以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、実施形態に従った有線アドホックネットワークシステムの構成の例図である。
図1に示した有線アドホックネットワークシステム1は、中継ノード装置10−1〜10−20(ノード1〜20)、ゲートウェイ装置(GW)20、給電装置30、および経路40−1〜40−26を含む。ゲートウェイ装置20は、実施形態の電力供給制御装置の一例である。
図1には、20個の中継ノード装置10が図示されているが、有線アドホックネットワークシステム1に含まれる中継ノード装置10の数は、これに限定されない。以下の説明において、中継ノード装置10−1〜10−20を区別しない場合には、中継ノード装置10と表記する。また、以下の説明において、中継ノード装置10−1〜10−20をノード1〜20と呼ぶ場合がある。
中継ノード装置10は、制御装置11、電源回路12、3つのポートP1〜P3、および3つのポート電源スイッチS1〜S3を含む。
ポートP1〜P3は、隣接する中継ノード装置10または隣接するゲートウェイ装置20との接続インタフェースである。なお、図1に示した各中継ノード装置10が有するポート数は、例示であり、実施形態の各中継ノード装置10が有するポート数が3つに限定されることを意味しない。
ポート電源スイッチS1〜S3は、制御装置11からの制御信号に従ってポートP1〜P3への電源出力をオンまたはオフするスイッチである。ポート電源スイッチS1〜S3は、ポートP1〜P3から出力する電力をONまたはオフするが、ポートP1〜P3に入力する電力に制限を加えない。ポート電源スイッチS1〜S3は、ポートP1〜P3にそれぞれ対応する。
なお、図1には、ポート電源スイッチS1〜S3としてサイリスタが示されているが、Field Effect Transistor(FET)等の任意のスイッチング素子であってよい。また、図1には、直流電源を中継ノード装置10に供給する場合の一例として示しているが、交流電源を中継ノード装置10に供給する場合には、ポート電源スイッチS1〜S3は、リレースイッチ等であってよい。
制御装置11は、自ノード装置10からゲートウェイ装置20までのパケット伝送のルートを制御する。また、制御装置11は、ポート電源スイッチS1〜S3のオンおよびオフをそれぞれ制御することによって、ポートP1〜P3をそれぞれ介した隣接する中継ノード装置10への電力供給を制御する。
電源回路12は、隣接する中継ノード装置10または隣接するゲートウェイ装置20から供給された入力電力から自ノード装置内で必要とされる出力電力を生成する回路である。
中継ノード装置10は、3つのポートP1〜P3を介して、隣接するゲートウェイ装置20および隣接する中継ノード装置10と接続する。また、中継ノード装置10は、複数のセンサ(不図示)と接続する。センサは、温度センサ、風速センサ、照度センサ、人感センサ、電力検針メータ、加速度センサ、ひずみセンサ、および監視カメラ等を含む任意のセンサであってよく、実装に応じて選択される。センサから取得されたデータは、中継ノード装置10およびゲートウェイ装置20を介してサーバ(不図示)に送信される。
ゲートウェイ装置20は、制御装置21、電源回路22、3つのポートP1〜P3、および3つのポート電源スイッチS1〜S3を含む。
ポートP1〜P3は、隣接する中継ノード装置10との接続インタフェースである。なお、図1に示した各中継ノード装置10が有するポート数は、例示であり、実施形態のゲートウェイ装置20が有するポート数が3つに限定されることを意味しない。
ポート電源スイッチS1〜S3は、制御装置21からの制御信号に従ってポートP1〜P3への電源出力をオンまたはオフするスイッチである。ポート電源スイッチS1〜S3は、ポートP1〜P3から出力する電力をONまたはオフするが、ポートP1〜P3に入力する電力に制限を加えない。ポート電源スイッチS1〜S3は、ポートP1〜P3にそれぞれ対応する。なお、図1には、ポート電源スイッチS1〜S3としてサイリスタが示されているが、これは、前述した中継ノード装置10のポート電源スイッチS1〜S3と同様、例示である。
ゲートウェイ装置20は、自装置20の電源であり各中継ノード装置10の電源となる給電装置30とポートを介して接続する。図1の例では、ゲートウェイ装置20は、ポートP1を介して給電装置30と接続する。
