図9は、従来の電力ケーブル同士の接続構造100を示す図である。接続構造100では、電線103a、103bの端部同士が接続される。電線103a、103bは、内部に導体部105を有し、導体部105の外周側に内部から順に絶縁部107、半導電部109、アルミニウム波付管111、外部シース113が設けられる。
導体部105の端部同士は導体接続部106によって接続される。導体部105同士の接続部の外周には、絶縁性を確保するために所定の厚みを有するゴム部材137が設けられる。また、ゴム部材137を覆うように、金属管である銅管115aが設けられる。
銅管115aは、端部が一方の電線103aのアルミニウム波付管111と導通するように配置される。他方の電線103bのアルミニウム波付管111には、端部が導通するように、銅管115bが配置される。なお、銅管115a、115bと各アルミニウム波付管111との接続は、例えば半田によって行われ、外周に防水テープ等が巻きつけられる。
銅管115a、115bのそれぞれの対向する端部には、フランジ部117a、117bが設けられる。フランジ部117a、117bは、それぞれ絶縁部材119の両端部に接合される。すなわち、銅管115a、115bは、絶縁部材119を介して接合され、互いに導通することがない。なお、フランジ部117a、117bと絶縁部材119との接合面には、防水性を確保するため、図示を省略したOリング等が設けられる。
電線103a、103bのそれぞれのアルミニウム波付管111および半導電部109の外周には、金属遮蔽層135a、135bがそれぞれ配置される。金属遮蔽層135a、135bは、それぞれゴム部材137の外周にまで形成されている。金属遮蔽層135a、135bのゴム部材137側の端部は、離隔しており、縁切り部とされている。すなわち、金属遮蔽層135a、135b同士が導通することがない。なお、前記絶縁部材119は、導体接続部106に対して、金属遮蔽層135a、135bが離隔された部分(縁切り部)が位置する側に配置されている。
銅管115aには、蓋131が設けられ、蓋131を設けた孔から内部に防水コンパウンドを流し込むことができる。また、銅管115a、115bの外周面には、径方向に突出するように、端子部121a、121bが設けられる。端子部121a、121bは、例えば板状の部材であり、接続導線等を接続可能な形状を有する。
端子部121a、121bには、それぞれ、同軸ケーブル123の内部導体127および外部導体125が接続される。すなわち、銅管115a、115bと、引出し線である内部導体127および外部導体125とがそれぞれ導通する。内部導体127および外部導体125は、前述したように、接続構造100の外部において、接地処理等が施される。
このような接続構造においては、引出し線である内部導体127および外部導体125と端子部121a、121bとの接続部が、接続構造の一方の径方向に突出する。このため、接続構造全体の外径が大きくなる。また、接続構造の外形が複雑になり、接続構造の外周全体を収縮チューブ等で被覆したり、防水テープ等で当該接続部を被覆したりすることが困難である。このため、防水パテ等を使用する必要があり、作業が煩雑であるという問題がある。また、このような複雑な形状における防水処理は、施工ミス等による防水機能の低下の恐れもある。
これに対し、接続部全体を覆うようにコフィンボックス129が使用される場合がある。コフィンボックス129は、全体を覆った後、蓋133から内部に防水コンパウンドを流し込むことが可能である。このようなコフィンボックスを用いれば、接続構造全体の防水性を高めることが可能である。
しかし、コフィンボックス129を用いると、接続構造がさらに大型化するという問題がある。また、コフィンボックス129内に流し込む防水コンパウンドも多量に必要となるという問題がある。
また、従来の接続構造100においては、二つの銅管115a、115bそれぞれを絶縁部材119に接合する必要がある。また、フランジ部117a、117bと絶縁部材119との対向面それぞれにOリング等を配置して防水処理を行う必要がある。したがって、接合作業のための工数を要し、また、施工ミス等に起因して、水の浸入経路が増えることから、防水性に対するリスクが大きくなる。
