JP5827920B2 - 包装冷凍食品 - Google Patents
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Description
そのような包装冷凍食品として、料理済みのパスタ、総菜などの食品を小分けして冷凍し、それをトレーなどの包装用容器の収容凹部内や、包装用容器の収容凹部内に配置したカップ内に1個ずつ収容してフィルムやシートなどの被覆材で覆ってシールした包装冷凍食品が従来から広く用いられている。
そのような従来技術としては、例えば、(1)個別に使用できるように組み合わされた複数個の小分け食品収納部容器とそれらの容器を支持する部材とで構成される小分けできる食品用トレーの小分け食品収納部容器内に冷凍食品を収納したもの(特許文献1)、(2)開口を有するシート体の開口に収容凹部となる袋体を接続し、当該袋体の内部に着脱自在に食品容器を配置し、当該食品容器内に小分けした冷凍食品を収容したもの(特許文献2)などが知られており、これらの小分けして包装した包装冷凍食品は、弁当の付け合わせ用、各種料理の付け合わせ用、小人数家庭における各人用の総菜などとして用いられている。
しかし、冷凍麺類や冷凍惣菜などの冷凍食品を包装した包装冷凍食品では、包装用容器の収容凹部またはカップ内に収容されている冷凍食品の表面(特に上面)が通常完全には平らになっておらず、食品の一部が凹凸状態や尖った状態で表面からとびだしていることが多く、冷凍食品の表面からとびだして冷凍して硬くなっている凹凸部分や尖った部分が、包装用容器の収容凹部の開口を覆っているプラスチックフィルムなどの被覆材に当接して被覆材にピンホールをあけたり、被覆材を損傷したり、被覆材のシール部分の剥がれをもたらしたりすることがあり、またピンホールや損傷の発生にまで至らなくても、冷凍食品の表面の硬い凹凸部分や尖った部分に当接した箇所で被覆材の伸び、変形、白化などが生ずることがある。
図6の(a)は、包装用容器における収容凹部に冷凍食品(例えば冷凍スパゲティ)を直接収容した包装冷凍食品を示し、図6の(b)は、包装用容器における収容凹部内にカップを配置し、カップ内に冷凍食品を収容した包装冷凍食品を示す。
図6において、1は冷凍食品(例えば冷凍スパゲティ)、2は包装用容器、3は包装用容器における収容凹部、4は収容凹部内に配置したカップ、5は収容凹部の上部の開口、6は収容凹部の開口を覆うフィルムなどの被覆材を示す。
冷凍麺類や冷凍総菜類などを収容した包装冷凍食品では、冷凍食品の種類、冷凍食品の製造に用いた食品素材の形状やサイズなどによっては、図6に示すように、収容凹部3またはカップ4内に収容された冷凍食品6の上面は、平坦にならずに、凹凸部分や尖った部分などが多く存在した状態になる。
その場合に、包装冷凍食品の取り扱い時に、プラスチックフィルムなどの被覆材6の上部から冷凍食品1の方に力Aが加えられると、被覆材6が、冷凍食品1の表面に存在する冷凍して硬くなっている凹凸部分や尖った部分に押し付けられて被覆材6が損傷したり、被覆材6にピンホールが発生したり、被覆材6のシール部での剥離が生じたり、また損傷やピンホールの発生にまで至らなくても冷凍食品上面の凹凸部分や尖った部分に当接した箇所で被覆材が伸びたり、変形したり、白化するなどの問題が生ずることがある。特に、収容凹部の上部の開口を覆う被覆材6が、薄いプラスチックフィルムなどからなる場合には、このようなトラブルが発生し易い。
また、包装冷凍食品の取り扱い時に、包装用容器2における収容凹部3の底部の外側からの押圧力Bによって、収容凹部3またはカップ4内に収容されている冷凍食品1が上方に突き上げられた場合にも、冷凍食品1の表面に存在する冷凍して硬くなっている凹凸部分や尖った部分がプラスチックフィルムなどの被覆材6に押し付けられて、被覆材6が損傷したり、被覆材6にピンホールが発生したり、被覆材6のシール部が剥離したり、被覆材6のシール部での剥離が生じたり、また損傷やピンホールの発生にまで至らなくても冷凍食品の上面の凹凸部分や尖った部分に当接した箇所で被覆材が伸びたり、変形したり、白化するなどの問題が生ずることがあり、場合によって包装用容器2の収容凹部3または収容凹部3内に配置したカップ4の底面に損傷などが生ずることがある。
