〔実施形態1〕
本発明の実施形態1について図1および図2を用いて説明すれば、以下のとおりである。
図1は、実施形態1に係る系統連系システム11を示すブロック図である。
〈系統連系システム11の構成〉
図1に示すように、系統連系システム11は商用電力系統1と連系して運転される。また、系統連系システム11は、DC電源2と、電力変換器3と、電流検出器4とを備えている。
商用電力系統1は、単相三線式(交流200V)であり、受電点に単相交流電力を供給している。具体的には、商用電力系統1は、電圧線L1と、接地された(接地点に接続された)中性線Nとの間に形成されるL1相にAC100Vの電圧を印加し、電圧線L2と中性線Nとの間に形成されるL2相にAC100Vの交流電圧を印加し、電圧線L1と電圧線L2との間にAC200Vの電圧を印加する。また、これら三線の配線、すなわち電圧線L1,L2および中性線Nには、負荷LD1〜LD3が接続されている。具体的には、L1相には負荷LD1が接続され、L2相には負荷LD2が接続され、電圧線L1と電圧線L2との間には負荷LD3が接続されている。
DC電源2は、直流電力を出力する直流電力源となる機器である。DC電源2は、蓄電池で構成されるが、太陽電池などの発電機器を含む一般的に普及している直流電源で構成されてもよい。
電力変換器3は、DC電源2から出力される直流電力を単相の交流電力(AC200V)に変換して、電圧線L1および電圧線L2に出力する単相二線式の変換器である。また、電力変換器3は、商用電力系統1に対して規定の逆電力の状態となったときに出力を停止する機能を有している。さらに、電力変換器3は、L1相およびL2相(各相)の間での負荷電流(負荷消費電流)の不平衡(偏り)の度合いを表す不平衡度に応じて、出力電流(もしくは受電点における合算電流)の制御目標値を変更する機能を有している。電力変換器3については、後に詳しく説明する。
なお、電力変換器3は、単相二線式であるが、これに限定されず、単相三線式であってもよい。これは、後述する実施形態2の系統連系システム12における電力変換器3A(図3参照)についても同様である。
電流検出器4は、受電点における電流(電圧線L1,L2に流れる電流)を検出する検出器であり、電流を電圧の形態で検出する。また、電流検出器4は、電流の検出範囲が異なる、ナロウレンジ検出器41(第1電流検出器)と、ワイドレンジ検出器42(第2電流検出器)とを有している。例えば、電力変換器3の定格出力が5000[W]である場合、ナロウレンジ検出器41は、片相で0〜5[A](0〜500[W])の検出範囲(第1検出範囲)の電流を検出(5[A]未満が有効)し、ワイドレンジ検出器42は、片相で0〜25[A](0〜2500[W])の検出範囲(第1検出範囲より上限値が高い第2検出範囲)の電流を検出(5[A]以上25[A]未満が有効)する。ナロウレンジ検出器41およびワイドレンジ検出器42のそれぞれの検出範囲は、上記の範囲に限定されないのは勿論である。
ナロウレンジ検出器41およびワイドレンジ検出器42は、コイル巻き数やコイル素材を異ならせることで、それぞれが同じ値の電流を異なる電圧値として検出するように構成されている。ナロウレンジ検出器41およびワイドレンジ検出器42の電流値[A]を電圧値[V]に変換する効率は適宜変更されてもよいが、ナロウレンジ検出器41の場合、電流値I[A]を電圧値[V]に変換する効率は、I/1.5[V]〜I/4[V]が好ましく、ワイドレンジ検出器42の場合、電流値[A]を電圧値[V]に変換する効率は、I/8[V]〜I/13[V]が好ましい。以下、本実施形態のナロウレンジ検出器41は、電流値I[A]を電圧値I/2[V]に変換して検出する一方、ワイドレンジ検出器42は、電流値I[A]を電圧値I/10[V]に変換して検出する。この場合、一例を挙げると、両検出器の検出限界が2.5[V]である場合、ナロウレンジ検出器41が5[A]を2.5[V]として検出する一方、ワイドレンジ検出器42が5[A]を0.5Vとして検出し、25[A]を2.5Vとして検出する。
なお、受電点における電力は、受電点での電流検出値および電圧検出値の積によって算出されるが、電圧検出値がほぼ一定であることから、電流検出値によって支配的に決定される。したがって、本実施形態を含む各実施形態における、電流検出器4、電流検出器6(図3参照)および電流検出器6A(図8参照)によって電流を検出することにより間接的に電力を検出することができる。
〈電力変換器3の構成〉
電力変換器3は、電力変換部31と、逆電力継電器(図1においてRPRと記載)32と、増幅回路33と、AD変換器34と、制御部35とを有している。
電力変換部31は、直流電力を単相の交流電力に変換する、電力変換器3の主要部分である。この電力変換部31は、商用電力系統1から商用電力を供給される3つの電圧線L1,L2および中性線N(配線)に接続された負荷LD1〜LD3に対して、商用電力系統1と連系して交流電力を供給するように、供給する交流電力(交流電流)をスイッチング素子のオン/オフで制御することで、結果的に受電点における交流電力(交流電流)を制御する。具体的には、電力変換部31は、後述する制御指示部354によって与えられる制御指示に基づいて、出力する交流電力を制御する。例えば、制御指示は、後述する制御目標値および定格出力電流に基づいたスイッチング素子のスイッチング動作パターン(スイッチング指令)である。
逆電力継電器32は、逆電力が検出されると、電力変換部31の出力を停止するように、電力変換器3の出力電路を遮断する保護継電器である。なお、逆電力継電器32は、電力変換器3内に設けられているが、電力変換器3と独立して設けられていてもよい。
増幅回路33は、電流検出器4から電圧として出力された電流検出値を増幅する。より具体的には、増幅回路33は、ナロウレンジ検出器41およびワイドレンジ検出器42からそれぞれ出力されたアナログの電圧をAD変換器34でデジタル値に変換するときの精度を高めるために、アナログ電圧の値をAD変換器34への入力限界(例えば、アナログ電圧の値に対する両検出器41,42の検出限界が上述の2.5[V]であり、入力限界値が3[V]である)まで増幅する。
AD変換器34は、増幅回路33によって増幅されたアナログ電圧をデジタルに変換する。AD変換器34は、変換の結果として、ナロウレンジ検出器41によって検出された電流のデジタル値である電流検出値Id1と、ワイドレンジ検出器42によって検出された電流のデジタル値である電流検出値Id2とを出力する。ここで、電流検出値Id1としては、電圧線L1に流れる電流(L1相の電流)の電流検出値Id1L1と、電圧線L2に流れる電流(L2相の電流)の電流検出値Id1L2とが出力される。また、電流検出値Id2としては、電圧線L1に流れる電流の電流検出値Id2L1と、電圧線L2に流れる電流の電流検出値Id2L2とが出力される。また、いずれの検出器41,42においても、L1相の電流は、電力変換器3から商用電力系統1への流れを正の値、その逆を負の値として、L2相の電流は、電力変換器3から商用電力系統1への流れを負の値、その逆を正の値として、それぞれ検出される。
制御部35は、検出した電流に基づいて、逆電力継電器32の動作を制御するとともに、逆電力の発生時に逆電力継電器32が動作しないように、受電点における交流電流の合算値が制御目標値となるべく電力変換部31の動作を制御する。制御部35については、次に詳しく説明する。
〈制御部35の構成〉
図2は、電力変換器3における制御部35の構成を示すブロック図である。