また、Oリング用の溝加工がそれぞれの接続部に対して必要となるとともに、Oリングの配置やボルトを締め込むための作業スペースが必要となる。このため、ボルト等の接合部を、接合構造の径方向のより外周側に配置する必要がある。したがって、接合構造が大径化するという問題がある。
また、従来の絶縁部材には、フランジ部とボルト接合するために、内部にシンブルを埋めこむ必要がある。このため、絶縁部材の製造コストが高くなるという問題がある。
また、内部導体127は、銅管115aと接続されるため、内部導体127と銅管115aは同電位となる。一方、二つの銅管115a、115bは、異なる電位となる。したがって、二つの銅管115a、115bの外周部にまたがるように設けられる内部導体127は、銅管115bおよびこれと接続される外部導体125との間で十分な絶縁を取る必要がある。この絶縁を取るために、従来の接続構造では、電位の異なる内部導体127と銅管115b等とを径方向および長手方向に十分離して配置する必要があり、接続構造が大型化するという問題がある。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、接続作業性に優れ、防水性および遮蔽層間インパルス性能にも優れる電力ケーブルの接続構造を提供することを目的とする。
前述した目的を達するために本発明は、電力ケーブルの接続構造であって、一方の電力ケーブルの遮蔽層と導通する第1の金属管と、他方の電力ケーブルの遮蔽層と導通する第2の金属管と、前記第1の金属管と導通する第1の引き出し線と、前記第2の金属管と導通する第2の引き出し線と、前記第2の金属管の端部が埋設される筒状の本体部を有する絶縁部材と、を具備し、前記第1の金属管は、電力ケーブル同士の接続部を覆い、前記他方の電力ケーブルの周囲において、前記絶縁部材と、直接または接続部材を介して接続され、前記絶縁部材によって前記第1の金属管と前記第2の金属管とが絶縁され、前記絶縁部材の外周には、切欠き部が形成され、前記第1の金属管には、端子部材の端子部が接続され、前記端子部材は、前記第1の金属管側から前記切欠き部を介して前記第2の金属管側に引出されて、前記第1の引き出し線と接続され、前記端子部材の外面形状が端子部側の形状から第1の引き出し線と接続される側の形状へと変化する部分が、前記第1の金属管または前記接続部材の外周部に位置することを特徴とする電力ケーブルの接続構造である。
本発明によれば、第2の金属管の端部が絶縁部材の本体部に埋設され、第2の金属管と本体部とが一体で形成されるため、第2の金属管と本体部とを接合する作業が不要であり、接合に必要なボルト等も不要である。また、本体部と第2の金属管とが一体で成形されるため、第2の金属管と本体部との間に、Oリング等の防水処理を行う必要がないため、防水処理の作業ミス等に伴う水の浸入経路を減らし、より高い防水性を得ることができる。
また、本体部の外周に、導体に対して周方向に離隔して切欠き部を形成し、第1の金属管側から切欠き部を介して第2の金属管側に端子部材を引出して第1の引き出し線と接続することで、第1の引き出し線と端子部材との接続部を、第1の金属管側ではなく、第2の金属管の外周に配置することができる。すなわち、引出し線と端子部材との接続部を、外径の大きな第1の金属管の外周部ではなく、外径のより小さな第2の金属管の外周とすることで、接続構造全体を小型化することができる。また、端子部材は、絶縁部材の切欠き部に配置されるため、端子部材によって、外径が大きくなることがない。
ここで、絶縁部材の外周に、端子部材の外面形状が変化する部分を配置すると、空気中に不平等な電界集中領域を形成し、絶縁性能を低下させる要因となる。これに対し、本発明では、前述した端子部材の外面形状の変化点を、第1の金属管の外周部、または、第1の金属管と絶縁部材との接続部材の外周に配置する。このため、空気中の不平等な電界集中領域の形成を緩和することができる。このように、本発明では、端子部材の断面形状の変化点を、端子部材と同電位である導体の外周部に配置することで、高い遮蔽層間インパルス性能を確保することができる。
