JP5825896B2 - タイヤ用ダイナミックバランサおよびその校正方法 - Google Patents
タイヤ用ダイナミックバランサおよびその校正方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5825896B2 JP5825896B2 JP2011159172A JP2011159172A JP5825896B2 JP 5825896 B2 JP5825896 B2 JP 5825896B2 JP 2011159172 A JP2011159172 A JP 2011159172A JP 2011159172 A JP2011159172 A JP 2011159172A JP 5825896 B2 JP5825896 B2 JP 5825896B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- unbalance
- tire
- vector
- rim
- load sensor
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
- 238000000034 method Methods 0.000 title claims description 41
- 239000013598 vector Substances 0.000 claims description 243
- 238000005259 measurement Methods 0.000 claims description 39
- 238000004364 calculation method Methods 0.000 claims description 26
- 238000006073 displacement reaction Methods 0.000 claims description 13
- 238000012937 correction Methods 0.000 description 19
- 238000012360 testing method Methods 0.000 description 17
- 230000006870 function Effects 0.000 description 16
- 230000003068 static effect Effects 0.000 description 9
- 238000001514 detection method Methods 0.000 description 7
- 230000005484 gravity Effects 0.000 description 7
- 238000010586 diagram Methods 0.000 description 6
- 238000012545 processing Methods 0.000 description 4
- 238000005452 bending Methods 0.000 description 3
- 238000006243 chemical reaction Methods 0.000 description 3
- 239000002131 composite material Substances 0.000 description 3
- 230000014509 gene expression Effects 0.000 description 3
- 230000002093 peripheral effect Effects 0.000 description 3
- 238000005070 sampling Methods 0.000 description 3
- PCTMTFRHKVHKIS-BMFZQQSSSA-N (1s,3r,4e,6e,8e,10e,12e,14e,16e,18s,19r,20r,21s,25r,27r,30r,31r,33s,35r,37s,38r)-3-[(2r,3s,4s,5s,6r)-4-amino-3,5-dihydroxy-6-methyloxan-2-yl]oxy-19,25,27,30,31,33,35,37-octahydroxy-18,20,21-trimethyl-23-oxo-22,39-dioxabicyclo[33.3.1]nonatriaconta-4,6,8,10 Chemical compound C1C=C2C[C@@H](OS(O)(=O)=O)CC[C@]2(C)[C@@H]2[C@@H]1[C@@H]1CC[C@H]([C@H](C)CCCC(C)C)[C@@]1(C)CC2.O[C@H]1[C@@H](N)[C@H](O)[C@@H](C)O[C@H]1O[C@H]1/C=C/C=C/C=C/C=C/C=C/C=C/C=C/[C@H](C)[C@@H](O)[C@@H](C)[C@H](C)OC(=O)C[C@H](O)C[C@H](O)CC[C@@H](O)[C@H](O)C[C@H](O)C[C@](O)(C[C@H](O)[C@H]2C(O)=O)O[C@H]2C1 PCTMTFRHKVHKIS-BMFZQQSSSA-N 0.000 description 2
- 230000015572 biosynthetic process Effects 0.000 description 2
- 238000004891 communication Methods 0.000 description 2
- 230000008878 coupling Effects 0.000 description 2
- 238000010168 coupling process Methods 0.000 description 2
- 238000005859 coupling reaction Methods 0.000 description 2
- 238000003786 synthesis reaction Methods 0.000 description 2
- 239000012530 fluid Substances 0.000 description 1
- 238000003780 insertion Methods 0.000 description 1
- 230000037431 insertion Effects 0.000 description 1
- 230000000149 penetrating effect Effects 0.000 description 1
- 239000000758 substrate Substances 0.000 description 1
- 239000000725 suspension Substances 0.000 description 1
- 238000011144 upstream manufacturing Methods 0.000 description 1
Images
Landscapes
- Testing Of Balance (AREA)
Description
校正テストとしては、タイヤを用いない校正方法(例えば、特許文献1参照。)と、タイヤを用いる校正方法とがある。
PL=P´L−ZL−TL
PU=P´U−ZU−TU
となる。
UL=γ1PL+γ2PU
UU=δ1PL+δ2PU
γ1=PUU×WL・rL/(PUU×PLL−PUL×PLU)
γ2=−PUL×WL・rL/(PUU×PLL−PUL×PLU)
