JP5841209B2 - 排泄物分離回収器及び自立支援下着 - Google Patents
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Description
また、介護従事者にとって最も負担が大きい介護メニューは、排便の付着した下着の処理であった。
着用者の股間部に装着され、当該着用者の排尿を吸収可能に構成されたシート状の吸水シート部と、
前記吸水シート部の裏面側に、前記着用者の排便を回収可能に設けられ、前記排便を収容した状態で投棄が可能な素材からなる排便回収袋と、
前記吸水シート部の裏面側に設けられると共に、前記排便回収袋を収容する排便回収袋収容部とを備え、
前記排便回収袋は、袋本体と、前記袋本体の首部に沿って設けられたつばと、回収物の漏出を防止する逆止弁とを有し、
前記吸水シート部の、着用時に前記着用者の背中側に位置する背中側には、前記排便回収袋の首部と連通する排便回収袋取付孔が形成されており、前記吸水シート部の背中側末端から前記排便回収袋取付孔にかけて溝が形成されていることを特徴とする。
着用者の股間部前側に装着され、当該着用者の排尿を回収可能に設けられた、洗浄及び繰り返し使用が可能な排尿回収部材と、
前記着用者の股間部後ろ側に装着され、当該着用者の排便を回収可能に設けられ、前記排便を収容した状態でトイレへの投棄が可能な水溶性の素材からなる排便回収袋と、
前記排尿回収部材と前記排便回収袋とを収容する下着本体とを備え、
前記排便回収袋は、袋本体と、前記袋本体の首部に沿って設けられたつばと、回収物の漏出を防止する逆止弁とを有することを特徴とする。
本発明の第1の観点に係る排泄物分離回収器と、
着用者が着用すると共に、前記排泄物分離回収器を収容する下着本体とを備え、
前記下着本体の股間部には、前記排泄物分離回収器を取出可能に構成された挿通孔が設けられていることを特徴とする。
前記支持部材の端部は、前記支持部材端部挿通孔に挿入されてもよい。
前記下着本体は、内部に排泄物分離回収器取付部材と、前記支持部材の前記ベルト部を取り付けるベルト部取付部とを更に有し、
前記ベルト部を前記ベルト部取付部に取り付けることで、前記下着本体と前記支持部材とを合体するように構成されていてもよい。
右側身頃と左側身頃とにより構成されると共に、平面展開可能に構成された胴体部と、
前記胴体部の下方に設けられた裾口とを備え、
前記胴体部は、
前記右側身頃に設けられた開閉部と、
前記左側身頃に設けられた持ち出し部分と、
前記開閉部に設けられた開孔部と、
前記持ち出し部分に設けられると共に、前記開孔部に係止されるタブと、
前記開閉部の裏面に設けられると共に、前記持ち出し部分の表面と脱着可能に接合する接合部材とを有し、
前記裾口は、当該裾口を筒状にする為の接合部材を有していてもよい。
まず、図1(a)、(b)を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る排泄物分離回収器1について説明する。本実施の形態に係る排泄物分離回収器1は、吸水シート部10と、排便回収袋2と、排便回収袋収容部11とを備える。
図1(a)に示すように、吸水シート部10は、着用者の股間部に装着され、当該着用者の排尿を吸収可能に構成されたシート状の部材である。排便回収袋2は、吸水シート部10の裏面側に、着用者の排便を回収可能に設けられ、排便を収容した状態で投棄が可能な素材からなる袋体である。排便回収袋収容部11は、吸水シート部10の裏面側に設けられると共に、排便回収袋を収容する袋状又は箱状の部材である。なお、吸水シート部10の「表面側(おもてめんがわ)」とは、着用者と接触する側の面を示し、吸水シート部10の「裏面側」とは、着用者と接触しない側の面を示す。また、吸水シート部10の「表面(ひょうめん)」は、吸水シート部10の表面側及び裏面側の両方の表面を指す。
吸水シート部10の、着用時に着用者の背中側に位置する吸水シート部の背中側10Aには、排便回収袋2の首部と連通する排便回収袋取付孔12と、吸水シート部の背中側10Aの末端から排便回収袋取付孔12にかけて溝13Aが形成されている。
かかる構成を備える排泄物分離回収器1によれば、吸水シート部10により着用者の排尿を吸収すると共に、排便回収袋2により着用者の排便を回収することができる。また、排便を収容した状態で投棄が可能な素材を用いて排便回収袋2を構成することで、排泄物の処理を容易かつ衛生的に行うことができる。
また、着用時に着用者の腹部側に位置する吸水シート部の腹部側10Bには、舌片状のつまみ15が設けられている。
吸水シート部10は、楕円状又は略楕円状の形状を有する反復利用可能なシート状の部材であり、長手方向の少なくとも一端側には、排泄物分離回収器1を、後述する下着本体に取り付けるためのつまみ15が設けられている。排泄物分離回収器1は、着用時には、つまみ15が下着本体に取り付けられた状態で、股間部に沿って屈曲した状態で下着本体に装着される。なお、図1(a)では、吸水シート部の腹部側10Bにのみつまみ15が設けられた状態を示しているが、吸水シート部の腹部側10B及び吸水シート部の背中側10Aの両方につまみ15が設けられていてもよい。
次に、排便回収袋収容部11について説明する。
排便回収袋収容部11は、吸水シート部10の裏面側に設けられるものである。図1(a)に示すように、排便回収袋収容部11は、排便回収袋収容部本体17と、片部材18とを備えている。排便回収袋収容部本体17の上面17Aと、吸水シート部10の裏面側とを貼り合わせることにより、排便回収袋11が吸水シート部10の裏面側に設置される。片部材18は、排便回収袋収容部本体17の底面に設置される。
次に、排便回収袋2について説明する。
排便回収袋2は、吸水シート部10の裏面側に着用者の排便を回収可能に設けられ、排便回収袋収容部11に収容されると共に、投棄時に公害の原因とならない使い捨て可能な素材からなる袋体である。このような排便回収袋2を備えることにより、着用者又は介護者は、排便に直接触れることなく、且つ便臭に悩まされることなく排便の処理を行うことが可能になる。更に、排便回収袋2が水溶性素材からなる場合には、排便を収容した排便回収袋2を直接水洗トイレに投棄することが可能になる。それにより、排便の処理を容易且つ簡便に行うことができると共に、便器への排便の付着も抑制できるため、トイレの清掃の手間も低減できるというメリットを有している。
また、排便を収容した排便回収袋2を焼却処分する場合には、排便回収袋2に用いられる素材としては、焼却時に有毒ガスを発生せず、袋状に容易に成形できる可燃性の素材が挙げられる。このような可燃性の素材の具体例としては、ポリエチレン等の樹脂、耐水紙、綿、レーヨン等に防水加工を施した防水布等が挙げられる。
また、排便が起こる可能性が低い時間帯等において、排泄物分離回収器1に吸水シート部10及び排便回収袋2を、通常の使用時と前後の方向が逆になるように設置し、排便回収袋2で排尿を回収するようにしてもよい。
上述のように、排便回収袋2で排尿を回収する場合には、排便回収袋2を耐水性の素材で構成するか、高分子吸水素材等からなる吸水材を排便回収袋2の内部に配置し、排便回収袋2への水分の接触を極力避けるようにする必要がある。
上述した第1の実施の形態に係る排泄物分離回収器1(図1(a)参照)では、防漏ガード16Aを吸水シート部10の外周を覆うように配設したが、これには限定されない。例えば、図1(c)(排便回収袋収容部11内に収容された排便回収袋2A及び排便回収袋2Aのつば23は省略している。)に示すように、第1の変形例に係る排泄物分離回収器1Aにおいて、防漏ガード16Bを、主に、吸水シート部10の外縁部の長手方向にのみ形成することもできる。また、吸水シート部10の両側に配設することもできる。女性用の排泄物分離回収器1Aの場合には、尿漏れ防止ガード16Bを、吸水シート部10の両側から後方へつながる形状となるように設けてもよい。これにより、吸水シート部10の表面を伝う伝い漏れを防止する。このように、防漏ガード16Bを設けることで、特に排泄物分離回収器1Aの短手方向への排尿の伝い漏れを防止することができる。したがって、防漏ガード16Bを設けることは、着用者が女性である場合に有益である。
