JP5839950B2 - 圧延銅箔 - Google Patents
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Description
尚、フレキシブルフラットケーブルの導体部分には、従来から広く圧延銅箔が用いられている。
また、特許文献2には、最終冷間圧延工程の後で再結晶焼鈍前の圧延銅箔であって、圧延面を基準としたX線回折極点図測定による銅結晶の{220}Cu面回折の正極点図結果で、α角度が40〜50°の範囲において、β角度の少なくとも90±5°毎に存在して4回対称性を示す結晶粒群に起因する回折ピークが存在し、さらに、前記β角度の90±10°毎に存在して4回対称性を示す別の結晶粒群に起因する回折ピークが存在する圧延銅箔が開示されている。この引用文献2は、フレキシブルプリント配線板等の可撓性配線部材に対する更なる高屈曲特性の要求に対応するために、優れた屈曲特性を有する圧延銅箔を提供するものである。
また、特許文献2は、最終の平角導体を得るまでに、条を連続して圧延させて製造することから、線引き加工された丸線を最終段階で圧延する製法に比べて高コストとなる問題を抱えている。
<1> 銅の結晶粒子で構成された圧延銅箔であって、最表面を構成する前記結晶粒子の平均粒子径が0.1μm以上1.3μm以下であり、前記圧延銅箔の厚みに対する、最表面を構成する前記結晶粒子の平均粒子径の比率が0.5%以上1.3%以下であり、且つ前記圧延銅箔の長手方向に直交する断面をEBSD(electron backscatter diffraction)解析した際における下記式(1)により求められる粒内歪み率が50%以上70%以下である圧延銅箔。
式(1) 粒内歪み率(%)=(A)/(B)×100
(上記式(1)において、(A)は、画像解析により方位差1度以上15度以下と識別される領域の面積を、(B)は、画像解析により方位差0度以上15度以下と識別される領域の面積を、表す。)
・最表面を構成する前記結晶粒子の平均粒子径が0.1μm以上1.3μm以下
・前記圧延銅箔の厚みに対する、最表面を構成する前記結晶粒子の平均粒子径の比率が0.5%以上1.3%以下
・前記圧延銅箔の長手方向に直交する断面をEBSD(electron backscatter diffraction)解析した際における下記式(1)により求められる粒内歪み率が50%以上70%以下
式(1) 粒内歪み率(%)=(A)/(B)×100
(上記式(1)において、(A)は、画像解析により方位差1度以上15度以下と識別される領域の面積を、(B)は、画像解析により方位差0度以上15度以下と識別される領域の面積を、表す。)
また上記の通り、最表面を構成する結晶粒子の平均粒子径が0.1μm以上1.3μm以下であり、且つ最表面を構成する結晶粒子の平均粒子径が圧延銅箔の厚みに対する比率で0.5%以上1.3%以下であり、最表面の結晶粒子の粒子径が非常に小さい。
本発明においては、圧延銅箔の長手方向に直交する断面をEBSD(electron backscatter diffraction)解析した際における前記式(1)により求められる粒内歪み率が50%以上70%以下である。粒内歪み率が50%未満である場合、厳密な加工条件の制御が必要となるため生産性が問題となる。一方、70%を超える場合、強度が高すぎるために柔軟性に問題が生じる。
圧延銅箔を長手方向に直交する方向に切断しその断面についてEBSD(electron backscatter diffraction)解析を行う。EBSD解析によって、方位差が15度を超える部分は粒界と識別し、且つ方位差が15度までのものを粒内歪みと認定すると共に、特に0度以上1度以下と判定される方位差については問題とならない程度の粒内歪みと捉える。そこで、まず方位差が0度から15度までの部分を抽出して、前記断面における方位差1度以上15度以下の領域の面積と、方位差0度以上15度以下の領域の面積を測定し、前記式(1)により粒内歪み率を求める。
この粒内歪み率の値が大きいほど、圧延銅箔において存在する粒内歪みは大きい。
本発明においては、最表面を構成する前記結晶粒子の平均粒子径が0.1μm以上1.3μm以下であり、且つ最表面を構成する結晶粒子の平均粒子径の圧延銅箔の厚みに対する比率が0.5%以上1.3%以下である。前記平均粒子径が1.3μmを超える場合や該平均粒子径の比率が1.3%を超える場合、繰返して屈曲変形が加えられた際にクラックの発生が問題となる。一方、前記平均粒子径が0.1μm未満の場合や前記平均粒子径の比率が0.5%未満である場合、圧延銅箔は柔軟性に劣り容易に配索が行えないとの問題が生じる。
圧延銅箔を長手方向に直交する方向に切断しその断面についてEBSD解析を行う。EBSD解析によって、方位差が15度を超える部分を粒界と識別し、結晶粒子の画像を得る。この画像において、特定の幅方向長さ(H)(少なくとも40μm以上)内における最表面を構成する結晶粒子の数(K)を求め、前記幅方向長さ(H)を前記結晶粒子の数(K)で割ることで、最表面を構成する結晶粒子の平均粒子径を求める。更にこの平均粒子径の値を圧延銅箔の厚みで割ることで、圧延銅箔の厚みに対する最表面を構成する結晶粒子の平均粒子径の比率が求められる。
本発明に係る圧延銅箔の作製においては、丸線型の銅材を圧延によって所定の銅箔状に成形(圧延工程)することで作製することができる。
尚、前記所定の銅箔状に成形する工程では、前記圧延は多段階で行なってもよく、また圧延以外の方法を併用して成形を行なってもよい。
本発明の圧延銅箔は、最表面を構成する前記結晶粒子の平均粒子径の圧延銅箔の厚みに対する比率、および粒内歪み率が前述の範囲である。上記粒内歪み率を前記範囲に制御する方法としては、例えば前記圧延の際の減面率を高くし、つまり圧延による断面積の減少量を高くする方法が挙げられる。また、前記圧延工程や該圧延工程後において銅箔に対し熱が付与されると粒内歪みは除去される傾向があり、そのため全ての工程において極力熱の付与を避ける、即ち室温以上で加熱される工程を極力行わないことが挙げられる。更に、熱の付与を極力避けることにより、上記結晶粒子の平均粒子径の圧延銅箔の厚みに対する比率も、前記の範囲に制御される。
・圧延工程
まず所定の径(例えばΦ0.30mm)を有する硬銅線(丸線型)を準備する。例えば上記Φ0.30mmの硬銅線は、それよりも径の大きい軟銅線(例えばΦ2.6mm)を伸線することで形成することができる。
圧延の方法としては、2つあるいは複数の回転するロールの間に前記銅線を通すことで加工する方法が挙げられる。尚、ロールの径や、パス数、潤滑剤の有無等は適宜調整される。
尚、最終的な銅箔状に成形するための圧延は2段階以上に分けて行なってもよい。
本発明に係る圧延銅箔は、可撓性に優れ且つ耐屈曲性に優れることから、電子機器等への実装形態における自由度が高く、フレキシブルフラットケーブル(FFC)として好適に用いられる。例えば、自動車におけるエアバックシステムの構成部品であるステアリング・ロール・コネクタ(SRC)、ルーフハーネス、ドアハーネス、フロアハーネス等として好適に用いられる。
まず、Φ2.6mmの軟銅線を伸線することで、Φ0.30mmの硬銅線(丸線型)を準備した。この硬銅線に、Φ100mmのロールを有する圧延機(無潤滑)を用いて圧延を施して、厚さ0.080mm×幅0.8mmの箔状に成形し、圧延銅箔を得た。
前記実施例1において、前記圧延によって厚さ0.080mm×幅0.8mmの箔状に成形した後、該箔状のものに対し、ソルトバスを用いて800℃5secの条件で熱処理(焼鈍)を施し、更に熱処理(焼鈍)の後水冷によって急冷し、圧延銅箔を得た。
前記実施例1において、Φ2.6mmの軟銅線を伸線した後、更に300℃2hの熱処理を施すことでΦ0.30mmの軟銅線(丸線型)を準備し、前記Φ0.30mmの硬銅線(丸線型)に代えて前記軟銅線を用いたこと以外は、実施例1に記載の方法により圧延銅箔を得た。
図2に示す上島製作所製FPC屈曲試験機(FT−2130)を用い、試料固定板4および稼動板6に圧延銅箔2を固定し、モーター8により稼動板6を稼働させて屈曲試験を行った。尚、屈曲R:12.5mm、ストロークS:±13mm、環境温度:85℃、回転速度:900rpm、断線定義:初期抵抗値+500Ωとし、断線が確認されるまで屈曲試験を繰返した。
4 試料固定板
6 稼動板
8 モーター
Claims (3)
- 銅の結晶粒子で構成された圧延銅箔であって、
最表面を構成する前記結晶粒子の平均粒子径が0.1μm以上1.3μm以下であり、
前記圧延銅箔の厚みに対する、最表面を構成する前記結晶粒子の平均粒子径の比率が0.5%以上1.3%以下であり、
且つ前記圧延銅箔の長手方向に直交する断面をEBSD(electron backscatter diffraction)解析した際における下記式(1)により求められる粒内歪み率が50%以上70%以下である圧延銅箔。
式(1) 粒内歪み率(%)=(A)/(B)×100
(上記式(1)において、(A)は、画像解析により方位差1度以上15度以下と識別される領域の面積を、(B)は、画像解析により方位差0度以上15度以下と識別される領域の面積を、表す。) - 丸線型の銅材の圧延物である請求項1に記載の圧延銅箔。
- 前記圧延銅箔の厚みが0.02mm以上0.1mm以下である請求項1または請求項2に記載の圧延銅箔。
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