実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係るエネルギー使用量可視化装置の構成図である。図1に示すように、エネルギー使用量可視化装置は、エネルギー使用量取得部1と、生産設備情報取得部2と、装置関係情報取得部3と、グラフ作成部4と、並列表示部5と、スケール調整部6とから構成される。
エネルギー使用量取得部1は、製造ラインに配置された各装置から、例えば、それらの装置に設けられたエネルギー使用量を計測する計測器またはセンサ等から、装置毎のエネルギー使用量を取得する。あるいは、生産設備を制御および管理している制御装置から、装置毎のエネルギー使用量を取得するようにしてもよい。
生産設備情報取得部2は、生産設備を制御および管理している制御装置から、装置毎の生産数や、装置毎の製品生産/非生産の状態情報、生産時間、製造機種などの、生産状態情報を取得する。製品生産/非生産の状態情報とは、具体的には、装置の状態:稼働(製品製造中)・準備(装置製造のための準備状態)・待機(電源は投入されているが稼働はしていない状態)・アイドル(稼働状態だが製品製造はしていない状態)・前工程待ち(前工程から製品が流れてこない上体)・後工程待ち(後工程が止まっているため、製造した製品を送れない状態)・段取り換え(機種の交換作業)・チョコ停(装置トラブルや材料不足により装置が停止している状態)や、状態が変わった時間、回数等をさす。生産時間は装置に材料が投入されてから処理を終えるまでの時間や、製造完了時刻・材料投入時刻をさす。
装置関係情報取得部3は、生産設備を制御および管理している制御装置から、製造ラインの各装置の配置や、各装置間の接続情報・隣接関係、製造工程順序等の装置関係情報を取得する。このような装置関係情報を管理する装置がなければ、人手で入力・設定してもよい。
グラフ作成部4は、エネルギー使用量取得部1と生産設備情報取得部2からの情報に基づいて、装置毎のエネルギー使用量と生産状態情報との関係を表すグラフを作成する。
並列表示部5は、グラフ作成部4で作成されたグラフを、その時刻と装置関係情報取得部3から得られる情報とに基づいて、時間軸および生産の流れに沿って並べて表示する。
スケール調整部6は、グラフ作成部4で作成されたグラフのスケールを調整し、スケール調整後のグラフを並列表示部5に入力する。
本実施の形態においては、グラフ作成部4により、エネルギーを“量(=時間の長さ×大きさ)”として視覚的に捉えて、エネルギーが、いつ・何の要因(製品生産と非生産に分かれていること)に使われたかを表示することができる。
また、スケール調整部6により、グラフ作成部4で作成したグラフのスケールを調整することができるため、個々の装置のエネルギー消費の絶対量は異なっているが、絶対値表示ではなく、相対値表示を用いることで、生産順調時には、装置毎のグラフが生産工程順に似た傾向を示すため、生産工程が順調であるか否かを確認することができる。
また、並列表示部5により、生産工程順に似た傾向を示すグラフを並べて表示することで、異常な箇所=他と異なっているところを容易に把握することが可能となる。また、1つずつのグラフがその要因も表しているため、要因が一見して判明する。
本実施の形態に係るエネルギー使用量可視化装置は、上記構成により、エネルギー使用量取得部1と生産設備情報取得部2から得られるデータを用いて、装置毎のエネルギー使用量と生産状態情報との関係を表すグラフをグラフ作成部4で作成し、グラフ作成部4で作成したグラフを装置関係情報取得部3から得られる装置の配置情報に従って並列表示部5で並べることで、いつ・どこでエネルギー使用の無駄が発生しているのかを把握できると共に、生産状態情報に基づいたエネルギー使用の内訳を可視化することでエネルギー使用の無駄の発生要因も特定でき、製造ラインの生産の流れに沿って傾向を分析することが可能となる。
図2は、グラフ作成部4で作成した、生産状態情報に関連づけられたエネルギー使用量グラフの一例である。図2のグラフでは、エネルギー使用量として、電力消費量を例に挙げている。図2において、201は、グラフ作成部4で作成したグラフのうち、装置の電力消費量の内訳として、製品生産に使われた電力消費量を表示したグラフ、202は、グラフ作成部4で作成したグラフのうち、装置の電力消費量の内訳として、製品生産に使われた電力消費量を機種別やベース電力で表示したグラフ、203は、グラフ作成部4で作成したグラフのうち、装置の電力消費量の内訳として、停止要因別に停止時に使われた電力消費量を表示したグラフ、204は、グラフ作成部4で作成したグラフのうち、装置の電力消費量の内訳として、停止要因別に停止時に使われた電力消費量を電力×時間で表示したグラフである。以下に詳細に説明する。
グラフ201は、ある装置の総電力消費量と、そのうちの製品生産に用いられた電力消費量とを重ねたグラフである。このようなグラフを作成すると、ある装置で消費した全エネルギー使用量の用途別の内訳を面積的に視覚的にとらえることができる。グラフ201では、ある装置で消費したエネルギー使用量の内訳を、製品生産に用いられたエネルギー使用量(灰色塗りつぶし部分)とそれ以外の用途(アイドル時の待機電力等)に用いられたエネルギーとに分けて表示している。
グラフ作成部4では、エネルギー使用量取得部1から、装置の時間毎の電力消費量を取得し、生産設備情報取得部2から、装置の時間毎の生産個数と製品1個の製造にかかる消費電力量(製品原単位)とを取得する。なお、製品原単位にはばらつきがあるが、製品1個の製造にかかった消費電力量の最小値を用いると最も効率よく生産できたときとの比較になるため製品生産以外に用いられたエネルギー量=ムダ量を顕著に把握できる。また、製品原単位として、製品1個の製造にかかった消費電力量の平均値を用いると、標準的な生産時を想定したムダ量の把握が可能となる。
製品原単位は、あらかじめ設備等に設定されている標準の値や過去の最小値・平均値を生産設備情報取得部2から取得してもよいし、電力消費量と生産個数から演算して求めてもよい。電力消費量と生産個数から求める場合には、エネルギー使用量取得部1から装置の時間毎の消費電力量を取得し、生産設備情報取得部2から装置の時間毎の生産個数を取得し、最も生産数の多い時間帯の電力消費量を同じ時間帯の生産個数で割った値を製品原単位とする。
なお、製品原単位を計算せずに、スケール調整部6により、消費電力量と生産個数のみを用いて、エネルギー使用量の内訳を示すグラフを作成することも可能である。グラフの第1軸に電力消費量、第2軸に製品生産数をとり、第1軸の最大値を各時間帯の電力消費量の最大値、第2軸の最大値を各時間帯の製品生産数の最大値とする。第1軸と第2軸の最大値の高さをそろえて表示することで、製品原単位を計算した場合と同様のグラフを作成することが可能である。もしくは、第1軸(電力消費量)の最大値を第2軸(生産数)が最大値となる時間帯の電力消費量としてもよい。このように製品原単位を計算せずとも製品源単位を求めた場合と同様の表示になるのは、装置の消費エネルギーは製品生産に用いられるのが主目的であるから、製品生産数が最大のときに装置の電力消費量も最大になる傾向があるためである。基板製造ラインに用いられるリフロー炉のように、熱を用いる装置等は装置の熱発生に最もエネルギーを使うため、エネルギー消費量が準備時に最大となる装置もある。このような装置の場合は、スケール調整部6で、第1軸(電力消費量)の最大値を第2軸(生産数)が最大値となる時間帯の電力消費量とする。
