JP5834755B2 - 剥離性硬化皮膜の形成方法 - Google Patents
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Description
そのため、従来から触媒の非錫化が検討されてきた。特開昭59−176326号公報(特許文献4)では水酸化第4ホスホニウム化合物、国際公開第2008/081890号パンフレット(特許文献5)では第4級アンモニウムイオン化合物、米国特許第3,719,633号明細書(特許文献6)、米国特許第4,180,462号明細書(特許文献7)、特表2011−506584号公報(特許文献8)にはグアニジン等の有機物が提案され、特表2011−510103号公報(特許文献9)にはカオリン等の天然鉱物の利用も紹介されている。
[1]
紙、ラミネート紙、及びプラスチックから選ばれる基材表面に、
(A)1分子中に少なくとも2個のシラノール基を含むオルガノポリシロキサン
100質量部、
(B)(B−1)1分子中に珪素原子に直接結合した水素原子(SiH基)を少なくとも3個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン0.1〜20質量部、及び/又は
(B−2)1分子中に珪素原子に直接結合した加水分解性基を少なくとも3個有するオルガノポリシロキサン0.1〜20質量部であって、(B)成分中の活性基であるSiH基及び加水分解性基のモル数が(A)成分のシラノール基のモル数の1〜200倍に相当する量、
(C)マグネシウム、アルミニウム、チタン、クロム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ジルコニウム、タングステン及びビスマスから選ばれる化合物の縮合反応触媒
触媒量、
(D)マロン酸、アセト酢酸、又はアセチルアセトンもしくはその置換誘導体であり、キレート化剤として働く能力を有する有機化合物助触媒
1〜20質量部
を含有する縮合反応硬化型シリコーン剥離コーティング組成物を固形分として0.1〜5.0g/m2の範囲で塗布し、これを80〜180℃で5〜60秒間加熱することにより、上記基材表面に上記組成物の硬化皮膜を形成することを特徴とする剥離性硬化皮膜の形成方法。
形成された硬化皮膜は、各種の基材に対して良好な密着性を示す。また、シェルフライフ及びポットライフが良好で、作業性にも優れており、安定な特性を得られる。
(A)成分のオルガノポリシロキサンの回転粘度計により測定される25℃における30質量%トルエン溶液の絶対粘度は、50mPa・s以上のものが好ましく、より好ましくは50〜100000mPa・sである。
本発明の(B)成分として用いることのできる(B−1)オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、1分子中に珪素原子に直接結合する水素原子を少なくとも3個、好ましくは4〜1000個有することが必要である他は特に限定されず、分子構造は直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれであってもよい。本発明の(B−1)オルガノハイドロジェンポリシロキサンの回転粘度計により測定される25℃における絶対粘度は、数mPa・s〜数万mPa・sの範囲であればよい。
オルガノハイドロジェンポリシロキサンの具体例として下記のものを挙げることができる。
本発明の(B−2)成分として使用できるオルガノポリシロキサンは、1分子中に珪素原子に結合する加水分解性基を少なくとも3個、好ましくは3〜1000個有するものである。加水分解性基としては、珪素原子に直接結合したメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、メトキシエトキシ基、イソプロペノキシ基等のアルコキシ基、アセトキシ基等のアシルオキシ基が挙げられるが、一部、エチルアミノ基等のアミノ基、アミド基、エチルメチルブタノキシム基等のオキシム基、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子を有するものが混在してもよい。