被覆材6にピンホール、損傷、シール部での剥離などが発生すると、包装冷凍食品の安全性および衛生性が損なわれ易くなる。また、損傷やピンホールの発生にまで至らなくても被覆材が局部的に伸びたり、変形したり、白化すると、外観が不良になり、しかも包装冷凍食品の安全性や衛生性に関して消費者に危惧を与え易くなる。
(1) 平坦な底面を持ち且つ上部の開口した収容凹部を1個または2個以上有する包装用容器の収容凹部内に、底部を球弧面形または楕円体弧面形にした冷凍食品を冷凍食品の底部の一部が収容凹部の平坦な底面と接触する状態で収容して、収容凹部の上部の開口をフィルム状またはシート状の被覆材で覆ってシールしたことを特徴とする包装冷凍食品である。
そして、本発明は、
(2) 冷凍食品の体積が、包装用容器における収容凹部の容積の50〜95%である前記(1)の包装冷凍食品である。
(3) 平坦な底面を持ち且つ上部の開口した収容凹部を1個または2個以上有する包装用容器の収容凹部の内側に、収容凹部の深さ以下の高さ寸法を有する平坦な底面を持ち且つ上部の開口したカップを収容凹部から取り出し可能に配置し、当該カップ内に底部を球弧面形または楕円体弧面形にした冷凍食品を冷凍食品の底部の一部がカップの平坦な底面と接触する状態で収容して、収容凹部の上部の開口をフィルム状またはシート状の被覆材で覆ってシールしたことを特徴とする包装冷凍食品である。
(4) カップの容積が包装用容器における収容凹部の容積の30%以上100%未満であり、冷凍食品の体積がカップの容積の80〜150%で且つ包装用容器における収容凹部の容積の50〜95%である前記(3)の包装冷凍食品;
(5) カップが、上下方向に延びる襞状の凹凸形状をなす側壁を有し、且つ平坦な底面を持ち且つ上部の開口した、円筒形、四角以上の多角筒形、底面側から上部開口に向かって徐々に拡張している円錐台形、底面側から上部開口に向かって徐々に拡張している楕円錐台形または底面側から上部開口に向かって徐々に拡張している四角以上の多角錐台形の形状をなしている前記(3)または(4)の包装冷凍食品;
(6) カップが、プラスチックフィルム、プラスチックシート、紙、樹脂含浸紙、金属フィルムおよび金属シートのうちの1種または2種以上から形成されている、前記(3)〜(5)のいずれかの包装冷凍食品。
である。
(7) 収容凹部を有する包装用容器が、2個以上の収容凹部を有するトレー型容器である前記(1)〜(6)のいずれかの包装冷凍食品;
(8) 包装用容器における収容凹部が、平坦な底面を持ち且つ上部の開口した、円筒形、四角以上の多角筒形、底面側から上部開口に向かって徐々に拡張している円錐台形、底面側から上部開口に向かって徐々に拡張している楕円錐台形または底面側から上部開口に向かって徐々に拡張している四角以上の多角錐台形の形状をなしている前記(1)〜(7)のいずれかの包装冷凍食品;および、
(9) 包装用容器における収容凹部の側壁に上下方向に延びる凹凸が形成されている前記(1)〜(8)のいずれかの包装冷凍食品;
である。
(10) 収容凹部を有する包装用容器が、プラスチック、紙、樹脂含浸紙、金属フィルム、金属箔および金属シートのうちの1種から形成されているか、プラスチックと、紙、布帛、金属フィルムおよび金属箔のうちの1種以上との複合材料から形成されている、前記(1)〜(9)のいずれかの包装冷凍食品;
(11) 包装用容器における収容凹部の上部の開口を覆う被覆材が、プラスチック、紙、樹脂含浸紙、金属フィルム、金属箔および金属シートのうちの1種または2種以上からなるフィルムまたはシートである前記(1)〜(10)のいずれかの包装冷凍食品;
(12) 包装用容器における収容凹部の上部の開口の周縁の一部が外方に拡張している前記(1)〜(11)のいずれかの包装冷凍食品;および、
(13) 包装用容器における収容凹部内またはカップ内に収容される冷凍食品が、冷凍麺類または冷凍総菜類である前記(1)〜(12)のいずれかの包装冷凍食品;
である。
さらに、本発明の包装冷凍食品では、包装用容器における収容凹部またはカップ内に収容した冷凍食品の底部が球弧面形または楕円体弧面形であるために、包装用容器の収容凹部の側壁や底面、収容凹部内に配置したカップの側壁や底面の損傷をも防ぐことができる。
