JP5844704B2 - 排気浄化フィルタ - Google Patents

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本発明は、排気浄化フィルタに関する。詳しくは、内燃機関から排出される排気中の粒子状物質を捕捉して浄化する排気浄化フィルタに関する。
自動車等に搭載される内燃機関、特に圧縮着火式内燃機関においては、排出される排気中に多量の粒子状物質が含まれることが知られている。この粒子状物質(Particulate Matter、以下「PM」という。)は、人体に有害であり、エミッション規制対象物質である。そのため、通常、PMを捕捉する排気浄化フィルタとしてのDPF(Diesel Particulate Filter)が内燃機関の排気通路に設けられている。
上記DPFでは、捕捉されたPMが次第に堆積する。すると、DPFの上流側と下流側との間で差圧が生じ、出力の低下や燃費の悪化を招く。そのため、上記DPFには、PMがある程度堆積した段階で、堆積したPMを燃焼除去するための触媒が担持されるのが一般的である。
上記触媒としては、PMに対して特に優れた浄化活性を示すAg系触媒が知られている。このAg系触媒は、活性酸素の放出によりPMを燃焼するAgを含有し、PMとの接触性がPMの浄化率に大きく影響する特性を有する。そのため、このAg系触媒とPMの接触性を向上させる技術が種々提案されている。
例えば、Ag系触媒中にTiO等の針状物質を含有させることで、触媒層内に所定の大きさの空隙を形成する技術が提案されている(特許文献1参照)。この技術によれば、触媒層中の空隙内にPMを侵入させることができるため、フィルタの表面にPMが層状に堆積するのを抑制できる。ひいては、Ag系触媒とPMの良好な接触状態を確保(即ち、大きな接触面積を確保)でき、従来に比して効率良くPMを浄化できるとされている。
また例えば、クエン酸等を用いた微細発泡法によりAg系触媒をDPFに担持させることで、Ag系触媒の被覆率を向上させる技術が提案されている(特許文献2参照)。この技術によれば、DPFの表面をAg系触媒で十分に被覆できるため、Ag系触媒とPMの良好な接触状態を確保でき、従来に比して効率良くPMを浄化できるとされている。
また例えば、DPFのセル壁を構成する各セラミック粒子自体の表面を、個別に触媒層で被覆する技術が提案されている(特許文献3参照)。この技術では、触媒とPMの接触性の向上を目的とした技術ではないものの、結果として、触媒とPMの接触性が改善される。
特開2011−36742号公報 特開2010−264359号公報 特許第4275406号公報
しかしながら特許文献1の技術では、PMとの良好な接触性が重要なAg系触媒において針状構造を形成するのは理想的であるものの、実際には、針状物質を含有させることで形成した触媒層中の空隙内に、PMを侵入させて燃焼させるのは容易ではなかった。具体的には、触媒層上にPMの所謂ケーキ層が形成され、これにより、触媒層中の空隙内に侵入できるPMが少量となる結果、触媒とPMの良好な接触性が確保できないおそれがあった。
また特許文献2の技術では、触媒によってDPFの表面の被覆率を向上させることが重要となるものの、被覆率を向上させるためには、触媒の担持量(ウォッシュコートWC量)を増やす必要があった。そのため、多量の触媒によりDPFの細孔が触媒層中に埋没する結果、触媒とPMの良好な接触性が確保できないおそれがあった。
また特許文献3の技術では、DPFのセル壁を構成する各セラミック粒子自体の表面を、個別に触媒層で被覆するため、触媒の担持量(ウォッシュコート量)が過大となる。その一方では、PMは、DPFの排気流入側の表面と、当該表面近傍の細孔内にしか侵入できないことが本出願人の調査により判明していることから、セル壁内部の触媒はPMの燃焼に寄与し得ず、触媒の有効活用の観点で好ましいとは言えなかった。また、この技術では、製造工程が煩雑化するという問題もあった。
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、その目的は、Ag系触媒を備える排気浄化フィルタにおいて、少ない触媒担持量で触媒とPMの接触性を向上でき、PMを効率良く浄化できる排気浄化フィルタを提供することにある。
上記目的を達成するため本発明に係る排気浄化フィルタ(例えば、後述の排気浄化フィルタ1,2)は、内燃機関の排気通路に設けられ、前記内燃機関の排気中の粒子状物質(例えば、後述のPM5)を捕捉して浄化する排気浄化フィルタであって、平均細孔径が20〜35μmの細孔(例えば後述の細孔13,23)を有することで表面が凹凸状のフィルタ本体(例えば、後述のDPF11,21)と、当該フィルタ本体の表面に担持され且つ捕捉した粒子状物質を浄化するAg系触媒からなる触媒被膜(例えば、後述の触媒被膜12,22)と、を備え、前記Ag系触媒の担持量が、前記フィルタ本体の単位容量あたり10〜45g/Lであることにより、前記触媒被膜が、前記フィルタ本体の表面の凹凸に沿って凹凸状に担持されており、前記触媒被膜の表面を3000倍に拡大観察して、前記平均細孔径の細孔を含む表面観察画像(例えば、後述の図11)を取得し、これを3次元処理して得られた3次元画像情報に基づいて算出された前記触媒被膜の表面の表面積が、2300〜2950μmであることを特徴とする。
