JP2008178766A - パティキュレートフィルタ - Google Patents

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研二 鈴木
Koichiro Harada
浩一郎 原田
Keiji Yamada
啓司 山田
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謙治 岡本
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Abstract

【課題】パティキュレートフィルタにおいて、多孔質の触媒層をフィルタ担体の表面に設ける場合に、触媒層の剥離の問題を抑制し、パティキュレートの捕集率を向上させること。
【解決手段】エンジンの排気ガス通路に配設されるパティキュレートフィルタにおいて、フィルタ担体45の表面にアンダーコート層46を介して触媒層47を設け、触媒層47の平均空孔径を0.1μm以上で0.2μm未満とし、アンダーコート層46の平均空孔径を触媒層47の平均空孔径よりも小さくする。その場合に、前記触媒層47に白金やロジウム等の酸化触媒能を有する触媒金属成分48を含有させる。また、前記アンダーコート層46にパティキュレートの燃焼に寄与するZr系複合酸化物やペロブスカイト型複合酸化物あるいはCe系複合酸化物等の助触媒成分49を含有させる。
【選択図】図5

Description

本発明は、エンジンの排気ガス通路に配設されて排気ガス中に含有されるパティキュレートを捕集するためのパティキュレートフィルタに関し、車両の排気エミッション性能の向上を図る技術分野に属する。
一般に、ディーゼルエンジンや希薄燃焼ガソリンエンジンの排気ガス中には、ナノメートルサイズないしミクロンメートルサイズの炭素質浮遊物質を含むパティキュレート(パティキュレートマター:以下単に「PM」と記すことがある)が含有されるので、これを捕集して車両の排気エミッション性能を向上させるためのパティキュレートフィルタ(以下単に「PF」と記すことがある)がエンジンの排気ガス通路に配設される場合がある。
このPFは、多数のセルが蜂の巣状や格子状に並設された構造を有するフィルタ担体のセル壁に細孔が形成され、この細孔を介して隣り合うセル間で排気ガスが流通できるようになっていると共に、担体入口部(排気ガスの流れ方向の上流側)の端部が開放され、担体出口部(排気ガスの流れ方向の下流側)の端部が閉塞されたセルと、逆に、担体入口部の端部が閉塞され、担体出口部の端部が開放されたセルとが交互に並べられた構成である。したがって、上流側端部が開放されたセルに流入した排気ガスは、前記セル壁を通過して下流側端部が開放されたセルに移動したのちPFから流出することとなるが、この間に、排気ガス中のPMが前記セル壁の細孔に捕集されることとなる。なお、このセル壁の細孔は、過度の背圧の上昇を防いでエンジンの出力低下や燃費増を回避しながらPMを捕集するという観点から、その平均径は概ね30μm程度に調整される。
そして、捕集されたPMがPFに堆積するに伴い、背圧が上昇してエンジンの出力低下や燃費増を招くだけでなく、多量のPMが一気に燃焼すれば過昇温状態となり、担体の溶損やクラック等を引き起こすこととなるので、PMの捕集量が所定量以上となったときには、例えば排気ガス温度を強制的に上昇させる等して、PFに捕集したPMを燃焼除去する制御が実行される(PFの自動再生制御)。
ところで、最近では、PMの排出総重量を規制するだけでなく、排出粒子の個数についても規制しようとする動きが出ている。この排出粒子数の規制に対処するためには、例えばPFにおける前記セル壁の細孔の径を小さくすることが考えられるが、それでは徒に背圧が上昇してエンジンの出力低下や燃費増を引き起こすので好ましくない。そこで、特許文献1に開示の技術を用いることが提案される。すなわち、フィルタ担体の表面に、平均空孔径が0.2μm以上で30μm以下である多孔質の層であって、白金(Pt)やロジウム(Rh)等の酸化触媒能を具備する触媒金属成分を含有する触媒層を設けるのである。こうすれば、PMは、PFのセル壁の細孔だけでなく、この多孔質の触媒層の空孔にも捕集されることとなり、捕集率が向上して、ナノメートルサイズないしミクロンメートルサイズのPMの排出粒子数の低減が期待されることとなる。