本発明は、2つの態様の包装冷凍食品を包含する。
(α) 平坦な底面を持ち且つ上部の開口した収容凹部を1個または2個以上有する包装用容器の収容凹部内に、底部を球弧面形または楕円体弧面形にした冷凍食品を、冷凍食品の底部の一部が収容凹部の平坦な底面と接触する状態で直接収容して、収容凹部の上部の開口をフィルム状またはシート状の被覆材で覆ってシールした包装冷凍食品[以下これを「包装冷凍食品(α)」ということがある]。
(β) 平坦な底面を持ち且つ上部の開口した収容凹部を1個または2個以上有する包装用容器の収容凹部の内側に、収容凹部の深さ以下の高さ寸法を有する平坦な底面を持ち且つ上部の開口したカップを収容凹部から取り出し可能に配置し、当該カップ内に底部を球弧面形または楕円体弧面形にした冷凍食品を冷凍食品の底部の一部がカップの平坦な底面と接触する状態で収容して、収容凹部の上部の開口をフィルム状またはシート状の被覆材で覆ってシールした包装冷凍食品[以下これを「包装冷凍食品(β)」ということがある]。
また、包装冷凍食品(β)において、収容凹部内に配置するカップも、平坦な底面を持ち且つ上部が開口している。
本発明の包装冷凍食品は、前記した収容凹部内またはカップ内に、底部を球弧面形または楕円体弧面形にした冷凍食品を、冷凍食品の底部の一部が収容凹部の平坦な底面と接触する状態で収容している。
ここで、本明細書でいう「底部を球弧面形にした冷凍食品」は、冷凍食品の底部が、完全な球(数学的に完全に丸い球)の球面の一部をなす球弧面形になっている場合だけでなく、冷凍食品の底部が略球弧面形になっている場合をも包含する。
また、本明細書でいう「底部を楕円体弧面形にした冷凍食品」には、冷凍食品の底部が、完全な楕円体(数学的な楕円体)の表面の一部をなす楕円体弧面形になっている場合だけでなく、冷凍食品の底部が略楕円体弧面形になっている場合をも包含する。
一般的には、冷凍食品の球弧面形の底部は、当該球弧面形が由来する球の直径と同じ直径を有する円を投影図として与える半球形または略半球形であるか、或いは半球形よりも小さくて、球弧面形が由来する球の直径の1/3以上、特に1/2以上の直径を有する円を投影図として与える球弧面形または略球弧面形であることが好ましい。そのようにすることによって、冷凍食品の底部が平坦に近くならずに丸みが大きなものとなり、包装冷凍食品に外部から力が加えられたときに、収容凹部内またはカップ内で冷凍食品が容易に回動または位置移動でき、それによって冷凍食品の表面(特に上面)に凹凸部分や尖った部分があっても、被覆材のピンホール、損傷、シール部での剥離の発生を防ぐことができ、また冷凍食品の上部の当接による被覆材の局部的な伸び、変形、白化などを防止することができ、更に包装用容器の収容凹部やカップの損傷をも防ぐこができる。
以下に、底部を球弧面形にした冷凍食品について、以下に図1および図2を参照して説明する。
図1および図2の(a)における1aは、底部を半球形または略半球形の球弧面形にした冷凍食品の一例である。
また、図1の(b)における1bおよび図2の(b)における1cは、底部を、底部の球弧面形が由来する球の直径よりも小さい直径を有する円を投影図として与える球弧面形にした冷凍食品の一例である。
図1の(a)に示す冷凍食品1aの球弧面形の底部と、図1の(b)に示す冷凍食品1bの球弧面形の底部は、いずれも、同じ直径を有する球に由来する球弧面形であって、冷凍食品1aは前記したように底部を半球形(略半球形)にした冷凍食品であり、冷凍食品1bは、底部の直下からみたときに冷凍食品1bの底部を、当該底部が由来する球の直径の約2/3の直径を有する円を投影図として与える球弧面形にした冷凍食品である。
また、図2の(a)の冷凍食品1aは、図1の(a)の冷凍食品1aと同じものであって、冷凍食品1aは半球形(略半球形)の底部を有している。
図2の(b)の冷凍食品1cの底部は、底部の直下からみたときに、半球形(略半球形)の底部を有する図2の(a)[図1の(a)]の冷凍食品1aと同じ直径を有する円を投影図として与えるが、冷凍食品1aおよび1bの底部が由来する球よりも大きな直径を有する球に由来していて、冷凍食品1cの底部は、半球形(略半球形)よりも小さな球弧面形をなしている。図2の(b)に示す冷凍食品1cの底部は、当該底部が由来する球の直径の約2/3の直径を有する円を投影図として与える球弧面形をなしている。