本発明では、平均細孔径が20〜35μmの細孔を有することで表面が凹凸状のフィルタ本体上に、従来よりも少ない担持量(ウォッシュコートWC量)10〜45g/Lで、Ag系触媒を担持させる。これにより、本発明に係る排気浄化フィルタは、Ag系触媒からなる触媒被膜がフィルタ本体の表面の凹凸に沿って凹凸状に担持され、フィルタ本体の細孔による凹凸が維持される。また、触媒被膜の表面を3000倍に拡大観察して、平均細孔径の細孔を含む表面観察画像を取得し、これを3次元処理して得られた3次元画像情報に基づいて算出された触媒被膜の表面の表面積(以下、「モルフォロジー指数」という。)が、従来よりも大きい2300〜2950μmとなっている。
本発明によれば、PMとの接触性がPMの浄化率に大きく影響する特性を有するAg系触媒を備える排気浄化フィルタにおいて、従来よりも少ない触媒担持量で、従来よりも大きなモルフォロジー指数が得られる。従って、触媒とPMの接触性を向上(接触面積を大きく)でき、PMを効率良く燃焼して浄化できる。ひいては、排気浄化フィルタの再生速度を向上でき、再生時間を短縮できるため、再生による燃費及びEMの悪化や、触媒の熱劣化を抑制できる。
この場合、前記Ag系触媒が、凸形状を有する凸状材を含有し、前記凸状材の担持量が、前記フィルタ本体の単位容量あたり5〜45g/Lであることが好ましい。
この発明では、Ag系触媒中に凸状材を含有させ、当該凸状材の担持量を5〜45g/Lとする。これにより、フィルタ本体表面の凹凸に沿って凹凸状に形成された触媒被膜の表面上に、さらに微細な凹凸形状を形成できる。そのため、より大きなモルフォロジー指数が得られ、触媒とPMの接触性をより向上でき、上記発明の効果を高めることができる。
この場合、前記凸状材が、針状構造、フラワー状構造、板状構造又は皿状構造を有することが好ましい。
この発明では、Ag系触媒中に、針状構造、フラワー状構造、板状構造又は皿状構造を有する凸状材を含有させる。これにより、上記発明の効果が確実に発揮される。
この場合、前記凸状材が、酸素放出能を備える酸素放出材を含むことが好ましい。
この発明では、Ag系触媒中に含有させる凸状材として、酸素放出能を備える酸素放出材を含むものとする。これにより、活性酸素の放出によるPM燃焼を促進でき、より効率良くPMを浄化できる。
この場合、前記フィルタ本体のセル形状が、4〜8角形のうちのいずれかであり、前記フィルタ本体のセル数が、1平方インチあたり200〜400セルであることが好ましい。
この発明では、フィルタ本体のセル形状を4〜8角形のうちのいずれかとし、フィルタ本体のセル数を1平方インチあたり200〜400セルとする。即ち、セル形状を多角形状とし、セル数を多くする。これにより、より大きなモルフォロジー指数が得られ、触媒とPMの接触面積を大きくできるため、上記の各発明の効果を高めることができる。
本発明によれば、Ag系触媒を備える排気浄化フィルタにおいて、少ない触媒担持量で触媒とPMの接触性を向上でき、PMを効率良く浄化できる排気浄化フィルタを提供できる。
PMが堆積したDPF表面の断面観察画像である。 Ag系触媒のPM燃焼メカニズムを説明するための図である。 DPF表面の細孔による凹凸に沿って凹凸状に形成された本実施形態の触媒被膜を示す断面図である。 DPF表面の細孔による凹凸に沿って凹凸状に形成され、且つその表面に微細な凹凸が形成された本実施形態の触媒被膜を示す断面図である。 フラワー状構造を有する凸状材の拡大観察画像である 板状構造及び皿状構造を有する凸状材の拡大観察画像である。 モルフォロジー指数と2分間再生速度との関係を示す図である。 比較例1の排気浄化フィルタにおける触媒表面の表面観察画像(250倍画像)である。 比較例2の排気浄化フィルタにおける触媒表面の表面観察画像(200倍画像)である。 実施例1の排気浄化フィルタにおける触媒表面の表面観察画像(200倍画像)である。 実施例1の排気浄化フィルタにおける触媒表面の表面観察画像(3000倍画像)である。 DPFの平均細孔径と2分間再生速度との関係を示す図である。 触媒の担持量と2分間再生速度との関係を示す図である。 針状CeOを含有するAg系触媒からなる触媒被膜の担持量を100g/Lとした排気浄化フィルタについて、表面近傍を断面観察して得られた断面観察画像である。 針状CeOを含有するAg含有触媒からなる触媒被膜の担持量を30g/Lとした排気浄化フィルタについて、表面近傍を断面観察して得られた断面観察画像である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳しく説明する。
本発明の第一実施形態に係る排気浄化フィルタは、例えばディーゼルエンジン等の内燃機関の排気通路に設けられ、内燃機関の排気中のPMを捕捉して浄化する。本実施形態に係る排気浄化フィルタは、フィルタ本体としてのDPFと、DPFの表面に担持されたAg系触媒からなる触媒被膜と、を備える。