本発明の組成物に使用する(C)成分としての触媒は、(A)成分と(B)成分のいわゆる架橋反応を促進し、硬化皮膜を形成するために用いられる縮合反応硬化触媒である。マグネシウム、アルミニウム、チタン、クロム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ジルコニウム、タングステン、ビスマスから選ばれる金属の化合物等が縮合反応触媒として使用できる。アルミニウム三価、鉄三価、コバルト三価、亜鉛二価、ジルコニウム四価、ビスマス三価の有機酸塩、アルコキシド、キレート化合物等の金属化合物が好ましく挙げられる。例えば、オクチル酸、ラウリン酸、ステアリン酸等の有機酸、プロポキシド、ブトキシド等のアルコキシド、カテコール、クラウンエーテル、多価カルボン酸、ヒドロキシ酸、ジケトン、ケト酸等の多座配位子キレート化合物が挙げられ、一つの金属に複数種類の配位子が結合していてもよい。
特に、配合や使用条件が多少異なっても安定した硬化性が得られ易いアルミニウム、鉄の化合物が使いやすく好ましく、更に望ましい構造はマロン酸エステル、アセト酢酸エステル、アセチルアセトン、それらの置換誘導体等を多座配位子としたアルミニウム又は鉄の三価キレート化合物である。アルミニウム三価、鉄三価の金属化合物では更にオクチル酸等の炭素数5〜20の有機酸も好ましく使用でき、上述の多座配位子と有機酸とが一つの金属に結合している構造でもよい。
本発明の組成物の助触媒(D)成分は(C)成分の触媒作用を向上させる目的で配合される。本発明の組成物の(D)成分は、多価カルボン酸、ヒドロキシ酸、ヒドロキシケトン、ジケトン、ケト酸類及びそれらの置換誘導体などに代表される酸素多座配位子として働くことのできる有機化合物である。ジカルボン酸、β−ヒドロキシ酸、1,3−ジケトン、β−ケト酸、β−ヒドロキシケトン及びそれらの置換誘導体が好ましく、具体的にはマロン酸、アセト酢酸、アセチルアセトンもしくはその置換誘導体が好ましい。上記置換誘導体としては、上記化合物中に含まれる水素原子をメチル基、エチル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基等のアルケニル基、フェニル基等のアリール基、ベンゾイル基等のアシル基、塩素原子、フッ素原子等のハロゲン原子、水酸基、フルオロアルキル基、エステル基含有基、エーテル含有基、ケトン含有基、アミノ基含有基、アミド基含有基、カルボン酸含有基、ニトリル基含有基、エポキシ基含有基などで置換したものであって、例えば、アセト酢酸エチル、2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネート、ヘキサフルオロペンタンジオネート、ベンゾイルアセトアセテート等が挙げられる。特にアセチルアセトン及びその置換誘導体(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオーネ)が好ましく使用される。
また、(C)成分がキレート化合物を配位子としている場合、多座配位子であるキレート化合物は二個以上の金属を橋架けして分子量の大きい構造を作ることができる。この構造を持った成分が増えると溶解性を低下させて触媒効果を低下させる原因になると考えられる。この場合も(D)成分が加えられることで、金属を橋架けしている構造が解かれ、触媒として働くのに有利な構造へ変化させるものと考えられる。
本発明の組成物の(E)成分の有機溶剤は、処理浴安定性、各種基材に対する塗工性の向上、塗工量及び粘度の調整を目的として配合される成分であり、例えばトルエン、キシレン、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、エタノール、IPA、ヘキサン、ヘプタン等の、組成物を均一に溶解できる任意量の有機溶剤が使用でき、(A)成分100質量部に対して10〜1900質量部含有することができるが、塗工方法によっては(E)成分は配合されなくてもよい。
本発明の組成物には、任意の追加の(F)成分として、炭素原子(C)1〜3個を介して窒素原子(N)と酸素原子(O)が結合した構造を有する有機化合物を配合することもできる。これにより硬化皮膜の強度を上げて密着性を改善する効果が期待できる。例えばイソシアネート基−N=C=O及びそれから誘導される化合物、各種アミノ基含有化合物とエポキシやオキセタン化合物を開環反応させて得られる化合物などが挙げられる。好ましくは更に珪素Siを含む置換基を持っている化合物がより効果的である。
本発明の組成物には、必要に応じて滑り性付与剤、密着向上剤、剥離力コントロール剤、顔料、レベリング剤、バスライフ延長剤として公知のものを配合することもできる。
本発明の組成物は、錫触媒を含有しないことにより従来の縮合反応硬化型組成物よりもポットライフが良好であるという特徴を有するが、十分なポットライフを確保するため、(C)成分はコーティングをする直前に添加混合した方がよい。
本発明の組成物を使用して塗工する場合には、本発明の組成物を直接又は適当な有機溶剤で希釈した後、バーコーター、ロールコーター、リバースコーター、グラビアコーター、エアナイフコーター、さらに薄膜の塗工には高精度のオフセットコーター、多段ロールコーター等の公知の塗布方法により、紙、ラミネート紙、プラスチックフィルム等の基材に塗布する。
(A)成分として、回転粘度計により測定される25℃における30質量%トルエン溶液の粘度が10000mPa・sであり、分子鎖の両末端はジメチルヒドロキシシリル基で封鎖され、主骨格はジメチルシロキサン単位で構成されているポリオルガノシロキサンを100質量部、(E)成分として、トルエンを1800質量部取り、20〜40℃で撹拌溶解した。得られた溶液に、(B−1)成分として、分子鎖両末端がトリメチルシリル基で封鎖され、MeHSiO2/2で表される単位を95モル%含有し、絶対粘度が25mPa・sであるメチルハイドロジエンポリシロキサンを3質量部、(D)成分としてアセチルアセトンを5質量部加え、20〜40℃で1時間撹拌混合した。
基材に塗工する直前に、(C)成分として、鉄(III)トリアセチルアセトネートを鉄換算量3質量%対(A)成分添加し組成物を調製した。
これをメイヤーバーを用いてグラシン紙へ均一に塗工し、所定条件(150℃で30秒間)にてキュアーして、塗工量が固形分で1.0g/m2の評価用試料を作製した。評価は下記の硬化皮膜特性の評価方法の記載に従い、その結果を表1に示した。
(A)成分として、回転粘度計により測定される25℃における30質量%トルエン溶液の粘度が15000mPa・sであり、分子鎖の両末端はジメチルヒドロキシシリル基で封鎖され、主骨格はジメチルシロキサン単位99.9モル%、ヒドロキシメチルシロキサン単位0.01モル%で構成されているポリオルガノシロキサンを100質量部、(E)成分として、トルエンを1800質量部取り、20〜40℃で撹拌溶解した。得られた溶液に、(B−2)成分としてMeSi(OMe)3の部分加水分解縮合物で、粘度が10mPa・sであるメチルメトキシポリシロキサンを5質量部、(D)成分としてアセチルアセトンを5質量部加え、20〜40℃で1時間撹拌混合した。
基材に塗工する直前に、(C)成分として、ジプロポキシアルミニウム(III)エチルアセトアセテートをAl換算量3質量%対(A)成分添加して、組成物を調製した。
これをメイヤーバーを用いてグラシン紙へ均一に塗工し、所定条件(150℃で30秒間)にてキュアーして、塗工量が固形分で1.0g/m2の評価用試料を作製した。評価は下記の硬化皮膜特性の評価方法の記載に従い、その結果を表1に示した。
実施例2において、(C)成分としてアルミニウム(III)トリアセチルアセトネートをAl換算量3質量%対(A)成分添加し、(D)成分としてアセチルアセトンを5質量部として組成物を調製した以外は同様に実施した。
実施例1において、(C)成分としてオクチル酸鉄(III)を鉄換算量4質量%対(A)成分添加、(D)成分としてアセチルアセトンを5質量部加え、(F)成分として下記の化合物5質量部を更に配合して組成物を調製した以外は同様に実施した。
実施例2において(C)成分として亜鉛(II)ジアセチルアセトネートをZn換算量5質量%対(A)成分添加し、(D)成分としてアセチルアセトンを5質量部加え、(F)成分として下記の化合物5質量部を更に配合して組成物を調製した以外は同様に実施した。
実施例2において(C)成分としてジブトキシジルコニウム(IV)ジアセチルアセトネートをZr換算量1.5質量%対(A)成分に加え、オクチル酸鉄(III)を鉄換算量1.5質量%対(A)成分添加し、(D)成分としてアセト酢酸エチルを5質量部加えて組成物を調製した以外は同様に実施した。
実施例1において、(D)成分を配合しない以外は同様に実施し、評価用試料を作製した。
実施例2において、(D)成分を配合しない以外は同様に実施し、評価用試料を作製した。
実施例1において、(D)成分を配合せず、(C)成分としてジオクチル錫ジカルボン酸塩を錫換算量で3質量%配合した以外は同様に実施した。
1)硬化性
触媒添加したシリコーン組成物をPEラミネート紙に固形分で1.0g/m2塗布し、130℃の熱風循環式乾燥機で30秒間加熱処理して硬化皮膜を形成し、評価用試料を作製した。
試料の硬化皮膜表面を指でこすり、皮膜表面のくもり度合を観察し、以下の基準で評価した。
○:130℃×30秒加熱でくもり生じない。
△:薄くくもりが生ずる。
×:濃いくもりが生ずる、あるいは未硬化の状態。
触媒添加したシリコーン組成物をPEラミネート紙に固形分で1.0g/m2塗布し、150℃の熱風循環式乾燥機で30秒間加熱処理して硬化皮膜を形成し、評価用試料を作製した。
試料を25℃,50%RH×1日放置後、硬化皮膜表面を指でこすり、皮膜表面の脱落の度合を観察し、以下の基準で評価した。
○:脱落が全くない。
△:部分的に脱落が生ずる。
×:容易に脱落が生ずる。
上記2)密着性の評価と同様に評価用試料を作製し、その硬化皮膜表面にアクリル系溶剤型粘着剤〔オリバインBPS−5127(東洋インキ製造(株)製)〕を塗布して100℃で3分間熱処理し、次いで、この処理面に坪量64g/m2の上質紙を貼り合わせて2kgローラーで1往復圧着し、25℃で20時間エージングさせた。この試料を5cm幅に切断し、引張り試験機を用いて180°の角度で剥離速度0.3m/分で貼合わせ紙を引張り、剥離するのに要する力(N)を測定した。測定はオートグラフDCS−500(島津製作所株式会社製)を使用した。
セパレータの硬化皮膜表面にポリエステルテープ〔ニットー31B(日東電工(株)製)〕を貼合わせ、20gf/cm2の荷重をかけた状態で70℃、20時間エージングした後、テープを剥がし、ステンレス板に貼付けた。次いで、このテープをステンレス板表面に対し180°の角度で剥離速度0.3m/分で剥がし、剥離するのに要する力を測定した。一方、テフロン(登録商標)板表面に上記のポリエステルテープを貼合わせ、同様の条件でエージングし、同様にしてテープを剥離するのに要する力(N)を測定し、前者の後者に対する比率が90%以上のものを○、80〜89%を△、79%以下を×とした。
実施例及び比較例で調製した塗工液を25℃×1日放置した後、外観を観察した。良好なものを○、増粘やゲル化、沈殿生成しているものを×とした。
Claims (1)
- 紙、ラミネート紙、及びプラスチックから選ばれる基材表面に、
(A)1分子中に少なくとも2個のシラノール基を含むオルガノポリシロキサン
100質量部、
(B)(B−1)1分子中に珪素原子に直接結合した水素原子(SiH基)を少なくとも3個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン0.1〜20質量部、及び/又は
(B−2)1分子中に珪素原子に直接結合した加水分解性基を少なくとも3個有するオルガノポリシロキサン0.1〜20質量部であって、(B)成分中の活性基であるSiH基及び加水分解性基のモル数が(A)成分のシラノール基のモル数の1〜200倍に相当する量、
(C)マグネシウム、アルミニウム、チタン、クロム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ジルコニウム、タングステン及びビスマスから選ばれる化合物の縮合反応触媒
触媒量、
(D)マロン酸、アセト酢酸、又はアセチルアセトンもしくはその置換誘導体であり、キレート化剤として働く能力を有する有機化合物助触媒
1〜20質量部
を含有する縮合反応硬化型シリコーン剥離コーティング組成物を固形分として0.1〜5.0g/m2の範囲で塗布し、これを80〜180℃で5〜60秒間加熱することにより、上記基材表面に上記組成物の硬化皮膜を形成することを特徴とする剥離性硬化皮膜の形成方法。
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