JP2008178767A - ディーゼル酸化触媒 - Google Patents

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研二 鈴木
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啓司 山田
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Abstract

【課題】ディーゼルエンジンの排気ガス通路においてパティキュレートフィルタの上流に配設されるフロースルー型の酸化触媒に、サイズの大型化を回避しながら、高いパティキュレート捕集能力を具備させること。
【解決手段】ディーゼルエンジンの排気ガス通路に配設される酸化触媒30は、触媒担体がフロースルー型の担体構造を有している。触媒担体の各セル31は担体中心軸に対して螺旋状に形成され、各セル31の表面に平均空孔径が0.1μm以上の触媒層が設けられている。これにより、排気ガスとセル31との衝突が増し、酸化触媒30は排気ガス中のパティキュレートを捕集する能力に優れる。しかも、排気ガス中のパティキュレートがセル表面の多孔質の触媒層の空孔に効果的に捕集されるから、たとえ触媒担体がフロースルー型であっても、酸化触媒30は高いパティキュレート捕集能力を具備する。
【選択図】図4

Description

本発明は、ディーゼルエンジンの排気ガス通路に配設されて排気ガス中に含有される炭化水素成分等を酸化するための酸化触媒に関し、車両の排気エミッション性能の向上を図る技術分野に属する。
一般に、ディーゼルエンジンの排気ガス中には、ナノメートルサイズないしミクロンメートルサイズの炭素質浮遊物質を含むパティキュレート(パティキュレートマター:以下単に「PM」と記すことがある)が含有されるので、これを捕集して車両の排気エミッション性能を向上させるためのディーゼルパティキュレートフィルタ(以下単に「DPF」と記すことがある)がディーゼルエンジンの排気ガス通路に配設される場合がある。
このDPFは、多数のセルが蜂の巣状や格子状に並設された構造を有するフィルタ担体のセル壁に細孔が形成され、この細孔を介して隣り合うセル間で排気ガスが流通できるようになっていると共に、担体入口部(排気ガスの流れ方向の上流側)の端部が開放され、担体出口部(排気ガスの流れ方向の下流側)の端部が閉塞されたセルと、逆に、担体入口部の端部が閉塞され、担体出口部の端部が開放されたセルとが交互に並べられた構成である。したがって、上流側端部が開放されたセルに流入した排気ガスは、前記セル壁を通過して下流側端部が開放されたセルに移動したのちDPFから流出することとなるが、この間に、排気ガス中のPMが前記セル壁の細孔に捕集されることとなる。なお、このセル壁の細孔は、過度の背圧の上昇を防いでエンジンの出力低下や燃費増を回避しながらPMを捕集するという観点から、その平均径は概ね30μm程度に調整される。
そして、捕集されたPMがDPFに堆積するに伴い、背圧が上昇してエンジンの出力低下や燃費増を招くだけでなく、多量のPMが一気に燃焼すれば過昇温状態となり、担体の溶損やクラック等を引き起こすこととなるので、PMの捕集量が所定量以上となったときには、例えば排気ガス温度を強制的に上昇させる等して、DPFに捕集したPMを燃焼除去する制御が実行される(DPFの自動再生制御)。そのために、ディーゼルエンジンの排気ガス通路には、DPFの上流に、排気ガス中に含有される炭化水素(HC)成分等を酸化するためのディーゼル酸化触媒(以下単に「DOC」と記すことがある)が配設される。
すなわち、DPFの自動再生制御時には、例えば、エンジンへの燃料噴射量を増量して排気ガス中の炭化水素成分量を増やし、この余剰の炭化水素成分を排気ガス通路上のDOCで酸化燃焼させ、その際の燃焼熱により排気ガス温度を上昇させて、DPFに捕集したPMの燃焼を起こり易くさせるのである。
ここで、DOCは、所謂フロースルー型あるいはオープンスルー型等と称される担体から構成されるのが通例であるが、この種の担体においては、各セルは、一般に、上流側端部と下流側端部とが共に開放されて排気ガスの流れ方向に沿って直線状に延びているので、エンジンから排出される排気ガス中に含まれるPMを捕集する能力はほとんど有していないのが現状である。
ところで、最近では、PMの排出総重量を規制するだけでなく、排出粒子の個数についても規制しようとする動きが出ている。この排出粒子数の規制に対処するためには、例えばDPFにおける前記セル壁の細孔の径を小さくすることが考えられるが、それでは徒に背圧が上昇してエンジンの出力低下や燃費増を引き起こすので好ましくない。そこで、特許文献1に開示の技術を用いることが提案される。すなわち、フィルタ担体の表面に、平均空孔径が0.2μm以上で30μm以下である多孔質の層であって、白金(Pt)やロジウム(Rh)等の酸化触媒能を具備する触媒金属成分を含有する触媒層を設けるのである。こうすれば、PMは、DPFのセル壁の細孔だけでなく、この多孔質の触媒層の空孔にも捕集されることとなり、捕集率が向上して、ナノメートルサイズないしミクロンメートルサイズのPMの排出粒子数の低減が期待されることとなる。
一方、特許文献2や特許文献3には、フロースルー型あるいはオープンスルー型の担体であって、セルを担体中心軸に対して螺旋状に形成した構造の担体が示されている。
特開2005−021818(段落0009、0015、0021) 特開昭56−081135(第2頁右上欄第6〜7行、第1図) 実開昭58−180317(第4図)
前述したように、特許文献1に開示の技術を用いれば、DPFによるPM捕集量ないし捕集率の増大が期待できる。しかし、DPFのみでPM捕集量ないし捕集率を改善しようとすると、どうしても背圧の上昇による出力低下ないし燃費増を招き易くなる。加えて、DPFの自動再生制御の実行頻度が多くなって、これによっても燃費増の問題が生じる。また、DPFの自動再生制御の実行頻度が多くなれば、DPFに対する熱負荷が大きくなることにより、DPFの再生能力が劣化してしまう。そこで、DPFの上流に配設されているDOCにも排気ガス中に含まれるPMを積極的に捕集する能力を具備させることが考えられるが、前述したように、現状のDOCは、PMを捕集する能力をほとんど具備していないのである。
そこで、本発明の発明者等は、ディーゼルエンジンの排気ガス通路においてDPFの上流に配設されているフロースルー型のDOCに高いPM捕集能力を具備させ、これにより、DPFのみでPM捕集量等を改善しようとした場合に生じる不具合、すなわち、背圧の上昇による出力低下ないし燃費増が発生し易くなる問題、DPFの自動再生制御の実行頻度が多くなって燃費増が発生する問題、及びDPFに対する熱負荷が大きくなってDPFの再生能力が劣化する問題等を抑制すると共に、DOCのサイズが大型化するというような不具合も同時に回避することについて、鋭意研究・検討を重ねた結果、本発明を完成したものである。
すなわち、本願の特許請求の範囲の請求項1に記載の発明は、ディーゼルエンジンの排気ガス通路に配設される酸化触媒であって、触媒担体がフロースルー型の担体であると共に、触媒担体の各セルが担体中心軸に対して螺旋状に形成され、かつ前記セルの表面に平均空孔径が0.1μm以上である多孔質の触媒層が設けられていることを特徴とする。
次に、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のディーゼル酸化触媒であって、前記触媒層の平均空孔径は、排気ガスの流れ方向の上流側が下流側よりも大きいことを特徴とする。
次に、請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のディーゼル酸化触媒であって、前記触媒層の厚みは、セル内において、担体外周側が担体中心側よりも厚いことを特徴とする。
次に、請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれかに記載のディーゼル酸化触媒であって、前記触媒層の平均空孔径が0.2μm未満であることを特徴とする。
前記請求項1に記載の発明によれば、ディーゼルエンジンの排気ガス通路に配設されるDOCにおいて、フロースルー型の触媒担体の各セルを担体中心軸に対して螺旋状に形成したから、各セルが排気ガスの流れ方向に沿って直線状に延びる従来のDOCと比べると、排気ガスとセルとの衝突が増して、本発明に係るDOCは、排気ガス中に含まれるPMを捕集する能力に優れることとなる。しかも、前記セルの表面に平均空孔径が0.1μm以上である多孔質の触媒層を設けるようにしたから、排気ガス中に含まれるPMがセル表面の多孔質の触媒層の空孔に効果的に捕集されるようになり、たとえ触媒担体がフロースルー型であっても、本発明に係るDOCは、高いPM捕集能力を具備することとなる。これらにより、DPFのみでPM捕集量ないし捕集率を改善しようとした場合に生じる不具合、すなわち、背圧の上昇による出力低下ないし燃費増が発生し易くなる問題、DPFの自動再生制御の実行頻度が多くなって燃費増が発生する問題、及びDPFに対する熱負荷が大きくなってDPFの再生能力が劣化する問題等を抑制することができる。
また、触媒担体のセルを螺旋状とすることにより、触媒担体の長さ以上の長さのセルが得られるので、DOCのサイズを大型化することなく、DOCのPM捕集能力の向上、及び酸化触媒としての本来の酸化能力(炭化水素成分等を酸化燃焼する能力)の向上が図られる。さらに、触媒担体のセルを螺旋状とすることにより、このDOCから下流のDPFに向けて流出した排気ガスに遠心力が働き、その結果、DPFにおいてPMが中心部に偏って堆積する、という不具合が抑制される。つまり、各セルが排気ガスの流れ方向に沿って直線状に延びる従来のDOCにおいては、DOCからDPFに向けて排気ガスが直線状に流出するので、DPFにおいてPMが外周部で少なく中心部で多く偏って堆積する傾向があるが、本発明に係るDOCでは、DOCから流出する排気ガスに螺旋状のセルに起因する遠心力が働くので、DPFにおいてPMが外周部にも拡散し、その結果、DPFにおいてPMが中心部に偏って堆積する、という不具合が抑制されるのである。
次に、前記請求項2に記載の発明によれば、前記触媒層の平均空孔径を、排気ガスの流れ方向の上流側で大きく下流側で小さくしたから、前記請求項1の効果に加えて、DOCの上流側で触媒層の空孔がPMによって目詰まりする、という問題を抑制することができる。
次に、前記請求項3に記載の発明によれば、前記触媒層の厚みを、セル内において、担体外周側で厚く担体中心側で薄くしたから、前記請求項1、2の効果に加えて、螺旋状のセルに起因する遠心力によりセル内において担体外周側で密になった排気ガスの流れが、同じくセル内において担体外周側で厚くされた触媒層と触れ合うことになり、その結果、DOCのPM捕集能力がより向上すると共に、酸化触媒としての本来の酸化能力もより向上することとなる。
次に、前記請求項4に記載の発明によれば、前記触媒層の平均空孔径を0.1μm以上で0.2μm未満としたから、前記請求項1〜3の効果に加えて、DOCによる平均径が0.2μmよりも小さいPM捕集能力の向上が図られる。以下、最良の実施形態及び実施例を通して本発明をさらに詳しく説明する。
図1は、本発明の最良の実施の形態に係るディーゼル酸化触媒30を備えたディーゼルエンジン10の排気系の構成を示す概略図である。このディーゼルエンジン10の排気ガス通路20に、上流側から、排気ガス中に含まれる炭化水素成分等を燃焼させるためのディーゼル酸化触媒(DOC)30と、排気ガス中に含まれるパティキュレート(PM)を捕集するためのディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)40とが、ユニットになって配設されている。ディーゼルエンジン10から排出された排気ガスは、DOC30を通過したのち、DPF40を通過する。
図2は、前記DPF40の縦端面図、図3は、正面図である。図示したように、このDPF40は、格子構造を有しており、互いに平行に延びる多数のセル通路41…41,42…42を備えている。これらのうち、排気ガス流入セル通路41は、担体入口部(排気ガスの流れ方向の上流側)の端部が開放され、担体出口部(排気ガスの流れ方向の下流側)の端部が閉塞された構成である。一方、排気ガス流出セル通路42は、逆に、担体入口部の端部が閉塞され、担体出口部の端部が開放された構成である。そして、これらの排気ガス流入セル通路41と排気ガス流出セル通路42とが交互に隣接するように並べられている。図2に矢印で示したように、DOC30を通過した排気ガスは、排気ガス流入セル通路41に流入し、隣接するセル通路41,42を隔てるセル壁43を通過して排気ガス流出セル通路42に移動したのち、DPF40から流出する。そして、この排気ガス流入セル通路41から排気ガス流出セル通路42への移動の間に、排気ガス中のPMが前記セル壁43に形成された図示しない細孔に捕集される。
図4は、前記DOC30のセル31が担体中心軸に対して螺旋状に形成されていることを示すためのDOC30の斜視透視図、図5は、前記DOC30の正面図及びDOC30のセル31の表面に設けられた触媒層32の拡大正面図である。図示したように、このDOC30は、フロースルー型の担体構造を有しており、多数のセル31…31は、上流側端部と下流側端部とが共に開放されている。そして、本実施形態においては、各セル31は、図4に明示したように、担体中心軸に対して、約半周だけ、螺旋状に形成されている。このような構造の触媒担体は、例えば、押し出し成形時に、全長を押し出す間に担体の始端部又は終端部を所定角度だけ回転させることによって製造することができる。
また、図5に明示したように、本実施形態においては、各セル31の表面に多孔質の触媒層32が設けられている。その場合に、この触媒層32には、図示しないが、触媒金属成分や助触媒成分等が含有されている。さらに、この触媒層32には、微細な空孔33…33が形成されている。ここで、空孔33の平均径は、0.1μm以上とされている(請求項1の構成)。
加えて、図5に明示したように、前記触媒層32の厚みは、各セル31内において、担体外周側が担体中心側よりも厚くされている(請求項3の構成)。このように触媒層32の厚みを偏倚させることは、例えば、触媒層32を構成することになるスラリーを担体にウォッシュコートしたのち、乾燥焼成するまでに、担体を中心軸周りに所定角速度で円周方向に回転させることによって得ることができる。
ここで、前記DOC30の触媒担体、より詳しくは担体基材は、例えばSiC(炭化ケイ素)を材料とした周知のセラミックス製である。また、触媒層32は、触媒金属成分と、助触媒成分と、空孔33を意図的に形成するためのクエン酸とを、水及びバインダと混合してスラリーとし、このスラリーを前記担体基材にウォッシュコートしたのち、乾燥及び焼成したものである。なお、触媒層32において、空孔33を意図的に形成するために、前記クエン酸に代えて、例えばポリメチルメタクリレート(PMMA)等も使用可能である。
その場合に、触媒層32に含有される触媒金属成分としては、酸化触媒能を有する白金(Pt)やロジウム(Rh)等が好ましく使用可能である(それらの1種又は2種以上を組み合わせて使用してもよい)。また、同じく触媒層32に含有される助触媒成分としては、例えば、活性酸素成分をその粒子表面に供給できる酸素イオン伝導能を有するZr系複合酸化物やペロブスカイト型複合酸化物、あるいは酸素吸蔵放出能を有するCe系複合酸化物等、PMの燃焼に寄与するものが好ましく使用可能である(それらの1種又は2種以上を組み合わせて使用してもよい)。そして、これらの触媒金属成分及び助触媒成分の協働作用により、このDOC30の前記空孔33に捕集されたPMを、その自然着火温度(600℃程度)よりも低い温度で燃焼除去することが可能となる。
以上のように、本実施形態においては、ディーゼルエンジン10の排気ガス通路20に配設されるDOC30において、フロースルー型の格子構造を有する触媒担体の各セル31を担体中心軸に対して螺旋状に形成したから、各セル31が排気ガスの流れ方向に沿って直線状に延びる従来のDOCと比べると、排気ガスとセル31との衝突が増して、本実施形態のDOC30は、排気ガス中に含まれるPMを捕集する能力に優れることとなる。しかも、前記セル31の表面に空孔33の平均径が0.1μm以上である多孔質の触媒層32を設けたから、排気ガス中に含まれるPMがセル31表面の多孔質の触媒層32の空孔33に効果的に捕集されるようになり、たとえ触媒担体がフロースルー型格子構造を有していても、本実施形態のDOC30は、高いPM捕集能力を具備することとなる。そして、これらによって、DPF40のみでPM捕集量ないし捕集率を改善しようとした場合に生じる不具合、すなわち、背圧の上昇による出力低下ないし燃費増が発生し易くなる問題、DPF40の自動再生制御の実行頻度が多くなって燃費増が発生する問題、及びDPF40に対する熱負荷が大きくなってDPF40の再生能力が劣化する問題等を抑制することができる。
また、触媒担体のセル31を螺旋状としたから、触媒担体の長さ以上の長さのセル31が得られることとなり、これにより、DOC30のサイズを大型化することなくコンパクトにしながら、DOC30のPM捕集能力の向上、及びDOC30が本来果たすべき酸化能力(炭化水素成分等を酸化燃焼する能力)の向上が図られる。さらに、触媒担体のセル31を螺旋状としたから、このDOC30から下流のDPF40に向けて流出した排気ガスに遠心力が働き、その結果、DPF40においてPMが中心部に偏って堆積する、という不具合が抑制される。
加えて、前記触媒層32の厚みを、各セル31内で、担体外周側において厚くし、担体中心側において薄くしたから、図5に矢印aで例示したように、螺旋状のセル31に起因する遠心力によりセル31内において担体外周側で密になった排気ガスの流れが、同じくセル31内において担体外周側で厚くされた触媒層32と触れ合うことになり、その結果、DOC30のPM捕集能力がより向上すると共に、DOC30としての本来の酸化能力もより向上することとなる。
<触媒層の作製>
触媒金属成分として白金(Pt)を用い、助触媒成分としてZrO−12mol%Nd(Zr−Nd複合酸化物)を用い、これらとクエン酸とを水及びバインダと混合してスラリーとし、このスラリーをSiC(炭化ケイ素)材料のセラミックス製担体基材(セルの構造が12mil/300cpsiのもの)にウォッシュコートした。次に、このスラリーをウォッシュコートした触媒担体を、後述する実施例1及び実施例2では、500℃で2時間、乾燥及び焼成することにより、厚みが一様の触媒層を前記担体の表面に作製した。一方、後述する実施例3及び実施例4では、前記スラリーをウォッシュコートした触媒担体を、150℃の乾燥炉中で直立させ、この状態で、中心軸周りに120rpmの速度で円周方向に回転させつつ30分間乾燥させ、引き続き500℃で2時間焼成することにより、厚みが偏倚した(担体外周側が担体中心側よりも厚くされた)触媒層を前記担体の表面に作製した。ここで、担体1リットル当たりの白金(Pt)の量は0.5g(0.5g/L)、ウォッシュコート量は担体1リットル当たり50g(50g/L)とした。そして、クエン酸添加量(Zr−Nd複合酸化物に対するモル量)を10mol%としたものを触媒層A、50mol%としたものを触媒層B、100mol%としたものを触媒層Cとした。また、クエン酸添加量を0(ゼロ)としたものを触媒層Xとした。
<平均空孔径の計測>
図面に代わる触媒層A,B,Cの走査型電子顕微鏡写真(30000倍)を図6、図7、図8に示す。触媒層A,B,Cの平均空孔径は、それぞれ走査型電子顕微鏡写真を画像解析することによって計測され、図9に示すように、触媒層Aの平均空孔径は0.11μm、触媒層Bの平均空孔径は0.125μm、触媒層Cの平均空孔径は0.17μmであった。また、図面に代わる走査型電子顕微鏡写真は示さないが、触媒層Xの平均空孔径は、同様にして0.09μmであった。これらの結果から明らかなように、クエン酸添加量が多くなるほど触媒層の平均空孔径が大きくなることが判った。触媒金属成分としてロジウム(Rh)を用いたり、あるいは白金(Pt)とロジウム(Rh)とを組み合わせて用いたり、助触媒成分としてCe系複合酸化物を用いたり、あるいはZr系複合酸化物とCe系複合酸化物とを組み合わせて用いたりしても、結果は同様であった。また、図9に示すように、クエン酸添加量(Zr−Nd複合酸化物に対するモル量)をおよそ130mol%程度とした場合に、平均空孔径が0.2μmである触媒層が得られた。
<DPF自動再生制御時におけるDOCの出口最高温度の測定>
図10にまとめて示すように、実施例1では、セルが螺旋形状の触媒担体を用い、セル表面に触媒層Bを設け(平均空孔径:0.125μm)、各セル内において触媒層Bの厚みを偏倚させずに一様にして、DOCを作製した。実施例2では、セルが螺旋形状の触媒担体を用い、セル表面に上流側半分の範囲で触媒層Cを設け(平均空孔径:0.17μm)ると共に、下流側半分の範囲で触媒層Aを設け(平均空孔径:0.11μm)、各セル内において触媒層C,Aの厚みを偏倚させずに一様にして、DOCを作製した。実施例3では、セルが螺旋形状の触媒担体を用い、セル表面に触媒層Bを設け(平均空孔径:0.125μm)、各セル内において触媒層Bの厚みを偏倚させて(担体外周側において厚くし、担体中心側において薄くして)、DOCを作製した。実施例4では、セルが螺旋形状の触媒担体を用い、セル表面に上流側半分の範囲で触媒層Cを設け(平均空孔径:0.17μm)ると共に、下流側半分の範囲で触媒層Aを設け(平均空孔径:0.11μm)、各セル内において触媒層C,Aの厚みを偏倚させて(担体外周側において厚くし、担体中心側において薄くして)、DOCを作製した。これらに対し、比較例では、セルが直線状の触媒担体を用い、セル表面に触媒層Xを設け(平均空孔径:0.09μm)、各セル内において触媒層Xの厚みを偏倚させずに一様にして、DOCを作製した。そして、それぞれ、ディーゼル排気ガス通路にDPFの上流にセットし、排気ガス温度が350℃で略一定となるようにディーゼルエンジンを運転して、ディーゼル排気ガスを上流側から流すことにより、DPFの自動再生制御を行い、そのときのDOCの出口最高温度を測定した。結果を図10に示す。
図10の結果から、実施例1〜4においては、比較例に比べて、DPF自動再生制御時のDOC出口最高温度がいずれも高いことが判った。このようにDOC出口部の温度が上昇するということは、DOCが本来有する酸化能力が向上していることを示すものである。併せて、DOCのPM捕集能力も向上し、その結果、燃焼温度の上昇に起因してDOC出口最高温度が上昇したものと考えられる。
その場合に、実施例2,4においては、触媒層の平均空孔径を、排気ガスの流れ方向の上流側(触媒層C:0.17μm)において下流側(触媒層A:0.11μm)よりも大きくしたから(請求項2の構成)、DOCの上流側で触媒層の空孔がPMによって目詰まりする、という問題が抑制される。
加えて、実施例3,4においては、対応する実施例1,2に比べて、それぞれDOC出口最高温度が高いことが判った。これは、各セル内において排気ガスの流れが遠心力でより密になる担体外周側の触媒層の厚みを担体中心側の触媒層の厚みよりも厚くしたから(請求項3の構成)、DOCのPM捕集能力と本来の酸化能力とが共に向上したものと考えられる。つまり、触媒層の厚みがより厚い担体外周側において、DOCによるPM捕集率が高まると共に、捕集されたPMと触媒層に含有された触媒成分との接触の可能性も高まり、これらが相俟って、DOCとしての諸機能が向上し、DOC出口最高温度がより一層上昇したものと考えられる。
さらに、実施例1〜4においては、触媒層の平均空孔径を下限が0.1μm以上で上限が0.2μm未満としたから(0.11μm、0.125μm、0.17μm:請求項4の構成)、DOCによるナノメートルサイズないしミクロンメートルサイズのPMの捕集率(平均径が0.2μmよりも小さいPMの捕集率)がさらに向上し、ひいては捕集したPMの燃焼速度ないしDOCの燃焼性能がさらに向上したものと考察される。
なお、以上の説明に加え、本発明においては、セルを螺旋状に形成することにより、通常の直線状のセルに比べて、セルの長さは、約半周の螺旋の場合、最外周部分で約2〜3倍の長さ、中心軸と外周面との中間部分で約1.3〜1.8倍の長さとなる。
また、前記実施例2,4では、平均空孔径が相対的に大きい触媒層をDOCの上流側に設け、平均空孔径が相対的に小さい触媒層をDOCの下流側に設けて、その長さの比率を1:1としたが、これに限らず、およそ2:1〜1:2の範囲で、同様の好ましい結果が得られる。上流側の長さの割合を大きくすると、比較的小さい粒子径のPMが捕集され難くなり、逆に、下流側の長さの割合を大きくすると、比較的大きい粒子径のPMが捕集され難くなるので、このことを考慮して状況に応じて長さの比率を適宜決定すればよい。
また、DOCの触媒成分及びその含有量は、前述の例以外に、例えば、Al、CeO、ゼオライト(HCの酸化に機能する)を同重量比で混合し、この混合物に対し、Ptを3〜5g/Lで担持させたものでもよい。担体へのコート量は、例えば、100〜200g/L、より好ましくは150g/Lである。
また、触媒層の厚みを担体外周側において相対的に厚くし、担体中心側において相対的に薄くする場合、その厚みの好ましい比率は、例えば、担体外周側の触媒層の厚みがセルの対角線長さの20%程度、担体中心側の触媒層の厚みがセルの対角線長さの5%程度、等である。
また、本発明に係るディーゼル酸化触媒は、概ね、酸化触媒1Lあたり0.5gのPMを捕集することが可能である(0.5g/L)。DPFとは別に、DOCに高いPM捕集能力を持たせることによって、本来DPFで捕集する必要のあるPMを上流のDOCで先に捕集することができる。その結果、例えば、所定時間が経過するたびにDPFの自動再生制御を行うようになっている場合は、その再生に要する時間が短縮化する、という効果が得られる。一方、前述したように、DPFに捕集されたPMの量が所定量以上となればDPFの自動再生制御を行うようになっている場合には、その再生頻度が少なくなる(自動再生制御間の時間間隔が長くなる)、という効果が得られる。
さらに、本発明に係るディーゼル酸化触媒は、DPFとは別に高いPM捕集能力を具備するが、通例、酸化触媒は、エンジンに近く、排気ガス温度のより高い、排気ガス通路の上流側(直結位置:直キャタ)に配置できるため、自動再生制御を行っていない通常運転時において再生が良好に進み易い、という利点もある。その結果、DPFに捕集されたPMの量が所定量以上となり難くなり、DPFの再生頻度がより少なくなる。
以上、具体例を挙げて詳しく説明したように、本発明は、ディーゼルエンジンの排気ガス通路に配設されるディーゼル酸化触媒において、該酸化触媒のサイズを大型化することなくコンパクトにしながら、高いパティキュレート捕集能力を具備させ、かつ、酸化触媒としての諸機能の向上を図ることができる技術であるから、車両の排気エミッション性能の向上を図る技術分野において広範な産業上の利用可能性が期待される。
本発明の最良の実施の形態に係るディーゼル酸化触媒を備えたディーゼルエンジンの排気系の構成を示す概略図である。 前記排気系に備えられたパティキュレートフィルタの縦端面図である。 前記パティキュレートフィルタの正面図である。 前記ディーゼル酸化触媒のセル通路が担体中心軸に対して螺旋状に形成されていることを示すためのディーゼル酸化触媒の斜視透視図である。 前記ディーゼル酸化触媒の正面図及びディーゼル酸化触媒のセル表面に設けられた触媒層の拡大正面図である。 平均空孔径が0.11μmである触媒層Aの微細構造を示すための図面に代わる走査型電子顕微鏡写真である。 平均空孔径が0.125μmである触媒層Bの微細構造を示すための図面に代わる走査型電子顕微鏡写真である。 平均空孔径が0.17μmである触媒層Cの微細構造を示すための図面に代わる走査型電子顕微鏡写真である。 前記触媒層A,B,C及び触媒層Xの平均空孔径を比較して示すグラフである。 実施例1,2,3,4及び比較例のディーゼル酸化触媒の構成と、DPF自動再生制御時におけるディーゼル酸化触媒の出口最高温度の測定結果とをまとめて示すテーブルである。
符号の説明
10 ディーゼルエンジン
20 排気ガス通路
30 ディーゼル酸化触媒(DOC)
31 セル
32 触媒層
33 空孔
40 ディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)
41 排気ガス流入セル通路
42 排気ガス流出セル通路
43 セル壁

Claims (4)

  1. ディーゼルエンジンの排気ガス通路に配設される酸化触媒であって、
    触媒担体がフロースルー型の担体であると共に、
    触媒担体の各セルが担体中心軸に対して螺旋状に形成され、
    かつ前記セルの表面に平均空孔径が0.1μm以上である多孔質の触媒層が設けられていることを特徴とするディーゼル酸化触媒。
  2. 請求項1に記載のディーゼル酸化触媒であって、
    前記触媒層の平均空孔径は、排気ガスの流れ方向の上流側が下流側よりも大きいことを特徴とするディーゼル酸化触媒。
  3. 請求項1又は2に記載のディーゼル酸化触媒であって、
    前記触媒層の厚みは、セル内において、担体外周側が担体中心側よりも厚いことを特徴とするディーゼル酸化触媒。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載のディーゼル酸化触媒であって、
    前記触媒層の平均空孔径が0.2μm未満であることを特徴とするディーゼル酸化触媒。
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