特開2005−021818(段落0009、0015、0021)
しかし、PFにおいて、平均空孔径が0.2μm以上で30μm以下の多孔質の触媒層を担体表面に設けることについては、なおまだ次のような解決すべき問題がある。1つ目は触媒層の剥離の問題である。すなわち、触媒層に平均で0.2μm以上の径を有する空孔が形成されているので、触媒層と担体との密着力が低下し、その結果、触媒層の剥離ないし触媒層を構成する粒子の脱落(触媒層の部分的剥離)が起こり易くなるのである。2つ目は空孔の平均径の問題である。すなわち、空孔の平均径の下限値が0.2μmとされているので、それよりも径の小さいPMはほとんど捕集されずに排出されることとなって、排出粒子数の規制に十分満足に対処できない可能性がある。
そこで、本発明の発明者等は、エンジンの排気ガス通路に配設されているPFにおいて、多孔質の触媒層をフィルタ担体の表面に設ける場合に、触媒層の剥離の問題を抑制すると共に、PM捕集率をより一層向上させることについて、鋭意研究・検討を重ねた結果、触媒層の平均空孔径を0.1μm以上とし、触媒層とフィルタ担体の表面との間に、触媒層の平均空孔径よりも小さい平均空孔径を有するアンダーコート層を介在させたときに、種々好ましい結果が得られることを見出して、本発明を完成したものである。
すなわち、本願の特許請求の範囲の請求項1に記載の発明は、エンジンの排気ガス通路に配設されるパティキュレートフィルタであって、フィルタ担体の表面にアンダーコート層を介して触媒層が設けられ、前記触媒層の平均空孔径が0.1μm以上であり、前記アンダーコート層の平均空孔径が前記触媒層の平均空孔径よりも小さいことを特徴とする。
次に、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のパティキュレートフィルタであって、前記触媒層に触媒金属成分が含有されていることを特徴とする。
次に、請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のパティキュレートフィルタであって、前記アンダーコート層にパティキュレートの燃焼に寄与する助触媒成分が含有されていることを特徴とする。
次に、請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれかに記載のパティキュレートフィルタであって、前記触媒層の平均空孔径が0.2μm未満であることを特徴とする。
次に、請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれかに記載のパティキュレートフィルタであって、前記アンダーコート層の平均空孔径が0.1μm未満であることを特徴とする。
前記請求項1に記載の発明によれば、エンジンの排気ガス通路に配設されるPFにおいて、フィルタ担体の表面に多孔質の触媒層を設ける場合に、触媒層の平均空孔径を0.1μm以上としたから、PM捕集率のより一層の向上が図られると共に、前記触媒層の平均空孔径よりも小さい平均空孔径を有するアンダーコート層を触媒層とフィルタ担体の表面との間に介在させるようにしたから、このアンダーコート層の存在により、触媒層の剥離の問題が抑制される。
次に、前記請求項2に記載の発明によれば、触媒層に触媒金属成分を含有させるようにしたから、前記請求項1の効果に加えて、捕集したPMと触媒層に含有させた触媒金属成分とが接触し、その結果、PMの燃焼速度が向上して、PFの燃焼性能の改良が図られる。