図2に示すように、制御部35は、電流判定部351と、RPR制御部352と、不平衡度算出部353と、制御指示部354とを有している。
電流判定部351は、電流検出値Id1,Id2のうち、いずれが有効であるかを判定するとともに、受電点におけるL1相の電流およびL2相の電流の合算値(合算電流)を算出して、RPR制御部352に与える。具体的には、電流判定部351は、電流検出値Id1,Id2のうち有効である値を電流検出値Id1,Id2の値に基づいて判定し、有効な方を不平衡度算出部353に出力する。また、電流判定部351は、判定した電流検出値Id1,Id2を加算することで、受電点における電流の合算値を算出する。これにより、L1相およびL2相のそれぞれについて、電流検出値Id1,Id2のうち、いずれが有効であるかが判定され、L1相の電流検出値Id1L1および電流検出値Id2L1のうち有効であると判定された検出値と、L2相の電流検出値Id1L2および電流検出値Id2L2のうち有効であると判定された検出値とが加算される。
RPR制御部352は、電流判定部351によって算出された上記の合算電流が規定の逆電力状態となっているか否かを判定し、判定結果に応じて、逆電力継電器32の開閉を制御する制御信号Sを出力する。具体的には、RPR制御部352は、合算電流が規定の逆電力状態となっていない場合には、逆電力継電器32を閉状態となるように制御する一方、合算電流が規定の逆電力状態となっている場合には、逆電力継電器32を開状態となるように制御する。これにより、電力変換器3は、規定の逆電力状態において、出力が遮断されて、交流電流を出力しない。
不平衡度算出部353は、電流判定部351から出力された上記のL1相の値およびL2相の値と、制御部35が把握する、もしくは別途検出される、電力変換器3のL1相およびL2相への出力電流値とを用いることにより、不平衡度を算出する。不平衡度は、負荷LD1〜LD3が消費するL1相およびL2相の間における電流の不平衡、すなわちL1相の総負荷消費電流およびL2相の総負荷消費電流の不平衡の度合いである。例えば、不平衡度は、L1相の総負荷消費電流とL2相の総負荷消費電流との差、すなわち(上記の電力変換器3のL1相への出力電流値と受電点におけるL1相での電流検出値との差)と、(上記の電力変換器3のL2相への出力電流値と受電点におけるL2相での電流検出値との差)との差で表される。
制御指示部354は、不平衡度が所定の閾値未満であるときに、制御目標値Ptを制御目標値Pt1に設定して保持し、受電点での合算電流が制御目標値Ptとなるように電力変換部31に制御指示(前述のスイッチング指令)を与えることで指示する。また、制御指示部354は、不平衡度が閾値以上であるときに、制御目標値Ptを制御目標値Pt1より大きい制御目標値Pt2に設定して保持し、受電点での合算電流が制御目標値Pt2となるように電力変換部31に制御指示を与える。さらに、制御指示部354は、必要に応じて、定格出力電流を出力するように電力変換部31に制御指示を与える。
ここで、制御目標値Ptは、受電点におけるL1相の電流およびL2相の電流の合算値(合算電流)が、電力変換部31による出力電流の制御の結果として達すべき目標の値であり、逆電力状態とならない値に設定される。電力変換部31は、合算電流が制御目標値Ptに達するように出力電流を制御する。
また、上記の閾値は、例えば、電力変換器3の片相での定格出力電流(定格出力電流の1/2)を超えない正の範囲で定められる。
〈系統連系システム11の動作〉
上記のように構成される系統連系システム11による制御目標値Ptの設定動作について説明する。
まず、電圧線L1,L2の受電点に流れる電流が共に小さく、L1相およびL2相の両相においてナロウレンジ検出器41で検出される電流が有効であると判定される場合について説明する。この場合、電力変換器3において、増幅回路33は、ナロウレンジ検出器41からの電流検出値(第1検出値,L1相の電流値およびL2相の電流値)と、ワイドレンジ検出器42からの電流検出値(第2検出値,L1相の電流値およびL2相の電流値)とを増幅する。例えば、4[A]の電流が流れ、ナロウレンジ検出器41からの電流検出値が2[V]である場合、増幅回路33は、1.2倍の増幅率で2.4[V]に増幅する。また、4[A]の電流が流れ、ワイドレンジ検出器42からの電流検出値が0.4[V]である場合、増幅回路33は、1.2倍の増幅率で0.48[V]に増幅する。
AD変換器34は、増幅回路33によって増幅されたナロウレンジ検出器41およびワイドレンジ検出器42からの電流検出値をデジタル値の電流検出値Id1,Id2に変換して出力する。
制御部35において、電流判定部351は、電流検出値Id1の大きさが最大値(例では5[A])未満であることから、電流検出値Id1を第1検出範囲内の有効な値として採用し、電流検出値Id2を採用しない。電流判定部351は、採用した電流検出値Id1のL1相およびL2相の電流検出値Id1L1,Id1L2を不平衡度算出部353に出力し、その合算値も求める。不平衡度算出部353は、電流検出値Id1L1,Id1L2と、制御部35が把握する、もしくは別途検出される、電力変換器3のL1相およびL2相への出力電流値とを用いることにより、不平衡度を求める。制御指示部354は、不平衡度算出部353からの不平衡度を閾値と比較することにより、不平衡度が閾値未満であると判定すると、制御目標値Pt1を制御目標値Ptとして設定し、当該制御目標値Pt1に基づく制御指示を電力変換部31に与える。一方、制御指示部354は、不平衡度が閾値以上であると判定すると、制御目標値Pt2を制御目標値Ptとして設定し、当該制御目標値Pt2に基づく制御指示を電力変換部31に与える。
電力変換部31は、制御指示部354からの制御指示を受けると、制御目標値Ptと、電流判定部351によって算出された現状の合算値との差が無くなるように、スイッチング素子のスイッチング動作パターンを適宜変更して、出力電流を制御する。
続いて、電圧線L1,L2の受電点に流れる電流共に大きく、L1相およびL2相の両相においてワイドレンジ検出器42で検出される電流が有効であると判定される場合について説明する。この場合、検出される電流がナロウレンジ検出器41の検出範囲を超えるので(オーバーレンジ)、ナロウレンジ検出器41は検出不可となるが、検出範囲の最大値を出力する。電力変換器3において、増幅回路33は、ワイドレンジ検出器42からの電流検出値(第2検出値,L1相の電流値およびL2相の電流値)を増幅するが、ナロウレンジ検出器41からの電流検出値の最大値も増幅する。例えば、20[A]の電流が流れ、ワイドレンジ検出器42からの電流検出値が2[V]であった場合、増幅回路33は、1.2倍の増幅率で2.4[V]に増幅する。また、20[A]の電流が流れ、ナロウレンジ検出器41からの電流検出値が2.5[V]である場合、増幅回路33は、1.2倍の増幅率で入力限界値の3[V]に増幅する。
なお、ワイドレンジ検出器42が5[A]〜25[A]の電流を検出するとき、ナロウレンジ検出器41は最大検出値である5[A]を検出する。この場合、両方の検出値が増幅回路33で増幅された後、AD変換器34でデジタル値に変換されるが、電流検出値Id1は常に5[A]となる。このような場合、電流判定部351は、電流検出値Id2を有効であると判定する。
AD変換器34は、増幅回路33によって増幅されたナロウレンジ検出器41からの電流検出値(最大値)をデジタル値の電流検出値Id1に変換して出力するとともに、増幅回路33によって増幅されたワイドレンジ検出器42からの電流検出値をデジタル値の電流検出値Id2に変換して出力する。
