以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明を行う。
図1から図6は、本発明の実施例に係るものである。図1は、本発明の実施例に係る走査型内視鏡を含む走査型内視鏡システムの要部の構成を示す図である。
走査型内視鏡システム1は、例えば図1に示すように、被検者の体腔内に挿入可能な走査型内視鏡2と、走査型内視鏡2に接続される本体装置3と、本体装置3に接続されるモニタ4と、を有して構成されている。
走査型内視鏡2は、細長の円筒形状及び可撓性を備えて形成された挿入部11を有して構成されている。また、挿入部11の基端部には、走査型内視鏡2を本体装置3に着脱自在に接続するための図示しないコネクタ等が設けられている。
図2は、実施例に係る走査型内視鏡の先端部の構成の一例を示す図である。図2に示すように、挿入部11の先端部11Aには、本体装置3から供給される照明光を導光して光出射面から出射する導光部として構成された照明用光ファイバ12の光出射側の端部と、被写体からの戻り光を受光して本体装置3へ導く受光用光ファイバ13の光入射側の端部と、照明用光ファイバ12から出射される照明光を集光して出射するように構成された集光光学系14と、照明用光ファイバ12の光出射側の端部に設けられ、本体装置3に接続された複数の信号線45を経て供給される駆動信号に応じて振動することにより照明用光ファイバ12を揺動させることが可能なアクチュエータ部15と、が設けられている。また、集光光学系14のレンズ14a及びレンズ14bは、正の屈折力を具備するようにそれぞれ形成されている。
一方、図2に示すように、挿入部11の先端部11Aには、照明用光ファイバ12の光出射側の端部が貫通配置されるとともに、アクチュエータ部15が外表面上に配設されたフェルール41と、中空筒状の被覆部材43と、アクチュエータ部15及びフェルール41を被覆部材43に保持する保持部材44と、複数の信号線45と、が設けられている。
図2に示すように、被覆部材43は、照明用光ファイバ12の光出射側の端部と、アクチュエータ部15と、フェルール41と、の周囲を被覆しつつ、集光光学系14を保持可能な内径を具備するように形成されている。
図2に示すように、保持部材44は、例えば、照明用光ファイバ12の長手方向(以降、Z軸方向とも称する)に対して直交する平面(以降、XY平面とも称する)の形状が略環状になるように形成されている。また、保持部材44は、Z軸方向に対して平行な方向の長さ(厚み)がTHとなるように形成されているとともに、当該長さTHを具備する側面を被覆部材43の内周面に当接させた状態で取り付けられている。すなわち、以上に述べた構成によれば、保持部材44は、Z軸方向に対して平行な方向の長さがTHとなるような略筒状の形状を具備して形成されている。
一方、保持部材44は、アクチュエータ部15の配設位置から基端側に離れた位置にあるフェルール基端部46を嵌合可能な孔部を具備して形成されている。また、保持部材44には、複数の信号線45を挿通可能な挿通孔が設けられている。すなわち、以上に述べたような構成によれば、フェルール41のフェルール基端部46が保持部材44の孔部に嵌合されることにより、照明用光ファイバ12の光出射側の端部のうちの光出射面を含む部分と、複数の信号線45に接続されたアクチュエータ部15と、フェルール41と、が被覆部材43の内部空間において片持ち状に保持される。
一方、図2に示すように、挿入部11の先端部11Aには、被覆部材43の周囲を被覆可能な略一様の内径を具備するように形成された中空筒状の被覆部材51と、被覆部材43を被覆部材51に対して固定するための固定部52と、が設けられている。
図2に示すように、固定部52は、保持部材44の長さTHの範囲内で設定されるとともにXY平面内に含まれる固定位置において、被覆部材43を被覆部材51に対して固定するように構成されている。換言すると、固定部52は、照明用光ファイバ12の長手方向に対して直交し、かつ、保持部材44を通る面内を含む範囲において、被覆部材43を被覆部材51に対して固定するように構成されている。
