JP5829507B2 - ラップフィルム収納箱 - Google Patents

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Description

本発明は、一般家庭、食料品販売業、飲食物提供役務等において、主として食品の包装用に汎用されているラップフィルムを巻回したものを収納する箱に関する。更に詳しくは、鋸歯等の切断具の無い収納箱に関する。
従来から、ラップフィルムは例えば図9に示すような直方体の箱に納められた巻回フィルムとして提供されており、ここから必要分量を引出し、何らかの方法で長さ方向に対して横に切断し、使用に供される。横に切断する方法としては、箱の掩蓋片等に配備された長尺の金属製鋸歯によるものが最も一般的である。
しかし、金属製鋸歯は、手を怪我する等の安全性の問題や紙製の箱と金属製の鋸歯とを廃棄時に分別しなくてはいけないという問題があり、これらの問題を解決するために、鋸歯に替えて、異形の金属粉を接着したシートを切断具に用いたり(特許文献1)、巻回フィルムがその長さ方向に連続した加工傷を有し、その加工傷域と接触する箱の局部に金属片やバルカナイズド紙片等の切断補助具を設けたり(特許文献2)することが提案されている。しかし、上述した安全性の問題や分別の問題は依然として残っている。
また、巻回フィルムの横方向の端部に一定間隔で切れ目を設けることにより、鋸歯等の切断具がない箱でも切れ目に沿ってフィルムを切断できる方法が提案されている(特許文献3)。しかし、従来の箱から単に鋸歯を無くしただけの箱では、フィルムのカット性が不十分である。また、箱の一部が切断具の役目を果たすため、巻回フィルムを使い切る前に上記箱の一部が傷んでしまい、フィルムの切断ができなくなってしまうという問題がある。
特開昭61−217345号公報 特開平11−124133号公報 特開2001−322636号公報
本発明の目的は、巻回フィルムを収納した箱に鋸歯等の切断具が無くても、実用上満足のできるカット性を発現し、かつその効果を、収納したフィルムを使い切るまで維持することのできるラップフィルム収納箱を提供することである。
本発明者らは、鋭意研究した結果、従来のラップフィルム収納箱において、前面板(5)の外表面にフラップ状突起(7)を設けると、収納箱から引き出したラップフィルムを掩蓋片(1)の先端縁とフラップ状突起(7)とによって挟むことにより、箱に鋸歯等の切断具が無くてもフィルムを良好に切断することができ、上記目的を達成することができることを見出した。
すなわち、本発明は、巻回されたラップフィルムを収納する箱であって、前面板(5)、底面板(4)、後面板(6)および側面板(3)の各壁面で形成される、上部が開口した直方体の収納室と、後面板(6)の上端縁から収納室の開口部を覆う方向に連接した開閉可能な蓋面板(2)と、蓋面板(2)の前端縁から前面板(5)を覆う方向に延出した掩蓋片(1)とを有する収納箱において、
前面板(5)が、その外表面の長手方向の両端部の少なくとも一方にフラップ状突起(7)を有し、ここで、蓋面板(2)を閉じて掩蓋片(1)が前面板(5)を覆ったときに、掩蓋片(1)の先端縁の一部がフラップ状突起(7)と接触し、かつ掩蓋片(1)の先端縁の該接触する部分の少なくとも一部の前面板(5)上での位置とほぼ同じ位置に、フラップ状突起(7)と前面板(5)との境界線の少なくとも一部があるようにフラップ状突起(7)が形成されているところの収納箱である。
本発明の収納箱は、鋸歯等の切断具を何ら有していなくてもフィルムを良好に切断することができるので、手を怪我する等の安全性の問題や、紙製の箱と金属製の鋸歯とを廃棄時に分別しなくてはいけないという問題を回避することができる。