制御装置21は、各中継ノード装置10とサーバとの間のパケットの伝送ルートを制御する。
また、制御装置21は、ポート電源スイッチのオンおよびオフを制御することによって、ポートを介した中継ノード装置10への電力供給を制御する。図1の例では、ゲートウェイ装置21は、ポート電源スイッチS2のオンおよびオフを制御することによって、ポートP2を介した中継ノード装置10への電力供給を制御する。また、制御装置21は、電源投入指示フレームを含む各種のフレームを中継ノード装置10へ送信することによって、中継ノード装置10への電力供給を制御する。
電源回路22は、ポートP1を介して給電装置30から供給された入力電力から自装置内で必要とされる出力電力を生成する回路である。
経路40−1〜40−26は、中継ノード装置10とゲートウェイ装置20との間、および隣接する中継ノード装置10間におけるデータ通信および電力供給に用いられる有線の経路である。経路40−1〜40−26は、例えば、POE技術が用いられたケーブルであり得る。
図1に示した経路40−1〜40−26は、中継ノード装置10とゲートウェイ装置20との間、および隣接する中継ノード装置10間を接続する経路の一例にすぎず、実施形態の経路の構成が経路40−1〜40−26に限定されることを意味しない。以下の説明において、経路40−1〜40−26を区別しない場合には、経路40と表記する。
実施形態に従った中継ノード装置10およびゲートウェイ装置20の機能的構成の一例を説明する。
図2は、実施形態に従った中継ノード装置の機能的構成図である。
図2に示した中継ノード装置10は、有線アドホックネットワークポート110(110a〜110c)、ポート電源スイッチ120(120a〜120c)、アドホックルーティング制御デバイス130、およびCentral Processing Unit(CPU)140を含む。また、中継ノード装置10は、Digital Input/Digital Output(DI/DO)端子150、Electrically Erasable Programmable Read Only Memory(EEPROM)160、センサ接続ポート170(170a〜170n)を含み得る。
有線アドホックネットワークポート110は、他の中継ノード装置10またはゲートウェイ装置20との間で送受信されるカプセル化されたアドホックフレームのデータを終端し、送受信されるアドホックフレームの符号化または復号を行う。
有線アドホックネットワークポート110a〜110cは、図1に示した中継ノード装置10のポートP1〜P3にそれぞれ対応する。中継ノード装置10が備える有線アドホックネットワークポート110の数は任意であるが、以下の説明では、ポートP1、P2、P3の3ポートを備える場合を例として説明する。
有線アドホックネットワークポート110は、送信フレームを一時保持するバッファメモリを備えることができる。
ポート電源スイッチ120a〜120cは、図1に示した中継ノード装置10のポート電源スイッチS1〜S3にそれぞれ対応する。ポート電源スイッチ120は、有線アドホックネットワークポート110への電源出力をオンまたはオフするスイッチである。
アドホックルーティング制御デバイス130は、図1に示した中継ノード装置10の制御装置11に対応する。アドホックルーティング制御デバイス130は、例えば、Field Programmable Gate Array(FPGA)やStatic Random Access Memory(SRAM)により実現される。
アドホックルーティング制御デバイス130は、受信フレーム制御部131、送信フレーム制御部132、CPUインタフェース133、フレーム処理部134、ルーティング制御部135、GWルーティング管理テーブル136、電力供給制御部137、およびタイマ138を含む。CPUインタフェース133は、レジスタ139を含む。
受信フレーム制御部131は、有線アドホックネットワークポート110からフレームデータを受信する。受信フレーム制御部131は、他の中継ノード装置10を宛先とするフレームをルーティング制御部135に出力する。また、受信フレーム制御部131は、自ノード装置10を宛先とするフレームをCPUインタフェース133に出力する。
CPUインタフェース133は、受信フレーム制御部131から入力されたフレームを、CPU140に出力する。CPUインタフェース133は、CPU140への出力の際に、レジスタ139を適宜使用する。
ルーティング制御部135は、GWルーティング管理テーブル136を用いたパケット伝送のルーティング処理を行う。GWルーティング管理テーブル136は、自ノード装置10からゲートウェイ装置20までのルートを管理するテーブルである。詳細を後述するように、GWルーティング管理テーブル136内のデータは、有線アドホックネットワークシステム1内の各中継ノード装置10への実施形態に従った電源投入処理の際に格納される。また、GWルーティング管理テーブル136内のデータは、実施形態に従ったルーティング変更処理の際に変更される。
フレーム処理部134は、CPUインタフェース133がCPU140から取得したデータを含むフレームを生成し、ルーティング制御部135や送信フレーム制御部132に出力する。
送信フレーム制御部132は、ルーティング制御部136やフレーム処理部135から入力されたフレームを、送信先に応じて有線アドホックネットワークポート110に出力する。
電力供給制御部137は、ポート電源スイッチ120のオンおよびオフを制御して、有線アドホックネットワークポート110を介した隣接の中継ノード装置10への電力供給を制御する。
CPU140は、中継ノード装置10に備えられているセンサ(不図示)から取得したデータを処理する。CPU140は、制御デバイスインタフェース141、DI/DOインタフェース142、センサインタフェース143を含む。
制御デバイスインタフェース141は、CPUインタフェース133との間で、センサデータやセンサ制御データ等を送受信する。センサインタフェース143は、センサ接続ポート170を介して、センサとの間でデータを送受信する。センサインタフェース143は、EEPROM160とも接続される。EEPROM160は、各種センサデータやセンサ制御データを適宜記憶する。DI/DOインタフェース142は、DI/DO端子150と接続される。DI/DO端子150は、データ入力端子およびデータ出力端子として動作する。
図3は、実施形態に従ったゲートウェイ装置の機能的構成図である。
図3に示したゲートウェイ装置20は、有線アドホックネットワークポート210(210a〜210c)、ポート電源スイッチ220(220a〜220c)、アドホックルーティング制御デバイス230、およびCPU240を含む。
有線アドホックネットワークポート210は、他の中継ノード装置10との間で送受信されるカプセル化されたアドホックフレームのデータを終端し、送受信されるアドホックフレームの符号化または復号を行う。
有線アドホックネットワークポート210は、図1に示したポートP1〜P3にそれぞれ対応する。ゲートウェイ装置20が備える有線アドホックネットワークポート210の数は任意であるが、ポートP1、P2、およびP3の3ポートを備える場合を例として説明する。
有線アドホックネットワークポート210は、送信フレームを一時保持するバッファメモリを備えることができる。
ポート電源スイッチ220a〜220cは、図1に示したゲートウェイ装置20のポート電源スイッチS1〜S3にそれぞれ対応する。ポート電源スイッチ220は、有線アドホックネットワークポート210への電源出力をオンまたはオフするスイッチである。
アドホックルーティング制御デバイス230は、図1に示したゲートウェイ装置20の制御装置21に対応する。アドホックルーティング制御デバイス230は、例えば、Field Programmable Gate Array(FPGA)やStatic Random Access Memory(SRAM)により実現される。
アドホックルーティング制御デバイス230は、受信フレーム制御部231、送信フレーム制御部232、CPUインタフェース233、フレーム処理部234、ルーティング制御部235、各ノードルーティング管理テーブル236、電力供給制御部237、およびタイマ238を含む。CPUインタフェース233は、レジスタ239を含む。