具体的には、固定部52は、例えば、前述の条件を満たすような固定位置において、被覆部材43の外周面と被覆部材51の内周面とを連結固定することが可能な連結部材として構成されている。または、固定部52は、例えば、前述の条件を満たすような固定位置における被覆部材43の外周面(あるいは被覆部材51の内周面)に塗布された接着剤等の接着部材として構成されている。または、固定部52は、例えば、被覆部材43の外周面のうち、前述の条件を満たすような固定位置に形成された溝部と、当該溝部に対して嵌合、螺合または係合するような先端形状を備えて形成された突起部と、を有して構成されている。なお、固定部52は、前述の条件を満たすような固定位置において被覆部材43を被覆部材51に対して固定する限りにおいては、被覆部材43の周囲を囲むように設けられていてもよく、または、被覆部材43の周囲の一部のみに設けられていてもよい。
図3は、図2のIII−III線断面図である。図3に示すように、照明用光ファイバ12とアクチュエータ部15との間には、接合部材としてのフェルール41が配置されている。具体的には、フェルール41は、例えば、ジルコニア(セラミック)またはニッケル等により形成されている。
フェルール41は、図3に示すように、四角柱として形成されており、X軸方向に対して垂直な側面42a及び42cと、Y軸方向に対して垂直な側面42b及び42dとを有する。また、フェルール41の中心には、照明用光ファイバ12が固定配置されている。
なお、フェルール41は、角柱である限りにおいては、四角柱以外の他の形状として形成されていてもよい。
アクチュエータ部15は、図3に示すように、側面42aに沿って配置されたアクチュエータ15aと、側面42bに沿って配置されたアクチュエータ15bと、側面42cに沿って配置されたアクチュエータ15cと、側面42dに沿って配置されたアクチュエータ15dと、を有している。
アクチュエータ15a及び15cは、例えば、圧電素子により形成されており、ドライバユニット22のD/A変換器34aを介してアンプ35から出力される駆動信号に応じて振動するように構成されている。
アクチュエータ15b及び15dは、例えば、圧電素子により形成されており、ドライバユニット22のD/A変換器34bを介してアンプ35から出力される駆動信号に応じて振動するように構成されている。
一方、本体装置3は、光源ユニット21と、ドライバユニット22と、検出ユニット23と、メモリ24と、コントローラ25と、を有して構成されている。
光源ユニット21は、被写体を照明するための照明光を供給する光源部としての機能を具備して構成されている。具体的には、図1に示すように、光源ユニット21は、光源31aと、光源31bと、光源31cと、合波器32と、を有して構成されている。
光源31aは、例えばレーザ光源等を具備し、コントローラ25の制御によりオンされた際に、赤色の波長帯域の光(以降、R光とも称する)を合波器32へ出射するように構成されている。
光源31bは、例えばレーザ光源等を具備し、コントローラ25の制御によりオンされた際に、緑色の波長帯域の光(以降、G光とも称する)を合波器32へ出射するように構成されている。
光源31cは、例えばレーザ光源等を具備し、コントローラ25の制御によりオンされた際に、青色の波長帯域の光(以降、B光とも称する)を合波器32へ出射するように構成されている。
合波器32は、光源31aから発せられたR光と、光源31bから発せられたG光と、光源31cから発せられたB光と、を合波して照明用光ファイバ12の光入射面に供給できるように構成されている。
図1に示すように、ドライバユニット22は、信号発生器33と、D/A変換器34a及び34bと、アンプ35と、を有して構成されている。
信号発生器33は、コントローラ25の制御に基づき、照明用光ファイバ12を揺動させるための駆動信号を生成してD/A変換器34a及び34bに出力するように構成されている。
D/A変換器34a及び34bは、信号発生器33から出力されたデジタルの駆動信号をアナログの駆動信号に変換してアンプ35へ出力するように構成されている。
アンプ35は、D/A変換器34a及び34bから出力された駆動信号を増幅してアクチュエータ部15へ出力するように構成されている。
図1に示すように、検出ユニット23は、分波器36と、検出器37a、37b及び37cと、A/D変換器38a、38b及び38cと、を有して構成されている。
