JP5830398B2 - レーザモジュール - Google Patents

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本発明は、レーザモジュールに関する。
近年のDMDM(Dense-Wavelength Division-Multiplexing)通信システムでは、WDM信号光の間隔として、光の周波数にして50GHzなどの狭い波長間隔が求められている。このため、WDM信号光の光源として用いられるレーザモジュールには、この狭い波長間隔に対応できるような波長安定性が必要とされている。
波長安定性を実現するため、レーザモジュール内には、出力するレーザ光の波長を安定させるための波長ロッカーが設けられている。このような波長ロッカーの波長モニタ部には、光を所定の波長間隔で選択的に透過するためのフィルタとして、ファブリペローエタロンフィルタ(以下エタロンフィルタと称する)が用いられている(特許文献1参照)。
エタロンフィルタの材質としては、二酸化ケイ素の非結晶体である石英ガラスや、結晶体である水晶が多く用いられてきた。また、近年は、エタロンフィルタの温度調整によって、その透過波長の波長制御を可能とするために、水晶をエタロンフィルタの材質として、レーザ光の光軸と水晶の結晶軸とを垂直にして用いる技術(特許文献2参照)が提案されている。または、エタロンフィルタの小型化のために、エタロンフィルタの材質として屈折率の大きいシリコンやBi12GeO20(BGO)を用いる技術(特許文献3参照)が提案されている。
特許第3794552号公報 特開2011−054664号公報 特許第4190749号公報
しかしながら、上記の水晶、シリコン、BGO等からなるエタロンフィルタを設けた波長ロッカーを用いた場合に、ロック波長が所望の波長からずれてしまい、安定した波長制御ができないという場合があるという問題があった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、安定した波長特性を実現できるレーザモジュールを提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るレーザモジュールは、レーザ光を出力するレーザ光源と、前記レーザ光が入力される、所定の波長特性を有する光学素子と、前記光学素子を載置する基板と、前記光学素子と前記基板とを接合する接着剤と、を備え、前記レーザ光源は、前記光学素子の波長特性に依存して制御されており、前記接着剤は、前記光学素子の線膨張係数と前記基板の線膨張係数との差により前記光学素子に掛かる応力を緩和する厚さに設定されていることを特徴とする。
また、本発明に係るレーザモジュールは、上記の発明において、前記光学素子の線膨張係数と前記基板の線膨張係数との差は、8ppm/K以上であることを特徴とする。
また、本発明に係るレーザモジュールは、上記の発明において、前記接着剤の厚さは、50μm以上であることを特徴とする。
また、本発明に係るレーザモジュールは、上記の発明において、前記接着剤の硬度は、ショアD90以下であることを特徴とする。
また、本発明に係るレーザモジュールは、上記の発明において、前記接着剤は、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、及びシリコーン樹脂のうちのいずれかの樹脂材料を主成分とすることを特徴とする。
また、本発明に係るレーザモジュールは、上記の発明において、前記光学素子の前記レーザ光が透過する方向の線膨張係数は、10ppm/K以上であることを特徴とする。
また、本発明に係るレーザモジュールは、上記の発明において、前記光学素子は、エタロンフィルタであることを特徴とする。
また、本発明に係るレーザモジュールは、上記の発明において、前記レーザ光の一部を受光する第1受光素子と、前記エタロンフィルタを透過したレーザ光の一部を受光する第2受光素子と、をさらに備え、前記第2受光素子の受光強度と前記第1受光素子の受光強度との比に基づいて、前記レーザ光の波長が所望の波長になるように前記レーザ光源を制御することを特徴とする。
また、本発明に係るレーザモジュールは、上記の発明において、前記レーザ光源は、分布帰還型半導体レーザ素子であることを特徴とする。
本発明によれば、波長特性が安定したレーザモジュールを実現できるという効果を奏する。
図1は、実施の形態に係るレーザモジュールの模式的な平面断面図である。 図2は、図1に示すエタロンフィルタの近傍を示したA矢視図である。 図3は、温度サイクルに対する波長ドリフトを示す図である。