本発明の収納箱の一例を示す斜視図である。 図1の収納箱において、フラップ状突起(7)を収納室の外側に起こし、蓋面板(2)を閉じた状態を示す斜視図である。 前面板(5)の一例を示す正面図である。 前面板(5)の他の一例を示す正面図である。 フラップ状突起(7)の形状を示す図である。 本発明の収納箱の別の例を示す斜視図である。 図1の収納箱の展開図を示す図である。 ローレット加工が施されたラップフィルムの表面を写真撮影した図である。 従来の収納箱を示す斜視図である。
本発明のラップフィルム収納箱を、図を参照して説明する。図1は、本発明の収納箱の一例を示す斜視図である。本発明の収納箱は、前面板(5)、底面板(4)、後面板(6)および側面板(3)の各壁面で形成される、上部が開口した直方体の収納室と、後面板(6)の上端縁から収納室の開口部を覆う方向に連接した開閉可能な蓋面板(2)と、蓋面板(2)の前端縁から前面板(5)を覆う方向に延出した掩蓋片(1)とを有し、前面板(5)は、その外表面にフラップ状突起(7)を有する。図1中のフラップ状突起(7)において、実線は折り曲げ線であり、破線は切込み線であり、切込み線に沿って切り込みが入っている。
図2は、収納箱に収納されているラップフィルムを引き出し、フラップ状突起(7)を利用してフィルムを切断するときの収納箱の状態を示す図である。フィルムを切断するときには、図2に示すようにフラップ状突起(7)を上記折り曲げ線が谷になるように収納室の外側に起こし、フィルムを引き出した後、蓋面板(2)を閉じる。本発明の収納箱は、図2に示すように、蓋面板(2)を閉じて掩蓋片(1)が前面板(5)を覆ったときに、掩蓋片(1)の先端縁の一部がフラップ状突起(7)と接触し、かつ掩蓋片(1)の先端縁の該接触する部分の少なくとも一部の前面板(5)上での位置と略同じ位置に、フラップ状突起(7)と前面板(5)との境界線(8)の少なくとも一部があるように構成されている。本発明の収納箱は、上記フラップ状突起(7)を有することにより、ラップフィルムを引き出しそして蓋面板(2)を閉じたときに、ラップフィルムの幅方向の端部を掩蓋片(1)の先端縁(9)とフラップ状突起(7)とによって挟み、そしてラップフィルムの上記端部を上記境界線(8)に対して掩蓋片(1)の先端縁(9)により押し付けることができる。その結果、ラップフィルムの上記端部に力が集中して切断のきっかけを生じ、箱に鋸歯等の切断具が無くても、掩蓋片(1)の先端縁(9)に沿ってフィルムを良好に切断することができる。フラップ状突起(7)は、前面板(5)の外表面の長手方向の両端部の少なくとも一方に設けられるが、ラップフィルムを幅方向の左右どちらの端部からでも切断できるように、前面板(5)の外表面の長手方向の両方の端部に設けられるのが好ましい。
フラップ状突起(7)の好ましい位置および大きさを、図3および4を参照して説明する。なお、以下では、掩蓋片(1)の先端縁が前面板(5)の下端縁と平行である場合について説明するが、本発明は掩蓋片(1)の先端縁がそのように平行である場合に限定されない。図3および4は、フラップ状突起(7)を有する前面板(5)の一例を示す正面図である。図3および4は、前面板(5)に切込みを入れることにより、前面板(5)にフラップ(7)を形成した場合を示す。図3および4において、破線が切込み線である。あるいは、前面板(5)とは別にフラップ状突起(7)を用意し、前面板(5)の適切な箇所に取り付けることによりフラップ状突起(7)を形成してもよい。図3および4において、一点鎖線は、蓋面板(2)を閉じて掩蓋片(1)が前面板(5)を覆ったときの前面板(5)上での掩蓋片(1)の先端縁(9)の位置を示す。フラップ状突起(7)は、それと前面板(5)との境界線(8)の少なくとも一部が上記一点鎖線と略同じ位置にあるように形成される。例えば、図3に示されるように、上記境界線(8)が上記一点鎖線上にある。あるいは、ラップフィルムの幅方向の端部を掩蓋片(1)の先端縁(9)とフラップ状突起(7)とによって挟み、そしてラップフィルムの上記端部を上記境界線(8)に対して掩蓋片(1)の先端縁(9)により押し付けることができる範囲において、上記境界線(8)が上記一点鎖線より少し上または下であってもよい。図4は、上記境界線(8)が、上記一点鎖線よりも下にある場合である。図4において、上記一点鎖線と上記境界線(8)との間の距離をdとすると、dは3mm以下が好ましく、より好ましくは1mm以下である。上記境界線(8)が上記一点鎖線より上にある場合のそれらの間の距離も上記dと同様である。dが大き過ぎると、フィルムの幅方向の端部を上記境界線(8)に対して掩蓋片(1)の先端縁(9)により押し付けることが困難であり、したがって、ラップフィルムを良好に切断することができない。