次に、前記請求項3に記載の発明によれば、アンダーコート層にPMの燃焼に寄与する助触媒成分を含有させるようにしたから、前記請求項1、2の効果に加えて、触媒層に接して堆積しているPMだけでなく、アンダーコート層に接して堆積しているPMにも火種が形成され易くなって、PMの燃焼速度のさらなる向上、及びPFの燃焼性能のさらなる改良が図られる。つまり、アンダーコート層は、触媒層の剥離の問題を抑制するだけでなく、PFの燃焼性能の改良にも寄与することになるのである。
なお、ここで、PMの燃焼に寄与する助触媒成分は、触媒層に含有される白金(Pt)やロジウム(Rh)等の酸化触媒能を具備する触媒金属成分とは異なり、例えば、活性酸素成分をその粒子表面に供給できる酸素イオン伝導能を具備する酸化物(Zr系複合酸化物やペロブスカイト型複合酸化物等)や酸素吸蔵放出能を具備する酸化物(Ce系複合酸化物等)等で構成される。
次に、前記請求項4に記載の発明によれば、前記触媒層の平均空孔径を0.1μm以上で0.2μm未満としたから、前記請求項1〜3の効果に加えて、平均径が0.2μmよりも小さいPMの捕集率のさらなる向上が図られる。
次に、前記請求項5に記載の発明によれば、アンダーコート層の平均空孔径を0.1μm未満としたから、前記請求項1〜4の効果に加えて、アンダーコート層が緻密化し、触媒層の剥離の問題のさらなる抑制が図られる。以下、最良の実施形態及び実施例を通して本発明をさらに詳しく説明する。
図1は、本発明の最良の実施の形態に係るパティキュレートフィルタ40を備えたエンジン10の排気系の構成を示す概略図である。このエンジン10はディーゼルエンジンであって、その排気ガス通路20に、上流側から、排気ガス中に含まれる炭化水素成分等を燃焼させるための酸化触媒(以下単に「DOC」と記すことがある)30と、排気ガス中に含まれるパティキュレート(PM)を捕集するためのパティキュレートフィルタ(PF)40とが、ユニットになって配設されている。ディーゼルエンジン10から排出された排気ガスは、DOC30を通過したのち、PF40を通過する。
図2は、前記PF40の縦端面図、図3は、正面図である。図示したように、このPF40は、格子構造を有しており、互いに平行に延びる多数のセル通路41…41,42…42を備えている。これらのうち、排気ガス流入セル通路41は、担体入口部(排気ガスの流れ方向の上流側)の端部が開放され、担体出口部(排気ガスの流れ方向の下流側)の端部が閉塞された構成である。一方、排気ガス流出セル通路42は、逆に、担体入口部の端部が閉塞され、担体出口部の端部が開放された構成である。そして、これらの排気ガス流入セル通路41と排気ガス流出セル通路42とが交互に隣接するように並べられている。図2に矢印で示したように、DOC30を通過した排気ガスは、排気ガス流入セル通路41に流入し、隣接するセル通路41,42を隔てるセル壁43を通過して排気ガス流出セル通路42に移動したのち、PF40から流出する。
図4は、前記セル壁43の部分拡大断面図である。図示したように、セル壁43には、三次元網目構造の細孔44が形成され、矢印で示したように、排気ガス流入セル通路41に流入した排気ガスは、前記細孔44を介して排気ガス流出セル通路42に移動する。そして、この排気ガス流入セル通路41から排気ガス流出セル通路42への移動の間に、排気ガス中のPMが前記セル壁43の細孔44に捕集される。
図5は、図4の点線丸で囲まれた部分のさらなる拡大断面図である。すなわち、このPF40においては、前記セル壁43を構成する担体基材45の表面にアンダーコート層46が設けられ、このアンダーコート層46の表面に多孔質の触媒層47が設けられている。その場合に、触媒層47には触媒金属成分48が含有されている(請求項2の構成)。また、アンダーコート層46及び触媒層47には助触媒成分49が含有されている(請求項3の構成)。さらに、アンダーコート層46及び触媒層47にはそれぞれ微細な空孔46a,47aが形成されている。ここで、触媒層47の空孔47aの平均径は、0.1μm以上とされ、アンダーコート層46の空孔46aの平均径は、触媒層47の空孔47aの平均径よりも小さくされている(請求項1の構成)。
