JP5842329B2 - 水分散性ラミネート紙 - Google Patents

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Description

本発明は、水によって迅速に分散する水分散性ラミネート紙に関する。
農業において、作物の生長促進、病害虫からの保護の点から、肥料や農薬が使用されている。また、漁業(特に養殖場)において、魚の成育促進、感染病などからの保護の点から、各種ビタミンを配合した餌や抗生物質などが使用されている。
しかしながら、粉末状の肥料や農薬を散布する場合には、粉末が飛散するため、必要以上に散布する必要がある上、周辺の環境に悪影響を与える可能性がある。また、粉末状の各種ビタミンを配合した餌や抗生物質などを養殖場に撒く場合には、撒く範囲に偏りが生じてしまう。このため、養殖場全体に餌や抗生物質を均一に撒くことができない問題があった。そこで、粉末状の肥料や農薬を袋に入れることで、粉末が飛散することを防止できるとともに、必要以上に散布することがなくなる。なお、袋に入れた粉末状の肥料や農薬は、雨などにより溶出してその効果が発現される。また、粉末状の餌や抗生物質を袋に入れることで、投込む事ができるため、養殖場の広範囲に撒くことができるようになる。なお、袋に入れた粉末状の餌や抗生物質などは、海水により溶出してその効果が発現される。しかしながら、袋に入れた肥料や農薬あるいは餌や抗生物質が溶出した後は、袋がごみになる問題があった。そこで、特許文献1に記載されている、製紙用繊維と繊維状カルボキシメチルセルロースを混抄し、アルカリ金属化合物を添加した水溶紙を基材として、この基材の片面に水溶性PVA樹脂をラミネートしたヒートシール性を有する包装材料を用いて、袋入りの肥料、農薬、餌、抗生物質を作成したところ、雨水あるいは海水によって袋が溶けて無くなり、袋がごみになる問題は解消されている。
特公昭43−001214
しかしながら、製紙用繊維と繊維状カルボキシメチルセルロースを混抄し、アルカリ金属化合物を添加した水溶紙の基材に、水溶性であるポリビニルアルコール樹脂をラミネートした包装材料は、水溶紙に含有されているアルカリにより、ラミネートしたポリビニルアルコールが鹸化されてしまい、経時とともに雨水あるいは海水によって袋が溶けなくなる問題があった。
そこで、本発明は、迅速な水分散性及び経時での水分散性の低下を防止した水分散性ラミネート紙を提供することを目的とする。
木材パルプ及び又は非木材パルプからなる基材の少なくとも一方の面にポリビニルアルコール樹脂ラミネート層を有するラミネート紙において、該基材を構成するパルプの15〜95重量%がαセルロース含有率88%以上の精製パルプとすることで迅速な水分散性を有するともに経時での水分散性の低下を防止した水分散性ラミネート紙を得られることを見出し、本発明を完成した。
本発明によれば、迅速な水分散性及び経時での水分散性の低下を防止した水分散性ラミネート紙を得ることができる。また、十分な強度を発現するため、袋などの用途への使用に耐えることができる。
本発明の水分散性ラミネート紙は、木材パルプ及び又は非木材パルプからなる基材の少なくとも一方の面にポリビニルアルコール樹脂(以下、「PVA樹脂」と言うことがある)ラミネート層を有するラミネート紙であって、該基材を構成するパルプの15〜95重量%がαセルロース含有率88%以上の精製パルプであることを特徴とする水分散性ラミネート紙である。
(基材)
本発明の基材に用いる精製パルプとは、針葉樹、広葉樹等の木材、亜麻、リンター等の非木材を原料としたマーセル化パルプまたは溶解パルプなどのように、パルプ製造時の蒸解条件の強化、蒸解前または蒸解後の化学処理によってヘミセルロース等を除去し、セルロース純度を高めたパルプを言う。
マーセル化パルプとは、クラフトパルプや亜硫酸塩パルプを強アルカリ溶液に浸漬処理した後、水洗してアルカリ分を除去して得られるパルプである。
溶解パルプは、亜硫酸塩蒸解や前加水分解クラフト蒸解で得られるセルロース純度の高いパルプで、蒸解後の漂白、精選処理を組み合わせることでさまざまなセルロース純度のパルプが得られる。
本発明の水分散性ラミネート紙の基材において、パルプの15〜95重量%がαセルロース含有率88%以上の精製パルプとすることで優れた分散性が得られる理由は次のように推測される。精製パルプは繊維の膨潤と繊維間の膠着に寄与するヘミセルロース分が極めて少ないため、未叩解の状態で強度が低く嵩高で水分散性の高いシートを形成する。また、精製パルプを叩解した場合は、ヘミセルロース分が少ないため、叩解作用による繊維の膨潤、フィブリル化が抑えられて保水度があまり増加せず、繊維は剛直で切断され易くなり、短繊維分が増す。その結果、叩解した精製パルプから形成されるシートは、未叩解時より強度が増し嵩高さがやや損なわれるものの、水分散性の向上に寄与する短繊維分が増加するため水分散性はあまり損なわれない。
本発明で基材に使用される精製パルプのセルロース純度の指標としてαセルロース含有率を用いる。精製パルプのαセルロース含有量は88%以上であることが必要であり、好ましくは92%以上であり、さらに好ましくは95%以上である。精製パルプのαセルロースが88%未満の場合、単繊維状に分散し難くなるため、水への分散性が低下する。
なお、本発明において、αセルロース含有量は、TAPPIスタンダードT203om−83(JIS P8101−1994(現在廃止))に規定されるαセルロースによって測定された値である。
本発明において、αセルロース含有量が88%以上の精製パルプ(以下、単に「精製パルプ」ということがある。)の保水度は、カナダ標準ろ水度(以下、「濾水度」という)で450mlCSFに叩解した精製パルプにおいて140%以下、好ましくは120%以下であることが、水分散性の点から好ましい。
この範囲の保水度を有する精製パルプは、繊維が膨潤、フィブリル化し難いため、叩解エネルギーは繊維の切断に使用される割合が多くなる。その結果、叩解された精製パルプは繊維間結合能力が低くかつ短くなり、水分散性の高いシートが形成される。一方、濾水度450mlCSFにおける保水度が140%を超える精製パルプは、叩解した場合、繊維の膨潤、フィブリル化が進んで繊維間結合が増加し、単繊維状に分散するシートが得ら難くなる。なお、保水度とは、JAPAN TAPPI No.26に規定されているパルプの膨潤度の指標であり、膨潤繊維中に取り込まれて保持されている水分がパルプ全体の重量に対して占める割合を示すものである。
本発明において、精製パルプの平均繊維長は0.1〜5mm、好ましくは0.5〜3mm、さらに好ましくは0.8〜2mmである。
本発明の水分散性ラミネート紙の基材は、特性の異なる精製パルプとαセルロース含有率88%以上の精製パルプ以外の木材パルプ及び又は非木材パルプ(以下、単に「パルプ」ということがある。)に着目してなされたものであり、優れた水分散性を有するとともに、袋としての使用に耐えられる強度を付与することができる。
本発明の水分散性ラミネート紙の基材に使用される、αセルロース含有率88%以上の精製パルプ以外の木材パルプ及び又は非木材パルプとしては、針葉樹、広葉樹等の木材パルプ繊維、亜麻、リンター、ケナフ、バガス、マニラ麻等の非木材パルプ繊維が挙げられる。上記精製パルプ以外の木材パルプ及び又は非木材パルプは、水中で離解後に抄紙するため、本来、水分散性を有している。シート形成後も水分散性が損なわれないように、叩解の程度を調整して使用する。
本発明の水分散性ラミネート紙の基材は、基材を構成する全パルプ量中の、αセルロース含有率88%以上の精製パルプが15〜95重量%であることが必要であり、好ましくは20〜80重量%、更に好ましくは20〜60重量%である。精製パルプの配合率が15重量%未満の場合にはシートを形成する繊維同士の繊維間結合が強くなりすぎるため、充分な水分散性が得られない。また、精製パルプの配合率が95重量%を超えると、シートの強度が極度に低下し、実用面での取り扱い性が低下する。
本発明の水分散性ラミネート紙の基材において、精製パルプ及びパルプは、それぞれを別々に叩解した後に配合(以後、「単独叩解」という)して使用することも、これらを配合した後に叩解(以後、混合叩解という)して使用することも可能である。
本発明の水分散性ラミネート紙の基材において、精製パルプとパルプを配合した紙料の叩解の程度は、単独叩解の場合でも混合叩解の場合でもともに、濾水度で450〜700mlCSF、好ましくは550〜650mlCSFである。濾水度が450mlCSFより低いと繊維同士の繊維間結合が強くなり、良好な水分散性が低下する。一方、濾水度が700mlCSF以上では繊維間結合が小さくなり、シート強度が低下する。
本発明の水分散性ラミネート紙の基材において、精製パルプとパルプを上記濾水度まで混合叩解する場合、450mlCSFにおける保水度が140%以下の精製パルプを用いることが好ましい。450mlCSFにおける保水度が140%以下の精製パルプを用いる場合、叩解エネルギーが精製パルプの切断に消費されるため、精製パルプ由来の膨潤、フィブリル化が少ない短繊維が生成するとともに、パルプの過度な叩解が抑えられるため、優れた水分散性が発現する。一方、濾水度450mlCSFにおける保水度が140%を超える精製パルプは、単独ないし混合叩解した場合、パルプと同様に繊維の膨潤、フィブリル化が進んで繊維間結合が増加するため、水分散性が大きく低下する。また、未叩解で使用すると、シートからパルプ繊維が脱落し易く、紙粉が多くなるという欠点が生ずる。
本発明の水分散性ラミネート紙の基材は、精製パルプとパルプからなる紙料から公知の製紙技術によって製造することができる。抄紙機は、円網式抄紙機、傾斜短網式抄紙機、長網式抄紙機、ツインワイヤー式抄紙機等何れでもよく、要求される強度、水分散性に応じて使い分けることができる。例えば、円網式抄紙機を用いた場合には、強度異方性が大きく、縦方向より横方向の強度が弱くなるため、水中で容易に横方向に千切れる基紙を製造することができる。
基紙は、単層のシートとして抄紙する他、同じ紙料から2基以上の抄網をもつ抄紙機で複数の湿紙を製造し抄き合わせることにより、坪量の大きいシートの製造も可能であり、異種の紙料のシートと抄き合わせることも可能である。
本発明の水分散性ラミネート紙の基材の紙面pHを6〜8(中性領域)、好ましくは6.2〜7.2に調整することが好ましい。紙面pHをこの範囲に調整することで、植物、動物への影響を排除することができる。
本発明の水分散性ラミネート紙の基材において、紙面pHを調整する方法は、特に限定されるものではなく、中性領域の材料を主成分として水分散紙を製造する方法、アルカリ性あるいは酸性の水分散紙を酸性物質あるいはアルカリ性物質で中和する製造方法があるが、中性領域の材料を主成分として水分散紙を製造することが、土壌、海中に対する影響、PVA樹脂ラミネート層の不溶化防止の点から好ましい。
本発明の水分散性ラミネート紙の水分散性(特に、繊維状分散時間)、乾燥強度を向上させるために、水溶性重合体を基材に含浸または塗工することが好ましい。αセルロース含有率88%以上の精製パルプを15〜95重量%含有する木材パルプ及び又は非木材パルプからなる基材に、後述する水溶性重合体を含浸または塗工することで、水溶性重合体で基紙の繊維間空隙が充填され、水分散紙の乾燥強度が高まるとともに、繊維間空隙に存在している水溶性重合体が水との接触により膨潤し、繊維間を押し広げるため、繊維が容易に分離する。
本発明において、水溶性重合体としては、乾燥皮膜が水に再溶解し易いものが好ましく、カルボキシルアルキルセルロース塩、アルギン酸塩、ペクチン酸塩、ポリアクリル酸塩、ポリメタクリル酸塩、カルボキシアルキル化澱粉、リン酸エステル化澱粉、アニオン性ポリアクリルアミド等のアニオン性高分子電解質塩、メチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキサイド、ポリビニルエチルエーテル、ヒドロキシエチル化澱粉、酸化澱粉、アルファー化澱粉等の高分子無電解質、グアーガム、トラントガム、キサンタンガム、アラビアゴム、カラギーナン、ガラクトマンナン、プルラン、デキストラン、デキストリン等の水溶性多糖類、ゼラチン、カゼイン等の水溶性タンパク質などを例示することができ、これらを1種類あるいは2種類以上を組み合わせて使用することができる。中でも、カルボキシメチルセルロース塩を使用することが水分散性向上、強度向上の点から好ましい。
本発明において、水溶性重合体を基紙の繊維間空隙へ均一に浸透させることは、水分散性向上の点から好ましい。このため、基紙に含浸または塗工させる水溶性重合体としては、20℃における2重量%水溶液の粘度が1〜20mPa・sのものが好ましい。
本発明において、水溶性重合体の含浸または塗工による添加量(乾燥重量)は基紙に対して2〜14重量%であり、好ましくは3〜12重量%、更に好ましくは6〜10重量%である。水溶性重合体の添加量が基紙に対して2重量%に満たない場合は水分散性や強度に対して十分な効果が期待できない。また、添加量が14重量%より多い場合は、水分散性や強度の更なる向上効果が見られない。
水溶性重合体の基材への添加方法は、マングル、サイズプレス等による含浸加工、ゲートロールコーター、ブレードコーター、バーコーター、グラビアコーター、ダイコーター、カーテンコーター、スプレーコーター等による表面塗工の中から適宜選択して用いることができる。
本発明の水分散性ラミネート紙の水分散性、乾燥強度を向上させるために、基材に水溶性重合体を含浸または塗工する場合、含浸または塗工に耐える強度を基材へ付与するために、基材に水溶性高分子電解質塩を含有させることが好ましい。
本発明の水分散性ラミネート紙において、水溶性高分子電解質塩の基材への付与方法は、抄紙前の紙料(精製パルプ及びパルプ)スラリーに水溶液として加える方法、または抄紙後の湿紙にロールコーター、カーテンコーター、スプレー塗布装置等で添加後、搾水、乾燥する方法などがある。
本発明において、基材に含有させる水溶性高分子電解質塩は、繊維間結合を高める接着力と、シートを濡らした際に容易に溶けて繊維同士が分離する水溶性が必要である。この要件を満たすものであれば、アニオン性、両性の何れの高分子電解質塩も使用でき、カルボキシルメチルセルロース塩等のカルボキシアルキルセルロース塩、アルギン酸塩、カルボキシメチル化デンプン、ポリアクリル酸塩、ポリメタクリル酸塩、アニオン性ポリアクリルアミド、両性ポリアクリルアミドなどが列挙され、好ましくはカルボキシメチルセルロースナトリウム塩、カルボキシメチル化澱粉である。これらの水溶性高分子電解質塩は2種以上を添加しても良い。
本発明において、精製パルプ及びパルプがアニオン性であるため、水溶性高分子電解質塩の定着率を向上させるため、カチオン性定着剤を併用することが好ましい。
このカチオン性定着剤には、水分散性を損なわずに水溶性高分子電解質塩を基紙繊維に定着させる作用が必要であり、カチオン性定着剤として下記一般式(1)のポリアミン樹脂を用いることが好ましい。
Figure 0005842329
(上記一般式(1)中、Rは、ヒドロキシル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基などの置換基を有する場合も含む炭素数1〜10(但し、置換基の炭素数を含まない)のアルキル基を表し、Rは、水素原子またはヒドロキシル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基などの置換基を有する場合も含む炭素数1〜10(但し、置換基の炭素数を含まない)のアルキル基であり、nは正の整数である。)
カチオン性定着剤として用いるポリアミン樹脂は、カチオン当量がpH3〜9の範囲において0.1〜20ミリ当量/g、好ましくは1〜15ミリ当量/g、更に好ましくは2〜10ミリ当量/gであり、数平均分子量は5000〜100000、好ましくは5000〜70000、更に好ましくは5000〜20000である。
本発明において、水溶性高分子電解質塩とカチオン性定着剤の基材中の含有量は、求められる品質に応じて、適宜調整されるもので特に限定されるものではないが、抄紙前の紙料(精製パルプ及びパルプ)スラリーに水溶液として加える場合の水溶性高分子電解質塩とカチオン定着剤の添加量は次の範囲に調整することが好ましい。
水溶性高分子電解質塩とカチオン性定着剤を併用する場合の水溶性高分子電解質塩の添加量(固形分換算)は、精製パルプとパルプの合計量に対して0.5〜10重量%が好ましく、より好ましくは2〜6重量%である。水溶性高分子電解質塩の添加量が0.5重量%よりも少ないと、強度向上が小さく、添加する効果がない。水溶性高分子電解質塩の添加量が10重量%より多い場合は、強度や水分散性の更なる向上効果が期待できない。
カチオン性定着剤の添加量は、精製パルプとパルプの合計量に対して0.2〜4.0重量%が望ましく、より望ましくは0.5〜2.0重量%である。カチオン性定着剤の添加量が0.2重量%以下では水溶性高分子電解質塩の定着率が低下し、後工程の加工に必要な強度が得られない。カチオン性定着剤の添加量が4.0重量%以上では基紙の繊維間結合が強くなりすぎ、水分散性(特に、繊維状分散時間)が損なわれるため好ましくない。
カチオン性定着剤は水溶性高分子電解質塩より先に紙料または湿紙に添加し、繊維にカチオン性を付与してから水溶性高分子電解質塩を添加することが好ましい。
(ラミネート層)
本発明において、PVA樹脂ラミネート層とは、基材上にPVA樹脂をラミネートして設けた層である。
本発明におけるPVA樹脂としては、特許第2920925号および特開平9−277465記載のものが好適に用いられ、具体的にはPVA樹脂のケン化度としては20〜98mol%の範囲が好ましく、より好ましくは40〜80mol%の範囲であり、またPVA樹脂の粘度平均重合度としては50以上4000以下が好ましく、特に好ましくは100以上2000以下である。また、PVA樹脂ラミネート層の形成方法は特に限定されるものではなく、特許第2920925号に記載されている樹脂ラミネート法などの方法を用いることができるとともに、押し出し成形機など一般的な加工機を使用することができる。樹脂ラミネート法を用いた場合、Tダイを有する押出機にポリビニルアルコール系樹脂を仕込み、樹脂温度100〜300℃、さらに好ましくは150〜250℃でTダイよりフィルムとして押出し、ニツプロールと冷却ロールの間で水分散性の紙と圧着すると同時に冷却することにより、良好な樹脂ラミネート層を形成することができる。
本発明において、PVA樹脂ラミネート層の厚さは8〜80μm、好ましくは12〜35μmである。8μm未満ではヒートシール時のシール強度が低下する。一方、80μmで以上では水溶解性および経済性から好ましくない。
本発明において、水分散性はフロック状水分散時間、繊維状水分散時間によって評価することができる。フロック状水分散時間とは、300ml容ビーカーに脱イオン水300mlを入れ、スターラーで650rpmに攪拌しながら、3cm角の試験片を投入し、試験片が2つ以上に千切れる時間であり、30秒以内、より好ましくは20秒以内、さらに好ましくは10秒以内である。このフロック状水分散時間が長くなると、水分散紙を流した場合、排水口あるいは配管を詰まらす原因になる。
一方、繊維状分散時間とは、300ml容ビーカーに脱イオン水300mlを入れ、スターラーで650rpmに攪拌しながら、3cm角の試験片を投入し、試験片が完全に繊維一本一本にほぐれる時間であり、80秒以内、より好ましくは40秒以内、さらに好ましくは20秒以内である。この繊維状分散時間が長くなると、水分散紙を流した場合、排水口のごみ受けの詰りの原因となる。
本発明の水分散性ラミネート紙は、平滑性を向上させて印刷用途などに供するため、マシンカレンダー、スーパーカレンダー、ソフトニップカレンダー等の一般的な製紙用カレンダーを用いてカレンダー加工を施すことができる。
また、非ラミネート面に印刷・印字適性を付与するために、非ラミネート面に、水溶性高分子を主成分とするクリアーコート層、顔料と水溶性高分子を主成分とする顔料コート層、顕色剤および染料を主成分とする感熱記録層、カチオン性化合物を含有するインクジェット記録層を設けることもできる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。また、実施例において用いた評価方法を次に示す。これは各実施例において共通して用いた。
1)水分散時間
3cm角の試験片5枚を用意した。次に300ml容ビーカーに脱イオン水300mlを入れてスターラーで650rpmに攪拌しながら上記試験片1枚を投入した。試験片の基紙部分が2つ以上に千切れる時間と試験片が完全に繊維一本一本にほぐれる時間をストップウオッチで求め、5回の測定の平均値をそれぞれフロック状水分散時間、繊維状水分散時間とし、PVA樹脂ラミネート層が2つ以上に千切れる時間と完全溶解するまでの時間を、それぞれフィルム溶断時間、フィルム溶解時間とした。
また、試験片を60℃、80%RHの環境下で処理(1日間、4日間、8日間)し、フロック状水分散時間、繊維状水分散時間、フィルム溶断時間、フィルム溶解時間を評価した。
2)引張強さ
JIS P8113に準拠して測定した。
3)紙面pH
紙面pHの測定はJAPAN TAPPI No.49−1に準拠し、湿潤液は蒸留水を用い、蒸留水を滴下した紙の湿潤面を電極に接触させて2分後のpH値を読み取った。
4)ヒートシール強度
ヒートシーラー(ヒートシールテスターTP−701、テスター産業株式会社製)を用いて、PVAラミネート層面同士を下記の条件でヒートシールし、ヒートシール強度を測定した。
条件1:120℃×2Kgf/cm×1秒
条件2:160℃×2Kgf/cm×1秒
ヒートシール強度はJIS Z0238記載のヒートシール強さ試験法に準じて測定した。
5)層間剥離抵抗
幅15.0±0.1mm×長さ150mmの試験片を長手方向が抄紙方向(ラミネート方向)となるように採取した。試験片の一端から約20mmの長さにわたってラミネート樹脂を基紙との境界面で剥がし、定速伸張形引張試験機(テンシロン 東洋精機(株)製)のつかみ具に各々くわえてT字剥離試験を行った、つかみ具の移動速さを毎分300mmとして、ラミネート樹脂と基紙とが剥がれるときの最大荷重を層間剥離抵抗とした。なお、試料の調湿及び測定は、気温23℃、相対湿度50%の恒温室内で行った。
(実施例1)
針葉樹晒しクラフトパルプ(以下NBKPという。αセルロース含有率 85.6%)60重量%と針葉樹マーセル化パルプ(αセルロース含有率 97.5%、450mlCSFにおける保水度138%)の40重量%とを配合し、濾水度641mlCSFに混合叩解した抄紙用原料に、カチオン性定着剤としてポリアミン樹脂(商品名アルコフィックス159、チバスペシャリティケミカルズ社製品)を固形分換算で原料に対して0.9重量%添加し、更に水溶性高分子電解質塩としてカルボキシルメチルセルロースナトリウム塩(以下CMCという。商品名サンローズ、日本製紙ケミカル社製品)の水溶液を固形分換算で2.0重量%添加した後、坪量60g/mの原紙を手抄きした。得られた原紙に、水溶性重合体としてCMC(商品名サンローズ、日本製紙ケミカル社製品、20℃における2重量%水溶液の粘度が5mPa・s)の4重量%液をサイズプレス方式で原紙に対して9.3重量%(5.6g/m)塗工し、紙面pHが6.8である中性の水分散性基紙(坪量:59.7g/m、厚さ:89.2μm)を作製した。
得られた基紙上に、185℃に溶融したPVA樹脂(商品名:CP−1220T10、クラレ社製)を膜厚が15μmになるように押し出しラミネートを行い、実施例1の水分散性ラミネート紙(坪量:83.4g/m、厚さ:105.8μm)を得た。
この水分散性ラミネート紙の水分散時間、引張強度、紙面pH(非ラミネート面)、ヒートシール強度の測定結果を表1に示した。
ラミネート直後の水分散性ラミネート紙は水中で、基紙とPVAラミネート層は同時に2.6秒で溶断した。また、12.2秒後に基紙が繊維状に分散し、この時点でPVAラミネート層も完全に溶解した。また、ラミネート後、試験片を60℃、80%RHの環境下に8日間暴露した水分散性ラミネート紙は、基紙とPVAラミネート層が2.7秒で同時に溶断した。また、13.7秒後に基紙が繊維状に分散し、この時点でPVAラミネート層も完全に溶解した。
(比較例1)
基紙に紙面pHが9.8でアルカリ性を呈する市販の水溶紙(商品名:60MDP、日本製紙パピリア社製)を用いた以外は実施例1と同様にして水分散性ラミネート紙を得た。
ラミネート直後の水分散性ラミネート紙は、水中で基紙とPVAラミネート層が同時に2.8秒で溶断した。また、12.5秒後に基紙が繊維状に分散し、この時点でPVAラミネート層も完全に溶解した。一方、ラミネート後、試験片を60℃、80%RHの環境下に8日間暴露した水分散性ラミネート紙は、基紙がフロック状に分散するまでの時間は4.0秒であったが、PVAラミネート層が溶断するまでの時間は109.4秒であった。また、基紙が繊維状に分散するまでの時間は34.3秒で、PVAラミネート層が完全に溶解するまでの時間は300秒以上であり、基紙の繊維状分散性並びにPVAラミネート層の溶解性が著しく低下していた。
Figure 0005842329

Claims (3)

  1. 木材パルプおよびまたは非木材パルプから成る基材の少なくとも一方の面にポリビニルアルコール樹脂ラミネート層を有するラミネート紙において、該基材の紙面pHが6〜8であり、該基材を構成するパルプの15〜95重量%がαセルロース含有量88%以上であって、且つカナダ標準ろ水度で450mlCSFまで叩解した時の保水度が140%以下の精製パルプであり、該基材を構成するパルプの残りの85〜5重量%がαセルロース含有率88%未満の無精製パルプであり、精製パルプと無精製パルプを配合した紙料のカナダ標準ろ水度が450〜700mlであることを特徴とする水分散性ラミネート紙。
  2. 前記αセルロース含有量88%以上であって、且つカナダ標準ろ水度で450mlCS
    Fまで叩解した時の保水度が140%以下の精製パルプが、マーセル化パルプ及び若しく
    は溶解パルプのうちいずれか1種類もしくはそれらの混合物であることを特徴とする請求
    項1記載の水分散性ラミネート紙。
  3. 300ml容ビーカーに脱イオン水300mlを入れてスターラーで650rpmに撹
    拌した水中に3cm角の試験片を投入した時に、試験片のうち、基材が完全に繊維一本一
    本にほぐれる時間、およびラミネート層が完全溶解するまでの時間が、それぞれ20秒以
    内であることを特徴とする請求項1及び2記載の水分散性ラミネート紙。
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