本実施形態のDPFは、三次元網目構造を有し、炭化珪素やコージェライト等の多孔質材料から形成される。また、PM捕集能を有する発泡金属や発泡セラミックス又は金属やセラミックス繊維を重ね合わせた不織布、ウォールフロータイプのフィルタ等、如何なる形態でも使用可能である。これらのうち、ウォールフロータイプのハニカム構造のフィルタが、捕集効率及び触媒とPMの接触性の観点から好ましく用いられる。
本実施形態のDPFは、触媒とPMの接触面積を大きくできる観点から、セル形状が4〜8角形のうちのいずれかであることが好ましい。また、同様の観点から、セル数が1平方インチあたり200〜400セルであることが好ましい。セル数が200セル未満であると、触媒とPMの接触面積を十分確保できず、400セルを超えると、セルにPMが目詰まりして圧損の上昇に繋がる。
また本実施形態のDPFは、平均細孔径(気孔径)が20〜35μmの細孔を有する。また、これらの細孔を有することで、その表面が凹凸状に形成されている。これにより、後述するような大きなモルフォロジー指数が得られる。またこれにより、PN規制をクリヤでき、十分な機械的強度を有するDPFが得られる。
ここで、図1は、PMが堆積したDPF表面の断面観察画像である。図1に示すように、PMは、DPFの排気流入側の表面と、当該表面近傍の極浅い細孔内にしか侵入できない。具体的には、図1に示すように、PMのDPF表面への侵入深さは平均35μmである。従って、触媒とPMの接触性を向上させるためには、DPF表面近傍における触媒とPMの接触性が重要であると言える。そこで本実施形態では、後述するようにDPF表面近傍の3次元画像を解析して表面積の指標であるモルフォロジー指数を算出し、これを従来よりも大きな値に設定することにより、PM燃焼性能を向上させるものである。
本実施形態の触媒被膜は、触媒金属としてAgを主体的に含有するAg系触媒からなる。Ag系触媒は、現状、PMの燃焼に最も有効な触媒であり、Pt等の他の貴金属系触媒よりも低温でPMを燃焼できる。例えば、PMとの接触性が良好であれば、200℃以下からPMを着火させることができ、400℃でPMの燃焼を完了させることができる。
ここで、Ag系触媒のPM燃焼メカニズムを、図2を参照しながら説明する。
図2は、Ag系触媒のPM燃焼メカニズムを説明するための図であり、詳しくは、Ag/CeZrOの表面状態を模式的に示した図である。
ここで、Ag系触媒では、表面近傍のAgは、酸化雰囲気下ではAgOとして存在し、還元雰囲気下ではAgメタルとして存在することが分かっている。そして、AgOは、酸素脱離エネルギーが最も小さく、PMの燃焼に対して最も有効な化合物であるとされている。
図2に示すように、酸素放出能を有する触媒担体としてのCeZrOから、表面付近のAgメタル(図2においてAgと表示されている粒子を意味する)に酸素が供給されると、Agメタルは活性種であるAgO(図2においてAgと表示されている粒子とOと表示されている粒子を意味する)に変換される。そして、このAgOは、PMと反応することによりAgメタルに戻るものの、直ちにCeZrOからの酸素がAgメタルに供給される結果、常に表面付近のAgは、AgOの状態で存在する。
従って、このAg系触媒は、表面付近に存在する活性種AgOの作用によって、低温下で効率良くPMを燃焼除去できる。
本実施形態のAg系触媒は、触媒金属としてのAgを担持する触媒担体として、酸素放出能を有する酸化物や複合酸化物が好ましく使用される。具体的には、CeOやCeZrOが好ましく使用される。これにより、酸素放出能を有する酸化物や複合酸化物から放出される酸素によって、上記AgOの安定性が確保される。
酸素放出能を有する複合酸化物としては、ペロブスカイト型、スピネル型、ルチル型、デラフォサイト型、マグネトプランバイト型、イルメナイト型、及びフルオライト型からなる群より選択される少なくとも1種を用いることができる。これらの中でも、酸素放出能の観点から、フルオライト型の複合酸化物が好ましく用いられる。
また、複合酸化物は、アルカリ土類金属元素、遷移金属元素、第12族元素、及び第13族元素からなる群より選択される少なくとも2種以上を構成元素として含むことにより、構成元素の価数を変化させて酸素の吸収及び放出を行うものが好ましい。
また、複合酸化物が酸素放出能を有するために、多原子価を持つ元素が少なくとも1種含まれていることが好ましい。具体的には、Zr、V、Cr、Mn、Fe、Co、Cu、Nb、Ta、Mo、W、Ce、Pr、Sm、Eu、Tb、Yb、Pt、Pd、Rh、Ir、Ru等の遷移金属元素が少なくとも1種含まれていることが好ましい。酸素放出は、複合酸化物を構成する元素の価数の変化に応じて、電荷のバランスを保つために複合酸化物の格子中の酸素が脱離する現象である。このため、Agとの組合せによる酸素放出能の観点から、上記遷移金属元素のうち、Ce、Zr、Pr、La、及びYが特に好ましい。
また、本実施形態のAg系触媒は、Ru、Pd、及びPtからなる群より選択される少なくとも1種の貴金属を、Agとともに上記触媒担体に共担持するものであってもよい。
本実施形態では、Ag系触媒の担持量が、DPFの単位容量あたり10〜45g/Lである。これにより、Ag系触媒からなる触媒被膜が、DPFの表面全体を被覆するように形成されると同時に、DPF表面の凹凸に沿って凹凸状に形成される。図3は、DPF表面の細孔による凹凸に沿って凹凸状に形成された本実施形態の触媒被膜を示す断面図である。図3から、本実施形態の排気浄化フィルタ1では、DPF11表面の細孔13による凹凸が、触媒被膜12中に埋没することなく維持されていることが分かる。