図3において、aは、前面板(5)と側面板(3)との境界線(10)と、フラップ状突起(7)と前面板(5)との境界線(8)との間の最短距離であり、bは、上記境界線(8)の長さであり、cは、フラップ状突起(7)の高さである。aは、10mm以下が好ましく、より好ましくは6mm以下である。下限は特に制限されないが、収納箱の強度の保持や収納箱の製造容易性の観点から、aが2mm以上であるのが好ましい。
bは、フラップ状突起(7)の強度や収納箱全体の強度、およびフィルムカット性を考慮して適宜決定することができる。具体的には、10mm〜50mmが好ましい。bが小さ過ぎるとフラップ状突起(7)の強度が不足する場合がある。一方、bが大き過ぎると、フラップ状突起(7)の形状にもよるが、収納箱全体の強度やフィルムカット性を低下させる場合がある。
cは、フラップ状突起(7)の強度や箱全体の強度、および工作の容易さ等を考慮して適宜決定することができる。具体的には、2〜10mmが好ましく、2〜6mmがより好ましい。
フラップ状突起(7)の形状は、ラップフィルムを掩蓋片(1)の先端縁(9)とフラップ状突起(7)とによって挟み、そしてラップフィルムをフラップ状突起(7)の上記境界線(8)に対して掩蓋片(1)の先端縁(9)により押し付けるという機能を果たすことができるものであれば、どのようなものでもよい。例えば、図3に示される形状の他に、図5に示される形状が挙げられるが、これらに限定されない。なお、図5における一点鎖線は、図3および4と同様に、蓋面板(2)を閉じて掩蓋片(1)が前面板(5)を覆ったときの前面板(5)上での掩蓋片(1)の先端縁(9)の位置を示す。
図5の(イ)〜(ニ)および(ヘ)の形状は、フラップ状突起(7)の前面板(5)との境界線(8)が前面板の下端縁と平行である場合であるが、図5(ホ)に示すように、上記境界線(8)は、前面板(5)の下端縁と平行でなくてもよい。後者の場合には、フィルムの幅方向の端部が、境界線(8)の最も上の箇所(すなわち、境界線(8)において前面板(5)の上端縁に最も近い箇所)で掩蓋片(1)の先端縁(9)によって押し付けられるので、上記境界線の最も上の箇所が、前面板(5)上での掩蓋片(1)の先端縁(9)の位置と略同じ位置にある。また、上記境界線の最も上の箇所が、境界線の他の箇所よりも、前面板(5)と側面板(3)との境界線(10)に近い位置にあるのが好ましい。
フラップ状突起(7)は、前面板(5)の外表面の長手方向の両端部の一方または両方に設けられる。両方の端部に設けられるのが好ましく、その場合には、2つのフラップ状突起(7)は、形状や位置において、互いに同じでも異なっていてもよい。
本発明の収納箱は、ラップフィルムの収納のために通常用いられる紙、例えば坪量400〜500g/mのコートボール紙等を使用して作ることができる。紙の坪量は、小さいと耐久性に問題が生じ易くなり、大きいとコスト高になる。従って、紙の坪量は、収納するフィルムロールの尺長から必要となる耐久性を勘案して適宜選択される。
フラップ状突起(7)の形成は、図3に関して記載したように、前面板(5)に切込みを入れることによって行うことができる。この場合には、図6に示されるように、フラップ状突起(7)を起こすのを容易にするための開口部(11)を設けてもよい。あるいは、前面板(5)とは別にフラップ状突起(7)を用意し、それを前面板(5)の適切な場所に貼り付けることによりフラップ状突起(7)を形成してもよい。この場合には、収納箱を構成するものと同じ紙を使用してフラップ状突起(7)を構成することができる。
さらに、本発明の収納箱は、耐久性の点から、掩蓋片(1)や前面板(5)および蓋面板(2)に、好ましくは美感の点からそれらの裏面に、紙製の補強板を貼合してそれらを補強することが好ましい。掩蓋片(1)および前面板(5)の補強は、それらの耐久性を直接向上させる。蓋面板(2)の補強は、箱全体の捻り剛性を高くし、したがって箱全体の耐久性を向上させる。紙製の補強板としては、収納箱を構成するものと同じ紙を使用することができる。補強板は、収納箱とは別に用意して上記裏面に貼付することができる。あるいは、例えば掩蓋片(1)の先端縁や前面板(5)の上端縁に補強板を一体的に取り付け、上記先端縁や上端縁のところで裏側に折り返して貼り付けることにより補強を行うこともできる(図7参照)。補強板の大きさは、収納箱全体の強度や製函性を考慮して適宜決めることができる。前面板(5)については、フラップ状突起(7)が形成された部分の強度が不足し易いので、その部分に対応する前面板(5)の裏側を覆うように補強板を設けるのが好ましい。
本発明の収納箱はラップフィルム用である。収納されるラップフィルムは、ラップフィルムとして有用な機械的強度を有するものであれば何でもよく、例えばポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリメチルペンテン−1およびポリアミド等から選ばれる樹脂からなる単層又は多層のフィルムで全厚みが3〜30μm、典型的には8〜15μm程度のもの、が挙げられる。上記機械的強度として、ラップフィルムの長さ方向および横方向の引張破断力がいずれもが1〜15N、より好ましくは1〜10Nであるのが好ましい。なお、本明細書において、引張破断力は、JISK−7127に従い、試験速度500mm/分および試験片タイプ2を用いて測定された値である。
また、本発明の収納箱は、横切性に優れるラップフィルムの収納に特に有用である。そのようなフィルムとしては、例えば特願2010−275113号明細書に記載された方法によって得られるフィルムが挙げられる。このフィルムは、(A)ポリメチルペンテン−1系樹脂100質量部、および(B)ポリブテン−1系樹脂0.5〜60質量部、好ましくは1〜25質量部および/または流動パラフィン0.1〜20質量部、好ましくは1〜12質量部、ただし成分(B)の総量が75質量部を超えず、好ましくは0.6〜75質量部、より好ましくは2〜35質量部、さらに好ましくは3〜25質量部である、を含むポリメチルペンテン−1系樹脂組成物を、Tダイを使用して3〜30μmのフィルム肉厚に押出すことにより製造することができる。このとき、上記押出を、Tダイのリップ開度R(単位μm)、フィルム肉厚t(単位μm)、ダイスから押し出される樹脂組成物のダイス幅1cm当たりの吐出速度E(単位cm/hr)およびエアギャップA(単位cm)が下記式:
15≦(1/t − 1/R)・(E/At )×100≦900 ・・・式
を満たすような条件で行うのが好ましい。好ましくは、tが5〜20μm、より好ましくは8〜15μmであり、Aが0.5〜2cmであり、Eが100cm/hr以上であり、Rが300〜900μm程度である。
なお、上記式は、Tダイを使用する押出製膜において、ダイスを出る溶融状態のフィルムがチルロールに到達して最終的な大きさのフィルムになるまでのフィルムの変形速度が大きい条件で行われることを意味し、これは、ダイスからチルロールまでのエアギャップにおいて、溶融状態のフィルムを大きくかつ速く引落とすことを意味する。
上記ポリメチルペンテン−1系樹脂(A)は、4−メチルペンテン−1又は3−メチルペンテン−1の単独重合体の他に、4−メチルペンテン−1及び/又は3−メチルペンテン−1と他のα−オレフィンとの共重合体を包含する。α−オレフィンは1種単独でも、2種以上の組合せでもよい。α−オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン等が挙げられる。