但し、図1および図2に示した冷凍食品1a〜1cは、本発明の包装冷凍食品に用い得る球弧面形の底部を有する冷凍食品の一例であって、本発明で用いる冷凍食品は、図1および図2に示した冷凍食品1a〜1cに何ら限定されない。
底部を球弧面形にした冷凍食品は、底部に相当する部分が球弧面形になっているキャビティを有する型に冷凍前の食品を充填して成形・冷凍することによって製造することができる。
一般的には、底部を楕円体弧面形にした冷凍食品では、その底部は、楕円体弧面形が由来する楕円体の長径と同じ長径および楕円体弧面形が由来する楕円体の短径と同じ短径を有する楕円を投影図として与える半楕円体形または略半楕円体形であるか、或いは半楕円体形よりも小さくて、楕円体弧面形が由来する楕円体の長径の1/3以上、特に1/2以上の長径を有し且つ楕円体弧面形が由来する楕円体の短径の1/3以上、特に1/2以上の短径を有する楕円を投影図として与える楕円体弧面形または略楕円体弧面形であることが、冷凍食品の底部が平坦に近くならず、曲面状態が大きくなることから好ましい。
そのようにすることにより、包装冷凍食品に外部から力が加えられたときに、収容凹部内またはカップ内で冷凍食品が容易に回動または位置移動でき、それによって冷凍食品の表面(特に上面)に凹凸部分や尖った部分があっても、被覆材のピンホール、損傷、シール部での剥離の発生を防ぐことができ、また冷凍食品の上部の当接による被覆材の局部的な伸び、変形、白化などを防止することができ、更に包装用容器の収容凹部やカップの損傷をも防ぐこができる。
以下に、底部を楕円体弧面形にした冷凍食品について以下に図3を参照して説明する。
図3の(a)における1dは、底部を半楕円体形または略半楕円体形の楕円体弧面形にした冷凍食品の一例を示す図である。
また、図3の(b)の1eは、底部を、底部の楕円体弧面形が由来する楕円体の長径よりも小さい長径を有する楕円を投影図として与える楕円体弧面形にした冷凍食品の例を示す図である。
図3の(a)に示す冷凍食品1dの楕円体弧面形の底部と、図3の(b)に示す冷凍食品1eの楕円体弧面形の底部は、いずれも、同じ長径を有する楕円体に由来する楕円体弧面形であって、冷凍食品1dは前記したように半楕円体形(略半楕円体形)の底部を有する冷凍食品であり、冷凍食品1eは、底部の直下からみたときに冷凍食品1eの底部が、当該底部が由来する楕円体の長径の約9/10の長径を有する楕円を投影図として与える楕円体弧面形を有する冷凍食品である。
図3に示した冷凍食品1dおよび1eは、本発明の包装冷凍食品に用い得る楕円体弧面形を有する冷凍食品の一例であって、本発明で用いる冷凍食品は図3に示した冷凍食品1dおよび1eに何ら限定されない。
底部を楕円体弧面形にした冷凍食品は、底部に相当する部分が楕円体弧面形になっているキャビティを有する型に冷凍前の食品を充填して成形・冷凍することによって製造することができる。
包装用容器が2個以上(複数)の収容凹部を有するトレー型容器では、複数の収容凹部は、一列に配置されていてもよいし、放射状に配置されていてもよいし、縦横方向に並べて配置されていてもよいし、またはそれら以外の配置形態であってもいずれでもよい。
また、包装用容器における収容凹部の深さ(収容凹部の底面と上部の開口との間の距離)は、冷凍食品の種類、冷凍食品の使用目的、流通や梱包の形態や規格などに応じて決めることができ、一般的には、1〜9cm程度であることが好ましく、2〜8cm程度であることがより好ましい。収容凹部の深さが大きすぎると、収容凹部から冷凍食品を出しにくくなり、一方収容凹部の深さが小さすぎると、収容凹部に収容する冷凍食品が小さくなりすぎる。
また、包装用容器における収容凹部の底面の面積および収容凹部の上部の開口の面積も、冷凍食品の種類、冷凍食品の使用目的などに応じて決めることができる。一般的には、収容凹部の底面の面積は、3〜200cm2程度であることが好ましく、5〜150cm2程度であることがより好ましい。また、収容凹部の上部の開口部分の面積は、容積(収容凹部の底面から上部の開口までの容積)は、3〜250cm2程度であることが好ましく、5〜200cm2程度であることがより好ましい。収容凹部からの冷凍食品の取り出しを容易にするために、収容凹部の上部の開口部分の面積は、収容凹部の底面の面積と同じであるかまたは収容凹部の底面の面積よりも大きくしておくことが好ましく、収容凹部の底面の面積の1〜3.5倍、特に1〜2.5倍程度としておくことがより好ましい。