以下に、図面を参照して本発明に係るレーザモジュールの実施の形態を詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、各図面において、同一または対応する要素には適宜同一の符号を付している。さらに、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係や比率などは、現実のものとは異なる場合があることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
(実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態に係るレーザモジュールの模式的な平面断面図である。図1に示すように、このレーザモジュール1は、レーザ光源2、ペルチェ素子3、サブマウント4、コリメートレンズ5、ビームスプリッタ6、パワーモニタ用フォトダイオード7、エタロンフィルタ8、波長モニタ用フォトダイオード9、ベースプレート10、ペルチェ素子11、光アイソレータ12、集光レンズ13、光ファイバ14、およびこれらの各要素を収容する筐体15を備えている。また、レーザモジュール1は制御装置16に接続されている。制御装置16は、パワーモニタ用フォトダイオード7、波長モニタ用フォトダイオード9、レーザ光源2、ペルチェ素子3、11に接続している。
レーザ光源2は、たとえば、分布帰還型(Distributed FeedBack:DFB)の半導体レーザ素子であって、サブマウント4の上に、ペルチェ素子3を介して載置されている。このレーザ光源2は、制御装置16によって制御されたペルチェ素子3を用いてその素子温度を調整することによって、レーザ発振波長を制御することができる。なお、レーザ光源2は、単一の半導体レーザ素子を備えるものでもよいし、たとえば互いにレーザ発振波長が異なる複数の半導体レーザ素子、光合流器、および半導体光増幅器を集積した集積型半導体レーザ素子を備えるものでよい。このような集積型半導体レーザ素子は、駆動する半導体レーザ素子を切り替えると共に素子温度を制御することによって、単体の半導体レーザ素子よりも広帯域な連続した波長帯域のレーザ光を出力することができる。
コリメートレンズ5は、レーザ光源2の出射端面近傍に配置されている。コリメートレンズ5は、レーザ光源2から出射されたレーザ光Lを平行光に変換し、平行光に変換されたレーザ光Lをビームスプリッタ6に入力させる。
ビームスプリッタ6は、入力された光の一部を透過し、残部を反射させる部分反射面6a、6bを有している。ビームスプリッタ6は、部分反射面6aにおいて、コリメートレンズ5によって入力されたレーザ光Lの大部分(レーザ光L1とする)を透過して光アイソレータ12に入力させるとともに、レーザ光Lの残部を部分反射面6b側に反射させる。さらに、ビームスプリッタ6は、部分反射面6bにおいて、部分反射面6aが反射したレーザ光Lの残部のさらに一部(レーザ光L2とする)を透過してパワーモニタ用フォトダイオード7に入力させるとともに、さらに残部をエタロンフィルタ8側に反射させる。パワーモニタ用フォトダイオード7は、レーザ光L2の強度を検出し、検出された強度に応じた電気信号を制御装置16に入力する。
光学素子であるエタロンフィルタ8は、波長に対して周期的な透過特性(透過波長特性)を有し、その透過波長特性に応じた透過率で、部分反射面6bが反射したレーザ光を選択的に透過して波長モニタ用フォトダイオード9に入力する。波長モニタ用フォトダイオード9は、エタロンフィルタ8を透過したレーザ光(レーザ光L3とする)の強度を検出し、検出された強度に応じた電気信号を制御装置16に入力する。エタロンフィルタ8の透過波長特性の周期としては、光の周波数にしてたとえば50GHz、33.3GHz、25GHzなどである。
ベースプレート10は、サブマウント4、コリメートレンズ5、ビームスプリッタ6、パワーモニタ用フォトダイオード7、エタロンフィルタ8、波長モニタ用フォトダイオード9、および光アイソレータ12を載置する。ペルチェ素子11は、筐体15の底面とベースプレート10との間に設けられ、ベースプレート10及びサブマウント4を介してレーザ光源2を冷却または加熱して所望の温度とする。なお、ペルチェ素子11は、ベースプレート10を介してエタロンフィルタ8の温度を調整して、エタロンフィルタ8の透過波長特性を制御してもよい。光アイソレータ12は、光ファイバ14からの戻り光がレーザ光源2に戻ることを抑制する。集光レンズ13は、ビームスプリッタ6を透過したレーザ光L1を光ファイバ14に結合させて出力する。
