JP6902873B2 - 積層フィルム - Google Patents

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Description

本発明は積層フィルムに関する。
従来から、食品、調味料、医薬品、サプリメント等の液体、粘稠体、又は粉体を充填包装する小袋として、種々の材料から成る積層フィルムが提案されている。これら積層フィルムは、例えばパウチ状の充填包装袋として提供され、使用者において例えばノッチを手掛かりに該パウチを引裂いて開封し、内容物を使用(例えば喫食)する。
そのため積層フィルムの分野においては、内容物を外部環境から保護するためのバリア性能、十分な密封性を与えるシール性能等に関することの他、快適な開封性に関する技術が種々提案されている。
例えば特許文献1には、基材層にポリエチレンフィルムから成るシール層を積層して形成され、端縁に形成された切込みからの引裂強度が0.4N以下で、衝撃強度が0.7J以上の包装用積層体が記載されており、該積層体が必要な強度と良好な引裂き性とを有する包装袋を与えると説明されている。
特許文献2には、一方向引裂き性を有する延伸ポリプロピレンフィルムとバリアフィルムとを積層し、少なくともそのいずれかの側にシーラント層を設けてなる積層フィルムと引裂き方向が一致するようにシーラント層を対向させ周縁部をシールして袋状に成形した包装袋が記載されており、該包装体が、酸素ガスバリア性、耐ピンホール性等に優れるとともに、一方向引裂き性を有すると説明されている。特許文献2に記載された包装袋は、比較的大容量の注射液等を充填する輸液バッグ用外装袋としての使用を意図している。
特開2006−51995号公報 特開2006−256626号公報
特許文献1及び2の技術は、使用者が開封時に所定の方向に応力をかけ、本来予定されている方向に引裂こうとする場合には、当該方向に快適に引裂くことができる。
しかし、例えば、疾患、負傷、加齢等によって手先の自由が制限されている使用者の場合、介護の現場等の、特殊な(しかし有りがちな)場面においては、使用者が開封時に包装袋に加える応力は、必ずしも本来予定されている開封方向と一致するとは限らない。この場合の包装袋は、加えられた応力の方向に従って例えば斜めに引裂かれることもあるし、或いは、本来予定されている方向及び加えられた応力の方向のいずれとも異なる方向に引裂かれることもある。
包装袋が、本来予定されている方向とは異なる方向に引裂かれて開封された場合、その開口部は予定よりも大きくなることが通常である。予定よりも大きく開いた開口部から取り出された内容物の取り出し直径は大きくなる。ここで、内容物が、例えば、ゼリー食品、羊羹等の高粘度食品の場合には、直径が大きいと誤嚥したときに好ましくないことがある。
ところで、充填包装袋を製造するときには、シール部に内容物が付着することがよくある。特に、内容物を充填しながら包装袋の製造を行う所謂「製袋充填」を行う場合には、シール部への内容物の付着は不可避である。従って、製袋充填に用いられる製袋材料には、シール部に内容物(夾雑物)が付着しても高いシール性能を発揮する「夾雑物シール性」又は「夾雑シール性」が要求される。
包装袋のシールは、ヒートシールによることが一般的である。しかしながら、ヒートシールは一般的に一袋当たり数秒間(典型的な夾雑物シールにおいては1〜3秒間)の工程時間を要し、スピードが十分に速いとは言えない。この点、超音波を印加することによってシールする超音波シールの場合には、一袋当たりの工程時間が1秒未満(例えば0.1〜0.5秒間)ですむ。そのため、製袋工程時間を短縮すべき要請からは、超音波シールを採用した場合に良好なシール性を有する製袋材料が要求される。
本発明は上記のような事情のもとになされた。従って本発明の目的は、包装袋の開封時に、本来予定されている方向とは異なる方向に引裂かれた場合であっても、予定方向に近い角度で開封することができ、更に、超音波シールを採用した場合に夾雑物シール性に優れた充填包装袋を製造することができる製袋材料を提供することである。
本発明は下記のとおりに要約される。
[1] 一軸延伸ポリプロピレンフィルムから成る外層と、
順不同でバリア層及び樹脂中間層と、
シーラント層と、
をこの順に有する積層フィルムであって、
前記シーラント層が以下の条件(1)〜(3):
(1)積層フィルムMD方向におけるヤング率が200MPa以上である、
(2)膜厚が外層の膜厚に対して2.5倍以下である、及び
(3)積層フィルムMD方向における引裂き強度が1N以上5N以下である、
のすべてを満たすことを特徴とする、前記積層フィルム。
[2] シーラント層が直鎖低密度ポリエチレンフィルムである、[1]に記載の積層フィルム。
[3] シーラント層のMD方向の引裂き強度が1N以上3N以下である、[1]又は[2]に記載の積層フィルム。
[4] [1]〜[3]のいずれか一項に記載の積層フィルムのシーラント層同士をシールして製袋されて成る、包装袋。
[5] 前記シールが超音波による夾雑物シールである、[4]に記載の包装袋。