δ1=−PLU×WU・rU/(PUU×PLL−PUL×PLU)
δ2=PLL×WU・rU/(PUU×PLL−PUL×PLU)
図4においてタイヤ2の回転軸8(シャフト)は上側のロードセル7aと下側のロードセル7bの着力点間の中心付近を中心にして紙面を垂直に貫く方向に、上側のロードセル7aと下側のロードセル7bとが逆位相の関係をもって変位運動を繰り返す。つまり、上側のロードセル7aが紙面の表側に向けて変位したときは下側のロードセル7bは紙面の裏側に向けて変位している。
下側のロードセル7bの着力点から遠心力の作用点までの距離をa、上側のロードセル7aの着力点までの距離をb1とし、遠心力Fによってタイヤ2の回転軸8がα度だけ傾斜したとすると、上側のロードセル7aに作用する力はF・(b1/a)・cosαの関係にあり遠心力Fの大きさに応じて比例関係に変化しない。下側のロードセル7bに作用する力についても同様である。
また、タイヤ2が回転軸8に装着されると、回転軸8に曲げ歪みが生じる。そして、リム12,29を回転軸8の回転中心に対して完全に同心円に装着することができないので、タイヤ2やリム12,29の外周上の各点によって回転中心からの距離が異なる。すると、校正モードにおいてリム12,29の外周上に既知の質量のものを既知の角度に装着して回転させ、上下のロードセル7a,7bの出力を測定して求めたアンバランスベクトルを、装着した既知のアンバランスベクトルへ変換するように係数を求めても、この係数は、同じ質量のものを同じ位置に装着した場合にのみ有効になり、被測定タイヤのアンバランスベクトルが不明な場合に、従来のように一意に求めた係数を使用して上下のロードセル7a,7bの出力から被測定タイヤのアンバランスベクトルを精確に算出することはできない。
平面上の一方向への変位を拘束し、前記一方向と直交する他方向への変位を可能にするように支持具によって基礎面から支持されたダイナミックバランサ本体に回転自在に回転軸が設けられ、
前記ダイナミックバランサ本体の上部と下部にそれぞれ、前記ダイナミックバランサ本体の変位を生じさせる荷重を検出するように前記基礎面から支持された上部荷重センサと下部荷重センサとが設けられ、
前記回転軸に対して同軸に上側と下側にそれぞれ上部リムと下部リムとが設けられ、
校正モードが選択されている際に、前記上部リムと下部リムのうちの一方に所定の質量の錘を所定の位置に取り付けた状態およびそれらリムの両方に錘を付けていない状態の3つの状態のそれぞれに対応する前記上部リムと下部リムについての設定アンバランスベクトルでもって前記回転軸を回転させることで、前記上部荷重センサおよび下部荷重センサからそれぞれ出力される荷重信号の測定値に基づいて、前記上部リムと下部リムについてのアンバランスベクトルを求め、求めたアンバランスベクトルと前記設定アンバランスベクトルとを関係付ける少なくとも2種類の係数を前記上部荷重センサおよび下部荷重センサのそれぞれについて算出する係数算出手段を備えたタイヤ用ダイナミックバランサであって、
前記係数算出手段は、さらに前記校正モードにおいて、前記3つの状態のうちの前記上部リムと下部リムのうちの一方に錘を取り付ける状態において、前記上部リムおよび下部リムのそれぞれに対して取り付ける錘の質量の大きさおよび/または錘の取り付け位置を変更することによって設定される複数組の設定アンバランスベクトル毎に前記回転軸を回転させることで各設定アンバランスベクトルに対応して前記上部荷重センサおよび下部荷重センサからそれぞれ出力される荷重信号の測定値によって求められる複数組のアンバランスベクトル測定値を複数組の基準係数として設定する、または、前記複数組のアンバランスベクトル測定値と前記複数組の設定アンバランスベクトルとをそれぞれ関係付ける複数組の2種類の係数を複数組の基準係数として設定し、稼働運転モードにおいて、当該タイヤ用ダイナミックバランサに被測定タイヤが装着された状態において前記回転軸を回転させることで前記上部荷重センサおよび下部荷重センサからそれぞれ出力される荷重信号の測定値と、前記校正モードが選択されている際に求めた前記少なくとも2種類の係数とによって、前記被測定タイヤのアンバランスベクトルを求め、求めたアンバランスベクトルと、前記複数組の設定アンバランスベクトルと、前記複数組の基準係数とに基づいて、前記被測定タイヤのアンバランスベクトルを求めるに適する2種類の稼働運転時用の係数を推定することを特徴とするものである。
平面上の一方向への変位を拘束し、前記一方向と直交する他方向への変位を可能にするように支持具によって基礎面から支持されたダイナミックバランサ本体に回転自在に回転軸が設けられ、
前記ダイナミックバランサ本体の上部と下部にそれぞれ、前記ダイナミックバランサ本体の変位を生じさせる荷重を検出するように前記基礎面から支持された上部荷重センサと下部荷重センサとが設けられ、
前記回転軸に対して同軸に上側と下側にそれぞれ上部リムと下部リムとが設けられてなるタイヤ用ダイナミックバランサにおいて、
校正モードが選択されている際に、前記上部リムと下部リムのうちの一方に所定の質量の錘を所定の位置に取り付けた状態およびそれらリムの両方に錘を付けていない状態の3つの状態のそれぞれに対応する前記上部リムと下部リムについての設定アンバランスベクトルでもって前記回転軸を回転させることで、前記上部荷重センサおよび下部荷重センサからそれぞれ出力される荷重信号の測定値に基づいて、前記上部リムと下部リムについてのアンバランスベクトルを求め、求めたアンバランスベクトルと前記設定アンバランスベクトルとを関係付ける少なくとも2種類の係数を前記上部荷重センサおよび下部荷重センサのそれぞれについて算出するタイヤ用ダイナミックバランサの校正方法であって、
さらに前記校正モードにおいて、前記3つの状態のうちの前記上部リムと下部リムのうちの一方に錘を取り付ける状態において、前記上部リムおよび下部リムのそれぞれに対して取り付ける錘の質量の大きさおよび/または錘の取り付け位置を変更することによって設定される複数組の設定アンバランスベクトル毎に前記回転軸を回転させることで各設定アンバランスベクトルに対応して前記上部荷重センサおよび下部荷重センサからそれぞれ出力される荷重信号の測定値によって求められる複数組のアンバランスベクトル測定値を複数組の基準係数として設定する、または、前記複数組のアンバランスベクトル測定値と前記複数組の設定アンバランスベクトルとをそれぞれ関係付ける複数組の2種類の係数を複数組の基準係数として設定し、稼働運転モードにおいて、当該タイヤ用ダイナミックバランサに被測定タイヤが装着された状態において前記回転軸を回転させることで前記上部荷重センサおよび下部荷重センサからそれぞれ出力される荷重信号の測定値と、前記校正モードが選択されている際に求めた前記少なくとも2種類の係数とによって、前記被測定タイヤのアンバランスベクトルを求め、求めたアンバランスベクトルと、前記複数組の設定アンバランスベクトルと、前記複数組の基準係数とに基づいて、前記被測定タイヤのアンバランスベクトルを求めるに適する2種類の稼働運転時用の係数を推定することを特徴とするものである。
このとき、上部荷重センサおよび下部荷重センサからそれぞれ出力される荷重信号の測定値に基づいて、上部リムと下部リムについてのアンバランスベクトルが求められ、当該アンバランスベクトルと上記の設定アンバランスベクトルとを関係付ける少なくとも2種類の係数が上部荷重センサおよび下部荷重センサのそれぞれについて算出される。
さらに、校正モードにおいて、3つの状態のうちの上部リムと下部リムのうちの一方に錘を取り付ける状態において、上部リムおよび下部リムのそれぞれに対して取り付ける錘の質量の大きさおよび/または錘の取り付け位置を変更することによって複数組の設定アンバランスベクトルが設定される。設定された複数組の設定アンバランスベクトル毎に回転軸を回転させることで各設定アンバランスベクトルに対応して上部荷重センサおよび下部荷重センサからそれぞれ出力される荷重信号の測定値によって求められる複数組のアンバランスベクトル測定値が複数組の基準係数として設定される、または、複数組のアンバランスベクトル測定値と複数組の設定アンバランスベクトルとをそれぞれ関係付ける複数組の2種類の係数が複数組の基準係数として設定される。
そして、稼働運転モードにおいて、当該タイヤ用ダイナミックバランサに被測定タイヤが装着された状態において回転軸を回転させることで上部荷重センサおよび下部荷重センサからそれぞれ出力される荷重信号の測定値と、校正モードが選択されている際に求めた少なくとも2種類の係数とによって、被測定タイヤのアンバランスベクトルを求め、求めたアンバランスベクトルと、複数組の設定アンバランスベクトルと、複数組の基準係数とに基づいて、被測定タイヤのアンバランスベクトルを求めるに適する2種類の稼働運転時用の係数が推定される。
したがって、任意の大きさのアンバランス量とアンバランス位置を持つ被測定タイヤに対して、ロードセルの荷重信号出力から任意のアンバランス量とアンバランス位置を求めるにあたって最も適切な係数を推定することができる。また、推定した係数を使用することによって精確な被測定タイヤのアンバランスベクトルを算出することができる。
また、この測定により得られたタイヤ2の上面側および下面側のアンバランス、つまり重心の偏心に基づく偏心力を求めることができる。
そして、この偏心力に基づいて、必要に応じてタイヤ2の補正等をすることができ、これによってタイヤ2のダイナミックバランスを許容範囲内に収めることができる。
なお、タイヤ2の偏心力とは、タイヤ2の上面側の重心の偏心および下面側の重心の偏心に基づく各遠心力とその遠心力の方向(タイヤの回転位置)とから決定される力をいう。この偏心力が求められると、タイヤ2の上面側の重心の偏心および下面側の重心の偏心に基づく各遠心力と、各重心がタイヤ2の所定の基準位置から各重心位置までの角度を求めることができる。
これによって、ダイナミックバランサ本体3は、地面に対して垂直方向に配置された2本のトーションバー4a,4bと地面に対して平行な4本のトーションバー6a,6b;6a,6bに対して直交する方向(図1中記号A矢印方向)にのみ移動可能に設けられている。
ロータリエンコーダ9は、回転軸8の回転位置を測定するものであり、回転軸8の回転位置を測定することにより、この回転軸8と結合されている下部リム12(図2参照)の回転位置を測定することができる。
プーリ10は、例えばタイミングベルト13等の駆動ベルトを介して別のプーリ14と接続されており、このプーリ14は、サーボモータ15の回転軸に装着されている。つまり、回転軸8は、サーボモータ15によって回転駆動される構成である。
なお、タイミングベルト13の張力が4本のトーションバー6a,6b;6a,6bの引張方向に働くようにサーボモータ15が配置されているので、ロードセル7a,7bにはタイミングベルト13の張力が働かないようになっている。
ロータリジョイント11については後述する。
ダイナミックバランサ本体3には、中央に上下方向の貫通孔21が穿設されており、この貫通孔21の上側開口縁と下側開口縁には、それぞれ軸受22a,22bが装着されている。これら2つの軸受22a,22bの内側には、円筒状の回転軸8が嵌合されており、この回転軸8は、軸受22a,22bを介して回動自在にダイナミックバランサ本体3に支持されている。
この回転軸8の下端の開口には、ロータリジョイント11が装着されており、このロータリジョイント11には、エアホース23を介して2つの電磁弁24,25が直列に接続されている。
2つの電磁弁24,25のうち、空気流れの上流側に配置される電磁弁25には、高圧(約5kgf/cm2)の圧力タンク(図示省略)と低圧(約5kgf/cm2)の圧力タンク(図示省略)が連結されており、この電磁弁25は、空気流れの下流側に配置される電磁弁24に高圧の圧力タンクまたは低圧のお圧力タンクを連通させる切換弁として機能する。
電磁弁24は、高圧または低圧の圧力タンクから供給される圧力流体(本例では圧力空気)を回転軸8側に供給する供給位置と、回転軸8側の圧力空気を大気に放出する排気位置とに切り換える切換弁として機能する。
なお、高圧の圧力空気は、このダイナミックバランサ1を校正するときに使用し、低圧の圧力空気は、このダイナミックバランサ1によりタイヤ2のダイナミックバランスを測定するときに使用する。
このピストン27の上端面には、上部リム29が設けられている。
また、ピストン27には、そのピストン27の下面に開口する開口部30とピストン3の上部の外周面に開口する開口部31,31とを連通する連通孔32が穿設されている。
開口部31,31には、ワンタッチ式の弁装置33,33が設けられている。この弁装置33は、例えば先端の突出部を指で押すことにより、開口部31を開放したり、閉塞したりすることができる構造のものである。ここでは、弁装置33としてワンタッチで開口部31を開閉することができる構造のものを採用したが、弁体を回転させることにより開口部31を開閉する形式のものを採用してもよい。
ストッパ38は、先端が係合溝28に沿う円弧状に形成してある板状体であり、シリンダ本体26の周壁に穿設された矩形の挿通孔に挿通されている。
そして、これら2つの溝カム36をシリンダの筒方向(図2の上下方向)に沿って摺動させたときに、ストッパ38の先端部が係合溝28から外れた状態の非係合位置(図示省略)と、ストッパ38の先端部が係合溝28に係合した状態の係合位置(図2に示される状態)とにストッパ38を移動させることができるようになっている。
なお、溝カム36を上下方向に駆動する駆動部は図示されていないが、例えばエアシリンダを利用することができる。
また、下部リム12を手で回して下部リム12の予め定めた基準位置を上部リム29の予め定めた基準位置に一致させ、この状態でストッパ38を係合溝28に係合させて、電磁弁24を切り換えて支持軸8の内孔41及びシリンダ本体26内に校正用の高圧の圧力空気を供給することができる。シリンダ本体26内の圧力空気は、ピストン27を図2の上方に押し上げ、これによってストッパ38の下面と係合溝28の上面とが圧接し、その結果、シリンダ本体26とピストン27とをストッパ38を介して強固に結合させることができる。
図3(a)に示されるように、タイヤ2にアンバランスモーメントが図中記号B矢印方向に発生した場合、車に与える振動となる。
図3(b)に示されるように、タイヤ2の中心から半径方向に同じ距離Rに同じアンバランス量が上面と下面にある場合、スタティックバランスは零となる。
図3(b)の状態で、同図(c)のようにタイヤ2を回転させた場合、図中記号C矢印方向にモーメントが発生する。このモーメントをカップルアンバランスという。
ダイナミックバランスとは、スタティックアンバランスとカップルアンバランスとを含むものである。
図4に示されるように、タイヤ2全体が持つアンバランスを下修正面(Z1)および上修正面(Z2)での2つのアンバランスとして代表して表す。