前記端子部材の形状は、端子部の形状が平板状であり、第1の引き出し線と接続された側の形状が外面円形であることが望ましい。
端子部を平板状にすればその平坦部でボルト等を用いて第1の金属管と接続することができる。また、第1の引き出し線と接続された側の形状を外面円形状にすれば、第2の金属管との間で不平等な電界集中領域が生じにくくなる。
なお、端子部材の第1の引き出し線と接続される側を円筒状にすれば、かしめ等によって容易に端子部材と第1の引き出し線とを接続することができる。
前記端子部材に対し、前記絶縁部材の周方向に所定の距離を離隔して前記第2の金属管の前記本体部に埋設された部位に導体が連設され、前記導体は、前記絶縁部材の内部で屈曲し、前記絶縁部材の端面から前記他方の側の電力ケーブルの方向に突出し、前記第2の引き出し線と接続されることが望ましい。
このようにすることで、第2の金属管の外周面に端子座等を設けて導体を接続する従来の構造と比較して、接続構造の凹凸を少なくすることができる。このため、その後の防水処理が容易である。また、導体が接続構造の軸方向に向けて突出するため、該導体と引き出し線との接続に筒状のスリーブ等を用いることも可能となり、接続作業も容易である。
前記端子部材の外周面の少なくとも一部は、絶縁層で被覆されてもよい。
このようにすることで、絶縁部材の周方向に離隔して配置される導体や、第2の金属管との間の遮蔽層間インパルス性能をより確実に満足させることができる。
本発明によれば、接続作業性に優れ、防水性および遮蔽層間インパルス性能にも優れる電力ケーブルの接続構造を提供することができる。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。図1、図2は、接続構造1を示す図であり、図1は図2のB矢視図、図2は図1のA矢視図である。接続構造1は、電力ケーブルである電線3a、3bの接続部の構造である。電線3a、3bは、内部に導体部5を有し、導体部5の外周には、内側から順に、絶縁部7、半導電部9、アルミニウム波付管11、外部シース13が形成される。なお、本発明においては、電線3a、3bの構成は、図示した例に限られない。
導体部5同士は、導体接続部6で接続される。導体接続部6は、例えば金属スリーブ等である。導体接続部6の外周部には、絶縁性を確保するために、ゴム部材37が設けられる。ゴム部材37は、導体接続部6近傍の絶縁性を確保するため、所定の厚みで形成される。すなわち、導体接続部6近傍の外周部(ゴム部材37の略中央部)は、大径部となる。
ゴム部材37の外周部には、各絶縁部や導体接続部6等を保護するため、導体接続部近傍を覆うように、第1の金属管である銅管15aが設けられる。銅管15aの端部は、電線3aのアルミニウム波付管11と導通するように接合される。なお、アルミニウム波付管11は、内部の導体部5等を保護し、電線3a、3bの遮蔽層として機能する。
銅管15aのアルミニウム波付管11との接続部とは逆側の端部には、絶縁部材19が設けられる。絶縁部材19は略筒状の部材である。絶縁部材19は、第2の金属管である銅管15bおよび導体22と一体で形成される。銅管15bおよび導体22は、銅管15aと接合される側とは反対側の絶縁部材19の端面に突出する。なお、絶縁部材19の詳細は後述する。
各絶縁部等を保護するための銅管15bは、ゴム部材37の大径部よりも電線3b側に配置される。すなわち、銅管15aは、ゴム部材37の大部分を覆うように配置されるのに対し、銅管15bの内部には、ゴム部材37等が配置されないため、銅管15bは銅管15aと比較して小径に構成される。なお、銅管15a、15bは、絶縁部材19を介して接合されるため、互いに導通することがない。また、銅管15aには、蓋31が設けられ、蓋31で閉じられる孔からは銅管15a、絶縁部材19および銅管15bで形成される空間に防水コンパウンドを流し込むことができる。
銅管15bの端部は、銅管15aと同様に、電線3bのアルミニウム波付管11と導通するように接合される。なお、銅管15a、15bのそれぞれの端部とアルミニウム波付管11との接合は、例えば半田によって行われ、外周に防水テープ等が巻きつけられる。
電線3a、3bそれぞれのアルミニウム波付管11および半導電部9の外周には、金属遮蔽層35a、35bがそれぞれ配置される。金属遮蔽層35a、35bは、例えば金属メッシュである。金属遮蔽層35a、35bそれぞれの端部は、ゴム部材37の外周で互いに離隔するように配置される。すなわち、金属遮蔽層35a、35b同士が導通することがない。
絶縁部材19の外周部において、導体22とは異なる周方向位置には、切欠き部38(図2)が電線3a、3bの軸方向に伸びる様に設けられる。切欠き部38には端子部材39が配置される。端子部材39は、絶縁部材19の切欠き部38に入れられ電線3a、3bの軸方向に向けて配置される。
端子部材39の一方の端部は銅管15aと接続される。また、端子部材39の他方の端部は、銅管15bの外周側において、第1の引き出し線である外部導体25と接続される。すなわち、端子部材39は、銅管15a側から絶縁部材19を介して銅管15b側に引出されて、同軸ケーブル23の外部導体25と接続される。なお、端子部材39の詳細は後述する。
絶縁部材19に一部埋設した導体22の端部には、第2の引き出し線である同軸ケーブル23の内部導体27が継手24を介して接続される。継手24は例えばスリーブであり、導体22と内部導体27とが両端から挿通されてかしめられる。
なお、導体22と内部導体27との接続部、端子部材39と外部導体25との接続部は、外周から防水チューブや防水テープ等によって防水処理が施される。
また、銅管15a、15bと導通する引出し線である内部導体27および外部導体25は、同軸ケーブル23によって接続構造1の外部に引出され、接地処理等が施される。なお、内部導体27を端子部材39と接続し、外部導体25を導体22と接続してもよい。
接続構造1の外周部には、絶縁部材19の少なくとも一部を覆うように、防食カバー32が設けられる。防食カバー32には、図8に示すように、引出し口34a、34bが設けられる。引出し口34aからは、導体22または導体22と接続される内部導体27が外部に引出される。また、引出し口34bからは、端子部材39または端子部材39と接続される外部導体25が引出される。
また、防食カバー32の少なくとも一部を覆い、さらに銅管15aを被覆するように、図1、2に点線で示すように防水チューブ12が被せられて、接続構造1の防水処理が施される。なお、詳細は省略するが、防食カバー32と銅管15b、導体22、端子部材39等との間などには、図示を省略した防水処理が施され、接続構造1内部への水の浸入が防がれる。この際、接続構造1には、外周部に突出する突起(図9における端子部121a、121bやこれらと接続される導体など)がないため、止水が容易である。
次に、絶縁部材19について詳細に説明する。図3は、絶縁部材19の斜視図、図4は断面図である。絶縁部材19は略筒状の部材であり、本体部41、銅管15b、導体22等から構成される。本体部41は、例えばエポキシ等の樹脂で形成された略円筒状の絶縁体である。銅管15bの一方の端部は、本体部41の内部に埋設され、本体部41と銅管15bとは一体で形成される。銅管15bは、本体部41の一方の端面から突出する。
本体部41の他端側には、銅管15aとの接続部である、接続部43が設けられる。接続部43の外周面には、防水性を得るためのOリングを配置するための溝51と、銅管15aをボルト等で固定するための底つきの穴49が設けられる。なお、前述の通り、銅管15bは銅管15aよりも小径であるため、接続部43は銅管15bよりも大径となる。
この実施形態では、接続部43が、本体部41に一端が埋設された金属製リング部材からなる接続部材で形成されている。
なお、前述のように金属製リング部材により接続部43を形成するのではなく、本体部41の端部に、直接、底つきの穴49と溝51を形成して、ここを接続部にしても良い。
