JP5906116B2 - アクリル系樹脂発泡体とその製造方法 - Google Patents
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Description
このようなアクリル系樹脂発泡体は、通常、下記特許文献1に示されているように、アクリル系モノマーに発泡剤となる尿素と重合開始剤とを混合した重合性溶液を作製し、該重合性溶液を型枠に流し入れ、該型枠ごと加熱して前記アクリル系モノマーを重合させた後、得られた発泡性重合体をさらに高温に加熱することによって尿素を分解させてガス発泡させるような方法が採用されている。また、特許文献1の方法では、得られるアクリル系樹脂発泡体に高い耐熱性を付与することができるという観点から、アクリル系モノマーとして、無水マレイン酸及びメタクリルアミドを含有するものが用いられている。
本実施形態のアクリル系樹脂発泡体の製造方法は、無水マレイン酸及びメタクリルアミドを有するアクリル系モノマーを含む重合性モノマーと、尿素、及び、沸点が70℃以上180℃未満であるアルコールを含む発泡剤と、重合開始剤とを含有する重合性溶液を作製する重合性溶液作製工程と、該重合性溶液を加熱することによって前記重合性モノマーを重合させて発泡性重合体を作製する発泡性重合体作製工程と、該発泡性重合体を発泡させてアクリル系樹脂発泡体を作製する発泡体作製工程とを備えている。
以下、まず、重合性溶液の構成成分について説明する。
前記アクリル系モノマーとしては、無水マレイン酸及びメタクリルアミドを含有するアクリル系モノマーを用いる。無水マレイン酸及びメタクリルアミドを含有することにより、得られるアクリル系樹脂発泡体に高い耐熱性を付与することができる。
また、前記アクリル系モノマーには、尿素に対する優れた溶解性を示すことから水溶性のアクリル系モノマーを含有させることが好ましく、(メタ)アクリル酸を含有させることが好ましい。
なお、本明細書における“(メタ)アクリル”との用語は、“メタクリル”と“アクリル” の何れかを意味している。
また、前記アクリル系モノマーには、該アクリル系モノマーの発泡性重合体を発泡させるのに際して優れた発泡性を発揮させ得る点においてメタクリル酸メチルを含有させることが好ましい。
無水マレイン酸、メタクリルアミド、(メタ)アクリル酸、及び、メタクリル酸メチル以外のアクリル系モノマーとしては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、クロトン酸、アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、アクリルアミド、マレイン酸アミド、マレイン酸イミドなどを含有させてもよい。
なお、上記アクリル系モノマー以外の重合性モノマーとして、上記アクリル系モノマーと共重合可能なモノマーをアクリル系樹脂発泡体の改質などを目的として重合性溶液に少量含有させることも可能である。
特に、発泡性の向上に有効となるスチレンモノマーを重合性溶液に含有させることが好ましい。
ただし、スチレンモノマーを過剰に含有させると、硬質さを損なうおそれを有することから重合性モノマーに占めるスチレンモノマーの含有量は20質量%以下とすることが好ましい。
なお、14〜35質量%の割合で含有される(メタ)アクリル酸の内、全てをメタクリル酸としても、全てをアクリル酸としても良く、メタクリル酸とアクリル酸との両方を併せて14〜35質量%となるように重合性溶液に含有させてもよい。
ただし、尿素に対する溶解性の観点からは、メタクリル酸を多く含有させることが好ましい。
発泡剤としては、尿素を含む熱分解型発泡剤と、沸点が70℃以上180℃未満であるアルコールとを含む発泡剤を用いる。
前記尿素は、含有量が少ないと、得られるアクリル系樹脂発泡体の発泡度が低下して軽量性を損なうおそれを有し、逆に過剰であると、重合性溶液中に尿素を均一に溶解させることが困難となったり、得られるアクリル系樹脂発泡体中に尿素を残存させ易くなったり、破泡を生じさせたりするおそれを有する。
このようなことから、尿素は、重合性モノマーの合計量を100質量部とした場合に0.5〜15質量部となる割合で重合性溶液に含有させることが好ましく、0.6〜10質量部となる割合で重合性溶液に含有させることがより好ましい。
前記尿素以外の熱分解型発泡剤としては、尿素誘導体、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、アミドグアニジン、トリメチレントリアミン、パラトルエンスルホンヒドラジン、アゾジカルボンアミド、チオ尿素、塩化アンモニウム、ジシアンジアミド、ジオキサン、ヘキサン、抱水クロラール、クエン酸等が挙げられる。
前記尿素以外の熱分解型発泡剤は、使用しても使用しなくてもよいが、使用量が多いと
、重合性溶液中に熱分解型発泡剤を均一に溶解させることが困難となったり、得られるアクリル系樹脂発泡体中に熱分解型発泡剤を残存させ易くなったり、破泡を生じさせたりするおそれを有する。前記尿素以外の熱分解型発泡剤は、重合性モノマーの合計量を100質量部とした場合に0〜5質量部となる割合で重合性溶液に含有させることができる。
沸点が70℃以上180℃未満であるアルコールとしては、エタノール、イソプロパノール、シクロペンタノール、1−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール、t−ブチルアルコールが挙げられる。該アルコールは、単独で用いても効果がなく、尿素と併用されて効果が発揮される。
該アルコールの使用量としては、少ないと、密度を小さくする効果が少なく、多すぎても重合反応が進行しにくくなるので、重合性モノマーの合計量を100質量部とした場合に0.1〜15質量部となる割合で重合性溶液に含有させることが好ましい。また、尿素とアルコールとの使用割合としては、尿素100質量部に対して、アルコール0.1〜500質量部となる割合で重合性溶液に含有させることが好ましく、1〜400質量部となる割合で重合性溶液に含有させることがより好ましい。
前記重合開始剤としては、レドックス系重合開始剤、熱分解型開始剤、光分解型開始剤等を用いる。分解温度が高い程、重合性溶液の重合速度の調整が難しいが、重合性溶液の重合速度を調整し易いという観点から、レドックス系重合開始剤、例えば、t−ブチルハイドロパーオキサイドを用いることが好ましい。
また、上記t−ブチルハイドロパーオキサイド以外のレドックス系重合開始剤として利用可能な具体的な物質としては、クメンヒドロキシパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド、p−メンタンヒドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルヒドロパーオキサイドなどが挙げられる。
前記重合開始剤は、重合性モノマーの合計量を100質量部とした場合に、0.1〜5質量部となる割合で重合性溶液に含有されることが好ましい。
なお、本実施形態においては、前記重合性溶液には、可塑剤をさらに含有させることができる。
前記可塑剤としては、フタル酸エステル、アジピン酸エステル、トリメリット酸エステル、ポリエステル、リン酸エステル、クエン酸エステル、エポキシ化植物油、セバシル酸エステル、アゼライン酸エステル、マレイン酸エステル、安息香酸エステル等を用いる。
前記フタル酸エステルとしては、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジブチル等が挙げられる。前記アジピン酸エステルとしては、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジブチル等が挙げられる。前記トリメリット酸エステルとしては、トリメリット酸トリオクチル等が挙げられる。前記リン酸エステルとしては、リン酸トリクレシル、リン酸トリアミル、リン酸トリブチル等が挙げられる。前記クエン酸エステルとしては、アセチルクエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリエチル等が挙げられる。前記エポキシ化植物油としては、エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油等が挙げられる。
前記可塑剤としては、フタル酸ジオクチル、アジピン酸ジイソブチル、アセチルクエン酸トリブチル等が好適に用いられる。
前記可塑剤は、少ないと発泡性重合体の発泡性が不十分となることがあり、多いと得られたアクリル系樹脂発泡体の剛性が低下したり、アクリル系樹脂発泡体の気泡が粗大化することがあるので、重合性モノマーの合計量を100質量部とした場合に、0.5〜20質量部となる割合で重合性溶液に含有されることが好ましく、0.6〜10質量部がより好ましく、0.7〜5質量部が特に好ましい。
さらに、本実施形態においては、前記重合性溶液には、還元剤をさらに含有させることができる。
該還元剤としては、N,N−ジメチルアニリンなどの窒素含有化合物の様な、他の化合物を還元する(電子を供与する)ことのできる化合物等を用いることができる。
上記N,N−ジメチルアニリン以外の窒素含有化合物で還元剤として利用可能な具体的な物質としては、トリエチルアミンなどのアミン化合物が挙げられる。
前記還元剤は、前記重合開始剤の含有量に対して0.1〜5倍の質量割合で重合性溶液に含有されることが好ましい。
また、本実施形態においては、前記重合性溶液には、Cu+、Cu2+、Fe3+、Ag+、Pt2+、及び、Au3+からなる群より選ばれる1種以上の金属イオン、並びに、塩化物イオンをさらに含有させることができる。
前記金属イオンは、いずれも酸化還元電位が正の値のものである。
また、前記金属イオンは、重合性溶液中で、電子を授与するもの、すなわち酸化剤として、または電子を供与するもの、すなわち還元剤としての機能を発揮し、前記重合性モノマーの重合反応の促進に寄与するものである。
一方で前記塩化物イオンは、前記の金属イオンと結合や脱離することにより、前記重合性モノマーの重合反応の促進に寄与するものである。
上記のような塩化物以外としては、例えば、臭化銅、ヨウ化銅、ステアリン酸銅、ナフテン酸銅、臭化銀などの物質によって重合性溶液に上記のような金属イオンを含有させることができる。
なお、銅、銀、金については、上記のような塩ではなく、金属そのもの、或いは、合金によってそのイオンを重合性溶液に含有させることができる。
例えば、銅、銅合金(コンスタンタン:銅/ニッケル合金、真鍮:銅/亜鉛合金)、銀、金からなる微粒子、線、メッシュなどを重合性溶液中に混入させることによってこれらのイオンを重合性溶液に含有させることができる。
これらの塩化物イオン含有物質を重合性溶液に含有させる場合には、通常、重合性溶液中の重合性モノマーの合計量を100質量部とした場合に0.005〜5質量部となる割合で含有させることができる。
これらを重合性溶液に含有させる場合には、通常、重合性溶液中の重合性モノマーの合計量を100質量部とした場合に1×10-10〜1×10-2質量部となる割合で含有させることができる。
さらに、本実施形態においては、前記重合性溶液には、脱水剤をさらに含有させることができる。
該脱水剤としては、硫酸ナトリウムや硫酸マグネシウム等の硫酸塩、モレキュラーシーブ等のゼオライトが好ましく用いることができる。脱水剤の重合性溶液における含有量は、例えば、重合性溶液中の重合性モノマーの合計量を100質量部とした場合に0.01〜50質量部となる割合で含有させることが好ましい。このような脱水剤は重合性溶液の調製時に混合攪拌して溶液中の水分を脱水した後、ろ過除去することが望ましい。
また、本実施形態においては、前記重合性溶液には、単独モノマー間での重合反応や、急激な重合反応などを抑制するために重合抑制剤をさらに含有させることができる。
前記重合抑制剤としては、アルカリ土類金属塩、即ち、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ラジウムの塩であって、例えば、ギ酸カルシウムなどを挙げることができ、このような重合抑制剤の重合性溶液における含有量は、例えば、重合性溶液中の重合性モノマーの合計量を100質量部とした場合に0.001〜5質量部となる割合で含有させることができる。前記重合性溶液は、重合抑制剤を含有することにより、重合性モノマーを重合させた際に、過剰に重合してしまうのを抑制することができるという利点がある。
さらに、本実施形態においては、前記重合性溶液には、気泡調整剤をさらに含有させることができる。
該気泡調整剤としては、例えば、アルカリ土類金属塩、金属酸化物、シリカゲル、珪藻土などの粉末状無機物などが挙げられる。
このような気泡調整剤の重合性溶液における含有量は、重合性溶液中の重合性モノマーの合計量を100質量部とした場合、0.01〜10質量部となる割合で含有させることができる。
また、本実施形態においては、前記重合性溶液には、前記重合性モノマーと同一或いは異なる重合性モノマーの発泡性重合体を発泡させてなるアクリル系樹脂発泡体をさらに含有させることができる。
前記アクリル系樹脂発泡体は、前記重合性溶液中の重合性モノマーの重合反応の促進に寄与するものである。
前記アクリル系樹脂発泡体は、前記重合性溶液中の重合性モノマーの合計量を100質量部とした場合に、好ましくは0.1〜20質量部、より好ましくは1〜15質量部、さらにより好ましくは5〜10質量部となる割合で重合性溶液に含有される。
前記重合性溶液は、重合性モノマーの合計量100質量部に対して前記アクリル系樹脂発泡体が20質量部以下であることにより、該前記アクリル系樹脂発泡体が重合性モノマーに均一に溶解されやすくなるという利点がある。また、前記重合性溶液は、重合性モノマーの合計量100質量部に対して前記アクリル系樹脂発泡体が0.1質量部以上であることにより、前記重合性溶液中の重合性モノマーの重合が促進されるという利点がある。
前記発泡性重合体作製工程は、前記重合性モノマーが重合する温度以上、且つ、前記尿素が分解する温度未満で前記重合性溶液を加熱することにより、前記重合性溶液の重合性モノマーを重合させて発泡性重合体を作製する工程である。
前記重合性溶液を加熱する温度としては、用いるアルコールの沸点(複数種のアルコールを用いる場合には、最も沸点が低いアルコールの沸点)未満の温度であることが好ましく、該沸点よりも10℃以上低い温度が好ましい。
前記発泡体作製工程は、前記発泡性重合体を、前記尿素が分解する温度以上で加熱することによって前記尿素を分解させてアクリル系樹脂発泡体を形成させる工程である。
前記発泡性重合体を加熱する温度としては、用いるアルコールの沸点(複数種のアルコールを用いる場合には、最も沸点が高いアルコールの沸点)以上の温度であることが好ましく、該沸点よりも10℃以上高い温度が好ましい。この加熱温度の上限は、200℃程度である。200℃を超えるとアクリル系樹脂発泡体に熱による収縮が発生する恐れがある。
本実施形態に係るアクリル系樹脂発泡体は、無水マレイン酸及びメタクリルアミドを有するアクリル系モノマーを含む重合性モノマーと、尿素、及び、沸点が70℃以上180℃未満であるアルコールを含む発泡剤と、重合開始剤とを含有する重合性溶液を作製し、前記重合性モノマーを重合させた後、前記重合によって得られた発泡性重合体を発泡させて得られたアクリル系樹脂発泡体である。
なお、見かけ密度は、JIS K 7222−1999記載の方法に準拠した方法により測定する。具体的には、元のセル構造を変えないように切断した10cm3 以上の試験片について、その質量を測定し、次式により見かけ密度を算出する。
見かけ密度(g/cm3 )=試験片質量(g)/試験片体積(cm3 )
なお、熱機械分析における耐熱温度は、以下のようにして測定する。
すなわち、7mm(縦)×7mm(横)×2mm(厚み)の直方体状に発泡体を切り出して試験片を作製し、熱機械分析装置を用い、圧縮試験モード(圧子の先端 φ3mm、石英製プローブ)、荷重100mNで、試験片に圧子を厚み方向で当てて30℃から昇温速度5℃/minで温度を上げていき、試験片の厚みが試験前の試験片の厚みに対して10%収縮した際の温度を測定し、この温度を、TMAにおける耐熱温度とする。
なお、解析前に石英係数設定による補正をする。また、試験片の厚みは測定前に荷重100mNの圧子を試験片に当てて測定する。
アクリル系樹脂発泡体について各種の評価を行った事例を示す。
まず、発泡性重合体、並びに、アクリル系樹脂発泡体に対する評価方法について説明する。
発泡性重合体に割れが生じないよう切断した10cm3 以上の試験片について、その質量を測定し、次式により密度を算出した。
密度(g/cm3 )=試験片質量(g)/試験片体積(cm3 )
アクリル系樹脂発泡体の見かけ密度は、JIS K 7222−1999記載の方法に準拠した方法により測定した。具体的には、元のセル構造を変えないように切断した10cm3 以上の試験片について、その質量を測定し、次式により見かけ密度を算出した。
見かけ密度(g/cm3 )=試験片質量(g)/試験片体積(cm3 )
アクリル系樹脂発泡体の耐熱性を調べるため、実施例、及び、比較例の発泡体のTMA(熱機械分析)における耐熱温度を測定した。
具体的には、7mm(縦)×7mm(横)×2mm(厚み)の直方体状に発泡体を切り出して試験片を作製し、熱・応力・歪み測定装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製、商品名「EXSTRAR TMA/SS6100」)を用い、圧縮試験モード(圧子の先端 φ3mm、石英製プローブ)、荷重100mNで、試験片に圧子を厚み方向で当てて30℃から昇温速度5℃/minで温度を上げていき、試験片の厚みが試験前の試験片の厚みに対して10%収縮した際の温度を測定し、この温度を、TMAにおける耐熱温度とした。
なお、解析前に石英係数設定による補正を行った。また、試験片の厚みは測定前に荷重100mNの圧子を試験片に当てて測定した。
メタクリル酸メチル47質量%、メタクリル酸25質量%、スチレン16質量%、無水マレイン酸8.0質量%、及び、メタクリルアミド4.0質量%からなる重合性モノマー100質量部に対して、重合開始剤としてのt−ブチルヒドロパーオキサイド(日油社製「パーブチルH−69」)0.5質量部、塩化物イオン添加用物質としてのセチルトリメチルアンモニウムクロライド(日油社製「ニッサンカチオンPB−40R」)0.1質量部、重合抑制剤としてのギ酸カルシウム0.2質量部、脱水剤としての硫酸ナトリウム2.0質量部、発泡剤としての尿素5.0質量部、発泡剤としてのイソプロパノール(沸点:82.4℃)5.0質量部を混合して35℃で加熱撹拌し、濾過して残渣の無機塩を除去し、重合性溶液を作製した。
実施例1の重合性溶液1500gを25cm×27cm×36cmの内法を有するテフロン製の直方体状の型枠に入れた。
そして、重合性溶液を型枠ごと43.5℃で21時間加熱することにより発泡性重合体を作製した。この発泡性重合体の密度は、1.16g/cm3 であった。
実施例1の発泡性重合体を発泡用の型枠に入れ、発泡性重合体を発泡用の型枠ごと180℃で30分加熱することによりアクリル系樹脂発泡体を作製した。このアクリル系樹脂発泡体の見かけ密度は、0.039g/cm3 であった。また、このアクリル系樹脂発泡体のTMAにおける耐熱温度(「発泡体の耐熱温度」ともいう。)は、150℃であった。
重合性モノマー100質量部に対してイソプロパノール10質量部を混合したこと以外は、実施例1と同様にして重合性溶液を作製した。
実施例1の重合性溶液の代わりに実施例2の重合性溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、発泡性重合体を作製した。この発泡性重合体の密度は、1.16g/cm3 であった。
実施例1の発泡性重合体の代わりに実施例2の発泡性重合体を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、アクリル系樹脂発泡体を作製した。このアクリル系樹脂発泡体の見かけ密度は、0.018g/cm3 であった。また、このアクリル系樹脂発泡体のTMAにおける耐熱温度は、130℃であった。
重合性モノマー100質量部に対して、更に、可塑剤としてのフタル酸ジオクチル2質量部を混合したこと以外は、実施例1と同様にして重合性溶液を作製した。
実施例1の重合性溶液の代わりに実施例3の重合性溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、発泡性重合体を作製した。この発泡性重合体の密度は、1.16g/cm3 であった。
実施例1の発泡性重合体の代わりに実施例3の発泡性重合体を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、アクリル系樹脂発泡体を作製した。このアクリル系樹脂発泡体の見かけ密度は、0.037g/cm3 であった。また、このアクリル系樹脂発泡体のTMAにおける耐熱温度は、148℃であった。
重合性モノマー100質量部に対してイソプロパノール10質量部を混合したこと以外は、実施例3と同様にして重合性溶液を作製した。
実施例1の重合性溶液の代わりに実施例4の重合性溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、発泡性重合体を作製した。この発泡性重合体の密度は、1.16g/cm3 であった。
実施例1の発泡性重合体の代わりに実施例4の発泡性重合体を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、アクリル系樹脂発泡体を作製した。このアクリル系樹脂発泡体の見かけ密度は、0.017g/cm3 であった。また、このアクリル系樹脂発泡体のTMAにおける耐熱温度は、125℃であった。
重合性モノマー100質量部に対して、イソプロパノール8質量部、及び、尿素2.5質量部を混合したこと以外は、実施例3と同様にして重合性溶液を作製した。
実施例1の重合性溶液の代わりに実施例5の重合性溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、発泡性重合体を作製した。この発泡性重合体の密度は、1.16g/cm3 であった。
実施例1の発泡性重合体の代わりに実施例5の発泡性重合体を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、アクリル系樹脂発泡体を作製した。このアクリル系樹脂発泡体の見かけ密度は、0.046g/cm3 であった。また、このアクリル系樹脂発泡体のTMAにおける耐熱温度は、135℃であった。
イソプロパノールの代わりに、シクロペンタノール(沸点:139℃)を用い、重合性モノマー100質量部に対して、シクロペンタノール5質量部を混合したこと以外は、実施例3と同様にして重合性溶液を作製した。
実施例1の重合性溶液の代わりに実施例6の重合性溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、発泡性重合体を作製した。この発泡性重合体の密度は、1.16g/cm3 であった。
実施例1の発泡性重合体の代わりに実施例6の発泡性重合体を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、アクリル系樹脂発泡体を作製した。このアクリル系樹脂発泡体の見かけ密度は、0.038g/cm3 であった。また、このアクリル系樹脂発泡体のTMAにおける耐熱温度は、150℃であった。
イソプロパノールを用いなかったこと以外は、実施例3と同様にして重合性溶液を作製した。
実施例1の重合性溶液の代わりに比較例1の重合性溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、発泡性重合体を作製した。この発泡性重合体の密度は、1.16g/cm3 であった。
実施例1の発泡性重合体の代わりに比較例1の発泡性重合体を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、アクリル系樹脂発泡体を作製した。このアクリル系樹脂発泡体の見かけ密度は、0.086g/cm3 であった。また、このアクリル系樹脂発泡体のTMAにおける耐熱温度は、165℃であった。
イソプロパノールを用いず、更に、重合性モノマー100質量部に対して尿素8.5質量部を混合したこと以外は、実施例3と同様にして重合性溶液を作製した。
実施例1の重合性溶液の代わりに比較例2の重合性溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、発泡性重合体を作製した。この発泡性重合体の密度は、1.16g/cm3 であった。
実施例1の発泡性重合体の代わりに比較例2の発泡性重合体を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、アクリル系樹脂発泡体を作製した。このアクリル系樹脂発泡体の見かけ密度は、0.046g/cm3 であった。また、このアクリル系樹脂発泡体のTMAにおける耐熱温度は、163℃であった。
尿素を用いなかったこと以外は、実施例3と同様にして重合性溶液を作製した。
実施例1の重合性溶液の代わりに比較例3の重合性溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、発泡性重合体を作製した。この発泡性重合体の密度は、1.16g/cm3 であった。
実施例1の発泡性重合体の代わりに比較例3の発泡性重合体を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、アクリル系樹脂発泡体の作製を試みたが、発泡せず、発泡体を得ることができなかった。
また、本発明の範囲内である実施例1〜6のアクリル系樹脂発泡体は、耐熱温度が125℃以上であった。よって、無水マレイン酸及びメタクリルアミドを用いることで、耐熱性に優れた発泡体を得ることができることがわかる。
従って、本発明によれば、耐熱性及び軽量性に優れたアクリル系樹脂発泡体を提供することができることがわかる。
また、本発明の製造方法によれば、発泡剤として用いる尿素の使用量を減らすことができ好ましい。尿素は、輸送配管など製造設備に残留すると洗浄に手間がかかり生産性を悪化させることがあるからである。また、尿素成分の含有量がより少ない発泡体が好まれるからである。
Claims (7)
- 無水マレイン酸及びメタクリルアミドを有するアクリル系モノマーを含む重合性モノマー、尿素を含む発泡剤、並びに、重合開始剤を含有する重合性溶液を作製し、前記重合性モノマーを重合させた後、前記重合によって得られた発泡性重合体を発泡させてアクリル系樹脂発泡体を作製するアクリル系樹脂発泡体の製造方法であって、
前記発泡剤は、更に、沸点が70℃以上180℃未満であるアルコールを含むことを特徴とするアクリル系樹脂発泡体の製造方法。 - 前記重合性モノマーは、(メタ)アクリル酸14〜35質量%を含有する請求項1に記載のアクリル系樹脂発泡体の製造方法。
- 前記重合性モノマーは、メタクリル酸メチル35〜60質量%、(メタ)アクリル酸14〜35質量%、スチレン10〜20質量%、無水マレイン酸1.0〜10質量%、及び、メタクリルアミド1.0〜10質量%を含有する請求項2に記載のアクリル系樹脂発泡体の製造方法。
- 見かけ密度が0.077g/cm3 以下であるアクリル系樹脂発泡体を作製する請求項1〜3の何れか1項に記載のアクリル系樹脂発泡体の製造方法。
- 無水マレイン酸及びメタクリルアミドを有するアクリル系モノマーを含む重合性モノマー、尿素を含む発泡剤、並びに、重合開始剤を含有する重合性溶液を作製し、前記重合性モノマーを重合させた後、前記重合によって得られた発泡性重合体を発泡させて得られたアクリル系樹脂発泡体であって、
前記発泡剤が、更に、沸点が70℃以上180℃未満であるアルコールを含むことを特徴とするアクリル系樹脂発泡体。 - 見かけ密度が0.030〜0.077g/cm3 である請求項5に記載のアクリル系樹脂発泡体。
- 熱機械分析における耐熱温度が140℃以上である請求項5又は6に記載のアクリル系樹脂発泡体。
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