[6] [1]〜[3]のいずれか一項に記載の積層フィルムのシーラント層同士を超音波シールする工程を含むことを特徴とする、製袋方法。
[7] 前記超音波シールする工程が、超音波による夾雑物シール工程である、
[6]に記載の製袋方法。
本発明の積層フィルムは、本来予定されている方向とは異なる方向に引裂かれて開封された場合であっても、予定方向に近い角度で開封することができるとともに、超音波シールを採用した場合に夾雑物シール性に優れた充填包装袋を製造することができるものである。本発明の積層フィルムは、例えば、ゼリー食品、羊羹等の高粘度食品を内容物とする充填包装袋(例えばパウチ)を製造するため、極めて好適である。
図1は、本発明の積層フィルムの積層構造を説明するための概略断面図である。 図2は、実施例における製袋充填プロセスの手順を示した説明図である。 図3(a)〜(c)は、積層フィルムの直進カット性の測定方法を説明するための図である。
以下、本発明について詳説する。
<積層フィルム>
本発明の積層フィルムは、
一軸延伸ポリプロピレンフィルムから成る外層と、
順不同でバリア層及び樹脂中間層と、
シーラント層と、
をこの順に有する積層フィルムであって、
前記シーラント層が以下の条件(1)〜(3):
(1)積層フィルムMD方向におけるヤング率が200MPa以上である、
(2)膜厚が外層の膜厚に対して2.5倍以下である、及び
(3)積層フィルムMD方向における引裂き強度が1N以上5N以下である、
のすべてを満たすことを特徴とする。上記において、積層フィルムが順不同でバリア層及び樹脂中間層を有するとは、これら2層の積層順が任意順でよいことを示す。
図1に、本発明の積層フィルムの積層構造を示した。図1(a)の積層フィルムは、図の上から、外層1、バリア層2、樹脂中間層3、及びシーラント層4をこの順に有する。一方、図1(b)の積層フィルムは、図の上から、外層1、樹脂中間層3、バリア層2、及びシーラント層4をこの順に有する。本発明の積層フィルムは、これら図1(a)及び(b)のどちらの積層構造を有する場合であってもよい。
[外層]
本発明の積層フィルムにおける外層は、包装袋の製造後に加えられる物理的衝撃から包装体及び内容物を保護するに足る耐衝撃性を具備し、好ましくはバリア性を兼ね備えるとともに、一方向引裂き性に優れる材料から成ることが適切である。
本発明においては、積層フィルムの外層として一軸延伸ポリプロピレンを使用する。後述の実施例において検証されるように、従来技術において一方向引裂き性に優れるものとして知られている他の材料から成る外層を使用した場合には、本来予定されている方向と異なる方向に応力が加えられた場合には、予定方向に近い角度で開封することはできない。本明細書においては、以下、本来予定されている方向と異なる方向に応力が加えられた場合でも予定方向に近い角度で開封することのできる性質を、「直進カット性」の用語を用いて表現する。
本発明における一軸延伸ポリプロピレンとしては、市販品を用いてもよい。このような市販品としては、例えば、フタムラ化学社製のMCMD−AS、MCMD−AS2、MCMD−NBT;東京インキ社製のANNM、ANN、ASCM、ASC、ASS等を挙げることができる。
外層の厚さは特に限定されない。得られる包装袋に十分な強度と、良好な直進カット性と、を与えるためには、例えば、7μm以上とすることができ、10μm以上とすることが好ましい。一方で外層の厚さの上限値は、シール時の超音波印加による振動の減衰を回避するとともに、充填包装物を陳列した時の内容物の視認性を良くするとの観点から、50μm以下とすることができ、30μm以下とすることが好ましい。
[バリア層]
本発明の積層フィルムにおいて好ましく使用されるバリア層は、外界からのガス(特に酸素)、水分、光の侵入を抑制し、内容物を保護する機能を有する層である。
本発明の積層フィルムにおけるバリア層を構成する材料としては、例えば、アルミニウム、シリカ、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール等を挙げることができる。
バリア層は、独立の膜又は箔として本発明の積層フィルムの製造に供されてもよいし、適当な基材フィルムの片面又は両面上に予め層状に形成された状態で供給される積層材料をそのまま用いてもよい。バリア層が基材フィルム上に形成された層であるとき、その基材フィルムは前述の外層又は後述の樹脂中間層の役割を兼ねていてもよい。好ましくは、該基材フィルムが樹脂中間層の役割を兼ねている場合である。上記基材フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン等から成るフィルムを挙げることができる。
バリア層の厚さは、
該バリア層が独立の膜又は箔として供される場合には、例えば、1μm以上、3μm以上、又は5μm以上、例えば、10μm以下、又は8μm以下とすることができ、
該バリア層が基材フィルム上に形成された層として供される場合には、例えば、1nm以上、3nm以上、又は5nm以上、例えば、500nm以下、300nm以下、又は200nm以下とすることができる。
[樹脂中間層]
本発明の積層フィルムにおける樹脂中間層は、積層フィルム全体に腰を与え、破袋強度を上昇させる機能を有する層である。
