JP5818537B2 - タイヤ用ダイナミックバランサおよびその校正方法 - Google Patents
タイヤ用ダイナミックバランサおよびその校正方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5818537B2 JP5818537B2 JP2011145246A JP2011145246A JP5818537B2 JP 5818537 B2 JP5818537 B2 JP 5818537B2 JP 2011145246 A JP2011145246 A JP 2011145246A JP 2011145246 A JP2011145246 A JP 2011145246A JP 5818537 B2 JP5818537 B2 JP 5818537B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- unbalance
- tire
- rim
- weight
- dynamic balancer
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Landscapes
- Testing Of Balance (AREA)
Description
校正テストとしては、タイヤを用いない校正方法(例えば、特許文献1参照。)と、タイヤを用いる校正方法とがある。
PL=P´L−ZL−TL
PU=P´U−ZU−TU
となる。
UL=γ1PL+γ2PU
UU=δ1PL+δ2PU
γ1=PUU×WL・rL/(PUU×PLL−PUL×PLU)
γ2=−PUL×WL・rL/(PUU×PLL−PUL×PLU)
δ1=−PLU×WU・rU/(PUU×PLL−PUL×PLU)
δ2=PLL×WU・rU/(PUU×PLL−PUL×PLU)
図4においてタイヤ2の回転軸8(シャフト)は上側のロードセル7aと下側のロードセル7bの着力点間の中心付近を中心にして紙面を垂直に貫く方向に、上側のロードセル7aと下側のロードセル7bとが逆位相の関係をもって変位運動を繰り返す。つまり、上側のロードセル7aが紙面の表側に向けて変位したときは下側のロードセル7bは紙面の裏側に向けて変位している。
下側のロードセル7bの着力点から遠心力の作用点までの距離をa、上側のロードセル7aの着力点までの距離をb1とし、遠心力Fによってタイヤ2の回転軸8がα度だけ傾斜したとすると、上側のロードセル7aに作用する力はF・(b1/a)・cosαの関係にあり遠心力Fの大きさに応じて比例関係に変化しない。下側のロードセル7bに作用する力についても同様である。
しかし、固有振動周期に対して、タイヤ2のアンバランス信号としてタイヤ2の回転周期に同期して現れる振動信号の周期とは値が近いので、測定対象であるタイヤ2のアンバランス信号を減衰させずに固有振動ノイズのみを大きく減衰させることは困難であり、ロードセル7a,7bの出力信号に固有振動成分が混入してばらつく要因をなしている。
平面上の一方向への変位を拘束し、前記一方向と直交する他方向への変位を可能にするように支持具によって基礎面から支持されたダイナミックバランサ本体に回転自在に回転軸が設けられ、
前記ダイナミックバランサ本体の上部と下部にそれぞれ、前記ダイナミックバランサ本体の変位を生じさせる荷重を検出するように前記基礎面から支持された上部荷重センサと下部荷重センサとが設けられ、
前記回転軸に対して同軸に上側と下側にそれぞれ上部リムと下部リムとが設けられ、
前記上部リムと下部リムのうち一方に錘を取り付けた状態およびそれらリムの両方に錘を付けていない状態の3つの各状態で前記回転軸を回転させることによって、前記上部リムと下部リムとに錘を付けることによって生じるアンバランスベクトル量と、前記上部荷重センサおよび下部荷重センサからそれぞれ出力される荷重信号との関係を定める係数を校正モードにおいて求める係数算出手段を備えたタイヤ用ダイナミックバランサであって、
前記係数算出手段は、前記校正モードにおける前記3つの状態のうちの前記上部リムと下部リムのうち一方に錘を取り付ける状態において、異なる複数の質量の錘を取り付ける、および/または複数の取り付け位置に同じ質量の錘を取り付けることで生じた複数種類のアンバランスベクトル量に基づいて、種々の大きさのアンバランスベクトル量を持つ被測定タイヤのアンバランスベクトル量測定値の統計処理を行うことにより前記係数を求めることを特徴とするものである。
平面上の一方向への変位を拘束し、前記一方向と直交する他方向への変位を可能にするように支持具によって基礎面から支持されたダイナミックバランサ本体に回転自在に回転軸が設けられ、