また、本実施形態のAg系触媒は、凸形状を有する凸状材を含有することが好ましい。凸状材は、上述の酸化物や複合酸化物等の触媒担体であってよい。凸状材をAg系触媒中に含有させることで、フィルタ本体表面の凹凸に沿って凹凸状に形成された触媒被膜の表面上に、さらに微細な凹凸形状が形成される。図4は、DPF表面の細孔による凹凸に沿って凹凸状に形成され、且つその表面に微細な凹凸が形成された本実施形態の触媒被膜を示す断面図である。図4から、本実施形態の排気浄化フィルタ2では、DPF21表面の細孔23による凹凸に沿って凹凸状に形成された触媒被膜22の表面上に、微細な凹凸が形成されていることが分かる。
凸状材としては、針状構造、フラワー状構造、板状構造又は皿状構造を有することが好ましい。ここで、図5は、フラワー状構造を有する凸状材の拡大観察画像である。また、図6は、板状構造及び皿状構造を有する凸状材の拡大観察画像である。これらの構造を有する凸状材をAg系触媒中に含有させることで、上記の微細な凹凸形状が確実に形成される。
また、凸状材は、酸素放出能を備える酸素放出材を含むことが好ましい。酸素放出材としては、Ceを含むものが好ましく、例えばCeOやCeZrOが挙げられる。また、酸素放出材を被膜担持したものを用いることもできる。これら酸素放出能を有する凸状材をAg系触媒中に含有させることで、Ag系触媒の活性酸素の放出によるPM燃焼が促進される。
凸状材の担持量は、DPFの単位容量あたり5〜45g/Lであることが好ましい。凸状材の担持量がこの範囲内であることにより、上記の微細な凹凸形状がより確実に形成される。
上述したように、本実施形態の触媒被膜は、DPFの表面全体を被覆するように形成されていると同時に、DPF表面の凹凸に沿って凹凸状に形成されている。そして、触媒被膜の表面を3000倍に拡大観察して、平均細孔径の細孔を含む表面観察画像を取得し、これを3次元処理して得られた3次元画像情報に基づいて算出された触媒被膜の表面の表面積が、2300〜2950μmである。このようにして算出された表面積を、「モルフォロジー指数」と定義する。このモルフォロジー指数は、触媒形状を高倍率で表面観察することで、触媒形状の微細な凹凸構造を考慮して算出された表面積であり、触媒とPMの接触性を判断する新たな指標である。
なお、本実施形態では、触媒は被膜担持されているため、触媒とPMの接触面積はDPFの表面形状に大きく依存する。
上記のモルフォロジー指数の算出方法の詳細は、次の通りである。
例えば日立製作所製の走査型電子顕微鏡装置「Miniscope(登録商標) TM3000」を用いて、排気浄化フィルタの触媒被膜の表面を3000倍に拡大して3次元観察を実施する。具体的には、予め分かっているDPFの平均細孔径の細孔を探し出し、当該細孔を含む表面観察画像(例えば、後述の図11)を撮影した後、3D化処理を行ってその3次元画像を取得する。このとき、観察面が極力平らとなるような画像を抽出すると同時に、装置ソフト付帯のフラット補正を行い、より高精度の3次元画像を得ることが好ましい。次いで、細孔はDPF全体に均一に分布しているものとして、取得した3次元画像情報に基づいて装置ソフト付帯の表面積算出を行い、触媒形状表面の表面積を算出する。
なお、上記装置は、4分割されて配置された反射電子検出器を備え、これらの検出器により取得した各信号を用いて4方向の表面形状を計算するため、試料傾斜、視野位置合わせを行うことなく3次元情報を取得できるようになっている。
上述したように、本実施形態の触媒被膜のモルフォロジー指数は、2300〜2950μmの範囲内である。モルフォロジー指数が2300μm未満であると、PMが侵入可能な細孔を形成できなくなり、2950μmを超えると、DPFの機械的強度不足や触媒被膜の剥離が発生する。
なお、モルフォロジー指数の下限値は、後述する実施例及び比較例のモルフォロジー指数と再生速度との関係を示す図7において、曲線の傾きが2300μmで変化していることから求められる。
また、モルフォロジー指数の上限値は、後述する実施例及び比較例の結果に基づいて、最も表面積が大きくなる態様である、DPFの細孔径が最大の35μmで且つフラワー構造の凸状材を含有させたときの表面積を算出することで求められる。
具体的には、DPFの細孔径が23μmである実施例1の触媒被膜の表面積(モルフォロジー指数)が2534μmであり、実施例1に対してCeZrOを針状CeOに変更した実施例3の触媒被膜の表面積が2582μmであることから、DPFの細孔径が23μmである場合において、針状CeOに変えて最も表面積を増大できるフラワー構造の凸状材を含有させたときの触媒被膜の表面積は、その形状から接触面積が8倍になると推測されるため、2534+(2582−2534)×8=2922μmと算出される。
次いで、DPFの細孔径が23μmのときの触媒被膜の表面積2534μmとDPFの細孔径が30μmのときの触媒被膜の表面積2552μmとに基づいた線形式から、DPFの細孔径が最大の35μmのときの表面積が2.6826×35+2471.9=2566μmと算出され、この算出結果と上記算出結果に基づいて、DPFの細孔径が最大の35μmで且つフラワー構造の凸状材を含有させたときの表面積は、2566×2922/2534≒2950μmと求められる。
本実施形態では、触媒担体にAgを担持させる方法として、ディッピング法の他、クエン酸等を用いた微細発泡法が好ましく採用される。
ディッピング法では、例えば、Ag系触媒の構成材料を所定量含むスラリーを湿式粉砕等により作製し、作製したスラリー中にDPFを浸漬させた後、DPFを引き上げて所定の温度条件で焼成を行うことにより、DPFにAg系触媒を担持させることができる。
また、微細発泡法では、上記のようにして作製したスラリー中に、クエン酸等の有機酸を添加することにより、焼成時に触媒粒子を発泡させ、分散させる。これにより、触媒粒子がDPF全体に分散担持され、DPF表面にAg系触媒を均一に担持させることができる。
上記の構成を備える本実施形態によれば、以下の効果が奏される。
本実施形態では、平均細孔径が20〜35μmの細孔を有することで表面が凹凸状のDPF上に、従来よりも少ない担持量(ウォッシュコートWC量)10〜45g/Lで、Ag系触媒を担持させた。これにより、本実施形態に係る排気浄化フィルタは、Ag系触媒からなる触媒被膜がDPFの表面の凹凸に沿って凹凸状に担持され、DPFの細孔による凹凸が維持される。また、モルフォロジー指数が、従来よりも大きい2300〜2950μmとなっている。
本実施形態によれば、PMとの接触性がPMの浄化率に大きく影響する特性を有するAg系触媒を備える排気浄化フィルタにおいて、従来よりも少ない触媒担持量で、従来よりも大きなモルフォロジー指数が得られる。従って、触媒とPMの接触性を向上(接触面積を大きく)でき、PMを効率良く燃焼して浄化できる。ひいては、排気浄化フィルタの再生速度を向上でき、再生時間を短縮できるため、再生による燃費及びEMの悪化や、触媒の熱劣化を抑制できる。
また本実施形態では、Ag系触媒中に凸状材を含有させ、当該凸状材の担持量を5〜45g/Lとした。これにより、DPF表面の凹凸に沿って凹凸状に形成された触媒被膜の表面上に、さらに微細な凹凸形状を形成できる。そのため、より大きなモルフォロジー指数が得られ、触媒とPMの接触性をより向上でき、上記の効果を高めることができる。
また本実施形態では、Ag系触媒中に、針状構造、フラワー状構造、板状構造又は皿状構造を有する凸状材を含有させた。これにより、上記の効果が確実に発揮される。
また本実施形態では、Ag系触媒中に含有させる凸状材として、酸素放出能を備える酸素放出材を含むものとした。これにより、活性酸素の放出によるPM燃焼を促進でき、より効率良くPMを浄化できる。
また本実施形態では、DPFのセル形状を4〜8角形のうちのいずれかとし、DPFのセル数を1平方インチあたり200〜400セルとした。即ち、セル形状を多角形状とし、セル数を多くした。これにより、より大きなモルフォロジー指数が得られ、触媒とPMの接触面積を大きくできるため、上記の各効果を高めることができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
次に本発明の実施例について説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
[1.7質量%Pd50質量%Ag/CeZrO、触媒被膜担持量=25g/L、フィルタ平均細孔径23μm]
市販の特級試薬である、硝酸銀、硝酸パラジウム、CeZrO(阿南化成製、Ce/Zr=2/8)及び水を、所定の組成となるように秤量して混合した。次いで、これをエバポレータにて減圧乾固し、200℃×2時間乾燥させた後、700℃×2時間の大気焼成を行うことにより、触媒粉末Aを得た。
上記のようにして得た触媒粉末A、市販のSiOゾル及び水を、所定の組成となるように秤量して混合した。そこに、φ2mmのZrボールを、容器に対して50%の量混入し、ボールミルにて3日間、湿式粉砕を行うことにより、スラリーAを得た。
上記のようにして得たスラリーAに、触媒量に対して4倍量のクエン酸を添加し、十分混合することでクエン酸を溶解させた。次いで、これをSiC製DPF(平均細孔径23μm、セル数1平方インチあたり300セル、セル形状4角形)にディッピング担持させた後、700℃×2時間の焼成を行った。これにより、実施例1の排気浄化フィルタを得た。なお、触媒の担持量は、25g/Lとなるように調製した。
<実施例2>
[1.7質量%Pd50質量%Ag/CeZrO、触媒被膜担持量=25g/L、フィルタ平均細孔径30μm]
平均細孔径が30μmのSiC製DPF(セル数及びセル形状は実施例1と同一)を使用した以外は、実施例1と同様の操作を行った。これにより、実施例2の排気浄化フィルタを得た。なお、触媒の担持量は、25g/Lとなるように調製した。
<実施例3>
[1.7質量%Pd50質量%Ag/針状CeO、触媒被膜担持量=25g/L、フィルタ平均細孔径23μm]