本発明の積層フィルムにおける樹脂中間層としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリプロピレン等を挙げることができる。
樹脂中間層は、無延伸であってもよいし、1軸延伸又は2軸延伸されたものであってもよい。特に好ましくは2軸延伸された樹脂フィルム含む層とすることである。樹脂中間層が2軸延伸された樹脂フィルムを含むことにより、積層フィルム全体の腰が向上し、破袋強度が高くなるため、内容物の保護性により優れることとなり、好ましい。
本発明の積層フィルムにおける樹脂中間層としては、市販品を用いてもよい。このような市販品としては、例えば、興人フィルム&ケミカルズ社製のボニールQ等を挙げることができる。
本発明の積層フィルムにおける樹脂中間層の厚さは、例えば、5μm以上又は10μm以上とすることができ、例えば、40μm以下又は20μm以下とすることができる。
[バリア層及び樹脂中間層]
上述のとおり、本発明の積層フィルムにおいては、バリア層として基材フィルムの片面又は両面上に予め層状に形成された状態で供給される積層材料をそのまま用い、該基材フィルムが樹脂中間層としての役割を兼ねてもよい。このような場合に好適に使用できる積層材料としては、例えば、ポリ塩化ビニリデンコート/2軸延伸ナイロン、ポリ塩化ビニリデンコート/2軸延伸ポリエチレンテレフタレート、アルミニウム蒸着/ポリエチレンテレフタレート、アルミニウム蒸着/2軸延伸ナイロン、シリカ蒸着/2軸延伸ポリエチレンテレフタレート、シリカ蒸着/2軸延伸ナイロン、ポリビニルアルコール/2軸延伸ポリプロピレン、ポリカルボン酸系ポリマー/2軸延伸ナイロン,メタキシレンジアミン−ナイロン複合フィルム、エチレンビニルアルコール共重合体−ナイロン複合フィルム等を挙げることができる。
これらの市販品としては、例えば、興人フィルム&ケミカルズ社製のKBC;ダイセルバリューコーティング社製のKET−HB60;東レフィルム加工社製のBR1412、BRON7012;凸版印刷製のGL−AE、GL−ARY;三井化学東セロ製のA−OP;ユニチカ製のエンブレットNV、エンブレムHGB;三菱樹脂製のスーパーニールSP−R、EH等を挙げることができる。
[シーラント層]
本発明の積層フィルムにおけるシーラント層は、超音波印加時の振動に起因する摩擦によって溶融して相互に融着することができ、外層の有する直進カット性を好ましくサポートすることができ、好ましくは更に内容物のレトルト処理に耐える耐熱性を有する材料から成る。
本発明の積層フィルムにおけるシーラント層は、以下の条件(1)〜(3):
(1)積層フィルムMD方向におけるヤング率が200MPa以上である、
(2)膜厚が外層の膜厚に対して2.5倍以下である、及び
(3)積層フィルムMD方向における引裂き強度が1N以上5N以下である、
のすべてを満たすことが要件である。
本発明におけるシーラント層は、比較的硬い材料から成る比較的薄い層である。シーラント層が硬くて薄い層であることにより、積層フィルムを超音波シールするときに、超音波による振動の減衰を抑制して良好な夾雑物シール性が得られるとともに、外層の直進カット性を妨害せずに良好にサポートすることができることとなる。シーラント層が硬くて薄い層であることは、上記の条件(1)ヤング率及び(2)膜厚の対外層比によって担保される。
シーラント層の(1)ヤング率は、JIS K7127に準拠して定法により測定することができる。シーラント層のヤング率は、超音波による振動の減衰を抑制して良好な夾雑物シール性を担保し、外層の直進カット性を好ましくサポートするために、積層フィルムMD方向において、好ましくは225MPa以上であり、より好ましくは250MPa以上である。一方で、摩擦によって溶融して強固なシールの形成を担保するとの観点から、シーラント層の積層フィルムMD方向のヤング率は、750MPa以下であることが好ましく、より好ましくは600MPa以下である。
シーラント層のヤング率が方向によって異なるときは、積層フィルムとしたときに上記の要件を満たす方向を選択して積層することが好ましい。
シーラント層の厚さは、溶融によって強固なシールを形成するとの観点から、15μmを超えることが好ましく、より好ましくは20μm以上である。一方で、超音波による振動の減衰を可能な限り抑制するとともに、外層の直進カット性の妨害を回避する観点から、シーラント層の厚さは100μm以下とすることが好ましく、75μm以下とすることがより好ましい。
シーラント層の厚さに関しては、上述の推奨範囲内であることの他に、上記条件(2)膜厚の対外層比を満たすことを要する。シーラント層の厚さが外層の膜厚に対して2.5倍以下であることにより、外層の直進カット性を妨害することなく、該機能を良好にサポートすることが可能となる。シーラント層の厚さは、外層の膜厚に対して2.3倍以下又は2.0倍以下であってもよい。一方で、十分に高いシールを形成するとの観点からは、該シーラント層の厚さは、外層の膜厚に対して、1.3倍以上であることが好ましく、1.4倍以上又は1.5倍以上であってもよい。
本発明におけるシーラント層は、更に(3)積層フィルムMD方向における引裂き強度が1N以上5N以下であることを要件とする。この要件を満たすことにより、得られる積層フィルムが極めて高い直進カット性を示すこととなる。シーラント層におけるMD方向の引裂き強度と、積層フィルムにおける直進カット性との関係については詳らかでない。しかし、本発明者等は以下のように推察している。
本発明の積層フィルムを引裂くとき、外層である一軸延伸ポリプロピレンフィルムに印加された引裂き応力が、バリア層及び樹脂中間層を介してシーラント層に伝播して、積層フィルム全体が引裂かれ、包装袋がカットされる。このとき、上記一軸延伸ポリプロピレンフィルムの延伸方向がフィルム全体の引裂き方向を規定することが期待される。そして後述するように、本発明の好ましい態様においては、積層フィルム全体のMD方向は、上記一軸延伸ポリプロピレンフィルムの延伸方向と一致する。
ここで、シーラント層の引裂き強度が低い場合には、該シーラント層における引裂き方向が積層フィルムのMD方向から外れ、あらぬ方向に切れてしまい、包装袋の直進カット性が損なわれる傾向が見られる。この傾向は、特に引裂き応力の方向が積層フィルムのMD方向からずれているときに顕著である。この点、引裂き強度の高いシーラント層を使用した場合には、該シーラント層単体では切れ難いため、積層フィルム全体の切れる方向が、一軸延伸ポリプロピレンフィルムによって規定された方向(=積層フィルムのMD方向)への切れ性に依存することとなって、本発明が期待する引裂き方向の誘導性を維持することができ、従って、直進カット性に優れることになると思われる。
一方で、該シーラント層の引裂き強度が過度に高いと、積層フィルム全体の快適な手切れ性が損なわれることとなる。
シーラント層の引裂き強度を積層フィルムMD方向において1N以上5N以下とすると本発明所期の効果が発現するのは、以上のような理由によるものと考えられる。
上記シーラント層のMD方向における引裂き強度は、1.2N以上又は1.5N以上であってもよく、3N以下又は2.5N以下であってもよい。
本発明におけるシーラント層は、積層フィルムTD方向における引裂き強度が高い方が、予期しない方向への引裂きが制限されるから、直進カット性に優れることとなる。このような観点から、該シーラント層の積層フィルムTD方向における引裂き強度は、MD方向の引裂き強度に対して、2.5倍以上であることが好ましく、3.0倍以上であることがより好ましく、4.0倍以上であることが更に好ましく、特に5.0倍以上であることが好ましい。上限値としては、製造の容易性及び再現性の観点から、20N以下又は15N以下であってもよい。
上記の引裂き強度は、いずれも、JIS K7128−1に準じて測定することができる。
シーラント層の引裂き強度が方向によって異なるときは、積層フィルムとしたときに上記の要件を満たす方向を選択して積層することが好ましい。
本発明におけるシーラント層は、上記の要件を満たす他、融解熱量が110J/g以下であることが、超音波シール性、特に超音波による夾雑物シール性をより向上させる観点から好ましい。この観点から、シーラント層の融解熱量は、より好ましくは107.5J/g以下であり、更に好ましくは105J/g以下である。一方で、強固なシールを形成するとの観点から、シーラント層の融解熱量は、より好ましくは50J/g以上であり、更に好ましくは75J/g以上である。
本発明におけるシーラント層の材料として具体的には、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体(EPM)、ポリメチルペンテン、ポリブテン等の材料を挙げることができる。これらのうち、良好な超音波シール性、特に超音波の印加によって良好な夾雑物シール性能を示すとともに、外層の直進カット性を良好にサポートし得ることから、LLDPEが好ましい。
本発明におけるシーラント層は、全体として上記の要件を満たすのであれば、単層体であっても多層体であってもよい。
[各層における任意成分]
上記の各層は、必要に応じて適宜の添加剤を含有していてもよい。ここで使用される添加剤としては、例えば、滑剤、酸化防止剤、帯電防止剤、着色剤等を挙げることができる。
本発明の積層フィルムは、包装袋としたときの内容物の識別のため、或いは商品として陳列されたときの消費者へのアピールのため、品名、商品ロゴ等の印刷を施すことが想定される。印刷は、積層フィルムの有する任意の層の任意の面に施すことができる。しかし、印刷の保護のため、外層の外側及びシーラント層の内側への印刷は避けることが好ましい。より好ましくは、以下の場所に印刷を施すことである。
積層フィルムが各層を、外層、バリア層、樹脂中間層、及びシーラント層の順に有する場合:外層とバリア層との間、又はバリア層と樹脂中間層との間
積層フィルムが各層を、外層、樹脂中間層、バリア層、及びシーラント層の順に有する場合:外層と樹脂中間層との間、又は樹脂中間層とバリア層との間
印刷は、例えば、グラビア印刷、フレキソ印刷等の適宜の印刷法によることができる。
<積層フィルム>
本発明の積層フィルムは、上記のとおり、外層、バリア層、樹脂中間層、及びシーラント層を有する。本発明の積層フィルムは、上記に説明した各層を、外層、バリア層、樹脂中間層、及びシーラント層の順;或いは、外層、樹脂中間層、バリア層、及びシーラント層の順に有する。外層、樹脂中間層、バリア層、及びシーラント層の順であることが、内容物をより確実に保護する観点から好ましい。
上述のとおり、本発明の積層フィルムにおける外層は一軸延伸ポリプロピレンフィルムであり、樹脂中間層は一軸延伸フィルム又は二軸延伸フィルムであってもよい。シーラント層、及び積層フィルムには、それぞれ、MD方向及びTD方向が存在する。本発明の積層フィルムにおいては、これらの方向性を適切に設定することが、高度の直進カット性を効果的に発現させる観点から好ましい。
本発明の積層フィルムにおいて最も好ましくは、
外層の一軸延伸ポリプロピレンフィルムの延伸方向と、
シーラント層のMD方向と、
を一致させることが、本発明の効果を最大限に発揮させる観点から好ましい。樹脂中間層が一軸延伸体である場合には、該一軸延伸方向と上記の方向とを更に一致させることが好ましい。樹脂中間層が二軸延伸体である場合には、該二軸延伸方向のうちの1つの方向と上記の方向とを更に一致させることが好ましい。
本発明の積層フィルムにおける各層間は、適当な接着剤によって固定されていることが好ましい。この場合の接着剤は、積層フィルムの製造方法に応じて当業者が適宜に選択することができる。例えば、ドライラミネート用接着剤、プリントラミネート用接着剤、押出ラミネート用AC剤等である。接着剤の量は、フィルム単位面積当たりの接着材料として、層間ごとに、例えば0.5g/m以上とすることができ、好ましくは1g/m以上である。一方でこの接着剤の量は、例えば10g/m以下とすることができ、好ましくは5g/m以下である。
本発明の積層フィルムの厚さ(総膜厚)は、150μm以下とすることが、良好な超音波シール性を実現する観点から好ましい。積層フィルムの厚さは、より好ましくは120μm以下であり、更に好ましくは100μm以下であり、特に好ましくは90μm以下である。一方で、積層フィルムに実用的な幾何学的強度を付与するとの観点から、積層フィルムの厚さは、好ましくは35μm以上であり、更に好ましくは50μm以上であり、特に好ましくは60μm以上である。
積層フィルムの手切れ性は引裂強度と関連する。積層フィルムについてJIS K7128−1に準拠して測定した引裂強度が0.60N以下であると、該積層フィルムの手切れ性は良好であると評価することができる。従って、本発明の積層フィルムについて上記基準で測定した引裂強度は、0.60N以下であることが好ましく、より好ましくは0.55N以下であり、より好ましくは0.50N以下である。一方で、使用者が意図するとき以外の不意の開封を避けるため、引裂強度は、好ましくは0.20N以上であり、より好ましくは0.30N以上である。
本発明の積層フィルムについてJIS K7118に準拠して測定した曲げ剛性は、30N・mm以上であることが好ましい。この値は、より好ましくは40N・mm以上であり、更に好ましくは50N・mm以上である。一方で積層フィルムの曲げ剛性は、好ましくは150N・mmMPa以下であり、より好ましくは120N・mm以下であり、更に好ましくは100N・mm以下である。この範囲の曲げ剛性を有するフィルムから製造された包装袋は、超音波シール性に優れ、特に、超音波の印加によって良好な夾雑物シール性を示すとともに、良好な直進カット性を示すことから好ましい。
本発明の積層フィルムは、優れた直進カット性を有する。この直進カット性は、例えば、長辺が積層フィルムのMD方向に対して45°の角度となるように打ち出された試料を用いて引裂き試験を行った場合の引裂き方向が、前記MD方向に対して、12°以下とすることができる。
図3に、積層フィルムの直進カット性の測定方法の概略を示した。先ず、長辺が積層フィルムのMD方向に対して45°の角度となるように試料を打ち抜く(図3(a))。この試料を用いて、通常の引裂き試験を行う(図3(b))。そして、引裂き試験によって生じた引裂破断の方向と積層フィルムのMD方向との角度をもって、直進カット性の指標とするのである(図3(c))。
上記のようにして測定された角度が小さいほど、本来予定されている開封方向とは異なる方向に応力を加えて開封されたときにも本来の方向に近い角度で開口することとなり、内容物が高粘度食物である場合の喫食者の誤嚥窒息を回避することができる。上記の角度は、10°以下とすることができ、更には9°以下とすることができる。
上記の引裂き試験は、試料の打ち抜き角度を上記のとおりとする他は、JIS K7128−1に準じて行うことができる。
<積層フィルムの製造方法>
以上説明してきたような本発明の積層フィルムは、上記の各層を所定の順序で積層する他は、公知の方法によって製造することができる。例えば、ドライラミネート法、ウェットラミネート法、押出ラミネート法等、又はこれらの組み合わせにより、製造することができる。これらのうち、ドライラミネート法が好適である。ドライラミネートは、公知のドライラミネート用接着剤、例えば、ポリエステル系接着剤、ポリエーテル系接着剤、ポリウレタン系接着剤等、を用いて、公知の方法によって行うことができる。