ここで、前記PF40のフィルタ担体、より詳しくは担体基材45は、例えばSiC(炭化ケイ素)を材料とした周知のセラミックス製である。また、アンダーコート層46は、助触媒成分49を水及びバインダと混合してスラリーとし、このスラリーを担体基材45にウォッシュコートしたのち、乾燥及び焼成したものである。一方、触媒層47は、触媒金属成分48と、助触媒成分49と、アンダーコート層46の空孔46aよりも平均径が大きな空孔47aを意図的に形成するためのクエン酸とを、水及びバインダと混合してスラリーとし、このスラリーを前記アンダーコート層46が形成された担体基材45にウォッシュコートしたのち、乾燥及び焼成したものである。なお、触媒層47において、アンダーコート層46の空孔46aよりも平均径が大きな空孔47aを意図的に形成するために、前記クエン酸に代えて、例えばポリメチルメタクリレート(PMMA)等も使用可能である。
その場合に、触媒層47に含有される触媒金属成分48としては、酸化触媒能を有する白金(Pt)やロジウム(Rh)等が好ましく使用可能である(それらの1種又は2種以上を組み合わせて使用してもよい)。また、アンダーコート層46及び触媒層47に含有される助触媒成分49としては、例えば、活性酸素成分をその粒子表面に供給できる酸素イオン伝導能を有するZr系複合酸化物やペロブスカイト型複合酸化物、あるいは酸素吸蔵放出能を有するCe系複合酸化物等、PMの燃焼に寄与するものが好ましく使用可能である(それらの1種又は2種以上を組み合わせて使用してもよい)。そして、これらの触媒金属成分48及び助触媒成分49の協働作用により、このPF40に捕集されたPMを、その自然着火温度(600℃程度)よりも低い温度で燃焼除去することが可能となる。
以上のように、本実施形態においては、ディーゼルエンジン10の排気ガス通路20に配設されるPF40において、フィルタ担体の表面に多孔質の触媒層47を設ける場合に、触媒層47の空孔47aの平均径を0.1μm以上としたから、PMがセル壁43の細孔44だけでなく、触媒層47の空孔47aにも捕集されることとなり、結果としてPM捕集率の向上が図られると共に、この触媒層47の空孔47aの平均径よりも小さい平均径の空孔46aを有するアンダーコート層46を触媒層47とフィルタ担体の表面との間に介在させるようにしたから、このアンダーコート層46の存在により、触媒層47の剥離の問題が抑制される。
また、触媒層47に、酸化触媒能を有する白金(Pt)やロジウム(Rh)等の触媒金属成分48を含有させるようにしたから、捕集したPMと触媒層47に含有させた触媒金属成分48とが接触し、その結果、PMの燃焼速度が向上して、PF40の燃焼性能の改良が図られる。
さらに、アンダーコート層46に、酸素イオン伝導能を有するZr系複合酸化物やペロブスカイト型複合酸化物、あるいは酸素吸蔵放出能を有するCe系複合酸化物等、PMの燃焼に寄与する助触媒成分49を含有させるようにしたから、触媒層47に接して堆積しているPMだけでなく、アンダーコート層46に接して堆積しているPMにも火種が形成され易くなって、PMの燃焼速度のさらなる向上、及びPF40の燃焼性能のさらなる改良が図られる。つまり、アンダーコート層46は、触媒層47の剥離の問題を抑制するだけでなく、PF40の燃焼性能の改良にも寄与するのである。
<触媒層の単層の作製>
触媒金属成分として白金(Pt)を用い、助触媒成分としてZrO−12mol%Nd(Zr−Nd複合酸化物)を用い、これらとクエン酸とを水及びバインダと混合してスラリーとし、このスラリーをSiC(炭化ケイ素)材料のセラミックス製担体基材(セルの構造が12mil/300cpsiのもの)にウォッシュコートした。次に、このスラリーをウォッシュコートしたフィルタ担体を、500℃で2時間、乾燥及び焼成することにより、前記担体の表面に触媒層を直に作製した。ここで、担体1リットル当たりの白金(Pt)の量は0.5g(0.5g/L)、ウォッシュコート量は担体1リットル当たり50g(50g/L)とした。そして、クエン酸添加量(Zr−Nd複合酸化物に対するモル量)を10mol%としたものを触媒層A、50mol%としたものを触媒層B、100mol%としたものを触媒層Cとした。また、クエン酸添加量を0(ゼロ)としたものを触媒層Xとした。