制御部35において、電流判定部351は、電流検出値Id1の大きさが最大値(負の最小値も含む)であり、電流検出値Id2の大きさが最大値(例では25[A])未満であることから、電流検出値Id2を第2検出範囲内の有効な値として採用する。電流判定部351は、採用した電流検出値Id2のL1相およびL2相の電流検出値Id2L1,Id2L2を不平衡度算出部353に出力し、その合算値も算出する。不平衡度算出部353は、電流検出値Id2L1,Id2L2と、制御部35が把握する、もしくは別途検出される、電力変換器3のL1相およびL2相への出力電流値とを用いることにより、不平衡度を求める。制御指示部354は、不平衡度算出部353からの不平衡度を閾値と比較することにより、不平衡度が閾値未満であると判定すると、制御目標値Pt1を制御目標値Ptとして設定し、当該制御目標値Pt1に基づく制御指示を電力変換部31に与える。一方、制御指示部354は、不平衡度が閾値以上であると判定すると、制御目標値Pt2を制御目標値Ptとして設定し、当該制御目標値Pt2に基づく制御指示を電力変換部31に与える。
電力変換部31は、制御指示部354からの制御指示を受けると、制御目標値Ptと、電流判定部351によって算出された現状の合算値との差が無くなるように、スイッチング素子のスイッチング動作パターンを適宜変更して、出力電流を制御する。
なお、電圧線L1,L2の受電点に流れる電流の一方が小さく、ナロウレンジ検出器41で検出される電流が有効であると判定され、電圧線L1,L2の受電点に流れる電流の他方が大きく、ワイドレンジ検出器42で検出される電流が有効であると判定される場合にも、有効と判定されたそれぞれの電流値を用いて不平衡度を算出し、制御目標値設定と出力電流制御とを、上述の場合と同様に行う。
〈系統連系システム11の効果〉
本実施形態に係る系統連系システム11は、上記のようにして、電力変換器3の出力電流を制御することにより、受電点におけるL1相の電流およびL2相の電流の合算値が逆電力状態とならない。これにより、逆電力継電器32が開状態に動作することを回避できる。
また、系統連系システム11において、ナロウレンジ検出器41による電流−電圧変換の倍率(例えば前述の1/2)が、ワイドレンジ検出器42による電流−電圧変換の倍率(例えば前述の1/10)よりも大きい。これにより、ナロウレンジ検出器41の電流検出値は、ワイドレンジ検出器42の電流検出値よりも、高精度であると言える。
また、制御部35は、L1相の総負荷消費電流とL2相の総負荷消費電流との差が小さくなる、不平衡度が閾値未満であるときに、制御目標値Ptを小さい制御目標値Pt1に設定する。一方、制御部35は、L1相の総負荷消費電流とL2相の総負荷消費電流との差が大きくなる、不平衡度が閾値以上であるときに、制御目標値Ptを制御目標値Pt1より大きい制御目標値Pt2に設定する。換言すれば、ナロウレンジ検出器41が電流を検出するような電圧線L1,L2に流れる電流が小さい場合には、制御目標値Pt1が制御目標値Ptとして採用されやすくなり、ワイドレンジ検出器42が電流を検出するような電圧線L1,L2に流れる電流が大きい場合には、制御目標値Pt2が制御目標値Ptとして採用されやすくなる。
これにより、受電点における電流が、ワイドレンジ検出器42を用いて低精度に(大きい誤差で)検出された場合に、制御目標値Ptが大きい誤差を見込んだ大きい制御目標値Pt2に設定される。この場合、商用電力系統1からの買電状態となるように、電力変換器3の出力電流が制御される。一方、受電点における電流が、ナロウレンジ検出器41を用いて高精度に(小さい誤差で)検出された場合に、制御目標値Ptが小さい誤差を見込んだ制御目標値Pt1に抑えられる。この場合は、電力変換器3の出力電流が小さい制御目標値Pt1に基づいて制御されるので、DC電源2からの電力供給を確保しつつ、商用電力系統1からの買電を抑えることができる。よって、余分な買電を抑えることができる。
また、増幅回路33が、ナロウレンジ検出器41およびワイドレンジ検出器42の電流検出値の増幅に共通して用いられる。これにより、ナロウレンジ検出器41およびワイドレンジ検出器42のそれぞれについて専用の増幅回路を設ける必要がない。
〔実施形態2〕
本発明の実施形態2について、図2および図3に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、本実施形態において、実施形態1における構成要素と同等の機能を有する構成要素については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
図3は、実施形態2に係る系統連系システム12を示すブロック図である。
〈系統連系システム12の構成〉
図3に示すように、系統連系システム12は、前述の実施形態1における系統連系システム11と同様、DC電源2を備えている。また、系統連系システム12は、系統連系システム11における電力変換器3および電流検出器4にそれぞれ代えて、電力変換器3Aおよび電流検出器6を備えている。
電力変換器3Aは、系統連系システム11における電力変換器3と同様の単相二線式の変換器であり、規定の逆電力の状態となったときに出力を停止する機能と、負荷LD1〜LD3の各相間の不平衡度に応じて、出力電流の制御目標値を変更する機能とを有している。電力変換器3Aについては、後に詳しく説明する。
電流検出器6は、受電点における電流(電圧線L1,L2に流れる電流)を検出する検出器であり、前述の実施形態1の系統連系システム11における電流検出器4で用いたワイドレンジ検出器42を用いることができる。
〈電力変換器3Aの構成〉
電力変換器3Aは、電力変換器3と同様、電力変換部31と、逆電力継電器(図3においてRPRと記載)32と、制御部35とを有している。また、電力変換器3Aは、電力変換器3の増幅回路33に代えて、高倍率増幅回路36(第1増幅回路)および低倍率増幅回路37(第2増幅回路)を有している。ここで、低倍率増幅回路37には、前述の電力変換器3における増幅回路33を用いることができる。また、AD変換器34は、前述の電力変換器3におけるAD変換器34と同じにすることができ、高倍率増幅回路36および低倍率増幅回路37のアナログ出力電圧をデジタル値に変換する。
高倍率増幅回路36および低倍率増幅回路37は、電流検出器6から出力されたアナログの電圧をAD変換器34でデジタル値に変換するときの精度を高めるために、アナログ電圧の値をAD変換器34への入力限界まで増幅する(例えば、アナログ電圧の値に対する電流検出器6の検出限界が2.5[V]であり、入力限界値が3[V]である)。また、高倍率増幅回路36および低倍率増幅回路37は、電流検出器6から電圧として出力された電流検出値をそれぞれ異なる増幅率で増幅する。例えば、高倍率増幅回路36は6倍(=3/0.5)の増幅率(第1増幅率)を有し、低倍率増幅回路37は1.2倍(=3/2.5)の増幅率(第2増幅率)を有している。これにより、高倍率増幅回路36は、5[A](=0.5[V])までの電流検出値を増幅し、低倍率増幅回路37は、25[A](=2.5[V])までの電流検出値を増幅する。したがって、低倍率増幅回路37は、高倍率増幅回路36より広範囲の電流検出値を増幅する。
〈系統連系システム12の動作〉
上記のように構成される系統連系システム12による制御目標値Ptの設定動作について説明する。
