JP5822350B2 - 土留工法 - Google Patents

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Description

本発明はグラウンドアンカーを用いた土留工法に関する。
図28〜図31を参照して、従来技術におけるグラウンドアンカーを用いた土留工法を説明する。
図28において、アンカー打設を完了した状態の張力部材(あるいはテンドン)Tの上方の位置と下方の位置に、上下二段に腹起し300を設置している。
腹起し300は、長尺の構造部材(例えばH鋼)で直線的に接続されている。
上下2段で配置された腹起し300は、それぞれ、支持ブラケットBu、Bdにより支持されている。支持ブラケットBu、Bdは、土留壁20の芯材(図28では図示せず)に固着されている。
図28において、符号Hは、アンカー打設の際に削孔された掘削孔を示している。符号GL1は、土留めされた領域の地表を示しており、符号GL2は掘削された領域の地表を示している。また符号Dは、余堀り部分を示している。
次に、図29で示すように、上下の腹起し300にアンカー台座100を設置する。アンカー台座100は、腹起し300と支持ブラケットBu、Bdに係止されて取り付けられる。
台座100を取り付けたならば、アンカープレート400(図30参照)、アンカーヘッド450(図31参照)を設置する。そして図30で示す様に、ジャッキ70を用いて張力部材Tに緊張力(引張力:張力)を作用させる。
図30において、ジャッキ70の作動圧油は油圧ポンプ80から供給されている。そして、ジャッキ70による緊張力を調整するために、指示計85が設けられている。
ジャッキ70により所定の緊張力を付与したならば、アンカーヘッド450と図示しないくさびを用いて、張力部材Tを固定する。そして、ジャッキ70を取り外す。
図31は、ジャッキを取り外した後の状態を示している。
図28〜図31で示す従来技術では、腹起し300にアンカー台座100を取り付け、アンカー台座100にアンカープレート400及びアンカーヘッド450を設けて、アンカーTの緊張・定着工を行っているため、土留壁20からの突出長L(図31)が長くなってしまうという問題を有している。
従来技術においては、土留壁20からの突出長Lは約1m程度である。構築するべき建造物に対する各種作業を円滑に行うために、土留壁20からの突出長Lの分だけ、土留壁と当該建造物外壁部との隙間を大きくする必要がある。
換言すれば、従来技術では、構築するべき建造物に対する各種作業を円滑に行うためには、突出長L(図31参照:約1m)の分だけ、土留壁20と当該建造物外壁部との隙間を大きくして、土留壁20で保持するべき掘削領域GL2の面積を大きくしなければならなかった。
土留壁20で保持するべき掘削領域GL2の面積を大きくすると、当該掘削作業のコストが高騰化してしまうという問題が存在する。
また、図28〜図31で示す様に、従来技術では、腹起し300が上下二段必要である。
上述した様に、従来技術における腹起し300は、長尺の構造部材(例えばH鋼)で直線的に接続されており、重量が大きい部材である。
従来技術に係る土留工法を施工するに際しては、一つのレベルにおけるアンカーに対して、その様な大重量の部材を上下二段に設置するため、全体で多量の大重量の構造部材(鉄材)を必要とする。そのため、材料コストや、施工労力が多大になってしまう。
さらに、土留壁築造に際しては、芯材(図28〜図31では図示せず)を同一直線上に建て込むことが困難である。そして、長尺の腹起し300は直線的に接続されるので、土留壁20と腹起し300の間の隙間について、凸凹が生じてしまう場合がある。従来の土留工法では、その様な隙間の凹凸に対処するため、大量の裏込め材を必要とし、材料コストや、施工労力増大の要因となっている。
それに加えて、アンカーにおける張力部材Tが延在する方向が均一にならず、アンカープレート400と垂直な方向(ジャッキ70により引張力が付加される方向)に対して、張力部材(テンドン)が偏奇している場合も存在する。従来の土留工法では、その様な場合の対処が困難であった。
その他の従来技術として、芯材に凹部を形成し、当該凹部によりアンカープレートを構成して、張力部材(鉄筋)に張力を付与する技術が存在する。
しかし、当該従来技術(特許文献1)は、上述した種々の問題を解消する旨は開示していない。また、当該従来技術(特許文献1)では、グラウンドアンカーの間隔が狭くなり過ぎるという問題も存在する。
特開2011−6960号公報
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、土留壁からの突出長を短くすることが出来て、芯材を建て込む位置の不均一や、アンカーにおける張力部材が延在する方向の不均一にも対処することが出来る土留工法の提供を目的としている。
上述した本発明の土留部材(請求項1〜4の土留部材)を用いた土留工法は、
土留壁(20)の芯材(201)に土留部材を支持する支持ブラケット(5)を固定し、土留部材(10)における底板(6)の貫通孔(6a)に土留壁(20)に打設されたグラウンドアンカーの張力部材(T:テンドン:例えばPC鋼より線)を挿通して、土留部材(10)を土留壁(20)に設置する工程を有し、当該土留部材(10)は、中空の管状部材(1)と、当該管状部材(1)の半径方向外方に延在するリブ(2)と、管状部材(1)の直径方向両側(図1では左右方向)に延在する接続部(3)と、管状部材(1)の内側に配置された底板(6)と、(管状部材1の例えば下方に設けられて)管状部材(1)を支持する支持ブラケット(5)を備え、リブ(2)と接続部(3)と底板(6)は管状部材(1)に固定されており、
土留部材(10)の接続部(3)と短尺の腹起し(30)の端部(30e)を接続する工程と、
土留部材(10)及び腹起し(30)と土留壁(20)の間の隙間(E)に裏込め材(40:モルタル等)を充填する(裏込め材がキャンバー等の部材である場合には、当該裏込め材を、土留部材(10)及び腹起し(30)と土留壁(20)の間の隙間に配置する)工程と、
張力部材(T)に対して緊張力(引張力)を作用する工程と、
緊張力(引張力)を作用した状態の張力部材(T)を(例えば、アンカーヘッド8及びくさびにより)定着する工程を有することを特徴としている。
本発明の土留工法において、前記接続する工程において、短尺の腹起し(30)と土留部材(10)の接続箇所に角度調節部材(角度調整コマ50)を挿入することが可能である。
また、本発明の土留工法において、前記緊張力を作用させる工程に先立って、管状部材(1)の内部に緊張力付与角度調整部材(テーパープレート9:張力部材Tに対して張力付与装置70により引張力を作用させる方向を調整するための部材)を配置することが出来る。
上述する構成を具備する本発明を実施した土留部材(10)では、アンカー台座としての機能と、アンカー台座を腹起し(30)に接続する機能とを併せ持っており、そのため、アンカー台座と腹起しを一体化して、土留壁(20)からの突出長(L)を短くすることが出来る。
その結果、土留壁(20)からの突出長(L)が減少した分だけ、構築するべき建造物に対する各種作業を円滑に行うことが出来る。また、土留壁(20)と当該建造物外壁部との間隔を小さくすることで、土留壁(20)で保持するべき掘削領域の面積が小さくなり、当該掘削領域の掘削に関するコストが低減する。
本発明を実施した土留部材(10)では、長尺の腹起し(300)を使用する必要がなく、短尺の腹起し(30)と土留部材(10)を接続して使用している。
そのため、土留壁(20)の築造に際して、芯材(201)を同一直線上に建て込むことが出来ずに、土留壁(20)の内壁側(掘削側)に対して凸凹が生じてしまったとしても(図5の領域d201)、短尺の腹起し(30)と土留部材(10)を接続箇所における角度を調節する(例えば、適正な角度調整コマ50を挿入する)ことにより、土留部材(10)および腹起し(30)と土留壁(20)の内壁面との間隔を小さくして、且つ、均一にすることが出来る。
土留部材(10)および腹起し(30)と土留壁(20)の内壁面との間隔を小さくして、且つ、均一にすることにより、裏込め材の使用量を減少することが出来るので、施工コストを低減することが出来る。
また、腹起し(30)と土留壁(20)との間の間隔が小さくなれば、その分だけ土留壁(20)内壁側(掘削側)の作業空間を大きく取ることが出来る。
そして、土留壁(20)からの突出長(L)を短くして、且つ、腹起し(30)と土留壁(20)との間の間隔が小さく出来るので、例えばパイプルーフ工法で使用するパイプ挿入機械を土留壁(20)に近接して設けることが可能になる。
本発明において、断面円形の管状部材(10)の内部に、緊張力付与角度調整部材(9:テーパープレート)を配置して、当該緊張力付与角度調整部材(9)上に張力付与装置(例えば、油圧ジャッキ70)を配置することにより、張力部材(T)に対して張力付与装置(70)により引張力(緊張力)を作用させる方向と、張力部材(T)が延在する方向を一致させることが出来る。
アンカー打設の際における種々の要因により、張力部材(T)が延在する方向が均一にならず、底板(6)と垂直な方向(張力付与装置70により引張力が付加される方向)に対して、垂直方向及び/または水平方向に偏奇していたとしても、本発明によれば、管状部材の内部に緊張力付与角度調整部材(9)を配置して、張力部材(T)に対して引張力(緊張力)を作用させる方向と、張力部材(T)が延在する方向が一致した状態にせしめることが出来る。
その様な状態で、張力付与装置(70)によって張力部材(T)に引張力が作用すれば、引張力(緊張力)が張力部材(T)に効率良く付与され、底板(6)に対して必要な緊張力が正確に付与されることになる。
ここで、従来技術で用いられた腹起し(300)は、上下二段の構造部材(例えば、H鋼)を使用していたため、その寸法、断面二次モーメント等が、付加するべき外力に対して余裕があり、いわゆる「オーバースペック」の状態になっていた(腹起し300の強度が、負荷するべき荷重よりも、遥かに強かった)。
これに対して、本発明では、上下一段の短尺の腹起し(30)を土留部材(10)に接続して使用しているので、上下二段の構造部材に比較して、腹起し(30)の強度を低く抑えられる。
また本発明では、腹起し(30)は、張力部材(T)に作用する緊張力における鉛直方向成分を支持してはいない。本発明によれば、当該鉛直方向成分は、土留部材(10)の下方に設けられた支持ブラケット(5)により支持され、当該支持ブラケット(5)を固着した芯材(201)が負荷している。そして、張力部材(T)に作用する緊張力における鉛直方向成分を支持しない分だけ、短尺の腹起し(30)の寸法、断面二次モーメント等を小さくすることが出来る。
すなわち、本発明によれば、腹起し(30)の寸法、断面二次モーメント等を、施工現場の条件に合わせて調節し、従来技術よりも小さく設定することが出来る。その結果、従来技術の腹起しにおける「オーバースペック」の状態を解消することが出来る。
さらに、本発明において、同一レベルに打設されたグラウンドアンカーに対して、腹起し(30)は上下方向に一段のみ設けられており、且つ、腹起し(30)が小さいので、腹起し(30)として使用する鋼材の量が少なくて済む。
このことも、施工コストの削減につながる。