先ず、市販の特級試薬である、硝酸セリウム、シュウ酸及び水を、所定の組成となるよう秤量して混合した。次いで、混合溶液を室温で24時間静置した後、その上澄み液を取り除いて、100℃×24時間乾燥させた。乾燥させて得られた前駆体を、300℃×6時間焼成し、次いで400℃まで30分間かけて昇温した後、400℃×3時間焼成した。これにより、針状CeO粉末を得た。
上記のようにして得た針状CeO粉末と、市販の特級試薬である、硝酸銀、硝酸パラジウム及び水を、所定の組成となるように秤量して混合した。次いで、これをエバポレータにて減圧乾固し、200℃×2時間乾燥させた後、700℃×2時間の大気焼成を行うことにより、触媒粉末Bを得た。
上記のようにして得た触媒粉末B、市販のSiOゾル及び水を、所定の組成となるように秤量して混合した。そこに、φ10mmのZrボールを100g混入し、ボールミルにて1時間、湿式粉砕を行うことにより、スラリーBを得た。
上記のようにして得たスラリーBに、触媒量に対して4倍量のクエン酸を添加し、十分混合することでクエン酸を溶解させた。次いで、これを、実施例1で使用したものと同じSiC製DPFにディッピング担持させた後、700℃×2時間の焼成を行った。これにより、実施例3の排気浄化フィルタを得た。なお、触媒の担持量は、25g/Lとなるように調製した。
<比較例1>
[1.7質量%Pd50質量%Ag/CeZrO、触媒担持量=25g/L、フィルタ平均細孔径23μm]
市販の特級試薬である、硝酸銀、硝酸パラジウム、CeZrO(阿南化成製、Ce/Zr=2/8)及び水を、所定の組成となるように秤量して混合した。次いで、これをエバポレータにて減圧乾固し、200℃×2時間乾燥させた後、700℃×2時間の大気焼成を行うことにより、触媒粉末Cを得た。
上記のようにして得た触媒粉末C、市販のSiOゾル及び水を、所定の組成となるように秤量して混合した。そこに、φ10mmのZrボールを100g混入し、ボールミルにて12時間、湿式粉砕を行うことにより、スラリーCを得た。
上記のようにして得たスラリーCを、実施例1で使用したものと同じSiC製DPFにディッピング担持させた後、700℃×2時間の焼成を行った。これにより、比較例1の排気浄化フィルタを得た。なお、触媒の担持量は、25g/Lとなるように調製した。
<比較例2>
[1.7質量%Pd50質量%Ag/CeZrO、触媒担持量=80g/L、フィルタ平均細孔径23μm]
触媒の担持量が80g/Lとなるように調製した以外は、実施例1と同様の操作を行った。これにより、比較例2の排気浄化フィルタを得た。
<比較例3>
[1.7質量%Pd50質量%Ag/CeZrO、触媒担持量=25g/L、フィルタ平均細孔径16μm]
平均細孔径が16μmのSiC製DPF(セル数及びセル形状は実施例1と同一)を使用した以外は、実施例1と同様の操作を行った。これにより、比較例3の排気浄化フィルタを得た。
<比較例4>
[1.4質量%Pt/Al、触媒被膜担持、フィルタ平均細孔径23μm]
市販の特級試薬である、ジニトロジアンミン白金硝酸溶液、Al及び水を、所定の組成となるように秤量して混合した。以後、比較例1と同様の操作を行った。これにより、比較例4の排気浄化フィルタを得た。
<比較例5>
[1.4質量%Pt/Al、触媒被膜担持、フィルタ平均細孔径23μm]
市販の特級試薬である、ジニトロジアンミン白金硝酸溶液、Al及び水を、所定の組成となるように秤量して混合した。以後、実施例1と同様の操作を行った。これにより、比較例5の排気浄化フィルタを得た。
<比較例6>
[1.7質量%Pd50質量%Ag/CeZrO、触媒被膜担持量=25g/L、フィルタ平均細孔径36μm]
平均細孔径が36μmのSiC製DPF(セル数及びセル形状は実施例1と同一)を使用した以外は、実施例1と同様の操作を行った。これにより、比較例6の排気浄化フィルタを得た。なお、触媒の担持量は、25g/Lとなるように調製した。
<比較例7>
[1.7質量%Pd50質量%Ag/CeZrO、触媒担持量=9g/L、フィルタ平均細孔径23μm]
触媒の担持量が9g/Lとなるように調製した以外は、実施例1と同様の操作を行った。これにより、比較例7の排気浄化フィルタを得た。
<比較例8>
[1.7質量%Pd50質量%Ag/CeZrO、触媒担持量=47g/L、フィルタ平均細孔径23μm]
触媒の担持量が47g/Lとなるように調製した以外は、実施例1と同様の操作を行った。これにより、比較例8の排気浄化フィルタを得た。
<評価>
各実施例及び比較例で得た排気浄化フィルタについて、以下の算出方法に従ってモルフォロジー指数を算出した。また、各排気浄化フィルタについて、以下の評価方法に従って再生速度の評価を実施した。
[モルフォロジー指数]
日立製作所製の走査型電子顕微鏡装置「Miniscope(登録商標) TM3000」を用いて、各排気浄化フィルタの触媒被膜の表面を3000倍に拡大して3次元観察を実施した。具体的には、予め分かっているDPFの平均細孔径の細孔を探し出し、当該細孔を含む表面観察画像を撮影した後、3D化処理を行ってその3次元画像を取得した。このとき、観察面が極力平らとなるような画像を抽出すると同時に、装置ソフト付帯のフラット補正を行い、より高精度の3次元画像を得た。次いで、細孔はDPF全体に均一に分布しているものとして、取得した3次元画像情報に基づいて装置ソフト付帯の表面積算出を行い、触媒被膜表面の表面積を算出した。
[再生速度]
各排気浄化フィルタのTPサイズ(15cc)を準備し、これらに、実機から採取したPMを吸引捕集させた。その後、フィルタ入口温度を500℃、フィルタ内部温度を530℃に設定した後、11%のO、150ppmのNO及びNバランスガスからなるモデルガスを、空間速度SV=100000h−1で各排気浄化フィルタに導入し、再生を行った。再生開始から2分間のPM除去量である再生速度mg/分を測定した。
図7は、各実施例及び比較例の評価結果に基づいた、モルフォロジー指数と2分間再生速度との関係を示す図である。図7では、横軸がモルフォロジー指数(μm)を表し、縦軸が2分間再生速度(mg/秒)を表している。
図7に示すように、実施例1〜3の排気浄化フィルタは、比較例1〜5の排気浄化フィルタに比べて、再生速度が格段に大きいことが分かった。その理由について、以下に詳細に説明する。
先ず、比較例1の排気浄化フィルタは、従来公知のディッピング法によりAg系触媒をDPFに担持させたものであり、また、実施例1等に比べて湿式粉砕時間が短く、ミリングによるボール径も大きいため触媒粒子径が大きい。ここで、図8は、比較例1の排気浄化フィルタにおける触媒表面の表面観察画像である。図8から明らかであるように、比較例1の排気浄化フィルタでは、触媒の担持が不均一であり、触媒によるDPFの被覆率が低い。そのため、モルフォロジー指数が小さく、触媒とPMの接触面積が小さいため、小さな再生速度しか得られない。
比較例2の排気浄化フィルタは、クエン酸による発泡法(微細発泡法)によりAg系触媒をDPFに分散担持させたものであり、また、実施例1等と同様に湿式粉砕時間が長く、ミリングによるボール径も小さいため触媒粒子径が小さい。ただし、触媒の担持量が80g/Lで多過ぎるものである。ここで、図9は、比較例2の排気浄化フィルタにおける触媒表面の表面観察画像である。図9から明らかであるように、比較例2の排気浄化フィルタでは、触媒の担持量が多過ぎるため、DPF表面の細孔の過半数が触媒被膜中に埋没している。そのため、触媒とPMの接触面積は比較例1より大きいものの、DPF表面の細孔による凹凸を有効に利用できていないため、モルフォロジー指数が実施例より小さく、実施例に比べると再生速度は小さい。
比較例3の排気浄化フィルタは、実施例1の排気浄化フィルタに対して、DPFの平均細孔径をより小さな16μmとしたものである。この排気浄化フィルタのモルフォロジー指数は、上述の方法に従って算出すると2397μmであったが、細孔径が16μmの細孔にPMは侵入できないことを考慮して、細孔を含まない表面観察画像を取得し、これを3次元処理化することで触媒被膜の表面積を算出した。DPFの平均細孔径が16μmと小さく、PMが細孔内に十分に侵入できないことからも分かるように、算出されたモルフォロジー指数は小さく、触媒とPMの接触面積が小さいため、小さな再生速度しか得られない。
比較例4の排気浄化フィルタは、従来のディッピング法によりPt系触媒をDPFに担持させたものであり、比較例5の排気浄化フィルタは、クエン酸による発泡法(微細発泡法)によりPt系触媒をDPFに担持させたものである。DPFの平均細孔径と触媒の担持量は実施例1と同一である。ここで、これらPt系触媒は、排気中のNOからNOを生成させ、生成したNOによりPMの燃焼を促進するものである。即ち、Agが活性酸素を放出することでPMを燃焼するAg系触媒とはPM燃焼メカニズムが相違し、Pt系触媒では触媒とPMの接触性はそれほど重要ではない。そのため、微細発泡法により調製された比較例5の排気浄化フィルタのモルフォロジー指数が比較例4のそれと比べて飛躍的に大きく、実施例と同レベルであっても、NO生成能の向上により再生速度は若干大きくなるのみであり、大きな変化は見られない。
これに対して実施例1の排気浄化フィルタは、比較例5の排気浄化フィルタに対して、Pt系触媒をAg系触媒に変更したものであると同時に、比較例2の排気浄化フィルタに対して、触媒の担持量を少なくしたものである。ここで、図10及び図11は、実施例1の排気浄化フィルタにおける触媒表面の表面観察画像である(図10が200倍画像、図11が3000倍画像)。図10及び図11から明らかであるように、DPF表面の細孔による凹凸に対して、薄く満遍なく触媒が被膜担持されている。即ち、DPF表面の細孔による凹凸に沿って、触媒被膜が凹凸状に形成されており、DPF表面の細孔による凹凸形状が維持されている。そのため、実施例1のモルフォロジー指数は比較例と比べて大きなものとなっている。これにより、実施例1の排気浄化フィルタでは、PMが細孔内に侵入でき、触媒とPMの接触面積が大きいため、大きな再生速度が得られる。
また実施例2の排気浄化フィルタは、実施例1の排気浄化フィルタに対して、DPFの平均細孔径をより大きな30μmとしたものである。そのため、実施例2のモルフォロジー指数は、実施例1よりも大きなものとなっている。これにより、DPFの細孔内へPMがより侵入し易くなり、触媒とPMの接触面積がより大きくなるため、より大きな再生速度が得られる。