<製袋方法>
本発明の積層フィルムは、上記のとおり超音波シール性に優れ、特に、超音波の印加による夾雑物シール性に優れる。従って、本発明の積層フィルムは、超音波によるシール工程を伴う製袋充填に用いることが好ましく、超音波による夾雑物シール工程を伴う製袋充填に用いることが好ましい。つまり、本発明の製袋方法は、積層フィルムのシーラント層同士を超音波シールする工程を含むことが好ましい。
製袋に際しては、先ず、本発明の積層フィルムを、そのシーラント層同士が相対するように対向させ、又は折り曲げ、相対向する2辺又は折曲げ部に対向する1辺をヒートシールし、相対向する2辺が閉じた筒状の成形体とする。この成形体において、閉じた2辺が包装体の底辺及び頂辺を構成することとなる。
このとき、積層フィルムの外層の一軸延伸ポリプロピレンの延伸方向が筒状体の開口方向と一致するように構成することが好ましい。このような構成とすることにより、得られる包装体において高さ方向に直交する方向の開封が容易となり、開口径が予定された径を大きく超えることがなくなるから、内容物が高粘度食物である場合の喫食者の誤嚥窒息を回避することができる。
次いで上記のような通常の成形体を、超音波シール装置を備えた市販の製袋機に装着して製袋を行う。ここで、製袋機として内容物を充填しながら製袋を行う製袋充填機を用い、超音波シールが夾雑物シールである態様で製袋充填を行うことが、本発明の積層フィルムの利点が最大に発揮される点で好ましい。
以下の実施例及び比較例において、各層を構成する材料として使用した樹脂フィルムの詳細は、下記表1に示したとおりである。表1中、「#」に続く数値はμm単位の膜厚を示す。
Figure 0006902873
<積層フィルムの直進カット性の評価>
[実施例1〜5及び比較例1〜7]
(1)積層フィルムの製造
バリア層及び樹脂中間層としてK−Ny#15(ポリ塩化ビニリデンコート(Kコート)/2軸延伸ナイロンフィルム、興人フィルム&ケミカルズ社製、膜厚:15μm)を用い、Kコート側に外層としての一軸PP(一軸延伸ポリプロピレンフィルム、フタムラ化学社製、膜厚:20μm(実施例1〜4及び比較例1〜7)又は25μm(実施例5))を、ナイロンフィルム側に表2に記載のLL(直鎖低密度ポリエチレン)フィルムを、それぞれ、ドライラミネート接着剤(ロックペイント社製、「RU−50」)を介在させてドライラミネートすることにより、積層フィルムを製造した。
上記積層フィルムを製造する際、K−Ny#15中の2軸延伸ナイロンフィルムにおける延伸方向のうちの1つと、一軸PPの延伸方向と、LLのMD方向と、が一致するようにし、この方向をフィルム全体のMD方向とした。
(2)直進カット性の評価
上記で得た積層フィルムから、長辺がフィルムMD方向に対して斜め45°の角度をなすように、長さ150mm、幅20mmの試験片を切り出した。この試験片の長編方向の中心線上に約75mmの切り込みを入れ、引張試験機を用いて1,000mm/分の速度で引き裂いた。そして、引裂きの開始点から完了点までを結んだ直線と、フィルムMD方向との角度を調べた(図3参照)。結果は表2に示した。
[実施例6]
バリア層及び樹脂中間層として、K−Ny#15の代わりにバリアNy#15(ポリカルボン酸系ポリマーコート/2軸延伸ナイロンフィルム、ユニチカ社製、品名「エンブレムHGB」、膜厚:15μm)を用いた他は実施例4と同様にして積層フィルムを製造し、評価した。結果は表2に示した。
[比較例8]
(1)積層フィルムの製造
K−Ny#15のナイロンフィルム側に一軸PP#20(膜厚:20μm)及びLL(SE620L)(膜厚:50μm)を、ドライラミネート接着剤「RU−50」を介在させてこの順にドライラミネートすることにより、積層フィルムを製造した。このとき、各層間の延伸方向の関係、及びこれらとフィルムMD方向との関係は、上記実施例1等に準じて設定した。
(2)直進カット性の評価
上記で得た積層フィルムを用い、実施例1と同じ手法によって直進カット性の評価を行った。結果は表2に示した。
[比較例9]
(1)積層フィルムの製造
K−Ny#15のKコート側に引裂PET(PC)#12(ポリエチレンテレフタレートフィルム、ユニチカ社製、品名「NCBC」、膜厚:12μm)を、ナイロンフィルム側にLL(SE625L)(直鎖低密度ポリエチレンフィルム、タマポリ社製、品名「SE625L」、膜厚:30μm)を、それぞれ、ドライラミネート接着剤「RU−50」を介在させてドライラミネートすることにより、積層フィルムを製造した。このとき、各層間の延伸方向の関係、及びこれらとフィルムMD方向との関係は、上記実施例1等に準じて設定した。
(2)直進カット性の評価
上記で得た積層フィルムを用い、実施例1と同じ手法によって直進カット性の評価を行った。結果は表2に示した。
[実施例7及び比較例10]
(1)積層フィルムの製造