グラフ202は、製品生産に用いられた電力消費量の内訳をベース電力消費量や機種別(機種A,Bごと)に表示した例である。ベース電力消費量や機種別の製品原単位は、生産設備情報取得部2から取得する。
製品生産に用いられた電力消費量の内訳を表示すると、機種Aの生産時より機種Bの生産時の方が製品生産以外に用いられたエネルギー使用量が少ないので、機種Bのエネルギー効率がよいことがわかる。このため、機種Aと機種Bの生産効率が同じだったとしても、エネルギー効率は機種Bの方がよいため、機種Bより機種A生産時の生産性改善活動を優先する方がエネルギー効率的に有効であることがわかる。
また、ベース電力消費量の割合が小さい装置は、製品生産数に応じて電力消費量が変動するため、生産効率が低く、稼働時間が長くなっても、エネルギーロス率が小さいが、ベース電力消費量の割合が大きい装置は、生産効率に関係なく、稼働時間に応じて、ベース電力を消費してしまう。このため、ベース電力消費量の割合を視覚化することで、ベース電力消費量の割合の大きい装置の生産効率を高く・稼働時間を短くするように生産することがエネルギー効率的に有効であることが把握できるようになる。
グラフ203は、装置停止時の電力消費量の内訳を装置の状態別に表示した例である。装置の状態別のエネルギー使用量は、生産設備情報取得部2から取得する。装置の状態は、例えば、稼働(製品製造中)・待機(電源は投入されているが稼働はしていない状態)・アイドル(稼働状態だが製品製造はしていない状態)・前工程待ち(前工程から製品が流れてこない上体)・後工程待ち(後工程が止まっているため、製造した製品を送れない状態)・段取り換え(機種の交換作業)・チョコ停(装置トラブルや材料不足により装置が停止している状態)等である。
グラフ203では、製品生産に使われた電力消費量の上に、製品生産以外に用いられた電力消費量が積み重なっているが、装置の全電力消費量と製品生産以外に用いられた電力消費量のみのグラフでもよい。この場合、全電力消費量と製品生産以外に用いられた電力消費量との差分が、製品生産に用いられた電力消費量となる。このように、エネルギー消費の内訳は、積み重なりの順序を自由に入れ替えられるようにしてもよい。
グラフ203では、装置の状態、特に停止の要因別に電力消費の内訳を表示したが、さらにチョコ停時の要因別や、チョコ停時間の内訳(チョコ停発生から人が来るまでの時間=アラーム鳴り始めからアラームを人手で停止する時刻までの時間、人が来てから対応が終わるまでの時間=アラーム停止時刻から再稼働時刻までの時間)に消費したエネルギー使用量をグラフ表示してもよい。
製品生産以外に用いられた電力消費量を少なくすることはエネルギーの無駄を減らし、エネルギー利用効率を上げることであるため、その内訳(要因と消費量)が分かることにより、どこを対策すれば、どのくらい無駄が減らせる余地があるかということがわかるようになる。例えば、前工程待ち時の消費電力量が大きい装置は、その装置自身の対策より前工程の対策を行うことでエネルギー無駄が少なくなることがわかる。チョコ停を引き起こす要因は多数存在するため、ロスの大きいものから順に対策することが有効であり、チョコ停発生要因別にロスの大きさを把握することはチョコ停対策の優先順位をつけるのに役立つ。さらに、チョコ停発生から人が来るまでの時間と人が来てから対応が終わるまでの時間のエネルギーロス量を比較することにより、チョコ停発生時の対応方法について、チョコ停発生から人が来るまでの時間の長さに応じて人員配置を工夫し、チョコ停発生時の停止時間を短くする等の対応をとることが可能となる。例えば、チョコ停発生時のロスが大きく、かつ、チョコ停発生から人が来るまでのエネルギーロスが大きい装置では、その装置の近くに準備作業場所を設けることで異常発生時にすぐ対応が取れるようにする、もしくは、その装置が停止した際にはラインや装置の主担当者に関わらず複数対応員に連絡が行くようにする等の対応をとることにより、チョコ停発生時のロスを小さくすることが可能となる。要因別にエネルギーロス量を表示することで、さらに、対策の効果確認も視覚的に行えるようになる。対策後にチョコ停発生時のロス量が減っていたとしても、チョコ停発生回数が少なかったのか、対策効果があったのかの区別がつかないが、チョコ停発生ロスに対してチョコ停発生から人が来るまでのロスの比が視覚化されることで、対策効果の有無が明示的に示される。
なお、グラフ202とグラフ203の両方を表示するグラフを作成してもよい。このようなグラフ表示によると、機種Aの生産時にはチョコ停と前工程待ちによるエネルギーロスが多いことがわかり、機種Bの生産時には後工程待ちによるエネルギーロスが多いことがわかる。
グラフ204は、グラフ203のエネルギー消費の内訳の表示を変更した例である。電力消費の実態を「単位時間あたりの電力消費量の大きさ×時間の長さ」で把握することができるため、エネルギーロスを減らすための対策として、時間を短くする対策が有効か電力消費量を小さくすることが有効かといった対策の種類がわかるようになる。エネルギーロスを時間軸方向に小さくすることは装置のアイドル時間を少なくして稼働率をあげ、生産性を向上することと同意であるが、生産性が向上せずとも、アイドル時の電力消費量の大きさを小さくする工夫をする(例えばアイドル時には連動して電源を切る)、装置稼働中の電力消費量を小さくする(装置稼動中は基本的には人手での作業はないので装置付近の照明を暗くする等)ことで、エネルギーロスを減らすことは可能となるため、このようなグラフ表示は有効である。
グラフ204のような表示をするためには、装置の状態に連動した電力や電力量の計測、もしくは、非常に小さい単位時間で電力・電力量計測を行い、装置の状態別での合算が必要となる。単位時間ではなく装置の状態に連動して計測を行うには、そのような機能のついた電力計測器が必要であり、また、装置全体の電力量と小さい単位時間での電力量の両方を計測する機器は微細量から大容量までの計測値の幅広い分解能が必要となる。そのような高機能・高性能な機器で計測した電力量をエネルギー使用量取得部1から得られない場合には、グラフ203が有効となる。また、チョコ停等の短い時間に消費した電力量をグラフ204で表示しようとすると、幅が小さすぎて表示が見にくい場合がある。その場合もグラフ203の表示が有効となる。
このように、単に装置毎のエネルギー使用量を可視化するだけでなく、エネルギー使用量取得部1から得られるエネルギー使用量の情報と、生産設備情報取得部2から得られる装置の生産状態情報とを用いて、エネルギー使用量の内訳をグラフ化することにより、エネルギーロスの要因分析やロスに対する対応方法とその優先度をつけることが可能となる。装置の生産状態情報を元にエネルギー使用量の内訳を示すのは、装置に投入されるエネルギーは製品の生産を目的とするエネルギーであるため、同じエネルギー使用量で多くの製品を生産できる方がエネルギー効率が良いためである。装置毎に消費するエネルギー使用量は製品生産数に応じて増減する。そのため、単にエネルギー使用量を可視化するのではなく、総量に対して製品生産に用いられるエネルギーの割合や比率で効率を把握することが、改善対策ターゲットを見つける上でも対策効果把握のためにも有効である。
従来では、製品原単位や装置稼働率で装置の効率性を把握しようとしていたが、製品原単位だけでは、生産時のエネルギー量のみに着目しているため、非生産時のエネルギー量について考慮されていない。また、エネルギー利用効率のみに着目しているため、生産効率やエネルギー利用効率の善し悪しの要因はわからない。一方、稼働率だけでは、エネルギー利用効率についてはわからない。
図3は、製品原単位が同じ2つの装置(装置1・装置2)のグラフ表示例である。図3において、301は、装置1の電力消費量を本発明の可視化装置で表示したグラフ、302は、装置2の電力消費量を本発明の可視化装置で表示したグラフ、311は、従来例による、装置1の電力消費量の原単位グラフ、312は、従来例による、装置2の電力消費量の原単位グラフである。
従来では、製品原単位のみでエネルギー効率をとらえようとしているため、製品原単位はそれぞれグラフ311及びグラフ312のようになるため、装置1と装置2の傾向は同じように見えてしまう。しかしながら、本発明の表示方法を用いると、グラフ301、グラフ302のようになり、面積の割合からエネルギー効率を視覚的に捉えられると共に、エネルギー効率は同様でも、生産の傾向が異なっており、装置1の生産効率を改善することが有効であることがわかる。
図4は、稼働率が同じ2つの装置(装置1・装置3)のグラフ表示例である。図4において、401は、装置1の電力消費量を本発明の可視化装置で表示したグラフ、402は、装置3の電力消費量を本発明の可視化装置で表示したグラフ、411は、従来例による、装置1の稼働率グラフ、412は、従来例による、装置3の稼働率グラフである。
従来では、稼働率のみで生産効率をとらえようとしているため、稼働率はそれぞれグラフ411、グラフ412のようになり、装置1と装置3の効率の傾向は同じように見えてしまう。しかし、本発明の表示方法を用いると、グラフ401、グラフ402のようになり、生産の傾向は同じであるが、面積の割合からエネルギー効率が異なることがわかり、装置3の生産効率を改善することにより、エネルギー利用効率が向上することがわかる。
以下、並列表示部5について説明する。並列表示部5は、各グラフの時刻情報と装置関係情報取得部3から得られる装置の配列情報に基づいて、グラフ作成部4で作成された複数のグラフを、時間軸および生産の流れに沿って並べる処理を行う。なお、時刻情報とは、時間軸において各グラフの順序(時系列順)が決定できる情報であれば、いずれの情報でもよく、例えば、ある1日のうちの時刻の情報でも、日時情報でも、(グラフが日毎に作成されていれば)日にち情報、(グラフが周毎に作成されていれば)週情報、(グラフが月毎に作成されていれば)月情報など、いずれの情報でもよい。
図5は、グラフ作成部4で作成された装置毎の所定日数分のグラフを、並列表示部5で製造の流れと日にちに沿って並べた並列表示例である。図5のグラフにおいて、横軸は製造の流れ、縦軸は日にちを示している。並列表示部5は、装置関係情報取得部3から、この製造ラインでは、装置40→装置42→装置43→装置44→装置46の順に製品を処理し、製造するという情報を得て、この製造順と日付順とを用いて、グラフ作成部4で作成したグラフを並べる。このような並べ方により、同列のグラフの傾向を見ることで、同じ装置の日付毎の推移を見比べることが容易となる。図5において、装置40の電力消費量の傾向を見ると、毎日同じ時刻に装置を稼働し、終了していることがわかる。これは同じ装置の日付毎の時間軸が縦に揃う表示のため、一目瞭然である。
また、同行のグラフを見ると、製品生産に使われた電力消費量の傾向は、同じ日ではほぼ同じ傾向だが、日毎には異なっていることがわかる。電力消費量と製品生産に使われた電力消費量との隙間部分(差分)の面積が製造以外に使われた電力消費量であり、エネルギーロスを示している。日毎に製品生産の傾向は異なるにも関わらず、同じ時刻に装置を稼働・終了しているため、各装置で立ち上がりが早過ぎて起こる立ち上がりロスが発生していることが、日にち1〜10日を見るとわかる。また、装置46の1日、装置44の6日では、装置の電源切り忘れによるたち下がりロスが発生している。これは製品生産に使われた電力消費量の傾向に比べて、装置の電力消費量が右に大きくはみ出していることから視覚的にとらえることができる。また、グラフが製造の流れに沿って並べられていることから、たち下がりロスは後ろの工程で発生しやすいことがわかる。
11日以降は装置の電力消費量と製品生産に使われた電力消費量との隙間が少なくなり、立ち上がりロスや立ち下がりロスがない装置が増えていることがわかる。この製造ラインでは毎日同じ時刻に全装置の電源を投入していたが、図5のような表示を行うことで、無駄が大きいことを検知することができたため、生産設備の管理者等の指導による改善活動により、各装置の稼働時刻と終了時刻を製品生産の時刻に合わせて変動させた結果、エネルギーロスが小さくなったことが視覚的に見てとれる。このように、装置の稼働率等で装置の生産性を把握するだけでなくエネルギーロスも把握することで、生産性が向上しなくてもエネルギー効率をあげることで、経費削減効果をあげることが可能となる。
また、別の製造ラインでも同様に、毎日同時刻に全装置の電源を投入して稼動を開始し、同時刻に全装置の稼動を一斉に停止するという運用を行っていたが、そのような運用では、前の方の工程では早い時刻に装置の製造を終えてしまい立下りロスが発生し、後ろの方の工程では電源が投入されても製品がなかなか流れてこないため立ち上がりロスが発生しやすい傾向であることが、並列表示部5で並べられたグラフを見ることで把握が可能となる。さらに、製造ラインの工程を3つに分け電源投入時刻や終了時刻をずらすという運用に変えることで、立ち上がり・立ち下りロスを減らすといった対策をとったときの効果確認も、並列表示部5で並べられたグラフを見ることで可能となる。
また、立ち上がりロスや立ち下がりロスの発生しているグラフを所定条件に基づいて自動的に検知し、図5に示すように、そのグラフに枠等をつけて、立ち上がりロスや立ち下がりロスの発生しているグラフを強調表示してもよい。強調表示することで、いつ・どこで改善が必要かがわかりやすくなる。
図5は、1日単位のグラフを日にち毎に並べているが、週毎のグラフを作成し、並べてもよい。週毎のグラフを並べると、曜日による傾向がわかりやすくなる。例えば、月曜日に立ち上げて24時間稼働を行い、金曜日に装置を停止するライン等は週毎にグラフを並べると、立ち上げや終了時刻が縦にそろい、週毎の違いがわかりやすくなる。このような装置では、週毎に並べることで、図5と同様に立ち上げロスの傾向を見ることが可能となる。また、各装置やラインの担当者が曜日毎に交代するラインでも、週毎表示を行うことで、曜日や担当者による傾向の違いを把握しやすくなる。
図5は、横軸に製造の流れ、縦軸に日にちをとったが、それらの軸は逆にしてもよい(すなわち、行と列とを逆にしてもよい)し、ボタン等を配置して、横軸および縦軸を自由に入れ替えられるようにしてもよい。図5の場合に対して、縦軸および横軸(すなわち、行とと列)を逆にした場合は、図6のように表示される。図6の場合は、同じ列のデータを見比べることで、同じ日付のラインの製造傾向を見ることができる。自動化製造ラインにおいては、仕掛かりを少なくするために、ライン全体において、ライン内の各装置のタクトタイムが同じになるよう設計されることが多い。なお、タクトタイムとは、各装置が製品1個を処理するのにかかる時間のことである。このため、装置の停止等がなく、円滑に生産が行われる場合には、ラインの製造の流れに沿って製品製造の傾向はほぼ同じような傾向になる。製品製造の傾向が似ている場合には、装置の電力消費量全体における製品生産に使われた電力消費量の割合も似たような傾向となる。実際の製造ラインの計測値を用いた図6のように、同じ日付の製造ラインの生産傾向は似ているため、製品生産に使われた電力消費量の傾向も似ている。
このように各装置を生産の流れに沿って縦に並べると、各装置の同じ時刻の生産データが縦に揃うため、傾向の把握が容易となる。図6の5日においては、装置601〜603と装置604〜606で、15時〜16時の生産の傾向が異なっていることが一目瞭然であり、装置604がボトルネックとなり、自動化ラインの製造がスムーズに流れていないことがわかる。グラフ作成部4で作成した装置毎のエネルギー使用量の内訳グラフを個別に見ているだけでは、このようなライン内の装置間の関係がわからない。そのため、例えば、装置606の5日の11〜12時のロスと15〜16時のロスの要因の区別がつかない。また、1つずつグラフをクリックして表示させ、比較していくのも手間がかかる。並列表示部5により、グラフを並列表示させることで、ライン間のエネルギー消費の流れを一度に把握できる。
次に、スケール調整部6について説明する。上記のように、エネルギー使用量の内訳を示すグラフを並べるだけで、容易に生産傾向とエネルギー消費の傾向を把握し、傾向の差異や傾向が異なる装置(=改善すべき装置)がわかるのは、スケール調整部6で各グラフのスケールを調整しているからである。グラフ作成部4で作成する各グラフを共通のスケール(軸の最大値、最小値)で描画すると、装置毎にエネルギー消費の絶対量が異なるため、傾向を把握しづらくなってしまう。図7は、図6の各グラフの縦軸を共通のスケールにした例である。エネルギーロスの割合や生産の傾向の差異よりも、装置間の消費エネルギーの絶対量の差異が大きく、どこで無駄が発生しているかがわかりにくい。そこで、まずは、スケール調整部6によって、グラフ作成部4で作成した各グラフのスケールを調整し、その後で、並列表示部5で、図6のような並列表示を行うことで、エネルギー使用量の内訳割合の傾向を時間軸や製造の流れに沿って把握しやすくし、エネルギーロスが起こっている装置・時間・要因やエネルギーロスの割合が大きい装置を把握することが重要である。
ただし、エネルギーロスの改善対策効果が高いのは、エネルギーロスの割合が大きいところだけでなく、絶対量が大きいところでもある。図7のグラフ表示は、エネルギー使用量の絶対量を表しているため、図6でエネルギーロスが起こっている装置・時間・要因を把握した後、どこから改善対策を行うかの優先度決めのために、図7の絶対量表示と切り替えられるようにしてもよい。例えば、図6の並列表示時に立ち上がりロス・立下りロスやボトルネックの装置等に強調のための枠線表示をしておき(枠線表示のON/OFFは自動でも手動でもよい)、図7のような共通スケール表示に切り替えることで、強調表示されている装置の中でもどの装置から対策をするかを絶対量の多いものを指針に決めてもよい。逆に、図7のような共通スケール表示でエネルギー無駄量の絶対量の多い装置にマークをつけておき、図6のようなスケール調整後の並列表示に切り替えることで、その要因を探ってもよい。
以下に、従来との比較結果について説明する。従来では、各装置のエネルギー消費の推移グラフを並列表示するのではなく、統計値を装置毎に並べて表示するか、1つのグラフに表示していた。図8のグラフ801〜803は、装置A、装置B、装置Cの電力消費量を本発明の可視化装置で可視化した例である。グラフ811〜813は、装置A、B、Cの製品原単位グラフである。一方、図9のグラフ901〜902は、装置A、装置B、装置Cの電力消費量を、従来例のように集計して表示を行った例である。
図8において、801は、装置Aの電力消費量を本発明の可視化装置で表示したグラフ、802は、装置Bの電力消費量を本発明の可視化装置で表示したグラフ、803は、装置Cの電力消費量を本発明の可視化装置で表示したグラフである。また、811は、装置Aの原単位グラフ、812は、装置Bの原単位グラフ、813は、装置Cの原単位グラフである。また、図9において、901は、装置A・B・Cを従来例の合計電力消費量で表示したグラフ、902は、装置A・B・Cを従来例の原単位分布で表示したグラフである。以下に詳細に説明する。
グラフ901は、製品生産に使われた電力消費量とそれ以外で合計を行っている。このようなグラフ表示では、各装置の電力消費量のうち、製品生産に使われた電力消費量とそれ以外の割合や絶対量を把握することは可能であるが、合計したことにより時間方向の情報が失われてしまっている。グラフ801〜803を見ると、装置Aでは立ち下がりロス、装置Cでは立ち上がりロスが発生しており、装置Bは装置AやBに比べて稼働率が悪いということがわかるが、グラフ901によると、装置A、B、Cの電力消費量の内訳はほぼ同じに見えてしまい、そのような情報は得られない。グラフ902は、装置A、B、Cの原単位の最小値・最大値・平均値を示したものであるが、同様に、立ち上がりロス、立ち下がりロス等はわからない。
図10のグラフ1001〜1003はそれぞれ、装置D、装置E、装置Fの電力消費量の推移を示したグラフである。図10において、1001は、装置Dの電力消費量グラフ、1002は、装置Eの電力消費量グラフ、1003は、装置Fの電力消費量グラフである。
これらのグラフを従来例のように積み上げグラフで表示したものがグラフ1011で、折れ線グラフで重ねて表示したものがグラフ1021である。すなわち、グラフ1011は、装置D・E・Fの電力消費量を従来例の積み上げグラフで表示したグラフであり、1021は、装置D・E・Fの電力消費量を従来例の折れ線グラフで表示したグラフである。積み上げグラフ1011では、グラフが積み上がるにつれてグラフの形状が変わってしまい、傾向が把握しにくくなる。例えば、グラフ1003では、装置Fの電力消費量は時刻t2では大きく、時刻t3〜t5は平坦で、同じ値であることがわかりやすいが、グラフ1011では、装置D・装置Eのデータの影響を受けて、時刻t1〜t3が単調増加で、t4で減少し、t5で増加しているように見えてしまう。折れ線グラフを重ねて表示したグラフ1021では、他の装置の電力消費量の傾向の影響は受けないが、装置Dの折れ線がt3〜t4で装置Eと重なり、t4以降は装置Fと重なってしまうため、電力消費の傾向がわかりにくくなってしまう。また、装置D→装置E→装置Fといった製品の流れに沿った傾向も把握しづらい。
以下に、装置関係情報取得部3から得られる装置の配列情報について、上述した例とは別の他の例について説明する。装置関係情報取得部3から得られる装置の配列情報には、ラインが途中で分岐し、装置が直列ではなく並列に並ぶ場合や機種別に異なる工程を通過する等の情報等が含まれてもよい。
図11は、ラインが途中で分岐し並列になる例である。1101は装置関係情報取得部3から得られる装置の配列情報を示しており、1111、1112は並列表示部5で表示される並列表示の例である。1101は、途中で装置が並列に並ぶラインの装置配置情報を示しており、1111は、並列に並ぶ装置の電力消費量グラフを横に並べた例で、1112は、並列に並ぶ装置の電力消費量グラフを合計もしくは平均した例である。
ラインが途中で分岐し並列になる場合には、並列表示部5により、1111のように、装置配列と同様にグラフを並べて表示してもよい。このような表示にすることで、ラインが分岐し並列であることが視覚的に示される。あるいは、1112のように、並列な装置のデータを合計するかもしくは平均値を算出することで1つにまとめてもよい。このようにまとめることで並列にならんだ装置の場合も縦軸がそろい、工程間の比較しやすくなる。合計値を用いる場合、並列な装置が均等に生産しているかどうかを把握するため、装置毎で色を変えてグラフ表示してもよい。
製造工程の異なる機種を同一のラインで製造することもある。このようなとき、装置関係情報取得部3から得られる装置の配列情報が機種別であってもよい。機種Aでは装置1→装置2→装置3→装置4、機種Bでは装置1→装置2→装置4という製造工程である場合、機種Aと機種Bの製品生産に使われた電力消費量を合計してグラフ表示すると、装置3の製造数が他の装置と比べて少ないため、ボトルネック工程のように見えてしまう。そこで、グラフ作成部4で、図2のグラフ202のように、機種別に製品生産に使われた電力消費量を表示するグラフを作成し、装置関係情報取得部3から機種別の製造工程情報を取得し、並列表示部5で機種毎の並列表示を行うようにしてもよい。機種Aの選択時には、グラフを装置1→装置2→装置3→装置4の順に並べ、製品生産に関わるエネルギー使用量の積み重なりの順序として、機種Aを最も下に持ってくる。また、機種Bの選択時には、グラフを装置1→装置2→装置4の順にならべ、製品生産に使われたエネルギー使用量の積み重なりの順序として、機種Bを最も下に持ってくる。
グラフ作成部4で機種別のエネルギー使用量のグラフを作成し、並列表示部5で機種毎のエネルギー使用量のグラフを並列表示してもよい。この際、グラフ作成部4で作成する機種nのエネルギー使用量のグラフでは、総エネルギー使用量ではなく、機種nの製品生産に使われたエネルギー使用量+(装置の総エネルギー使用量−製品生産に使われたエネルギー使用量の全機種の合計)×(機種nの生産数/全生産数)+非生産時のエネルギー使用量(どの機種も1つも生産していないときのエネルギー使用量)を用いてもよい。こうすることで、機種毎に製品生産の流れに沿った電力消費傾向の把握が容易となる。
製造工程全ての装置を一度に表示すると、並列表示部5による表示が、横または縦に長くなりすぎて把握しにくくなるため、装置関係情報取得部3で装置をグループ分けしてもよい。例えば、長いラインでは1台が停止すると全ての装置が停止してしまうため、装置間に仕掛かり品を貯めておくバッファを設けてあることが多い。特によく停止する装置や製造に時間のかかる装置の前後には、大きなバッファが設けられていることが多いので、その前後で前半工程、後半工程と分かることが考えられる。
以下に、グラフ作成部4と並列表示部5との組み合わせのバリエーションについて説明する。グラフ作成部4で、図2のグラフ203のうち、チョコ停時のエネルギー使用量と総エネルギー使用量のみのグラフを作成し、並列表示部5で並べてもよい。あるいは、グラフ作成部4で、図2のグラフ202の製品生産に用いられたエネルギー使用量の上に、チョコ停時のエネルギー使用量を積み重ねてグラフを作成し、並列表示部5で並べてもよい。また、図2のグラフ202のうち、前工程待ちと後工程待ちはその装置が起因となるエネルギーロスではないため、装置の全エネルギー使用量から、前工程待ちと後工程待ちに由来するエネルギーロス量を差し引いたものを表示するようにしてもよい。
このようなグラフ表示を行うことで、ボトルネック工程がどこにあるかわかりやすくなる。図6の並列表示において、5日の装置604〜606では、どの装置も15〜16時のエネルギーロスが大きいが、チョコ停時のエネルギー消費量を表示することで、ボトルネック工程の装置604がわかりやすくなる。また、前工程待ちや後工程待ちのエネルギーロス量を差し引くことで、装置605や装置606の15〜16時のエネルギー使用量は、製品生産に用いられたエネルギー使用量と総エネルギー使用量の差異が小さくなり、この時間帯には無駄が小さかったことがわかり、ボトルネック工程装置604と区別がつく。
以上のように、本実施の形態1に係るエネルギー使用量可視化装置は、装置毎のエネルギー使用量を取得するエネルギー使用量取得部1と、装置毎の生産数や生産および非生産の別を示す、装置の生産状態情報を取得する生産設備情報取得部2と、製造ラインの装置の配置や、装置間の接続情報や隣接関係、または、製造工程順序等の装置関係情報を取得する装置関係情報取得部3と、エネルギー使用量取得部1からのエネルギー使用量の情報と生産設備情報取得部2からの装置の生産状態情報とに基づいて、生産状態情報(少なくとも、生産/非生産の別)に関連づけた装置毎のエネルギー使用量のグラフを作成するグラフ作成部4と、グラフ作成部4で作成されたグラフを、時刻情報と装置関係情報取得部3から得られる情報に基づいて、時間軸と生産の流れとに沿って並べて表示する並列表示部5と、グラフ作成部4のグラフのスケールを調整するスケール調整部6とを備えたので、この構成により、生産自動化ライン(製造ライン)では、製造工程に沿って生産量とエネルギー消費の傾向が似ているという特徴を生かし、エネルギーの消費傾向を時間軸と生産の流れに沿って把握でき、かつ、原単位等の計算を行わなくても単に生産数とエネルギー使用量のグラフを別軸で重ねて表示するだけでエネルギー消費の内訳を生産状態情報と関連づけて表示することができ、エネルギー消費の効率と無駄発生要因を視覚的に把握できるといった従来にない顕著な効果を奏する。
実施の形態2.
図12は、本発明の実施の形態2に係るエネルギー使用量可視化装置の構成図である。本実施の形態2においては、図12に示すように、上記の実施の形態1の図1に示した構成にさらに、エネルギー使用量内訳計算部7を備えている。エネルギー使用量内訳計算部7は、エネルギー使用量取得部1から得られるエネルギー使用量と生産設備情報取得部2から得られる生産状態情報とに基づいて、生産状態別のエネルギー使用量の内訳を装置毎に計算する。具体的には、製品原単位や、製品生産に用いられたエネルギー、チョコ亭時等の非生産時に消費したエネルギー等を計算する。なお、図12において付されている符号のうち、図1と同じ符号の構成については、図1のものと同一または相当する構成を指すため、ここでは、その説明を省略する。
当該構成により、本実施の形態2においては、エネルギー使用量内訳計算部7で、各時間の消費電力量と製品生産に用いられた電力消費量(=生産個数×製品1個の製造にかかる消費電力量)を計算し、図2のグラフ201に示すように、重ねてグラフに表示することにより、装置で消費したエネルギー量の内訳を、製品生産に用いられたエネルギー量とそれ以外とに分けて捉えることが可能となる。
上記の実施の形態1では、製品原単位を、予め設備に設定されている標準の値や過去の最小値・平均値を生産設備情報取得部2から取得して求めるか、あるいは、生産設備情報取得部2から装置の時間毎の生産個数を取得し、最も生産数の多い時間帯の電力消費量を同じ時間帯の生産個数で割った値を製品原単位とすると説明したが、本実施の形態2においては、エネルギー使用量内訳計算部7で、各時間帯毎の製品原単位(=電力消費量/製品生産数)を求め、それの最小値や平均を、製品原単位としてもよい。
また、上記の実施の形態1では、エネルギー使用量内訳計算部7を用いずに、スケール調整部6を用いて、電力消費量と生産個数のみから、エネルギー使用量の内訳を示すグラフを作成する方法について説明したが、エネルギー使用量内訳計算部7で、製品原単位をタクトタイムから求める方法もある。タクトタイムとは、上述したように、各装置が製品1個を処理するのにかかる時間である。エネルギー使用量内訳計算部7は、エネルギー使用量取得部1から装置の時間毎の消費電力量を取得し、生産設備情報取得部2から装置の時間毎の生産個数とタクトタイムを取得する。タクトタイムは時間毎の平均値でも最小値でもよいし、装置毎に定められた値でも、ラインに共通の値でもよい。また、製品の装置投入時間と処理完了時間とからタクトタイムを求めてもよい。タクトタイムを用いると、製品原単位は製品原単位=電力消費量*タクトタイム/電力消費量計測時間となる。
また、上記の実施の形態1においては、グラフ202を生成する際に、ベース電力消費量や機種別の製品原単位を生産設備情報取得部2から取得する例について説明したが、本実施の形態2においては、エネルギー使用量取得部1から取得した装置の時間別電力消費量と生産設備情報取得部2から取得した各時間の機種別生産数から、ベース電力消費量や機種別の製品原単位を、エネルギー使用量内訳計算部7で求めてもよい。例えば、時刻tにおける装置全体の電力消費量をy(t)、時刻tにおける機種nの生産数をxn(t)(n=1,2,3,・・・)、機種nの製品原単位をan(n=1,2,3,・・・)、ベース電力量をbとすると、y(t1)=a1×x1(t1)+a2×x2(t1)+a3×x3(t1)+・・・+bと記述でき、これを重回帰分析等を用いて解くことによりベース電力量と機種別の製品原単位を求めることができる。製品原単位は平均値を用いてもよいし過去の最小値・平均値等を用いてもよい。
また、上記の実施の形態1においては、グラフ203を生成する際に、装置の状態別のエネルギー使用量を生産設備情報取得部2から取得する例について説明したが、本実施の形態においては、エネルギー使用量取得部1から取得した装置の時間別消費電力量と生産設備情報取得部2から取得した装置の状態別稼動時間を取得し、エネルギー使用量内訳計算部7で求めてもよい。装置の状態別の電力消費量は、例えば、(チョコ停時の電力消費量)=(時間区間Δtでの装置の電力消費量)×(時間区間Δt中のチョコ停時間)/Δtで求められる。装置の状態情報からだけでは、アイドル状態と稼働状態の区別がつかない場合がある。この場合、(アイドル時の消費電力量)=(稼働時の消費電力量)−(製品生産に用いられた電力消費量)で求めることができる。
他の構成および動作については、上記の実施の形態1と同じであるため、ここでは、その説明を省略する。
以上のように、本実施の形態2においては、上記の実施の形態1と同様の効果が得られるとともに、さらに、本実施の形態2においては、エネルギー使用量取得部1から得られたエネルギー使用量と生産設備情報取得部2から得られた生産状態情報とから、製品原単位や製品生産に用いられたエネルギーやチョコ亭時に消費したエネルギー等を計算するエネルギー使用量内訳計算部7を設けるようにしたので、エネルギー消費の内訳を生産設備情報と関連づけて表示することにより、エネルギー消費の効率と無駄発生要因を視覚的に把握できるといった従来にない顕著な効果を奏する。
実施の形態3.
図13は、本発明の実施の形態3に係るエネルギー使用量可視化装置の構成図である。図13において付されている図1および図12と同じ符号は、図1および図12のものと同一または相当する構成を指すため、ここでは、その説明を省略する。
本実施の形態3に係るエネルギー使用量可視化装置は、図13に示すように、図12に示した実施の形態2の構成に、さらに、装置間関係量計算部8を追加した構成となっている。装置間関係量計算部8は、エネルギー使用量取得部1から得られる装置毎のエネルギー使用量の情報と、生産設備情報取得部2から得られる装置毎の生産状態情報とに基づいて、装置間の生産数の差(処理速度の差)や装置間のエネルギー使用量の差などの装置間関係量を計算する。具体的には、装置間関係量として、装置間に溜まっている仕掛かり品の数や、装置間のエネルギー使用量の類似度等を計算する。
以下、装置間関係量計算部8について説明する。装置間関係量計算部8は、エネルギー使用量取得部1から各装置の時間毎のエネルギー使用量を取得し、生産設備情報取得部2から各装置の時間毎の生産個数やタクトタイム・チョコ停時間等の生産状態情報を取得し、エネルギー使用量内訳計算部7から各装置の生産原単位や製品生産に用いたエネルギー量等のエネルギー使用量の内訳を取得し、装置関係情報取得部3から製造ラインの装置の配置や接続情報・隣接関係・製造工程順序等の装置関係情報を取得する。但し、必ずしもこれらの情報をすべて取得する必要はなく、必要な情報だけを取得すればよい。
例えば、装置間関係量計算部8は、装置関係情報取得部3から、製造ラインの装置配置情報を取得し、当該情報に含まれる隣接する装置(または接続されている装置)の装置番号を取得して、装置間の生産数の差(処理速度の差)を求めることで、装置と装置との間に溜まっている仕掛かり中の製品数を求める。グラフ作成部4では、装置間関係量計算部8より、仕掛かり中の製品数を取得し、エネルギー使用量グラフと共に仕掛かり製品数のグラフも作成する。並列表示部5では各装置のエネルギー使用量グラフの間に仕掛かりのグラフも表示する。または、並列表示部5では、仕掛かりのグラフだけを表示してもよいし、表示を切り替えられるようにしてもよい。さらに、仕掛かりのグラフは表示せず、前後に、仕掛かり数の多い装置のエネルギー使用量グラフを強調表示してもよい。
なお、上記の説明においては、装置間関係量計算部8で、仕掛かり数は装置毎の生産数の差分を使って求めたが、前装置で処理を終えた製品の個数と次装置で処理を開始した製品の個数の差分でもよい。また、製品毎にバーコード等で固有識別番号を添付し、装置の処理前後で固有識別番号を読み取ることにより、読み取り時刻と読み取り装置番号から、製品1つ1つがどの工程まで処理を終えたかを管理し、装置間にたまっている仕掛かり製品数を求めてもよい。さらに、仕掛かり数ではなく、仕掛かり数×原単位でエネルギーグラフを作成してもよい。
このような構成によれば、装置と装置との間の関連情報を計算し、その関連情報を用いて製造ラインのエネルギー消費傾向が把握できるようになるため、製造ラインの中の装置間の関わりやライン内のどの装置がボトルネックとなっているかが把握しやすくなる。順調に生産製品が行われ、製品が流れているラインでは仕掛かり数は一定であり、増加していかない。仕掛かり品が増加している直後の装置はタクトタイムが遅い装置であり、ここがボトルネックとなるため、例えばボトルネックの装置の前後に仕掛かり品を貯めておくバッファを設け、ボトルネック装置の前工程と後工程で生産時間を調整することにより、エネルギー無駄を削減することが可能となる。例えば、午前中に前工程とボトルネック装置で生産を行い、午後からボトルネック装置と後工程で生産を行うことにより、全装置で稼働率が低いまま生産を行うより、各装置の稼働率を高くし、製造時間を短縮できるため、エネルギー無駄が少なくなる。仕掛かり品の数と各装置の生産効率・エネルギー使用実態を表示する本発明の表示法により、このような場合のボトルネック装置による生産効率の問題発見、改善前後の改善結果が視覚的に把握できるようになる。
装置間関係量計算部8で求める装置間関係量は、仕掛かり数ではなく、エネルギー使用量の差分、または、エネルギー使用量のグラフの類似度でもよい。なお、装置間のエネルギー使用量の差分を求めてもよいが、装置によって消費するエネルギーの絶対量は異なるので、各装置の最大消費電力を用いて、エネルギー使用量を正規化し、装置で消費した全エネルギー量と製品に用いられたエネルギー量の類似度を算出する方がより望ましい。類似度は、例えば、色ヒストグラムの類似度で画像の類似度を求める手法等を使って求める。類似度の異なる装置間は製品が順調に流れておらず、ボトルネック工程であることが多いため、類似度の異なる装置間を色枠等で強調表示することにより、どこにボトルネック工程があるかわかりやすくなる。また、類似度を閾値で切るのではなく、各グラフの枠の色としてグラデーションで示してもよい。
多くの装置が並ぶ製造ラインの場合、人が目視でグラフの類似度を比べるのはコストが高い。そこで、類似度の高いエネルギー消費グラフはまとめて表示してもよい。例えば、図6のグラフの場合、装置601〜603、装置604〜606はそれぞれ類似度が高いため、2つのグラフにまとめて表示することが可能である。まとめたグラフを表示する場合、まとめたグラフをクリックまたはダブルクリックすることにより、それぞれの装置のグラフが展開表示されるようにしてもよいし、ボタン等を設けて各装置グラフとまとめグラフを切り替えられるようにしてもよい。
以上のように、本実施の形態3においては、上記の実施の形態1,2と同様の効果が得られるとともに、さらに、本実施の形態3においては、装置間にたまっている仕掛かり品の数や、装置間のエネルギー使用量の類似度などの、装置間関係量を計算する装置間関係量計算部8を備えたため、装置と装置との間の関連情報を計算し、その関連情報を用いて製造ラインのエネルギー消費傾向が把握できるようになるため、製造ラインの中の装置間の関わりやライン内のどの装置がボトルネックとなっているかが把握しやすくなるという効果が得られる。
実施の形態4.
図14は、本発明の実施の形態4に係るエネルギー使用量可視化装置の構成図である。図14において付されている図1や図12と同じ符号は、図1や図12と同一または相当する構成を指すので、ここでは、その説明を省略する。本実施の形態におけるエネルギー使用量可視化装置は、実施の形態2で述べた構成に加えて、さらに、エネルギー使用量取得部1から得られる装置毎のエネルギー使用量の情報と、生産設備情報取得部2から得られる装置毎の生産状態情報に基づいて、装置の統計情報を計算する統計情報計算部9が追加された構成となっている。
以下に、統計情報計算部9について説明する。統計情報計算部9は、エネルギー使用量取得部1から各装置の時間毎のエネルギー使用量を取得し、生産設備情報取得部2から各装置の時間毎の生産個数やタクトタイム・チョコ停時間等の生産状態情報を取得し、エネルギー使用量内訳計算部7から各装置の生産原単位や製品生産に用いたエネルギー量等のエネルギー消費量の内訳を取得し、装置関係情報取得部3から製造ラインの装置の配置や接続情報・隣接関係・製造工程順序等の装置関係情報を取得する。但し、これらの情報を必ずしもすべて取得する必要はなく、必要な情報だけを取得すればよい。統計情報計算部9では、これらの情報の少なくともいずれか1つを用いて、1日・1週間・1ケ月などの所定期間における、装置毎の生産個数やエネルギー使用量の平均や分散などの統計情報を計算する。統計情報としては、平均や分散に限定されるものではなく、これら以外の任意の他の統計量を算出するようにしてもよい。また、統計情報計算部9では、過去の統計情報を記憶しておいてもよい。
グラフ作成部4では、統計情報計算部9より統計情報を取得し、統計情報のグラフも作成する。
並列表示部5では、グラフ作成部4で作成した統計情報グラフを含む種々のグラフを各装置や時間軸の上または横に並べて表示する。
図17は、統計情報グラフも並列表示した例である。
このような構成によれば、各装置のエネルギー使用量の内訳だけでなく、統計情報を並べて比較することが可能となるため、それぞれの装置のエネルギー使用量の内訳が平均と比べてよいか悪いか、先月と比べて改善されたか等の改善効果比較が容易になり、改善前後の効果比較を視覚的に把握することが可能となる。また、まず統計情報を見て、エネルギー無駄の多い装置に着目して並列表示されたグラフを分析するといった使い方も可能となる。
直近のデータは詳細に把握して今後の改善活動の対策立案や要因分析に用い、過去のグラフは粗く把握し改善前後の効果比較に用いたいという特徴があるため、1年前の同月、先月、先週、今週の毎日のグラフというように、統計情報を時間軸上で現在に近い程細かく表示し、現在から離れる程荒く表示してもよい。また、注目しているグラフに時間軸的に近いデータは細かく表示し、時間軸的に遠いグラフは荒く表示してもよい。さらに、製造ライン内の配置の近いグラフは個別に表示し、遠い装置のグラフは平均等のまとめたグラフを表示してもよい。
また、統計情報グラフとして、統計情報計算部9で、図18のようなグラフを作成してもよい。統計情報としてこのようなグラフを作成することで、電力量を長さ×大きさとして捉えることができ、さらに、製品生産時/非生産時、機種別等の要因別に把握することができるため、どこの要因の何(時間短縮または時間あたりの電力量の大きさ)を対策すればよいのか、省エネ対策前後で何が変わったのかを比較しやすくなる。
以上のように、本実施の形態4では、上記の実施の形態1,2と同様の効果が得られるとともに、さらに、本実施の形態4では、装置の統計情報を計算する統計情報計算部9を設けたため、各装置のエネルギー使用量の内訳だけでなく、統計情報を並べて比較することが可能となるため、それぞれの装置のエネルギー使用量の内訳が平均と比べてよいか悪いか、先月と比べて改善されたか等の改善効果比較が容易になり、改善前後の効果比較を視覚的に把握することが可能となるという効果が得られる。
実施の形態5.
図15は、本発明の実施の形態5に係るエネルギー使用量可視化装置の構成図である。図15において付されている図1および図12と同じ符号は、同一または相当する構成を指すので、ここでは、その説明を省略する。
本実施の形態5に係るエネルギー使用量可視化装置は、実施の形態1、2で述べた構成に加えて、さらに、並列表示部5の表示ウィンドウを分割する並列表示分割部10が追加された構成となっている。
以下に、並列表示分割部10について説明する。並列表示分割部10は、ユーザからの指定入力に従って、並列表示部5で並べて表示されたグラフを分割し、分割したグラフ毎にスクロールを行うことができるようにする。分割方法は、列で分割してもよいし、行で分割してもよい。
このような構成によれば、並列表示の一部を分割し個別にスクロールさせることで、時間軸やライン内の装置配置上で離れたグラフ間の比較を容易にすることができる。例えば、同じ曜日間のグラフ、前月同日のグラフ、前工程を代表する装置のグラフと後工程を代表する装置のグラフ等を横または縦に並べて比較することが可能となる。
以上のように、本実施の形態5においては、上記の実施の形態1,2と同様の効果が得られるとともに、さらに、本実施の形態5においては、並列表示部5の表示ウィンドウを分割する並列表示分割部10を備えているので、並列表示部5で並べて表示されたグラフの一部または全部を複数のグラフに分割してそれぞれ別ウィンドウで表示し、分割したグラフ毎にスクロールを行うことができるため、時間軸やライン内の装置配置上で離れたグラフ間の比較を容易にすることができるという効果が得られる。
実施の形態6.
図16は、本発明の実施の形態6によるエネルギー使用量可視化装置の構成図である。図16において付されている図1および図12と同じ符号は、同一または相当する構成を指すので、ここでは、その説明を省略する。
本実施の形態6におけるエネルギー使用量可視化装置は、実施の形態1、2で述べた構成に加えて、並列表示部5により表示した画面全体の縮尺を変更する表示縮退部11を追加した構成となっている。
以下に、表示縮退部11について説明する。表示縮退部11は、ユーザからの指定入力に従って、並列表示部5で並べて表示されたグラフ縮尺を変更する。具体的には、縮小グラフを表示させているときに、例えば、ユーザが、拡大表示したい各グラフをクリックすることにより、その装置だけの拡大グラフが表示されるようにする。なお、操作方法は、これに限定されるものではなく、他の方法により、拡大表示するグラフを指定するようにしてもよい。
このような構成によれば、多数並べられたグラフをスクロールせずに一度に見るために縮小表示したり、詳細に分析するために着目しているグラフを拡大したり、ページを切り替えることなしにスムーズに縮尺を変更することが可能となる。また、Webブラウザ等を用いてグラフ描画を行う場合、グラフの数が多くなると描画点数が多くなり、表示が遅くなるため、表示縮退部11を設けることにより、描画点数をまびいたグラフを用意し、表示速度を向上させることが可能となる。
以上のように、本実施の形態6においては、上記の実施の形態1,2と同様の効果が得られるとともに、さらに、本実施の形態6においては、並列表示部5により表示した画面全体の縮尺を変更する表示縮退部11を設けるようしたので、多数並べられたグラフをスクロールせずに一度に見るために縮小表示したり、詳細に分析するために着目しているグラフを拡大したり、ページを切り替えることなしにスムーズに縮尺を変更することが可能となるという効果が得られる。
上記の実施の形態3〜6の構成は、図12に示した実施の形態2の構成と組み合わせた例について説明したが、その場合に限らず、図1に示した実施の形態1の構成と組み合わせてもよく、あるいは、実施の形態3〜6の構成を互いに自由に組み合わせてもよい。その場合にも、各実施の形態と同様の効果が得られることは言うまでもない。
また、上記の説明においては、エネルギー使用量として、電力消費量を例に挙げて説明したが、その場合に限らず、他のエネルギーの消費量にも、本発明が適用できることは言うまでもない。本発明における「エネルギー」とは、電力だけでなく、ガス、石油、灯油、石炭、あるいは、水道等の、生産設備で消費される全てのエネルギーをその範疇に含み、その中の1つ、あるいは、その組み合わせに、本発明は適用可能である。