また実施例3の排気浄化フィルタは、実施例1の排気浄化フィルタに対して、CeZrOを針状CeOに変更したものである。即ち、実施例3の排気浄化フィルタでは、触媒中に凸状材としての針状CeOを含有させたため、DPF表面の凹凸に沿って凹凸状に形成された触媒被膜の表面に、さらに微細な凹凸形状が形成されている。そのため、実施例3のモルフォロジー指数は、実施例2よりもさらに大きなものとなっている。これにより、触媒とPMの接触面積がさらに大きくなり、さらに大きな再生速度が得られる。
以上説明したように、本実施例及び比較例の評価結果から、DPFの細孔による凹凸に沿って触媒被膜を凹凸状に形成(即ち、細孔による凹凸を維持)し、この細孔内にPMを侵入させて触媒とPMの接触性を向上させることで、PMを効率良く浄化できることが確認された。また、触媒中に凸状材を含有させて触媒被膜の表面にさらに微細な凹凸形状を形成することで、さらにPMを効率良く浄化できることが確認された。
次に、図12は、各実施例及び比較例の評価結果に基づいた、DPFの平均細孔径と2分間再生速度との関係を示す図である。図12では、横軸がDPFの平均細孔径(μm)を表し、縦軸が2分間再生速度(mg/秒)を表している。
図12に示すように、DPFの平均細孔径が大きくなるに従い、再生速度が大きくなることが分かった。また、DPFの平均細孔径が20μm以上となると、再生速度が20mg/分を超えるようになり好ましいことが分かった。これは、DPFの平均細孔径が20μm以上となると、PMが細孔内に十分に侵入できるようになるためである。
また、DPFの平均細孔径が30μmで再生速度は最大となる一方で、平均細孔径が35μmを超えて36μmになるとDPFの強度が低下し、評価実施後にDPFが粉砕してしまうことが分かった。
以上の結果から、DPF平均細孔径の好ましい範囲は、20〜35μmであることが確認された。
次に、図13は、各実施例及び比較例の評価結果に基づいた、触媒の担持量と2分間再生速度との関係を示す図である。図13では、横軸が触媒被膜の担持量(g/L)を表し、縦軸が2分間再生速度(mg/秒)を表している。
図13に示すように、触媒の担持量が少なくなるに従い、再生速度が大きくなり、担持量は45g/L以下が好ましいことが分かった。これは、触媒の担持量が多過ぎると、DPF表面の細孔が触媒被膜中に埋没してしまうためである。
また、触媒の担持量が25g/Lで再生速度は最大となり、担持量は10g/L以上が好ましいことが分かった。これは、触媒の担持量が少な過ぎると、触媒被膜による被覆率が低下するためである。
以上の結果から、触媒担持量の好ましい範囲は、10〜45g/Lであることが確認された。
ここで、図14は、針状CeOを含有するAg系触媒からなる触媒被膜の担持量を100g/Lとした排気浄化フィルタについて、表面近傍を断面観察して得られた断面観察画像である。また、図15は、針状CeOを含有するAg含有触媒からなる触媒被膜の担持量を30g/Lとした排気浄化フィルタについて、表面近傍を断面観察して得られた断面観察画像である。
図14に示すように、触媒被膜の担持量が多過ぎると、DPF表面の細孔が触媒被膜中に埋没する結果、PMは触媒被膜の最表面部分としか接触できない。これに対して、図15に示すように、触媒被膜の担持量が適量であると、DPF表面の細孔による凹凸形状を維持しつつ、その表面上に触媒被膜が凹凸状に形成される結果、触媒被膜とPMの接触性が向上することが確認された。
1,2…排気浄化フィルタ
11,21…DPF(フィルタ本体)
12,22…触媒被膜
13,23…細孔
5…PM(粒子状物質)

Claims (4)

  1. 内燃機関の排気通路に設けられ、前記内燃機関の排気中の粒子状物質を捕捉して浄化する排気浄化フィルタであって、
    平均細孔径が20〜35μmの細孔を有することで表面が凹凸状のフィルタ本体と、当該フィルタ本体の表面に担持され且つ捕捉した粒子状物質を浄化するAg系触媒からなる触媒被膜と、を備え、
    前記Ag系触媒の担持量が、前記フィルタ本体の単位容量あたり10〜45g/Lであることにより、前記触媒被膜が、前記フィルタ本体の表面の凹凸に沿って凹凸状に担持されており、
    前記触媒被膜の表面を3000倍に拡大観察して、前記平均細孔径の細孔を含む表面観察画像を取得し、これを3次元処理して得られた3次元画像情報に基づいて算出された前記触媒被膜の表面の表面積が、2300〜2950μmであり、
    前記Ag系触媒が、凸形状を有する凸状材を含有し、
    前記凸状材が、針状構造、フラワー状構造、板状構造又は皿状構造を有することを特徴とする排気浄化フィルタ。
  2. 記凸状材の担持量が、前記フィルタ本体の単位容量あたり5〜45g/Lであることを特徴とする請求項1記載の排気浄化フィルタ。
  3. 前記凸状材が、酸素放出能を備える酸素放出材を含むことを特徴とする請求項又は記載の排気浄化フィルタ。
  4. 前記フィルタ本体のセル形状が、4〜8角形のうちのいずれかであり、
    前記フィルタ本体のセル数が、1平方インチあたり200〜400セルであることを特徴とする請求項1からいずれか記載の排気浄化フィルタ。
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