前記ダイナミックバランサ本体の上部と下部にそれぞれ、前記ダイナミックバランサ本体の変位を生じさせる荷重を検出するように前記基礎面から支持された上部荷重センサと下部荷重センサとが設けられ、
前記回転軸に対して同軸に上側と下側にそれぞれ上部リムと下部リムとが設けられてなるタイヤ用ダイナミックバランサにおいて、
前記上部リムと下部リムのうち一方に錘を取り付けた状態およびそれらリムの両方に錘を付けていない状態の3つの各状態で前記回転軸を回転させることによって、前記上部リムと下部リムとに錘を付けることによって生じるアンバランスベクトル量と、前記上部荷重センサおよび下部荷重センサからそれぞれ出力される荷重信号との関係を定める係数を校正モードにおいて求めるタイヤ用ダイナミックバランサの校正方法であって、
前記校正モードにおける前記3つの状態のうちの前記上部リムと下部リムのうち一方に錘を取り付ける状態において、異なる複数の質量の錘を取り付ける、および/または複数の取り付け位置に同じ質量の錘を取り付けることで生じた複数種類のアンバランスベクトル量に基づいて、種々の大きさのアンバランスベクトル量を持つ被測定タイヤのアンバランスベクトル量測定値の統計処理を行うことにより前記係数を求めることを特徴とするものである。
本発明によれば、任意の大きさのアンバランス量とアンバランス位置を持つ被測定タイヤに対して、それぞれ得られるアンバランス量とアンバランス位置の測定値の真の値に対する偏差(誤差)のバラツキ量を最小にする係数を決定することができる。
また、この測定により得られたタイヤ2の上面側および下面側のアンバランス、つまり重心の偏心に基づく偏心力を求めることができる。
そして、この偏心力に基づいて、必要に応じてタイヤ2の補正等をすることができ、これによってタイヤ2のダイナミックバランスを許容範囲内に収めることができる。
なお、タイヤ2の偏心力とは、タイヤ2の上面側の重心の偏心および下面側の重心の偏心に基づく各遠心力とその遠心力の方向(タイヤの回転位置)とから決定される力をいう。この偏心力が求められると、タイヤ2の上面側の重心の偏心および下面側の重心の偏心に基づく各遠心力と、各重心がタイヤ2の所定の基準位置から各重心位置までの角度を求めることができる。
これによって、ダイナミックバランサ本体3は、地面に対して垂直方向に配置された2本のトーションバー4a,4bと地面に対して平行な4本のトーションバー6a,6b;6a,6bに対して直交する方向(図1中記号A矢印方向)にのみ移動可能に設けられている。
ロータリエンコーダ9は、回転軸8の回転位置を測定するものであり、回転軸8の回転位置を測定することにより、この回転軸8と結合されている下部リム12(図2参照)の回転位置を測定することができる。
プーリ10は、例えばタイミングベルト13等の駆動ベルトを介して別のプーリ14と接続されており、このプーリ14は、サーボモータ15の回転軸に装着されている。つまり、回転軸8は、サーボモータ15によって回転駆動される構成である。
なお、タイミングベルト13の張力が4本のトーションバー6a,6b;6a,6bの引張方向に働くようにサーボモータ15が配置されているので、ロードセル7a,7bにはタイミングベルト13の張力が働かないようになっている。
ロータリジョイント11については後述する。
ダイナミックバランサ本体3には、中央に上下方向の貫通孔21が穿設されており、この貫通孔21の上側開口縁と下側開口縁には、それぞれ軸受22a,22bが装着されている。これら2つの軸受22a,22bの内側には、円筒状の回転軸8が嵌合されており、この回転軸8は、軸受22a,22bを介して回動自在にダイナミックバランサ本体3に支持されている。
この回転軸8の下端の開口には、ロータリジョイント11が装着されており、このロータリジョイント11には、エアホース23を介して2つの電磁弁24,25が直列に接続されている。
2つの電磁弁24,25のうち、空気流れの上流側に配置される電磁弁25には、高圧(約5kgf/cm2)の圧力タンク(図示省略)と低圧(約5kgf/cm2)の圧力タンク(図示省略)が連結されており、この電磁弁25は、空気流れの下流側に配置される電磁弁24に高圧の圧力タンクまたは低圧の圧力タンクを連通させる切換弁として機能する。
電磁弁24は、高圧または低圧の圧力タンクから供給される圧力流体(本例では圧力空気)を回転軸8側に供給する供給位置と、回転軸8側の圧力空気を大気に放出する排気位置とに切り換える切換弁として機能する。
なお、高圧の圧力空気は、このダイナミックバランサ1を校正するときに使用し、低圧の圧力空気は、このダイナミックバランサ1によりタイヤ2のダイナミックバランスを測定するときに使用する。