図4に示すように、銅管15bの本体部41に埋設された部位における外周面に、導体22が溶接等によって接合される。導体22は、例えば金属棒である。導体22は、本体部41の内部で屈曲して、本体部41の端面から突出する。すなわち、導体22は、銅管15bの外周面から径方向に向けて接合され、本体部41の内部で銅管15bの突出方向に向けて約90°屈曲する。したがって、導体22の端部は、接続される電線3b(図1)の軸方向であって、本体部41に対して銅管15bの突出方向と同一方向に向けて突出する。
また、図3に示すように、本体部41の外周部であって、導体22とは周方向に離隔した部位には、切欠き部38が形成される。切欠き部38は、前述した端子部材39(図2)が配置される部位である。
なお、本体部41の銅管15bおよび導体22の突出部近傍の外径は、導体22および端子部材39の配置に対して、必要な外径に設定されおり、比較的大径である。また、本体部41の接続部43側の外径は、銅管15aと接合可能な最低限の外径を有すればよく、比較的小径である。すなわち、本体部41の最大外径は、導体22および端子部材39の配置を勘案して決められる。本体部41の最大外径部は断面略円形であり、本体部41の外周面には、切欠き部38を除き凹凸が形成されない。
本体部41から露出する銅管15bの外表面には、絶縁層47が設けられる。同様に、本体部41から露出する導体22の外表面には絶縁層45が設けられる。絶縁層45、47は、デッピングにより形成してもよく、防食チューブや絶縁チューブ若しくは絶縁性テープ等によって形成してもよい。
絶縁層45、47は、端子部材39との間の遮蔽層間インパルス性能を確保するために形成される。すなわち、銅管15aと導通する端子部材39は、絶縁部材19によって銅管15bおよび導体22とは絶縁されるが、この間の遮蔽層間インパルス性能をより確実に確保するために形成される。なお、絶縁部材19の遮蔽層間インパルス性能をより高めるため、本体部41の端面と、本体部41から露出する導体22および銅管15bとの境界近傍には、図示を省略した絶縁性パテ部材を設けることが望ましい。
絶縁部材19は、例えば以下のようにして製造される。まず、あらかじめ成形された銅管15bの外周面に、あらかじめ屈曲加工が施された導体22を溶接する。また、接続部43となる金属管に溝51および穴49を加工する。このようにして加工された銅管15b(導体22)および接続部43となる金属管を、それぞれ型に設置し、型内に樹脂を流し込むことで、絶縁部材19が一体注型される。
なお、前述したように本体部41の端部に、直接、底つき穴49と溝51を形成して接続部とする場合には、本体部41を成形するときに同時に底つき穴49と溝51を成形することができる。また、本体部41を成形した後に、加工により前記底つき穴49と溝51を形成しても良い。ただし、絶縁部材19の製造方法はこの方法に限られない。
次に、端子部材39について詳細に説明する。図5(a)は端子部材39を示す斜視図であり、図5(b)は端子部材39を示す断面図である。端子部材39は、例えば金属製の導体である。端子部材39は、一端側に平板状の端子部59が設けられ、他端側に第1の引き出し線と接続される丸棒部53が設けられたものである。端子部59と丸棒部53とは平板部55を介して接続されている。端子部59の外面形状は、端子部59と平板部55が長方形であり、丸棒部53は円形である。したがって、端子部材39の外面の形状が、長方形から円形に変化している端子部59には、孔63が設けられる。孔63は、後述する銅管15aのフランジ部69(図6)との接続に用いられる。
なお、本願において「第1の金属管と端子部材の端子部が“接続される”」とは、電気的に接続されることを意味しており、端子部材39の端子部59と銅管15aが電気的に接続されていれば、フランジ部69その他の部材を介して間接的に接続されても、直接に接続されても良い。
端子部59は、溶接等により平板部材で形成された平板部55と接合される。平板部55は、例えば略断面矩形の中実体である。なお、端子部59と平板部55は平板部材によって一体で形成してもよい。平板部55の他方の端部は金属丸棒で形成された丸棒部53と接合される。丸棒部53はその一端部が半円形に切削加工されており、ここに平板部55が溶接等で接合されている。
なお、丸棒部53と平板部55を一体で成形することもできる。
丸棒部53の端部(端子部材39の端部)には、同軸ケーブル23の外部導体25(図2)が接続される。
端子部材39の外周面には、端子部59を除き、絶縁層61が形成される。絶縁層61は、デッピングにより形成してもよく、防食チューブや絶縁チューブ若しくは絶縁性テープ等で形成してもよい。絶縁層61は、前述したように、導体22や銅管15bとの間の遮蔽層間インパルス性能を確保するために形成される。なお、端子部材39に対する絶縁層61は、端子部材39の外表面全体ではなく、少なくとも、切欠き部38に配置される部位から外部導体25との接続部までの間の外周面に形成してもよい。
図6は、端子部材39の取り付け構造を示す図である。銅管15aの端部には、必要に応じて環状のフランジ部69が溶接等で接合される。フランジ部69は、金属等の導体である。端子部材39は、孔63を貫通するボルト67等でフランジ部69と接続される。すなわち、端子部材39は、銅管15aと導通するように接合される。したがって、銅管15a、フランジ部69、および接続部43は、全て同電位となる。なお、フランジ部69および接続部43は、銅管15aと絶縁部材19との接続部となる。
なお、端子部材39の配置される位置に対して、フランジ部69の周方向の異なる位置において、銅管15a(フランジ部69)と絶縁部材19の接続部43とが接続される。フランジ部69と接続部43とは、フランジ部69を貫通するボルト(図中点線)を接続部43の穴49に螺合することで固定される。すなわち、銅管15aのフランジ部69は、その軸方向、すなわちその内周面が絶縁部材19の接続部43の外周面に接するように、接続部43に嵌合されて、互いのラップ部の外周側から、軸方向とは垂直な方向にボルト等で接合される。この際、接続部43とフランジ部69との間は、溝51に配置されたOリング65で止水される。
端子部材39は、銅管15a側から、絶縁部材19(本体部41)をまたぐようにして、銅管15b側に引出される。この際、端子部材39は、本体部41に形成された切欠き部38の内に配置される。切欠き部38は、端子部材39の外径よりも深い。したがって、切欠き部38に配置される端子部材39が、絶縁部材19の最外周から径方向にはみ出すことがない。
端子部材39(丸棒部53)の端部には、外部導体25が接続される。この場合、例えば、外部導体25の端部と丸棒部53の端部とをスリーブに挿入し、スリーブをかしめることで端子部材39と外部導体25とを接続すればよい。端子部材39と外部導体25との接続部は、外周から防水チューブや防水テープ等によって防水処理が施される。なお、端子部材39と外部導体25との接続方法は他の方法であってもよい。
前述したように、端子部材39の平板部55と丸棒部53との境界部近傍は、断面形状の変化点となるので、この平板部55と丸棒部53との境界部(平板部材と丸棒部材との接続部)は、接続部43の外周部に位置するようにする。すなわち、端子部材39の平板部55と丸棒部53との接続部(すなわち、外形形状が変化する部位)は、銅管15aと同電位である導体の外周に位置する。このようにすることで、高い遮蔽層間インパルス性能を確保することができる。この理由は以下の通りである。
端子部材39の平板部55と丸棒部53のような断面形状が変化する部位が、絶縁部材19や、電位の異なる銅管15bの外周に配置されると、空気中に不平等な電界集中領域を形成し、絶縁性能が低下する。これに対し、前述したような断面形状の変化点を、端子部材39と同電位である銅管15aまたは銅管15aと絶縁部材19との接続部の外周に配置すると、この不平等な電界集中領域の形成を緩和することができる。
このように、本発明では、平板部55と丸棒部53との接合部が、銅管15aと同電位となる接続部43の外周に配置されるため、絶縁性能を向上させ、高い遮蔽層間インパルス性能を確保することができる。なお、銅管15aをフランジ部69や接続部43を用いずに、絶縁部材19と直接接合する場合には、前述した断面形状変化点を銅管15aの外周に配置すればよい。また、銅管15aと同電位であれば、フランジ部69の外周に前述した断面形状変化点を配置してもよい。
図7は、端子部材39が配置された状態の銅管15b側から見た断面図である。なお、内部の電線等の構成は図示を省略する。前述の通り、本体部41に埋設される導体22と端子部材39(切欠き部38)とは、本体部41の周方向に所定の角度だけ離隔して配置される(図中矢印C)。また、導体22と端子部材39とは、接続構造の中心に対して、略同一円周上に配置される。
なお、導体22と端子部材39の離隔距離としては、遮蔽層間インパルス性能を確保できるだけの距離を有すればよい。例えば、絶縁部材19(接続構造1)の中心に対して、互いに90°以上離隔することが望ましい。
また、切欠き部38に生じる端子部材39との隙間には、端子部材39の絶縁被覆の補強および芯出しのために、パテなどを充填してもよい。
次に、防食カバー32について説明する。図8は、防食カバー32を示す斜視図である。防食カバー32は、例えば樹脂製である。前述の通り、防食カバー32は、絶縁部材19の外周に設けられ、接続構造1内部への水の浸入を防止する。防食カバー32は、拡径部73の一方の端面側に略筒状の縮径部71が設けられる。拡径部73の端面部には縮径部71と同一方向に向けて略筒状の引出し口34a、34bが設けられる。
拡径部73は、絶縁部材19の本体部41の外周を覆う部位である。すなわち、拡径部73の内径は、本体部41における最大外径部、すなわち銅管15bおよび導体22の突出側の外径に対応する。また、縮径部71は、銅管15bの少なくとも一部を覆う部位である。すなわち、縮径部71の内径は、銅管15bの外径に対応する。
引出し口34a、34bは、防食カバー32の周方向に所定の角度だけ離隔して形成される。引出し口34aは、導体22または導体22と接続される内部導体27が引出される部位である。また、引出し口34bは、端子部材39または端子部材39と接続される外部導体25が引出される部位である。すなわち、引出し口34a、34bは、防食カバー32で覆われた接続構造1の内部から、銅管15a、15bそれぞれと導通する内部導体27(導体22)、外部導体25(端子部材39)が接続構造1の外部に引出される部位である。
防食カバー32の外周部には、径方向に突出する部位がない。したがって、防食カバー32の拡径部73の外周に、収縮チューブなどの防水チューブを被覆した際に、高度に防水処理を行うことができる。また、防食カバー32自体が、ある程度の形状保持性を有しているため、外周から軟質の防水チューブ等を被覆した際に、引出し口34a、34bそれぞれの端部近傍が潰れることがなく、温度変化や浸水時の水圧等の外力によって、当該防水チューブと引出し口34a、34bとの重なり部が部分的に変形して止水性が劣化することを防止することができる。
以上、本発明によれば、銅管15aと銅管15bとを絶縁部材19によって確実に絶縁することができる。また、絶縁部材19の本体部41と銅管15bとが一体で形成されるため、従来の方法に対して、一方の銅管と絶縁部材との接続工程を省略することができる。したがって、作業工数を削減することができる。また、接続に必要なOリング等のシール部材や、ボルト等の使用部材を削減することができる。さらに、施工時に本体部41と銅管15bとの接続作業が不要となるため、従来と比較して、当該部位における水の浸入リスクを低減することができる。
また、銅管15aのフランジ部69に対して絶縁部材19の接続部43が軸方向に挿入され、外周面から軸方向とは垂直な方向にボルトで固定される。このため、従来のような、銅管と絶縁部材とをフランジ部で接合する場合と比較して、外径を小さくすることができる。また、フランジ部での接合と比較して、ボルト等の接合のためのスペースを確保しやすく、作業性にも優れる。