本発明の第1実施形態に係る土留部材の正面図である。 図1のY矢示図である。 図1のX−X矢視断面図である。 第1実施形態の変形例を示す断面図である。 第1実施形態による土留工法で、アンカー打設を完了した状態を示す平面図である。 図5に対応する正面図である。 図5の状態を示す側面図である。 第1実施形態による土留工法で、土留部材を設置する工程を示す平面図である。 図8に対応する正面図である。 図8に対応する側面図である。 第1実施形態による土留工法で、腹起しを設置する工程を示す平面図である。 図11に対応する正面図である。 図11、図12の工程において、土留部材と腹起しの接続箇所における接続角度調整工程を示す斜視図である。 図13の接続角度調整工程の概要を示す平面図である。 第1実施形態による土留工法で、土留壁と腹起しの隙間に裏込め材を充填する工程を示す平面図である。 図15に対応する側面図である。 第1実施形態による土留工法で、張力部材に緊張力を付与する工程を示す平面図である。 図17に対応する側面図である。 図17、図18の工程において、緊張方向の調節のために用いられる緊張方向調節部材を示す説明図である。 図19の緊張方向調節部材を用いて垂直方向について緊張方向を調節する態様を説明する側面図である。 図19の緊張方向調節部材を用いて水平方向について緊張方向を調節する態様を説明する側面図である。 第1実施形態による土留工法で、張力部材の余長を切断した状態を示す側面図である。 本発明の第2実施形態に係る土留部材の断面図である。 本発明の第3実施形態に係る土留部材の断面図である。 図24のX1−X1矢視断面図である。 図24のX2−X2矢視断面図である。 本発明の第4実施形態に係る土留部材の断面図である。 従来技術に係る土留工法で、アンカー打設を完了して腹起しを設置する工程を示す側面図である。 従来技術に係る土留工法で、腹起しにアンカー台座を設置する工程を示す側面図である。 従来技術に係る土留工法における緊張・定着工を示す側面図である。 従来技術に係る土留工法で、張力部材の余長を切断した状態を示す側面図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
最初に、図1〜図22を参照して、本発明の第1実施形態について説明する。
図1〜図3は、第1実施形態に係る土留部材10を示しており、図3では土留部材10が土留壁20に設置した状態が示されている。
図1において、全体を符号10で示す土留部材は、中心線Lc(仮想線)に対して左右対称に構成されている。
図1で示すように、土留部材10は、管状部材1と、リブ2(2F、2R)と、図1の左右方向に突出した接続部3と、底板6と、1対の支持ブラケット5を有している。ここで接続部3は、短尺の腹起し30(図11、図12参照)と接続される部分である。
リブ2は、前方リブ2Fと後方リブ2Rの総称であり、図2及び図3をも参照して説明すると、「前方」とは土留壁から離隔した側であり、図3では右方、図1では紙面に垂直な方向で看者に近い側を意味している。一方、後方とは土留壁側であり、図3では左方、図1では紙面に垂直な方向で看者に遠い側を意味している。図3から明らかなように、管状部材1の前端面(図3の右端面)および後端面(図3の左端面)は、何れも垂直方向へ延在している。
図1〜図3において、管状部材1の前端面(図3の右端面)近傍には前方リブ2Fが設けられ、前方リブ2Fは管状部材1の外周を包囲するように管状部材1に固着されている。一方、管状部材1の後端面(図3の左端面)近傍には後方リブ2Rが設けられ、後方リブ2Rは管状部材1の外周を包囲するように管状部材1に固着されている。
図1において、前方のリブ2F及び後方のリブ2Rの左右両方向(左右両翼)には、1対の筐体状の接続部3が、前方のリブ2F及び後方のリブ2Rと一体に形成されている。図2において点線で示すように、接続部3の上方は開口している。
図2において、接続部3は、前面部材31と、後面部材32と、側面部材33と、底部材34と、中央リブ35とを有している。前面部材31は前方リブ2Fの前端面と面一に延在しており、後面部材32は、後方リブ2Rの後端面と面一に延在している(図3参照)。
中央リブ35は、前面部材31と後面部材32と平行で、且つ、前面部材31と後面部材32との中央に配置されている。
側面部材33には4箇所にボルト孔33aが形成されており、ボルト孔33aは腹起し30を接続するために形成されている。
土留部材10に腹起し30を接続する態様が図13に例示されている。ただし、図13に示されているくさび状部材50は、土留部材10に腹起し30を接続する際に使用しない場合がある。
図1、図3において、管状部材1の内周面1iであって土留壁20(図3)側の領域には、管状部材1の長手方向中心軸(図示せず)と直交する様に、底板6が固着している。底板6の中心には、張力部材(テンドン)Tを挿通させるための貫通孔6aが形成されている。
図3では、アンカーヘッド8及び張力部材Tの先端部を示している。
図3における符号40は裏込め材を示しており、裏込め材40は例えばセメントやモルタルで構成され、後方リブ2Rと土留壁20の間の隙間に充填されている。
図1〜図3において、土留部材10における断面円形の管状部材1の内径寸法は、テーパープレート9(図19、図20、図21参照)を挿入してジャッキ70(例えば油圧ジャッキ:図17、図18参照)を配置しても、管状部材1の内壁面1iとジャッキ70とが干渉しない様に設定されている。
また、図1〜図3において、土留部材10における断面円形の管状部材1内側の中空部の長さ寸法(張力部材Tが延在する方向の寸法)は、テーパープレート9(図19、図20、図21参照して後述)を挿入してジャッキ70(図17、図18参照)を配置しても、管状部材1の内壁面1iとジャッキ70とが干渉しない様に設定されている。
管状部材1の周囲のリブ2(2F、2R)は、土留部材10の強度を向上するために設けられている。
発明者の実験によれば、リブ2(2F、2R)の裏側(土留壁20側)、特に管状部材1の上下の領域の裏側に裏込め材を充填した場合には、土留部材10全体が捩れないことが確認された。そして、土留部材10の捩れを防止するためには、少なくとも管状部材1の上下方向の領域にリブ2を設け、その裏側に裏込め材を充填する必要があることが判明している。