UL:下修正面での半径rの位置にあるアンバランス量(下アンバランス量)。
θL:ULのアンバランス角度(下アンバランス角度)。
UU:上修正面での半径rの位置にあるアンバランス量(上アンバランス量)。
θU:UUのアンバランス角度(上アンバランス角度)。
PL:ULが回転することにより、下側のロードセルで検出される出力。
PU:UUが回転することにより、上側のロードセルで検出される出力。
Z1:下側のロードセルの着力点とタイヤの下修正面との距離
Z2:下側のロードセルの着力点とタイヤの上修正面との距離
L:上側のロードセルの着力点と下側のロードセルの着力点との距離
なお、図4(b)中における分銅取り付け位置について、回転軸8の回転中心O点を定め、回転中心Oを原点とし、ロードセル7a,7bによる荷重検出位置を基準として定めたX−Y座標上でX軸と所定の角度θLとθUをなし、O点を通る直線上でO点からrの距離にある下部リム12、上部リム29上に分銅取り付け位置を定める。
PL+PU=rω2(UL+UU) ・・・(1)
LPU=rω2(Z1UL+Z2UU) ・・・(2)
軸受22a,22b(図2参照)が殆ど振動せず不釣り合いの力がそのまま基礎に伝わるとすると、上記(1)(2)式より、下記(3)(4)式が成り立つ。
PL=α1UL+α2UU ・・・(3)
PU=β1UL+β2UU ・・・(4)
ここで、
α1=rω2(1−Z1/L)
α2=rω2(1−Z2/L)
β1=rω2Z1/L
β2=rω2Z2/L
よって、ロードセル7a,7bに加わる不釣り合い力PU,PLを検出することにより、アンバランス量UL,UUを求めることができる。上記(3)(4)式より、UU,ULは、下記(5)(6)式で表される。
UL=γ1PL+γ2PU ・・・(5)
UU=δ1PL+δ2PU ・・・(6)
ここで、
γ1=Z2/rω2(Z2−Z1)
γ2=−(L−Z2)/rω2(Z2−Z1)
δ1=−Z1/rω2(Z2−Z1)
δ2=(L−Z1)/rω2(Z2−Z1)
ところで、アンバランス量およびアンバランス角を求めるためには、ある決まった角度から回転を開始したときの時系列でのロードセル7a,7bの出力が必要となる。
そこで、本実施形態では、図5(a)に示されるように、ロードセル7a,7bからの出力信号およびロータリエンコーダ9からの出力信号をそれぞれDLC基板からなる測定回路50に取り込み、図6のフローチャートに示されるアルゴリズムに基づいて作成された所定プログラムに従って所定の測定処理を実行するようにされている。
ここで、測定回路50を構成するDLC基板とは、図示による詳細な説明は省略するが、アナログ荷重信号増幅回路や、A/D変換回路、シリアル通信回路を含むI/O回路、CPU回路、メモリ回路、ロードセル励磁用の電源回路、デジタル・アナログ回路駆動用の電源回路などを内蔵する基板である。
ロードセル7a,7bでのサンプリングは、ロータリエンコーダ9からのZ相出力を開始トリガとして使用し、1°毎のパルス出力をサンプリングクロックとして使用する。したがって、サンプリングした波形は、図5(b)に示されるように、360点周期の正弦波となっている。この波形をベクトル化することにより、アンバランスベクトルを検出している。
ここで、図6のフローチャートに示される処理内容について説明する。なお、図6中記号「S」はステップを表す。
次いで、校正モードおよび稼働モードのいずれのモードが選択されているかを判断する(S5)。
次いで、種々の質量の分銅を上下のリム29,12の種々の位置に取り付けてテストを実施する(S7)。つまり、i(2以上の整数)通りのアンバランスベクトルを与えてテストする。
次いで、零ベクトルをキャンセルするとともに、テスト用タイヤのアンバランス量をキャンセルする(S8)。
そして、i回計測を実施したら(S9でYes)、後述する基準係数リスト(表1参照)を作成し(S10)、後述するγ1,γ2,δ1,δ2の各係数を取得する(S11)。
次いで、スタティックアンバランス演算、カップルアンバランス演算および位置補正をそれぞれ実行する(S14〜S15)。
リム12,29および回転軸8を含む回転系は、ある一定のアンバランス量およびアンバランス角度を持つ。実際にタイヤ2または分銅のアンバランスベクトルを計測する際は、それらを装着してアンバランスベクトルから初期アンバランスベクトル(Z)を差し引く必要がある。
タイヤ2の持つアンバランスによりロードセル7a,7bで検出されるアンバランスベクトルは、90°毎ずらして測定したことにより、下記(7)式で示されるように、全て加算すると零となる。
P90+P180+P270+P0=0 ・・・(7)
よって、下記(8)式で示されるように、4回の測定結果のアンバランスベクトルを加算して4で割ることにより、回転系の持つ初期アンバランスベクトルZを求めることができる。
Z=(P´90+P´180+P´270+P´0)/4 ・・・(8)
すなわち、上側のロードセル7aの出力信号から求めたアンバランスベクトルをP´U90+P´U180+P´U270+P´U0、下側のロードセル7bの出力信号から求めたアンバランスベクトルをP´L90+P´L180+P´L270+P´L0とすると、ZU,ZLは、下記(9)(10)のように表すことができる。
ZU=(P´U90+P´U180+P´U270+P´U0)/4 ・・・(9)
ZL=(P´L90+P´L180+P´L270+P´L0)/4 ・・・(10)
毎回のタイヤ2または分銅を取り付けての測定結果(P´U,P´L)には、零ベクトル取得で求めた上下初期アンバランスベクトル(ZU,ZL)と、タイヤ2または分銅39,40の持つアンバランスによりロードセル7a,7bで検出されるアンバランスベクトル(PU,PL)の合成ベクトルが測定されているため、上下初期アンバランスベクトル分を差し引く必要がある。下記(11)(12)式により、PU,PLを求めることができる。
PU=P´U−ZU ・・・(11)
PL=P´L−ZL ・・・(12)
前述した測定原理の説明での(5)式および(6)式はそれぞれγ1,γ2およびδ1,δ2に対する2元1次方程式であるから、ULまたはUUとして2種類のアンバランスベクトルを付加したときのPUおよびPLを測定することによってγ1,γ2およびδ1,δ2の各係数を求めることができる。
図8(a)に示されるように、上部リム29に質量WUの分銅39を位置ベクトルrUの位置に取り付けて回転させ、零キャンセルした後の下側のロードセル7bの測定値P´ULおよび上側のロードセル7aの測定値P´UUを得る。
図8(b)に示されるように、下部リム12に質量WLの分銅40を位置ベクトルrLの位置に取り付けて回転させ、零キャンセルした後の下側のロードセル7bの測定値P´LLおよび上側のロードセル7aの測定値P´LUを得る。
ロードセル7a,7bの測定値P´L,P´Uには、タイヤ2の持つアンバランスによる検出ベクトルTL,TUが含まれているため、これらを差し引く必要がある。このTL,TUとしては、前述の零ベクトル取得の説明での0°の測定結果P´L0およびZLからPL0を、P´U0およびZUからPU0を求め、TL=PL0,TU=PU0として使用する。
回転系の持つ初期アンバランスベクトルZL,ZUおよびタイヤ2を使用して校正時のタイヤの持つアンバランスによる検出ベクトルTL,TUを差し引いた結果、取り付けた分銅39,40による検出ベクトルPL,PUのみが残る。すなわち、下記(13)(14)式が成り立つ。
PL=P´L−ZL−TL ・・・(13)
PU=P´U−ZU−TU ・・・(14)
図8(a)に示される状態の場合、上側のロードセル7aで検出される分銅39によるアンバランスベクトルをPUU、下側のロードセル7bで検出される分銅39によるアンバランスベクトルをPULとすると、下記(15)(16)式が得られる。
γ1×PUL+γ2×PUU=vec{0} ・・・(15)
δ1×PUL+δ2×PUU=vec{WU} ・・・(16)
γ1×PLL+γ2×PLU=vec{WL} ・・・(17)
δ1×PLL+δ2×PLU=vec{0} ・・・(18)
また、
PUU=P´UU−ZU−TU
PUL=P´UL−ZL−TL
である。
また、
PLU=P´LU−ZU−TU
PLL=P´LL−ZL−TL
である。
また、(16)(17)式中のvec{WU},vec{WL}は、大きさがWUまたはWLで偏角がリム0°に対する分銅を取り付けた角度のベクトルである。すなわち、
vec{WU}=WU・rU
vec{WL}=WL・rL
と表される。
γ1=PUU×WL・rL/(PUU×PLL−PUL×PLU) ・・・(19)
γ2=−PUL×WL・rL/(PUU×PLL−PUL×PLU) ・・・(20)
上記(16)(18)式より、δ1,δ2は下記(21)(22)式から求められる。
δ1=−PLU×WU・rU/(PUU×PLL−PUL×PLU) ・・・(21)
δ2=PLL×WU・rU/(PUU×PLL−PUL×PLU) ・・・(22)
零ベクトル取得で初期アンバランスベクトル(ZU,ZL)が決定し、係数取得でロードセル7a,7bの検出ベクトル(P´U,P´L)から上下修正面でのアンバランスベクトル(UU,UL)への変換係数(γ1,γ2,δ1,δ2)が決定したため、リム12,29に取り付けたタイヤ2または分銅39,40の上下修正面で表したアンバランスベクトルを測定することが可能となる。
上下修正面で表した上下アンバランスベクトルUU,ULは、下記(23)(24)式から求めることができる。
UL=γ1×(P´L−ZL)+γ2×(P´U−ZU) ・・・(23)
UU=δ1×(P´L−ZL)+δ2×(P´U−ZU) ・・・(24)
アンバランス量はアンバランスベクトルの大きさ、アンバランス角はアンバランスベクトルの偏角として定義されるので、上下アンバランスベクトルUU,ULの各成分を、下記のように定義する。
UU=(UUx,UUy)
UL=(ULx,ULy)
すると、アンバランス量は下記(25)(26)式によって求められ、アンバランス角は下記(27)(28)式から求められる。
|UU|=(UUx2+UUy2)1/2 ・・・(25)
|UL|=(ULx2+ULy2)1/2 ・・・(26)
∠UU=tan−1(UUy/UUx) ・・・(27)
∠UL=tan−1(ULy/ULx) ・・・(28)
スタティックアンバランスベクトルSは、図9に示されるように、上下アンバランスベクトルUU,ULから下記(29)式のように定義される。
S=UU+UL ・・・(29)
よって、上アンバランス量UU、下アンバランス量ULおよび上下アンバランス量が有ると考えられる軸中心からの距離rを用いると、下記(30)(31)式のように表される。
|S|=|UU+UL|=(UU+UL)・r ・・・(30)
∠S=∠(UU+UL)=tan−1(UUy+ULy)/(UUx+ULx)
・・・(31)
カップルアンバランスベクトルCは、図10に示されるように、上下アンバランスベクトルUU,UL、上下修正面の距離dおよび係数取得時に分銅に取り付けた回転軸8からの距離r´から下記(32)式のように定義される。
C=(UU/r´)・(d/2)−(UL/r´)(d/2)=(UU−UL)・(1/r´)・(d/2) ・・・(32)
よって、上下アンバランス量UU,ULおよび上下アンバランス量が有ると考えられる軸中心からの距離rを用いると、下記(33)(34)式のように表される。
|C|=|UU−UL|・(1/r´)・(d/2)=(UU−UL)・(r/r´)・(d/2) ・・・(33)
∠C=∠(UU−UL)=tan−1(UUy−ULy)/(UUx−ULx)
・・・(34)
アンバランスベクトル演算で求められたUUおよびULは、校正時に分銅を取り付けた位置でのアンバランスベクトルである。
実際の測定時には、アンバランス位置を校正分銅位置からリムの取付位置に変換する補正演算が必要となる。図11にこのモデルを示す。
原則として、スタティックアンバランスベクトルおよびカップルアンバランスは修正面を変えても変わらないので、下記(35)(36)式が成立する。
UU+UL=U´U+U´L ・・・(35)
(UU−UL)・(1/r´)・(d/2)=(U´U−U´L)・(1/r´)・(d´/2) ・・・(36)
上記(35)(36)式より、上下アンバランス量UU,ULは、下記(37)(38)式のように表される。
UU={U´U+U´L+(d´/d)・(U´U−U´L)}/2 ・・・(37)
UL={U´U+U´L−(d´/d)・(U´U−U´L)}/2 ・・・(38)
よって、位置補正後のアンバランス量は、下記(39)(40)式で表される
UU=|UU|={(r´/r)・(U´U+U´L)+(r´/r)・(d´/d)・(U´U−U´L)}/2 ・・・(39)
UL=|UL|={(r´/r)・(U´U+U´L)−(r´/r)・(d´/d)・(U´U−U´L)}/2 ・・・(40)
ただし、校正モードでは、上下のリム29,12の半径rの距離におけるアンバランス量として扱い(係数もこの条件で求められる)、測定時も半径rの距離におけるアンバランス量として求め、先の位置補正の説明で述べたようにタイヤ2に応じて位置補正される。
こうした基準係数の他に、γ1〈1,1〉〜γ1〈3,4〉の平均値をもって代表係数γ1を決定する。γ2,δ1,δ2についても同様に決定する。
また、基準リストの中で任意に1つずつγ1,γ2,δ1,δ2を選択して決めても良い。
稼働運転時には被測定タイヤの測定に当たって、
最初は、前述したアンバランスベクトル演算の説明での式を使用し、上記のように、あるいは従来の校正方式で求めた代表係数γ1,γ2,δ1,δ2を適用し、被測定タイヤの上下のアンバランスベクトルUU,ULとアンバランス角∠UU,∠ULを求める。
スタティックアンバランス演算の説明で述べたとおり、被測定タイヤの上下のアンバランスベクトルUU,ULとアンバランス角∠UU,∠ULとにより算出された合成アンバランス量Sとアンバランス角∠Sを図12(a)に示す。
合成アンバランス量Sとアンバランス角∠Sよりアンバランス量としての質量WS、角度θSを算出する。
表1の基準点の中で、被測定タイヤについて算出された合成アンバランスベクトルによる質量WSと角度θSに対して最も近傍にある質量、位置角を取り上げる。
A,B,C,D点には、上下のロードセル7a,7bの出力信号と、それぞれの点における基準の質量、角度とを関係づける基準の変換係数が付属しており、A,B,C,D点で囲まれる領域の中における任意の質量と角度の点の係数は、A,B,C,Dの各点の基準の質量と基準角度の大きさの違いに応じて比例的に変化するものとする。
これらの合成アンバランスベクトルによる質量WSと角度θSが図13のP点に示すように質量WSがW2<WS<W3で、角度θSが0°<θS<90°であったとする。
表1より、質量WS、角度θSを表すP点の近傍の点としてP点を囲む基準点A〜D点を選択する。
B点は、表1において質量W3の分銅を角度0°の上部リム29の位置に取り付け、また、質量W 3 の分銅を角度0°の下部リム12の位置に取り付けてタイヤ2を回転させ上下のロードセル7a,7bの出力を測定することによって得られた係数γ1〈3,1〉,γ2〈3,1〉,δ1〈3,1〉,δ2〈3,1〉である。
C点は、表1において質量W3の分銅を角度90°の上部リム29の位置に取り付け、また質量W3の分銅を角度90°の下部リム12の位置に取り付けてタイヤ2を回転させ上下のロードセル7a,7bの出力を測定することによって得られた係数γ1〈3,2〉,γ2〈3,2〉,δ1〈3,2〉,δ2〈3,2〉である。
D点は、表1において質量W 2 の分銅を角度90°の上部リム29の位置に取り付け、また質量W 2 の分銅を角度90°の下部リム12の位置に取り付けてタイヤ2を回転させ上下のロードセル7a,7bの出力を測定することによって得られた係数γ1〈2,2〉,γ2〈2,2〉,δ1〈2,2〉,δ2〈2,2〉である。
係数γ1〈x,y〉について、
E点の係数γ1〈x,1〉は、
γ1〈x,1〉=γ1〈2,1〉
+(γ1〈3,1〉−γ1〈2,1〉)・{(WS−W2)/(W3−W2)}
F点の係数γ1〈x,2〉は、
γ1〈x,2〉=γ1〈2,2〉
+(γ1〈3,2〉−γ1〈2,2〉)・{(WS−W2)/(W3−W2)}
P点の係数γ1〈x,y〉は、
γ1〈x,y〉=(γ1〈x,2〉−γ1〈x,1〉)・(θS/90°)
と算出する。
同様にしてγ2〈x,y〉,δ1〈x,y〉,δ1〈x,y〉を算出する。
さらに精度を上げるには、上記のように算出した上下アンバランスベクトルより合成アンバランス量Sとアンバランス角∠Sよりアンバランス量としての質量WS、角度θSを算出し、再び同じ手順で上記の計算を繰り返せばよい。
図14は、表1に与えられる基準点である基準質量の分銅39,40を上下のリム29,12の基準位置角に取り付けた場合に求まる上下のロードセル7a,7bの出力によるアンバランスベクトルを使用して被測定タイヤに対応する上下のロードセル7a,7b出力によるアンバランスベクトルを推定する方法を示したものである。
図14には表1より得られた基準点A〜Dのアンバランスベクトルが示されている。
上記と同様にA−B−C−Dで囲まれた斜線の範囲のアンバランスベクトルは各基準点のアンバランスベクトルに対して質量と角度の大きさの変化に応じて比例的に変化するものとし、P点の上下のロードセル7a,7b出力におけるアンバランスベクトルの推定値として、上記と同じ比例配分の計算にてP´UL〈x、y〉,P´UU〈x、y〉,P´LL〈x、y〉,P´LU〈x、y〉を求める。
合成アンバランス量Sとアンバランス角∠Sと推定値P´UL〈x、y〉,P´UU〈x、y〉,P´LL〈x、y〉,P´LU〈x、y〉を使用して前述した係数取得(2)の説明で用いた式によって係数γ1,γ2,δ1,δ2を推定する。
係数γ1,γ2,δ1,δ2が求まると、推定した係数と、上下のロードセル7a,7bの出力から被測定タイヤのアンバランスベクトルを再計算する。
この値を最終結果としても良いが、さらに合成ベクトルを算出して上記の計算に戻って計算し直し、再び係数を求めて被測定タイヤのアンバランスベクトルを再計算する操作を繰り返してもよい。
上記と同様に最初は、上記の代表係数γ1,γ2,δ1,δ2を使用し、前述したアンバランスベクトル演算の説明での式を使用して被測定タイヤの上下のアンバランスベクトルUU,ULとアンバランス角∠UU,∠ULを求める。
上アンバランスベクトルUUと上アンバランス角∠UUより上アンバランス質量WUと上アンバランス角度θUを算出する。
上記で算出された上アンバランス質量WUと上アンバランス角度θUの値で表されるP点の近傍でP点を囲む質量、角度である基準点A〜Dにおける上下のロードセル7a,7bの出力によるアンバランスベクトルを表1より取り出し図15(a)に表す。
但し、P点の質量WUが、WU>W3であるためP点はB,C点の右側に存在するとする。また、角度θUは90°<θU<180°であるとする。
P´UL〈x,2〉=P´UL〈3,2〉
+(P´UL〈3,2〉−P´UL〈2,2〉)・{(WU−W2)/(W3−W2)}
P´UU〈x,2〉についても同様に計算する。
P´UL〈x,3〉=P´UL〈3,3〉
+(P´UL〈3,3〉−P´UL〈2,3〉)・{(WU−W2)/(W3−W2)}
P´UU〈x,3〉についても同様に計算する。
P´UL〈x,y〉=P´UL〈x,2〉
+(P´UL〈x,3〉−P´UL〈x,2〉)・{(θU−90°)/90°}
P´UU〈x,y〉についても同様に計算する。
但し、P点の質量WLは、W2<WL<W3とする。
また、角度θLは、180°<θU<270°であるとする。
これらの係数を使用して先に測定した上下のロードセル7a,7bの出力によって算出したアンバランスベクトルよりタイヤ上辺のアンバランスベクトルUUと下アンバランスベクトルを計算し直す。
さらに測定精度を高めるには、一連の計算を繰り返せばよい。
しかし、質量の大きさまたは角度の大きさの何れか一方のみをパラメータにとって係数を推定するようにしてもよい。
例えば、アンバランス質量の大きさの違いによる非線形性が強く、位置による非線形性は小さい場合における対処法について述べる。
表1の0度の欄の測定データが集まった段階で、上リム29に質量W1,W2,W3を取り付け(但し、W1,W2,W3の値は実際にタイヤ2に存在するアンバランス質量の範囲で適当に相対差があれば任意の大きさで良く、個数も3個に限らず多い方が好ましい。)、下リム12には取り付けずテストして上下のロードセル出力7a,7bから求めたアンバランスベクトルはそれぞれ、
P´UL〈1,1〉,P´UL〈2,1〉,P´UL〈3,1〉および
P´UU〈1,1〉,P´UU〈2,1〉,P´UU〈3,1〉
であるからデータ数に応じて最小2乗法などの方法によって、上部リム29において角度0度の位置に任意の質量WXを付けた場合における下側のロードセル7bの出力から検出されるアンバランスベクトルP´UL〈WX,1〉を表す関数としてFUL1(WX)と、角度0度の時の任意の質量WXを付けた場合における上側のロードセル7aの出力から検出されるアンバランスベクトルP´UU〈WX,1〉を表す関数としてFUU1(WX)を求める。
同様に、下部リム12において角度0度の位置に任意の質量WXを付けた場合における下側のロードセル7bの出力から検出されるアンバランスベクトルP´LL〈WX,1〉を表す関数としてFLL1(WX)と、角度0度の時の任意の質量WXを付けた場合における上側のロードセル7aの出力から検出されるアンバランスベクトルP´LU〈WX,1〉を表す関数としてFLU1(WX)を求める。
同様に、180度、270度の場合も関数を決定する。
そして、90度で求めた関数は45°<θX≦135°、180度で求めた関数は135°<θX≦225°、270度で求めた関数は225°<θX≦315°の範囲で使用する。
例えば、稼働運転において、被測定タイヤを測定し上記の代表係数で処理した結果、合成アンバランス質量がWS、角度がθSと算出され、θS=30度であったとすると、315°<θS≦45°であるから0度で求めた関数を選択し、FUL1(WS),FUU1(WS),FLL1(WS),FLU1(WS)によってアンバランスベクトルを算出し、続いて本被測定タイヤのアンバランスベクトルに適する係数γ1,γ2,δ1,δ2をFUL1(WS),FUU1(WS),FLL1(WS),FLU1(WS)の値と上下のロードセル7a,7bの出力値より推定する。
要するに、被測定タイヤのアンバランスベクトルの大きさに応じて適切な係数を推定する方法は種々存在する。
3 ダイナミックバランサ本体
4a,4b トーションバー(支持具)
5 架台(基礎面)
6a,6b トーションバー(支持具)
8 回転軸
7a ロードセル(上部荷重センサ)
7b ロードセル(下部荷重センサ)
12 下部リム
29 上部リム
39,40 分銅(錘)
50 測定回路(係数算出手段、アンバランスベクトル算出手段)
Claims (4)
- 平面上の一方向への変位を拘束し、前記一方向と直交する他方向への変位を可能にするように支持具によって基礎面から支持されたダイナミックバランサ本体に回転自在に回転軸が設けられ、
前記ダイナミックバランサ本体の上部と下部にそれぞれ、前記ダイナミックバランサ本体の変位を生じさせる荷重を検出するように前記基礎面から支持された上部荷重センサと下部荷重センサとが設けられ、
前記回転軸に対して同軸に上側と下側にそれぞれ上部リムと下部リムとが設けられ、
校正モードが選択されている際に、前記上部リムと下部リムのうちの一方に所定の質量の錘を所定の位置に取り付けた状態およびそれらリムの両方に錘を付けていない状態の3つの状態のそれぞれに対応する前記上部リムと下部リムについての設定アンバランスベクトルでもって前記回転軸を回転させることで、前記上部荷重センサおよび下部荷重センサからそれぞれ出力される荷重信号の測定値に基づいて、前記上部リムと下部リムについてのアンバランスベクトルを求め、求めたアンバランスベクトルと前記設定アンバランスベクトルとを関係付ける少なくとも2種類の係数を前記上部荷重センサおよび下部荷重センサのそれぞれについて算出する係数算出手段を備えたタイヤ用ダイナミックバランサであって、
前記係数算出手段は、さらに前記校正モードにおいて、前記3つの状態のうちの前記上部リムと下部リムのうちの一方に錘を取り付ける状態において、前記上部リムおよび下部リムのそれぞれに対して取り付ける錘の質量の大きさおよび/または錘の取り付け位置を変更することによって設定される複数組の設定アンバランスベクトル毎に前記回転軸を回転させることで各設定アンバランスベクトルに対応して前記上部荷重センサおよび下部荷重センサからそれぞれ出力される荷重信号の測定値によって求められる複数組のアンバランスベクトル測定値を複数組の基準係数として設定する、または、前記複数組のアンバランスベクトル測定値と前記複数組の設定アンバランスベクトルとをそれぞれ関係付ける複数組の2種類の係数を複数組の基準係数として設定し、稼働運転モードにおいて、当該タイヤ用ダイナミックバランサに被測定タイヤが装着された状態において前記回転軸を回転させることで前記上部荷重センサおよび下部荷重センサからそれぞれ出力される荷重信号の測定値と、前記校正モードが選択されている際に求めた前記少なくとも2種類の係数とによって、前記被測定タイヤのアンバランスベクトルを求め、求めたアンバランスベクトルと、前記複数組の設定アンバランスベクトルと、前記複数組の基準係数とに基づいて、前記被測定タイヤのアンバランスベクトルを求めるに適する2種類の稼働運転時用の係数を推定することを特徴とするタイヤ用ダイナミックバランサ。 - 被測定タイヤの持つアンバランスベクトルを算出するアンバランスベクトル算出手段が設けられ、
前記アンバランスベクトル算出手段は、稼働運転モードの際に、当該タイヤ用ダイナミックバランサに被測定タイヤが装着された状態において前記回転軸を回転させることで前記上部荷重センサおよび下部荷重センサからそれぞれ出力される荷重信号の測定値と、前記推定した2種類の稼働運転時用の係数とに基づいて、前記被測定タイヤのアンバランスベクトルを再計算する請求項1に記載のタイヤ用ダイナミックバランサ。 - 平面上の一方向への変位を拘束し、前記一方向と直交する他方向への変位を可能にするように支持具によって基礎面から支持されたダイナミックバランサ本体に回転自在に回転軸が設けられ、
前記ダイナミックバランサ本体の上部と下部にそれぞれ、前記ダイナミックバランサ本体の変位を生じさせる荷重を検出するように前記基礎面から支持された上部荷重センサと下部荷重センサとが設けられ、
前記回転軸に対して同軸に上側と下側にそれぞれ上部リムと下部リムとが設けられてなるタイヤ用ダイナミックバランサにおいて、
校正モードが選択されている際に、前記上部リムと下部リムのうちの一方に所定の質量の錘を所定の位置に取り付けた状態およびそれらリムの両方に錘を付けていない状態の3つの状態のそれぞれに対応する前記上部リムと下部リムについての設定アンバランスベクトルでもって前記回転軸を回転させることで、前記上部荷重センサおよび下部荷重センサからそれぞれ出力される荷重信号の測定値に基づいて、前記上部リムと下部リムについてのアンバランスベクトルを求め、求めたアンバランスベクトルと前記設定アンバランスベクトルとを関係付ける少なくとも2種類の係数を前記上部荷重センサおよび下部荷重センサのそれぞれについて算出するタイヤ用ダイナミックバランサの校正方法であって、
さらに前記校正モードにおいて、前記3つの状態のうちの前記上部リムと下部リムのうちの一方に錘を取り付ける状態において、前記上部リムおよび下部リムのそれぞれに対して取り付ける錘の質量の大きさおよび/または錘の取り付け位置を変更することによって設定される複数組の設定アンバランスベクトル毎に前記回転軸を回転させることで各設定アンバランスベクトルに対応して前記上部荷重センサおよび下部荷重センサからそれぞれ出力される荷重信号の測定値によって求められる複数組のアンバランスベクトル測定値を複数組の基準係数として設定する、または、前記複数組のアンバランスベクトル測定値と前記複数組の設定アンバランスベクトルとをそれぞれ関係付ける複数組の2種類の係数を複数組の基準係数として設定し、稼働運転モードにおいて、当該タイヤ用ダイナミックバランサに被測定タイヤが装着された状態において前記回転軸を回転させることで前記上部荷重センサおよび下部荷重センサからそれぞれ出力される荷重信号の測定値と、前記校正モードが選択されている際に求めた前記少なくとも2種類の係数とによって、前記被測定タイヤのアンバランスベクトルを求め、求めたアンバランスベクトルと、前記複数組の設定アンバランスベクトルと、前記複数組の基準係数とに基づいて、前記被測定タイヤのアンバランスベクトルを求めるに適する2種類の稼働運転時用の係数を推定することを特徴とするタイヤ用ダイナミックバランサの校正方法。 - 稼働運転モードの際に、当該タイヤ用ダイナミックバランサに被測定タイヤが装着された状態において前記回転軸を回転させることで前記上部荷重センサおよび下部荷重センサからそれぞれ出力される荷重信号の測定値と、前記推定した2種類の稼働運転時用の係数とに基づいて、前記被測定タイヤのアンバランスベクトルを再計算する請求項3に記載のタイヤ用ダイナミックバランサの校正方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011159172A JP5825896B2 (ja) | 2011-07-20 | 2011-07-20 | タイヤ用ダイナミックバランサおよびその校正方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011159172A JP5825896B2 (ja) | 2011-07-20 | 2011-07-20 | タイヤ用ダイナミックバランサおよびその校正方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2013024705A JP2013024705A (ja) | 2013-02-04 |
JP5825896B2 true JP5825896B2 (ja) | 2015-12-02 |
Family
ID=47783232
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2011159172A Active JP5825896B2 (ja) | 2011-07-20 | 2011-07-20 | タイヤ用ダイナミックバランサおよびその校正方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5825896B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103776587B (zh) * | 2014-01-28 | 2016-03-16 | 郭卫建 | 确定转子的不平衡量的方法 |
Family Cites Families (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3213102B2 (ja) * | 1993-01-12 | 2001-10-02 | 国際計測器株式会社 | タイヤバランス測定方法及びその測定方法を利用するタイヤバランス測定装置 |
JP3429346B2 (ja) * | 1993-12-20 | 2003-07-22 | 大和製衡株式会社 | タイヤ用ダイナミックバランサ及びその校正方法 |
JP3291907B2 (ja) * | 1994-05-17 | 2002-06-17 | 株式会社島津製作所 | 不釣合試験機 |
JP5818537B2 (ja) * | 2011-06-30 | 2015-11-18 | 大和製衡株式会社 | タイヤ用ダイナミックバランサおよびその校正方法 |
-
2011
- 2011-07-20 JP JP2011159172A patent/JP5825896B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2013024705A (ja) | 2013-02-04 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
CN110006450B (zh) | 一种激光捷联惯导系统在卧式三轴转台上的标定方法 | |
CN102928222B (zh) | 一种滑动轴承动力特性系数试验识别方法 | |
US5827979A (en) | Signal processing apparati and methods for attenuating shifts in zero intercept attributable to a changing boundary condition in a Coriolis mass flow meter | |
IT9020765A1 (it) | Metodo di bilanciamento di rotori di turbomotori a gas e rotori cos~ prodotti | |
CN102072797B (zh) | 轮胎动平衡测量中的主轴不平衡量测量方法及轮胎平衡机 | |
DK2390644T3 (en) | A method and system for determining static and / or dynamic loads using the inverse dynamic calibration | |
CN109323711A (zh) | 一种陀螺仪模态反转零位自校正方法及系统 | |
CN110501107B (zh) | 一种基于六维力测试仪的航天器旋转载荷动平衡量测量方法 | |
CN104101464B (zh) | 一种基于旋转坐标系的多轮盘转子动平衡检测方法 | |
CN102778335A (zh) | 一种基于等效初相矢的各向异性转子全息动平衡方法 | |
KR20220038702A (ko) | 불균형 및/또는 오정렬을 감지하기 위한 방법 및 드라이브트레인 테스트 벤치 | |
CN107064559A (zh) | 一种基于角摇摆运动的sins加速度计频率特性测试方法 | |
JP5818537B2 (ja) | タイヤ用ダイナミックバランサおよびその校正方法 | |
US9927256B2 (en) | Calibration of vibrating gyroscope | |
JP5825896B2 (ja) | タイヤ用ダイナミックバランサおよびその校正方法 | |
US6227059B1 (en) | System and method for employing an imaginary difference signal component to compensate for boundary condition effects on a Coriolis mass flow meter | |
CN104678126B (zh) | 基于寄生电阻的电容式微机械加速度计相移温度补偿方法 | |
JP5631264B2 (ja) | タイヤバランス試験方法及びタイヤバランス試験機 | |
CN104154933A (zh) | 一种基于振动疲劳理论分析惯性测量系统失效模式的方法 | |
CN113945230A (zh) | 一种惯性器件的高阶误差系数的辨识方法 | |
CN114034885A (zh) | 一种基于全误差分析的陀螺加速度计在双轴离心机上的测试方法 | |
CN112345199A (zh) | 一种暂冲式高速风洞迎角传感器振动影响修正方法 | |
TW201403040A (zh) | 輪胎平衡檢查裝置之校正方法及輪胎平衡檢查裝置 | |
CN108896908B (zh) | 电动机有限元振动计算模型中阻尼参数的精确识别方法 | |
US20230008848A1 (en) | Method and apparatus for determining upvalue factors for expansion measurements on machine elements |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20140704 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20150305 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A132 Effective date: 20150317 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20150507 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20151013 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20151013 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5825896 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |