以下、本発明の好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る接合構造を備えた外壁支持構造の外観を示す斜視図である。図2は、図1に示す外壁支持構造の架構を模式的に示すモデル図である。図3は、図1に示すIII−III線に沿った断面図である。図4は、図2に示すVIの方向からフレーム体を見た図である。図1,2に示すように、外壁支持構造1は、少なくとも1以上の階を有する建物100のベランダ101などに設けられた外部床部102に適用される。外壁支持構造1は、建物100の主架構を構成して外部床部102を支持する梁2と、当該梁2の上に支持される外壁部3と、を備えている。外壁部3は、平均的な大人の身長よりも高く設定されることが好ましい。外壁部3は、建物の外部床部102を有する階の階高の少なくとも半分以上が好ましく、2/3程度が好ましい。あるいは、外壁部3の長手方向の大きさは、160〜190cmに設定することが好ましい。このような外壁部3により、隣接する建物からの視線が遮断される一方、採光を確保できるものとなっている。また、本実施形態では、ベランダ101全体が外壁部3で覆われているのではなく、一部が開放されているため、視線を遮断したい方向からは十分にプライバシーを保護する一方で、ベランダ101内を開放的な空間にすることができる。また、ベランダ101全体が外壁部3で覆われていてもよい。なお、建物の主架構とは、少なくとも建物の外壁や床を支持する梁と、該梁の端部を接続する柱とを備えるものであり、当該梁柱に加えて耐震壁やブレース等の耐震要素も含めた構成のことをいう。また、当該主架構の形式としては、梁と柱を中心としたラーメン構造のみならず、各階で梁を通して当該梁を各階の階高相当の高さを有する柱や耐震要素で支持する梁勝ちの構造等も含む。
梁2は、ベランダ101において外部床部102を支持する梁である。具体的には、梁2は、外部床部102の外縁部を支持する大梁と、外部床部102の内側に架設される小梁と、を備えている。梁2の大梁は、外部床部102の外縁部を支持しており、小梁は、各大梁に架設されている。
外壁部3は、梁2の上に立設されるフレーム体4と、フレーム体4に支持されて当該フレーム体4を包囲する複数の外壁版6と、フレーム体4の上部を覆う笠木7と、を備えている。フレーム体4は、梁2上に組み上げられており、当該梁2を介して建物100の主架構に連結されている。外壁版6は、フレーム体4に上端部をロッキング可能に支持されると共に、下端部を梁2に支持されている。外壁版6は、ALCパネルなどによって構成される。
フレーム体4は、外壁版6を支持するための鉄骨部材によって構成されており、外部床部102の外縁部の延在方向に沿って延在する長尺な本体部13と、本体部13の端部又は中途部から有角状に延在する控部14と、を備える。本体部13は、外部床部102上に立設されている。控部14は、本体部13の端部又は中途部から有角状に突出した状態で外部床部102上に立設される。本体部13は、梁2上に固設される複数の主支柱21と、主支柱21で支持される主横架材(長尺部材)22と、を備える。主支柱21は、梁2の大梁の中途部又は角部に配置されている。主横架材22は、隣り合う主支柱21同士の間に架け渡されている。また、控部14は、複数の主支柱21に対向して設けられる控支柱24と、控支柱24と主支柱21間に架け渡される控横架材26と、を備える。控支柱24は、隣り合う主支柱21と対向するように梁2の小梁に配置されている。控横架材26は、主支柱21と控支柱24との間に架け渡されている。
図3に示すように、主横架材22は、平板状の底板部36と、該底板部36の幅方向の両端縁部から直交する方向にそれぞれ立ち上がる平板状の立上り部31,32と、立上り部31,32の上端から外側へそれぞれ突出するフランジ部33,34と、を備えている。立上り部31,32は、互いに対向し合う立上り部裏面31a,32aと、外側の立上り部表面31b,32bと、を有している。立上り部31,32は、主支柱21の外面よりも外方となる位置で外壁版6をロッキング支持する。フランジ部33,34は、水平状に突出して主横架材22の面外曲げに対する強度向上に寄与すると共に、外壁版6の上端面6bを覆う。主横架材22は、上方に開口するような断面ハット状の形状を有しており、上端側の開口部は、上端側で立上り部31,32同士を連結する防水鋼板37で覆われている。具体的には、立上り部31はベランダ101の外側に配置され、フランジ部33は、立上り部31の上端部からベランダ101の外側へ向かって水平に突出する。立上り部32はベランダ101の内側に配置され、フランジ部34は、立上り部32の上端部からベランダ101の内側へ向かって水平に突出する。ベランダ101の外側では、外壁版6の裏面6aが立上り部31の立上り部表面31bと接触した状態で支持され、外壁版6が、主支柱21の外面よりも外方となる位置でロッキング支持される。また、外壁版6の上端面6bは、フランジ部33で覆われる。ベランダ101の内側では、外壁版6の裏面6aが立上り部32の立上り部表面32bと接触した状態で支持され、外壁版6が、主支柱21の外面よりも外方となる位置でロッキング支持される。また、外壁版6の上端面6bは、フランジ部34で覆われる。控横架材26も主横架材22と同様の構成を有する。
図3を参照して、外壁版6のロッキング支持構造について説明する。外壁版6は、フレーム体4に相対回転可能に保持されている。具体的には、外壁版6の上端側の部分における幅方向の中央位置に、一本のボルト41が挿通される。ボルト41は、立上り部31,32に対してナット42で固定される。このように上端部を一本のボルト41で固定することにより、外壁版6は、地震時などにボルト41を軸として相対的に回転移動することができる。一方、外壁版6の下端側は梁2によって支持されている。外壁版6の下端面6cは、梁2の上面に設けられた支持プレート43に載置されている。梁2の支持プレート43の上面には、上方へ突出すると共に梁2の長手方向に沿って延びる一対の支持片44が形成されている。一方の支持片44は、ベランダ外側に配置される外壁版6の裏面6aと接触し、他方の支持片44は、ベランダ内側に配置される外壁版6の裏面6aと接触する。外壁版6の裏面6aには、支持片44を挟み込むように支持板46が取り付けられると共に、当該支持板46が外壁版6に対してボルト47で締結される。これによって、梁2の支持プレート43に固定された支持片44を、外壁版6と支持板46とで挟み込む構造となるため、外壁版6の下端部が梁2に支持される。
図4に示すように、主横架材22は、長手方向に延在する長尺な部材であり、主支柱21と主支柱21の間の距離が、一本当たりの主横架材22の長さよりも大きくなる場合がある。この場合は、一方の主横架材22Aの長手方向の端部22aと他方の主横架材22Bの長手方向の端部22bを突合せ、この突合せ部CPにて主横架材22Aと主横架材22Bとが接合される。この突合せ部CPに本実施形態に係る接合構造200が接合される。突合せ部CPでは、主横架材22Aの立上り部31,32が主横架材22Bの立上り部31,32と突き合わされ、主横架材22Aの底板部36が主横架材22Bの底板部36と突き合わされ、主横架材22Aのフランジ部33,34が主横架材22Bのフランジ部33,34と突き合わされている。これにより、主横架材22Aと主横架材22Bは一本の主横架材22のように構成される。
次に、図5〜図7を参照して、本実施形態に係る接合構造200について詳細に説明する。図5は、本発明の実施形態に係る接合構造200を主横架材22A,22Bの長手方向から見た図である。図6は、図5に示す接合構造200をVIに示す方向から見た図である。図7は、図5に示すVII−VII線に沿った断面図である。図5〜図7に示すように、接合構造200は、互いに突き合わされた主横架材22A,22Bと、主横架材22A,22Bの立上り部31A,31B同士を連結する連結プレート50と、主横架材22A,22Bの立上り部32A,32B同士を連結する連結プレート60と、主横架材22A,22Bの底板部36A,36B同士を連結する連結プレート70と、主横架材22A,22Bのフランジ部33A,33B同士を連結する連結プレート80と、主横架材22A,22Bのフランジ部34A,34B同士を連結する連結プレート90と、を備えている。
図7に示すように、立上り部32A,32B同士を連結する連結プレート60は、長方形状の平板プレートであり、主横架材22Aの立上り部32Aの立上り部裏面32aと、主横架材22Bの立上り部32Bの立上り部裏面32aとを跨いだ状態で設けられている。連結プレート60は、主横架材22Aの立上り部裏面32aに当接する第1対向面61Aと、主横架材22Bの立上り部裏面32aに当接する第2対向面61Bと、を備える。第1対向面61Aと第2対向面61Bとは、長手方向における中心線L1を挟んで線対称な形状・大きさとなっている。連結プレート60は、その長手方向における中心線L1が突合せ部CPの位置にくるように配置されている。連結プレート60は、底板部36A,36Bと平行な上下一対の横外縁部60a,60bと、横外縁部60a,60bと垂直をなすと共に互いに平行な縦外縁部60c,60dと、を有している。連結プレート60の縦方向(上下方向)の大きさは主横架材22A,22B同士の十分な接合強度を確保できる大きさであれば特に限定されない。本実施形態では立上り部32A,32Bの上下方向の略全領域を覆う大きさに形成されているが、溶接部を形成するためのスペースを確保するため、上側の横外縁部60aは主横架材22の上端よりも僅かに下方に離間している。下側の横外縁部60bも主横架材22の下端よりも僅かに上方に離間している。連結プレート60の横方向(主横架材22の長手方向)の大きさは主横架材22A,22B同士の十分な接合強度を確保できる大きさであれば特に限定されないが、本実施形態では、立上り部32A,32Bの上下方向の大きさと略同じ大きさに設定されている。
連結プレート60の第1対向面61Aには、上下一対の開口部62A,63Aが設けられている。開口部62A,63Aは、主横架材22Aの長手方向に沿って延びる長方形状の貫通孔である。上側の開口部62Aは、底板部36Aに平行な上下一対の横開口縁部62a,62bを備えると共に、横開口縁部62a,62bの端部同士を連結する互いに平行な一対の縦開口縁部62c,62dを備えている。下側の開口部63Aは、底板部36Aに平行な上下一対の横開口縁部63a,63bを備えると共に、横開口縁部63a,63bの端部同士を連結する互いに平行な一対の縦開口縁部63c,63dを備えている。開口部62A及び開口部63Aは、互いに同じ形状・大きさに形成されており、開口部62A及び開口部63Aは、主横架材22Aの長手方向において同位置に配置され、上下方向においては、上側の横外縁部60aと横開口縁部62aとの間の距離と下側の横外縁部60bと横開口縁部63bとの間の距離が同じとなるように配置されている。
主横架材22Aの立上り部31,32には、立上り部表面31b,32bに平板状の外壁版6を留め付けるための複数の貫通孔39が設けられている。連結プレート60は、開口部63Aを貫通孔39に対向させた状態で、一対の主横架材22A,22Bの長手方向端縁部間に設けられている。
開口部62Aには、底板部36Aに近い方の横開口縁部62bと立上り部裏面32aに亘る開口溶接部64Aが設けられている。また、開口溶接部64Aには、溶接を施さない中断部64aが設けられている。中断部64aは、横開口縁部62bの中央位置に一箇所形成されている。開口部63Aには、底板部36Aに近い方の横開口縁部63bと立上り部裏面32aに亘る開口溶接部65Aが設けられている。また、開口溶接部65Aには、溶接を施さない中断部65aが設けられている。中断部65aは、横開口縁部63bの中央位置に一箇所形成されている。連結プレート60の第1対向面61Aには、底板部36Aから遠い方の横外縁部60aと立上り部裏面32aに亘って横外縁溶接部66Aが設けられている。また、横外縁溶接部66Aには、溶接を施さない中断部66aが設けられている。中断部66aは、第1対向面61Aにおける横外縁部60aの中央位置に一箇所形成されている。中断部64a,65a,66aは、長手方向において同じ大きさ・位置に形成されている。
連結プレート60の第1対向面61Aの縦外縁部60cには、当該縦外縁部60cと立上り部裏面32aに亘って縦外縁溶接部67Aが設けられている。また、縦外縁溶接部67Aは、開口部62Aの一対の縦開口縁部62c,62dと同じ高さとなる位置に溶接を施さない中断部67aと、開口部63Aの一対の縦開口縁部63c,63dと同じ高さとなる位置に溶接を施さない中断部67bと、を備えている。
連結プレート60の第2対向面61Bは、第1対向面61Aと中心線L1を挟んで線対称な構成を有している。従って、第2対向面61Bは、第1対向面61Aの開口部62A,63A、横開口縁部62a,62b,63a,63b、縦開口縁部62c,62d,63c,63d、開口溶接部64A,65A、横外縁溶接部66A、縦外縁溶接部67A、中断部64a,65a,66a,67a,67bと同様な構成を有する開口部62B,63B、横開口縁部62a,62b,63a,63b、縦開口縁部62c,62d,63c,63d、開口溶接部64B,65B、横外縁溶接部66B、縦外縁溶接部67B、中断部64a,65a,66a,67a,67bを備えている。また、立上り部31A,31B同士を連結する連結プレート50は、立上り部32A,32B同士を連結する連結プレート60と同様の構成を有している。
図6に示すように、底板部36A,36B同士を連結する連結プレート70は、長方形状の平板プレートであり、主横架材22Aの底板部36Aの底板部下面36aと、主横架材22Bの底板部36Bの底板部下面36aとを裏面を跨いだ状態で設けられている。連結プレート70は、主横架材22Aの底板部下面36aに当接する第1対向面71Aと、主横架材22Bの底板部下面36aに当接する第2対向面71Bと、を備える。第1対向面71Aと第2対向面71Bとは長手方向における中心線L2を挟んで線対称な形状・大きさとなっている。連結プレート70の長手方向における中心線L2が突合せ部CPの位置にくるように配置されている。連結プレート70は、立上り部31A,32A,31B,32Bと平行な一対の横外縁部70a,70bと、横外縁部70a,70bと垂直をなすと共に互いに平行な縦外縁部70c,70dと、を有している。連結プレート70の縦方向(主横架材22の幅方向)の大きさは主横架材22A,22B同士の十分な接合強度を確保できる大きさであれば特に限定されない。本実施形態では底板部36A,36Bの幅方向の略全領域を覆う大きさに形成されているが、溶接部を形成するためのスペースを確保するため、一方の横外縁部70aは底板部36A,36Bの幅方向の一端よりも僅かに内側に離間している。他方の横外縁部70bも底板部36A,36Bの幅方向の他端よりも僅かに内側に離間している。連結プレート70の横方向(主横架材22の長手方向)の大きさは主横架材22A,22B同士の十分な接合強度を確保できる大きさであれば特に限定されないが、本実施形態では、底板部36A,36Bの幅方向の大きさと略同じ大きさに設定されている。
連結プレート70の第1対向面71Aには、開口部72Aが設けられている。開口部72Aは、主横架材22Aの長手方向に沿って延びる長方形状の貫通孔である。開口部72Aは、立上り部31A,32A,31B,32Bに平行な一対の横開口縁部72a,72bを備えると共に、横開口縁部72a,72bの端部同士を連結する互いに平行な一対の縦開口縁部72c,72dを備えている。開口部72Aは、第1対向面71A中の幅方向及び縦方向の中央位置に配置されている。
主横架材22Aの底板部36には、底板部下面36aに複数の貫通孔38が設けられている。連結プレート70には、貫通孔38に対応する円形状の開口部73Aは、貫通孔38に対向する位置に設けられている。
開口部72Aには、横開口縁部72a,72bと底板部下面36aに亘る開口溶接部74A,75Aが設けられている。また、開口溶接部74A,75Aには、溶接を施さない中断部74a,75aが設けられている。中断部74a,75aは、横開口縁部72a,72bの中央位置に一箇所形成されている。連結プレート70の第1対向面71Aには、横外縁部70a,70bと底板部下面36aに亘って横外縁溶接部76A,77Aが設けられている。また、横外縁溶接部76A,77Aには、溶接を施さない中断部76a,77aが設けられている。中断部76a,77aは、第1対向面71Aにおける横外縁部70a,70bの中央位置に一箇所形成されている。中断部74a,75a,76a,77aは、長手方向において同じ大きさ・位置に形成されている。
連結プレート70の第1対向面71Aの縦外縁部70cには、当該縦外縁部70cと底板部下面36aに亘って縦外縁溶接部78Aが設けられている。また、縦外縁溶接部78Aは、開口部72Aの一対の縦開口縁部72c,72dよりも幅方向外側の位置に溶接を施さない中断部78aを備えている。
連結プレート70の第2対向面71Bは、第1対向面71Aと中心線L2を挟んで線対称な構成を有している。従って、第2対向面71Bは、第1対向面71Aの開口部72A,73A、横開口縁部72a,72b、縦開口縁部72c,72d、開口溶接部74A,75A、横外縁溶接部76A,77A、縦外縁溶接部78A、中断部74a,75a,76a,77a,78aと同様な構成を有する開口部72B,73B、横開口縁部72a,72b、縦開口縁部72c,72d、開口溶接部74B,75B、横外縁溶接部76B,77B、縦外縁溶接部78B、中断部74a,75a,76a,77a,78aを備えている。
フランジ部33A,33B同士を連結する連結プレート80は、長方形状の平板プレートであり、主横架材22Aのフランジ部33Aのフランジ部下面33aと、主横架材22Bのフランジ部33Bのフランジ部下面33aとを裏面を跨いだ状態で設けられている。連結プレート80は、主横架材22Aのフランジ部下面33aに当接する第1対向面81Aと、主横架材22Bのフランジ部下面33aに当接する第2対向面81Bと、を備える。第1対向面81Aと第2対向面81Bとは、中心線L2を挟んで線対称な形状・大きさとなっている。連結プレート80の長手方向における中心線L2が突合せ部CPの位置にくるように配置されている。連結プレート80は、立上り部31A,32A,31B,32Bと平行な一対の横外縁部80a,80bと、横外縁部80a,80bと垂直をなすと共に互いに平行な縦外縁部80c,80dと、を有している。連結プレート80の縦方向(主横架材22の幅方向)の大きさは主横架材22A,22B同士の十分な接合強度を確保できる大きさであれば特に限定されない。本実施形態ではフランジ部33A,33Bの幅方向の略全領域を覆う大きさに形成されているが、溶接部を形成するためのスペースを確保するため、外側の横外縁部80aはフランジ部33A,33Bの外縁よりも僅かに内側に離間している。内側の横外縁部80bも底板部36A,36Bの内縁よりも僅かに外側に離間している。連結プレート80の横方向(主横架材22の長手方向)の大きさは主横架材22A,22B同士の十分な接合強度を確保できる大きさであれば特に限定されないが、本実施形態では、底板部36A,36B用の連結プレート70の大きさと略同じ大きさに設定されている。
連結プレート80の第1対向面81Aには、横外縁部80a,80bとフランジ部下面33aに亘って横外縁溶接部86Aが設けられている。また、横外縁溶接部86Aには、溶接を施さない中断部86aが設けられている。中断部86aは、第1対向面81Aにおける横外縁部80aの中央位置に一箇所形成されている。中断部86aは、長手方向において中断部74a,75a,76a,77aと同じ大きさ・位置に形成されている。また、連結プレート80の第1対向面81Aの縦外縁部80cには、当該縦外縁部80cとフランジ部下面33aに亘って縦外縁溶接部87Aが設けられている。
連結プレート80の第2対向面81Bは、第1対向面81Aと中心線L2を挟んで線対称な構成を有している。従って、第2対向面81Bは、第1対向面81Aの横外縁溶接部86A、縦外縁溶接部87A、中断部86aと同様な構成を有する横外縁溶接部86B、縦外縁溶接部87B、中断部86aを備えている。また、フランジ部34A,34B同士を連結する連結プレート90は、フランジ部33A,33B同士を連結する連結プレート80と同様な構成を有する横外縁部90a,90b、縦外縁部90c,90d、横外縁溶接部96A,96B、縦外縁溶接部97A,97B、中断部96aを備えている。
次に、本実施形態に係る接合構造200の作用・効果について説明する。なお、立上り部31,32に対する連結プレート50,60のうち、連結プレート60について説明を行うが、連結プレート50についても同様の作用・効果が得られる。
本実施形態に係る主横架材22A,22Bの接合構造200によれば、立上り部裏面32aに連結プレート60が設けられ、当該連結プレート60と立上り部裏面32aとの間で溶接が施されるものとなっているので、主横架材22A,22Bの接合後であっても主横架材22A,22Bの立上り部表面32b(外壁版6が接触する面である)は平滑状態を維持することができる。
フランジ部33A,33Bを連結する連結プレート80もフランジ部下面33aに設けられ、フランジ部34A,34Bを連結する連結プレート90もフランジ下面34aに設けられているため、フランジ部上面33b,34b(笠木7などが接触する面である)の平滑状態を維持できる。
また、連結プレート60に横開口縁部62a,63aを備えた開口部62A,62B,63A,63Bが設けられ、当該横開口縁部62b,63bと立上り部裏面32aとの間で開口溶接部64A,64B,65A,65Bが設けられている。従って、これら一対の主横架材22A,22Bの接合強度を確保すべるために性能上要求される溶接長さを当該主横架材22A,22Bの突合せ部CP周辺に集中させることができ、これによって、施工性の向上が図られている。
底板部36A,36Bを連結する連結プレート70にも開口部72A,72Bが設けられ、開口溶接部74A,74B,75A,75Bが設けられている。従って、これら一対の主横架材22A,22Bの接合強度を確保すべるために性能上要求される溶接長さを当該主横架材22A,22Bの突合せ部CP周辺に集中させることができ、これによって、施工性の向上が図られている。
更には、開口部62A,62B,63A,63Bの上下一対の横開口縁部62a,62b,63a,63bのうち、少なくとも底板部36A,36Bに近い方の横開口縁部62b,63bに溶接が施されるものとなっている。当該部位は、主横架材の上方(開放側)から視認可能であって、且つ溶接棒(溶接機器)WMの先端部を対向可能な位置であるので(図5を参照)、当該部位に開口溶接部64A,64B,65A,65Bを設けることにより、溶接作業の作業性の向上を図ることができるものとなっているのである。以上によって、施工性及び作業性の向上を図りつつ、主横架材22A,22Bを長手方向に連結するに際し、当該接合部の接合強度を確保することができる。
また、本実施形態に係る主横架材22A,22Bの接合構造200において、開口溶接部64A,64B,65A,65Bには、溶接を施さない中断部64a,65aが設けられている。溶接接合は極めて高温でなされるため、当該高温の熱が局所的に集中することによって、平板状の立上り部32等に変形が生じてしまい、余盛りによって熱がこもる可能性がある。しかし、開口溶接部64A,64B,65A,65Bに中断部64a,65aを設けることにより、中断部64a,65aを通じて熱が逃げることとなり、これによって、溶接に伴う主横架材22A,22Bの変形等を回避することができるものとなっている。
底板部36A,36Bを連結する連結プレート70の開口溶接部74A,74B,75A,75Bも、中断部74a,75aが設けられている。従って、中断部74a,75aを通じて熱が逃げることとなり、これによって、溶接に伴う主横架材22A,22Bの変形等を回避することができるものとなっている。
また、本実施形態に係る主横架材22A,22Bの接合構造200において、連結プレート60は、横開口縁部62a,62b,63a,63bに平行な横外縁部60a,60bを備えており、底板部36から遠い方の横外縁部60aと立上り部裏面32aに亘って横外縁溶接部66A,66Bが設けられている。これによれば、底板部36に遠い方の横外縁部60aは、連結プレート60の中で開放側に近く、アクセスが容易であって上方(主横架材22A,22Bの開放側)から視認可能であって、且つ溶接棒(溶接機器)WMの先端部を対向可能な位置であるので(図5を参照)、当該部位に横外縁溶接部66A,66Bを設けることにより、溶接作業の作業性の向上を図ることができる。
フランジ部33A,33Bを連結する連結プレート80及びフランジ部34A,34Bを連結する連結プレート90についても、溶接棒WMの先端部を対向可能な幅方向外側の横外縁部80a,90aに横外縁溶接部86A,86B,96A,96Bが形成されている。
また、本実施形態に係る主横架材22A,22Bの接合構造200において、横外縁溶接部66A,66Bには、溶接を施さない中断部66aが設けられている。溶接接合は極めて高温でなされるため、当該高温の熱が局所的に集中することによって、平板状の立上り部32等に変形が生じてしまい、余盛りによって熱がこもる可能性がある。しかし、横外縁溶接部66A,66Bに中断部66aを設けることにより、中断部66aを通じて熱が逃げることとなり、これによって、溶接に伴う主横架材22A,22Bの変形等を回避することができるものとなっているのである。
底板部36A,36Bを連結する連結プレート70の横外縁溶接部76A,76B,77A,77Bにも中断部76a,77aが設けられている。また、フランジ部33A,33Bを連結する連結プレート80の横外縁溶接部86A,86B及びフランジ部34A,34Bを連結する連結プレート90の横外縁溶接部96A,96Bにも中断部86a,96aが設けられている。これにより、中断部86a,96aを通じて熱が逃げる。これによって、溶接に伴う主横架材22A,22Bの変形等を回避することができるものとなっているのである。
また、本実施形態に係る主横架材22A,22Bの接合構造200において、連結プレート60では、縦外縁溶接部67A,67Bは、開口部62A,62B,63A,63Bの縦開口縁部62c,63cと同じ高さとなる位置に溶接を施さない中断部67a,67bを備えている。風荷重等の水平荷重により主横架材22A,22Bに面外曲げ(主横架材22A,22Bの長さ方向に直交する方向の曲げ)が生じる場合、それに伴って連結プレート60が引張り又は圧縮されるものとなる。このとき当該連結プレート60の縦外縁部60c,60dが縦外縁溶接部67A,67Bによって主横架材22A,22Bの立上り部31A,31B,32A,32Bに連結されているため、当該縦外縁溶接部67A,67Bが当該連結プレート60の引張り又は圧縮変形に抗する剛性の大きな部位として機能する。これによって当該部位の接合強度をより一層高めることができるものとなっているのである。一方、開口部62A,62B,63A,63Bの縦開口縁部62c,63cと同じ高さ位置になる部位は、当該開口部62A,62B,63A,63Bが存在するために応力を伝達されることができず上述の如き面外変形に抗する部位とはなり難い。したがって当該部位については溶接を施さず中断部とすることで、当該部位を溶接時に発生する熱を逃がす部分として機能させることができる。
底板部36A,36Bを連結する連結プレート70について、縦外縁溶接部78A,78Bは、開口部72A,72Bの縦開口縁部72cと同じ幅方向位置に溶接を施さない中断部78aを備えている。従って、縦外縁溶接部78A,78Bが連結プレート70の引張り又は圧縮変形に抗する剛性の大きな部位として機能する。これによって当該部位の接合強度をより一層高めることができるものとなっているのである。一方、開口部72A,72Bの縦開口縁部72cと同じ幅方向位置になる部位は、当該開口部72A,72Bが存在するために応力を伝達されることができず上述の如き面外変形に抗する部位とはなり難い。したがって当該部位については溶接を施さず中断部とすることで、当該部位を溶接時に発生する熱を逃がす部分として機能させることができる。
また、本実施形態に係る主横架材22A,22Bの接合構造200において、主横架材22A,22Bのそれぞれの立上り部32には、立上り部表面32bに平板状の外壁版6を留め付けるための複数の貫通孔39が設けられており、連結プレート60は、各対向面の開口部63A,63Bを貫通孔39に対向させた状態で一対の主横架材22A,22Bの長手方向端縁部間に設けられている。これによれば、連結プレート60の開口部63A,63Bを貫通孔39に対向させた状態とすることにより、当該開口部63A,63Bは、溶接長さを確保するのみならず連結プレート60越しに貫通孔39を介して外壁版6を取り付ける場合の開口としても機能する。
以上によって、本実施形態に係る接合構造200によれば、主横架材22A,22Bを長手方向に連結するに際し、外壁版6を支持する立上り部表面31b,32bの平滑状態を維持し、且つ施工性及び作業性の向上を図りつつも、当該接合部の接合強度を確保することができる。
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。例えば、各連結プレート50〜90の形状や大きさは上述の実施形態に限定されるものではなく、要求される接合強度や、接合する主横架材の大きさや形状に応じて適宜変更してもよい。また、少なくとも立上り部31,32を連結するための連結プレート50,60にて接合されていればよく、連結プレート70〜90を適宜省略してもよい。
また、各連結プレートに形成される開口部の形状、大きさ、数量は上述の実施形態に限定されない。例えば、連結プレート50,60には、第1対向面及び第2対向面に対して二つずつ開口部が設けられているが、一つでもよく三つ以上でもよい。また、第1対向面の開口部と第2対向面の開口部は互いに独立した貫通孔となっているが、一つの大きな開口部として第1対向面及び第2対向面を跨いでもよい。また、溶接部及び中断部を設ける場所は、好適な例として上述の実施形態を挙げたが、特に限定されない。すなわち、上述の実施形態に対して、中断部のパターンを変更してもよく、あるいは中断部を設けなくともよく、また、溶接部に設けられていない部分に溶接部を設けてもよく、何れかの溶接部を省略してもよい。
また、接合する長尺部材も、上述のような主横架材22に限定されず、形状・大きさを適宜変更してもよい。