そのうちでも、収容凹部の形状としては、平坦な底面を持ち且つ上部の開口した、円筒形、底面側から上部開口に向かって徐々に広がっている円錐台形、底面側から上部開口に向かって徐々に広がっている楕円錐台形が、当該収容凹部を有する包装用容器の製造の容易性、収容凹部の強度、収容凹部からの冷凍食品の取り出しの容易性、冷凍食品の回動しやすさなどの点から好ましい。
包装用容器における収容凹部の底面には、強度確保、複数の容器を重ねた際の容器同士の再剥離性などを考慮して、必要に応じて、微小な突起部や凸凹を有していてもよい。
また、包装用容器における収容凹部の上部の開口の周縁の一部を外方に拡張させておくと、開口の周縁に形成した当該拡張部に指を入れて、収容凹部内に収容された冷凍食品を収容凹部から簡単に取り出すことができ、または収容凹部内に配置したカップ内に収容された冷凍食品をカップごと収容凹部から簡単に取り出すことができ、便利である。
収容凹部を有する包装用容器は、プラスチック、紙、樹脂含浸紙、金属フィルム、金属箔および金属シートのうちの1種から形成されているか、或いはプラスチックと、紙、布帛、金属フィルムおよび金属箔のうちの1種以上との複合材料から形成されていることがより好ましく、プラスチックから形成されていることが更に好ましい。
収容凹部を有する包装用容器の形成に用い得るプラスチックとしては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、スチレン系樹脂、発泡ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、エチレン−ビニルアルコール系共重合体(気体遮蔽層用)などを挙げることができる。
1個または2個以上の収容凹部を有するプラスチック製の包装用容器は、例えば、射出成形、真空成形、プレス成形、シートブロー成形などによって製造することができる。
包装用容器における収容凹部の容積に対する冷凍食品の体積が100%以上であると、収容凹部への冷凍食品の収容が困難になり易く、また収容凹部に収容できたとしても、収容凹部に冷凍食品を収容して収容凹部の上部の開口をフィルム状またはシート状の被覆材で覆ってシールする際に、収容凹部の上部の開口から冷凍食品が外部にかなりはみ出して被覆材を傷つけ、被覆材にピンホール、損傷、シール部での剥離などが生じ易くなる。一方、冷凍食品の体積が小さ過ぎると、包装する冷凍食品のサイズに比べて大きな包装用容器を用いることになり、不経済であり、また包装冷凍食品(α)の搬送やその他の取り扱い時に、冷凍食品は収容凹部内で動いて、冷凍食品の形崩れ、冷凍食品による収容凹部や被覆材の損傷などが生じ易くなる。
冷凍食品の高さ寸法が、収容凹部の深さの1倍以上であると、収容凹部に冷凍食品を収容して収容凹部の上部の開口をフィルム状またはシート状の被覆材で覆ってシールする際に、収容凹部の上部の開口から冷凍食品が外部にはみ出して被覆材を傷つけ、被覆材にピンホール、損傷、シール部での剥離などが生じ易くなり、また収容凹部の上部の開口を被覆材でシールしにくくなる。一方、冷凍食品の高さ寸法が収容凹部の深さの0.6倍未満であると、収容凹部から冷凍食品を取り出しにくくなり、しかも包装する冷凍食品のサイズに比べて大きな包装用容器を用いることになり、不経済である。
上記の収容凹部の各部寸法は、収容凹部の上部の開口をフィルム状またはシート状の被覆材で覆ってシールする際のものであり、収容凹部の上部の開口を、上部凸状の立体的な蓋材等を用いて覆う場合には、これを参考に適宜設計すればよい。
カップとしては、収容凹部の形状に合わせて、平坦な底面を持ち且つ上部で開口した、円筒形、四角以上の多角筒形、底面側から上部開口に向かって徐々に拡張している円錐台形、底面側から上部開口に向かって徐々に拡張している楕円錐台形または底面側から上部開口に向かって徐々に拡張している四角以上の多角錐台形の形状をなすものなどが好ましく用いられる。収容凹部が、平坦な底面を持ち且つ上部の開いた円筒形、四角以上の多角筒形、底面側から上部開口に向かって徐々に広がっている円錐台形または底面側から上部開口に向かって徐々に広がっている四角以上の多角錐台形の形状である場合には、カップとして、平坦な底面を持ち且つ上部の開口した底面側から上部開口に向かって徐々に広がっている円錐台形の形状を有するものがより好ましく用いられる。
包装冷凍食品(β)において、包装用容器の収容凹部の側壁に凹凸が形成され、カップの側壁にも襞状の凹凸が形成されていると、カップの側壁の襞状の凹凸の凸部が、収容凹部の側壁の凹部に入り込み、収容凹部内でのカップの移動が阻止されて、カップに収容した冷凍食品の収容凹部内での移動を阻止しながら冷凍食品を収容凹部内に安定した状態で収容することができる。
カップの深さは、収容凹部の深さの30%以上100%未満であることが好ましく、55〜85%であることがより好ましい。
カップに収容する冷凍食品の体積がカップの容積の1500%よりも大きくなると、冷凍食品を解凍したときに解凍された食品がカップ内に収まらず、カップからはみ出したり、カップから漏れ出てしまい、付け合わせなどとして用いたときに装飾効果が損なわれる。また、カップに収容する冷凍食品の体積がカップの容積の80%未満であると、冷凍食品を解凍したときにカップ内に空きスペースが生じたり、解凍された食品がカップの下部に沈んだ状態になり、付け合わせなどとして用いたときに装飾効果が損なわれる。
カップの内側または内側と外側に模様を付けたり、着色をしておくと、包装用容器の収容凹部から冷凍食品をカップごと取り出して、カップに収容した状態で弁当や料理などの付け合わせに用いたときに、装飾効果が付与される。
かかる点から、全体が球形またはほぼ球形になっていて上面に凹凸や尖った部分のない冷凍食品、例えば、冷凍たこ焼、冷凍団子、冷凍肉団子、冷凍魚類団子、球形またはほぼ球形をなすアイスクリームや冷凍ケーキ類;上面に凹凸や尖った部分のない冷凍食品、例えば、冷凍饅頭などは、本発明の包装冷凍食品の範囲から除外される。
図4において、(a)は本発明の包装冷凍食品に用いる包装用容器の一例を示す図であって、包装用容器の側壁には上下方向に延びる凹凸を形成しており、(b)は包装用容器における収容凹部内に配置するカップの一例を示す図であって、カップの側壁には襞状の凹凸が形成されており、(c)は包装用容器の収容凹部内またはカップ内に収容する冷凍食品(底部を半球形にして成形・冷凍した冷凍スパゲティ)の一例を示す図(縦断面図)である。
図5の(a)は、包装用容器の収容凹部内に冷凍食品1を直接収容し、収容凹部の上部の開口をプラスチックフィルムなどの被覆材で覆ってシールした本発明の包装冷凍食品(α)の一例を示す図である。また、図5の(b)は、包装用容器2の収容凹部内にカップを配置し、カップ内に冷凍食品1を収容し、収容凹部の上部の開口をプラスチックフィルムなどの被覆材で覆ってシールした本発明の包装冷凍食品(β)の一例を示す図(縦断面図)である。
図4および図5において、1は冷凍食品(底部を半球形にして成形・冷凍した冷凍スパゲティ)、2は包装用容器、3は包装用容器における収容凹部、4はカップ、5は収容凹部の上部の開口、6は収容凹部の開口を覆ったプラスチックフィルム、7aおよび7bは収容凹部からカップに収納した冷凍食品をカップごと取り出す際に取り出し易くするために収容凹部の上部の開口の一部に形成した拡張部を示す。
図5には、底部を球弧面形にした冷凍食品を用いる場合について記載したが、上記した優れた効果は、底部を楕円体弧面形にした冷凍食品を、包装用容器の平坦な底面を有する収容凹部内にそのまま直接収容するか、また包装用容器の収容凹部内にカップを配置し当該カップ内に包装冷凍食品を収容した包装冷凍食品においても同じように奏される。
(1) 図4の(a)に近似した形状を有する、4個の収容凹部3を有するトレー状の包装用容器2[包装用容器2における収容凹部3の底面の直径=32mm、収容凹部3の上部の開口の直径=37mm、収容凹部3の底面から上部の開口までの高さ(距離)=30mm、厚さ約0.2mmのポリプロピレンシートをプレス成形して製造]を5個準備した。
(2) 図4の(b)に近似した形状を有する、カップ20個を準備した[カップの底面の直径32mm、カップの上部の開口の直径36mm、カップの底面から上部の開口までの高さ(距離)24mm、カップの内面に位置する表面に緑色でチェック柄を印刷した紙をプレス成形して製造]。
(3) 上面開口部が円形で底部が半球形になっている型キャビティを複数個有するプラスチックの製氷皿に、茹で上げたスパゲティ(1.7mm径、長さ100mm)を充填した後、−20℃で急速冷凍して、図4の(c)に近似した形状を有する、半球形の底部を有する冷凍スパゲティを製造した[冷凍スパゲティ1個の重さ=40g、冷凍スパゲティの直径=32mm、高さ(半球形の底部から上部の平坦な部分までの高さ、飛び出した部分を除く)=27mm]。
(4) 上記(1)で準備した包装用容器2のそれぞれの収容凹部3内に、上記(2)で準備したカップ4を1個ずつ配置し、そのカップ4内に上記(3)で得られた冷凍スパゲティを収容し、包装用容器2の上部の開口に被覆材6(ポリプロピレン製、厚さ=50μm)を被せて、包装用容器2の上部の平坦な部分(非開口部分)に被覆材をヒートシールして、図5の(b)に示す包装冷凍食品(包装冷凍スパゲティ)を製造した。
(1) 実施例1の(1)で準備したのと同じ包装用容器を5個準備した。
(2) 実施例1の(2)で準備したのと同じカップ20個準備した。
(3) 上面開口部が円形で底部が平坦になっている型キャビティを複数個有するプラスチックの製氷皿に、茹で上げたスパゲティを充填した後、−20℃で急速冷凍して、図5に記載されている冷凍食品と近似した形状を有する、平坦な底部を有する冷凍スパゲティを製造した[冷凍スパゲティ1個の重さ=約40g、冷凍スパゲティの直径=30mm、高さ(平坦な底部から上部の平坦な部分までの高さ、飛び出した部分を除く)=27mm]。
(4) 上記(1)で準備した包装用容器2のそれぞれの収容凹部3内に、上記(2)で準備したカップ4を1個ずつ配置し、そのカップ4内に上記(3)で得られた冷凍スパゲティを収容し、包装用容器2の上部の開口に被覆材6(ポリプロピレン製、厚さ=50μm)を被せて、包装用容器2の上部の平坦な部分(非開口部分)に被覆材をヒートシールして、図6の(b)に示す包装冷凍食品(包装冷凍スパゲティ)を製造した。
実施例1で得られた包装冷凍食品(包装冷凍スパゲティ)および比較例1で得られた包装冷凍食品(包装冷凍スパゲティ)のそれぞれ5個をとり、1個ずつ冷凍状態のままで、木製の机の天板の上部高さ50cmで水平に維持した状態から3回落下させ、包装用容器の底部から衝撃を与えた。落下試験後の包装冷凍食品の被覆材6の破損状態(1個の包装冷凍食品あたり4箇所の冷凍食品を封入した部分のそれぞれ)を、表1の評価基準に従って点数評価した。また、被覆材6を剥離し、冷凍食品の状態を表1の評価基準に従って点数評価した。その結果をそれぞれ20箇所の評価値の平均値として表2に示す。
なお、試験は、カップ4内に収容されている冷凍食品(冷凍スパゲティ)が解凍しないように、冷凍スパゲティの温度を−18℃に保った状態で、トレー型の包装用容器における4個の収容凹部を切り離さずに4個をつなげた状態のままで行った。
その結果を下記の表1に示す。
2 包装用容器
3 収容凹部
4 カップ
5 収容凹部の上部の開口
6 被覆材
Claims (11)
- 平坦な底面を持ち且つ上部の開口した収容凹部を1個または2個以上有する包装用容器の収容凹部内に、底部を球弧面形または楕円体弧面形にした冷凍食品を冷凍食品の底部の一部が収容凹部の平坦な底面と接触する状態で収容して、収容凹部の上部の開口をフィルム状またはシート状の被覆材で覆ってシールした包装冷凍食品であって;
冷凍食品の底部の前記した球弧面形が、当該球弧面形が由来する球の直径と同じ直径を有する円を投影図として与える半球形または略半球形であるか、或いは半球形よりも小さくて、球弧面形が由来する球の直径の1/3以上の直径を有する円を投影図として与える球弧面形または略球弧面形であり;
冷凍食品の底部の前記した楕円体弧面形が、楕円体弧面形が由来する楕円体の長径と同じ長径および楕円体弧面形が由来する楕円体の短径と同じ短径を有する楕円を投影図として与える半楕円体形または略半楕円体形であるか、或いは半楕円体形よりも小さくて、楕円体弧面形が由来する楕円体の長径の1/3以上を有し且つ楕円体弧面形が由来する楕円体の短径の1/3以上の短径を有する楕円を投影図として与える楕円体弧面形または略楕円体弧面形であり;
冷凍食品の体積が、包装用容器の収容凹部の容積の50〜95%である;
ことを特徴とする包装冷凍食品。 - 平坦な底面を持ち且つ上部の開口した収容凹部を1個または2個以上有する包装用容器の収容凹部の内側に、収容凹部の深さ以下の高さ寸法を有する平坦な底面を持ち且つ上部の開口したカップを収容凹部から取り出し可能に配置し、当該カップ内に底部を球弧面形または楕円体弧面形にした冷凍食品を冷凍食品の底部の一部がカップの平坦な底面と接触する状態で収容して、収容凹部の上部の開口をフィルム状またはシート状の被覆材で覆ってシールした包装冷凍食品であって;
冷凍食品の底部の前記した球弧面形が、当該球弧面形が由来する球の直径と同じ直径を有する円を投影図として与える半球形または略半球形であるか、或いは半球形よりも小さくて、球弧面形が由来する球の直径の1/3以上の直径を有する円を投影図として与える球弧面形または略球弧面形であり;
冷凍食品の底部の前記した楕円体弧面形が、楕円体弧面形が由来する楕円体の長径と同じ長径および楕円体弧面形が由来する楕円体の短径と同じ短径を有する楕円を投影図として与える半楕円体形または略半楕円体形であるか、或いは半楕円体形よりも小さくて、楕円体弧面形が由来する楕円体の長径の1/3以上を有し且つ楕円体弧面形が由来する楕円体の短径の1/3以上の短径を有する楕円を投影図として与える楕円体弧面形または略楕円体弧面形であり;
カップの容積が包装用容器における収容凹部の容積の30%以上100%未満であり;
冷凍食品の体積が、カップの容積の80〜150%で且つ包装用容器における収容凹部の容積の50〜95%である;
ことを特徴とする包装冷凍食品。 - カップが、上下方向に延びる襞状の凹凸形状をなす側壁を有し、且つ平坦な底面を持ち且つ上部の開口した、円筒形、四角以上の多角筒形、底面側から上部開口に向かって徐々に拡張している円錐台形、底面側から上部開口に向かって徐々に拡張している楕円錐台形または底面側から上部開口に向かって徐々に拡張している四角以上の多角錐台形の形状をなしている請求項2に記載の包装冷凍食品。
- カップが、プラスチックフィルム、プラスチックシート、紙、樹脂含浸紙、金属フィルムおよび金属シートのうちの1種または2種以上から形成されている請求項2または3に記載の包装冷凍食品。
- 収容凹部を有する包装用容器が、2個以上の収容凹部を有するトレー型容器である請求項1〜4のいずれか1項に記載の包装冷凍食品。
- 包装用容器における収容凹部が、平坦な底面を持ち且つ上部の開口した、円筒形、四角以上の多角筒形、底面側から上部開口に向かって徐々に拡張している円錐台形、底面側から上部開口に向かって徐々に拡張している楕円錐台形または底面側から上部開口に向かって徐々に拡張している四角以上の多角錐台形の形状をなしている請求項1〜5のいずれか1項に記載の包装冷凍食品。
- 包装用容器における収容凹部の側壁に上下方向に延びる凹凸が形成されている請求項1〜6のいずれか1項に記載の包装冷凍食品。
- 収容凹部を有する包装用容器が、プラスチック、紙、樹脂含浸紙、金属フィルム、金属箔および金属シートのうちの1種から形成されているか、或いはプラスチックと、紙、布帛、金属フィルムおよび金属箔のうちの1種以上との複合材料から形成されている請求項1〜7のいずれか1項に記載の包装冷凍食品。
- 包装用容器における収容凹部の上部の開口を覆う被覆材が、プラスチック、紙、樹脂含浸紙、金属フィルム、金属箔および金属シートのうちの1種または2種以上からなるフィルムまたはシートである請求項1〜8のいずれか1項に記載の包装冷凍食品。
- 包装用容器における収容凹部の上部の開口の周縁の一部が外方に拡張している請求項1〜9のいずれか1項に記載の包装冷凍食品。
- 包装用容器における収容凹部内またはカップ内に収容される冷凍食品が、冷凍麺類または冷凍総菜類である請求項1〜10のいずれか1項に記載の包装冷凍食品。
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