JP5838102B2 - トンネル式オーブン - Google Patents
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Description
そこで、特公平8−22201号公報(「トンネルオーブンの温度制御装置」:特許文献1)では、トンネルオーブンの内部を複数のゾーン及びセクションに区画し、これらのゾーン或いはセクションごとに温度検出手段を配設し、各製品についての各ゾーンの最適温度を、記憶部に記憶させ、入力部において各ゾーン毎に温度制御を行う制御手段を備え、各ゾーンごとに最適温度になるように制御を行うものが開示されている。
特許文献2の発明は、対流装置を備えているが、運行窯内の空気を空気放出用チューブから放出するものであり、運行窯内に二次燃焼空気として外気を送り込むことはできず、また、対流装置が運行窯内に設置されているため高温に耐えるブロア等の装置が必要である。
そして、焼成室にコンベアにより天板に載せて搬送される焼成菓子生地の側部付近の温度が、その上部付近に比べて相対的に低くなることがないように、焼成室内の雰囲気空気を攪拌し熱が均等に作用するようにしたにすぎないものであり、焼成の初期段階において被焼成物の表面温度を、被焼成物の種類に合わせた時間に対する適切な温度に制御することはできないものである。
特許文献3の発明は、対流加熱装置を用いるものではなく、また、焼成の初期段階において被焼成物の表面温度を被焼成物の種類にあわせた焼成温度特性に制御することができるものではない。
(1)所定長延びる焼成炉と、前記焼成炉内に形成され、かつガスバーナーを備えた焼成室と、前記焼成室を通過するように被焼成物を搬送するためのコンベアとを備えるパンまたは菓子焼成用のトンネル式オーブンであって、
前記トンネル式オーブンは、前記焼成炉の外部に設けた吸入口と、前記吸入口と前記焼成室とを連通し、炉外の空気を前記焼成室に取り入れる吸入管と、前記吸入管に接続され、取り入れた炉外の空気を前記焼成室内を移動する前記被焼成物に向けて噴出する小孔を有する空気噴出用チューブと、前記吸入管に設けられ管内圧力を検出する圧力検出部と、前記吸入管の管路に設けられ前記吸入管の管内圧力を調節する有圧送風機とを有する対流加熱装置を、前記焼成炉の被焼成物の搬入口側の入口ゾーンに、前記被焼成物の搬送方向に向かって複数備えており、
さらに、前記トンネル式オーブンは、被焼成物の焼成条件に適合した基準吸入管内圧力値を記憶する基準吸入管内圧力値記憶部と、前記各対流加熱装置の圧力検出部により検出された圧力値と前記記憶する基準吸入管内圧力値とを用いて前記各対流加熱装置の有圧送風機の作動を制御する有圧送風機制御部とを備える対流加熱装置制御部を有することを特徴とするパンまたは菓子焼成用のトンネル式オーブン。
(3)前記対流加熱装置の前記空気噴出用チューブは、コンベアの被焼成物の搬送方向にほぼ直交するように設けられ、さらに、空気を噴出する複数の小孔を備えている上記(1)または(2)に記載のトンネル式オーブン。
(4)前記対流加熱装置の前記空気噴出用チューブは、前記空気噴出用チューブの直下に対して、前記被焼成物の搬送方向の斜め後方に向かって空気を噴出する斜め後方噴出用小孔列と、前記被焼成物の搬送方向の斜め前方に向かって空気を噴出する斜め前方噴出用小孔列とを備えている上記(1)ないし(3)のいずれかに記載のトンネル式オーブン。
(6)前記基準吸入管内圧力値記憶部は、複数の被焼成物の焼成条件に適合した複数の基準吸入管内圧力値を記憶している上記(1)ないし(5)のいずれかに記載のトンネル式オーブン。
(7)前記対流加熱装置の前記空気噴出用チューブは、空気を噴出する方向が、前記空気噴出用チューブの直下から、ベルトコンベアによる被焼成物の搬送方向に対し前方約30度の角度に噴出するための小孔と、後方約30度の角度に噴出するための小孔とを備えている上記(1)ないし(6)のいずれかに記載のトンネル式オーブン。
(9)前記吸入管の管路に設けられた前記有圧送風機は、前記焼成室の外部に位置する前記管路に設けられている(1)ないし(8)のいずれかに記載のトンネル式オーブン。
(10)前記対流加熱装置制御部は、前記焼成炉の入口ゾーンに設置された複数基の対流加熱装置を、必要に応じて1基又は複数基を作動し、被焼成物の表面に作用させる高温空気風量を制御する(1)ないし(9)のいずれかに記載のトンネル式オーブン。
また逆に、対流加熱装置制御部により、焼成初期の段階においては強く加熱することなく、被焼成物の表面の水分を緩やかに蒸発させ表面を余り硬くることなく焼き上げることもできる。
このように、前記各対流加熱装置の空気噴出用チューブの小孔から噴出される空気噴出量を、前記対流加熱装置制御部により調節し、前記焼成室に搬入される被焼成物の焼成初期段階における被焼成物の表面に向かう高温空気の風量を制御することができるので、焼成初期の段階の温度特性を希望する特性に制御することが容易にでき、種類の異なる各製品を、その製品に合わせた焼成条件のもので焼成でき品質の向上を図ることができる。
図1、図2において、Aは所定長延びるパン・菓子焼成用の焼成炉であり、前記焼成炉A内には、ガスバーナー7等を備えた焼成室Bが設けられ、前記焼成炉Aは、入口ゾーンaと中央ゾーンbと出口ゾーンcを備えている。
前記焼成炉Aには前記焼成室Bを通過するように、パン生地・菓子生地等の被焼成物10を搬送するためのコンベア12が設けられ、このコンベア12により、焼成炉Aの搬入口8からトレー11に載せられた被焼成物10が搬入され、前記入口ゾーンa、中央ゾーンb、出口ゾーンcを通過しながら加熱・焼成され、焼成炉Aの搬出口9から焼成が完了した被焼成物10が搬出されるようになっている。
各対流加熱装置Cは、所定の間隔離間して設置されているが、焼成初期段階において高温空気を被焼成物10の表面に作用させ易くするため、前記搬入口側の1基目の対流加熱装置は前記搬入口8の近くに設置され、さらに、前記1基目の対流加熱装置Cと2基目の対流加熱装置Cもその間隔を狭くして設置され、2基目と3基目の対流加熱装置Cとの間隔は若干広くして設置されている。
前記対流加熱装置Cは、3基設置されているがそれ以上でもよく、また、後述する対流加熱装置制御部Dにより、必要に応じて前記対流加熱装置を1基のみ、又は2基のみ、或いは3基が作動するように制御されるものである。
前者の炉外の空気を焼成室Bに供給する機構は、炉外の空気を吸入する吸入口1と、前記吸入口1と前記焼成室Bとを連通し炉外の空気を前記焼成室Bに取り入れる吸入管2と、前記吸入管2の管路に挿入設置され前記吸入管2の管内圧力を調節し送風するブロア等の有圧送風機5と、前記吸入管2により取り入れた炉外の空気を前記焼成室B内において、コンベア12で搬送される被焼成物10に向けて噴出する小孔4を設けた空気噴出用チューブ3とから構成されている。
そして、前記吸入口1は焼成炉Aの外部に設置され、前記吸入管の上部先端と連通して設けられている。また、前記吸入管の下部末端には、前記焼成室Bの天井13に近接した位置に設置された前記空気噴出用チューブ3が接続されている。
また、前記対流加熱装置制御部Dは、被焼成物10の焼成条件に適合した基準吸入管内圧力値を記憶する基準吸入管内圧力値記憶部と、前記圧力検出部6により検出された圧力値と前記記憶部に記憶された基準吸入管内圧力値とに基づいて前記有圧送風機5を制御する有圧送風機制御部を備えている。
これらの圧力計等の圧力検出部6とブロア等の有圧送風機5と対流加熱装置制御部Dは、温度の高い焼成室B内に設置するのではなく、いずれも前記焼成炉Aの外部に設置されている。
このブロア等の有圧送風機5は、前記吸入管2の経路中に設置され、また、前記圧力計等の圧力検出部6は前記吸入管2の前記有圧送風機5の下流側に取り付けられている。
前記小孔4は、図3に示すように、前記空気噴出用チューブ3の横断面の中心から、直下に対して左に30°の角度(俯角60°)の線上に、前記被焼成物10の搬送方向の斜め後方に向かって空気を噴出する斜め後方噴出用小孔列が設けられ、また、直下に対して右に30°の角度の線上に、前記被焼成物10の搬送方向の斜め前方に向かって空気を噴出する斜め前方噴出用小孔列が設けられ、図1に示すように高温空気の対流をハの字形に生じるようになっている。
前記小孔4の大きさ及び穿設する位置は、前記直下に対して左に30°の角度の線上に設けられた小孔4と、直下に対して右に30°の角度の線上に設けられた小孔4は、図4に示されているように、前記左に30°の角度の線上に設けられた隣り合う小孔4の中間位置に、前記右に30°の角度の線上に設けられた小孔4が位置するように設けられ、かつ、隣り合う小孔4と小孔4の間隔は、120mm〜160mmで、好ましくは、150mmである。また、小孔4の直径は、0.5mm〜1.5mmで、好ましくは1mmである。
また、上記空気噴出用チューブ3は、前記小孔4から噴出される空気が、前記焼成室内上部の天井13の近傍に滞留している高温の空気を巻き込み高温の空気が対流できるように、前記焼成室の天井13に近接した位置に設置されている。
したがって、本発明は、被焼成物の焼成温度の調節が、第1に、ガスバーナーの燃焼制御による焼成室の雰囲気温度の調節により行われ、第2に、対流加熱装置によりコンベアで搬送されてくる被焼成物に作用する高温空気風量が調節されるので、焼成初期段階の被焼成物の生地上面温度を、時間の経過すなわち被焼成物のコンベアによる移動に伴い適切な生地上面温度に制御することができる。
(a)焼成炉の被焼成物の搬入口側から2基目の対流加熱装置(No.2)の空気噴出用チューブの圧力を35kPa、3基目の対流加熱装置(No.3)の空気噴出用チューブの圧力を50kPa、1基目の対流加熱装置(No.1)は停止した場合の温度特性は、(1-1)雰囲気、(1-2)被焼成物上面、に示されているように、雰囲気温度が焼成開始から6分で約30℃から約205℃までほぼ直線的に上昇し続け、その後6分〜10分までは徐々に温度が低下し205℃から160℃近辺まで低下しその後は160℃前後で安定した温度特性を示している。
被焼成物の上面温度は、焼成開始から2分間は約30℃から約50℃と緩やかに温度上昇を開始し、2分から5分乃至6分で約140℃まで急速に温度が上昇している。
被焼成物の上面温度は、焼成開始から6分間は約30℃から約100℃まで緩やかに温度上昇が続き、6分経過後はさらに温度上昇が緩やかになり6分から16分で約30℃の上昇となり、130℃位で推移する温度特性を示している。
被焼成物の上面温度は、焼成開始から約1分40秒で約50℃に、2分30秒後に78℃、3分後に約100℃に達し焼成開始から温度が急上昇している。その後も温度上昇が続き、5分25秒で130℃に達し、その後は120℃から130℃で推移している。
よって、本発明は、単に焼成室内の空気を攪拌し温度の均一化を図り、被焼成物の表面に等しく熱が作用するように対流加熱装置を設けたものではなく、対流加熱装置の基数や、焼成炉のどの位置にある対流加熱装置を作動させるかの選択、空気噴出用チューブの圧力値の設定等により、焼成初期段階における様々の焼成温度特性を得ることが可能であるから、被焼成物の種類に応じ最適な焼成条件を与えることができ、その条件下で焼成が行われるので、外観形状のよいボリュームのある製品を提供することができる。
B 焼成室
C 対流加熱装置
D 対流加熱装置制御部
a 入口ゾーン
b 中央ゾーン
c 出口ゾーン
1 吸入口
2 吸入管
3 空気噴出用チューブ
4 小孔
5 有圧送風機
6 圧力検出部
7 ガスバーナー
8 搬入口
9 搬出口
10 被焼成物
11 トレー
12 コンベア
13 天井
Claims (10)
- 所定長延びる焼成炉と、前記焼成炉内に形成され、かつガスバーナーを備えた焼成室と、前記焼成室を通過するように被焼成物を搬送するためのコンベアとを備えるパンまたは菓子焼成用のトンネル式オーブンであって、
前記トンネル式オーブンは、前記焼成炉の外部に設けた吸入口と、前記吸入口と前記焼成室とを連通し、炉外の空気を前記焼成室に取り入れる吸入管と、前記吸入管に接続され、取り入れた炉外の空気を前記焼成室内を移動する前記被焼成物に向けて噴出する小孔を有する空気噴出用チューブと、前記吸入管に設けられ管内圧力を検出する圧力検出部と、前記吸入管の管路に設けられ前記吸入管の管内圧力を調節する有圧送風機とを有する対流加熱装置を、前記焼成炉の被焼成物の搬入口側の入口ゾーンに、前記被焼成物の搬送方向に向かって複数備えており、
さらに、前記トンネル式オーブンは、被焼成物の焼成条件に適合した基準吸入管内圧力値を記憶する基準吸入管内圧力値記憶部と、前記各対流加熱装置の圧力検出部により検出された圧力値と前記記憶する基準吸入管内圧力値とを用いて前記各対流加熱装置の有圧送風機の作動を制御する有圧送風機制御部とを備える対流加熱装置制御部を有することを特徴とするパンまたは菓子焼成用のトンネル式オーブン。 - 前記対流加熱装置制御部は、前記各対流加熱装置の空気噴出用チューブから噴出する空気噴出量を調節し、前記焼成室に搬入される被焼成物の焼成初期段階における被焼成物の表面に向かう高温空気風量を制御するものである請求項1に記載のトンネル式オーブン。
- 前記対流加熱装置の前記空気噴出用チューブは、コンベアの被焼成物の搬送方向にほぼ直交するように設けられ、さらに、空気を噴出する複数の小孔を備えている請求項1または2に記載のトンネル式オーブン。
- 前記対流加熱装置の前記空気噴出用チューブは、前記空気噴出用チューブの直下に対して、前記被焼成物の搬送方向の斜め後方に向かって空気を噴出する斜め後方噴出用小孔列と、前記被焼成物の搬送方向の斜め前方に向かって空気を噴出する斜め前方噴出用小孔列とを備えている請求項1ないし3のいずれかに記載のトンネル式オーブン。
- 前記空気噴出用チューブは、前記小孔から噴出する炉外の空気が前記焼成室内上部の高温空気を巻き込んで対流するように、前記焼成室の天井に近い位置に配置されている請求項1ないし4のいずれかに記載のトンネル式オーブン。
- 前記基準吸入管内圧力値記憶部は、複数の被焼成物の焼成条件に適合した複数の基準吸入管内圧力値を記憶している請求項1ないし5のいずれかに記載のトンネル式オーブン。
- 前記対流加熱装置の前記空気噴出用チューブは、空気を噴出する方向が、前記空気噴出用チューブの直下から、ベルトコンベアによる被焼成物の搬送方向に対し前方約30度の角度に噴出するための小孔と、後方約30度の角度に噴出するための小孔とを備えている請求項1ないし6のいずれかに記載のトンネル式オーブン。
- 前記対流加熱装置は、前記焼成炉の入口ゾーン、中央ゾーン、出口ゾーンの内の入口ゾーンに、前記被焼成物の搬送方向に向かい、かつ所定間隔離間するように複数配置されている請求項1ないし7のいずれかに記載のトンネル式オーブン。
- 前記吸入管の管路に設けられた前記有圧送風機は、前記焼成室の外部に位置する前記管路に設けられている請求項1ないし8のいずれかに記載のトンネル式オーブン。
- 前記対流加熱装置制御部は、前記焼成炉の入口ゾーンに設置された複数基の対流加熱装置を、必要に応じて1基又は複数基を作動し、被焼成物の表面に作用させる高温空気風量を制御する請求項1ないし9のいずれかに記載のトンネル式オーブン。
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