バリア層及び樹脂中間層としてK−PET#12(ポリ塩化ビニリデンコート(Kコート)/2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、ユニチカ社製、膜厚:12μm)を用い、Kコート側に外層としての一軸PP#20を、ポリエチレンテレフタレートフィルム側に表2に記載のLL(直鎖低密度ポリエチレン)フィルムを、それぞれ、ドライラミネート接着剤「RU−50」を介在させてドライラミネートすることにより、積層フィルムを製造した。このとき、各層間の延伸方向の関係、及びこれらとフィルムMD方向との関係は、上記実施例1等に準じて設定した。
(2)直進カット性の評価
上記で得た積層フィルムを用い、実施例1と同じ手法によって直進カット性の評価を行った。結果は表2に示した。
[実施例8]
(1)積層フィルムの製造
バリア層としてアルミ箔#7(アルミニウム箔、東洋アルミニウム社製、品名「1N30」、膜厚:7μm)を用い、その片面に、ドライラミネート接着剤「RU−50」を介在させて、樹脂中間層としてのNy#15(ナイロンフィルム、興人フィルム&ケミカルズ社製、品名「ボニールQ」、膜厚:15μm)をドライラミネートし、バリア層と樹脂中間層とからなる積層フィルムを得た。
上記積層フィルムのアルミ箔側に一軸PP#20を、Ny#15側にLL(SE625L)(膜厚:30μm)を、それぞれ、ドライラミネート接着剤「RU−50」を介在させてドライラミネートすることにより、積層フィルムを製造した。このとき、各層間の延伸方向の関係、及びこれらとフィルムMD方向との関係は、上記実施例1等に準じて設定した。
(2)直進カット性の評価
上記で得た積層フィルムを用い、実施例1と同じ手法によって直進カット性の評価を行った。結果は表2に示した。
[実施例9及び比較例11]
(1)積層フィルムの製造
バリア層及び樹脂中間層としてアルミ蒸着/PET#12(アルミニウム蒸着/ポリエチレンテレフタレートフィルム、東レフィルム加工社製、品名「BR1412」、膜厚:12μm)を用い、アルミニウム側に表2に記載の外層フィルムを、ポリエチレンテレフタレート側にLL(SE625L)(膜厚:30μm)を、それぞれ、ドライラミネート接着剤「RU−50」を介在させてドライラミネートすることにより、積層フィルムを製造した。このとき、各層間の延伸方向の関係、及びこれらとフィルムMD方向との関係は、上記実施例1等に準じて設定した。
(2)直進カット性の評価
上記で得た積層フィルムを用い、実施例1と同じ手法によって直進カット性の評価を行った。結果は表2に示した。
Figure 0006902873
上記表2に示した結果から、以下のことが理解される。
外層、バリア層、及びシーラント層として、それぞれ、同種の樹脂を用いた場合でも、シーラント層の引裂き強度によって積層フィルムの直進カット性に差が現れることが分かった。シーラント層のMD方向の引裂き強度が本発明所定の範囲よりも小さい比較例2〜4、並びに本発明所定の範囲よりも大きい比較例5及び6は、積層フィルムの直進カット性がいずれも12°を超え、本発明の目的を達成しない。比較例10も同様であった。
シーラント層のヤング率が積層フィルムの直進カット性に影響する。この値が本発明所定の範囲よりも小さい比較例1、2、5、及び6では、得られた積層フィルムの直進カット性がいずれも12°を超え、本発明の目的を達成しなかった。
外層とシーラント層との膜厚比が積層フィルムの直進カット性に影響する。シーラント層膜厚の外層膜厚に対する比(表中の「膜厚 対外層比」)が、本発明所定の範囲よりも小さい比較例1及び本発明所定の範囲よりも大きい比較例7は、積層フィルムの直進カット性がいずれも12°を超え、本発明の目的を達成しなかった。
各層の積層順は、積層フィルムの開封性に影響する。バリア層及び樹脂中間層と外層との積層順を入れ替えた比較例8で得られた積層フィルムは、優れた直進カット性を示したが、引裂き強度が非常に高く、包装袋としたときの開封の容易性に劣ることが分かった。
比較例9は、一軸延伸ポリプロピレンフィルムに代えて、MD直進カット性に優れた樹脂フィルムを用いた例である。いずれの場合も得られた積層フィルムは、意外にも本発明が意図する直進カット性に劣ることが分かった。比較例11も同様の結果を与えた。
上記に対して、一軸延伸ポリプロピレンフィルムからなる外層と、バリア層及び樹脂中間層と、シーラント層と、をこの順に有し、シーラント層のヤング率、MD方向の引裂き強度、及びシーラント層膜厚の対外層比が本発明所定の範囲内である実施例1〜6で得られた積層フィルムは、直進カット性に優れ、引裂き強度が低く、直進性のある開封を快適に行える包装袋を与え得ることが検証された。バリア層及び樹脂中間層の材料種を変更した実施例7〜9についても同様の結果を与えた。
<充填包装袋の評価>
上記実施例4、並びに比較例3及び4でそれぞれ得られた積層フィルムを用い、ゼリー食品(こんにゃく入りゼリー菓子)を内容物として製袋充填を行って充填包装袋を製造し、夾雑物シール性及び直進カット性を評価した。
(1)包装充填の実施
製袋充填の手順につき、図2を参照しながら説明する。
各積層フィルム5の2枚を、シーラント層が内側になるように重ねた状態で、縦振動の超音波シール装置を備えた製袋充填機(オリヒロ製、「Onpack−VH100」)にセットした(図2(a))。これらフィルムは、縦長であり、フィルムの幅方向(流れ方向に直交する方向)が得られる充填包装袋の高さ方向となる。
これら2枚のフィルム5の2枚の幅方向端部12の両方(得られる充填包装袋の頂部及び底部)をヒートシールして筒状体とした(図2(b))。更に、この筒状のフィルムの底部13−1(得られる充填包装袋の一方の側端部)を流れ方向に直交する方向に超音波シールして袋状とした。この超音波シールは、出力300Jにて幅65mmの領域で0.3秒間行った。
その後、ノズル10から内容物11の充填を開始した。内容物11の充填が1ポーション分を超えた時点で図2(d)の13−2の部分を上記と同様の条件で超音波シール(夾雑物シール)して、内容物11をフィルム内に密封した。
次いで、13−2超音波シール部分の中央を切断することにより、内容物11として30gのゼリー食品が充填された、縦110mm、横55mm、及び開口長さ18mmの充填包装袋(パウチ)20を製造した。
(2)夾雑物シール性の評価
上記で得られた充填包装袋の超音波シール部(夾雑物シール部)につき、JIS K6854−3に準拠してT型剥離試験を行い、夾雑物シール強度(ゼリー)を調べた。
(3)直進カット性の評価
上記のパウチにつき、斜め約45°の角度に応力をかけるように開封し、開封部の開口長さを測定した。評価は、1試料当たり、10人の試験者により各人3回ずつの開封テストを行い、計30回の平均値を開口長さとした。
ここで、本発明の積層フィルムはゼリー食品用のパウチとして好適に用いられる。上述のとおり、ゼリー食品が喫食者の気管に詰まると窒息の危険がある。ここで、成人の気管支の平均直径は16.5mmφである。パウチの開口長さが約25mmのときに該パウチ内容物の押出直径は16.5mmφとなる(25mm×2×π≒16.5mmφ)から、開口長さが25mm以下であった場合を直進カット性「良好」とし、開口長さが25mmを超えた場合を直進カット性「不良」として評価した。
上記の評価結果は表3に示した。
Figure 0006902873
1 外層
2 バリア層
3 樹脂中間層
4 シーラント層
5 積層フィルム
10 ノズル
11 内容物
12 ヒートシール部分
13 超音波シール部分
13−1 超音波シール部(その1)
13−2 超音波シール部(その2)

Claims (11)

  1. 一軸延伸ポリプロピレンフィルムから成る外層と、
    順不同でバリア層及び樹脂中間層と、
    シーラント層と、
    をこの順に有する積層フィルムであって、
    前記シーラント層が以下の条件(1)〜(3):
    (1)積層フィルムMD方向におけるヤング率が200MPa以上である、
    (2)膜厚が外層の膜厚に対して2.5倍以下である、及び
    (3)積層フィルムMD方向における引裂き強度が1N以上5N以下である、
    のすべてを満たし、かつ、
    超音波による夾雑物シール工程を伴う製袋充填に用いられることを特徴とする、前記積層フィルム。
  2. 前記積層フィルムを構成する各層が、ドライラミネート用接着剤を介して積層されている、請求項1に記載の積層フィルム。
  3. シーラント層が直鎖低密度ポリエチレンフィルムである、請求項1又は2に記載の積層フィルム。
  4. 積層フィルムMD方向におけるシーラント層の引裂き強度が1N以上3N以下である、請求項1又は2に記載の積層フィルム。
  5. 積層フィルムTD方向におけるシーラント層の引裂き強度が、積層フィルムMD方向におけるシーラント層の引裂き強度の、2.5倍以上である、請求項1〜のいずれか一項に記載の積層フィルム。
  6. バリア層及び樹脂中間層が、ポリ塩化ビニリデンコート/2軸延伸ナイロン、ポリ塩化ビニリデンコート/2軸延伸ポリエチレンテレフタレート、アルミニウム蒸着/ポリエチレンテレフタレート、アルミニウム蒸着/2軸延伸ナイロン、シリカ蒸着/2軸延伸ポリエチレンテレフタレート、シリカ蒸着/2軸延伸ナイロン、ポリビニルアルコール/2軸延伸ポリプロピレン、ポリカルボン酸系ポリマー/2軸延伸ナイロン、メタキシレンジアミン−ナイロン複合フィルム、及びエチレンビニルアルコール共重合体−ナイロン複合フィルムから成る群から選択される積層材料である、請求項1〜のいずれか一項に記載の積層フィルム。
  7. 積層フィルムの総膜厚が、35μm以上150μm以下である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の積層フィルム。
  8. 請求項1〜のいずれか一項に記載の積層フィルムのシーラント層同士を、超音波による夾雑物シールを行うことによって製袋されて成る、包装袋。
  9. 請求項1〜のいずれか一項に記載の積層フィルムのシーラント層同士を超音波によって夾雑物シールする工程を含むことを特徴とする、製袋方法。
  10. 請求項に記載の包装袋と、この包装袋に充填された内容物とを含む、充填包装袋。
  11. 内容物が高粘度食品である、請求項10に記載の充填包装袋。
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