このピストン27の上端面には、上部リム29が設けられている。
また、ピストン27には、そのピストン27の下面に開口する開口部30とピストン27の上部の外周面に開口する開口部31,31とを連通する連通孔32が穿設されている。
開口部31,31には、ワンタッチ式の弁装置33,33が設けられている。この弁装置33は、例えば先端の突出部を指で押すことにより、開口部31を開放したり、閉塞したりすることができる構造のものである。ここでは、弁装置33としてワンタッチで開口部31を開閉することができる構造のものを採用したが、弁体を回転させることにより開口部31を開閉する形式のものを採用してもよい。
ストッパ38は、先端が係合溝28に沿う円弧状に形成してある板状体であり、シリンダ本体26の周壁に穿設された矩形の挿通孔に挿通されている。
そして、これら2つの溝カム36をシリンダの筒方向(図2の上下方向)に沿って摺動させたときに、ストッパ38の先端部が係合溝28から外れた状態の非係合位置(図示省略)と、ストッパ38の先端部が係合溝28に係合した状態の係合位置(図2に示される状態)とにストッパ38を移動させることができるようになっている。
なお、溝カム36を上下方向に駆動する駆動部は図示されていないが、例えばエアシリンダを利用することができる。
また、下部リム12を手で回して下部リム12の予め定めた基準位置を上部リム29の予め定めた基準位置に一致させ、この状態でストッパ38を係合溝28に係合させて、電磁弁24を切り換えて支持軸8の内孔41及びシリンダ本体26内に校正用の高圧の圧力空気を供給することができる。シリンダ本体26内の圧力空気は、ピストン27を図2の上方に押し上げ、これによってストッパ38の下面と係合溝28の上面とが圧接し、その結果、シリンダ本体26とピストン27とをストッパ38を介して強固に結合させることができる。
図3(a)に示されるように、タイヤ2にアンバランスモーメントが図中記号B矢印方向に発生した場合、車に与える振動となる。
図3(b)に示されるように、タイヤ2の中心から半径方向に同じ距離Rに同じアンバランス量が上面と下面にある場合、スタティックバランスは零となる。
図3(b)の状態で、同図(c)のようにタイヤ2を回転させた場合、図中記号C矢印方向にモーメントが発生する。このモーメントをカップルアンバランスという。
ダイナミックバランスとは、スタティックアンバランスとカップルアンバランスとを含むものである。
図4に示されるように、タイヤ2全体が持つアンバランスを下修正面(Z1)および上修正面(Z2)での2つのアンバランスとして代表して表す。
UL:下修正面での半径rの位置にあるアンバランス量(下アンバランス量)。
θL:ULのアンバランス角度(下アンバランス角度)。
UU:上修正面での半径rの位置にあるアンバランス量(上アンバランス量)。
θU:UUのアンバランス角度(上アンバランス角度)。
PL:ULが回転することにより、下側のロードセルで検出される出力。
PU:UUが回転することにより、上側のロードセルで検出される出力。
Z1:下側のロードセルの着力点とタイヤの下修正面との距離
Z2:下側のロードセルの着力点とタイヤの上修正面との距離
L:上側のロードセルの着力点と下側のロードセルの着力点との距離
なお、図4(b)中における分銅取り付け位置について、回転軸8の回転中心O点を定め、回転中心Oを原点とし、ロードセル7a,7bによる荷重検出位置を基準として定めたX−Y座標上でX軸と所定の角度θLとθUをなし、O点を通る直線上でO点からrの距離にある下部リム12、上部リム29上に分銅取り付け位置を定める。
PL+PU=rω2(UL+UU) ・・・(1)
LPU=rω2(Z1UL+Z2UU) ・・・(2)
軸受22a,22b(図2参照)が殆ど振動せず不釣り合いの力がそのまま基礎に伝わるとすると、上記(1)(2)式より、下記(3)(4)式が成り立つ。
PL=α1UL+α2UU ・・・(3)
PU=β1UL+β2UU ・・・(4)
ここで、
α1=rω2(1−Z1/L)
α2=rω2(1−Z2/L)
β1=rω2Z1/L
β2=rω2Z2/L
よって、ロードセル7a,7bに加わる不釣り合い力PU,PLを検出することにより、アンバランス量UL,UUを求めることができる。上記(3)(4)式より、UU,ULは、下記(5)(6)式で表される。
UL=γ1PL+γ2PU ・・・(5)
UU=δ1PL+δ2PU ・・・(6)
ここで、
γ1=Z2/rω2(Z2−Z1)
γ2=−(L−Z2)/rω2(Z2−Z1)
δ1=−Z1/rω2(Z2−Z1)
δ2=(L−Z1)/rω2(Z2−Z1)