また、袋本体21の底面形状を曲面形状にすることもできる。袋本体21の底面形状を曲面形状にする場合には、その側面にマチ部を設けてもよい。このように、マチ部を設けることで、排便回収袋2を排泄物分離回収器1の内部に収容する際に安定した形状で収容することができる。また、本変形例の排便回収袋2Aを上述した排泄物分離回収器1に装着することもでき、更に、排便回収袋2を排泄物分離回収器1Aに装着することもできる。
具体的には、排便回収袋固定部は、適度な強度を有する側面視略コ字状の部材であり、吸水シート部10の排便回収袋取付孔12を覆う被覆部と、被覆部の両端部に設けられた挟持片により構成される。排便回収袋固定部は、両挟持片が吸水シート部10の短手方向の両側から挟持することで、当該吸水シート部10に取り付けられる。排便回収袋固定部の中央には、排便回収袋2の回収口22に対応する排便回収袋首部挿通孔が設けられており、着用者の排便は排便回収袋首部挿通孔を介して排便回収袋2の内部に回収される。
排便回収袋固定部は、排便回収袋固定部と吸水シート部10とによって排便回収袋2のつば23を十分な力で挟持可能な強度を有し、なおかつ、着用者に痛み等の刺激を与えることのない柔軟性を有する強度(硬度)を有する。
このように、排便回収袋固定部を備えることで、排便回収袋2は、吸水シート部10の排便回収袋取付孔12に係止されると共に、排便回収袋固定部と排便回収袋取付孔12とによって挟持される。したがって、排便回収袋2は、より安定した状態で保持され、着用者の運動に伴う排便回収袋2の装着ずれを防止できる。
皮膚接触部に吸水性を有する素材を用いることもできる。吸水性を有する素材により皮膚接触部を構成することで、排泄物分離回収器1の吸水効果を高めることもできる。
このように、本変形例に係る排泄物分離回収器では、排便回収袋2が吸水シート部10に安定して固定されると共に、着用者に快適な履き心地を付与することができる。
また、上述の排泄物分離回収器1に代わり、図2、図3に示す構成を有する排泄物分離回収器3を用いてもよい。図2は、本変形例に係る排泄物分離回収器3の基本構成を示す図である。以下、本変形例に係る排泄物分離回収器3について具体的に説明する。
排泄物分離回収器3は、図2に示すように、排便回収袋2を収容する排便回収袋収容部30と、排便回収袋収容部30の上面に載設される吸水シート部31とにより構成される。排泄物分離回収器3は、排便回収袋2を収納すると共に、吸水体からなる吸水シート部31を上面に配置して、防水布35A及び布片35で吸水シート部31の周囲を包み込むように形成されている。以下、排泄物分離回収器3の各構成要素について具体的に説明する。
排便回収袋収容部30は、防水機能を有する筒状又は箱状の素材である。図3(a)に示すように、排便回収袋収容部30の上面には、上述した排便回収袋取付孔12に対応する位置に排便回収袋首部挿通孔33が設けられており、背中側末端から排便回収袋首部挿通孔33にかけて溝34が形成されている。排便回収袋収容部30の素材には、長手方向に伸長率の高い素材が用いられる。これにより、排便回収袋2が排便を回収して膨張した場合には、排便回収袋2の大きさに合わせて膨張し、その結果、回収物を漏出することなく保持できる。
吸水シート部31は、吸水性を有する矩形状のシート部材であり、図3(a)に示す排便回収袋収容部30の上面Cに配置される。
吸水シート部31には、排便回収袋2を取り付ける排便回収袋首部挿通孔36が形成されていると共に、着用時に着用者の背中側に位置する背中側末端に位置する短辺から排便回収袋首部挿通孔36にかけて溝38が形成されている。吸水シート部31は、単層のシート状部材であってもよいが、図3(b)及び図3(c)に示す変形例に係る吸水シート部31Aのように、排便回収袋首部挿通孔36の各辺に、排便回収袋首部挿通孔36の内側に向けて片部材37が設けられていてもよい。これらの片部材37は、排泄物分離回収器3に装着する際は、折りしろに沿って表面側に谷折りに折り曲げられ、排便回収袋首部挿通孔36の周囲が立体的に隆起した形状となるように形成されている。
図3(c)に示すように、表面布32は吸水シート部31Aの表面を覆う。表面布32は、例えば、コットン等の天然素材により構成される。着用者の皮膚に接する吸水シート部31Aの表面を表面布32により覆うことで、快適な履き心地を付与することができる。
次に、図4を参照して本発明の第2の実施の形態に係る自立支援下着100について説明する。本実施の形態に係る自立支援下着100は、着用者の少なくとも下半身に装着されるものであり、排尿と排便とを分離回収可能に構成された反復利用可能な介護用下着である。より具体的には、自立支援下着100は、本発明の第1の実施の形態に係る排泄物分離回収器1と、着用者が着用すると共に、排泄物分離回収器1を収容する下着本体4とを備える。下着本体4には、股間部に設けられた排泄物分離回収器1を取出可能に構成された挿通孔41が設けられている。また、自立支援下着100は、下着本体4の外側に配置されると共に、排泄物分離回収器1の底部を支持する支持部材5を更に備える。
下着本体4は、自立支援下着100の主要部分であり、着用者の下半身に装着される。下着本体4には、図4(a)、(b)、図6(a)〜(d)に示すように、股間部の腹部側から背中側にかけて挿通孔41が設けられていると共に、前身頃及び後身頃の内側には、それぞれ、排泄物分離回収器取付部材49A、49Bを有している。また、図6(d)に示すように、下着本体4の前身頃の上端部近傍には、支持部材5の端部を挿通させるための支持部材端部挿通孔47が設けられている。
支持部材5は、下着本体4の外側に配置されると共に、排泄物回収器1の底部を支持可能に構成されている。支持部材5は、図5(a)に示すように、着用者の腹部側(前方)を覆う前支持部材50と、背中側(後方)を覆う後支持部材51と、前支持部材50と後支持部材51とを接続する股間部52とを有している。また、支持部材5は、必要に応じて排泄物分離回収器取付部材53A、53Bを有していてもよい。また、支持部材5の前支持部材50、後支持部材51及び股間部52の内部には、吸水部材が配置されていてもよい。さらに、支持部材5は、排尿の伝い漏れを防止するための、透水性を有しない素材からなる防漏ガード55を備えていてもよい。
なお、本実施の形態では、支持部材5の全体に吸水部を設けたが、これには限定されない。例えば、支持部材5の股間部52にのみ吸水部を設けてもよい。吸水部を支持部材5の股間部52にのみ設けることで、支持部材5の厚さが必要最小限に留められる。そのため、支持部材5には、予備の吸水体としての機能が付与されると共に、着用者の動作を妨げない機能性も付与される。
また、支持部材5に吸水部を設けない場合には、介護度が軽度で動きの多い着用者にとって有益となる。支持部材5の股間部52にのみ吸水部を設けた場合と比較して、更に高い機能性が付与されるためである。
特に、下着本体4の外側に配置された支持部材5が柔軟性を有している場合、後支持部材51を装着した状態で、前支持部材50のみを前方向に引き伸ばし展開することで、排泄物分離回収器1が取り出し可能になる。したがって、排泄物分離回収器1を交換する毎に、支持部材5の全体を取り外す必要がなくなり、排泄物分離回収器1の取り外し又は交換を、着用者自身が容易に行うことができる。
また、前支持部材50を装着した状態で、後支持部材51のみを引き出して展開することもできる。そのため、排便時には、排便回収袋2を用いることなくトイレに排便することもできる。加えて、排便後、臀部の拭き取りを行う場合には、後支持部材51を展開してできた空隙より臀部の拭き取りを容易に行うことができる。更に、排便を行っていない着用時に、後支持部材51を展開することで、着用者が横臥状態であっても、臀部の通気を保つことができる。その結果、寝たきりの弱者の仙骨周囲に多い褥瘡の早期治療のために有益である。すなわち、後方(着用者の背中側)を開くことで、例えば、着用者が幼児である場合には、着用者でない第三者(保護者)が容易に排泄物分離回収器1を取り外すことができる。なお、着用方法については、着用者又は介護者による選択が可能となっている。
上述した下着本体4に代えて、図6(a)、図6(b)、図6(c)、図6(d)に示す下着本体4Aを用いてもよい。図6(a)は、本変形例の自立支援下着を構成する下着本体及び支持部材の基本構成を示す正面図である。また、図6(b)は、本変形例の自立支援下着を構成する下着本体及び支持部材の基本構成を示す背面図である。また、図6(c)は、後支持部材を展開した状態を示す背面図である。また、図6(d)は、前支持部材を展開した状態を示す正面図である。なお、図6(a)、図6(c)、図6(d)では、下着本体4Aと支持部材5B(図5(b)参照)とを組み合わせた例について説明しているが、これには限定されない。例えば、下着本体4Aと支持部材5A(図5(a)参照)との組み合わせが可能である。以下の記載も同様である。
下着本体4Aは、上述した下着本体4と基本的に同じ構成を有するものの、下着本体4Aの前身頃の上端部に支持部材端部挿通孔47が設けられている点で異なる。すなわち、下着本体4Aの股間部には、前記排泄物分離回収器1を取出可能に構成された挿通孔41が設けられていると共に、下着本体4Aの前身頃には、支持部材端部挿通孔47が設けられている。
支持部材端部挿通孔47は、下着本体4Aの前身頃の上端部に設けられる。支持部材端部挿通孔47は、支持部材5Bの前支持部材の端部50Aと同程度の幅を有する。支持部材5Bの端部50Aは、支持部材端部挿通孔47により挟持されると共に、下着本体4Aの外側に向けて折り曲げられる。また、支持部材端部挿通孔47は、支持部材5Bの取り付け位置を調整する機能を有する。例えば、支持部材5Bのうち下着本体4Aの内側に収容する部分の長さを長くすることで、支持部材5Bの取り付け位置はより高い位置になる。一方、支持部材5Bのうち下着本体4Aの内側に収容する部分の長さを短くすることで、支持部材5Bの取り付け位置はより低い位置になる。
このように、支持部材端部挿通孔47を設けることで支持部材5Bの取り付け位置の変更が容易になる。
結束部56A、56Bは後支持部材51の端部の両側に設けられたベルト状の部材である。ベルト部56の先端には、一対のスナップやホック、ボタンとボタン穴等の結束部56A、56Bが設けられている。着用時には、ベルト部56は着用者の腰に巻き付けられると共に、結束部56A、56Bが前支持部材50側で着脱可能に結合される。このとき、後支持部材51は着用者に固定されると共に、前支持部材50は展開可能な状態となる。そのため、ベルト部56を有する支持部材5B(図5(b)参照)を備えることで、排便後、排泄物分離回収器1を取り外す場合には、支持部材5B全体を取り外すことなく、前支持部材50を展開するのみでよい。したがって、排泄物分離回収器1の取り外しが容易になる。
また、ベルト部56は、支持部材5Bを昇降する際には、支持部材5Bを案内する機能も有する。すなわち、ベルト部56を上下方向に引っ張ることで、支持部材5Bが昇降可能に構成されている。支持部材5Bは、上述した支持部材5と同様に、排泄物分離回収器1の底部を支持する。そのため、支持部材5Bが下降することで、排泄物分離回収器1内に収容された排便回収袋2内に所定の空気層が形成され、当該排便回収袋が立体的な形状を保持した状態で収容される。そのため、ベルト部56を備えることで、排泄物分離回収器1内の空間の大きさを容易に変えられる。その結果、突発的に便意を催した場合にも迅速に対応することができ、排便の回収漏れが防止される。
また、図4及び図6に示す例では、支持部材を下着本体の外側に配置したが、これには限定されない。例えば、図7(a)、図7(b)に示すように、支持部材5を下着本体の内側に配置することもできる。すなわち、本変形例に係る自立支援下着100Aは、下着本体4の内側に配置されると共に、排泄物分離回収器(不図示)を収容する支持部材5Aを更に備え、下着本体4の股間部には、排泄物分離回収器1を取出可能に構成された挿通孔41が設けられている。支持部材5の裾部58の下端は、下着本体の下着本体の裾口42から露出した状態となっている。
図7(a)は下着本体4の基本構成を示す背面図である。また、図7(b)は下着本体4の基本構成を示す正面図である。なお、図7(a)、図7(b)では、下着本体4と、支持部材5Aと、図示しない排泄物分離回収器とを組み合わせた例について説明するが、この組み合わせに限定されない。
図7(a)、図7(b)に示すように、支持部材5Aは下着本体4の内側に配置される。支持部材5Aの内部には図示しない排泄物分離回収器が収容されている。前支持部材(50)の端部50Aは、下着本体4の前身頃の上端部において、内側から外側に折り返されている。着用者は、前支持部材の端部50Aの露出した部分の長さを変えることで、支持部材5及び排泄物分離回収器の取り付け位置を調整する。
また、上述した第2の実施の形態に係る自立支援下着100は、排泄物分離回収器1と、排便回収袋2と、下着本体4と、支持部材5とにより構成されるが、例えば、支持部材5を用いることなく、排泄物分離回収器1及び排便回収袋2を、排便回収袋収容部支持部材を備えた下着本体4の内部に装着してもよい。下着本体4と重ねた状態で着用される支持部材5を省略することで、下着本体4内部の蒸れの低減や、圧迫感の低減や運動性の向上等のメリットを享受できる。
自立支援下着100は、上述の下着本体4、4Aに代わり、完全平面展開可能に構成された下着本体6又は6Aを備えていてもよい。図9(a)、(b)に示すように、下着本体6は、右側身頃と左側身頃とにより構成されると共に、平面展開可能に構成された胴体部と、胴体部の下方に設けられた下着本体の下着本体の裾口61とを備える。下着本体の裾口61は、当該下着本体の裾口61を筒状にする為の接合部材62A、62Bを有する。
下着本体6を備えることで、着用者が障害を有し、片側の手しか使えない場合であっても、着用者自身により横臥状態で、開閉及び着脱が可能である。なお、左右の打ち合わせは、障害の度合いや、利き手によりどちらか選択可能である。
本実施の形態に係る自立支援下着は、図9(a)、図9(b)に示すように、上述した第1又は第2の実施の形態に係る排泄物分離回収器1及び排便回収袋2と、上述した第3の実施の形態に係る自立支援下着100と同様の支持部材5と、下着本体6とを備える。以下、本実施の形態に係る自立支援下着の特徴的な構成である下着本体6について具体的に説明する。なお、下着本体以外の構成については、上述した第1〜第3の実施の形態に係る各構成要素と同じであるため、同一符号を付して説明を省略する。
下着本体6は、上述した下着本体4と同様に着用者の下半身に着用されるものであるが、平面展開可能に構成されている点で、上述した下着本体4とは異なる。すなわち、下着本体6は、図9(a)、図9(b)に示すように、右側身頃と左側身頃を有し、平面展開可能に構成された胴体部と、胴体部の下方に設けられた下着本体の裾口61とを備える。
また、開閉部60の裏面には接合部材64Aが設けられており、接合部材64Aは持ち出し部分65の表面と脱着可能に構成されている。接合部材64Aは、右側身頃と左側身頃を閉じる場合には、持ち出し部分65の表面に接合される。
自立支援下着100は、図10(a)、図10(b)に示すように、本発明の第1の実施の形態に係る排泄物分離回収器1(不図示)と、着用者が着用すると共に、前記排泄物分離回収器1を収容する下着本体(上述の下着本体4、4A、6、6Aのいずれでもよい。)と、排泄物分離回収器の排便回収袋2の首部が係止される係止部76を有する便漏れ防止用固定具7とを備えていてもよい。なお、図10(a)及び図10(b)において、排便回収袋2の首部と係止部76との位置関係を明確に示すために、排泄物分離回収器1を構成する吸水シート部10及び排便回収袋2のみを図示して、他の構成要素を省略している。
以下、本変形例に係る自立支援下着の特徴的な構成である便漏れ防止用固定具7について具体的に説明する。なお、便漏れ防止用固定具7以外の構成については、上述した第2の実施の形態及びそれらの変形例に係る各構成要素と同じであるため、同一符号を付して説明を省略する。
便漏れ防止用固定具7は、例えば、ガーターベルト等の固定具であり、図10(a)、図10(b)に示すように、便漏れ防止用固定具の本体部70(以下、「本体部70」と略称する。)と、便漏れ防止用固定具のウェストベルト部71(以下、「ウェストベルト部71」と略称する。)とを備える。
溝75の後身頃72を狭い幅で形成することで、係止部76に係止された排便回収袋2には適度な自由が与えられる
溝75の股間部74における部分には、尿道を確保できる広さの間隙が形成されている。これにより、着用者が排尿した場合であっても、排尿が便漏れ防止用固定具7に付着することが防止される。
かかる構成を備える便漏れ防止用固定具7では、幅広に形成された溝75における股間部74に排便回収袋2の首部を挿通すると共に、溝75に沿って排便回収袋2を移動させる。排便回収袋2は便漏れ防止用固定具7に固定される。
この排便回収袋2を幅狭に形成された溝75における後身頃72側に滑り込ませる。排便回収袋2のつば23が係止部76に係止されると共に、排便回収袋2が便漏れ防止用固定具7に固定される。
便漏れ防止用固定具7の着用に先立ち、予め排便回収袋2を便漏れ防止用固定具7に固定することで、排便回収袋2は便漏れ防止用固定具7に容易に固定することができる。
溝75は、便漏れ防止用固定具7の溝部75に沿って滑らせるように排便回収袋2のつば23を移動させ、係止部76で係止させた状態でして着衣することで、着用者の肛門部位と排便回収袋2の回収口22との間の隙間が発生しないようにしている。また、着用者の股間部に対応する溝75の領域には、排便回収袋2のつば23を介して排泄物分離回収器1を取り付ける係止部76が設けられている。
次に、図11を参照して本発明の第3の実施の形態に係る自立支援下着100Bについて説明する。本実施の形態に係る自立支援下着100Bは、着用者の少なくとも下半身に装着されるものであり、排尿と排便とを分離回収可能に構成された反復利用可能な介護用下着である。より具体的には、自立支援下着100は、本発明の第1の実施の形態に係る排泄物分離回収器1において、吸水シート部10の代わりに排尿回収部材80を備えた排泄物分離回収器1Bと、着用者が着用すると共に、排泄物分離回収器1を収容する下着本体4とを備える。下着本体4については、本発明の第2の実施の形態に係る自立支援下着100における下着本体4と同様であるため、詳しい説明を省略する。
図12に、排尿回収部材80の模式図を示す。本発明の第2の実施の形態に係る自立支援下着100における吸水シート部10は、主に軽失禁時の排尿の吸収を意図し、着用時の股間部への違和感を軽減するために、薄いシート状の部材として構成されていたが、膀胱に貯留された尿の全量が排出される重度の失禁の場合、シート状の部材では排尿を全て吸収することが困難である。そのため、排尿回収部材80は、表面積及び給水部材の体積を増大させるために、巾着状の形状としている。排尿回収部材80は、男性の着用者を対象とするものであり、開口部が男性の尿道口に対応する位置に設けられている。排尿回収部材80においては、ほぼ合同な形状を有する排尿回収外側部材81と、その内部に着脱可能に装着可能な排尿回収内側部材82から構成されている。排尿回収外側部材81及び排尿回収内側部材82は、吸水性の高い素材で構成されており、ここで排尿を吸収する。排尿回収外側部材81の外側は、透水性のない素材から構成されており、吸収された排尿の漏出を防ぐようになっている。排尿回収部材80は、使用後に洗浄することにより繰り返し使用が可能であるが、乾燥時には、排尿回収外側部材81と排尿回収内側部材82とを分離することにより、より迅速に乾燥できるようにしている。
10 吸水シート部
10A 吸水シート部の背中側
10B 吸水シート部の腹部側
11 排便回収袋収容部
12 排便回収袋取付孔
13A、13B、34、38、75 溝
14 防水素材
15 つまみ
16A、16B、55 防漏ガード
17 排便回収袋収容部本体
17A 排便回収袋収容部本体の上面
17B 排便回収袋収容部本体の側面
18、37 片部材
39 防漏壁
2、2A 排便回収袋
21、21A 袋本体
22 回収口
23 つば
24 逆止弁
3 排泄物分離回収器
30 排便回収袋収容部
31、31A 吸水シート部
32 表面布
33、36、36A 排便回収袋首部挿通孔
35 布片
35A 防水布
4、4A、4B、6、6A 下着本体
41 挿通孔
42、61 下着本体の裾口
43、57A、57B、60A、60B、62A、62B、64A 接合部材
44 係止部材
45 係止孔
47 支持部材端部挿通孔
48A、48B ベルト部取付部
49A、49B 排泄物分離回収器取付部材
5、5A、5B 支持部材
50 前支持部材
50A 前支持部材の端部
51 後支持部材
52 股間部
53A、53B 排泄物分離回収器取付部材
56 ベルト部
56A、56B 結束部
58 裾部
60、62 開閉部
63 挿通孔
64 開孔部
65 持ち出し部分
66 タブ
7 便漏れ防止用固定具
70 便漏れ防止用固定具の本体部
71 便漏れ防止用固定具のウェストベルト部
72 便漏れ防止用固定具の後身頃
73 便漏れ防止用固定具の前身頃
74 便漏れ防止用固定具の股間部
76 係止部
80、80A 排尿回収部材
81、81A 排尿回収外側部材
82、82A 排尿回収内側部材
100、100A、100B 自立支援下着
Claims (10)
- 着用者の股間部に装着され、当該着用者の排尿を吸収可能に構成されたシート状の吸水シート部と、
前記吸水シート部の裏面側に、前記着用者の排便を回収可能に設けられ、前記排便を収容した状態で投棄が可能な素材からなる排便回収袋と、
前記吸水シート部の裏面側に設けられると共に、前記排便回収袋を収容する排便回収袋収容部とを備え、
前記排便回収袋は、袋本体と、前記袋本体の首部に沿って設けられたつばと、回収物の漏出を防止する逆止弁とを有し、
前記吸水シート部の、着用時に前記着用者の背中側に位置する背中側には、前記排便回収袋の首部と連通する排便回収袋取付孔が形成されており、前記吸水シート部の背中側末端から前記排便回収袋取付孔にかけて溝が形成されていることを特徴とする排泄物分離回収器。 - 着用者の股間部前側に装着され、当該着用者の排尿を回収可能に設けられた、洗浄及び繰り返し使用が可能な排尿回収部材と、
前記着用者の股間部後ろ側に装着され、当該着用者の排便を回収可能に設けられ、前記排便を収容した状態でトイレへの投棄が可能な水溶性の素材からなる排便回収袋と、
前記排尿回収部材と前記排便回収袋とを収容する下着本体とを備え、
前記排便回収袋は、袋本体と、前記袋本体の首部に沿って設けられたつばと、回収物の漏出を防止する逆止弁とを有することを特徴とする自立支援下着。 - 請求項1に記載の排泄物分離回収器と、
着用者が着用すると共に、前記排泄物分離回収器を収容する下着本体とを備え、
前記下着本体の股間部には、前記排泄物分離回収器を取出可能に構成された挿通孔が設けられていることを特徴とする自立支援下着。 - 前記下着本体の外側に配置されると共に、前記排泄物分離回収器の底部を、前記挿通孔を介して支持する支持部材を更に備えることを特徴とする請求項3に記載の自立支援下着。
- 前記下着本体の前身頃に、支持部材端部挿通孔が形成され、
前記支持部材の端部は、前記支持部材端部挿通孔に挿入されることを特徴とする請求項4に記載の自立支援下着。 - 前記支持部材は、上端部にベルト部を有し、
前記下着本体は、内部に排泄物分離回収器取付部材と、前記支持部材の前記ベルト部を取り付けるベルト部取付部とを更に有し、
前記ベルト部を前記ベルト部取付部に取り付けることで、前記下着本体と前記支持部材とを合体するように構成されることを特徴とする請求項4又は5に記載の自立支援下着。 - 前記下着本体の内側に配置されると共に、前記排泄物分離回収器の底部を支持する支持部材を更に備えることを特徴とする請求項3に記載の自立支援下着。
- 前記下着本体は、
右側身頃と左側身頃とにより構成されると共に、平面展開可能に構成された胴体部と、
前記胴体部の下方に設けられた裾口とを備え、
前記胴体部は、
前記右側身頃に設けられた開閉部と、
前記左側身頃に設けられた持ち出し部分と、
前記開閉部に設けられた開孔部と、
前記持ち出し部分に設けられると共に、前記開孔部に係止されるタブと、
前記開閉部の裏面に設けられると共に、前記持ち出し部分の表面と脱着可能に接合する接合部材とを有し、
前記裾口は、当該裾口を筒状にする為の接合部材を有することを特徴とする請求項3〜7のいずれか1項に記載の自立支援下着。 - 前記着用者の股間部の少なくとも一部を覆い、前記排泄物分離回収器の排便回収袋の首部を、当該着用者の肛門部に対応する位置で係止する係止部を有する便漏れ防止用固定具を更に備えることを特徴とする請求項3〜8のいずれか1項に記載の自立支援下着。
- 前記排便回収袋の前記つばには、着用者の肛門部との密着性を高めるために粘着性が付与されていることを特徴とする請求項3〜9のいずれか1項に記載の自立支援下着。
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