パワーモニタ用フォトダイオード7及び波長モニタ用フォトダイオード9によって検出されたレーザ光L2、L3の強度は、制御装置16による波長ロック制御(レーザ光Lの波長を所望の波長及び強度にするためのレーザ光源2の制御)に用いられる。
具体的には、波長ロック制御では、制御装置16は、パワーモニタ用フォトダイオード7によって検出されたレーザ光L2の強度と、波長モニタ用フォトダイオード9によって検出された、エタロンフィルタ8透過後のレーザ光L3の強度との比が、レーザ光L1の強度及び波長が所望の強度及び波長になるときの比になるように、レーザ光源2の駆動電流と温度とを制御する。これにより、レーザ光L1の強度及び波長を所望の強度及び波長(ロック波長)に制御することができる。
つぎに、エタロンフィルタ8についてより具体的に説明する。図2は、図1に示すエタロンフィルタ8の近傍を示したA矢視図である。図2に示すように、エタロンフィルタ8は、基板であるベースプレート10上に、厚さtの接着剤17にて接合されている。
ここで、このレーザモジュール1は、たとえば環境温度が−40℃から−85℃の範囲で使用される。ところが、エタロンフィルタ8の線膨張係数とベースプレート10の線膨張係数との差が大きい場合、このレーザモジュール1が上記のような広い環境温度の変動下に置かれると、温度変動の際に、上記の線膨張係数の差によってエタロンフィルタ8とベースプレート10とが異なる膨張収縮をする。これによって、エタロンフィルタ8に応力がかかり、変形や反り、または歪等が発生する。このような変形等がエタロンフィルタ8に発生すると、屈折率の変化等が発生し、エタロンフィルタ8の透過波長特性が変化してしまう。レーザ光源2はエタロンフィルタ8の透過波長特性に依存して制御されているため、このようなエタロンフィルタ8の透過波長特性の変化があると、ロック波長が所望の波長からずれてしまい、安定した波長制御ができない場合がある。
これに対して、本実施の形態に係るレーザモジュール1では、エタロンフィルタ8とベースプレート10とを接合する接着剤17の厚さtが、エタロンフィルタ8の線膨張係数とベースプレート10の線膨張係数との差によってエタロンフィルタ8に掛かる応力を緩和する厚さに設定されている。その結果、レーザモジュール1では、ロック波長のずれが抑制されるので、安定した波長制御が実現される。
なお、ベースプレート10の材質としては、レーザ光源2をペルチェ素子11で冷却または加熱する際の熱伝導性等の観点、および線膨張係数が小さいという観点から、たとえばアルミナ(線膨張係数:6.8〜7.2ppm/K)や窒化アルミニウム(線膨張係数:4.6ppm/K)などのセラミックを使用することができる。また、エタロンフィルタ8の材質としては、石英ガラス(線膨張係数:0.47ppm/K)またはBK7(線膨張係数:7.1ppm/K)などのガラスや、レーザ光の光軸と結晶軸(C軸)とを平行にした水晶(線膨張係数:7.1ppm/K)、レーザ光の光軸と結晶軸(C軸)とを垂直にした水晶(線膨張係数:13.2ppm/K)、BGO(線膨張係数:16.8ppm/K)、またはシリコン(線膨張係数:2.6ppm/K)等を使用することができる。
エタロンフィルタ8において、レーザ光が透過する方向の線膨張係数が10ppm/K以上のように大きい場合には、線膨張係数が比較的小さい上記のセラミック材料からなるベースプレート10と組み合わせて使用する際に、線膨張係数の差が大きくなるので、線膨張係数の差に応じて接着剤17の厚さtを設定し、応力を緩和することがより好ましい。また、エタロンフィルタ8の線膨張係数とベースプレート10の線膨張係数との差としては、8ppm/K以上の場合に、線膨張係数の差に応じて接着剤17の厚さtを設定し、応力を緩和することが特に効果的である。
また、接着剤17としては、たとえばエポキシ樹脂、エポキシアクリレートやウレタンアクリレート等のアクリル樹脂、ウレタン樹脂、及びシリコーン樹脂のうちのいずれかの樹脂材料を主成分とするものを使用することができる。また、これらの樹脂にフィラーとしてたとえばタルク(MgSi10(OH))またはシリカ(SiO)、窒化アルミニウム、アルミナ、窒化ほう素等を添加したものでもよい。特に、接着剤17の硬度が、ショアD90以下であることが好ましい。たとえば、エポキシ樹脂の場合、その硬度はショアD80〜ショアD90程度とできる。接着剤17の厚さtは接着剤17の硬度に応じて調整することが好ましい。
接着剤17の厚さの一例としては、エタロンフィルタ8の線膨張係数とベースプレート10の線膨張係数との差が8ppm/K以上、接着剤17の硬度がショアD80〜ショアD90の場合は、50μm以上であることが好ましい。また、接着剤17の厚さは、接着剤17による接合部分の機械的強度(たとえば破壊強度)が十分に確保される程度の厚さであることが好ましく、たとえば上述した樹脂材料を主成分とする接着剤の場合は、300μm以下の厚さであることが好ましい。
つぎに、上記実施の形態に係るレーザモジュールと同様の構成のレーザモジュールを作製し、これを−40℃〜85℃の温度サイクル下に置き、波長ロック制御を行なうとともに、ロック波長の波長ドリフトを測定した。なお、エタロンフィルタとしては、レーザ光の光軸と結晶軸(C軸)とを垂直にした水晶を用いた。接着剤としては、ショアD90のエポキシ樹脂を用いた。ベースプレートとしては、窒化アルミニウムからなるものを用いた。接着剤の厚さは、20μmまたは50μmとした。
図3は、温度サイクルに対する波長ドリフトを示す図である。図3に示すように、接着剤の厚さが20μmの場合は、温度サイクルの回数の増加につれて波長ドリフトの絶対値が0pm(ピコメータ)から大きくなり、100回を越えると好ましい波長ドリフトの範囲である±10pmを超えた。これに対して、接着剤の厚さが50μmの場合は、温度サイクルの回数が500になっても波長ドリフトの値が0pmから殆ど変動しなかった。
なお、上記の実施の形態では、光学素子は、エタロンフィルタである。しかしながら、本発明において、光学素子はエタロンフィルタである場合に限られず、その波長特性(透過特性や反射特性)に依存してレーザ光源が制御されるような光学素子であればよい。このような光学素子は、例えば、回折格子型の波長フィルタ、回折格子構造に加工された光導波路などである。
また、上記実施の形態により本発明が限定されるものではない。上述した各構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。また、さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
1 レーザモジュール
2 レーザ光源
3、11 ペルチェ素子
4 サブマウント
5 コリメートレンズ
6 ビームスプリッタ
6a、6b 部分反射面
7 パワーモニタ用フォトダイオード
8 エタロンフィルタ
9 波長モニタ用フォトダイオード
10 ベースプレート
12 光アイソレータ
13 集光レンズ
14 光ファイバ
15 筐体
16 制御装置
17 接着剤
L、L1、L2、L3 レーザ光
t 厚さ

Claims (6)

  1. レーザ光を出力するレーザ光源と、
    前記レーザ光が入力される、所定の透過波長特性または反射波長特性を有する光学素子と、
    前記光学素子を載置する基板と、
    前記光学素子と前記基板とを接合する接着剤と、
    を備え、前記レーザ光源は、前記光学素子を透過したまたは前記光学素子により反射された後の前記レーザ光の強度が検出されて該検出された強度に基づいて前記レーザ光の波長が制御されており、前記接着剤は、前記光学素子の線膨張係数と前記基板の線膨張係数との差により前記光学素子に掛かる応力を緩和する厚さに設定されており、
    前記光学素子の線膨張係数と前記基板の線膨張係数との差は、8ppm/K以上であり、
    前記接着剤の厚さは、50μm以上300μm以下であり、
    前記接着剤の硬度は、ショアD80〜ショアD90であり、
    前記接着剤は、エポキシ樹脂材料を主成分とし、フィラーが添加されている
    ことを特徴とするレーザモジュール。
  2. 前記フィラーは、タルク(MgSi10(OH))またはシリカ(SiO)、窒化アルミニウム、アルミナ、窒化ほう素のいずれかを含むことを特徴とする請求項1に記載のレーザモジュール。
  3. 前記光学素子の前記レーザ光が透過する方向の線膨張係数は、10ppm/K以上であることを特徴とする請求項1または2に記載のレーザモジュール。
  4. 前記光学素子は、エタロンフィルタであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のレーザモジュール。
  5. 前記レーザ光の一部を受光する第1受光素子と、前記エタロンフィルタを透過したレーザ光の一部を受光する第2受光素子と、をさらに備え、前記第2受光素子の受光強度と前記第1受光素子の受光強度との比に基づいて、前記レーザ光の波長が所望の波長になるように前記レーザ光源を制御することを特徴とする請求項に記載のレーザモジュール。
  6. 前記レーザ光源は、分布帰還型半導体レーザ素子であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載のレーザモジュール。
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