JP5831736B2 - 加圧浮上分離装置 - Google Patents
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Description
ところが、これらの方法は油含有排水の中に存在する比較的大きな粒子の油滴を除去するには効果的であるが、排水中にエマルジョンとして分散している油分に対してはほとんど除去効果がないのが現状となっている。
そこで、これらの排水中に分散しているエマルジョンタイプの油分を除去するために、PACなどの凝集剤を添加し、油含有排水の中の油分を凝集させた後に加圧浮上処理により処理している(例えば、特許文献1参照)。
すなわち、図2に示す加圧浮上処理を行う装置10において、供給ポンプ11によって凝集槽12内に送られた油含有排水W0は、その凝集槽12内でPACなどの凝集剤Tが添加され、油含有排水W0の中の油分を凝集させた後の排水W4が浮上槽13内で油水分離される。そして、このときの処理水W5を加圧ポンプ15により加圧しながら加圧タンク14へ送水するとともに、加圧タンク14へ空気Eを送り込むことにより加圧水W6を作成し、この加圧水W6を浮上槽13に送っている。そして、加圧水W6が減圧されることで微細な気泡を発生し、この微細気泡に排水W4の油分を付着させて浮上分離させている。
また、鉱物油には発揮性の炭化水素が含まれており、空気を使用する場合には引火、爆発の可能性があるため、危険物取り扱い施設や防爆施設内での使用が困難であり、その点で改良の余地があった。
さらに、油含有排水に例えば前記混合部や加圧ポンプの上流側等の位置での適宜なタイミングで添加剤を添加することで、この凝集剤によりフロック化した油分スカムが浮上槽内で微細気泡に付着して浮上し、上層に蓄積される。
さらに、空気を使用しない構成となるので、危険物取り扱い施設や防爆施設などでも使用することが可能となる。
また、本発明では、気液比で2.5〜10.0%の非爆発性ガスを用いることで、微細気泡を作成することができ、油分スカムが浮上槽内で微細気泡に付着して浮上し、良好な油水分離を行うことができる。
本発明では、非爆発性ガスとともに添加剤も空気に触れることのない加圧ポンプ内に添加することで、添加剤の添加時の空気の混入を防ぐことができ、これによりさらに防爆化の確実性を高めることができる。
また、浮上槽に送り込まれる油含有排水と非爆発性ガスとの混合排水に空気が混じることがないので、防爆化を図ることができ、これにより危険物取り扱い施設等での使用も可能となり、適用範囲を広げることができる。
図1に示すように、本実施の形態による加圧浮上分離装置1は、食品排水処理やガソリンスタンドなどの鉱物油を含有する排水(以下、油含有排水W0という)に凝集剤Tを添加して浮上槽2内で油水分離する際に用いられるものである。
なお、このような加圧ポンプ3として、例えばエアターボミキサー(株式会社ニクニ社製)を採用することができる。
また、凝集剤Tとしては、一般的なPACを用いることができる。
先ず、油含有排水W0が原水供給管6から加圧ポンプ3へ送り込まれると、加圧ポンプ3内の前記混合部でその油含有排水W0と非爆発性ガスGとが混合され、その混合排水W1には過飽和で微細に裁断された非爆発性ガスGにより微細気泡が形成され、その混合排水W1が浮上槽2へ送られる。このとき、油含有排水W0と非爆発性ガスGとの混合が加圧ポンプ3内で行われるので、その混合部に空気が混ざることがなく、酸素が存在しない状態の混合排水W1が浮上槽2へ移送される。
そして、浮上槽2に浮上して蓄積された油分スカムFは、定期的に図示しない掻き取り機等によって回収され、浮上槽2の外部へ排出される(図1に示す矢印S参照)。さらに、油分スカムFが除去された処理水W2は、排水管5より放流、或いは再利用することができる。
さらに、空気を使用しない構成となるので、危険物取り扱い施設や防爆施設などでも使用することが可能となる。
さらにまた、非爆発性ガスGとともに添加剤Tも空気に触れることのない加圧ポンプ3内の図示しない混合部に添加されることから、添加剤Tの添加時の空気の混入を防ぐことができ、これによりさらに防爆化の確実性を高めることができる。
また、浮上槽2に送り込まれる油含有排水W0と非爆発性ガスGとの混合排水に空気が混じることがないので、防爆化を図ることができ、これにより危険物取り扱い施設等での使用も可能となり、適用範囲を広げることができる。
本実施例では、上述の実施の形態の加圧浮上分離装置を使用して微細気泡を発生させ、油分を付着させた浮上試験を行い、本実施の形態の有効性について確認した。
浮上槽として、水槽高さ1.5m、容積1m3のものを使用した。加圧ポンプにおいて、通水量2m3/hrの排水を使用し、浮上槽における滞留時間を30分とした条件で、窒素ガス(N2ガス)と空気の二種を排水に混合させて微細気泡を作成した。そして、気液比(%)(ガス量/排水量×100)を変化させて気泡の発生度、気泡の上昇速度(m/hr)、油分除去率(%)を計測し、比較を行った。本試験で行った窒素ガスと空気のそれぞれの気液比は、2.5〜10%までの範囲において7点(2.5%、3%、4%、5%、6%、8%、10%)とした。
なお、気泡の発生度は、加圧ポンプで作成された微細気泡をビーカー等に取り出したものを目視によって判定した状態を示している。判定結果としては、微細な気泡で白濁と判定したものを「◎」で示し、中規模な白濁と判定したものを「○」で示し、僅かな微細気泡が発生したものを「△」で示すようにした。
なお、空気による微細気泡を使用するためには、加圧浮上槽の容積を大きくし、滞留時間を多くする必要がある。そのため、本実施例による試験結果では、窒素ガスを使用した微細気泡を使用した方がより装置を小型化することができる。
なお、空気を使用する場合には爆発の可能性があるため、窒素ガスを使用するのが好ましいが、油分除去性能としても窒素ガスの方が空気よりも優れていることが確認できた。
例えば、上述した実施の形態では、凝集剤Tを加圧ポンプ3内に添加する構成としているが、これに限定されることはない。例えば、加圧ポンプの上流側に従来から使用される凝集反応槽を設け、この凝集反応槽で凝集剤を添加した後、加圧ポンプで混合された油含有排水W0と非爆発性ガスGとの混合排水を浮上槽2へ送るようにしてもよい。また、加圧ポンプの下流側に高分子凝集剤を添加し、PACにより形成したフロックをラインミキサーの使用等によりさらに大きくして浮上を促進させることもできる。
2 浮上槽
2a 蓋部
3 加圧ポンプ
F 油分スカム
G 非爆発性ガス
T 凝集剤
W0 油含有排水
W1 混合排水
W2 処理水
Claims (3)
- 油含有排水に凝集剤を添加して浮上槽内で油水分離するための加圧浮上分離装置であって、
前記浮上槽に前記油含有排水を送水するための加圧ポンプが設けられ、
該加圧ポンプには非爆発性ガスが供給され、この加圧ポンプ内で前記非爆発性ガスと前記油含有排水とが混合され、
運転中の前記非爆発性ガスと前記油含有排水との混合条件は、前記加圧ポンプの運転圧力が0.2〜0.5MPaで、気液比で2.5〜10.0%であり、
前記非爆発性ガスが窒素ガスであることを特徴とする加圧浮上分離装置。 - 前記浮上槽は、密閉されていることを特徴とする請求項1に記載の加圧浮上分離装置。
- 前記加圧ポンプ内に、前記凝集剤が添加されることを特徴とする請求項1又は2に記載の加圧浮上分離装置。
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