ところで、アンバランス量およびアンバランス角を求めるためには、ある決まった角度から回転を開始したときの時系列でのロードセル7a,7bの出力が必要となる。
そこで、本実施形態では、図5(a)に示されるように、ロードセル7a,7bからの出力信号およびロータリエンコーダ9からの出力信号をそれぞれDLC基板からなる測定回路50に取り込み、図6のフローチャートに示されるアルゴリズムに基づいて作成された所定プログラムに従って所定の測定処理を実行するようにされている。
ここで、測定回路50を構成するDLC基板とは、図示による詳細な説明は省略するが、アナログ荷重信号増幅回路や、A/D変換回路、シリアル通信回路を含むI/O回路、CPU回路、メモリ回路、ロードセル励磁用の電源回路、デジタル・アナログ回路駆動用の電源回路などを内蔵する基板である。
ロードセル7a,7bでのサンプリングは、ロータリエンコーダ9からのZ相出力を開始トリガとして使用し、1°毎のパルス出力をサンプリングクロックとして使用する。したがって、サンプリングした波形は、図5(b)に示されるように、360点周期の正弦波となっている。この波形をベクトル化することにより、アンバランスベクトルを検出している。
ここで、図6のフローチャートに示される処理内容について説明する。なお、図6中記号「S」はステップを表す。
次いで、校正モードおよび稼働モードのいずれのモードが選択されているかを判断する(S5)。
次いで、種々の質量の分銅を上下のリム29,12の種々の位置に取り付けてテストを実施する(S7)。つまり、i(2以上の整数)通りのアンバランスベクトルを与えてテストする。
次いで、零ベクトルをキャンセルするとともに、テスト用タイヤのアンバランス量をキャンセルする(S8)。
そして、i回計測を実施したら(S9でYes)、後述するγ1,γ2,δ1,δ2の各係数を取得する(S10)。
リム12,29および回転軸8を含む回転系は、ある一定のアンバランス量およびアンバランス角度を持つ。実際にタイヤ2または分銅のアンバランスベクトルを計測する際は、それらを装着してアンバランスベクトルから初期アンバランスベクトル(Z)を差し引く必要がある。
タイヤ2の持つアンバランスによりロードセル7a,7bで検出されるアンバランスベクトルは、90°毎ずらして測定したことにより、下記(7)式で示されるように、全て加算すると零となる。
P90+P180+P270+P0=0 ・・・(7)
よって、下記(8)式で示されるように、4回の測定結果のアンバランスベクトルを加算して4で割ることにより、回転系の持つ初期アンバランスベクトルZを求めることができる。
Z=(P´90+P´180+P´270+P´0)/4 ・・・(8)
すなわち、上側のロードセル7aの出力信号から求めたアンバランスベクトルをP´U90+P´U180+P´U270+P´U0、下側のロードセル7bの出力信号から求めたアンバランスベクトルをP´L90+P´L180+P´L270+P´L0とすると、ZU,ZLは、下記(9)(10)のように表すことができる。
ZU=(P´U90+P´U180+P´U270+P´U0)/4
・・・(9)
ZL=(P´L90+P´L180+P´L270+P´L0)/4
・・・(10)
毎回のタイヤ2または分銅を取り付けての測定結果(P´U,P´L)には、零ベクトル取得で求めた上下初期アンバランスベクトル(ZU,ZL)と、タイヤ2または分銅39,40の持つアンバランスによりロードセル7a,7bで検出されるアンバランスベクトル(PU,PL)の合成ベクトルが測定されているため、上下初期アンバランスベクトル分を差し引く必要がある。下記(11)(12)式により、PU,PLを求めることができる。
PU=P´U−ZU ・・・(11)
PL=P´L−ZL ・・・(12)
前述した測定原理の説明での(5)式および(6)式はそれぞれγ1,γ2およびδ1,δ2に対する2元1次方程式であるから、ULまたはUUとして2種類のアンバランスベクトルを付加したときのPUおよびPLを測定することによってγ1,γ2およびδ1,δ2の各係数を求めることができる。
図8(a)に示されるように、上部リム29に質量WUの分銅39を位置ベクトルrUの位置に取り付けて回転させ、零キャンセルした後の下側のロードセル7bの測定値P´ULおよび上側のロードセル7aの測定値P´UUを得る。
図8(b)に示されるように、下部リム12に質量WLの分銅40を位置ベクトルrLの位置に取り付けて回転させ、零キャンセルした後の下側のロードセル7bの測定値P´LLおよび上側のロードセル7aの測定値P´LUを得る。