<平均空孔径の計測>
図面に代わる触媒層A,B,Cの走査型電子顕微鏡写真(30000倍)を図6、図7、図8に示す。触媒層A,B,Cの平均空孔径は、それぞれ走査型電子顕微鏡写真を画像解析することによって計測され、図9に示すように、触媒層Aの平均空孔径は0.11μm、触媒層Bの平均空孔径は0.125μm、触媒層Cの平均空孔径は0.17μmであった。また、図面に代わる走査型電子顕微鏡写真は示さないが、触媒層Xの平均空孔径は、同様にして0.09μmであった。これらの結果から明らかなように、クエン酸添加量が多くなるほど触媒層の平均空孔径が大きくなることが判った。触媒金属成分としてロジウム(Rh)を用いたり、あるいは白金(Pt)とロジウム(Rh)とを組み合わせて用いたり、助触媒成分としてCe系複合酸化物を用いたり、あるいはZr系複合酸化物とCe系複合酸化物とを組み合わせて用いたりしても、結果は同様であった。また、図9に示すように、クエン酸添加量(Zr−Nd複合酸化物に対するモル量)をおよそ130mol%程度とした場合に、平均空孔径が0.2μmである触媒層が得られた。
<アンダーコート層及び触媒層の2層の作製>
助触媒成分としてZrO−12mol%Nd(Zr−Nd複合酸化物)を用い、これを水及びバインダと混合してスラリーとし、このスラリーを前述と同じSiC(炭化ケイ素)材料のセラミックス製担体基材(セルの構造が12mil/300cpsiのもの)にウォッシュコートした。次に、このスラリーをウォッシュコートしたフィルタ担体を、500℃で2時間、乾燥及び焼成することにより、前記担体基材の表面にアンダーコート層を作製した。ここで、担体1リットル当たりのアンダーコート層のウォッシュコート量は20g(20g/L)とした。次に、触媒金属成分として白金(Pt)を用い、助触媒成分としてZrO−12mol%Nd(Zr−Nd複合酸化物)を用い、これらとクエン酸とを水及びバインダと混合してスラリーとし、このスラリーを前記アンダーコート層が形成された担体基材にウォッシュコートした。次に、このスラリーをウォッシュコートしたフィルタ担体を、500℃で2時間、乾燥及び焼成することにより、前記アンダーコート層の表面に触媒層を重ねて作製した。ここで、担体1リットル当たりの白金(Pt)の量は0.3g(0.3g/L)、ウォッシュコート量は担体1リットル当たり30g(30g/L)とした。そして、クエン酸添加量(アンダーコート層のZr−Nd複合酸化物及び触媒層のZr−Nd複合酸化物の総和に対するモル量)を10mol%としたものを実施例1、50mol%としたものを実施例2、100mol%としたものを実施例3とした。また、クエン酸添加量を0(ゼロ)としたものを比較例1とした。
<PFの燃焼性能試験/PM燃焼速度の算出>
前記のようにして担体基材上にアンダーコート層及び触媒層の2層を重ねて作製したフィルタ担体から、容積が25cmの円柱体を切り出し、それぞれ実施例1,2,3のテストピース及び比較例1のテストピースとした。まず、各テストピースを800℃で24時間の条件で熱処理し、次に、各テストピースにPM模擬物質としてのカーボンブラックの分散水を注ぎ入れ、乾燥することによって、各テストピースにカーボンブラックを0.25g堆積させた。そして、評価ガスとして、酸素(O)が10vol%、NOが300ppm、HOが10vol%、残りが窒素(N)の混合ガスを用い、この混合ガスを前記テストピースに対して80000/hのSV(space velocity)で通過させた。その間、混合ガスを15℃/分の昇温速度で600℃まで昇温させ、その際、カーボンブラックが燃焼することによって発生する一酸化炭素(CO)濃度及び二酸化炭素(CO)濃度を測定し、それらの濃度([CO+CO]ppm)から、次式に基き、各テストピースにおけるPM燃焼速度(g/hr)を算出した。結果を図10に示す。
図10の結果から、触媒層47の空孔47aの平均径が0.1μm以上(0.11μm、0.125μm、0.17μm)であり、アンダーコート層46の空孔46aの平均径が触媒層47の空孔47aの平均径よりも小さい(0.09μm)実施例1,2,3においては、混合ガスの温度が500℃及び590℃のいずれのときも、触媒層47の空孔47aの平均径が0.1μm未満(0.09μm)であり、アンダーコート層46の空孔46aの平均径が触媒層47の空孔47aの平均径よりも小さくない(0.09μm)比較例1よりも、PM燃焼速度が向上している(PFの燃焼性能が改良している)ことが判った。ただし、触媒層47の空孔47aの平均径がより小さい(0.125μm)実施例2と、より大きい(0.17μm)実施例3とを比較すると、実施例2のほうが実施例3よりも結果が良好であった。このことは、触媒層47の空孔47aの平均径が過度に大きくなるのは好ましくないことを示している。そして、図10において、ガス温度が500℃のときは、そのPM燃焼速度の変化傾向から推測すると、触媒層47の空孔47aの平均径がおよそ1.0μm未満の範囲で、比較例1より大きいPM燃焼速度が得られ、ガス温度が590℃のときは、そのPM燃焼速度の変化傾向から推測すると、触媒層47の空孔47aの平均径がおよそ0.2μm未満の範囲で、比較例1より大きいPM燃焼速度が得られる。
<触媒層の剥離試験/剥離率の算出>
前記のようにしてPFの燃焼性能試験を行ったのちの実施例1,2,3のテストピース及び比較例1のテストピースを用いて触媒層の剥離試験を行った。まず、各テストピースに残存するカーボンを燃焼除去した。次に、150℃の乾燥炉で1時間加熱して、テストピースから水分を取り除いたのち、乾燥重量を測定した(Wb:超音波処理前のテストピースの乾燥重量)。このテストピースをビーカーに入れ、ここに精製水をテストピースが完全に沈むまで注いだのち、このビーカーを超音波振動器(600W,26kHz)に入れて、超音波処理を3時間行った。次に、テストピースをビーカーから取り出し、精製水で数回リンスした。次に、150℃の乾燥炉で1時間加熱して、テストピースから水分を取り除いたのち、乾燥重量を測定した(Wa:超音波処理後のテストピースの乾燥重量)。そして、超音波処理の前後の乾燥重量(Wb,Wa)の差から、次式に基き、各テストピースにおける触媒層の剥離率(%)を算出した。結果を図11に示す。また、アンダーコート層と触媒層の2層である実施例1,2,3のテストピース及び比較例1のテストピースに代えて、それぞれアンダーコート層がない触媒層のみの1層である対応するテストピース(比較例2,3,4及び5)を用いてそれぞれ同様に触媒層の剥離試験を行った。結果を併せて図11に示す。
図11の結果から、アンダーコート層がない触媒層のみの比較例2,3,4,5においては、触媒層の平均空孔径が大きくなるほど、触媒層の剥離率が大きくなることが判った。これに対し、アンダーコート層がある2層構造の実施例1,2,3及び比較例1においては、それぞれ対応する比較例2,3,4及び5よりも触媒層47の剥離率が小さくなっていた。特に、触媒層47の空孔47aの平均径が0.1μm以上(0.11μm、0.125μm、0.17μm)であり、アンダーコート層46の空孔46aの平均径が触媒層47の空孔47aの平均径よりも小さい(0.09μm)実施例1,2,3においては、触媒層47の空孔47aの平均径が0.1μm未満(0.09μm)であり、アンダーコート層46の空孔46aの平均径が触媒層47の空孔47aの平均径よりも小さくない(0.09μm)比較例1よりも、触媒層47の剥離率の減少度合い(改善程度)が顕著であった(比較例5から比較例1への剥離率の改善程度よりも、比較例2から実施例1、比較例3から実施例2、比較例4から実施例3への剥離率の改善程度のほうが大きいことが判った)。
以上のように、実施例1〜3においては、触媒層の平均空孔径は0.1μm以上で0.2μm未満である(0.11μm、0.125μm、0.17μm:請求項4の構成)。この場合、触媒層の剥離の問題が明確に抑制されたと共に(図11)、平均径が0.2μmよりも小さいPMの捕集率が高まって、PM燃焼速度の向上及びPF燃焼性能の改良が明確に見られた(図10)。
