JP5836172B2 - アクリル系樹脂発泡体、及び、アクリル系樹脂発泡体の製造方法 - Google Patents
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Description
このようなアクリル系樹脂発泡体は、通常、下記特許文献1に示されているように、アクリル系モノマーに発泡剤となる尿素と重合開始剤とを混合した重合性溶液を作製し、該重合性溶液を型枠に流し入れ、該型枠ごと加熱して前記アクリル系モノマーを重合させた後、得られた発泡性重合体をさらに高温に加熱することによって尿素を分解させてガス発泡させるような方法が採用されている。
例えば、このようなボイドを有するアクリル系樹脂発泡体でレントゲン写真機用台が作製された場合には、レントゲン写真機で撮影された写真上にボイドが影として現れるおそれがある。
また、このようなアクリル系樹脂発泡体を接着剤を介して他の部材に接着させる場合には、ボイドに接着剤が多量に入り込み、接着剤を必要以上に消費したり、十分な接着強度が得られなかったりするという問題を発生させるおそれもある。
さらに、アクリル系樹脂発泡体中のボイドは、アクリル系樹脂発泡体で構成された製品の美観を損ねさせ、製品価値を低下させるおそれもある。
なお、「切断した際に一方の断面と他方の断面とにおいて観察される2mm以上の大きさの気泡の合計数」は以下にようにして求めたものを意味する。
気泡形状を変形させないようにできるだけ鋭い刃物を用いて中心に近い位置を通るようにアクリル系樹脂発泡体を切断して断面観察を行う。
具体的には、厚み(t)の板状体であれば、前後左右を切断除去して10cm×10cm×tの試料を作製し、そして、該試料を厚み方向にスライサーで2分割し、一方の断面と他方の断面とをそれぞれ走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影し、一方の断面と他方の断面とにおける2mm以上の大きさの気泡の合計数を求める。
アクリル系樹脂発泡体が10cm角に満たない大きさの場合は、断面中央部において適当な面積を設定して同様の観察をし、10cm×10cmの広さに換算する。
なお、気泡の大きさが2mm以上であるかどうかは、気泡の断面形状の中心を求め、その中心を通る直線距離で最も長い部分を計測して、この部分が2mm以上であるか否かで判断する。なお、複数の気泡が連なった連続気泡は、一つの気泡とはみなさず、連続気泡を構成する各気泡を一つの気泡として、気泡の大きさを測定する。
また、本発明に係るアクリル系樹脂発泡体によれば、切断した際に一方の断面と他方の断面とにおいて観察される2mm以上の大きさの気泡の合計数が切断した面積10cm×10cm当たりに2個未満となることにより、ボイドを有しない或いはボイドの少ないアクリル系樹脂発泡体を提供できる。よって、レントゲン写真機用台などに適したアクリル系樹脂発泡体を提供できる。
本実施形態のアクリル系樹脂発泡体の製造方法は、アクリル系モノマーを含む重合性モノマー成分と、発泡剤としての尿素と、重合開始剤とを含有する重合性溶液を作製する重合性溶液作製工程と、前記重合性溶液を尿素の熱分解温度未満で加熱することによって前記重合性モノマー成分を重合させて発泡性重合体を作製する重合工程と、前記発泡性重合体を尿素の熱分解温度以上で加熱することによって前記尿素を分解させてアクリル系樹脂発泡体を形成させる発泡体作製工程とを備えている。
以下、まず、重合性溶液を構成させるための成分について説明する。
前記アクリル系モノマーとしては、発泡剤として用いられる前記尿素に対する優れた溶解性を示すことから水溶性のアクリル系モノマーを含有させることが好ましく、(メタ)アクリル酸を用いることが好ましい。
なお、本明細書における“(メタ)アクリル”との用語は、“メタクリル”と“アクリル” の何れかを意味している。
また、(メタ)アクリル酸以外のアクリル系モノマーとしては、該アクリル系モノマーの発泡性重合体を発泡させるのに際して優れた発泡性を発揮させ得る点においてメタクリル酸メチルを用いることが好ましい。
(メタ)アクリル酸、メタクリル酸メチル以外のアクリル系モノマーとしては、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、クロトン酸、アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリルアミド、マレイン酸アミド、マレイン酸イミドなどを採用することができる。
なお、上記アクリル系モノマー以外の重合性モノマー成分として、上記アクリル系モノマーと共重合可能なモノマーをアクリル系樹脂発泡体の改質などを目的として重合性溶液に少量含有させることも可能である。
特に、発泡性の向上に有効となるスチレンモノマーを重合性溶液に含有させることが好ましい。
ただし、スチレンモノマーを過剰に含有させると、アクリル系樹脂発泡体の特徴である硬質さを損なうおそれを有することから重合性モノマー成分の合計に占めるスチレンモノマーの含有量は20質量%以下とすることが好ましい。
なお、14〜45質量%の割合で含有される(メタ)アクリル酸の内、全てをメタクリル酸としても、全てをアクリル酸としても良く、メタクリル酸とアクリル酸との両方を併せて14〜45質量%となるように重合性溶液に含有させてもよい。
ただし、尿素に対する溶解性の観点からは、メタクリル酸を多く含有させることが好ましい。
このような配合を採用することで、発泡性に優れ、硬質で強度に優れたアクリル系樹脂発泡体を得ることができる。
前記尿素は、含有量が少ないと、得られるアクリル系樹脂発泡体の発泡度が低下して軽量性を損なうおそれを有し、逆に過剰であると、重合性溶液中に尿素を均一に溶解させることが困難となったり、得られるアクリル系樹脂発泡体中に尿素を残存させ易くなったり、破泡を生じさせたりするおそれを有する。
このようなことから、尿素は、重合性モノマー成分の合計量を100質量部とした場合に1〜15質量部となる割合で重合性溶液に含有させることが好ましい。
発泡剤として、尿素以外の熱分解型発泡剤を用いることができる。
前記熱分解型発泡剤は、65℃以上で分解して気体を発生するものであり、100〜180℃で分解して気体を発生するものが好ましい。
尿素以外の前記熱分解型発泡剤としては、尿素誘導体、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、アミドグアニジン、トリメチレントリアミン、パラトルエンスルホンヒドラジン、アゾジカルボンアミド、チオ尿素、塩化アンモニウム、ジシアンジアミド、ジオキサン、ヘキサン、抱水クロラール、クエン酸等が挙げられる。
熱分解型発泡剤以外のその他の発泡剤を用いることができる。熱分解型発泡剤以外のその他の発泡剤としては、沸点が65℃以上の物理発泡剤(アルコール等)を用いることができ、沸点が65〜180℃の物理発泡剤(アルコール等)が好ましい。具体的な例としては、イソプロパノール、シクロペンタノール、エタノール、1−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール、2−エチル−1−ヘキサノール等のアルコールが挙げられる。
尿素以外の発泡剤の使用量としては、重合性モノマー成分の合計量を100質量部とした場合に、尿素との合計量で1.1〜30質量部となる割合で重合性溶液に含有されることが好ましい。
前記重合開始剤としては、t−ブチルハイドロパーオキサイドなどのようなレドックス系重合開始剤、熱分解型開始剤、光分解型開始剤等を用いる。分解温度が高い程、重合性溶液の重合速度の調整が難しいが、重合性溶液の重合速度を調整し易いという観点から、レドックス系重合開始剤を用いることが好ましい。
また、上記t−ブチルハイドロパーオキサイド以外のレドックス系重合開始剤として利用可能な具体的な物質としては、クメンヒドロキシパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド、p−メンタンヒドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルヒドロパーオキサイドなどが挙げられる。
前記重合開始剤は、重合性モノマー成分の合計量を100質量部とした場合に、0.1〜5質量部となる割合で重合性溶液に含有されることが好ましい。
なお、本実施形態においては、前記重合性溶液には、還元剤をさらに含有させることができる。
該還元剤としては、N,N−ジメチルアニリンなどの窒素含有化合物の様な、他の化合物を還元する(電子を供与する)ことのできる化合物等を用いることができる。
上記N,N−ジメチルアニリン以外の窒素含有化合物で還元剤として利用可能な具体的な物質としては、トリエチルアミンなどのアミン化合物が挙げられる。
前記還元剤は、前記重合開始剤の含有量に対して0.1〜5倍の質量割合で重合性溶液に含有されることが好ましい。
また、本実施形態においては、前記重合性溶液には、Cu+、Cu2+、Fe3+、Ag+、Pt2+、及び、Au3+からなる群より選ばれる1種以上の金属イオン、並びに、塩化物イオンをさらに含有させることができる。
前記金属イオンは、いずれも酸化還元電位が正の値のものである。
また、前記金属イオンは、重合性溶液中で、電子を授与するもの、すなわち酸化剤として、または電子を供与するもの、すなわち還元剤としての機能を発揮し、前記重合性モノマー成分の重合反応の促進に寄与するものである。
一方で前記塩化物イオンは、前記の金属イオンと結合や脱離することにより、前記重合性モノマー成分の重合反応の促進に寄与するものである。
上記のような塩化物以外としては、例えば、臭化銅、ヨウ化銅、ステアリン酸銅、ナフテン酸銅、臭化銀などの物質によって重合性溶液に上記のような金属イオンを含有させることができる。
なお、銅、銀、金については、上記のような塩ではなく、金属そのもの、或いは、合金によってそのイオンを重合性溶液に含有させることができる。
例えば、銅、銅合金(コンスタンタン:銅/ニッケル合金、真鍮:銅/亜鉛合金)、銀、金からなる微粒子、線、メッシュなどを重合性溶液中に混入させることによってこれらのイオンを重合性溶液に含有させることができる。
これらの塩化物イオン含有物質を重合性溶液に含有させる場合には、通常、重合性溶液中の重合性モノマー成分の合計量を100質量部とした場合に0.005〜5質量部となる割合で含有させることができる。
これらを重合性溶液に含有させる場合には、通常、重合性溶液中の重合性モノマー成分の合計量を100質量部とした場合に1×10-6〜1×10-2質量部となる割合で含有させることができる。
また、本実施形態においては、前記重合性溶液には、単独モノマー間での重合反応や、急激な重合反応などを抑制するために、重合抑制剤をさらに含有させることができる。
前記重合抑制剤としては、アルカリ土類金属塩、即ち、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ラジウムの塩であって、例えば、ギ酸カルシウムなどを挙げることができ、このような重合抑制剤の重合性溶液における含有量は、例えば、重合性溶液中の重合性モノマー成分の合計量を100質量部とした場合に0.001〜5質量部となる割合で含有させることができる。前記重合性溶液は、重合抑制剤を含有することにより、重合性モノマー成分を重合させた際に、過剰に重合してしまうのを抑制することができるという利点がある。
さらに、本実施形態においては、前記重合性溶液には、気泡調整剤をさらに含有させることができる。
該気泡調整剤としては、例えば、アルカリ土類金属塩、金属酸化物、シリカゲル、珪藻土などの粉末状無機物、硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
このような気泡調整剤の重合性溶液における含有量は、例えば、重合性溶液中の重合性モノマー成分の合計量を100質量部とした場合に0.01〜10質量部となる割合で含有させることができる。
前記第1工程で水分量が1.8質量%を超える発泡性重合体を作製しても、前記熟成工程により、発泡性重合体の水分量を1.8質量%以下とすることができる。よって、モノマーの吸湿等を防止するために、原料等の厳重な管理を行う必要性がなく、ボイドを有しない或いはボイドの少ないアクリル系樹脂発泡体を簡便な方法で作製できる。
前記第1工程での加熱は、好ましくは35〜70℃で行い、より好ましくは40〜60℃で行う。
一方で、前記熟成工程での加熱は、好ましくは70℃を超え110℃以下で行い、より好ましくは75〜105℃、さらにより好ましくは80〜100℃で行う。
具体的には、前記発泡体作製工程は、水分量が1.8質量%以下である発泡性重合体を尿素が分解する温度以上の雰囲気下に設置して尿素の分解直前まで加熱する加熱工程と、尿素の分解直前の発泡性重合体を尿素が分解する温度以上で更に加熱することにより、尿素を分解させてアクリル系樹脂発泡体を形成させる発泡工程とを備えている。
水分量については、前記加熱工程を実施する直前における発泡性重合体に含まれる水分の量が1.8質量%以下となっていればよい。前記加熱工程を実施する直前における発泡性重合体に含まれる水分の量が1.8質量%以下となっていれば、前記加熱工程によって発泡性重合体に含まれる水分の量がより一層低くなり、前記発泡工程時には、発泡性重合体に含まれる水分の量が前記加熱工程を実施する直前よりも低くなっている。
なお、水分量は、JIS K0068:2001(化学製品の水分測定方法)のカールフィッシャー滴定法(水分気化法)によって測定した値を意味する。
即ち、本実施形態に係るアクリル系樹脂発泡体の製造方法では、水分量が1.8質量%以下である前記発泡性重合体を加熱することによって前記尿素の分解を実施するので、ボイドを生じ難くすることができる。ボイドを生じ難くすることができるのは、水分量が1.8質量%以下であることにより、尿素が発泡性重合体に比較的均一に分散して発泡することによるものと思われる。
本実施形態に係るアクリル系樹脂発泡体は、アクリル系モノマーを含む重合性モノマー成分、尿素、及び、重合開始剤を含有する重合性溶液を作製し、前記重合性モノマー成分を重合させた後、前記重合によって得られた発泡性重合体を加熱することによって前記尿素を分解させて得られる発泡体である。
また、本実施形態に係るアクリル系樹脂発泡体は、切断した際に一方の断面と他方の断面とにおいて観察される2mm以上の大きさの気泡の合計数が切断した面積10cm×10cm当たりに2個未満となる。本実施形態に係るアクリル系樹脂発泡体は、切断した際に一方の断面と他方の断面とにおいて観察される2mm以上の大きさの気泡の合計数が切断した面積10cm×10cm当たりに2個未満となることにより、ボイドを有しない或いはボイドの少ないアクリル系樹脂発泡体となる。
該脱水剤としては、ゼオライト(モレキュラーシーブ等)が好ましく用いることができる。脱水剤の重合性溶液における含有量は、例えば、重合性溶液中の重合性モノマー成分の合計量を100質量部とした場合に1〜100質量部となる割合で含有させることが好ましい。このような脱水剤は重合性溶液の調整時に混合攪拌して溶液中の水分を脱水した後、ろ過除去されることが望ましい。
また、本発明に係るアクリル系樹脂発泡体の製造方法では、前記脱水剤工程、及び、前記熟成工程を実施してもよい。
メタクリル酸メチル61質量%、メタクリル酸24質量%、及び、スチレン15質量%からなる重合性モノマー成分100質量部に対して、発泡剤としての尿素(熱分解温度:132.7℃)5質量部を混合し、且つ、均一に溶解させてモノマー溶液を作製した。さらに、重合性モノマー成分100質量部に対して、硫酸ナトリウム0.54質量部、ギ酸カルシウム0.14質量部、重合開始剤としてのt−ブチルヒドロパーオキサイド(日油社製「パーブチルH−69」)0.45質量部、還元剤としてのN,N−ジメチルアニリン0.45質量部、塩化物イオン添加用物質としてのヘキサトリメチルアンモニウムクロライド(日油社製「ニッサンカチオンPB−40R」)0.04質量部を前記モノマー溶液に加えて、これらを撹拌し、濾過して残渣の無機塩を除去し、重合性溶液を作製した。
次に、この重合性溶液970gを25.5cm×16cm×2.5cmの内法を有するテフロン製の直方体状の型枠に入れ、該型枠を水槽に浸漬して、水温55℃で3時間加熱し、その後、水温50℃で17時間、そして、水温58℃で5時間加熱し、前記重合性溶液中の重合性モノマー成分を重合させて板状の発泡性重合体(重合板)を得た。
この発泡性重合体は、十分に固化されていることが確認できた。
次に、該発泡性重合体を5.0cm×5.0cm×2.5cmにカットした。
そして、カットした発泡性重合体を熱風循環炉に入れ、炉内温度80℃で1時間加熱して該発泡性重合体に含まれる水分を除去し、室温下に取り出した。
次に、この発泡性重合体を室温下に取り出してから30分経過させた。
そして、発泡性重合体を熱風循環炉に入れ、尿素(熱分解温度:132.7℃)が分解する温度以上に加熱して(具体的には、炉内温度140℃で30分間加熱し、そして、炉内温度170℃で30分間加熱して)、発泡剤(尿素)を分解、発泡させてアクリル系樹脂発泡体(発泡成形体)を作製した。
なお、尿素が分解する温度以上に加熱する直前の発泡性重合体の水分量を測定したところ、1.61質量%であった。なお、水分量は、JIS K0068:2001(化学製品の水分測定方法)のカールフィッシャー滴定法(水分気化法)によって測定した。具体的には、試料約30mgを(株)三菱化学アナリテック社製カールフィッシャー水分測定装置CA-200及び水分気化装置VA-236Sにセットして測定した。測定時の陽極液、陰極液にはそれぞれ(株)エーピーアイ コーポレーション製アクアミクロンAX、アクアミクロンCXUを使用し、測定温度は200℃にし、キャリアガスはN2 を用い、流量は250ml/minで測定を行った。試料の試験回数は3回で、それぞれの水分量から同時に測定したブランク容器の水分量(試験回数2回の平均値)を減算し、その値を試料中に含まれる水分量として試料中水分量(質量%)を求めた。なお、発泡性重合体の水分量については、3回の測定値の算術平均値を発泡性重合体の水分量とした。
発泡性重合体に含まれる水分の除去を、熱風循環炉内で炉内温度80℃で3時間加熱して行ったこと以外は、実施例1と同様にして、アクリル系樹脂発泡体を作製した。
尿素が分解する温度以上に加熱する直前の発泡性重合体の水分量は、1.48質量%であった。
発泡性重合体に含まれる水分の除去を、熱風循環炉内で炉内温度100℃で1時間加熱して行ったこと以外は、実施例1と同様にして、アクリル系樹脂発泡体を作製した。
尿素が分解する温度以上に加熱する直前の発泡性重合体の水分量は、1.40質量%であった。
発泡性重合体を熱風循環炉内で炉内温度80℃で1時間加熱することを省いたこと以外は、実施例1と同様にして、アクリル系樹脂発泡体を作製した。
尿素が分解する温度以上に加熱する直前の発泡性重合体の水分量は、1.83質量%であった。
アクリル系樹脂発泡体の平均気泡径は、アクリル系樹脂発泡体の厚み方向の切断面から任意に選択した10箇所について、剃刀刃を用いてその切断面の表層部を採取し、測定装置として走査電子顕微鏡JSM−6360LV(日本電気社製)を用いて、10〜20倍に拡大した画像を撮影した。
次に、撮影した画像をA4用紙上に1画像づつ印刷した。印刷された画像から、気泡を通る曲線の長さ(線長)と接している気泡数を計測した。
計測結果から下記式により気泡の平均弦長(t)を算出した。
平均弦長 t=線長/(気泡数×写真の倍率)
そして平均弦長(t)を用いて、次式により気泡径(D)を算出した。
D=t/0.616
さらにそれらの算術平均を平均気泡径とした。
上述した「切断した際に一方の断面と他方の断面とにおいて観察される2mm以上の大きさの気泡の合計数」をボイド数として、上述した方法で求め、これを5回繰り返し、ボイド数の算術平均値を平均ボイド数とした。
このことから、本発明によれば、ボイドが生じ難いことがわかる。
Claims (3)
- アクリル系モノマーを含む重合性モノマー成分と、尿素と、重合開始剤とを含有する重合性溶液を作製し、前記重合性モノマー成分を重合させた後、前記重合によって得られた発泡性重合体を尿素の熱分解温度以上に加熱することによって前記尿素を分解させてアクリル系樹脂発泡体を形成させるアクリル系樹脂発泡体の製造方法であって、
前記重合性モノマー成分を重合させて水分量が1.8質量%を超える発泡性重合体を作製し、該発泡性重合体を尿素の熱分解温度未満で加熱することによって該発泡性重合体から水分を除去して、水分量が1.8質量%以下である前記発泡性重合体を作製し、
水分量が1.8質量%以下である前記発泡性重合体を尿素の熱分解温度以上に加熱することによって前記尿素を分解させることを特徴とするアクリル系樹脂発泡体の製造方法。 - アクリル系モノマーを含む重合性モノマー成分と、尿素と、重合開始剤とを含有する重合性溶液を作製し、前記重合性モノマー成分を重合させた後、前記重合によって得られた発泡性重合体を尿素の熱分解温度以上に加熱することによって前記尿素を分解させてアクリル系樹脂発泡体を形成させるアクリル系樹脂発泡体の製造方法であって、
前記アクリル系樹脂発泡体は、切断した際に一方の断面と他方の断面とにおいて観察される2mm以上の大きさの気泡の合計数が切断した面積10cm×10cm当たりに1.4個以下となることを特徴とするアクリル系樹脂発泡体の製造方法。 - アクリル系モノマーを含む重合性モノマー成分と、尿素と、重合開始剤とを含有する重合性溶液を重合発泡したアクリル系樹脂発泡体であって、
切断した際に一方の断面と他方の断面とにおいて観察される2mm以上の大きさの気泡の合計数が切断した面積10cm×10cm当たりに1.4個以下となることを特徴とするアクリル系樹脂発泡体。
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