ロードセル7a,7bの測定値P´L,P´Uには、タイヤ2の持つアンバランスによる検出ベクトルTL,TUが含まれているため、これらを差し引く必要がある。このTL,TUとしては、前述の零ベクトル取得の説明での0°の測定結果P´L0およびZLからPL0を、P´U0およびZUからPU0を求め、TL=PL0,TU=PU0として使用する。
回転系の持つ初期アンバランスベクトルZL,ZUおよびタイヤ2を使用して校正時のタイヤの持つアンバランスによる検出ベクトルTL,TUを差し引いた結果、取り付けた分銅39,40による検出ベクトルPL,PUのみが残る。すなわち、下記(13)(14)式が成り立つ。
PL=P´L−ZL−TL ・・・(13)
PU=P´U−ZU−TU ・・・(14)
図8(a)に示される状態の場合、上側のロードセル7aで検出される分銅39によるアンバランスベクトルをPUU、下側のロードセル7bで検出される分銅39によるアンバランスベクトルをPULとすると、下記(15)(16)式が得られる。
γ1×PUL+γ2×PUU=vec{0} ・・・(15)
δ1×PUL+δ2×PUU=vec{WU} ・・・(16)
γ1×PLL+γ2×PLU=vec{WL} ・・・(17)
δ1×PLL+δ2×PLU=vec{0} ・・・(18)
また、
PUU=P´UU−ZU−TU
PUL=P´UL−ZL−TL
である。
また、
PLU=P´LU−ZU−TU
PLL=P´LL−ZL−TL
である。
また、(16)(17)式中のvec{WU},vec{WL}は、大きさがWUまたはWLで偏角がリム0°に対する分銅を取り付けた角度のベクトルである。すなわち、
vec{WU}=WU・rU
vec{WL}=WL・rL
と表される。
γ1=PUU×WL・rL/(PUU×PLL−PUL×PLU)
・・・(19)
γ2=−PUL×WL・rL/(PUU×PLL−PUL×PLU)
・・・(20)
上記(16)(18)式より、δ1,δ2は下記(21)(22)式から求められる。
δ1=−PLU×WU・rU/(PUU×PLL−PUL×PLU)
・・・(21)
δ2=PLL×WU・rU/(PUU×PLL−PUL×PLU)
・・・(22)
零ベクトル取得で初期アンバランスベクトル(ZU,ZL)が決定し、係数取得でロードセル7a,7bの検出ベクトル(P´U,P´L)から上下修正面でのアンバランスベクトル(UU,UL)への変換係数(γ1,γ2,δ1,δ2)が決定したため、リム12,29に取り付けたタイヤ2または分銅39,40の上下修正面で表したアンバランスベクトルを測定することが可能となる。
上下修正面で表した上下アンバランスベクトルUU,ULは、下記(23)(24)式から求めることができる。
UL=γ1×(P´L−ZL)+γ2×(P´U−ZU) ・・・(23)
UU=δ1×(P´L−ZL)+δ2×(P´U−ZU) ・・・(24)
アンバランス量はアンバランスベクトルの大きさ、アンバランス角はアンバランスベクトルの偏角として定義されるので、上下アンバランスベクトルUU,ULの各成分を、下記のように定義する。
UU=(UUx,UUy)
UL=(ULx,ULy)
すると、アンバランス量は下記(25)(26)式によって求められ、アンバランス角は下記(27)(28)式から求められる。
|UU|=(UUx2+UUy2)1/2 ・・・(25)
|UL|=(ULx2+ULy2)1/2 ・・・(26)
∠UU=tan−1(UUy/UUx) ・・・(27)
∠UL=tan−1(ULy/ULx) ・・・(28)
そこで、本実施形態では、校正モードにおいて、上部リム29および下部リム12にそれぞれ複数個のアンバランスベクトルを生じるように分銅39,40を取り付けてテストを行い係数を求める。
所定のアンバランス角度、例えば図5(b)におけるθ=0°である上下のリム29,12の位置に、図8(a)に示される状態の場合は、質量の異なるWU〈i〉の分銅を上部リム29の位置ベクトルrUに装着して回転させ、下側のロードセル7bの出力測定値P´UL〈i〉と上側のロードセル7aの出力測定値P´UU〈i〉を測定し、図8(b)に示される状態の場合は、質量の異なるWL〈i〉の分銅を下部リム12の位置ベクトルrLに装着して回転させ、下側のロードセル7bの出力測定値P´LL〈i〉と上側のロードセル7aの出力測定値P´LU〈i〉を測定し、それぞれ、係数取得(1)(2)の説明で述べたように、零ベクトルと装着したタイヤ2のアンバランスベクトル量を差し引いて、下記(31)〜(34)式を初期値処理済み測定値とする。
PUL〈i〉=P´UL〈i〉−ZL−TL ・・・(31)
PUU〈i〉=P´UU〈i〉−ZU−TU ・・・(32)
PLL〈i〉=P´LL〈i〉−ZL−TL ・・・(33)
PLU〈i〉=P´LU〈i〉−ZU−TU ・・・(34)