ここで、管状部材1は断面円形の部材で構成されているので、強度的に弱い方向は存在せず、強度は均一である。
換言すれば、張力部材Tが延在する方向(張力部材Tが土留壁20に対して為す角度)について、管状部材1は均一の強度を有しており、当該方向(張力部材Tが延在する方向:張力部材Tが土留壁20に対して為す角度)が変動したとしても、断面円形の管状部材1には強度的な問題はない。
第1実施形態では、管状部材1の断面形状は円形として示されている。しかし、上述した様に、本明細書においては「円形」は「楕円形」を包含する意味で用いられており、図示はされていないが、管状部材1の断面形状を楕円形にすることが可能である。
図2において、支持ブラケット5は、接続部3における底部材34の底面に、公知の手段(例えば、溶接、或いはボルト等)によって取り付けられている。
支持ブラケット5は、水平部材51、垂直部材52、傾斜部材53が溶接によって接続され、一体に構成されている。
水平部材51、垂直部材52、傾斜部材53は、例えば、同一規格のアングル材(型鋼)により構成されている。
図1〜図3において、断面円形の管状部材1は、その両端面が、垂直方向(土留壁20と平行な方向)に延在している。
しかし、図4で示す変形例(第1実施形態の変形例)の様に、管状部材1の全端(図4では右側端面:土留壁20から離隔した側の端面)を、土留壁20と平行な方向(垂直方向)ではなく、管状部材1の長手方向に直交する方向に延在しても良い。
図1〜図3で示す土留部材10は、アンカー台座としての機能と、短尺の腹起し30(例えば、図11)を接続する接続部材としての機能を併せ持っており、アンカー台座及び腹起し接続部材として構成されている。
図1〜図3の土留部材10は、例えば鋳造等によって一体製造することが可能である。そのため、土留部材10の製造コストを低く抑えることが出来る。
次に、図5〜図22を参照して、図1〜図3で示す土留部材10を用いて、土留工法(第1実施形態による土留工法)を施工する態様について説明する。
先ず、図5〜図7で示すように、アンカー打設位置(図28〜図30の掘削孔Hに相当:図5では図示を省略)を削孔し、固化材を注入し、張力部材(テンドン)Tを挿入する。
ここで、図5〜図7において、符号Fdは、土留壁20における内壁面を示している。
図5〜図7では、背面の土砂の崩落を防止するため土留壁20が築造されており、土留壁20は図5における左右方向に延在している。
土留壁20は、例えば、削孔されたボーリング孔に複数の芯材201(例えばI型鋼)を建て込んで、築造される。芯材201が建て込まれる方向は、土留壁20が延在する方向(図5における左右方向)である。
土留壁20の築造に際して、複数の芯材201を、土留壁20の厚さ方向(図5の上下方向)について、同一直線上に正確に建て込むことは困難である。ここで、図5〜図22で示す例では、符号d201で示す領域の芯材201が、他の芯材201に比較して、図5における下側の領域(土留部材10と腹起し30が取り付けられる側の領域)に突出して、建て込まれた状態になっている。
次に、図8〜図10で示す様に、打設されたアンカーの張力部材Tの各々に対して、図1〜図3で示す土留部材10を設置する。土留部材10は、上述した様に、腹起し接続部材兼用アンカー台座として機能する。
図8〜図10において、支持ブラケット5を、芯材201のフランジ部201hの所定位置に公知の手段(例えば、溶接)で取り付けることにより、土留部材10は土留壁20に固定される。そして、内壁面Fdから突出している張力部材Tを、土留部材10における底板6の貫通孔6a(図1参照)に挿通し、土留部材10を、土留壁20の芯材201のフランジ部201h(図12でハッチングを付した部分)の所定位置に係止(あるいは仮止め)する。
図示の実施形態では、支持ブラケット5は管状部材1の下方に設けられているが、支持ブラケット5の位置が管状部材1の下方に限定される訳ではない。例えば、支持ブラケット1を管状部材1の上方に設けて、管状部材1を支持することも可能である。
土留部材10を設置したならば、図11〜図14で示す工程を行う。
図11〜図14で示す工程では、土留部材10と短尺の腹起し30を接続して、腹起し30を土留壁20に設置している。図示の実施形態では、従来技術とは異なり、腹起し30は短尺の部材(例えばH鋼)であり、垂直方向に一段のみ設けられている。
図11、図12において、土留部材10における左右両翼に延在する接続部3に対して、短尺の腹起し30が接続されている。
なお、図11における符号Eは、土留壁20と腹起し30との間に形成される隙間を示している。
上述した様に、土留工法の施工に際しては、土留壁20の芯材201が、土留壁20の厚さ方向(図11の上下方向)について、同一直線上に建て込まれずに、不揃いで凸凹になってしまう場合が、多々存在する。そして従来技術(図28〜図31参照)では、その様な芯材201の建て込み位置が不揃いであり、且つ、長尺の腹起し300は直線的に接続されるので、長尺の腹起し300(上段の腹起し300及び下段の腹起し300)と土留壁20の隙間に大量の裏込めモルタルを充填することにより、腹起し300と土留壁20との間隔が不均一になることに対処していた。
しかし、図11〜図14で示す様に、第1実施形態によれば、芯材201の建て込み位置が不揃いであっても、短尺の腹起し30と土留壁20の間に大量の裏込めモルタルを充填する必要がない。
図11で示すように、土留壁20の厚さ方向(図11の上下方向)について、芯材201は同一直線上に建て込まれない場合があり、図11の符号d201で示す領域の芯材201の建て込み位置は、図11の下方に突出している。
図8〜図10で説明した様に、土留部材10及び支持ブラケット5は芯材201に直接取り付けられている。そのため、例えば符号d201で示す領域の芯材201に、土留部材10を取り付けると、土留部材10と腹起し30を接続することが困難になる恐れがある。
しかし、図14で示すように、横方向に隣接する土留部材10(の接続部3)と短尺の腹起し30との間に、くさび状の角度調整コマ50を挿入することにより、土留部材10の接続部3と腹起し30との間に生じる角度を調整(吸収)して、土留壁20と短尺の腹起し30の隙間を小さくすることが出来る。
図13に示すように、短尺の腹起し30の端部(図13の左側の接続部3に対向する部分)30eには、接続部3の取付孔33aに対応する4箇所に取付孔30aが形成されている。
短尺の腹起し30と土留部材10の接続部3とは、図示しないボルトを取付孔33a、30aに挿通し、図示しないナットで締結することにより、接続される。なお、角度調整コマ50を介装せずに、短尺の腹起し30と土留部材10を結合することが出来る。
図13において、くさび状の角度調整コマ50は、その両面が、接続部3の端面及び腹起し30の端面と同様の矩形に形成されている。そして、全体が、くさび状に形成されている。
くさび状の角度調整コマ50には、一方の面から他方の面を貫く1対の長孔51が形成されている。長孔51は、各々が、(接続部3の端面及び腹起し30の端面に形成された)4箇所の貫通孔33a、30aの内の2箇所と対応する位置に形成されている。
角度調整コマ50を挿入した状態で、図示しないボルト・ナットで接続部3と腹起し30を結合すれば、土留壁20の厚さ方向(図11の上下方向)について、土留部材10と腹起し30とが揃っていなくても、土留部材10の接続部3の端面と、腹起し30の端面とを容易且つ確実に接合することが出来る。
なお、角度調整コマ50を複数挿入すれば、土留部材10の接続部3と腹起し30との接続角度を小さくすること(土留部材10の接続部3が、腹起し30に対して、急激に折れ曲がる様に配置すること)も可能である。
図11〜図14では図示はされていないが、短尺の腹起し30の下方に、腹起し30を支持するための支持ブラケットを設けてもよい。その場合において、当該支持ブラケット(腹起し30を支持するブラケット)は芯材201に溶接される。
その結果、短尺の腹起し30は、アンカー台座及び腹起し接続部材である土留部材10に接続されるのみならず、支持ブラケットを介して芯材201に固定される。
図11〜図14で示す工程で土留部材10と腹起し30を接続したならば、図15、図16で示す様に、腹起し30と土留壁20の間の隙間に裏込め材40を充填する。
図示の実施形態では、裏込め材としてモルタルが例示されている。しかし、いわゆる「キャンバー」その他の裏込め材を使用することも可能である。
図15、図16で示す工程で裏込め材40を充填したならば、図17〜図22の緊張・定着工程を行う。
図17では、中央の土留部材10において、ジャッキ70(例えば、油圧ジャッキ)を用いて、アンカーの張力部材Tに緊張力(引張力)を付与している。
図17において、左側の土留部材10については、緊張・定着工が終了して、張力部材Tの余長を切断する工程(図22参照)も完了した状態が示されている。
図17、図18で示すように、張力部材Tに緊張力を付与するに際しては、例えばセンターホールジャッキ70により、張力部材T(例えば、PC鋼より線)に対して引張力を作用させる。
図17、図18では明確には示されていないが、センターホールジャッキ70で張力部材Tに引張力を作用させた状態で、張力部材Tを、例えば図示しない「くさび」を用いてアンカーヘッド8(図3参照)に定着している。
引張力を作用させた張力部材Tをアンカーヘッド8に定着したならば、図17、図18において、センターホールジャッキ70を取り外す。
張力部材T(例えば、PC鋼より線)に対して引張力を作用させた際には、土留部材10を支持している支持ブラケット5により、引張力(ジャッキ70により張力部材Tに付加された引張力)における垂直方向成分を支持する。
支持ブラケット5は溶接等により芯材201に固定されているので、張力部材Tに対する引張力(アンカー緊張力)の垂直方向成分は、支持ブラケット5を介して、芯材201が支持することになる。
図17、図18において、センターホールジャッキ70により張力部材T(例えば、PC鋼より線)を引っ張る方向は、土留部材10の底板6(図1、図3参照)に対して、直角な方向である。図1〜図18において、底板6は、土留部材10のアンカープレートとしても機能する(底板6は、土留部材10のアンカープレートと兼用されている。)
ここで、張力部材Tが延在する方向が、土留部材10の底板6に直角な方向とはならずに、当該方向(底板6に直角な方向)に対して、垂直方向及び/または水平方向に偏奇してしまう場合が存在する。
図20は、張力部材T(図20では図示を省略)が、底板6に直角な方向(矢印JcV方向)から垂直方向上方に偏奇して、延在している場合を示す。図20において、符号Dtは、張力部材Tの中心線を示し、張力部材Tが延在する方向を示している。
図21は、張力部材Tが、底板6に直角な方向(矢印JcH方向)から、水平方向左方に偏奇して延在している場合を示す。図21においても、符号Dtは、張力部材Tの中心線を示し、張力部材Tが延在する方向を示している。
張力部材Tが延在する方向が、土留部材10の底板6に直角な方向とはならずに、底板6に直角な方向に対して偏奇している場合には、センターホールジャッキ70により張力部材T(例えば、PC鋼より線)を引っ張る方向と、張力部材Tが延在する方向とが一致せず、緊張力が効果的に張力部材Tへ付与されなくなってしまう。
これに対して、第1実施形態では、図19で示す様に、テーパープレート9(緊張力付与角度調整部材)を使用することにより、張力部材Tの延在する方向が、底板6に直角な方向から垂直方向及び/または水平方向に偏奇していても、センターホールジャッキ70により張力部材Tを引っ張る方向を、張力部材Tが延在する方向と一致させている。
テーパープレート9は、図19(a)で示すように全体が円盤状であり、且つ、図19(b)で示すように断面形状がくさび形状に形成されている。
図19(b)において、テーパープレート9の最大厚み寸法がt1、最小厚み寸法がt2と表記されている。ここで、くさび形状のテーパープレート9の厚さ方向寸法は、最大厚みt1の部分から最小厚みt2の部分に向って、漸次減少している。
最大厚み寸法t1に対する最小厚み寸法t2の比率は、テーパープレート9の直径Dと共に、任意に設定することが出来る。
テーパープレート9の直径Dは、土留部材10の管状部材1の内周面1i(図1参照)中へ円滑に挿入することが出来る範囲内で、且つ、管状部材1の内周面1iで円滑に回転出来る様に設定されている。
テーパープレート9の中央貫通孔9aの直径は、張力部材Tが挿通するのに必要な寸法に設定されており、例えば、底板6の貫通孔6aに等しい。
張力部材Tの延在する方向が、底板6に直角な方向JcV(図20)、JcH(図21)から偏奇している場合に、張力部材Tの延在する方向に合わせてテーパープレート9を回転させて、テーパープレート9に直角な方向(センターホールジャッキ70により張力部材Tを引っ張る方向)を、張力部材Tの延在する方向Dt(図20、図21)に調節することが出来る。なお、図示はされていないが、テーパープレートの形状を、三角形以上の多角形状にすることも可能である。
テーパープレート9を回転させて、センターホールジャッキ70により張力部材Tを引っ張る方向を、張力部材Tの延在する方向Dt(図20、図21)と一致する様に調節したならば、センターホールジャッキ70を底板6上に設置して、張力部材Tに緊張力を作用させれば良い。
ここで、図1〜図3で示す管状部材1及びその内周面1iの断面形状が円形であるため、テーパープレート9を管状部材1の内周面1i内で、自在に回転することが出来る。そのため、くさび状のテーパープレート9上に設置するセンターホールジャッキ70により張力部材Tを引っ張る方向については、微小な角度に到るまで微調整することが可能である。
センターホールジャッキ70で張力部材Tに引張力を作用して、張力部材Tをアンカーヘッド8に定着した後、例えばPC鋼より線で構成された張力部材Tにおける余長部分を切断する。
図22は、張力部材Tの余長部分を切断した状態を示しており、図17における左側の土留部材10を示している。
図22の段階では、PC鋼より線で構成された張力部材Tには引張力(緊張力)が作用しており、図示しないくさびとアンカーヘッド8(図3参照)によって定着されている。
上述した様に、従来技術における土留壁からの突出長L(図31参照)は、約1m程度である。それに対して、図1〜図22の第1実施形態では、土留部材10が、短尺の腹起し30を接続する機能と、張力部材Tの台座としての機能を併せ持ち、腹起し接続部材兼用台座として一体化されていることにより、土留壁20からの突出長が短くなる。
発明者の実験によれば、図1〜図22の第1実施形態において、土留壁20からの突出長は約30cm程度にまで短縮された。
ここで、従来技術で用いられた腹起し300は、上下二段の構造部材(例えば、H鋼)を使用していたため、その寸法や断面二次モーメント等が、負荷するべき外力に対して余裕があり過ぎ、いわゆる「オーバースペック」の状態になっていた。すなわち、腹起し300の強度が、負荷するべき荷重よりも、遥かに大きく、強かった。
これに対して、第1実施形態では、上下一段の短尺の腹起し30を土留部材10に接続して使用しており、上下二段の構造部材に比較して、腹起し30の強度を低く抑えることができる。
また、第1実施形態では、腹起し30は、張力部材Tに作用する緊張力における鉛直方向成分を支持してはいない。張力部材Tに作用する緊張力の鉛直方向成分は、土留部材10の下方に設けられた支持ブラケット5により支持され、当該支持ブラケット5は芯材201に固定されている。
張力部材Tに作用する緊張力における鉛直方向成分を支持する必要がないため、第1実施形態では、腹起し30の寸法、断面二次モーメント等を、施工現場の条件に合わせて調節し、従来技術よりも小さく設定することが出来る。
なお、腹起し30のサイズや断面二次モーメント等は、施工現場により、ケース・バイ・ケースで設定される。
第1実施形態における土留部材10では、長尺の一本物の腹起し300(図28〜図31)を使用する必要がなく、短尺の腹起し30と土留部材10を接続して使用している。
土留壁築造に際して、芯材201を同一直線上に建て込むことが出来ずに、芯材201の建て込み位置が土留壁20の厚さ方向(図8、図11、図15、図17の上下方向)について凸凹が生じた場合でも、第1実施形態によれば、短尺の腹起し30と土留部材10を接続箇所における角度を調節する(例えば、適正な角度調整コマ50を挿入する)ことにより、土留部材10および腹起し30と土留壁20との間隔を小さくして、且つ、均一にすることが出来る。
土留部材10および腹起し30と土留壁20の内壁面との間隔を小さくして、且つ、均一にすることにより、裏込め材40の使用量を減少することが出来るので、施工コストを低減することが出来る。
また、第1実施形態によれば、土留壁20からの突出長(図31における寸法L)を小さくして、且つ、腹起し30と土留壁20との間隔を小さくすることが出来るので、突出長(L)と間隔(腹起し30と土留壁20との間隔)が小さくなった分だけ、土留壁20内側の作業空間を大きく取ることが可能である。そして、構築するべき建造物に対する各種作業を円滑に行うことが出来る。
さらに、土留壁20で土留される掘削領域の面積を小さくすることが出来るので、掘削に関するコストが節約される。
ここで、第1実施形態によれば、土留壁20からの突出長(図31における寸法L)を小さくして、且つ、腹起し30と土留壁20との間隔も小さくすることが出来るので、例えばパイプルーフ工法において、使用されるパイプ挿入機械を土留壁に近接して設けることも可能となる。
ここで、アンカー打設の際に張力部材Tが延在する方向が均一にならず、底板6と垂直な方向(ジャッキ70により引張力が付加される方向)に対して、張力部材Tが延在する方向が偏奇する場合が、土留工法の施工では良く見受けられる。
これに対して第1実施形態によれば、管状部材1の内周面1i内にテーパープレート9を配置して、テーパープレート9を内周面1i内で回転することにより、張力部材Tに対してジャッキ70により引張力(緊張力)を作用させる方向と、張力部材Tが延在する方向Dtを一致させることが出来る。
その様な状態で、テーパープレート9上にジャッキ70を設置して、ジャッキ70により張力部材Tに対して引張力を作用すれば、張力部材Tに対して引張力(緊張力)が効率良く付与され、必要な緊張力が正確に付与される。
ここで、第1実施形態では、断面円形の管状部材内周面1iの内側にテーパープレート9を配置するので、内周面1iの内側に設置した状態でテーパープレート9を360°自由に回転させることが出来る。そして、ジャッキ70によって張力部材Tに引張力を作用する方向を、張力部材Tが延在する方向Dtへ、容易且つ正確に合致させる様に、テーパープレート9を微調整することが出来る。
図23は、本発明の第2実施形態を示している。
図1〜図22の第1実施形態では、底板6は、土留部材10のアンカープレートとしての機能も有しており、管状部材1と一体に構成されている。
これに対して、図23の第2実施形態では、土留部材10Aの底板6と、アンカープレート4Aが別体に構成されている。
図23において、土留部材10Aにおける管状部材1の内壁1iには、貫通孔6aを有する底板6が、管状部材1の中心軸に直交するように配置され、管状部材1の内壁1iに固着されている。底板6には、底板6とは別体のアンカープレート4Aが載置されている。
ここで、貫通孔6aの内径は、アンカープレート4Aの貫通孔4Aaの内径よりも大きく設定されている。底板6の貫通孔6aの内径を大きく形成しているのは、複数種類の張力部材Tに対応するためである。
アンカープレート4Aの貫通孔4Aaの内径は、使用される張力部材Tが挿通出来る寸法以上の数値に設定されている。
アンカーヘッド8の径寸法には上限値が存在し、底板6に形成された大きな貫通孔6aの内径がアンカーヘッド8の外径における上限値を上回っている場合には、アンカーヘッド8を支持するために、土留部材10Aの底板6とは別体のアンカープレートを設ける必要がある。
また、底板6に形成された大きな貫通孔6aの内径が、アンカーヘッド8の外径上限値よりも小さく、且つ、底板6の貫通孔6a内径とアンカーヘッド8外径の差異が小さな場合は、アンカーヘッド8が底板6に当接する面積が小さくなってしまい、強度的に、張力部材Tに付加される張力を支持することが困難になってしまう。
上述した様な事態に対応するため、図23の第2実施形態では、土留部材10Aの底板6とは別体に、アンカープレート4Aを設けているのである。
図23の第2実施形態に係る土留部材10Aを用いて、図5〜図22で説明したのと同様な態様で、土留工法を施工することが出来る。
図23の第2実施形態におけるその他の構成及び作用効果は、図1〜図22の第1実施形態と同様である。
図24〜図26は、本発明の第3実施形態を示している。
図1〜図23の実施形態では、土留部材10、10Aが断面円形の管状部材1を有している。
それに対して、図24〜図26の第3実施形態では、断面円形の管状部材に代えて、断面が四角形の管状部材(中空角柱管状部材)が用いられている。
第3実施形態に係る土留部材は、図24において、全体を符号10Bで示されており、断面が四角形の管状部材2B(中空角柱管状部材)と、2箇所の接続部3Bと、1対の支持ブラケット5Bを備えている。
中空角柱管状部材2Bは、アンカープレートでもある底板21Bと、上方部材22Bと、下方部材23Bと、1対の側板24Bと、1対の補強板25Bを有している。
図26において、上方部材22Bは幅の狭い板状部材であり、1対の側板24Bの上方左端のコーナー(隅部)に溶接されて、固定されている。
図26において、下方部材23Bは、上方部材22Bよりも幅寸法の大きな板状部材で構成されている。下方部材23Bの幅寸法(図26の左右方向寸法)は、側板24Bの幅寸法(図26における左右方向寸法)の1/2よりも小さく設定されている。そして下方部材23Bは、1対の側板24Bの下方右端のコーナー(隅部)に溶接されて、固定されている。
図26において、底板21Bは、一方の端部が上方部材22Bの右板端に係止され、他方の端部が下方部材22Bの左板端に係止されている。
底板21Bの中心には、張力部材Tを挿通させる貫通孔21Baが形成されている。
1対の補強板25Bは、底板21Bに直交するように配置されている。図26では、補強板25Bの端部(図26における右上方端部)が底板21Bに当接した状態である。そして、補強板25Bの側方端部(図24における中心軸Lcから離隔する側の端部)は、図24において、左右1対の側板24Bに固定されている。
図24において、一対の補強板25B、25Bの間隔Lbは、底板21Bに形成された貫通孔21Baの内径寸法よりも大きく設定されている。
接続部3Bは、短尺の腹起し30(図11、図12参照)と接続される部分である。図24において、2箇所の接続部3Bは、土留部材10Bの中心線Lcに対して、左右対称に形成されている。
図24及び図25において、接続部3Bは、側板31Bと、前方部材32Bと、後方部材33Bと、水平補強部材34Bと、上方垂直補強部材35Bと、下方垂直補強部材36Bを有している。
図24において、接続部3Bの前方部材32Bの右端は、中空角柱管状部材2Bの側板24Bに固定(例えば溶接)されている。明示されていないが、図25で示す後方部材33Bも、中空角柱管状部材2Bの側板24Bに固定されている。
図24において、前方部材32Bの左端は、接続部3Bの側板31Bに固定されている。明示されていないが、図25で示す後方部材33Bの左端は、側板31Bに固定されている。
接続部3Bの側板31Bには、腹起し30を接続するためボルト孔31Ba(図25)が4箇所形成されている。
図25において、接続部3Bの水平補強部材34Bは水平方向に延在しており、前方部材32B及び後方部材33Bの上下方向の中央位置に固定されている。
図25において、上方垂直補強部材35Bの下端は、水平補強部材34Bの上面中央部に固定されている。そして図24において、上方垂直補強部材35Bの端部は、側板31B及び中空角柱管状部材2Bの側板24Bに固定されている。
図25において、下方垂直補強部材36Bの上端は、水平補強部材34Bの下面中央部に固定されている。そして図24において、下方垂直補強部材36Bの端部は、側板31B及び中空角柱管状部材2Bの側板24Bに固定されている。
第3実施形態の土留部材10Bにおいて、管状部材2Bの断面形状は正方形のみならず、長方形その他の四角形であっても良いし、五角形以上の多角形(正多角形に限定されない)としても良い。
図24〜図26の第3実施形態に係る土留部材10Bを使用した場合でも、図5〜図22で説明した土留工法を施工することが出来る。
図24〜図26の第3実施形態に係る土留部材10Bにおいて、アンカー打設の際に張力部材Tが延在する方向が均一にならず、底板21Bと垂直な方向(ジャッキ70により引張力が付加される方向)に対して、張力部材Tが延在する方向が偏奇する場合に、中空角柱管状部材2B内にテーパープレート(図示せず)を配置して、張力部材Tに対してジャッキ70(図17、図18)により引張力(緊張力)を作用させる方向を、張力部材Tが延在する方向に調整することができる。
テーパープレートは、厚さ方向寸法が変化するくさび形状に構成されている。
テーパープレート(図24〜図26では図示せず)を配置して、張力部材Tに対してジャッキ70により引張力(緊張力)を作用させる方向を調整する際に、テーパープレートが正方形状であり、中空角柱管状部材2Bの内部空間の断面形状が正四角形であるとすれば、正方形のテーパープレートを底板21Bに載置すると、テーパープレートと中空角柱管状部材2Bの内部空間との相対位置関係は、4通り存在する。従って、底板21Bと垂直な方向(ジャッキ70により引張力が付加される方向)と張力部材Tが延在する方向が偏奇しているため、テーパープレートを底板21Bに載置する際に、張力部材Tに対してジャッキ70により引張力(緊張力)を作用させる方向の向きは、4種類から選択されることになる。
ただし、テーパープレートの形状が、中空角柱管状部材2Bの内部空間(正四角形)の内接円(あるいはそれよりも小径の円)であれば、テーパープレートと直角な方向を、図19〜図21で説明したのと同様に、張力部材Tが延在する方向に合わせることが容易且つ高精度で行うことが出来る。また、テーパープレートの形状を、三角形あるいは五角形以上の多角形状とすることも出来る。
図24〜図26の第3実施形態におけるその他の構成及び作用効果は、図1〜図23の各実施形態と同様である。
図27は、本発明の第4実施形態を示している。
図27では、図24〜図26の第3実施形態と同様に、断面四角形状の中空角柱管状部材2Bを有している。そして、図23の第2実施形態と同様に、底板21Bとアンカープレート4Bが別体に構成され、底板21Bにアンカープレート4Bが載置されている。
ここで、アンカープレート4Bは、断面四角形状の中空角柱管状部材2Bに配置可能な寸法であり、且つ、底板21Bとアンカープレート4Bが重複している面積が張力部材Tに作用する緊張力に対して必要な数値が確保されているのであれば、四角形のみならず、三角形、五角形以上の多角形、円形であっても良い。
図27の第4実施形態に係る土留部材により、図5〜図22で説明したのと同様な態様で、土留工法を施工することが出来る。
図27の第4実施形態におけるその他の構成及び作用効果は、図23の第2実施形態、図24〜図26の第3実施形態と同様である。
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではないことを付記する。
例えば、図1〜図23では断面円形の管状部材1が示されており、図24〜図27では断面四角形の管状部材(中空角柱管状部材)2Bが示されているが、管状部材の断面形状を、正五角形以上の正多角形にすること(断面が正五角形以上の正多角形である管状部材は図示せず)も可能である。
1・・・管状部材
2・・・リブ
3・・・接続部
4・・・アンカープレート
5・・・下部支持ブラケット
6・・・底板
8・・・アンカーヘッド
9・・・テーパープレート
10・・・土留部材
20・・・土留壁
30・・・腹起し
40・・・裏込め材
50・・・角度調整部材/角度調整コマ
T・・・張力部材

Claims (3)

  1. 土留壁の芯材に土留部材を支持する支持ブラケットを固定し、土留部材における底板の貫通孔に土留壁に打設されたグラウンドアンカーの張力部材を挿通して、土留部材を土留壁に設置する工程を有し、当該土留部材は、中空の管状部材と、当該管状部材の半径方向外方に延在するリブと、管状部材の直径方向両側に延在する接続部と、管状部材の内側に配置された底板と、管状部材を支持する支持ブラケットを備え、リブと接続部と底板は管状部材に固定されており、土留部材の接続部と短尺の腹起しの端部を接続する工程と、土留部材及び腹起しと土留壁の間の隙間に裏込め材を充填する工程と、張力部材に対して緊張力を作用する工程と、緊張力を作用した状態の張力部材を定着する工程を有することを特徴とする土留工法。
  2. 前記接続する工程において、短尺の腹起しと土留部材の接続箇所に角度調節部材を挿入する請求項1の土留工法。
  3. 前記緊張力を作用する工程に先立って、管状部材の内部に緊張力付与角度調整部材を配置する請求項1、2の何れかの土留工法。
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