JP5834396B2 - パワー半導体デバイスの電流検出回路 - Google Patents
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Description
(2)電流検出用の抵抗(シャント抵抗と呼ばれる)を使用する方法。
の2つの方法が一般的である。
ここで使用されるDC-CT105は、環状のコアと磁気センサであるホール素子を利用したもので、配線をコアに貫通させ電流を通じたときに発生する磁気を検出することで、電流を検出する。こうして検出した電流値を制御回路102に入力し、その出力に基づきインバータ101を制御する。
ここでは、インバータ101の下アームにシャント抵抗Rsを接続している。下アームのIGBT201がオンするタイミングでは出力電流は下アームに通流するので、このときのシャント抵抗Rsでの電圧降下を検出することで、出力電流を検出する。
また、図12にチョッパ回路でシャント抵抗を用いる例を示す。
ここでは、接地ライン(GND)にシャント抵抗を接続し、抵抗の電圧降下によって出力電流を検出する。
DC-CTを用いる場合:ホールセンサやコアを必要とし、一般的に高価であること、温度特性が大きいため、周囲温度の変動が激しいところでは、精度が低下する。また、コアを用いることから大型化し、電力変換装置の小型化に逆行する。
シャント抵抗の場合:抵抗による電力損失が発生し、電力変換装置の変換効率が低下する。また、大きな損失を許容するため抵抗器自体のサイズが大型化し、電力変換装置の小型化に反する。
IGBTは通常、同一構造からなる数千〜数万個のセルから構成されており、そのうちの一部を電流検出セルとして利用する(電流検出用セル領域をセンスIGBT、その他の領域を主IGBTと呼ぶ)。なお、主IGBTのセル数Nmと、センスIGBTのセル数Nsとの比(Nm/Ns)は数千倍に設定していることが多い。
Ic/Is=( Nm+Ns) / Ns≒Nm/Ns…(1)
ここに、Ic:コレクタ電流
Is:センス電流(センスIGBTに流れる電流)
Nm:主IGBTのセル数
Ns:センスIGBTのセル数を示す。
Ic=( Nm/Ns)・Is=( Nm/Ns)・(Vs/Rs)…(2)
主電流をシャント抵抗で検出する場合には、抵抗の損失が大きくなるという問題があったが、この方法ではシャント抵抗損失は小さく、従って効率の低下や大型化の問題はなくなる。
一般に、インバータ制御では1〜2%の電流検出精度が求められるが、上記の方法は精度が悪いことから、実用に至っていないのが現状である。その理由として、次の2点が挙げられる。
(1)電流比がセル数比に比例するという考えは、主IGBTとセンスIGBTの各セルの特性が同じという前提に立っている。しかし、実際には特性のばらつきがあるため、主電流とセンス電流との電流比は一定にはならない。この関係を説明するのが図15で、主電流とセンス電流の関係は、同図に点線で示すようにリニアにはなっていない。
このため、センスIGBTのコレクタ−エミッタ間の電圧が低下し、センスIGBTに流れる電流が減少する。
従って、この発明の課題は、上記2つの課題を解決すること、すなわち、電流検出器の大型化や損失の増大を招くことなく、検出精度を向上させることにある。
前記電流検出回路は、オペアンプと抵抗からなる電流−電圧変換回路と、ゲイン調整の可能な可変電圧出力回路とを備え、前記電流−電圧変換回路のオペアンプの第1入力端子を前記センス端子に接続し、前記電流−電圧変換回路のオペアンプの第2入力端子を前記可変電圧出力回路の出力に接続し、前記電流‐電圧変換回路の出力を前記可変電圧出力回路の入力に接続して構成し、
前記可変電圧出力回路のゲインを調整し、前記電流−電圧変換回路の出力に前記調整したゲインを乗じた出力をこの可変電圧出力回路から前記オペアンプの第2入力端子に加えることにより、前記パワー半導体デバイスの主領域と電流検出用領域との特性の差を補正することを特徴とする。
前記電流検出回路は、オペアンプと抵抗からなる電流−電圧変換回路と、増幅率の切り替え機能を備えた増幅回路と、前記増幅率を切り替えるための信号を発生するコンパレータとからなり、
前記電流−電圧変換回路のオペアンプの第1入力端子は前記センス端子に接続され、前記電流−電圧変換回路のオペアンプの第2入力端子は前記増幅回路の出力に接続され、電流−電圧変換回路の出力は増幅回路の入力とコンパレータの入力とに接続され、
前記センス端子に流れた電流に応じて前記増幅器の増幅率を段階的に切り替えることにより、パワー半導体デバイスの主領域と電流検出用領域との特性の差を補正することを特徴とする。
図示のように、オペアンプからなる電流−電圧変換回路21の入力を、IGBT1のセンス端子Sに接続し、可変電圧出力回路22を電流−電圧変換回路21の基準電圧端子(オペアンプの(+)端子)に接続し、電流−電圧変換回路21の出力に出力レベル調整器23を接続する。
Vs=K×Is…(3)のように変化する。なお、Kはゲインで、擬似的な抵抗のように機能するため、Rm0を主IGBT の内部抵抗、Rs0をセンスIGBTの内部抵抗として、
Rm0≒Rs0+K…(4)の関係を満たすようにゲインKを調整することにより、両IGBT の特性の差を補正することができる。なお、ゲインKは正負両極性に設定可能である。電流−電圧変換回路21の出力は、出力レベル調整器23により所定値に調整され、制御回路へと出力される。
いま、可変抵抗器24の抵抗値をRcとし、
Rm0≒Rs0+Rc …(5)となるように調整することにより、両IGBT の特性の差を補正することができる。なお、この方法は、Rm0>Rs0の場合に限り有効である。また、電流−電圧変換回路21の出力は次式のように表わされ(R1は電流−電圧変換回路21の抵抗を示す)、
V=R1×Is…(6)特性補正用の可変抵抗Rcの値には依存しない。
まず、主IGBT の内部抵抗Rm0とセンスIGBTの内部抵抗Rs0とを比較し、
Rm0>Rs0のときは、スイッチ26を"1"側にする。
Vs=Rc×Is…(7)となり、電流の増加に比例してセンス端子電圧が上昇する。そこで、先の(5)式と同様の下式(5')が成立するように、可変抵抗Rcを調整する。
Rm0≒Rs0+Rc …(5')
このとき、可変電圧出力回路22の出力(=センス端子の電位)は、
Vs=−Rc×Is…(8)となり、電流の増加に比例してセンス端子電圧が上昇する。そこで、先の(5)式と同様の下式(5")が成立するように、可変抵抗Rcを調整する。
Rm0≒Rs0−Rc …(5")
以上により、2つのIGBT の特性差を補正することで、Ic−Is特性を図15の実線のように、ほぼリニアな関係にすることができる。
図5に、この発明を適用したインバータ装置の例を示す。ここでは、センス機能付きIGBT203およびFWD204を用いた例である。電流検出器2は図1,3または図2,4のいずれを用いても良い。これにより、3相の下アーム電流を検出でき、インバータ装置を制御することができる。
その動作原理は以下の通りである。
電流−電圧変換回路21はセンス電流に比例した電圧を出力するが、その出力は反転増幅器29に入力されているので、電流−電圧変換回路21の出力電圧に増幅率を乗じた電圧が出力される。この反転増幅器29の出力は、電流−電圧変換回路21のオペアンプの(+)端子に入力され(その入力電圧をここでは"補正電圧"と呼ぶ)るので、センス電流に比例した補正電圧がセンス端子に印加されることになり、等価的に抵抗を挿入したのと同等の作用をする。ここまでは、上記図1,3や図2,4の場合と同様である。
なお、切り替え動作付近でスイッチがチャタリングするのを防止するため、コンパレータにヒステリシスを設けることもできる(そのためには、コンパレータの出力を、抵抗を介してコンパレータの(+)端子にフィードバックすれば良い)。
図9に、この発明における検出誤差例を示す。つまり、電流検出精度が悪化してきたら、上記のようにゲインを切り替えることにより、精度を改善できることになる。また、図8のような電流検出回路は、図5や図6に適用可能なのは言うまでも無い。
Claims (2)
- パワー半導体デバイスを主領域と電流検出用領域とに分け、電流検出用領域にセンス端子を接続したセンス機能付きパワー半導体デバイスに、前記センス端子に電流検出回路を接続したパワー半導体デバイスの電流検出回路において、
前記電流検出回路は、オペアンプと抵抗からなる電流−電圧変換回路と、ゲイン調整の可能な可変電圧出力回路とを備え、前記電流−電圧変換回路のオペアンプの第1入力端子を前記センス端子に接続し、前記電流−電圧変換回路のオペアンプの第2入力端子を前記可変電圧出力回路の出力に接続し、前記電流‐電圧変換回路の出力を前記可変電圧出力回路の入力に接続して構成し、
前記可変電圧出力回路のゲインを調整し、前記電流−電圧変換回路の出力に前記調整したゲインを乗じた出力をこの可変電圧出力回路から前記オペアンプの第2入力端子に加えることにより、前記パワー半導体デバイスの主領域と電流検出用領域との特性の差を補正することを特徴とするパワー半導体デバイスの電流検出回路。 - パワー半導体デバイスを主領域と電流検出用領域とに分け、電流検出用領域にセンス端子を接続したセンス機能付きパワー半導体デバイスに、前記センス端子に電流検出回路を接続したパワー半導体デバイスの電流検出回路において、
前記電流検出回路は、オペアンプと抵抗からなる電流−電圧変換回路と、増幅率の切り替え機能を備えた増幅回路と、前記増幅率を切り替えるための信号を発生するコンパレータとからなり、
前記電流−電圧変換回路のオペアンプの第1入力端子は前記センス端子に接続され、前記電流−電圧変換回路のオペアンプの第2入力端子は前記増幅回路の出力に接続され、電流−電圧変換回路の出力は増幅回路の入力とコンパレータの入力とに接続され、
前記センス端子に流れた電流に応じて前記増幅器の増幅率を段階的に切り替えることにより、前記パワー半導体デバイスの主領域と電流検出用領域との特性の差を補正することを特徴とするパワー半導体デバイスの電流検出回路。
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