JP5826007B2 - 偽陽性反応を抑制する検体抽出液 - Google Patents

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Description

本発明は、鼻腔拭い液、鼻腔吸引液、鼻かみ液、咽頭拭い液などの検体中のウイルスをイムノクロマト法にて検出するウイルス測定用イムノクロマト試薬に関し、特定の蛋白成分を含む検体抽出液を用いることによって、偽陽性反応を抑制する技術に関する。
検体中のウイルスを測定する方法としては、分離培養法やPCR法が知られている。前述の方法は、操作が煩雑で測定に時間がかかることから、迅速診断には適していない。一方、迅速診断に一定の役割を果たしているのが簡易検査キットであり、迅速性、簡便性に優れているため、近年急速に広まってきた。
簡易検査法としては、ニトロセルロース等のメンブレンを用いたイムノクロマト法が知られており、被検出物に特異的に結合するメンブレン固相物質、被検出物、被検出物に特異的に結合する標識物の複合体をメンブレン上に形成させて被検出物を測定する方法である。標識物としては、被検出物と特異的に結合する抗体にアルカリフォスファターゼのような酵素、金コロイドのような金属コロイド及び着色ラテックス粒子が一般的であり、特に金コロイド粒子や着色ラテックス粒子を用いる場合が多い。着色ラテックス粒子の場合、色、粒子径、官能基等、様々な種類のものが製造可能であり、選択性に優れている。また複数の色調のラテックス粒子を用いて、複数の被検出物を検出する方法も提案されている。
これらの簡易検査法では、被検出物と被検出物に対する抗体との特異的な結合以外で生じる偽陽性反応が検出されることがある。偽陽性反応の原因の一つとして、被検検体に含まれるムチンのような粘性物質やIgA、IgMといった免疫グロブリンなどが標識物の凝集を促進し、その凝集塊がメンブレン固相物質に非特異的にトラップされることが考えられる。この様な問題を解決するために、例えば、塩基性アミノ酸、無機塩類、及び界面活性剤からなる群より選択される少なくとも2種類の化合物を含むフロースルー式検査法用検体浮遊液組成物を用いる方法(特許文献1)、免疫クロマトグラフィーによるインフルエンザウイルスの検査用検体の前処理液であって、少なくとも非イオン性界面活性剤及びアルカリ金属イオンのみ、このアルカリ金属イオンを少なくとも0.3M含むことを特徴とする検体前処理液を用いる方法(特許文献2)、及び、イオン性界面活性剤を含む、免疫測定に供する検体浮遊液調製用媒体組成物を用いる方法(特許文献3)、動物由来免疫グロブリン等を添加する方法等(特許文献4)が提案されている。しかし、これらの方法は、偽陽性の発生率を減少させることはできたが、完全に除去するには至っていない。ウイルスの感染を測定する際にこのような偽陽性反応が生じてしまうと、誤った処置が施されてしまう可能性があり、偽陽性を完全に抑制することは簡易検査法において極めて重要な課題といえる。
特開2003−279577号公報 特開2005−24323号公報 特開2005−291783号公報 特開2004−301684号公報
本発明は、鼻腔拭い液、鼻腔吸引液、鼻かみ液、咽頭拭い液などの検体中のウイルスをイムノクロマト法にて検出するウイルス測定用イムノクロマト試薬に関し、従来の方法で抑制しきれなかった偽陽性反応を簡便で安価に抑制できる検体抽出液を提供することにある。
本発明者は、鼻腔拭い液、鼻腔吸引液、鼻かみ液、咽頭拭い液などの鼻咽頭由来検体における偽陽性反応を抑制する方法を鋭意検討した結果、偽陽性原因成分と抗検出対象物抗体との親和性を抑制する成分を見出し、これを検体抽出液に添加することによって、これまで検出されていた偽陽性反応を抑制できることを見出し本発明を完成した。
すなわち本発明は、以下の構成を有する。
〔1〕抗検出対象物抗体を用いて検出対象物を検出するイムノクロマト法に用いられる検体抽出液であって、以下の偽陽性反応抑制剤を含む、検体抽出液。
偽陽性反応抑制剤;
以下の1)から3)の性質を有する偽陽性反応原因成分と抗検出対象物抗体との親和性を抑制する成分を含む偽陽性反応抑制剤
1)鼻咽頭由来検体中に含まれる
2)検出対象物以外である
3)抗検出対象物抗体と親和性を有する
〔2〕抗検出対象物抗体が、抗インフルエンザウイルス抗体である前記〔1〕に記載の検体抽出液。
〔3〕偽陽性反応原因成分が、非還元条件下、ポリアクリルアミドゲル(4〜20%)で電気泳動に供した場合に260kDa付近及び/又は52〜72kDaの間にバンドが現れる成分である前記〔1〕または〔2〕に記載の検体抽出液。
〔4〕偽陽性反応抑制剤の濃度が、1%〜10%である前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の検体抽出液。