成分(B)としての上記ポリブテン−1系樹脂は、ブテン−1の単独重合体のほかに、ブテン−1と他のα−オレフィンとの共重合体を包含する。α−オレフィンは1種単独でも、2種以上の組合せでもよい。α−オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン等が挙げられる。上記流動パライフィンは、鎖式飽和炭化水素を主体とする常温で液体の化学的に安定な物質であり、市販例(商品名)としては、出光興産株式会社のダフニーオイルCP、株式会社MORESCOのモレスコホワイト、カネダ株式会社のハイコールKなどを挙げることができる。
上記ポリメチルペンテン−1系樹脂組成物には、さらに、ポリメチルペンテン−1系樹脂以外の熱可塑性樹脂(例えば、ポリプロピレンおよびポリエチレン)、液状ポリブテン(水添ポリイソブチレン)等の液状加工助剤、酸化防止剤、中和剤、防曇剤、スリップ剤等の添加剤を配合することができる。上記熱可塑性樹脂および液状加工助剤の配合量は、合計で、ポリメチルペンテン−1系樹脂100質量部に対して20質量部以下が好ましく、より好ましくは10質量部以下である。
また、本発明の収納箱に収納したラップフィルムがより小さい力で切断できるならば、収納箱に与える負荷をより小さくすることができ、その結果、収納したフィルムを使い切るまでより良好なカット性を維持することができる。より小さい力での切断を可能にするために、フィルムに切断のための何らかのきっかけを設けることができる。具体的には、フィルムの横方向の端部の少なくとも一方に、例えば0.1〜10mmの幅で、ローレット加工やレーザー加工を施すことができる。
ローレット加工は、フィルムを金属製等の彫刻ロールと金属製や高硬度のゴム等の彫刻ロール又は平滑ロールとで挟み込むことにより、あるいはフィルムの巻に該彫刻ロールを押し当てることにより微細なエンボスや傷を入れる加工である。加工条件はフィルムの材質により適宜選択されるべきであるが、通常、押圧は10〜50N/m程度である。ローレット加工が施されたフィルム表面を写真撮影したものを図8に示す。ローレット加工は、原反製膜時に、スリット加工時に、またはスリット加工後に独立の工程を設けて施すことができる。ローレット加工は、フィルムの横方向の端部の少なくとも一方に施されるが、どちらの側からでも切断出来るように、両方の端部に施すことがより好ましい。加工幅は通常0.1〜10mmであり、好ましくは0.3〜6mmである。
レーザー加工はレーザーの照射熱により、フィルムを極めて微細な領域において溶融し、そこに凹形状や孔を設ける加工である。使用するレーザーは、特に制限されない。例えば、炭酸ガスレーザー、ヘリウムネオンレーザー、アルゴンイオンレーザーおよびエキシマレーザーなどのガスレーザーや、クロム添加ルビー結晶を媒質に使用したルビーレーザー、チタン添加サファイア結晶を媒質に使用したチタンサファイアレーザー、YAG結晶中のイットリウムを他の希土類元素で置換した種々のYAGレーザーおよびネオジム添加YAGを用いたNd:YAGレーザーなどの固体レーザーが挙げられる。また、液体レーザー、半導体レーザー、自由電子レーザー、金属蒸気レーザー、化学レーザー等の公知のレーザーを使用することができる。照射出力は、0.5〜20W程度であり、フィルムの肉厚や加工速度を勘案して適宜調節する。レーザー加工は、原反製膜時に、スリット加工時に、またはスリット加工後に独立の工程を設けて施すことができる。レーザー加工は、フィルムの横方向の端部の少なくとも一方に施されるが、どちらの側からでも切断出来るように、両方の端部に施すことがより好ましい。加工幅は通常0.1〜10mmであり、好ましくは0.3〜6mmである。
また、ローレット加工やレーザー加工を施すと、巻回フィルムの引出端が巻き本体に強く密着して引き出せなくなるというトラブルの防止効果を得ることもできる。