分波器36は、ダイクロイックミラー等を具備し、受光用光ファイバ13の光出射面から出射された戻り光をR(赤)、G(緑)及びB(青)の色成分毎の光に分離して検出器37a、37b及び37cへ出射するように構成されている。
検出器37aは、分波器36から出力されるR光の強度を検出し、当該検出したR光の強度に応じたアナログのR信号を生成してA/D変換器38aへ出力するように構成されている。
検出器37bは、分波器36から出力されるG光の強度を検出し、当該検出したG光の強度に応じたアナログのG信号を生成してA/D変換器38bへ出力するように構成されている。
検出器37cは、分波器36から出力されるB光の強度を検出し、当該検出したB光の強度に応じたアナログのB信号を生成してA/D変換器38cへ出力するように構成されている。
A/D変換器38aは、検出器37aから出力されたアナログのR信号をデジタルのR信号に変換してコントローラ25へ出力するように構成されている。
A/D変換器38bは、検出器37bから出力されたアナログのG信号をデジタルのG信号に変換してコントローラ25へ出力するように構成されている。
A/D変換器38cは、検出器37cから出力されたアナログのB信号をデジタルのB信号に変換してコントローラ25へ出力するように構成されている。
メモリ24には、本体装置3の制御を行うための制御プログラム等が予め格納されている。
コントローラ25は、CPU等を具備し、メモリ24に格納された制御プログラムを読み出し、当該読み出した制御プログラムに基づいて光源ユニット21及びドライバユニット22の制御を行うように構成されている。すなわち、アクチュエータ部15は、前述のようなコントローラ25の制御に応じてドライバユニット22から供給される駆動信号に基づいて振動することにより、被写体へ照射される照明光の照射位置が(例えば渦巻状またはリサージュ状等の)所定の走査パターンに応じた軌跡を描くように照明用光ファイバ12を揺動させることができる。
コントローラ25は、検出ユニット23から出力されるR信号、G信号及びB信号に基づいて画像を生成し、当該生成した画像をモニタ4に表示させるように構成されている。
続いて、本実施例に係る走査型内視鏡2を含む走査型内視鏡システム1の作用について説明する。
走査型内視鏡システム1の各部の電源が投入された後、コントローラ25は、メモリ24に格納された制御プログラムに基づき、光源31a、31b及び光源31cをオフからオンへ切り替える制御を光源ユニット21に対して行うとともに、照明用光ファイバ12を所定の走査パターンで揺動するための駆動信号を信号発生器33から出力させる制御をドライバユニット22に対して行う。そして、このようなコントローラ25の制御に伴い、ドライバユニット22からアクチュエータ部15に対して駆動信号が供給され、当該供給された駆動信号に応じてアクチュエータ部15が振動し、照明用光ファイバ12が所定の走査パターンで揺動され、R光、G光及びB光の混合光が照明光として照明用光ファイバ12の光出射面から出射される。
ここで、前述の先端部11Aの構成によれば、アクチュエータ部15を保持するための保持部材44が設けられた位置に合わせて、被覆部材43を被覆部材51に対して固定するための固定部52が設けられている。そのため、前述の先端部11Aの構成によれば、照明用光ファイバ12のうち、固定部52による被覆部材43の固定位置に対して基端側に属する部分(光出射面を含まず、被写体の走査に直接的に係わらない部分)が、アクチュエータ部15の振動に伴って揺動されないようにすることができる。その結果、先端部11Aを具備して構成された走査型内視鏡2によれば、照明用光ファイバ12のうち、固定部52による被覆部材43の固定位置に対して先端側に属する部分(光出射面を含み、被写体の走査に直接的に係わる部分)のみを、アクチュエータ部15の振動に応じて揺動させることができ、すなわち、安定的に被写体の走査を行うことができる。
一方、本実施例によれば、図2に示した先端部11Aの代わりに、例えば、図4に示すような先端部11Bを設けて走査型内視鏡2を構成してもよい。図4は、実施例に係る走査型内視鏡の先端部の構成の、図2とは異なる例を示す図である。なお、以降においては、簡単のため、先端部11Aと同様の構成を有する部分に関する詳細な説明を省略するとともに、先端部11Aとは異なる構成を有する部分に関して主に説明を行う。
図4に示すように、先端部11Bは、先端部11Aに対して先端固定部53をさらに設けたものとして構成されている。
先端固定部53は、被覆部材43の外周面に設けられているとともに、少なくとも集光光学系14のレンズ14a及びレンズ14bの配設位置の周囲を囲むような固定位置において、被覆部材43を被覆部材51に対して固定するように形成されている。
そのため、先端部11Bを具備して構成された走査型内視鏡2によれば、被覆部材43が被覆部材51に対して強固に固定された状態において、安定的に被写体の走査を行うことができる。
また、本実施例によれば、図2に示した先端部11Aの代わりに、例えば、図5に示すような先端部11Cを設けて走査型内視鏡2を構成してもよい。図5は、実施例に係る走査型内視鏡の先端部の構成の、図2及び図4とは異なる例を示す図である。
図5に示すように、先端部11Cは、先端部11Aの固定部52の一部を、被覆部材43の外周面に設けられた溝部54Aと、溝部54Aに対して嵌合、螺合または係合するような先端形状を備えて被覆部材51の内周面から突出配置された突起部54Bと、の組合せに置き換えたものにより構成されている。
そのため、先端部11Cを具備して構成された走査型内視鏡2によれば、被覆部材43が被覆部材51に対して強固に固定された状態において、安定的に被写体の走査を行うことができる。
また、先端部11Cを具備して構成された走査型内視鏡2によれば、溝部54A及び突起部54Bが設けられている位置において、被覆部材43が被覆部材51に対して固定されることを容易に認識することができる。その結果、先端部11Cを具備して構成された走査型内視鏡2によれば、被覆部材43を被覆部材51に対して固定する際の位置合わせに係る作業の負荷を軽減することができる。
また、本実施例によれば、図2に示した先端部11Aの代わりに、例えば、図6に示すような先端部11Dを設けて走査型内視鏡2を構成してもよい。図6は、実施例に係る走査型内視鏡の先端部の構成の、図2、図4及び図5とは異なる例を示す図である。
図6に示すように、先端部11Dは、先端部11Aの被覆部材51を被覆部材51Aに置き換えるとともに、先端部11Aの固定部52を接着剤55に置き換えて構成されている。
被覆部材51Aは、被覆部材43の周囲を被覆可能な中空筒状として形成されているとともに、テーパ部56を内部に設けて形成されている。また、被覆部材51Aは、テーパ部56から先端側の内径がテーパ部56から基端側の内径に比べて大きくなるように形成されている。
接着剤55は、保持部材44の長さTHの範囲内で設定されるとともにXY平面内に含まれる固定位置において、被覆部材43を被覆部材51に対して接着固定するように塗布されている。具体的には、接着剤55は、例えば図6に示すように、被覆部材43の外周面または被覆部材51Aの内周面における、テーパ部56から基端側に位置するとともにテーパ部56に隣接する領域に塗布されている。
テーパ部56は、接着剤55が塗布される領域の先端側に隣接して設けられている。換言すると、テーパ部56は、被覆部材43を被覆部材51Aに対して接着固定する際の固定位置から先端側に隣接して設けられている。
そのため、先端部11Dを具備して構成された走査型内視鏡2によれば、安定的に被写体の走査を行うことができる。
また、先端部11Dを具備して構成された走査型内視鏡2によれば、テーパ部56が設けられている位置に基づき、接着剤55が塗布される位置を容易に認識することができる。その結果、先端部11Dを具備して構成された走査型内視鏡2によれば、被覆部材43を被覆部材51Aに対して接着固定する際の位置合わせに係る作業の負荷を軽減することができる。
本発明は、上述した各実施例に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更や応用が可能であることは勿論である。
本出願は、2013年6月3日に日本国に出願された特願2013−116972号を優先権主張の基礎として出願するものであり、上記の開示内容は、本願明細書、請求の範囲、図面に引用されたものとする。