〔5〕偽陽性反応抑制剤が、StartingBlockTM及びSmartBlockTMから選ばれる1種以上である前記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の検体抽出液。
〔6〕抗検出対象物抗体を用いて検体中の検出対象物を検出するイムノクロマト法であって、以下の偽陽性反応抑制剤を含む検体抽出液と検体を接触させて検出対象物を抽出する工程と、
抽出された検出対象物と抗検出対象物抗体固定化ストリップを接触させて検出対象物を検出する工程と、を含むイムノクロマト法。
偽陽性反応抑制剤;
以下の1)から3)の性質を有する偽陽性反応原因成分と抗検出対象物抗体との親和性を抑制する成分を含む偽陽性反応抑制剤
1)鼻咽頭由来検体中に含まれる
2)検出対象物以外である
3)抗検出対象物抗体と親和性を有する
〔7〕抗検出対象物抗体が、抗インフルエンザウイルス抗体である前記〔6〕に記載の方法。
〔8〕偽陽性反応原因成分が、非還元条件下、ポリアクリルアミドゲル(4〜20%)で電気泳動に供した場合に260kDa付近及び/又は52〜72kDaの間にバンドが現れる成分である前記〔6〕または〔7〕に記載の方法。
〔9〕検体抽出液中の偽陽性反応抑制剤の濃度が、1%〜10%である前記〔6〕〜〔8〕のいずれかに記載の方法。
〔10〕偽陽性反応抑制剤が、StartingBlockTM及びSmartBlockTMから選ばれる1種以上である前記〔6〕〜〔9〕のいずれかに記載の方法。
〔11〕以下の構成を含む検出対象物測定用イムノクロマト試薬。
(1)抗検出対象物抗体固定化ストリップ
(2)前記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の検体抽出液
〔12〕抗検出対象物抗体固定化ストリップが、以下の構成を含む前記〔11〕に記載のイムノクロマト試薬。
(a)標識された抗検出対象物抗体が塗布されたコンジュゲートパッド
(b)抗検出対象物抗体固定化膜
〔13〕検体の抽出方法であって、鼻咽頭由来の検体と前記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の検体抽出液を接触させる工程を含む、検体の抽出方法。
〔14〕以下の工程を有するイムノクロマト法の偽陽性反応抑制剤選択方法。
(A)鼻咽頭由来検体のうちイムノクロマト法において偽陽性反応を示す検体に偽陽性反応抑制剤候補物質を添加して混合し、当該混合物を非還元条件下、ポリアクリルアミドゲル(4〜20%)で電気泳動に供して分離する工程
(B)工程(A)において分離されたバンド群と、偽陽性反応を示す検体もしくは偽陽性反応抑制剤候補物質のバンド群とを比較し、(i)〜(iii)のいずれかのバンドが消滅もしくは薄くなっているかどうかを判定する工程
(i)偽陽性反応を示す検体のバンド群のうち、260kDa付近に現れるバンドのうちいずれか一以上
(ii)偽陽性反応を示す検体のバンド群のうち、52〜72kDaの間に現れるバンドのうちいずれか一以上
(iii)偽陽性反応抑制剤候補物質のバンドのうちいずれか一以上
(C)工程(B)においていずれか一以上のバンドが消滅もしくは薄くなっている場合に、前記偽陽性反応抑制剤候補物質を偽陽性反応抑制物質であると判断する工程
本発明の検体抽出液によれば、カラーラテックス又は金コロイドなどの粒子を標識物として使用し、検体中の被測定物を検出するイムノクロマト法において、偽陽性反応を回避した精度の高いテストストリップを提供できる。また、偽陽性反応による誤った臨床診断を回避できる。
テストストリップの模式構成図である。(a)プラスチック製粘着シート、(b)抗インフルエンザウイルス抗体固定化膜、(c)コンジュゲート塗布パッド、(d)吸収パッド、(e)ポリエステルフィルム SDS−PAGEの分離パターンを示す図である。レーン1:C607、レーン2:C621、レーン3:C622、レーン4:URA、レーン5:C607+DW、レーン6:C607+5% StartingBlockTM、レーン7:5% StartingBlockTM+DW native−PAGEの分離パターンを示す図である。レーン1:C607、レーン2:URA、レーン3:C621、レーン4:C622、レーン5:C607+DW、レーン6:C607+5% StartingBlockTM、レーン7:5% StartingBlockTM+DW
(検体)
本発明が適用可能な検体は、ウイルスの存在が疑われる鼻腔拭い液、鼻腔吸引液、鼻かみ液、咽頭拭い液等の鼻咽頭由来検体(以下、鼻咽頭由来検体という)であり、このうち鼻腔拭い液、鼻腔吸引液が特に好ましい。
(検出対象物)
本発明における検出対象物は、上記検体に含まれる可能性のあるウイルスや菌体全般であり、例えばインフルエンザウイルス、アデノウイルス、RSウイルスなどがあるが、特にインフルエンザウイルスが好ましい。インフルエンザウイルスとしてはA型インフルエンザウイルスおよびB型インフルエンザウイルス等が挙げられる。
(検体抽出液)
本発明の検体抽出液は、以下の偽陽性反応抑制剤を含むものであればいずれのものであってもよい。
偽陽性反応抑制;
以下の1)から3)の性質を有する偽陽性反応原因成分と抗検出対象物抗体との親和性を抑制する成分を含む偽陽性反応抑制剤
1)鼻咽頭由来検体中に含まれる
2)検出対象物以外である
3)抗検出対象物抗体と親和性を有する
ここで、偽陽性反応原因成分としては、イムノクロマト法において偽陽性反応を示す検体を非還元条件下、SDS−PAGEに供した場合に分子量が260KDa付近および/又は52〜72KDaにバンドが現れる成分が挙げられる。本発明者らは、鼻咽頭由来検体のうちイムノクロマト法において偽陽性反応を示す検体の共通成分について分析し、偽陽性原因成分が上記特定のバンドの成分であることをつきとめた。ここで、偽陽性反応原因成分と抗検出対象物抗体との親和性を抑制する成分であるか否か、すなわち、本発明の偽陽性反応抑制剤かどうかは、以下のように判断することができる。
(1)偽陽性反応抑制候補物質を偽陽性原因成分を含む検体と混合したものをイムノクロマト法で検出した場合に、偽陽性反応を示さない。
(2)偽陽性反応抑制候補物質を、偽陽性原因成分を含む検体と混合した場合に、偽陽性反応抑制剤の有効成分が変化する。
(3)偽陽性反応抑制候補物質を、偽陽性原因成分を含む検体と混合した場合に、偽陽性原因成分が変化する。
上記(2)の変化は、例えば、偽陽性反応抑制剤の有効成分の量が減少することにより確認できる。量の減少は、SDS−PAGE上で当該有効成分に対応するバンドの発色が薄くなること等で確認できる。すなわち、当該有効成分が有効に働き偽陽性反応を抑制することで消費されるからである。また、偽陽性原因成分と結合するなどして複合体を形成したり、化学変化をした場合も、当該有効成分の量の減少として捉えることができる。また、上記(3)の変化は、例えば、偽陽性原因成分の量が減少することで確認できる。量の減少は、上記(2)と同様に確認できる。
したがって、本発明の偽陽性反応抑制剤の選択は、例えば、次のステップ(A)〜(C)により行うことができる。
(A)鼻咽頭由来検体のうちイムノクロマト法において偽陽性反応を示す検体に偽陽性反応抑制剤候補物質を添加して混合し、当該混合物を非還元条件下、ポリアクリルアミドゲル(4〜20%)で電気泳動に供して分離する工程
(B)工程(A)において分離されたバンド群と、偽陽性反応を示す検体もしくは偽陽性反応抑制剤候補物質のバンド群とを比較し、(i)〜(iii)のいずれかのバンドが消滅もしくは薄くなっているかどうかを判定する工程
(i)偽陽性反応を示す検体のバンド群のうち、260kDa付近に現れるバンドのいずれか一以上
(ii)偽陽性反応を示す検体のバンド群のうち、52〜72kDaの間に現れるバンドのうちいずれか一以上
(iii)偽陽性反応抑制剤候補物質のバンドのうちいずれか一以上
(C)工程(B)においていずれか一以上のバンドが消滅もしくは薄くなっている場合に、偽陽性反応抑制剤候補物質を偽陽性反応抑制物質であると判断する工程
本発明の検体抽出液は、偽陽性反応抑制剤の効果を維持できるものであれば他の成分を含むことができ、例えば緩衝液が挙げられる。また、本発明の検体抽出液は、偽陽性原因成分に対してなんらかの作用をする偽陽性反応抑制剤を含むものであるが、当該偽陽性反応抑制剤は、イムノクロマト試薬に用いられるテストストリップにあらかじめ固定化しておくこともできる。
検体抽出液中の偽陽性反応抑制剤の濃度は、1%〜10%が好ましく、2.5〜8%がさらに好ましく、4.5〜5.5%がもっとも好ましい。尚、後述の実施例に記載のStartingBlockTM(PBS)Blocking Buffer、およびSmartBlockTMの好ましい濃度もこれと同じである。
(緩衝液の種類)
本発明の検体抽出液に用いられる緩衝液の種類としては、リン酸緩衝液、トリス緩衝液、グッド緩衝液など通常使用される緩衝液をあげることができる。緩衝液のpHはpH6.0〜10.0の範囲が好ましく、pH8.0〜9.0がさらに好ましい。pH8.0〜9.0の緩衝液としては、トリス緩衝液が特に好ましい。前記緩衝液には、さらにNaCl、KClなどの塩類、アルギニンなどの塩基性アミノ酸、ポリエチレングリコールモノ−p−イソオクチルフェニルエーテル(例えば、Triton(登録商標)X−100)等の非イオン性界面活性剤、スクロースなどの安定化剤や保存剤、プロクリン(登録商標)などの防腐剤等を含んでもよい。塩類は、NaClなどのようにイオン強度の調整のために含ませるもののほか、水酸化ナトリウムなど緩衝液のpHを調整する工程で存在するようになるものも含まれる。
(検体抽出方法)
本発明の検体を抽出する方法は、鼻咽頭由来の検体と本発明の前記検体抽出液を接触させることにより行われる。例えば、検体が鼻腔吸引検体の場合は、鼻腔吸引液に綿棒等を浸し、検体を浸み込ませた綿棒を本発明の検体抽出液に入れて検体を溶解させることで抽出することができる。また、検体が鼻腔拭い検体の場合は、綿棒で鼻腔を拭い、検体を浸み込ませた綿棒を本発明の検体抽出液に入れて検体を溶解させることで抽出することができる。
(検出対象物を検出するイムノクロマト法)
本発明の検出対象物をイムノクロマトグラフィーにより検出する方法(イムノクロマト法)は、検出対象物に対する抗体(以下、抗検出対象物抗体ということがある。)を用いた免疫学的検出方法であれば特に限定されないが、抗検出対象物抗体と標識抗検出対象物抗体を用いたサンドイッチ法がより好ましい。さらに、抗検出対象物抗体としては、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体いずれでもよいが、モノクローナル抗体がより好ましい。
上記イムノクロマト法は、上記検体抽出方法により抽出された検出対象物と抗検出対象物抗体を固定化したストリップ等を接触させることにより行われる。
なお、本発明におけるイムノクロマト法は、定性的な検出、定量的な測定のいずれにも用いることができることはいうまでもない。
(標識物)
これらの抗体に標識する標識物としては、金コロイド粒子、白金コロイド粒子、カラーラテックス粒子、磁性粒子などが好ましく、特にカラーラテックスが好ましい。
カラーラテックスは、例えば特開平6−306108号公報の〔0022〕記載の方法に従い、乳化剤を使用しないソープフリー重合によりポリスチレン系粒子を作製し、同〔0025〕から〔0035〕までに記載された方法に準じて作製可能であり、Seradyn社やMagsphere社などから市販されている着色粒子を用いることも出来る。
以下の説明では、標識物としてカラーラテックス粒子を用いた場合について詳述する。
(標識抗体固定化方法)
上記抗体のカラーラテックスへの固定化は、通常化学結合によって行うが、この際、抗体濃度は1mg/mL〜5mg/mLに調製されるのが好ましく、緩衝液及びpHは、20mM MES緩衝液(pH5.5〜6.5)または50mMホウ酸緩衝液(pH8〜9)が好ましく、さらに好ましくは20mM MES緩衝液(pH6.5)である。また、カラーラテックス上の抗体が結合していない領域は、BSAなどを結合させブロッキングするのが好適である。このようにして作製されたカラーラテックス標識抗体は、変性を阻止するための保存試薬中に分散され保存される。この変性阻止剤としては、BSAなどの蛋白質、グリセリン、糖などが用いられる。
(固相)
また、固相の素材としては、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン類、ガラス、セルロースやセルロース誘導体などの多糖類、あるいはセラミックス等が挙げられる。具体的には、ミリポア社、東洋濾紙社、ワットマン社、ライデル社などより販売されているガラス繊維ろ紙や、セルロースろ紙などの他、ポリスチレンプレート、ガラス繊維膜、ナイロン膜、ニトロセルロース膜などが好ましく、特にニトロセルロース膜が好ましい。
以下、固相の素材としてニトロセルロース膜を用いた場合について詳述する。
(固相への捕捉用抗体の固定化)
検出対象物としての抗原(例えば、インフルエンザウイルス)と標識抗体との複合体を検出するための捕捉用抗体のニトロセルロース膜への固定化は、一般に周知の方法で実施することができる。例えば、ラテラルフロー式の場合には、ノズルから捕捉用抗体を含む液を一定の速度で吐出しながら水平方向に移動させることのできる機構を有する装置などを用いて、ライン状にニトロセルロース膜に捕捉用抗体液を塗布することにより行われる。この際、抗体の濃度は0.1mg/mL〜5mg/mLが好ましく、0.5mg/mL〜2mg/mLがさらに好適である。また、上記の抗体液は、通常、所定の緩衝液を用いて調製され得る。
前記緩衝液の種類としては、リン酸緩衝液、トリス緩衝液、グッド緩衝液など通常使用される緩衝液をあげることができる。緩衝液のpHはpH6.0〜9.5の範囲が好ましく、pH6.5〜8.5がより好ましく、pH7.0〜8.0がさらに好ましい。緩衝液には、さらにNaClなどの塩類、スクロースなどの安定剤や保存剤、プロクリン(登録商標)などの防腐剤等を含んでもよい。塩類はNaClなどのようにイオン強度の調整のために含ませるもののほか、水酸化ナトリウムなど緩衝液のpHを調整する工程で存在するようになるものも含まれる。
ニトロセルロース膜に抗体を固定化した後、さらに、通常使用されるブロッキング剤を溶液あるいは蒸気状にして被覆し、ブロッキングを行うこともできる。
ニトロセルロース膜の孔径を適宜選択することにより、カラーラテックス標識抗体と検出対象物である抗原(例えば、インフルエンザウイルス)との免疫複合体が膜中を流れる速度を制御することが可能である。この流れる速度により、膜に固定化された上記抗体に結合する標識抗体量を調節することができるため、適切な孔径を有する膜を選択することが好ましい。好適には、ミリポア社、Hi Flow Plus HF180などが用いられる。
(イムノクロマト試薬、イムノクロマト試薬キット)
本発明の検体抽出液は、従来のイムノクロマト試薬とともに用いることができ、両者を併せてイムノクロマト試薬またはイムノクロマト試薬キットとして用いることもできる。
尚、「イムノクロマト試薬」とは、イムノクロマト法による測定に必要な試薬成分や、テストストリップ等の部材をも含めたものである。

次に、検出対象物をインフルエンザウイルスとした場合に、本発明の検体抽出液を用いて、インフルエンザウイルス測定用イムノクロマト試薬の偽陽性反応を抑制する技術に関して実施例を挙げて説明するが、本発明は何らこれらに限定されるものではない。
<インフルエンザウイルス測定用イムノクロマト試薬の作製>
1.青色カラーラテックス標識抗A型インフルエンザウイルス抗体、赤色カラーラテック
ス標識抗B型インフルエンザウイルス抗体の調製
(1)下記(i)から(iv)を準備し、(i)5mL、(ii)0.2mL、及び(iii)0.8mLを加えて撹拌後、これに(iv)4mLを添加し、室温で2時間撹拌した。
(2)上記(1)で得られた溶液を13,000rpmで10分間遠心し上清を除去後、10%スクロース含有2%ウシ血清アルブミン(BSA)水溶液を10mL添加し、さらに2時間撹拌後、13,000rpmで10分間遠心し、沈渣(コンジュゲート)を得た。
(3)上記(2)により得られたコンジュゲートに対し、10%スクロース含有2%BSA水溶液を10mL添加しコンジュゲートを懸濁させて、青色カラーラテックス標識抗A型インフルエンザウイルス抗体および赤色カラーラテックス標識抗B型インフルエンザウイルス抗体を得た。

以下の試験において、コンジュゲートの吸光度の測定は、青色カラーラテックスを用いた場合は655nm(青色カラーラテックスの最大吸収波長)、赤色カラーラテックスを用いた場合は551nm(赤色カラーラテックスの最大吸収波長)、緑色カラーラテックスを用いた場合は655nm(緑色カラーラテックスの最大吸収波長)で測定した。

(i)2% 青色又は赤色カラーラテックスを含む20mM MES(pH6.5)緩衝液
(ii) 20mM MES(pH6.5)緩衝液
(iii) 架橋剤1−ethyl−3−[3−(dimethylamino)propyl]carbodiimide(EDC)15mg/mL
(iv) 2.5mg/mL 抗A型又は抗B型インフルエンザウイルスモノクローナル抗体を含む20mM MES(pH6.5)緩衝液
2.コントロール用緑色カラーラテックス標識KLH(カコ貝ヘモシアニン:Keyhole−limpet hemocyanin)の調製
(1)下記(i)から(iv)を準備し、(i)5mLに、(ii)1.4mL、(iii)1.6mLを加えて撹拌後、(iv)2mLを添加し、室温で2時間撹拌した。
(2)上記(1)で得られた溶液を13,000rpmで10分間遠心し上清を除去後、10%スクロース含有2%BSA水溶液を10mL添加し、さらに2時間撹拌後、13,000rpmで10分間遠心し、沈渣(コンジュゲート)を得た。
(3)上記(2)で得られたコンジュゲートに対し、10%スクロース含有2%BSA水溶液を10mL添加しコンジュゲートを懸濁させて、コントロール用緑色カラーラテックス標識KLHを得た。

(i)2% 緑色カラーラテックスを含む20mM MES(pH6.5)緩衝液
(ii)20mM MES(pH6.5)緩衝液
(iii)15mg/mL EDC
(iv)0.5mg/mL KLHを含む20mM MES(pH6.5)緩衝液
3.コンジュゲート塗布パッドの作製
上記1.および上記2.で調製したコンジュゲートを、青色6.4 OD/mL、赤色10.4 OD/mL、緑色6.5 OD/mLとなるように、0.5%カゼイン及び10%スクロース含有トリス緩衝液(pH8.5)と混合して3色が混合したコンジュゲート溶液を作製した。そして、22.0mm×254mm×0.56mm(幅×長さ×厚さ)のグラスファイバー製パッド(Lydall社)にイムノクロマト用ディスペンサー「XYZ3050」(BIO DOT社)を用いて該コンジュゲート溶液を10uL/cmで滲みこませた。その後、ドライオーブン内で70℃で30分間加温することにより乾燥させ、コンジュゲート塗布パッドとした。また、界面活性剤などの添加剤を添加する場合には、前記コンジュゲート溶液に必要量を添加した後、同様の操作を行った。
4.抗インフルエンザウイルス抗体固定化膜の作製
25mm×254mm×0.235mm(短辺×長辺×厚さ)のニトロセルロース膜(Sartorius社)に、0.75mg/mLに調製した前記青色カラーラテックス標識抗A型インフルエンザウイルス抗体とはエピトープを異にする抗A型インフルエンザウイルス抗体、1.0mg/mLに調製した前記赤色カラーラテックス標識抗B型インフルエンザウイルス抗体とはエピトープを異にする抗B型インフルエンザウイルス抗体、0.75mg/mLに調製した抗KLH抗体、及び2.5%スクロースを含む10mM リン酸緩衝液(pH7.2)を、幅約1mmのライン状に塗布した。塗布は、イムノクロマト用ディスペンサー「XYZ3050」(BIO DOT社)を用い、吐出量を1μL/cmとなるよう設定した。ライン塗布後のニトロセルロース膜をドライオーブン内で70℃、45分乾燥し、抗インフルエンザウイルス抗体固定化膜とした。ニトロセルロース膜上の抗A型インフルエンザウイルス抗体を塗布したラインをAライン、抗B型インフルエンザウイルス抗体を塗布したラインをBライン、抗KLH抗体を塗布したラインをコントロールラインという。
5.テストストリップの作製
プラスチック製粘着シート(a)に上記抗インフルエンザウイルス抗体固定化膜(b)を貼り、上記3.で作製したコンジュゲート塗布パッド(c)を配置装着し、反対側の端には吸収パッド(d)(Whatman社、740−E)を配置装着した。また、最後に抗体固定化膜および吸収パッドを被覆するように上面にポリエステルフィルム(e)を配置装着しラミネートした。このように各構成要素を重ね合わせた構造物を4mm幅に切断してテストストリップを作製した。該テストストリップの外寸は、4mm×98mm(幅×長さ)であり、イムノクロマトテストストリップの形態にした。図1にテストストリップの模式構成図を示した。
6.検体抽出液の調製
200mM 塩化カリウム、150mM L−アルギニン、0.5% Brij35、0.25% BSA、及び0.05% プロクリン(登録商標)950を含む50mM トリス緩衝液(pH8.5)を検体抽出液とした。
試験例1
鼻腔拭い液、もしくは鼻腔吸引液を用いた偽陽性反応原因成分の検討
(1)試験方法
(1−1)使用検体
培養法もしくはPCR法にてインフルエンザウイルス陰性が確認されている検体のうち、前記5.で作成されたテストストリップ(イムノクロマト試薬)で偽陽性を示す鼻腔拭い検体1本(検体名:URA)と鼻腔吸引検体1本(検体名:C607)、及び偽陽性を示さない鼻腔吸引検体2本(検体名:C621、C622)を用いた。
(1−2)サンプルの調製
a.鼻腔吸引検体の場合
鼻腔吸引液に綿棒1本を浸し、検体を浸み込ませた綿棒を320μLのPBSへ入れて、検体成分をPBSへ溶解させて本試験のサンプルとした。
b.鼻腔拭い検体の場合
綿棒2本で鼻腔を拭い、綿棒を320μLのPBSへ溶解して本試験のサンプルとした。
(1−3)測定
サンプルに上記5.で作成したテストストリップを浸し、10分後にAライン、Bラインおよびコントロ−ルラインの発色強度を測定した。発色強度測定には、青、赤、緑色の各色の発色見本から0.25〜4.0の数値をつけたカラーチャートを用いた。発色強度の測定方法は以下の試験において同様である。
(1−4) 発色強度測定結果
結果を表1に示す。表中、数値が高いほど、偽陽性反応を示しており、「−」は検出限界以下を示している。また、A lineの数値は、青色カラーラテックス標識抗A型インフルエンザウイルス抗体による発色ラインの発色強度を示し、B lineの数値は、赤色カラーラテックス標識抗B型インフルエンザウイルス抗体による発色ラインの発色強度を示し、Cont.は緑色カラーラテックス標識抗KLHによる発色ラインの発色強度を示す。これより、検体C621とC622は偽陽性反応を示さない検体であり、検体URAおよびC607が偽陽性反応を示す検体であることがわかる。以後、偽陽性検体としてURAおよびC607を用いた。
(2−1)SDS−PAGE
(1−1)で用いた4検体について、SDS−PAGEにて分離パターンを比較した。
SDS−PAGE:非還元条件下、ポリアクリルアミドゲル(4〜20%)を用いて電気泳動を行った。
サンプルの調製は、上記(1−2)と同様に行い、調製されたサンプル10μLにトリス−SDSサンプル処理液(コスモバイオ社製)10μLを添加し混合したものを10μLアプライした。
(2−2)SDS−PAGEの結果
結果を図2に示す。図2によれば、偽陽性反応を示すサンプル(URA、C607)のSDS−PAGEのパターン(レーン4、レーン1)において分子量が260KDa付近、および52〜72KDaの間のバンドが、偽陽性反応を示さない検体(C621、C622)のパターン(レーン2、レーン3)に比べて濃いことが判明した。したがって、これらの2種類のバンドの成分が偽陽性反応の原因成分であると考えられた。なお、native−PAGEでも同様に分離を行ったところ、同様の結果が得られた。すなわち、偽陽性反応を示さない検体に比べて偽陽性を示す検体で濃くなるバンドが認められた(図3)。
試験例2
偽陽性反応抑制効果を示す偽陽性反応抑制剤のスクリーニング
(1)試験方法
上記6.で調製した検体抽出液に下記9種類の偽陽性反応抑制剤候補物質を終濃度5%となるように添加して9種類の試験用検体抽出液を調製し、当該試験用検体抽出液320μLに偽陽性反応を起こす鼻腔拭い検体(鼻腔を拭った綿棒4本の綿球部分)を加えて検体を抽出した。
該検体抽出液に上記5.で作製したテストストリップを浸し、10分、30分、60分後にAライン、Bライン、コントールラインの発色強度を測定した。

偽陽性反応抑制剤候補物質:
NEO PROTEIN SAVER(TOYOBO製)、イムノブロックTM(大日本製薬製)、ApplieBlock(生化学バイオビジネス製)、SEA BLOCKTM/EIA/WB(PIERCE製)、Blocking One(ナカライテスク製)、BSA(プロリアント製)、Blocking Peptide Fragment(TOYOBO製)、StartingBlockTM(PBS)Blocking Buffer(PIERCE製)、SmartBlockTM(CANDOR bioscienceGmbH製)
(2)試験結果
各種の偽陽性反応抑制剤候補物質を添加した試験用検体抽出液を用いた場合の発色強度測定結果を表2に示す。表2より、NEO PROTEIN SAVER、イムノブロックTM、ApplieBlock、SEA BLOCKTM/EIA/WB、Blocking One、BSA、Blocking Peptide Fragmentの7種では偽陽性反応抑制効果を示さなかったのに対し、StartingBlockTM(PBS)Blocking Buffer(以下、StartingBlockTM)、SmartBlockTMは顕著に偽陽性反応抑制効果を示した。このことから、StartingBlockTMやSmartBlockTMは、偽陽性反応原因成分と抗検出対象物抗体との親和性を抑制することにより、偽陽性反応を抑制したと考えられた。
試験例3
StartingBlockTMの効果確認試験
(1)試験方法
試験例2のStartingBlockTMを添加した各検体抽出液検体C607(偽陽性反応を起こす検体)を添加したものと、当該検体を添加しないものについて、試験例1と同様に非還元条件下、ポリアクリルアミドゲル(4〜20%)を用いて電気泳動した。
試験例1で調製されたC607のSDS−PAGEサンプルに純水、又は5%にStartingBlockTMを等量混合した溶液10μLとサンプル処理液10μLを添加し混合したものから10μLをアプライした(レーン5,6)。また、StartingBlockTMと純水(DW)を等量混合した溶液10μLとサンプル処理液10μLを添加し混合したものから10μLをアプライした(レーン7)。
(2)試験結果
StartingBlockTMの場合には、C607を添加した検体抽出液のSDS−PAGEパターンにおいて(レーン6)、C607を添加しないStarting Block単独の検体抽出液(レーン7)に特有の成分(分子量が28KDa付近のバンド)の消失が認められた(図2)。このことから、StartingBlockTMの特有成分が偽陽性反応原因成分に何らかの作用をして、偽陽性反応を抑制していることがわかった。
試験例4
StartingBlockTM、SmartBlockTMの偽陽性反応を抑制する効果の持続期間の確認
(1)試験方法
試験例2でStartingBlockTM、SmartBlockTMの偽陽性反応抑制効果が認められたことから、これらの効果持続期間を確認するために、前記6.の検体抽出液にStartingBlockTM、SmartBlockTMをそれぞれ5%(w/w)となるように添加して、60℃で3日間保管(30℃、2〜3ヶ月相当)した後、再度、偽陽性検体を摂取し、試験例2と同様にAライン、Bライン、およびコントロールラインの発色強度を測定した。
(2)試験結果
測定結果を表3に示す。SmartBlockTMでは偽陽性抑制効果が消失していたのに対して、StartingBlockTMでは、60℃加速試験においても効果を持続していることを確認した。この結果より、StartingBlockTMは試薬の安定性にも非常に優れていることがわかった。
試験例5
StartingBlockTMの濃度検討
(1)試験方法
試験例3,4でStartingBlockTMがもっとも偽陽性反応の抑制に効果を発揮することが判明したため、StartingBlockTM至適濃度を検討することとした。検体抽出液におけるStartingBlockTMの濃度を0.1%、0.5%、1%、2.5%、5%(w/w)まで変動させて試験例2と同様に各反応ラインの発色強度を測定した。
また、1%、5%(w/w)の濃度のものについては、60℃加速試験も行い安定性を評価した。
(2)試験結果
至適濃度の試験結果を表4に、60℃加速試験の結果を表5に示す。表4によればStartingBlockTMの濃度が1%(w/w)以上で偽陽性反応を抑制できることを確認した。また、表5によれば60℃、7日間(30℃、6ヶ月相当)で1%以上において偽陽性反応の安定した抑制効果が認められた。以上の試験例4,5の結果より、StartingBlockTMの好ましい濃度は1%以上であり、より好ましくは5%であることがわかった。
試験例6
StartingBlockTM添加による検出感度変化確認
(1)試験方法
5% StartingBlockTMを検体抽出液に添加することによりインフルエンザウイルスの検出感度に影響が見られないかを確認した。具体的には、StartingBlockTM添加、非添加検体抽出液を用いて、インフルエンザウイルスの検出を行った。A型インフルエンザウイルスのサンプルとして、FluA抗原 A/Kitakyusyu/159/93(lot.080521,SEKISUI)を1220倍希釈したもの、B型インフルエンザウイルスのサンプルとしてFluB抗原 B/Lee(lot.081003,SEKISUI)を704倍希釈したものを用いた。これらの抗原希釈サンプル135μLに、前記5.で作成したテストストリップを浸し、10分後の発色強度を検出した。
(2)試験結果
A型インフルエンザウイルス、B型インフルエンザウイルスともに検出感度の変化はほとんど認められず(図示せず)、検体抽出液へのStartingBlockTMの添加が検出感度に影響しないことを確認した。
本発明の検体抽出液によれば、検体中の被測定物を検出するイムノクロマト法において、偽陽性反応を回避した精度の高い測定方法を実現できる。また、偽陽性反応による誤った臨床診断を回避できる。

Claims (6)

  1. 以下の1)から4)の性質を有する偽陽性反応原因成分と親和性を有する抗インフルエンザウイルス抗体を用いてインフルエンザウイルスを検出するイムノクロマト法に用いられる検体抽出液であって、
    1〜8%(w/w)のStartingBlockTM(CAS番号 1189033-39-3)を含む、
    検体抽出液。
    1)鼻咽頭由来検体中に含まれる
    2)検出対象物以外である
    3)抗検出対象物抗体と親和性を有する
    4)非還元条件下、ポリアクリルアミドゲル(4〜20%)で電気泳動に供した場合に260kDa付近及び/又は52〜72kDaの間にバンドが現れる
  2. さらに、リン酸緩衝液、トリス緩衝液、およびグッド緩衝液からならなる群から選択されるいずれか1以上の緩衝液であってpH6〜10である緩衝液を含む請求項1に記載の検体抽出液。
  3. さらに、塩化カリウム、L−アルギニン、BSAを含む請求項1又は2に記載の検体抽出液。
  4. 以下の構成を含む検出対象物測定用イムノクロマト試薬。
    (1)抗インフルエンザウイルス抗体固定化ストリップ
    (2)請求項1〜のいずれかに記載の検体抽出液
  5. インフルエンザウイルス抗体固定化ストリップが、以下の構成を含む請求項に記載のイムノクロマト試薬。
    (a)標識された抗インフルエンザウイルス抗体が塗布されたコンジュゲートパッド
    (b)抗インフルエンザウイルス抗体固定化膜
  6. 検体の抽出方法であって、鼻咽頭由来の検体と請求項1〜のいずれかに記載の検体抽出液を接触させる工程を含む、検体の抽出方法。
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