JP5839790B2 - Dnaマイクロアレイの製造方法、dnaマイクロアレイ、タンパク質アレイの製造方法、タンパク質アレイ、及び機能性タンパク質の同定方法 - Google Patents
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そのためには、ランダム変異を導入したDNAからなるDNAマイクロアレイ、及び該DNAマイクロアレイに基づいて製造されたタンパク質アレイが必須である。
1分子エマルションPCR法とは、乳化剤が混和した油の中に水を攪拌して逆ミセルコロイド( W/Oエマルション )を形成させることで限られた反応空間の中に1分子変異DNAを容易に隔離することを可能とする方法である。
このようなエマルションから固相担体を回収し、DNAマイクロアレイを作製した場合には、DNAマイクロアレイ上に、DNAが固定されていないスポットが多数存在することになり、効率的なスクリーニングという観点からは改良の余地がある。
(1)本発明の一実施態様におけるDNAマイクロアレイの製造方法は、
DNAが配置された複数の微小反応槽を備えたDNAマイクロアレイの製造方法であって、
(a)エマルション1個あたり平均1分子以下のDNAと平均1個以下の前記DNAの固相担体としてのビーズが含まれるように油中水型エマルションを調製する工程と、
(b)前記エマルション内で核酸増幅反応を行い、固相結合部位が付加されたDNAを前記ビーズに固定化する工程と、
(c)前記工程(b)で得られる前記DNAが固定化されたビーズを有する前記エマルション及び前記DNAが固定化されていないビーズを有する前記エマルションをそれぞれ破壊して前記DNAが固定化されたビーズ及び前記DNAが固定化されていないビーズを取り出し、前記DNAが固定化されていないビーズと前記DNAが固定化されたビーズとから前記DNAが固定化されたビーズを電気泳動によって選別する工程と、
(d)前記工程(c)において選別された前記DNAが固定化されたビーズを含む懸濁液を、ビーズ配置用基板に接触させ、前記ビーズ配置用基板に配設された複数の微小反応槽内に前記DNAが固定化されたビーズを配置する工程を有し、
前記微小反応槽の直径が前記ビーズの直径の1〜2倍であることを特徴とする。
(2)本発明の一実施態様におけるDNAマイクロアレイの製造方法は、前記工程(c)は、前記DNAが固定化された複数のビーズと前記DNAが固定化されていない複数のビーズとから前記DNAが固定化されたビーズを選別する工程であり、前記DNAが固定化された複数のビーズは、それぞれ異なる種類のDNAが固定化されたものを含むことが好ましい。
(3)本発明の一実施態様におけるDNAマイクロアレイの製造方法は、前記工程(a)において、前記DNAは変異DNAライブラリー由来のDNAであることが好ましい。
(4)本発明の一実施態様におけるDNAマイクロアレイの製造方法は、前記工程(b)において、前記固相結合部位はビオチンであり、前記ビーズはストレプトアビジン又はアビジンで修飾されたものであることが好ましい。
(5)本発明の一実施態様におけるDNAマイクロアレイの製造方法は、前記ビーズは、磁気ビーズであり、前記ビーズ配置用基板は、磁気ビーズ配置用基板であり、前記工程(d)において、前記磁気ビーズ配置用基板の下部に磁石を配置し、前記磁気ビーズを前記微小反応槽に誘導することが好ましい。
(6)本発明の一実施態様におけるDNAマイクロアレイの製造方法は、
DNAが配置された複数の微小反応槽を備えたDNAマイクロアレイの製造方法であって、
(a)エマルション1個あたり、平均1分子以下のDNAと平均1個以下の前記DNAの固相担体としてのビーズとが含まれるように油中水型エマルションを調製し、1分子以下の第1のDNAを含む第1のエマルションと1分子以下の第1のDNAとは異なる種類のDNAである第2のDNAを含む第2のエマルションとを作製する工程と、
(b)前記エマルション内で核酸増幅反応を行い、固相結合部位が付加されたDNAを前記ビーズに固定化する工程と、
(c)前記工程(b)で得られる前記第1のDNAが固定化されたビーズを有する前記第1のエマルションと前記第2のDNAが固定化されたビーズを有する前記第2のエマルションと前記DNAが固定化されていないビーズを有する前記エマルションとをそれぞれ破壊して前記DNAが固定化されたビーズ及び前記DNAが固定化されていないビーズを取り出し、前記第1のDNAが固定化されたビーズと前記第2のDNAが固定化されたビーズとを、前記DNAが固定されていないビーズから電気泳動によって選別する工程と、
(d)前記工程(c)において選別された前記第1のDNAが固定化されたビーズ及び前記第2のDNAが固定化されたビーズを含む懸濁液を、複数の微小反応槽を有するビーズ配置用基板に接触させ、前記複数の微小反応槽のうち第1の微小反応槽内に前記第1のDNAが固定化されたビーズを配置し第2の微小反応槽内に前記第2のDNAが固定化されたビーズを配置する工程と、
を有することを特徴とする。
(7)本発明の一実施態様におけるタンパク質アレイの製造方法は、
(e)前記(1)〜(6)のいずれか一つに記載の製造方法によってDNAマイクロアレイを準備し、前記DNAマイクロアレイが備える前記微小反応槽に無細胞タンパク質合成系を用意する工程と、
(f)前記微小反応槽中で合成される後記タンパク質と接触するように基板を前記DNAマイクロアレイと重ね合わせる工程と、
(g)前記微小反応槽内において、前記無細胞タンパク質合成系を用いて前記DNAからタンパク質を合成し、前記タンパク質を前記基板上に固定化する工程と、を有することを特徴とする。
(8)本発明の一実施態様における機能性タンパク質の同定方法は、(7)に記載の製造方法によってタンパク質アレイを準備し、前記タンパク質アレイを用いて機能性スクリーニングを行い、前記機能性スクリーニングにより特定された、前記工程(g)において固定化されたタンパク質を、前記工程(e)において対応する微小反応槽内のDNAを用いて同定することを特徴とする。
(9)本発明の一実施態様におけるタンパク質の活性測定方法は、(7)に記載の製造方法によってタンパク質アレイを準備し、前記タンパク質アレイを用いて、前記工程(g)において固定化されたタンパク質の活性を測定する方法であって、
スポットの位置に対応するようなマイクロ凹版を用意し、
前記マイクロ凹版の微小凹部内にタンパク質の活性測定溶液を予め充填し、
タンパク質アレイとマイクロ凹版を重ね合わせて反応させてチップ上のタンパク質の活性を測定する
ことを特徴とする。
本発明によれば、1スポット当たりに1種類の変異タンパク質が高い精度で固定されたタンパク質マイクロアレイが得られるだけではなく、前記タンパク質マイクロアレイを高密度化することも可能であり、かかる高密度タンパク質マイクロアレイは、膨大な種類のタンパク質が固定化されているだけではなく、1スポット当たりに多分子数のホモジニアスなタンパク質が固定化されたものであるため、利用価値が高い。
また、本発明の機能性タンパク質又は機能性ペプチドの同定方法は、高密度化タンパク質アレイから所望の機能を有するタンパク質を迅速に同定することができるため、進化分子工学的用途に好適に用いられる。
本実施形態のDNAマイクロアレイの製造方法は、
DNAが配置された複数の微小反応槽を備えたDNAマイクロアレイの製造方法であって、
(a)エマルション1個あたり平均1分子以下のDNAと平均1個以下の前記DNAの固相担体としてのビーズが含まれるように油中水型エマルションを調製する工程と、
(b)前記エマルション内で核酸増幅反応を行い、固相結合部位が付加されたDNAを前記ビーズに固定化する工程と、
(c)電気泳動を行い、前記DNAが固定化されたビーズのみを選別する工程と、
(d)前記DNAが固定化されたビーズを、ビーズ配置用基板に配設された複数の微小反応槽内に配置する工程を有し、
前記微小反応槽の直径が前記ビーズの直径の1〜2倍であることを特徴とする。
以下、各工程について説明する。
エマルションの調製には、攪拌処理(磁気攪拌子、プロペラ式などの使用)、ホモジナイズ(ホモジナイザー、乳鉢などの使用)、超音波処理(ソニケーターなどの使用)などを利用できる。
エマルションの大きさは特に限定されないが、エマルション1個の体積は、エマルションの平均粒径を基に算出できる。エマルションの平均粒径は、1μm〜100μmが好ましく、5μm〜50μmがより好ましく、10μm〜30μmが特に好ましい。
エマルション粒子の数は前記水性成分の体積からエマルション1個の体積を割ることにより算出される。よって、エマルション1個あたり平均1分子以下のDNAが含まれるように油中水型エマルションを調製するためには、全体におけるエマルションの数以下の分子数のDNAを用意すればよい。
従って、エマルションを用いた核酸増幅反応を行うことにより、高密度化したDNAマイクロアレイを製造することができる。さらにかかるDNAマイクロアレイを用いて製造されたタンパク質アレイもまた各スポットに多分子のタンパク質が固定化された高密度なものとすることができ、特定の活性を有するタンパク質を選択する際の検出感度が向上する。
かかるエマルションに用いられる乳化剤としては、ゴールドシュミット社製ABIL(登録商標)WE09、ABIL(登録商標)WS08、ABIL(登録商標)EM90等が挙げられる。
エマルションの数は、上記計算により算出され、全体におけるエマルションの数以下の個数の固相担体を用意すればよい。各エマルションに含まれる固相担体の数が2個以上の場合、核酸増幅反応後の固相担体1個当たりが固定するDNAの分子数が減少することになる。これは、高密度DNAマイクロアレイを作製するという観点から適切ではない。
油中水型エマルションに平均1個以下の固相担体が含まれるようにすることで、固相担体が含まれないエマルションも存在することになるが、後記工程(c)においてDNAが固定化されたビーズのみを選別するため特に問題とはならない。
このようにDNAの固相担体としてビーズを用いれば、基板上にDNAを固定する場合より多分子数のDNAを固定することができる。かかるDNAの分子数は、無細胞翻訳系を用いて合成されるタンパク質の分子数に反映されるため、本実施形態によれば、基板にDNAを直接固定した従来のDNAマイクロアレイからタンパク質アレイを作製する方法よりも1スポット当たりに多分子数のタンパク質を固定することができる。
変異DNAライブラリーとしては、Error−prone PCR(エラープローンPCR)を利用したライブラリー、Gene assembly mutagenesisを利用したライブラリー、Random insertion and deletion mutagenesisを利用したライブラリー、DNA shufflingを利用したライブラリー、Family shufflingを利用したライブラリー、Staggered Extension Process in vitro recombinationを利用したライブラリー、ITCHY Hybrid protein libraries、SCRATCHY Hybrid Protein Libraries、Sequence Homology−independent Protein Recombinationを利用したライブラリー等が挙げられる。
更に、固定化としては、ストレプトアビジン又はアビジンを固相に固定化し、固相結合部位としてビオチンをDNAに結合させたものがより好ましい。
上述したように、工程(a)において、エマルション1個あたり平均1分子以下のDNAと平均1個以下の前記DNAの固相担体としてのビーズが含まれるように油中水系エマルションを調製しているため、エマルション中にビーズに固定化されていないDNAやDNAが固定化されていないビーズが存在する。工程(c)において、DNAに帯電した負の電荷を利用し、電気泳動を行い、電気泳動度の違いを利用することでDNAが固定化されたビーズのみを選別することができる。本実施形態に用いられる電気泳動装置としては、公知のもので良く、例えば、フリーフロー電気泳動装置等が挙げられる。
本実施形態において、ビーズ配置用基板は、複数の微小反応槽が配設されており、前記複数の微小反応槽内にDNAが固定化されたビーズが配置されることにより、DNAマイクロアレイとして用いられる。
かかる構造の磁気ビーズ配置用基板を用いることにより、微小反応槽内に磁気ビーズを容易にかつ高い精度で配置することができる。具体的には、該基板材料の下部に磁石を配置し、該基板材料上にDNAを固定した磁気ビーズを分散させた分散液を滴下する。磁気ビーズ及び磁性体薄膜による磁力の作用により、微小反応槽内へ磁気ビーズが誘引されることにより配置されやすくなる。さらに磁石を適宜基板に対し平行方向に動かすことで磁気ビーズが分散し、微小反応槽内への充填率が向上する。磁石によりビーズ配置用基板に印加する磁場の強さは、所望の効果を得る上で、好ましくは100〜10000ガウスである。
また、磁石を取り除いた後も磁性体板の磁化は残るため、磁気ビーズは安定した配置を保持し続けることが可能となる。
本実施形態のDNAマイクロアレイの製造方法を用いて製造されたDNAマイクロアレイは、1スポット当たり1種類の変異DNA分子が高い精度で固定されたものであり、スポットの高密度化にも対応し得るものである。
本実施形態のタンパク質アレイの製造方法は、
(e)先に記載のDNAマイクロアレイが備える微小反応槽に無細胞タンパク質合成系を用意する工程と、
(f)前記微小反応槽中で合成される後記タンパク質と接触するように基板を前記DNAマイクロアレイと重ね合わせる工程と、
(g)前記微小反応槽内において、前記無細胞タンパク質合成系を用いて前記DNAからタンパク質を合成し、前記タンパク質を前記基板上に固定化する工程と、を有することを特徴とする。
以下、各工程について説明する。
工程(f)は、版の凹んだ部分にインクをいれ、上から紙などを押し当てる凹版印刷(インタリプチンティング)技術を利用したものである。具体的には、前記工程(f)は、DNAマイクロアレイ上の凹部である微小反応槽に反応溶液を滴下し、上から基板を前記DNAマイクロアレイと重ね合わせ、ハンドプレス器等を用いて、押し当てる工程である。そして、後記工程(g)において、基板上にタンパク質が固定される。よって、前記DNAマイクロアレイにおいて固定化されたDNAの位置情報を変更することなく、該DNAからタンパク質を合成し、該タンパクを基板上に固定することができる。
本実施形態においては、DNAマイクロアレイと重ね合わせる基板の表面は必ずしも平坦である必要はなく、例えば、タンパク質を固定する表面積を増やすために凹凸を加工してもよい。ただし、基板とDNAマイクロアレイを重ね合わせた際に、DNAマイクロアレイ上の全ての微小反応槽内の試薬等の漏れがなく封じられるように、DNAマイクロアレイが接触する部分の基板表面は平坦である必要がある。
このような系を用いることにより、前記微小反応槽内においてタンパク質が製造される。
合成されるタンパク質は、分解や変性により失活しやすいため、基板への固定の際にはできるだけ安定な状態で該タンパク質を維持する必要がある。本実施形態においては、微小反応槽内で合成したタンパク質を、そのまま基板に固定するため、タンパク質の失活を極力抑えたタンパク質アレイを作製することができる。
転写反応及び翻訳反応を最適な状態で行わせるために、微小反応槽内の温度やpH条件などを制御する他の装置などを組み合わせてもよい。
また、簡便であることから、転写翻訳がカップルした系を用いてもよい。
このような固相結合部位/固相結合部位認識部位の組み合わせとしては、マルトース結合タンパク質/マルトース、Gタンパク質/グアニンヌクレオチド、ポリヒスチジン/ニッケルあるいはコバルト等の金属イオン、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ/グルタチオン、DNA結合タンパク質/DNA、抗体/抗原分子(エピトープ)、カルモジュリン/カルモジュリン結合ペプチド、ATP結合タンパク質/ATP、あるいはエストラジオール受容体タンパク質/エストラジオールなどの、各種受容体タンパク質/そのリガンドなどが挙げられる。
これらの中で、固相結合部位/固相結合部位認識部位の組合せとしては、マルトース結合タンパク質/マルトース、ポリヒスチジン/ニッケルあるいはコバルト等の金属イオン、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ/グルタチオン、抗体/抗原分子(エピトープ)などが好ましく、使い勝手の良さからポリヒスチジン/ニッケルあるいはコバルト等の金属イオンの組合せが最も好ましい。
ポリヒスチジンとしては、ヘキサマー以上のものが好ましく用いられる。タンパク質中にポリヒスチジンを含ませるためには、PCR等で予めcDNAの末端に該ポリヒスチジンをコードする塩基配列を付加しておくことが好ましい。
本実施形態のタンパク質アレイの製造方法を用いて製造されたタンパク質アレイは、1スポット当たり1種類の変異タンパク質が高い精度で固定されたものであり、スポットの高密度化にも対応し得るものである。また、該タンパク質アレイは、使用時に、随時、前記DNAマイクロアレイから製造されるものであるため、アレイ上のタンパク質の変性等を抑制することができる。
本実施形態における機能性タンパク質の同定方法は、上述したタンパク質アレイを用いて、機能性スクリーニングを行い、前記機能性スクリーニングにより特定された、前記工程(g)において固定化されたタンパク質を、前記工程(e)において対応するDNAマイクロアレイにおける微小反応槽内のDNAを用いて同定することを特徴とする。
油/乳化剤混合物をABIL(登録商標)WE09(ゴールドシュミット社)36%、Tegosoft(登録商標)DEC(ゴールドシュミット社)DEC50%、ミネラルオイル14%の割合で調製し、4℃以下で、MicroTubeMixtureで攪拌しながら、直径約2.8μmのストレプトアビジン修飾磁気ビーズを含んだPCR溶液25μl(10×Ex TaqBuffer: 2.5μl,dNTPmix各2.0 mM:4.0μl,ストレプトアビジン修飾磁気ビーズ:6〜7×105particles/μl,ビオチン結合リバースプライマー0.01mM:2.0μl,FITC標識フォワードプライマー又はCy5標識フォワードプライマー100mM:2.0μl,鋳型cDNA[RFP(Red Fluorescent Protein)cDNA、又はGFP(Green Fluorescent Protein)cDNA]0.015nM: 4.64μl,HS TaqPolymerase (5U/μl): 0.3μl, Nucleotide free water : up to 25μl)を滴下した。攪拌を30 min以上続けることで、ストレプトアビジン修飾磁気ビーズを内包させたW/O(water−in−oil)エマルション粒子を形成できた。
また、エマルション粒子のヒストグラムは、ポアソン確率により計算したエマルション粒子のヒストグラムと非常によく一致した。
次いで、サーマルサイクラ装置で70cycleのPCRを行い、ビーズ上に鋳型cDNAを増幅させた。増幅したcDNAの確認は、蛍光顕微鏡を用いて行った。
結果を図1に示す。図1右図は、磁気ビーズを封入したエマルション粒子の蛍光顕微鏡像であり、図1左図は、対応する位相差顕微鏡像である。蛍光顕微鏡観察による結果から、エマルション粒子1個に2分子以上の鋳型cDNAを内包する確率が0.1 %であることが確認された。
図2にcDNAが結合したビーズと結合していないビーズの電気泳動度の測定値を示す。このようにcDNAの結合したビーズはcDNAが有する負電荷により、cDNAが結合していないビーズよりも電気泳動度の絶対値が大きく、そのヒストグラムは重なりが生じない程度に大きく異なる。この事実を利用して、上記1分子ビーズ内包エマルションPCRを行った磁気ビーズをフリーフロー電気泳動することにより、cDNA結合磁気ビーズを選別できた。
上記により作製したCy5−GFPcDNA結合磁気ビーズとFITC−RFPcDNA結合磁気ビーズの懸濁液10μlを100×100個の微小反応槽(直径5μm、 深さ5μm)がアレイ状に並んだシリカガラス製の鋳型(30mm×30mm,t=0.5、鋳型の下部に磁石を配置)に滴下し、鋳型の下部の磁石を鋳型に対して平行方向に適宜移動させることで、cDNA磁気ビーズを微小反応槽に導入した。該cDNA結合磁気ビーズがマイクロウェルモールドの中に導入されているかどうか、蛍光顕微鏡を用いて観察した。結果を図3に示す。
Claims (9)
- DNAが配置された複数の微小反応槽を備えたDNAマイクロアレイの製造方法であって、
(a)エマルション1個あたり平均1分子以下のDNAと平均1個以下の前記DNAの固相担体としてのビーズが含まれるように油中水型エマルションを調製する工程と、
(b)前記エマルション内で核酸増幅反応を行い、固相結合部位が付加されたDNAを前記ビーズに固定化する工程と、
(c)前記工程(b)で得られる前記DNAが固定化されたビーズを有する前記エマルション及び前記DNAが固定化されていないビーズを有する前記エマルションをそれぞれ破壊して前記DNAが固定化されたビーズ及び前記DNAが固定化されていないビーズを取り出し、前記DNAが固定化されていないビーズと前記DNAが固定化されたビーズとから前記DNAが固定化されたビーズを電気泳動によって選別する工程と、
(d)前記工程(c)において選別された前記DNAが固定化されたビーズを含む懸濁液を、ビーズ配置用基板に接触させ、前記ビーズ配置用基板に配設された複数の微小反応槽内に前記DNAが固定化されたビーズを配置する工程を有し、
前記微小反応槽の直径が前記ビーズの直径の1〜2倍であることを特徴とするDNAマイクロアレイの製造方法。 - 前記工程(c)は、前記DNAが固定化された複数のビーズと前記DNAが固定化されていない複数のビーズとから前記DNAが固定化されたビーズを選別する工程であり、前記DNAが固定化された複数のビーズは、それぞれ異なる種類のDNAが固定化されたものを含む請求項1に記載のDNAマイクロアレイの製造方法。
- 前記工程(a)において、前記DNAは変異DNAライブラリー由来のDNAである請求項1又は2に記載のDNAマイクロアレイの製造方法。
- 前記工程(b)において、前記固相結合部位はビオチンであり、前記ビーズはストレプトアビジン又はアビジンで修飾されたものである請求項1〜3のいずれか一項に記載のDNAマイクロアレイの製造方法。
- 前記ビーズは、磁気ビーズであり、前記ビーズ配置用基板は、磁気ビーズ配置用基板であり、前記工程(d)において、前記磁気ビーズ配置用基板の下部に磁石を配置し、前記磁気ビーズを前記微小反応槽に誘導する請求項1〜4のいずれか一項に記載のDNAマイクロアレイの製造方法。
- DNAが配置された複数の微小反応槽を備えたDNAマイクロアレイの製造方法であって、
(a)エマルション1個あたり、平均1分子以下のDNAと平均1個以下の前記DNAの固相担体としてのビーズとが含まれるように油中水型エマルションを調製し、1分子以下の第1のDNAを含む第1のエマルションと1分子以下の第1のDNAとは異なる種類のDNAである第2のDNAを含む第2のエマルションとを作製する工程と、
(b)前記エマルション内で核酸増幅反応を行い、固相結合部位が付加されたDNAを前記ビーズに固定化する工程と、
(c)前記工程(b)で得られる前記第1のDNAが固定化されたビーズを有する前記第1のエマルションと前記第2のDNAが固定化されたビーズを有する前記第2のエマルションと前記DNAが固定化されていないビーズを有する前記エマルションとをそれぞれ破壊して前記DNAが固定化されたビーズ及び前記DNAが固定化されていないビーズを取り出し、前記第1のDNAが固定化されたビーズと前記第2のDNAが固定化されたビーズとを、前記DNAが固定されていないビーズから電気泳動によって選別する工程と、
(d)前記工程(c)において選別された前記第1のDNAが固定化されたビーズ及び前記第2のDNAが固定化されたビーズを含む懸濁液を、複数の微小反応槽を有するビーズ配置用基板に接触させ、前記複数の微小反応槽のうち第1の微小反応槽内に前記第1のDNAが固定化されたビーズを配置し第2の微小反応槽内に前記第2のDNAが固定化されたビーズを配置する工程と、
を有することを特徴とするDNAマイクロアレイの製造方法。 - (e)請求項1〜6のいずれか一項に記載の製造方法によってDNAマイクロアレイを準備し、前記DNAマイクロアレイが備える前記微小反応槽に無細胞タンパク質合成系を用意する工程と、
(f)前記微小反応槽中で合成される後記タンパク質と接触するように基板を前記DNAマイクロアレイと重ね合わせる工程と、
(g)前記微小反応槽内において、前記無細胞タンパク質合成系を用いて前記DNAからタンパク質を合成し、前記タンパク質を前記基板上に固定化する工程と、を有することを特徴とするタンパク質アレイの製造方法。 - 請求項7に記載の製造方法によってタンパク質アレイを準備し、前記タンパク質アレイを用いて機能性スクリーニングを行い、前記機能性スクリーニングにより特定された、前記工程(g)において固定化されたタンパク質を、前記工程(e)において対応する微小反応槽内のDNAを用いて同定することを特徴とする機能性タンパク質の同定方法。
- 請求項7に記載の製造方法によってタンパク質アレイを準備し、前記タンパク質アレイを用いて、前記工程(g)において固定化されたタンパク質の活性を測定する方法であって、
スポットの位置に対応するようなマイクロ凹版を用意し、
前記マイクロ凹版の微小凹部内にタンパク質の活性測定溶液を予め充填し、
タンパク質アレイとマイクロ凹版を重ね合わせて反応させてチップ上のタンパク質の活性を測定する
ことを特徴とするタンパク質の活性測定方法。
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