テスト結果の測定値と実際値の誤差は、
i=1のとき
R1〈1〉=γ1×PUL〈1〉+γ2×PUU〈1〉−0
R2〈1〉=γ1×PLL〈1〉+γ2×PLU〈1〉−WL〈1〉
Q1〈1〉=δ1×PUL〈1〉+δ2×PUU〈1〉−WU〈1〉
Q2〈1〉=δ1×PLL〈1〉+δ2×PLU〈1〉−0
i=2のとき
R2〈2〉=γ1×PUL〈2〉+γ2×PUU〈2〉−0
R2〈2〉=γ1×PLL〈2〉+γ2×PLU〈2〉−WL〈2〉
Q1〈2〉=δ1×PUL〈2〉+δ2×PUU〈2〉−WU〈2〉
Q2〈2〉=δ1×PLL〈2〉+δ2×PLU〈2〉−0
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
i=nのとき
R1〈n〉=γ1×PUL〈n〉+γ2×PUU〈n〉−0
R2〈n〉=γ1×PLL〈n〉+γ2×PLU〈n〉−WL〈n〉
Q1〈n〉=δ1×PUL〈n〉+δ2×PUU〈n〉−WU〈n〉
Q2〈n〉=δ1×PLL〈n〉+δ2×PLU〈n〉−0
と発生するので、
R={R1〈1〉}2+{R2〈1〉}2+・・・+{R1〈n〉}2+{R2〈n〉}2 ・・・(35)
Q={Q1〈1〉}2+{Q2〈1〉}2+・・・+{Q1〈n〉}2+{Q2〈n〉}2 ・・・(36)
と置いて、誤差の2乗和であるR,Qがそれぞれ最小になる係数を定める。
そのためには、
γ1,γ2については上記(35)式にて
∂R/∂γ1=0,∂R/∂γ2=0が同時に成立するγ1,γ2を求める。
δ1,δ2については上記(36)式にて
∂Q/∂δ1=0,∂Q/∂δ2=0が同時に成立するδ1,δ2
を求める。
なお、分銅の質量は段階的に等間隔に異ならせ、段階的に等間隔に異なるベクトルを与えることが好ましい。
しかし、タイヤ2を上部リム29および下部リム12に取り付けた状態で回転軸に曲がりがあると、精確に回転中心位置を定めることは困難であるので、回転中心O´点を見定めて上下のリム29,12上に分銅取り付け位置に関する距離rを設定したとしても、設定した位置が真の回転中心であるOからの距離がrであるとは限らない。
この場合、下リム27に分銅の質量WL〈i〉のものをそれぞれ上記の2つの位置に取り付けたときのベクトル量はそれぞれW1L〈i〉,W1´L〈i〉と算出される。
上部リム29についても同様である。
要するに誤差の発生要因を考慮し、校正テストモードにおいて、異なる質量の分銅39,40を上下のリム29,12上の同じ位置に取り付ける方法、同じ質量の分銅39,40を上下のリム29,12上の異なる位置に取り付ける方法および異なる質量の分銅39,40を上下のリム29,12上の異なる位置に取り付ける方法など、異なる複数種類のアンバランスベクトル量を与える方法のいずれかを採用して係数を求め、求めた係数を稼働運転時に使用したとき、測定結果と真の値の偏差のバラツキが最も小さくなるようにする。
3 ダイナミックバランサ本体
4a,4b トーションバー(支持具)
5 架台(基礎面)
6a,6b トーションバー(支持具)
8 回転軸
7a ロードセル(上部荷重センサ)
7b ロードセル(下部荷重センサ)
12 下部リム
29 上部リム
39,40 分銅(錘)
50 測定回路(係数算出手段)
Claims (2)
- 平面上の一方向への変位を拘束し、前記一方向と直交する他方向への変位を可能にするように支持具によって基礎面から支持されたダイナミックバランサ本体に回転自在に回転軸が設けられ、
前記ダイナミックバランサ本体の上部と下部にそれぞれ、前記ダイナミックバランサ本体の変位を生じさせる荷重を検出するように前記基礎面から支持された上部荷重センサと下部荷重センサとが設けられ、
前記回転軸に対して同軸に上側と下側にそれぞれ上部リムと下部リムとが設けられ、
前記上部リムと下部リムのうち一方に錘を取り付けた状態およびそれらリムの両方に錘を付けていない状態の3つの各状態で前記回転軸を回転させることによって、前記上部リムと下部リムとに錘を付けることによって生じるアンバランスベクトル量と、前記上部荷重センサおよび下部荷重センサからそれぞれ出力される荷重信号との関係を定める係数を校正モードにおいて求める係数算出手段を備えたタイヤ用ダイナミックバランサであって、
前記係数算出手段は、前記校正モードにおける前記3つの状態のうちの前記上部リムと下部リムのうち一方に錘を取り付ける状態において、異なる複数の質量の錘を取り付ける、および/または複数の取り付け位置に同じ質量の錘を取り付けることで生じた複数種類のアンバランスベクトル量に基づいて、種々の大きさのアンバランスベクトル量を持つ被測定タイヤのアンバランスベクトル量測定値の統計処理を行うことにより前記係数を求めることを特徴とするタイヤ用ダイナミックバランサ。 - 平面上の一方向への変位を拘束し、前記一方向と直交する他方向への変位を可能にするように支持具によって基礎面から支持されたダイナミックバランサ本体に回転自在に回転軸が設けられ、
前記ダイナミックバランサ本体の上部と下部にそれぞれ、前記ダイナミックバランサ本体の変位を生じさせる荷重を検出するように前記基礎面から支持された上部荷重センサと下部荷重センサとが設けられ、
前記回転軸に対して同軸に上側と下側にそれぞれ上部リムと下部リムとが設けられてなるタイヤ用ダイナミックバランサにおいて、
前記上部リムと下部リムのうち一方に錘を取り付けた状態およびそれらリムの両方に錘を付けていない状態の3つの各状態で前記回転軸を回転させることによって、前記上部リムと下部リムとに錘を付けることによって生じるアンバランスベクトル量と、前記上部荷重センサおよび下部荷重センサからそれぞれ出力される荷重信号との関係を定める係数を校正モードにおいて求めるタイヤ用ダイナミックバランサの校正方法であって、
前記校正モードにおける前記3つの状態のうちの前記上部リムと下部リムのうち一方に錘を取り付ける状態において、異なる複数の質量の錘を取り付ける、および/または複数の取り付け位置に同じ質量の錘を取り付けることで生じた複数種類のアンバランスベクトル量に基づいて、種々の大きさのアンバランスベクトル量を持つ被測定タイヤのアンバランスベクトル量測定値の統計処理を行うことにより前記係数を求めることを特徴とするタイヤ用ダイナミックバランサの校正方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011145246A JP5818537B2 (ja) | 2011-06-30 | 2011-06-30 | タイヤ用ダイナミックバランサおよびその校正方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011145246A JP5818537B2 (ja) | 2011-06-30 | 2011-06-30 | タイヤ用ダイナミックバランサおよびその校正方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2013011544A JP2013011544A (ja) | 2013-01-17 |
JP5818537B2 true JP5818537B2 (ja) | 2015-11-18 |
Family
ID=47685532
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2011145246A Active JP5818537B2 (ja) | 2011-06-30 | 2011-06-30 | タイヤ用ダイナミックバランサおよびその校正方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5818537B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5825896B2 (ja) * | 2011-07-20 | 2015-12-02 | 大和製衡株式会社 | タイヤ用ダイナミックバランサおよびその校正方法 |
CN103413486B (zh) * | 2013-06-24 | 2016-01-13 | 东华大学 | 一种刚性回转体软性单边支撑动平衡机 |
CN107576449A (zh) * | 2017-09-27 | 2018-01-12 | 镇江威尔耐车轮制造有限公司 | 一种适用于卡巴轮的动平衡机 |
-
2011
- 2011-06-30 JP JP2011145246A patent/JP5818537B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2013011544A (ja) | 2013-01-17 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US5827979A (en) | Signal processing apparati and methods for attenuating shifts in zero intercept attributable to a changing boundary condition in a Coriolis mass flow meter | |
CN102928222B (zh) | 一种滑动轴承动力特性系数试验识别方法 | |
IT9020765A1 (it) | Metodo di bilanciamento di rotori di turbomotori a gas e rotori cos~ prodotti | |
JP5818537B2 (ja) | タイヤ用ダイナミックバランサおよびその校正方法 | |
EP2280264B1 (en) | Standard exciter | |
CN104101464B (zh) | 一种基于旋转坐标系的多轮盘转子动平衡检测方法 | |
KR20220038702A (ko) | 불균형 및/또는 오정렬을 감지하기 위한 방법 및 드라이브트레인 테스트 벤치 | |
CN110006590A (zh) | 获取转子的不平衡量和平衡机的不平衡量的方法 | |
CN102175394B (zh) | 刚性转子软支承动不平衡测试中的永久标定方法 | |
Pozzato et al. | MEMS-enabled retrofitting of automobile wheel balancer for automatic unbalance detection | |
US6227059B1 (en) | System and method for employing an imaginary difference signal component to compensate for boundary condition effects on a Coriolis mass flow meter | |
CN104154933A (zh) | 一种基于振动疲劳理论分析惯性测量系统失效模式的方法 | |
US8113048B2 (en) | Dynamic imbalance detection apparatus and method using linear time-varying angular velocity model | |
JP5825896B2 (ja) | タイヤ用ダイナミックバランサおよびその校正方法 | |
CN103837348A (zh) | 用于确定车辆部件的质量特性的系统和方法 | |
TW201403040A (zh) | 輪胎平衡檢查裝置之校正方法及輪胎平衡檢查裝置 | |
Badri et al. | A method to calibrate the measured responses by MEMS accelerometers | |
JP6594240B2 (ja) | 回転機械の振動計測装置、回転機械の振動計測方法及びプログラム | |
JP6370239B2 (ja) | 回転体の動的不釣り合いの測定方法並びにその測定装置 | |
US20020148276A1 (en) | Method and arrangement for calibrating an unbalance measuring apparatus | |
CN105606323B (zh) | 一种电机振动试验的可视化检测装置及稳定性调整方法 | |
CN104567922B (zh) | 基于加速度计的轴系垂直度动基座测量方法 | |
Ibraheem et al. | Experimental Investigation for Single Plan Balancing Impellers between Bearings Using Frequency Response Function | |
CN115014637B (zh) | 一种基于低转速测量的模态动平衡方法 | |
JP2014055923A (ja) | タイヤ用ダイナミックバランス測定装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20140610 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20150305 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20150317 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20150507 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20150929 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20150929 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5818537 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |