JP5842828B2 - ドリル孔あけ用エントリーシート - Google Patents
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Description
本発明は、銅張積層板又は多層板のドリル孔あけ加工の際に使用される、ドリル孔あけ用エントリーシートに関するものである。
プリント配線板材料に使用される銅張積層板又は多層板のドリル孔あけ加工方法としては、銅張積層板又は多層板を、1枚又は複数枚重ね、その最上部に当て板としてアルミニウム等の金属箔単体又は金属箔表面に樹脂組成物層を形成したシート(以下、本明細書ではこのシートを、通常「ドリル孔あけ用エントリーシート」という。)を配置して孔あけ加工を行う方法が一般的に採用されている。
近年、プリント配線板材料である銅張積層板又は多層板に対する要求として、高密度化の進展、生産性向上とコスト低減、信頼性向上があり、孔位置精度の向上等の高品質な孔あけ加工が求められている。これらの要求に対応すべく、例えば特許文献1では、ポリエチレングリコールなどの水溶性樹脂からなるシートを使用した孔あけ加工法が提案されている。また、特許文献2では、金属箔に水溶性樹脂層を形成した孔あけ用滑剤シートが提案されている。さらに、特許文献3では、熱硬化性樹脂薄膜を形成したアルミニウム箔に水溶性樹脂層を形成した孔あけ用エントリーシートが提案されている。そしてまた、特許文献4〜5では、ナノ粉末を配合しドリルビットの寿命を延長する補助材料が提案されている。
しかしながら、半導体技術の進展に比して、プリント配線板技術のそれは遅く、半導体技術との乖離がある。そのため、プリント配線板に対する高密度化と信頼性向上の要求は、益々高度化している。例えば、量産における最小ドリルビット径は、0.2mmφから、0.18mmφ、0.15mmφを経て、0.105mmφに移行しつつある。また、レーザー孔あけ技術に対抗して、ごく一部では、0.08mmφ、0.075mmφ、0.05mmφのドリル孔あけが試みられている。さらに、グローバル化による競争と新興国需要の取り込みのため、生産性向上とコスト低減要求もまた、とどまるところを知らない。よって、このような要求に応える新たなドリル孔あけ用エントリーシートの開発が切望されている。
しかしながら、半導体技術の進展に比して、プリント配線板技術のそれは遅く、半導体技術との乖離がある。そのため、プリント配線板に対する高密度化と信頼性向上の要求は、益々高度化している。例えば、量産における最小ドリルビット径は、0.2mmφから、0.18mmφ、0.15mmφを経て、0.105mmφに移行しつつある。また、レーザー孔あけ技術に対抗して、ごく一部では、0.08mmφ、0.075mmφ、0.05mmφのドリル孔あけが試みられている。さらに、グローバル化による競争と新興国需要の取り込みのため、生産性向上とコスト低減要求もまた、とどまるところを知らない。よって、このような要求に応える新たなドリル孔あけ用エントリーシートの開発が切望されている。
本発明の目的は、こうした現状に鑑み、従来のドリル孔あけ用エントリーシートに比べて、孔位置精度に優れたドリル孔あけ用エントリーシートを提供することにある。そのようなドリル孔あけ用エントリーシートは、高密度化、高信頼性、生産性向上、コスト低減に寄与するため、開発が切望されている。
本発明者らは、上記の課題を解決するため種々の検討を行った結果、ドリル孔あけ用エントリーシートの樹脂組成物に、固体潤滑剤(B)として、モリブデン酸亜鉛および三酸化モリブデンの少なくとも一方を配合し、その配合量を最適化させた。これにより、ドリルビットが食いつきやすくなり、ドリルビットの求芯性が向上することで孔位置精度が向上することを見出した。さらに、モリブデン酸亜鉛および三酸化モリブデンの固体潤滑作用により潤滑性が高まり、切り粉の排出が円滑になることで、切り粉がダマになって落下するのが防がれ、ダマ状の切り粉をドリルビットが踏むことによるドリルビット折損の問題を防ぐことができることを見出した。
ここでいう求芯性とは、切削時の切削方向の直進性を指す。例えば、ドリルビットがドリル孔あけ用エントリーシートの樹脂組成物層に接する点において、回転するドリルビット先端の切刃は、滑り動きながら樹脂組成物層表面に食いつく。潤滑性を単に高めるだけでは、ドリルビットが先端の切刃が横滑りしやすくなるので求芯性を損ない、孔位置精度を悪化させてしまう。
本発明は、このような知見に基づきなされたもので、その要旨は以下の通りである。
(1)金属支持箔の少なくとも片面に、樹脂組成物からなる層を形成したドリル孔あけ用エントリーシートであって、前記樹脂組成物に固体潤滑剤(B)としてモリブデン酸亜鉛および三酸化モリブデンの少なくとも一方を含有し、樹脂組成物層の厚さが0.02〜0.3mmの範囲であることを特徴とするドリル孔あけ用エントリーシート。
(1)金属支持箔の少なくとも片面に、樹脂組成物からなる層を形成したドリル孔あけ用エントリーシートであって、前記樹脂組成物に固体潤滑剤(B)としてモリブデン酸亜鉛および三酸化モリブデンの少なくとも一方を含有し、樹脂組成物層の厚さが0.02〜0.3mmの範囲であることを特徴とするドリル孔あけ用エントリーシート。
(2)前記樹脂組成物は、水溶性樹脂(A)を含むことを特徴とする上記(1)に記載のドリル孔あけ用エントリーシート。
(3)前記樹脂組成物は、その樹脂分100重量部に対して、前記固体潤滑剤(B)を、合計で1重量部から40重量部配合することを特徴とする上記(1)に記載のドリル孔あけ用エントリーシート。
(4)前記モリブデン酸亜鉛は、平均粒径1〜7μmであることを特徴とする上記(1)に記載のドリル孔あけ用エントリーシート。
(5)前記三酸化モリブデンは、平均粒径3〜35μmであることを特徴とする上記(1)に記載のドリル孔あけ用エントリーシート。
(6)ドリルビット径0.2mmφ以下に適用することを特徴とする上記(1)に記載のドリル孔あけ用エントリーシート。
(7)前記金属支持箔は、厚さが0.05〜0.5mmの範囲であることを特徴とする上記(1)に記載のドリル孔あけ用エントリーシート。
(8)前記金属支持箔上に樹脂皮膜たるプライマー層を有することを特徴とする上記(1)に記載のドリル孔あけ用エントリーシート。
(9)前記プライマー層が、前記固体潤滑剤(B)を含有することを特徴とする上記(8)に記載のドリル孔あけ用エントリーシート。
(10)プライマー層における前記固体潤滑剤(B)の配合量は、プライマーの組成物100重量部に対して、1重量部〜20重量部であることを特徴とする上記(9)記載のドリル孔あけ用エントリーシート。
(11)銅張積層板又は多層板の加工に用いられることを特徴とする上記(1)に記載のドリル孔あけ用エントリーシート。
本発明のドリル孔あけ用エントリーシートを使用することで、孔あけ加工時の優れた孔位置精度と樹脂組成物層の優れた潤滑性により、孔あけ加工時におけるドリルビットの折損を減らすことができる。その結果、一層の高密度設計が可能となり、高品質で、生産性に優れる孔あけ加工が可能となる。あるいは、一度に孔あけ加工する重ね枚数を増やすことが可能になり、生産性向上とコストダウンに寄与する。
本発明のドリル孔あけ用エントリーシートは、金属支持箔の少なくとも片面に、樹脂組成物からなる層(以下、「樹脂組成物層」という。)を形成したドリル孔あけ用エントリーシートである。本発明のドリル孔あけ用シートは、樹脂組成物が固体潤滑剤(B)を含有することを特徴とする。
本発明において、固体潤滑剤(B)とは、相対運動中のダメージから表面を保護し、摩擦や摩耗を減少させるために、薄膜または粉末として使用する何らかの固体であり、融点が300℃以上のもので、本発明の使用温度よりも高い温度200℃の空気中において熱的に安定しており溶融せず固体であるものを指す。
そして、固体潤滑剤(B)として、モリブデン酸亜鉛および三酸化モリブデンの少なくとも一方の配合量を最適化する。これにより、ドリルビットが食いつきやすくなり、ドリルビットの求芯性が向上することで、孔位置精度が向上し、さらに、潤滑性が高まって切り粉の排出が円滑になることで、切り粉がダマになって落下するのが防がれ、ダマ状の切り粉をドリルビットが踏むことによるドリルビット折損の問題を防ぐことに寄与する。
また、本発明の樹脂組成物は、水溶性樹脂(A)を含む組成物であることが好ましい。ここで、前記水溶性樹脂(A)とは、水溶性樹脂、固体潤滑剤(B)ではない水溶性潤滑剤を指す。
無論、前記樹脂組成物は、公知の熱可塑性の非水溶性樹脂、固体潤滑剤(B)ではない非水溶性潤滑剤、その他の添加剤として、例えば、核剤、着色剤、熱安定化剤等をも含んでよい。
前記樹脂組成物の樹脂分としては、水溶性樹脂(A)、固体潤滑剤(B)ではない非水溶性潤滑剤、熱可塑性の非水溶性樹脂を指す。
前記固体潤滑剤(B)は、樹脂組成物の樹脂分100重量部に対して、合計で1重量部〜40重量部となるように配合し、1重量部〜30重量部配合することが好ましく、5重量部〜20重量部配合することがより好ましく、10重量部〜20重量部配合することがもっとも好ましい。固体潤滑剤(B)が1重量部未満の場合、効果を発現しない。固体潤滑剤(B)が40重量部を超えた場合、経済的合理性がなく、固体潤滑剤(B)が凝集しやすくなる。その結果、製造上の困難さが生じ、その結果として孔位置精度が悪化する場合がある。
本発明において、固体潤滑剤(B)とは、モリブデン酸亜鉛(MoO4Zn,融点900℃)、および、三酸化モリブデン(MoO3,融点795℃)の少なくとも1種である。三酸化モリブデンは、従来、固体潤滑性を発揮しないといわれていたが、ドリル孔あけ用エントリーシートに配合する固体潤滑剤(B)として有用であることを見出した。固体潤滑剤(B)は、これらのうち、少なくとも1種以上を含んでおればよい。
上記の固体潤滑剤(B)は、二硫化モリブデン、雲母などの固体潤滑剤に比して、少量の配合で顕著な作用効果を発現するため、好ましい。少量で顕著な作用効果を発現することは、樹脂組成物としての樹脂の選択肢を広げる点でも好ましい。
上記の固体潤滑剤(B)は、二硫化モリブデン、雲母などの固体潤滑剤に比して、少量の配合で顕著な作用効果を発現するため、好ましい。少量で顕著な作用効果を発現することは、樹脂組成物としての樹脂の選択肢を広げる点でも好ましい。
固体潤滑剤(B)の作用のしくみは、およそ次のとおりであると考えている。第一に、潤滑剤層に適度な硬度の固体を含むことで、ドリルビットの先端が固体潤滑剤(B)にあたり、食いつく。このため、初期の孔位置精度がよい。第二に、潤滑剤層に固体潤滑剤(B)を配合するから、ドリルビットの表面や溝、および、プリント配線板材料の孔壁に、固体潤滑剤(B)が付着する。固体潤滑剤(B)は固体ゆえ体積と硬度があるから、銅張積層板又は多層板とドリルビットの間に常在して潤滑性を高め、ドリルビット磨耗を抑制する。第三に、ドリルビットの溝に固体潤滑剤(B)が付着するので、その固体潤滑作用により潤滑性が高まり、切り粉の排出が円滑になることで、切り粉がダマになることが抑制される。
ところで、ドリルビットの摩耗は、2種類に分類できる。第1に、初期摩耗がある。すなわち、ドリルビットは、使い始めに、衝撃を受ける部分が破損する。前述の固体潤滑剤(B)特有の顕著な潤滑効果により、ドリルビットの初期磨耗は、固体潤滑剤(B)を含有しない場合に比して、抑制される。第2に、定常摩耗がある。すなわち、累積孔あけ数とともにドリルビットが摩耗する。しかし、固体潤滑剤(B)特有の潤滑効果があるから、定常摩耗もまた、固体潤滑剤(B)を含有しない場合に比して、抑制される。よって、孔位置精度は、固体潤滑剤(B)を含有しない場合、累積孔あけ数に比例して悪化するが、固体潤滑剤(B)を含有する場合には、徐々に抑制できることがある。
ところで、ドリルビットの摩耗は、2種類に分類できる。第1に、初期摩耗がある。すなわち、ドリルビットは、使い始めに、衝撃を受ける部分が破損する。前述の固体潤滑剤(B)特有の顕著な潤滑効果により、ドリルビットの初期磨耗は、固体潤滑剤(B)を含有しない場合に比して、抑制される。第2に、定常摩耗がある。すなわち、累積孔あけ数とともにドリルビットが摩耗する。しかし、固体潤滑剤(B)特有の潤滑効果があるから、定常摩耗もまた、固体潤滑剤(B)を含有しない場合に比して、抑制される。よって、孔位置精度は、固体潤滑剤(B)を含有しない場合、累積孔あけ数に比例して悪化するが、固体潤滑剤(B)を含有する場合には、徐々に抑制できることがある。
固体潤滑剤(B)は、金属支持箔上に設ける樹脂皮膜(以下、プライマー層と称すことがある)に配合してもよい。プライマー層はアルミニウム箔と接する界面であるから、プライマー層に細密充填することは孔位置精度に寄与する。前記固体潤滑剤(B)は、プライマーの組成物100重量部に対して、合計で1重量部〜20重量部配合し、5重量部〜10重量部配合することがより好ましい。固体潤滑剤(B)の配合量が1重量部未満の場合、効果を発現しない。固体潤滑剤(B)の配合量が20重量部を超えた場合、経済的合理性がなく、薄厚であるプライマー層と金属支持箔との接着性を阻害する場合がある。固体潤滑剤(B)を配合するプライマー層の樹脂は、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂のいずれも適用できる。プライマー層の樹脂は、熱硬化性樹脂であることが、孔位置精度にはより好ましい。
固体潤滑剤(B)は、銅張積層板又は多層板の仕様に応じて、最適な、種類、粒径、そして、配合量を、選択することが、より好ましい。
固体潤滑剤(B)として、例えばモリブデン酸亜鉛が効果を奏する理由は、次のとおりである。モリブデン酸亜鉛は、層状構造で、粒径0.2μm〜15μmの範囲にあり、平均粒径1〜7μmで、体積と適度な硬度のある固体である。好ましくは平均粒径2〜6μmである。さらに好ましくは平均粒径3〜5μmである。その特性ゆえ、孔位置精度が重要な小径ドリルビットにおいて、ドリルビットが食いつきやすい。また、モリブデン酸亜鉛は、層状構造で薄いから、ドリルビットの回転時にその溝に巻き込みやすいので、切り粉の排出にも寄与する。
三酸化モリブデンが作用効果を奏する理由は、次のとおりである。三酸化モリブデンは二硫化モリブデンを酸化させたものであり、柱状構造で、粒径0.7μm〜55μmの範囲にあり、平均粒径3〜35μmで、体積と適度な硬度のある固体である。好ましくは平均粒径5〜20μmである。より好ましくは平均粒径10〜18μmである。その特性ゆえ、孔位置精度が重要な小径ドリルビットにおいて、ドリルビットが食いつきやすい。また、三酸化モリブデンは、ドリルビットの溝の深さに比して平均粒径が小さいため、ドリルビットの回転時にその溝に巻き込みやすいので、切り粉の排出にも寄与する。
固体潤滑剤(B)として、例えばモリブデン酸亜鉛が効果を奏する理由は、次のとおりである。モリブデン酸亜鉛は、層状構造で、粒径0.2μm〜15μmの範囲にあり、平均粒径1〜7μmで、体積と適度な硬度のある固体である。好ましくは平均粒径2〜6μmである。さらに好ましくは平均粒径3〜5μmである。その特性ゆえ、孔位置精度が重要な小径ドリルビットにおいて、ドリルビットが食いつきやすい。また、モリブデン酸亜鉛は、層状構造で薄いから、ドリルビットの回転時にその溝に巻き込みやすいので、切り粉の排出にも寄与する。
三酸化モリブデンが作用効果を奏する理由は、次のとおりである。三酸化モリブデンは二硫化モリブデンを酸化させたものであり、柱状構造で、粒径0.7μm〜55μmの範囲にあり、平均粒径3〜35μmで、体積と適度な硬度のある固体である。好ましくは平均粒径5〜20μmである。より好ましくは平均粒径10〜18μmである。その特性ゆえ、孔位置精度が重要な小径ドリルビットにおいて、ドリルビットが食いつきやすい。また、三酸化モリブデンは、ドリルビットの溝の深さに比して平均粒径が小さいため、ドリルビットの回転時にその溝に巻き込みやすいので、切り粉の排出にも寄与する。
固体潤滑剤(B)の粒径について、最大粒径値よりも平均粒径値が重要である。なぜなら、樹脂組成物に占める割合の高い固体潤滑剤の粒径が、ドリル孔あけ用エントリーシートの特性である孔位置精度、潤滑性に、影響を与えるからである。そのため、固体潤滑剤(B)の平均粒径を管理することが、ドリル孔あけ用エントリーシートの性能を向上させるために重要になる。それゆえ、固体潤滑剤(B)の粒度分布に占める最大粒径の割合が高く、平均粒径値を大きく押し上げることは、本来期待する固体潤滑性を減する場合があり好ましくない。固体潤滑剤(B)の粒度測定法は、試料を0.2%ヘキサメタりん酸溶液と10%トリトン数滴からなる溶液に分散させ、レーザー回折式粒度分布測定装置(型番:SALD−2100、株式会社島津製作所製)を使用して、投影した固体潤滑剤(B)の粒子それぞれの最大長さを測定している。そして粒度分布曲線を算出する。その曲線の範囲を固体潤滑剤(B)の粒径とし、また曲線の含有量ピーク最大時の粒径を平均粒径とした。
特に、固体潤滑剤(B)がモリブデン酸亜鉛と三酸化モリブデンの場合、水に完全に不溶とはいえないが非膨潤性である。このため、膨潤性の固体潤滑剤のように、保湿度合いを厳密管理する必要がなく、工業上有利である。ここで、非膨潤性の定義は、水90重量部に固体潤滑剤を10重量部配合した水溶液を十分に混合するまで撹拌して、1時間静置後に、固体潤滑剤の沈降高さを測り、沈降高さ比90%以上を分散または膨潤、沈降高さ比50%以上90%未満を膨潤、沈降高さ比50%未満を非膨潤と定義している。本願のモリブデン酸亜鉛では、液面までの高さ66mm、モリブデン酸亜鉛の沈降部上面まで21mmで、沈降高さ比32%、明確に2層分離した例がある。同様に、本願の三酸化モリブデンでは、液面までの高さ35mm、三酸化モリブデンの沈降部上面まで5mmで、沈降高さ比14%、三酸化モリブデンの沈降部上面から液面までは白濁した例がある。
このような特性は、水溶性樹脂(A)の溶液を製造する際に、次の長所がある。均一に分散しやすく、凝集しにくい。孔あけ加工後、モリブデン酸亜鉛や三酸化モリブデンが、孔内に残留した場合、洗浄しやすい。ただし、水溶性樹脂(A)の溶液を製造する際には、固体潤滑剤(B)の濃度勾配が生じるので、撹拌する必要がある。
このような特性は、水溶性樹脂(A)の溶液を製造する際に、次の長所がある。均一に分散しやすく、凝集しにくい。孔あけ加工後、モリブデン酸亜鉛や三酸化モリブデンが、孔内に残留した場合、洗浄しやすい。ただし、水溶性樹脂(A)の溶液を製造する際には、固体潤滑剤(B)の濃度勾配が生じるので、撹拌する必要がある。
固体潤滑剤(B)の硬度は、例えば、モース硬度5を超える領域は研磨剤になるため不適である。固体潤滑剤(B)の最適な配合量は、ドリル孔あけ加工するプリント配線板の仕様で異なる。無機フィラーを含有しないプリント配線板材料に比して、無機フィラーを含有するプリント配線板材料では、相対的にドリルビットの摩耗が大きいため、固体潤滑剤(B)を多く配合する方がよいこともある。
前記水溶性樹脂(A)の種類は、特に限定されるものではないが、水溶性樹脂として、例えばポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリアクリル酸ソーダ、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、ポリテトラメチレングリコール及びポリアルキレングリコールのポリエステルからなる群から選択された1種もしくは2種以上であることが好ましい。ポリアルキレングリコールのポリエステルとは、ポリアルキレングリコールと二塩基酸とを反応させて得られる縮合物である。ポリアルキレングリコールの例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールやこれらの共重合物で例示されるグリコール類、また二塩基酸としてフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、セバシン酸及びピロメリット酸などの多価カルボン酸の部分エステル、酸無水物、等から選択することが好ましい。固体潤滑剤(B)ではない水溶性潤滑剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール;ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテルなどで例示されるポリオキシエチレンのモノエーテル類;ポリオキシエチレンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート;ヘキサグリセリンモノステアレート、デカヘキサグリセリンモノステアレートなどで例示されるポリグリセリンモノステアレート類;ポリオキシエチレンプロピレン共重合体などが挙げられ、1種もしくは2種以上を適宜配合して使用することが好ましい。
熱可塑性の非水溶性樹脂としては、特に限定されるものではなく、公知の物質を適用できる。例えば、アミド系エラストマー,ブタジエン系エラストマー,エステル系エラストマー,オレフィン系エラストマー,ウレタン系エラストマー,スチレン系エラストマー,ポリブテン,低密度ポリエチレン,塩素化ポリエチレン,メタロセン系ポリオレフィン樹脂,エチレン・アクリル酸エステル・無水マレイン酸共重合体,エチレン・グリシジル(メタ)アクリレート共重合体,エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂,変性エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂,エチレン・(メタ)アクリル酸共重合樹脂,アイオノマー樹脂,エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂などが例示される。
固体潤滑剤(B)ではない非水溶性潤滑剤としては、特に限定されるものではなく、公知の物質を適用できる。例えば、エチレンビスステアロアミド、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、メチレンビスステアルアミドなどで例示されるアマイド系化合物、ラウリン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸などで例示される脂肪酸系化合物、ステアリン酸ブチル、オレイン酸ブチル、ラウリン酸グリコールなどで例示される脂肪酸エステル系化合物、流動パラフィン、ポリエチレンワックスなどで例示される脂肪族炭化水素系化合物、オレインアルコールなどで例示される高級脂肪族アルコールなどが例示される。
前記樹脂組成物層の厚みについては、ドリル孔あけ加工する際に使用するドリルビット径や、加工する銅張積層板又は多層板の構成などによって異なるが、通常0.02〜0.3mmの範囲であり、0.02〜0.2mmの範囲で適宜選択されることが好ましい。樹脂組成物層の厚みが、0.02mm未満では十分な潤滑効果が得られず、ドリルビットへの負荷が大きくなりドリルビットの折損が生じるおそれがある。一方、樹脂組成物層の厚みが0.3mmを超えると、ドリルビットへの前記樹脂組成物の巻き付きが増加する場合がある。
また、前記樹脂組成物層を形成する方法としては、前記金属支持箔上に、直接樹脂組成物の熱溶解物や溶液をコーティング法等によって塗工、乾燥させる方法、又は、予め樹脂組成物のシートを作製しておき、前記金属支持箔と貼り合わせる、ホットメルト法などが例示される。その際、金属支持箔に予め樹脂皮膜(プライマー層)が形成されていることで金属支持箔と樹脂組成物の層を積層一体化させるために、好ましい。詳しくは、後述する。
さらに、コーティング法などによって、樹脂組成物の溶液を直接金属支持箔上に、塗工、乾燥させる方法を採る場合、用いられる溶液は、水と水よりも沸点の低い溶媒を含有する溶液であることが好ましい。水よりも沸点の低い溶媒の種類については、特に限定されないが、例えば、アルコール類などのエタノール、メタノールやイソプロピルアルコールが挙げられ、メチルエチルケトンやアセトンなどの低沸点溶剤も用いることが可能である。その他の溶媒として、水やアルコール類に樹脂組成物との相溶性が高いテトラヒドロフランやアセトニトリルを一部混合させた溶媒などを用いることが可能である。水と、水よりも沸点の低い溶媒との配合比は、90/10〜50/50の範囲である必要があり、80/20〜50/50の範囲が好ましく、70/30〜50/50の範囲がより好ましく、60/40〜50/50の範囲がさらに好ましい。水よりも沸点の低い溶媒の配合比が10未満の場合、前記水溶性樹脂(A)は緻密な球晶を生成しにくいことがある。水よりも沸点の低い溶媒の配合比が50を超えた場合、工業的安定生産に支障が生じるおそれがある。
また、コーティング法又はホットメルト法などによって、樹脂組成物の溶液を直接金属支持箔上に、塗工、加熱乾燥させる方法を採る場合、前記ドリル孔あけ用エントリーシートの温度は、120℃〜160℃から、5〜30秒で常温にする必要がある。160℃を超えて高い乾燥温度は、工業的安定生産に支障のある場合があり、好ましくない。また、常温よりも低い冷却温度は、後工程で結露を生じる場合があり、好ましくない。
本発明のドリル孔あけ用エントリーシートに使用される金属支持箔については、前記樹脂組成物との密着性が高く、ドリルビットによる衝撃に耐え得る金属材料であれば特に限定はされない。金属支持箔の厚みは通常0.05〜0.5mmであり、好ましくは0.05〜0.3mmである。該金属支持箔の厚みが0.05mm未満ではドリル孔あけ加工時に積層板のバリが発生し易く、0.5mmを超えると、ドリル孔あけ加工時に発生する切り粉の排出が困難になるおそれがある。金属支持箔の金属種としては、例えばアルミニウムを用いることができる。アルミニウム箔の材質としては、純度95%以上のアルミニウムが好ましく、例えば、JIS−H4160に規定される、5052、3004、3003、1N30、1N99、1050、1070、1085、8021などが例示される。金属支持箔に高純度のアルミニウム箔を使うことによって、ドリルビットによる衝撃の緩和や、ドリルビット先端部との食いつき性が向上し、前記樹脂組成物によるドリルビットの潤滑効果と相俟って、加工孔の孔位置精度を高めることができる。また、樹脂組成物との密着性の点から、予め、表面に厚さ0.002〜0.02mmの樹脂皮膜(プライマー層)が形成された金属支持箔を使用することが好ましい。固体潤滑剤(B)を該樹脂皮膜に配合する場合、樹脂皮膜の厚さは固体潤滑剤(B)の粒径に応じて適宜選択する。該樹脂皮膜に用いられる樹脂については、前記樹脂組成物との密着性を向上できるものであれば特に限定はされず、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれを用いることもできる。例えば、熱可塑性樹脂としてはウレタン系重合体、酢酸ビニル系重合体、塩化ビニル系重合体、ポリエステル系重合体、アクリル系重合体及びそれらの共重合体が例示される。熱硬化性樹脂としては、エポキシ系樹脂、シアネート系樹脂などの樹脂が例示される。
本発明のドリル孔あけ用エントリーシートは、プリント配線板材料、例えば、銅張積層板又は多層板をドリル孔あけ加工する際に用いられる。具体的には、銅張積層板又は多層板を1枚又は複数枚を重ねたものの最上部に、前記金属支持箔側がプリント配線板材料に接するようにドリル孔あけ用エントリーシートを配置し、樹脂組成物層の面から、ドリル孔あけ加工を行うことができる。
上述したところは、この発明の実施形態の一例を示したにすぎず、請求の範囲の記載の範囲で種々の変更を加えることができる。
以下、本発明の実施例の効果を、本発明の範囲から外れる比較例と比較して説明する。なお、「ポリエチレングリコール」を「PEG」、「ポリエチレンオキサイド」を「PEO」と略記することがある。
<実施例1>
重量平均分子量150,000のポリエチレンオキサイド(明成化学工業株式会社製アルトップMG−150)30重量部と、重量平均分子量20,000のポリエチレングリコール(三洋化成工業株式会社製PEG20000)70重量部を、樹脂固形分が30%になるように、水/MeOH(メタノール)混合溶液に溶解させた。この時の水とMeOHとの比率を60/40とした。さらに、この水溶性樹脂組成物の溶液に固体潤滑剤(B)としてモリブデン酸亜鉛(日本無機化学工業株式会社製、粒径0.4μm〜13μm、平均粒径3μm)を水溶性樹脂組成物100重量部に対して、5重量部配合し、十分に分散させた。この水溶性樹脂組成物の溶液を、片面に厚み0.01mmのエポキシ樹脂皮膜を形成したアルミニウム箔(使用アルミニウム箔:1N30、厚さ0.1mm、三菱アルミニウム株式会社製)に、バーコーターを用いて乾燥後の水溶性樹脂組成物層が厚さ0.05mmになるように塗布し、乾燥機にて120℃、5分間乾燥させた後、常温まで冷却して、ドリル孔あけ用エントリーシートを作製した。
重量平均分子量150,000のポリエチレンオキサイド(明成化学工業株式会社製アルトップMG−150)30重量部と、重量平均分子量20,000のポリエチレングリコール(三洋化成工業株式会社製PEG20000)70重量部を、樹脂固形分が30%になるように、水/MeOH(メタノール)混合溶液に溶解させた。この時の水とMeOHとの比率を60/40とした。さらに、この水溶性樹脂組成物の溶液に固体潤滑剤(B)としてモリブデン酸亜鉛(日本無機化学工業株式会社製、粒径0.4μm〜13μm、平均粒径3μm)を水溶性樹脂組成物100重量部に対して、5重量部配合し、十分に分散させた。この水溶性樹脂組成物の溶液を、片面に厚み0.01mmのエポキシ樹脂皮膜を形成したアルミニウム箔(使用アルミニウム箔:1N30、厚さ0.1mm、三菱アルミニウム株式会社製)に、バーコーターを用いて乾燥後の水溶性樹脂組成物層が厚さ0.05mmになるように塗布し、乾燥機にて120℃、5分間乾燥させた後、常温まで冷却して、ドリル孔あけ用エントリーシートを作製した。
<実施例2〜14>
実施例1に準じて、表1に示す水溶性樹脂組成物を調製し、乾燥後の水溶性樹脂組成物層の厚さが0.05mmのドリル孔あけ用エントリーシートを作製した。
実施例1に準じて、表1に示す水溶性樹脂組成物を調製し、乾燥後の水溶性樹脂組成物層の厚さが0.05mmのドリル孔あけ用エントリーシートを作製した。
<比較例1〜11>
実施例1に準じて、表1に示す水溶性樹脂組成物を調製し、乾燥後の水溶性樹脂組成物層の厚さが0.05mmのドリル孔あけ用エントリーシートを作製した。
実施例1に準じて、表1に示す水溶性樹脂組成物を調製し、乾燥後の水溶性樹脂組成物層の厚さが0.05mmのドリル孔あけ用エントリーシートを作製した。
<評価方法>
実施例及び比較例で作製したドリル孔あけ用エントリーシートの各サンプルについて、以下の評価を行った。
(1)孔位置精度
銅張積層板を積み重ねた上に、ドリル孔あけ用エントリーシートはその樹脂組成物層を上にして配置し、ドリル孔あけ加工を行った。ドリルビット1本につき6,000hits孔あけ加工し、4本のドリルビットを用いて繰り返した。ドリルビット1本分ごとに、1〜1,500、1〜6,000hitsの孔につき、積み重ねた銅張積層板の最下板の裏面における孔位置と、指定座標とのズレをホールアナライザー(型番:HA−1AM、日立ビアメカニクス株式会社製)を用いて測定し、平均値及び標準偏差(σ)を計算し、「平均値+3σ」を算出した。さらにドリルビット4本分の「平均値+3σ」の平均値を算出し、結果を表1に示す。
孔位置精度の判定基準として、ドリルビット磨耗が進行していない1〜1,500hitsの孔位置精度と、ドリルビット磨耗が進行した1〜6,000hitsの孔位置精度で判定する。1〜1,500および1〜6,000hits時の判定が「○」である場合、総合評価で「○」とする。
(2)固体潤滑剤(B)の粒度測定法
固体潤滑剤(B)の粒度測定法は、試料を0.2%ヘキサメタりん酸溶液と10%トリトン数滴からなる溶液に分散させ、レーザー回折式粒度分布測定装置(型番:SALD−2100、株式会社島津製作所製)を使用して、投影した固体潤滑剤(B)の粒子それぞれの最大長さを測定している。そして粒度分布曲線を算出する。その曲線の範囲を固体潤滑剤(B)の粒径とし、また曲線の含有量ピーク最大時の粒径を平均粒径とした。
実施例及び比較例で作製したドリル孔あけ用エントリーシートの各サンプルについて、以下の評価を行った。
(1)孔位置精度
銅張積層板を積み重ねた上に、ドリル孔あけ用エントリーシートはその樹脂組成物層を上にして配置し、ドリル孔あけ加工を行った。ドリルビット1本につき6,000hits孔あけ加工し、4本のドリルビットを用いて繰り返した。ドリルビット1本分ごとに、1〜1,500、1〜6,000hitsの孔につき、積み重ねた銅張積層板の最下板の裏面における孔位置と、指定座標とのズレをホールアナライザー(型番:HA−1AM、日立ビアメカニクス株式会社製)を用いて測定し、平均値及び標準偏差(σ)を計算し、「平均値+3σ」を算出した。さらにドリルビット4本分の「平均値+3σ」の平均値を算出し、結果を表1に示す。
孔位置精度の判定基準として、ドリルビット磨耗が進行していない1〜1,500hitsの孔位置精度と、ドリルビット磨耗が進行した1〜6,000hitsの孔位置精度で判定する。1〜1,500および1〜6,000hits時の判定が「○」である場合、総合評価で「○」とする。
(2)固体潤滑剤(B)の粒度測定法
固体潤滑剤(B)の粒度測定法は、試料を0.2%ヘキサメタりん酸溶液と10%トリトン数滴からなる溶液に分散させ、レーザー回折式粒度分布測定装置(型番:SALD−2100、株式会社島津製作所製)を使用して、投影した固体潤滑剤(B)の粒子それぞれの最大長さを測定している。そして粒度分布曲線を算出する。その曲線の範囲を固体潤滑剤(B)の粒径とし、また曲線の含有量ピーク最大時の粒径を平均粒径とした。
水溶性樹脂(A)の組成:
1)ポリエチレンオキサイド(明成化学工業株式会社製アルトップMG−150、Mw=150,000)30重量部、ポリエチレングリコール(三洋化成工業株式会社製PEG20000、Mw=20,000)70重量部、合計100重量部。
2)ポリエーテルエステル(第一工業製薬株式会社製パオゲンPP−15、Mw=100,000)20重量部、ポリエチレングリコール(三洋化成工業株式会社製PEG4000S、Mw=4,000)80重量部、合計100重量部。
固体潤滑剤(B)の種類:
3)モリブデン酸亜鉛(日本無機化学工業株式会社製、粒径0.4μm〜13μm、平均粒径3μm、層状構造)
4)三酸化モリブデン(日本無機化学工業株式会社製、粒径0.7μm〜55μm、平均粒径16μm、柱状構造)
5)二硫化モリブデン(株式会社ダイゾー製M−5パウダー、粒径0.5〜29μm、平均粒径5μm、層状構造)
6)膨潤性雲母(コープケミカル製ME−100、粒径5〜7μm、層状構造)
7)非膨潤性雲母(コープケミカル製MK−200、粒径5〜8μm、層状構造)
8)固体潤滑剤(B)未配合
固体潤滑剤(B)の配合量:
固体潤滑剤(B)は、樹脂組成物の樹脂分100重量部に対して、0、5、10、20、40、60、80重量部のいずれかを配合する。
1)ポリエチレンオキサイド(明成化学工業株式会社製アルトップMG−150、Mw=150,000)30重量部、ポリエチレングリコール(三洋化成工業株式会社製PEG20000、Mw=20,000)70重量部、合計100重量部。
2)ポリエーテルエステル(第一工業製薬株式会社製パオゲンPP−15、Mw=100,000)20重量部、ポリエチレングリコール(三洋化成工業株式会社製PEG4000S、Mw=4,000)80重量部、合計100重量部。
固体潤滑剤(B)の種類:
3)モリブデン酸亜鉛(日本無機化学工業株式会社製、粒径0.4μm〜13μm、平均粒径3μm、層状構造)
4)三酸化モリブデン(日本無機化学工業株式会社製、粒径0.7μm〜55μm、平均粒径16μm、柱状構造)
5)二硫化モリブデン(株式会社ダイゾー製M−5パウダー、粒径0.5〜29μm、平均粒径5μm、層状構造)
6)膨潤性雲母(コープケミカル製ME−100、粒径5〜7μm、層状構造)
7)非膨潤性雲母(コープケミカル製MK−200、粒径5〜8μm、層状構造)
8)固体潤滑剤(B)未配合
固体潤滑剤(B)の配合量:
固体潤滑剤(B)は、樹脂組成物の樹脂分100重量部に対して、0、5、10、20、40、60、80重量部のいずれかを配合する。
孔あけ加工条件:
1)ドリルビット径:0.2mmφ(株式会社タンガロイ製C−CFU020S)、回転数:200,000rpm、送り速度20μm/rev.、上昇速度:25.4m/minで、加工基材は、無機充填材なしHL832 0.2mmt,Cu12μ,5枚重ね
2)ドリルビット径:0.2mmφ(株式会社タンガロイ製C−CFU020S)、回転数:200,000rpm、送り速度20μm/rev.、上昇速度:25.4m/minで、加工基材は、無機充填材入りHL832HS0.2mmt,Cu12μ,5枚重ね
1)ドリルビット径:0.2mmφ(株式会社タンガロイ製C−CFU020S)、回転数:200,000rpm、送り速度20μm/rev.、上昇速度:25.4m/minで、加工基材は、無機充填材なしHL832 0.2mmt,Cu12μ,5枚重ね
2)ドリルビット径:0.2mmφ(株式会社タンガロイ製C−CFU020S)、回転数:200,000rpm、送り速度20μm/rev.、上昇速度:25.4m/minで、加工基材は、無機充填材入りHL832HS0.2mmt,Cu12μ,5枚重ね
表1の結果から、実施例1〜14のサンプルは、比較例1〜11のサンプルに比べて、ドリルビット磨耗が進行していない段階および磨耗が進行した段階、ともに孔位置精度に優れていることがわかる。すなわち、本発明のモリブデン酸亜鉛および三酸化モリブデンは、従来技術である二硫化モリブデン、膨潤性雲母、非膨潤性雲母に比して、孔位置精度が顕著に優れる。
本発明によれば、従来のドリル孔あけ用エントリーシートに比べて、孔位置精度に優れ、ドリルビットの折損が減るドリル孔あけ用エントリーシートを提供できる。
Claims (11)
- 金属支持箔の少なくとも片面に、樹脂組成物からなる層を形成したドリル孔あけ用エントリーシートであって、前記樹脂組成物が固体潤滑剤(B)としてモリブデン酸亜鉛および三酸化モリブデンの少なくとも一方を含有し、前記樹脂組成物層の厚さが0.02〜0.3mmの範囲であることを特徴とするドリル孔あけ用エントリーシート。
- 前記樹脂組成物は、水溶性樹脂(A)を含むことを特徴とする請求項1に記載のドリル孔あけ用エントリーシート。
- 前記樹脂組成物は、その樹脂分100重量部に対して、前記固体潤滑剤(B)を、合計で1重量部から40重量部配合することを特徴とする請求項1に記載のドリル孔あけ用エントリーシート。
- 前記モリブデン酸亜鉛は、平均粒径1〜7μmであることを特徴とする請求項1に記載のドリル孔あけ用エントリーシート。
- 前記三酸化モリブデンは、平均粒径3〜35μmであることを特徴とする請求項1に記載のドリル孔あけ用エントリーシート。
- ドリルビット径0.2mmφ以下に適用することを特徴とする請求項1に記載のドリル孔あけ用エントリーシート。
- 前記金属支持箔は、厚さが0.05〜0.5mmの範囲であることを特徴とする請求項1に記載のドリル孔あけ用エントリーシート。
- 前記金属支持箔上に樹脂皮膜たるプライマー層を有することを特徴とする請求項1に記載のドリル孔あけ用エントリーシート。
- 前記プライマー層が、前記固体潤滑剤(B)を含有することを特徴とする、請求項8に記載のドリル孔あけ用エントリーシート。
- プライマー層における前記固体潤滑剤(B)の配合量は、プライマーの組成物100重量部に対して、1重量部〜20重量部であることを特徴とする請求項9記載のドリル孔あけ用エントリーシート。
- 銅張積層板又は多層板の加工に用いられることを特徴とする請求項1に記載のドリル孔あけ用エントリーシート。
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