また、実施例1〜3においては、アンダーコート層の平均空孔径は0.1μm未満である(0.09μm:請求項5の構成)。この場合、アンダーコート層が緻密化した結果、触媒層の剥離の問題が明確に抑制されたものと考えられる(図11)。
以上、具体例を挙げて詳しく説明したように、本発明は、エンジンの排気ガス通路に配設されるパティキュレートフィルタにおいて、空孔が形成された多孔質の触媒層をフィルタ担体の表面に設ける場合に、触媒層の剥離の問題を抑制すると共に、パティキュレートの捕集率を向上させ、かつ、捕集したパティキュレートの燃焼速度を向上させる(パティキュレートフィルタの燃焼性能を改良させる)ことができる技術であるから、車両の排気エミッション性能の向上を図る技術分野において広範な産業上の利用可能性が期待される。
本発明の最良の実施の形態に係るパティキュレートフィルタを備えたエンジンの排気系の構成を示す概略図である。 前記パティキュレートフィルタの縦端面図である。 前記パティキュレートフィルタの正面図である。 前記パティキュレートフィルタの隣接するセル通路を隔てるセル壁の部分拡大断面図である。 図4の点線丸で囲まれた部分のさらなる拡大断面図であって、前記パティキュレートフィルタの担体表面にアンダーコート層を介して触媒層が設けられている様子を示すものである。 平均空孔径が0.11μmである触媒層Aの微細構造を示すための図面に代わる走査型電子顕微鏡写真である。 平均空孔径が0.125μmである触媒層Bの微細構造を示すための図面に代わる走査型電子顕微鏡写真である。 平均空孔径が0.17μmである触媒層Cの微細構造を示すための図面に代わる走査型電子顕微鏡写真である。 前記触媒層A,B,C及び触媒層Xの平均空孔径を比較して示すグラフである。 実施例1,2,3及び比較例1のパティキュレートフィルタのPM燃焼速度を比較して示すグラフである。 実施例1,2,3及び比較例1〜5の触媒層の剥離率を比較して示すグラフである。
符号の説明
10 ディーゼルエンジン
20 排気ガス通路
30 酸化触媒(DOC)
40 パティキュレートフィルタ(PF)
41 排気ガス流入セル通路
42 排気ガス流出セル通路
43 セル壁
44 細孔
45 担体基材(フィルタ担体)
46 アンダーコート層
46a アンダーコート層の空孔
47 触媒層
47a 触媒層の空孔
48 触媒金属成分
49 助触媒成分

Claims (5)

  1. エンジンの排気ガス通路に配設されるパティキュレートフィルタであって、
    フィルタ担体の表面にアンダーコート層を介して触媒層が設けられ、
    前記触媒層の平均空孔径が0.1μm以上であり、
    前記アンダーコート層の平均空孔径が前記触媒層の平均空孔径よりも小さいことを特徴とするパティキュレートフィルタ。
  2. 請求項1に記載のパティキュレートフィルタであって、
    前記触媒層に触媒金属成分が含有されていることを特徴とするパティキュレートフィルタ。
  3. 請求項1又は2に記載のパティキュレートフィルタであって、
    前記アンダーコート層にパティキュレートの燃焼に寄与する助触媒成分が含有されていることを特徴とするパティキュレートフィルタ。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載のパティキュレートフィルタであって、
    前記触媒層の平均空孔径が0.2μm未満であることを特徴とするパティキュレートフィルタ。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載のパティキュレートフィルタであって、
    前記アンダーコート層の平均空孔径が0.1μm未満であることを特徴とするパティキュレートフィルタ。
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