まず、電圧線L1,L2の受電点に流れる電流が共に小さく、L1相およびL2相の両相において高倍率増幅回路36で増幅された電流が有効であると判定される場合について説明する。この場合、電力変換器3Aにおいて、高倍率増幅回路36および低倍率増幅回路37は、電流検出器6からの電流検出値(L1相の電流値およびL2相の電流値)を増幅する。例えば、電流検出器6からの電流検出値が0.4V(4[A])であった場合、高倍率増幅回路36は、第1増幅レンジ(第1増幅範囲)で、電流検出値を6倍の2.4[V]に増幅する。また、低倍率増幅回路37は、第2増幅レンジ(第2増幅範囲)で、電流検出値を1.2倍の0.48[V]に増幅する。
AD変換器34は、高倍率増幅回路36および低倍率増幅回路37によってそれぞれ増幅された電流検出器6からの電流検出値をデジタル値の電流検出値Id1,Id2に変換して出力する。なお、電流検出値には、実施形態1と同じ符号を使用しているが、ここでは出力元の増幅回路36,37により電流検出値を区別する。
制御部35において、電流判定部351は、電流検出値Id1の大きさが最大値(例では5[A])未満であるときには、電流検出値Id1を第1増幅範囲内の有効な値として採用し、電流検出値Id2を採用しない。電流判定部351は、採用した電流検出値Id1のL1相およびL2相の電流検出値Id1L1,Id1L2を不平衡度算出部353に出力し、その合算値も算出する。不平衡度算出部353は、電流検出値Id1L1,Id1L2と、制御部35が把握する、もしくは別途検出される、電力変換器3AのL1相およびL2相への出力電流値とを用いることにより、不平衡度を算出する。制御指示部354は、不平衡度算出部353からの不平衡度を閾値と比較することにより、不平衡度が閾値未満であると判定すると、制御目標値Pt1を制御目標値Ptとして設定し、当該制御目標値Pt1に基づく制御指示を電力変換部31に与える。一方、制御指示部354は、不平衡度が閾値以上であると判定すると、制御目標値Pt2を制御目標値Ptとして設定し、当該制御目標値Pt2に基づく制御指示を電力変換部31に与える。
電力変換部31は、制御指示部354からの制御指示を受けると、制御目標値Ptと、電流判定部351によって算出された現状の合算値との差が無くなるように、実施形態1と同様にして出力電流を制御する。
続いて、電圧線L1,L2の受電点に流れる電流が共に大きく、L1相およびL2相の両相において低倍率増幅回路37で増幅された電流が有効であると判定される場合について説明する。この場合、検出された電流が高倍率増幅回路36への入力限界値(例えば0.5V)を超え(オーバーレンジ)、入力範囲の最大値が入力される。電力変換器3Aにおいて、高倍率増幅回路36および低倍率増幅回路37は、電流検出器6からの電流検出値を、それぞれの増幅レンジおよび増幅率で増幅する。例えば、電流検出器6からの電流検出値が2[V](20[A])であった場合、高倍率増幅回路36は、電流検出値を出力範囲の最大値である3[V]に増幅し、低倍率増幅回路37は、電流検出値を1.2倍の増幅率で2.4[V]に増幅する。
なお、電流検出器6が0.5[V]〜2.5[V](5[A]〜25[A])を検出するとき、高倍率増幅回路36は最大値である3[V]を出力する。この場合、電流検出値Id1は常に5[A]となる。このような場合、電流判定部351は、電流検出値Id2を有効であると判定する。
AD変換器34は、高倍率増幅回路36および低倍率増幅回路37によってそれぞれ増幅された電流検出器6からの電流検出値をデジタル値の電流検出値Id1,Id2に変換して出力する。
制御部35において、電流判定部351は、電流検出値Id1の大きさが最大値(負の最小値も含む)であるときには、電流検出値Id2の大きさが最大値(例では25[A])未満であれば、電流検出値Id2を第2増幅範囲内の有効な値として採用し、電流検出値Id1を採用しない。電流判定部351は、採用した電流検出値Id2のL1相およびL2相の電流検出値Id2L1,Id2L2を不平衡度算出部353に出力し、その合算値も求める。不平衡度算出部353は、電流検出値Id2L1,Id2L2と、制御部35が把握する、もしくは別途検出される、電力変換器3のL1相およびL2相への出力電流値とを用いることにより、不平衡度を算出する。制御指示部354は、不平衡度算出部353からの不平衡度を閾値と比較することにより、不平衡度が閾値未満であると判定すると、制御目標値Pt1を制御目標値Ptとして設定し、当該制御目標値Pt1に基づく制御指示を電力変換部31に与える。一方、制御指示部354は、不平衡度が閾値以上であると判定すると、制御目標値Pt2を制御目標値Ptとして設定し、当該制御目標値Pt2に基づく制御指示を電力変換部31に与える。
電力変換部31は、制御指示部354からの制御指示を受けると、制御目標値Ptと、電流判定部351によって算出された現状の合算値との差が無くなるように、出力電流を制御する。
なお、電圧線L1,L2の受電点に流れる電流の一方が小さく、高倍率増幅回路36で増幅された電流が有効であると判定され、電圧線L1,L2の受電点に流れる電流の他方が大きく、低倍率増幅回路37で増幅された電流が有効であると判定される場合にも、有効と判定されたそれぞれの電流値を用いて不平衡度を算出し、制御目標値設定と出力電流制御とを、上述の場合と同様に行う。
〈系統連系システム12の効果〉
本実施形態に係る系統連系システム12は、上記のようにして、電力変換器3の出力電流を制御することにより、受電点におけるL1相の電流およびL2相の電流の合算値が逆電力状態とならない。これにより、逆電力継電器32が開状態に動作することを回避できる。
また、制御部35は、L1相の総負荷消費電流とL2相の総負荷消費電流との差が小さくなる、不平衡度が閾値未満であるときに、制御目標値Ptを小さい制御目標値Pt1に設定する。一方、制御部35は、L1相の総負荷消費電流とL2相の総負荷消費電流との差が大きくなる、不平衡度が閾値以上であるときに、制御目標値Ptを制御目標値Pt1より大きい制御目標値Pt2に設定する。換言すれば、電圧線L1,L2に流れる電流が小さい場合(例えば0[A]以上かつ5[A]未満)には、制御目標値Pt1が制御目標値Ptとして設定されやすくなり、電圧線L1,L2に流れる電流が大きい場合(例えば5[A]以上かつ25[A]未満)には、制御目標値Pt1が制御目標値Ptとして設定されやすくなる。
これにより、受電点における電流が、低倍率増幅回路37により低精度に(大きい誤差で)増幅された場合に、制御目標値Ptが大きい誤差を見込んだ大きい制御目標値Pt2に設定される。この場合、商用電力系統1からの買電状態となるように、電力変換器3Aの出力電流が制御される。一方、受電点における電流が、高倍率増幅回路36により高精度に(小さい誤差で)増幅された場合に、制御目標値Ptが小さい誤差を見込んだ制御目標値Pt1に抑えられる。この場合は、電力変換器3の出力電流が小さい制御目標値Pt1に基づいて制御されるので、DC電源2からの電力供給を確保しつつ、商用電力系統1からの買電を抑えることができる。よって、余分な買電を抑えることができる。
また、系統連系システム12は、高倍率増幅回路36および低倍率増幅回路37を備えることによって、系統連系システム11における電流検出器4(ナロウレンジ検出器41およびワイドレンジ検出器42)に代えて簡素化された電流検出器6を採用している。これにより、系統連系システム12は、増幅回路としての構成は複雑となるが、増幅回路よりも高コストの電流検出器6の構成が簡素化されるので、系統連系システム11よりも低コストで構成することができる。
〔実施形態3〕
本発明の実施形態3について、図1〜図4に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、本実施形態において、実施形態1および2における構成要素と同等の機能を有する構成要素については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
〈制御目標値Ptの設定〉
本実施形態では、前述の実施形態1に係る系統連系システム11(図1参照)および実施形態2に係る系統連系システム12(図3参照)における制御目標値Ptの決定の詳細について説明する。
図4は、電力変換器3の出力電流と商用電力系統1に対して売買電した系統電流との相関関係を示す図である。
本実施形態では、図2に示す制御部35の制御指示部354が、前述の閾値を下記のように設定する。
まず、制御部35の電流判定部351によって採用された、受電点におけるL1相およびL2相での電流検出値と、制御部35が把握する、もしくは別途検出される、電力変換器3のL1相およびL2相への出力電流値とから算出した、L1相およびL2相のそれぞれの総負荷電流(消費電流)のうち、大きい方をA[A]とし、小さい方をB[A]とし(0≦B≦A)、電力変換器3の定格出力電流をC[A](L1相およびL2相のそれぞれについてC/2[A])とし、閾値をD[A](0<D<C/2)とする。
[1]0≦A+B≦C(総消費電流が0以上かつC以下)
(1)0≦A−B<D(不平衡度が0以上かつD未満)
制御目標値Pt=Pt1=0[A]
この場合は、図4に示すように、電流のやり取りが行われる。L1相では、電力変換器3(電力変換部31)から(A+B)/2の電流を出力するとき、商用電力系統1から(A−B)/2の電流を買電すること、すなわち、電力変換器出力電流と買電電流との加算により、A[A]が得られる。また、L2相では、電力変換器3から(A+B)/2の電力を出力するとき、商用電力系統1へ(A−B)/2の電流を売電すること、すなわち電力変換器出力電流からの売電電流の減算により、B[A]が得られる。
(2)D≦A−B≦C(不平衡度がD以上かつC以下)
制御目標値Pt=Pt2=C*0.05[A](買電)
0.05:想定される電流検出(電流測定)の誤差の最大値
[2]C<A+B
この場合は、総消費電流が定格出力電流Cを超えるので、電力変換部31が定格出力電流Cを出力しても逆電力とはならないことから、定格出力電流C[A]を出力するように、電力変換部31を制御する。
〈制御目標値Ptの設定による効果〉
総消費電流が0以上かつC以下の場合に、不平衡度が0以上かつ閾値D未満であれば、制御目標値Pt1を0[A]に設定する一方、不平衡度が閾値D以上かつ定格出力電流C以下であれば、制御目標値Pt2をC*0.05[A](買電)に設定する。これにより、図4に示すように、不平衡度が0以上かつ閾値D未満であるとき、受電点におけるL1相およびL2相の売買電流の合算が0となるので、買電をより抑えることができる。また、不平衡度が閾値D以上かつ定格出力C以下であるとき、逆電力を回避するように買電することができる。
〈変形例〉
本実施形態の変形例について説明する。
図5は、電力変換器3の出力電流と商用電力系統1に対して売買電した系統電流との相関関係を示す図である。
本変形例では、閾値Dが以下のように設定される。
D=Dp×2
ここで、Dpは、電流検出レンジ変更閾値を表している。電流検出レンジ変更閾値は、系統連系システム11,12における電流判定部351が採用する電流検出値Id1の範囲(ロウレンジ)と電流検出値Id2の範囲(ハイレンジ)との境界値で表され、電流検出値Id1の範囲の上限値(例えば5[A])で定められる。
前述の制御目標値Pt=0の場合、図5に示すように、0≦(A−B)/2<Dpすなわち0≦A−B<Dを満たしている状態では、電力変換器3からの(A+B)/2の出力電流に対して、商用電力系統1からの(A−B)/2の電流の売買電により、A[A]およびB[A]を得ながら、売買電の電流が相殺される。
また、(A−B)/2が電流検出レンジ変更閾値Dp以上となる瞬間、Dp=(A−B)/2すなわち2Dp=A−Bとなる瞬間、電流検出レンジがロウレンジからハイレンジに変更される。したがって、D=Dp×2と定めることにより、電流検出レンジの変更時に前述の(2)D≦A−B≦Cの場合に切り替わり、制御目標値Pt(Pt2)が買電となるように変更される。これにより、電流検出レンジを変更するタイミングと、制御目標値Ptを変更するタイミングとが同期する。
前述の実施形態3の構成では、電流検出レンジが変更された時点(電流検出値Id1が電流検出レンジ変更閾値Dpを超えた時点)で、制御部35は、電流検出値Id1より精度の落ちる電流検出値Id2に切り替えて合算電流を算出する。このため、制御部35が、受電点の合算電流が0[A](制御目標値Pt=0[A])となるように電力変換部31を制御しようとしても、実際には売電(逆潮流)の状態になっているという可能性がある。
これに対し、電流検出レンジを変更するタイミングと、制御目標値Ptを変更するタイミングとを同期させることにより、同期したタイミングで制御目標値Ptを0から買電状態となる値に変更する。これにより、精度の低い電流検出値Id2を用いて合算電流を算出しても、制御目標値Ptが電流検出値Id2に合わせて変更されるので、逆潮流をより確実に回避することができる。
〔実施形態4〕
本発明の実施形態4について、図1〜図3および図6に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、本実施形態において、実施形態1〜3における構成要素と同等の機能を有する構成要素については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
〈制御目標値Ptの設定〉
本実施形態では、前述の実施形態1に係る系統連系システム11(図1参照)および実施形態2に係る系統連系システム12(図3参照)における制御目標値Ptの決定の詳細について説明する。
図6は、電力変換器3の出力電流と商用電力系統1に対して売買電した系統電流との相関関係を示す図である。
本実施形態では、図2に示す制御部35の制御指示部354が、前述の閾値を下記のように設定する。
まず、前述の実施形態3と同様、L1相およびL2相のそれぞれの総負荷電流(消費電流)のうち、大きい方をA[A]とし、小さい方をB[A]とし(0≦B≦A)、電力変換器3の定格出力電流をC[A](L1相およびL2相のそれぞれについてC/2[A])とし、閾値をD[A](0<D<C/2)とする。また、閾値DをD=Dp×2とする。
[1]0≦A+B≦C(総消費電流が0以上かつC以下)
(1)0≦A−B<D(不平衡度が0以上かつD未満)
制御目標値Pt=Pt1=0[A]
(2)D≦A−B≦C(不平衡度がD以上かつC以下)
制御目標値Pt=Pt2=(A−B)*Er[A](買電)
Er:想定される電流検出(電流測定)の誤差(0.02〜0.05の範囲)
この場合は、図6に示すように、電流のやり取りが行われる。L1相では、電力変換器3(電力変換部31)から(A+B)/2−(A−B)*Er/2の電流を出力するとき、商用電力系統1から(A−B)/2+(A−B)*Er/2の電流を買電することにより、A[A]が得られる。また、L2相では、電力変換器3から(A+B)/2−(A−B)*Er/2の電力を出力するとき、商用電力系統1へ(A−B)/2−(A−B)*Er/2の電流を売電することにより、B[A]が得られる。このように、制御目標値Ptを(A−B)*Er[A]に設定することにより、L1相およびL2相について、電力変換器3の出力電流のいずれもが、(A−B)*Er/2を減じられた値となる。また、L1相について、(A−B)*Er/2の買電が増加する一方、L2相について、(A−B)*Er/2の売電が減少する。
[2]C<A+B
この場合は、総消費電流が定格出力電流Cを超えるので、電力変換部31が定格出力電流Cを出力しても逆電力とはならないので、定格出力電流C[A]を出力するように、電力変換部31を制御する。
〈制御目標値Ptの設定による効果〉
総消費電流が0以上かつC以下の場合に、不平衡度が0以上かつ閾値D未満であれば、制御目標値Pt1を0[A]に設定する一方、不平衡度が閾値D以上かつ定格出力電流C以下であれば、制御目標値Pt2を(A−B)*Er[A](買電)に設定する。これにより、不平衡度が閾値D以上かつ定格出力電流C以下であるとき、逆電力を回避するように買電することができる。詳しくは、L1相およびL2相ともに、売買電流が(A−B)/2に対して(A−B)*Er/2の誤差成分を含んでいるとき、ワーストケースで、L1相では、(A−B)/2−(A−B)*Er/2しか買電していないのに対し、L2相では、(A−B)/2+(A−B)*Er/2を売電してしまっている可能性があり、その場合、売買電流の合算値を0に制御しているつもりでも、2相の売買電流を合算した結果の(A−B)*Erを売電していることになる。そこで、制御目標値Pt2に当該値を設定することにより、負荷電流A,Bを得ながら逆電力を回避することができる。
〈変形例〉
本実施形態の変形例について説明する。
本変形例では、補助閾値E(D<E<C)および係数α(0<α<1)を導入することにより、0≦A+B≦C(総消費電流が0以上かつC以下)の場合の制御目標値Ptが以下のように設定される。
(1)0≦A−B<D(不平衡度が0以上かつD未満)
制御目標値Pt=Pt1=0[A]
(2)D≦A−B<E(不平衡度がD以上かつE未満)
制御目標値Pt=Pt2(第2制御目標値)=(A−B)*Er*α[A](買電)
(3)E≦A−B≦C(不平衡度がE以上かつC以下)
制御目標値Pt=Pt2(第1制御目標値)=(A−B)*Er[A](買電)
このように、補助閾値Eを導入することで、不平衡度がD以上かつE未満である場合には、誤差Er自体が小さくなるため、誤差Erに対して1より小さい係数αを乗じている。これにより、誤差Erが小さくなる範囲で、より買電量を減らすことができる。
〔実施形態5〕
本発明の実施形態5について、図2、図4および図7に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、本実施形態において、実施形態2における構成要素と同等の機能を有する構成要素については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
図7は、実施形態5に係る系統連系システム13を示すブロック図である。
〈系統連系システム13の構成〉
図7に示すように、系統連系システム13は、前述の実施形態2における系統連系システム12と同様、DC電源2と、電力変換器3Aと、電流検出器6とを備えている。また、系統連系システム13は、余剰電力吸収機器7をさらに備えている。
余剰電力吸収機器7は、L1相およびL2相のいずれか一方の余剰電力を吸収する機器であり、補機蓄電池、調整負荷等によって構成されている。余剰電力吸収機器7と電圧線L1,L2および中性線Nとを接続する電力線のうち、余剰電力吸収機器7と電圧線L1,L2とを接続する電力線には、それぞれスイッチSW1,SW2が設けられている。
本実施形態において、制御部35は、他の実施形態と異なり、次のように構成されている。
制御部35は、受電点におけるL1相およびL2相の総消費電流が電力変換器3の定格出力電流以下である場合、制御目標値Pt1を0[A]として電力変換部31を制御する。また、制御部35は、この場合、不平衡度が閾値D以上であるときに、図2に示す電流判定部351によって採用された電流に基づいて、L1相およびL2相のうち、逆電力となっている方に余剰電力吸収機器7を接続するようにスイッチSW1,SW2の開閉を制御する。
また、制御部35は、上記の総消費電流が電力変換器3の定格出力電流より大きい場合、電力変換器3が定格出力電流を出力するように、電力変換部31を制御する。
〈制御目標値Ptの設定〉
前述の実施形態3と同様、L1相およびL2相のそれぞれの総負荷電流(消費電流)のうち、大きい方をA[A]とし、小さい方をB[A]とし(0≦B≦A)、電力変換器3の定格出力電流をC[A](L1相およびL2相のそれぞれについてC/2[A])とし、閾値をD[A](0<D<C/2)とする。
[1]0≦A+B≦C(総消費電流が0以上かつC以下)
(1)0≦A−B<D(不平衡度が0以上かつD未満)
制御目標値Pt=Pt1=0[A]
(2)D≦A−B≦C(不平衡度がD以上かつC以下)
制御目標値Pt=Pt2=0[A](ここでは、Pt1=Pt2)
(1),(2)の場合は、実施形態3における0≦A−B<Dの場合と同様、図4に示すように、電流のやり取りが行われる。L1相では、電力変換器3から(A+B)/2の電流を出力するとき、商用電力系統1から(A−B)/2の電流を買電することにより、A[A]が得られる。また、L2相では、電力変換器3から(A+B)/2の電流を出力するとき、商用電力系統1方向へ(A−B)/2の電流を流すことにより、B[A]が得られる。
[2]C<A+B
この場合は、定格出力電力C[A]を出力するように、電力変換部31を制御する。
〈系統連系システム13の効果〉
系統連系システム13は、上記のように、負荷の各相間の不平衡度が大きい場合にも、受電点における合算電流が0[A]となるように、制御目標値Pt2を0[A]に設定する。電流検出の誤差による余剰電力が発生しても、その余剰電力を余剰電力吸収機器7によって吸収するので、逆潮流を回避することができる。したがって、電流検出の誤差に依らず、逆電力による逆電力継電器32の動作をさせないようにして、買電電力をさらに減らすことができる。
なお、本実施形態に係る系統連系システム13は、基本的には、実施形態2に係る系統連系システム12と同等の構成を備えているが、実施形態1に係る系統連系システム11に適用してもよい。
〔実施形態6〕
本発明の実施形態5について、図2および図8〜図10に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、本実施形態において、実施形態2および3における構成要素と同等の機能を有する構成要素については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
図8は、実施形態5に係る系統連系システム14を示すブロック図である。
〈系統連系システム14の構成〉
図8に示すように、系統連系システム14は商用電力系統1Aと連系して運転される。また、系統連系システム14は、前述の実施形態2における系統連系システム12と同様、DC電源2を備えている。さらに、系統連系システム14は、系統連系システム12における電力変換器3Aおよび電流検出器6にそれぞれ代えて、電力変換器3Bおよび電流検出器6Aを備えている。
商用電力系統1Aは、三相三線式(交流200V)であり、受電点に三相交流電力を供給している。具体的には、商用電力系統1Aは、電圧線Uと接地点との間(U相)、電圧線Vと接地点との間(V相)、および電圧線Wと接地点との間(W相)に、それぞれAC200Vの交流電圧を印加する。例えば、U相には負荷LD11が接続され、V相には負荷LD12が接続され、W相には負荷LD13が接続されている。また、三相交流電力を消費する負荷LD14は、電圧線U,V,Wに接続されている。
電力変換器3Bは、三相三線式の変換器であり、逆電力の状態となったときに出力を停止する機能と、U相、V相およびW相の間での負荷消費電流の偏りを表す不平衡度に応じて、出力の制御目標値を変更する機能とを有している。電力変換器3Bは、系統連系システム12における電力変換器3Aが有する二線式の電力変換部31および逆電力継電器32にそれぞれ代えて、三線式の電力変換部38および逆電力継電器39をそれぞれ有している。電力変換部38および逆電力継電器39は、それぞれ三相交流電力を扱うが、基本的には、電力変換部31および逆電力継電器32と同等の機能を有する。
また、電力変換器3Bは、系統連系システム12における電力変換器3Aと同様、高倍率増幅回路36と、低倍率増幅回路37と、AD変換器34と、制御部35とを有している。本実施形態における高倍率増幅回路36、低倍率増幅回路37、AD変換器34および制御部35は、実施形態2で単相交流電力を扱うのと異なって三相交流電力を扱うが、それぞれが基本的には実施形態2における機能と同等の機能を有する。
電流検出器6Aは、電圧線U,V,Wの受電点での電流を検出することが、系統連系システム12における二線式の電流検出器6と異なるが、基本的には電流検出器6と同等の電流検出の機能を有している。
〈制御目標値Ptの設定〉
図9は、電力変換器3Bの出力電力と商用電力系統1Aに対して売買電した系統電力との相関関係を示す図である。
本実施形態では、図2に示す制御部35の制御指示部354が、前述の閾値を下記のように設定する。
まず、制御部35の電流判定部351によって採用された、受電点におけるU相、V相およびW相のそれぞれの電流検出値と、制御部35が把握する、もしくは別途検出される、電力変換器3BのU相、V相およびW相への出力電流値とから算出した、U相、V相およびW相のそれぞれの総負荷電流(消費電流)をU[A],V[A],W[A]とし(ここでは0≦U≦V≦Wの場合について説明する)、電力変換器3Bの定格出力電力をC[A](U相、V相およびW相のそれぞれについてC/3[A])とし、閾値をD[A](0<D<C/3)とする。また、閾値DをD=Dp×3とする。
[1]0≦U+V+W≦C(総消費電流が0以上かつC以下)
《1》0≦V<(U+W)/2…(⇔V−W<U−V)
(1)0≦2U−V−W<D(2U−V−Wが0以上かつD未満)
制御目標値Pt=Pt1=0[A]
(2)D≦2U−V−W≦C(2U−V−WがD以上かつC以下)
制御目標値Pt=Pt2=2(2U−V−W)/3*Er[A](買電)
《2》(U+W)/2≦V…(⇔U−V≦V−W)
(1)0≦U+V−2W<D(U+V−2Wが0以上かつD未満)
制御目標値Pt=Pt1=0[A]
(2)D≦U+V−2W≦C(U+V−2WがD以上かつC以下)
制御目標値Pt=Pt2=2(U+V−2W)/3*Er[A](買電)
上記の《1》(1)または《2》(1)の場合は、図9に示すように、電流のやり取りが行われる。U相では、電力変換器3B(電力変換部38)から(U+V+W)/3の電流を出力するとき、商用電力系統1Aから(2U−V−W)/3の電流を買電することにより、U[A]が得られる。また、W相では、電力変換器3Bから(U+V+W)/3の電流を出力するとき、商用電力系統1Aへ(U+V−2W)/3の電流を売電することにより、W[A]が得られる。
V相では、電力変換器3から(U+V+W)/3の電流を出力するとき、《1》の場合(U+W−2V>0)は、商用電力系統1Aへ(U+W−2V)/3の電流を売電することにより、V[A]が得られる。また、《2》の場合(U+W−2V≦0)は、商用電力系統1Aから(2V−U−W)/3の電流を買電することにより、V[A]が得られる。
上記の《1》(2)または《2》(2)の場合は、図10に示すように、電流のやり取りが行われる。受電点での制御目標値Ptを(U−W+|U+W−2V|/3)*Er[A]の買電とすることで、電力変換器3Bからの出力電流は、U相、V相およびW相で、ともに(U−W+|U+W−2V|/3)*Er/3だけ減る。一方、系統電流は、買電(U−W+|U+W−2V|/3)*Er/3の買電増加となり、売電(U−W+|U+W−2V|/3)*Er/3の売電減少となる。
[2]C<U+V+W
この場合は、総消費電流が定格出力電流Cを超えるので、電力変換部38が定格出力電流Cを出力しても逆電力とはならないことから、定格出力電流C[A]を出力するように、電力変換部38を制御する。
〈系統連系システム14の効果〉
本実施形態に係る系統連系システム14は、三相三線式の商用電力系統1Aに適用されるが、基本的には、実施形態2に係る系統連系システム12と同等の構成を備えているので、系統連系システム12により得られると同等の効果が得られることは勿論である。しかも、系統連系システム14は、実施形態1、3〜5の構成に適用してもよいので、それぞれの実施形態により得られる効果と同等の効果を得ることも可能である。
また、図9において右側に示される(2U−V−W)/3、|U+W−2V|/3および(U+V−2W)/3が電流検出レンジ変更閾値Dpを超えたとき、電流検出レンジがロウレンジからハイレンジに変更される。例えば、前述の0≦V<(U+W)/2の場合、3相において(2U−V−W)/3が最大となるので、Dp≦(2U−V−W)/3を満たすと、U相で上記の電流検出レンジの変更が生じる。また、前述の(U+W)/2≦Vの場合、3相において(U+V−2W)/3が最大となるので、Dp≦(U+V−2W)/3を満たすと、W相で上記の電流検出レンジの変更が生じる。したがって、D=Dp×3と定めることにより、電流検出レンジの変更時に前述の[1]《1》(2)の場合および[1]《2》(2)の場合に切り替わり、制御目標値Pt(Pt2)が買電となるように変更される。これにより、実施形態3の変形例と同等の効果が得られる。
また、図9において右側に示される(2U−V−W)/3、|U+W−2V|/3および(U+V−2W)/3に対して、電流検出誤差として、それぞれ(2U−V−W)/3*Er、|U+W−2V|/3*Er、および(U+V−2W)/3*Erが生じる。このため、制御目標値Ptを0[A]すると、ワーストケースでは、3つの電流検出誤差の合計(U−W+|U+W−2V|/3)*Erの売電(逆潮流)が生じる可能性がある。
そこで、[1]《1》(2)の場合、および[1]《2》(2)の場合には、受電点における合算電流を(U−W+|U+W−2V|/3)*Erの買電として制御する。ちなみに、この合算電流の値は、U,V,Wの大小関係により、前述の[1]《1》(2)の場合および[1]《2》(2)の場合のように表される。
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る電力変換器は、直流電力源(DC電源2)から出力された直流電力を交流電力に変換し、商用電力系統1,1Aから商用電力を供給される三線の配線(電圧線L1,L2,中性線N,電圧線U,V,W)に接続された負荷LD1〜LD3,LD11〜LD14に対して、前記商用電力系統1,1Aと連系して交流電力を供給するように、受電点における交流電流を制御する電力変換部31,38と、逆電力の発生時に前記電力変換部31,38からの出力を停止する逆電力継電器32,39、を動作させないように、前記配線と接地点との間に形成される各相の負荷電流の不平衡の度合いを表す不平衡度が所定の閾値D未満であるときと、前記不平衡度が前記閾値D以上であるときとで、前記電力変換部31,38が供給する交流電力を制御するための、前記受電点における交流電流の異なる目標となる制御目標値Ptを設定し、当該制御目標値Ptに基づいて動作するように前記電力変換部31,38に指示する制御部35とを備えている。
上記の構成によれば、不平衡度が、閾値D未満であるときと閾値D以上であるときとで制御目標値Ptを異ならせる。これにより、負荷電流の検出誤差が小さくなる不平衡度が小さい範囲で制御目標値Ptを小さく設定し、負荷電流の検出誤差が大きくなる不平衡度が大きい範囲で制御目標値Ptを大きく設定するといったことが可能となる。したがって、不平衡度が小さい範囲で、直流電力源からの電力供給を確保しつつ、商用電力系統1,1Aからの買電を抑えることができる。
本発明の態様2に係る電力変換器は、上記態様1において、第1電流検出器(ナロウレンジ検出器41)が前記受電点での電流を所定の第1検出範囲で検出した第1検出値、および第2電流検出器(ワイドレンジ検出器42)が前記受電点での電流を前記第1検出範囲より上限値が高い第2検出範囲で検出した第2検出値を増幅する増幅回路33をさらに備え、前記制御部35が、前記増幅回路33によって増幅された前記第1検出値および前記第2検出値のうち、いずれが有効であるかを判定し、有効であると判定された前記第1検出値または前記第2検出値に基づいて前記不平衡度を算出してもよい。
上記の構成において、第1検出値および第2検出値が共通する増幅回路33で増幅されても、それぞれの検出値がオーバーレンジであるか否かといったことに基づいて有効である否かを判定すれば、専用の増幅回路を用いる必要がない。
本発明の態様3に係る電力変換器は、上記態様1において、電流検出器が前記受電点での電流を検出した検出値を所定の第1増幅率で増幅する第1増幅回路(高倍率増幅回路36)と、前記第1増幅回路より広範囲の前記検出値を第2増幅率で増幅する第2増幅回路(低倍率増幅回路37)とをさらに備え、前記制御部35が、前記第1増幅回路および前記第2増幅回路によって増幅された前記検出値のうち、いずれが有効であるかを判定し(電流判定部351)、有効であると判定された前記検出値に基づいて前記不平衡度を算出してもよい。
上記の構成において、検出値が異なる第1増幅回路および第2増幅回路で増幅されても、第1増幅回路の増幅出力値がオーバーレンジであるか否かといったことに基づいて有効である否かを判定すれば、第1増幅回路および第2増幅回路に応じた専用の電流検出器を用いる必要がない。
本発明の態様4に係る電力変換器は、上記態様1から3のいずれかにおいて、前記制御部35が、前記負荷電流の合算値が前記電力変換部31,38の定格出力電流以下である場合、前記不平衡度が前記閾値D未満であるときに前記制御目標値Ptを0に設定する一方、前記不平衡度が前記閾値D以上であるときに前記制御目標値Ptを、前記商用電力系統1,1Aから買電する値に設定し、前記負荷電流の合算値が前記定格出力電流より大きい場合、前記定格出力電流を出力するように前記電力変換部31,38に制御指示を与えてもよい。
上記の構成によれば、不平衡度が閾値D未満であるときに制御目標値を0に設定することで、商用電力系統1,1Aからの買電をより抑えることができる。
本発明の態様5に係る電力変換器は、上記態様4において、前記閾値Dは、前記受電点で検出される電流の異なる検出範囲の境界値に基づいて定められていてもよい。
上記の構成によれば、閾値Dが境界値に基づいて定められるので、電流の検出範囲が変わるタイミングと制御目標値Ptを変更するタイミングとを関連付けることができ、望ましくは同期させることができる。これにより、精度の低い検出範囲で検出された電流に基づく不平衡度によって大きい制御目標値Ptを設定し、検出精度の高い検出範囲で検出された電流に基づく不平衡度によって小さい制御目標値Ptを設定するといったことが可能となる。したがって、逆潮流をより確実に回避しつつ、買電量を減らすことができる。
本発明の態様6に係る電力変換器は、上記態様1から5のいずれかにおいて、前記商用電力系統1が単相三線式であり、前記不平衡度が各相の負荷電流の差であり、前記制御部35が、前記負荷電流の合算値が前記電力変換部31,38の定格出力電流以下である場合、前記不平衡度が前記閾値D以上であるときに、前記商用電力系統1から買電するように前記制御目標値Ptを設定してもよい。
上記の構成によれば、不平衡度が、各相の負荷電流の差によって定められるので、負荷電流の差が大きくなるとき、すなわち各相の受電点電流の検出誤差が大きくなるときに、制御目標値Ptが買電するように設定される。これにより、逆潮流をより確実に回避しつつ、買電量を減らすことができる。
本発明の態様7に係る電力変換器は、上記態様6において、前記制御部35が、前記不平衡度が前記閾値D以上であるときに、前記不平衡度が前記閾値Dより大きい補助閾値E以上の範囲で、前記制御目標値Ptとして第1制御目標値を設定し、前記不平衡度が前記補助閾値E未満の範囲で、前記制御目標値Ptとして前記第1制御目標値より小さい第2制御目標値を設定してもよい。
上記の構成によれば、不平衡度が前記閾値D以上である補助閾値E未満の範囲では、受電点での電流の検出における誤差が小さくなるので、それに応じて、制御目標値Ptを小さい第2制御目標値に設定することができる。これにより、買電量をさらに減らすことができる。
本発明の態様8に係る電力変換器は、直流電力源(DC電源2)から出力された直流電力を交流電力に変換し、商用電力系統1,1Aから商用電力を供給される三線の配線(電圧線L1,L2,中性線N,電圧線U,V,W)に接続された負荷LD1〜LD3,LD11〜LD14に対して、前記商用電力系統1,1Aと連系して交流電力を供給するように、受電点における交流電流を制御する電力変換部31,38と、逆電力の発生時に前記電力変換部31,38からの出力を停止する逆電力継電器32,39、を動作させないように、前記配線と接地点との間に形成される各相の負荷電流の合算値が前記電力変換部31,38の定格出力電流以下である場合、前記電力変換部31,38が供給する交流電力を制御するための、前記受電点における制御目標値Ptを0に設定し、当該制御目標値Ptに基づいて動作するように前記電力変換部31,38に指示する一方、さらに各相の前記負荷電流の不平衡の度合いを表す不平衡度が所定の閾値以上であるとき、前記負荷電流が小さい相の前記配線に余剰電力を吸収する余剰電力吸収機器7を接続する制御部35とを備えている。
上記の構成によれば、負荷電流の合算値が前記電力変換部31,38の定格出力電流以下である場合に制御目標値Ptを0に設定していても、電流検出の誤差による余剰電力が発生すると、その余剰電力を余剰電力吸収機器7によって吸収する。これにより、逆潮流を回避することができる。したがって、電流検出の誤差に依らず、逆電力による逆電力継電器32,39の動作をさせないようにして、買電電力を減らすことができる。
本発明の態様9に係る電力変換器は、上記態様1、2、3、4、5または8のいずれかにおいて、前記商用電力系統1Aおよび前記電力変換部38は三相三線式であってもよい。
上記の構成によれば、三相三線式の商用電力系統1Aに対応して、買電を抑えながら、逆電力継電器の動作をさせないように電力変換部を制御することができる。
本発明の態様10に係る系統連系システムは、上記態様1から9のいずれかの電力変換器と、前記直流電力源とを備えている。
上記の構成によれば、系統連系システムにおいて、買電を抑えながら、逆電力継電器の動作をさせないように電力変換部を制御することができる。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。