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1〜8および比較例1
片面コートされたコートボール紙(厚紙の坪量450g/m)を使用し、フラップ状突起(7)が図3に示す形状を有し、距離(a)、幅(b)、高さ(c)、距離(d)が表1に示す通りである、図1に示す形状の縦44mmx横44mmx長さ310mmの収納箱を製作した。掩蓋片(1)の長手方向に対して垂直方向の長さは24mmである。なお、前面板(5)については、その上端縁に一体的に取り付けた補強板を裏面側に折り返し、接着剤を使用して貼合することにより補強した。この補強板の大きさは前面板(5)の大きさと略同じであった。
試験
上記のようにして得られた収納箱に、巻回されたラップフィルム(幅300mm、長さ50mのフィルムを、幅305mm、内径27mm、肉厚1.5mmの紙管に巻いたもの)を収納し、下記の試験を行った。結果を表1に示す。なお、上記ラップフィルムとしては、4−メチルペンテン−1(三井化学株式会社製のMX−0020(商品名)、MFR(260℃、5.00kg)21g/10分)100質量部、ポリブテン-1(LYONDELLBASELL社製のPB8640M(商品名)、MFR(190℃、21.18N)28g/10分)3質量部および流動パラフィン(カネダ株式会社製のハイコールK−350(商品名))5質量部からなる樹脂組成物を、株式会社日本製鋼所製のTダイ製膜装置を用いて製膜した肉厚12μmのフィルムの横方向の両端にロートレット加工を施したものを使用した。上記製膜は、リップ開度400μm、エアギャップ1.5cm、吐出速度712cm/hr、チルロール温度25℃およびダイス出口樹脂温度290℃の条件で行い、バキュームチャンバーおよび耳ジェットを使用した。ローレット加工は、押え量0.2mm、加工幅0.6mm、加工速度400m/分の加工条件で行った。このフィルムの長さ方向および横方向の引張破断力はそれぞれ5.4Nおよび2.9Nであった。
(1)カット性試験
収納されたラップフィルムを収納箱から約40cm引出し、蓋を閉じた状態で、掩蓋片(1)の先端縁とフラップ状突起(7)を利用してフィルムを切断する試験を10回試み、切断できた回数を切断率(%)として表記した。
(2)耐久性
試験(1)と同様の切断を100回試みた後、さらに10回の切断を試み、この10回の試行において切断できた回数を切断率(%)として表記した。
1:掩蓋片
2:蓋面板
3:側面版
4:底面板
5:前面板
6:後面板
7:フラップ状突起

Claims (3)

  1. 巻回されたラップフィルムを収納する箱であって、前面板(5)、底面板(4)、後面板(6)および側面板(3)の各壁面で形成される、上部が開口した直方体の収納室と、後面板(6)の上端縁から収納室の開口部を覆う方向に連接した開閉可能な蓋面板(2)と、蓋面板(2)の前端縁から前面板(5)を覆う方向に延出した掩蓋片(1)とを有する収納箱において、
    前面板(5)が、その外表面の長手方向の両端部の少なくとも一方にフラップ状突起(7)を有し、ここで、蓋面板(2)を閉じて掩蓋片(1)が前面板(5)を覆ったときに、掩蓋片(1)の先端縁の一部がフラップ状突起(7)と接触し、かつ掩蓋片(1)の先端縁の該接触する部分の少なくとも一部の前面板(5)上での位置とほぼ同じ位置に、フラップ状突起(7)と前面板(5)との境界線の少なくとも一部があるようにフラップ状突起(7)が形成されているところの収納箱。
  2. 巻回されたラップフィルムを請求項1に記載の収納箱に収納した製品。
  3. ラップフィルムの横方向の端部の少なくとも一方に幅0.1〜10mmのローレット加工および/またはレーザー加工が施されていることを特徴とする、請求項2に記載の製品。
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