、
    前記表示部は、
    前記非種別カセットごとの前記収納状況についても、前記第1表示態様と前記第2表示態様と前記第3表示態様のいずれかの表示態様を用いて前記非種別カセットごとに、前記種別カセットごとの前記収納状況と共に同時に表示する
    紙葉類処理装置。
  4. 請求項3に記載の紙葉類処理装置であって、
    前記表示部は、
    前記複数の種別カセットを含むカセット群と、前記複数の種別カセットと前記リジェクトカセットとを含むカセット群と、前記複数の種別カセットと前記リジェクトカセットと前記補充回収カセットと前記ジャムカセットとを含むカセット群とを区別して前記種別カセットごとの前記収納状況の表示と同時に表示すると共に、それぞれの前記カセット群の表示態様を、それぞれの前記カセット群に含まれる全てのカセットが前記第1表示態様で表示されていれば前記第1表示態様とし、それぞれの前記カセット群に含まれるいずれか一つのカセットが前記第2表示態様か前記第3表示態様で表示されていれば前記一つのカセットの表示態様とする
    紙葉類処理装置。
  5. 請求項3または請求項4に記載の紙葉類処理装置であって、
    前記種別カセットから紙葉類を繰り出し、該繰り出した紙葉類を前記搬送経路で搬送しつつ前記種別情報取得部にて枚数計数と前記種別情報の取得とを行い、前記種別情報ごとの種別の紙葉類についての枚数を紙葉類の繰り出し対象となった前記種別カセットごとに特定する精査処理を実行する精査処理部と、
    前記第2表示態様で前記現状収納枚数を未確定として表示した前記種別カセットについて、前記精査処理部への前記精査処理の実行を指示する精査処理指示部とを備える
    紙葉類処理装置。
  6. 請求項5に記載の紙葉類処理装置であって、
    前記精査処理指示部は、
    前記特異事象を引き起こした紙葉類が前記振分部により前記非種別カセットに収納された場合には、前記精査処理部への前記精査処理の実行指示を、前記特異事象検知部が前記特異事象の発生を検知した前記種別カセットについては抑制する
    紙葉類処理装置。
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