また、絶縁部材19には、銅管15bと導通する導体22が埋設され、導体22が、本体部41の内部で屈曲されて絶縁部材19の端部から突出している。したがって、内部導体27と接続する銅管15bの外表面に端子等を設ける必要がなく、また、絶縁部材19の外周面に対して、導体22が突出することがない。
また、内部導体27が導体22の端部に接続されるため、スリーブ等を用いて容易に接続を行うことができ、従来の端子座等との接続と比較して接続作業が容易である。また、従来の接続端子等と比較して、導体22と内部導体27との接続部の形状を単純にでき、複雑な形状が形成されることがない。したがって、接続部に防水チューブを収縮させて装着したり防水テープ等を巻付けることが容易であり、接続部の防水を確実に行うことができる。
また、銅管15aと導通する端子部材39を電線の長手方向に配置し、絶縁部材19を貫いて銅管15b側に導くように用いることで、同軸ケーブル23の外部導体25と端子部材39との接続部を銅管15bの外周側に配置することができる。このため、銅管15aの外周に、端子部等を起立させる必要がない。したがって、接続構造1の外径を小さくすることができる。また、端子部材39の端部に外部導体25をスリーブ等で接続すればよいため、従来の端子座等との接続と比較して接続作業が容易である。
また、平板部材と丸棒部材とを接合することで端子部材39が形成されるため、端子部材39の一方の端部を平板部55とし、他方の端部を丸棒部53とすることができる。平板部55は平坦部を有するため、端子部59と容易に接合することができる。また、平板部55が平坦部を有するため、平板部55自体を端子部として機能させることも容易である。したがって、端子部材39と銅管15aとを容易に接続することができる。
また、端子部材39の平板部55と丸棒部53との境界部近傍の断面形状変化点を、端子部材39と同電位である接続部43の外周に配置したので、空気中の不平等な電界集中領域の形成を緩和することができる。したがって、高い遮蔽層間インパルス性能を確保することができる。
また、端子部材39は、絶縁部材19の本体部41外周に形成された切欠き部38を通って、銅管15a側から銅管15b側へ引出される。このため、端子部材39が絶縁部材19の最大外径部よりも外周側にはみ出すことがない。したがって、接続構造1の外径を小さくすることができる。
また、絶縁部材19の外周面に端子部材39による凹凸が形成されることがなく、しかも、上述の通り、端子部材39および導体22を絶縁部材19の銅管15b側の端面から銅管15b側に引出したので、これらの箇所を防食カバー32により高度に遮水することが可能である。
また、導体22と端子部材39とは、絶縁部材19において、周方向に離隔して配置される。このため、遮蔽層間インパルス性能を確保するのに必要な離隔距離を確実に確保することができる。
また、本体部41の端面から露出する導体22の外周面および銅管15bの外周面には、それぞれ絶縁層45、47が形成される。また、端子部材39の外周面には、絶縁層61が設けられる。したがって、端子部材39と、銅管15bおよび導体22との間の遮蔽層間インパルス性能を確実に確保することができる。
また、防食カバー32によって、導体22と内部導体27との接続部、および、端子部材39と外部導体25との接続部を覆うことができる。このため、当該部位の防食性を高めることができる。また、防食カバー32には、一対の引出し口34a、34bが設けられる。このため、導体22(内部導体27)と、端子部材39(外部導体25)の両方を接続構造の内部から外部に取り出すことができる。
特に、導体22および端子部材39の接続方向が、いずれも、電線の軸方向であって、一方の方向(電線3b方向)に向けて取り出される。このため、外部導体25および内部導体27の取り回しも容易である。このため、作業性にも優れる。
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
たとえば、接続構造1を構成する各部材等の形状は、図示した例に限られない。また、防水性や絶縁性を確保するため、適宜、図示を省略した防水テープや絶縁テープ等を設けてもよい。