受信フレーム制御部231は、有線アドホックネットワークポート210からフレームデータを受信する。受信フレーム制御部231は、各中継ノード装置10を宛先とするフレームをルーティング制御部235に出力する。また、受信フレーム制御部231は、自ノード装置20を宛先とするフレームをCPUインタフェース233に出力する。
CPUインタフェース233は、受信フレーム制御部231から入力されたフレームを、CPU240に出力する。CPUインタフェース233は、CPU240への出力の際に、レジスタ239を適宜使用する。
ルーティング制御部235は、各ノードルーティング管理テーブル236を用いたパケット伝送のルーティング処理を行う。各ノードルーティング管理テーブル236は、自装置20から各中継ノード装置10までのルートを管理するテーブルである。各ノードルーティング管理テーブル236内のデータは、詳細を後述するように、有線アドホックネットワークシステム1内の各中継ノード装置10への実施形態に従った電源投入処理の際に格納される。また、各ノードルーティング管理テーブル236内のデータは、実施形態に従ったルーティング変更処理の際に変更される。
フレーム処理部234は、CPUインタフェース233がCPU240から取得したデータを含むフレームを生成し、ルーティング制御部235や送信フレーム制御部232に出力する。
送信フレーム制御部232は、ルーティング制御部236やフレーム処理部235から入力されたフレームを、送信先に応じて有線アドホックネットワークポート210に出力する。
電力供給制御部237は、ポート電源スイッチ220のオンおよびオフを制御して、有線アドホックネットワークポート210を介した中継ノード装置10への電力供給を制御する。
CPU240は、Local Area Network(LAN)またはWide Area network(WAN)を介してサーバ(不図示)から取得したデータを処理する。CPU240は、制御デバイスインタフェース241およびネットワーク(NW)インタフェース142を含む。
制御デバイスインタフェース241は、CPUインタフェース233との間で、サーバ宛または各中継ノード装置10宛のパケット等を送受信する。ネットワークインタフェース242は、LANまたはWANを介してサーバと接続する。
実施形態では、ゲートウェイ装置20に接続された給電装置30から各中継ノード装置10への電力供給をゲートウェイ装置20が制御する。ゲートウェイ装置20は、実施形態の電力供給制御装置の一例である。
実施形態に従った電力供給制御方法を説明する前に、実施形態の有線アドホックネットワークシステム内で送受信されるフレームのフォーマットの一例を説明する。
図4は、実施形態の有線アドホックネットワークシステム内で送受信されるフレームのフォーマットの例図である。
図4には、汎用コマンドフレーム、起動通知フレーム、起動通知応答フレーム、ヘルスフレーム、ヘルスフレーム要求フレーム、電源投入指示フレーム、電源停止指示フレーム、迂回ルート通知フレーム、および状態変移通知フレームが示されている。
図4(b)に示した起動通知フレームは、隣接装置からの電力供給により、自ノード装置10が起動したことをゲートウェイ装置20に通知するアドホックフレームである。図4(c)に示した起動通知応答フレームは、起動通知フレームを送信した中継ノード装置10に起動通知に対する応答をゲートウェイ装置20が通知するアドホックフレームである。
図4(d)に示したヘルスフレーム要求フレームは、隣接する中継ノード装置10に正常に動作しているか否かの通知(ヘルスフレーム)を要求するアドホックフレームである。また、図4(d)に示したヘルスフレームは、ヘルスフレーム要求フレームに対応して、自ノード装置10が正常に動作していることをヘルスフレーム要求フレームを送信した隣接装置に通知するアドホックフレームである。図4(d)に示すように、ヘルスフレーム要求フレームおよびヘルスフレームは、同じフレームフォーマットであり得る。
図4(e)に示した電源投入指示フレームは、ポートを介した隣接中継ノード装置10への電力供給をゲートウェイ装置20が宛先中継ノード装置10に指示するアドホックフレームである。図4(f)に示した電源停止指示フレームは、ポートを介した隣接中継ノード装置10への電力供給の停止をゲートウェイ装置20が宛先中継ノード装置10に指示するアドホックフレームである。
図4(g)に示した迂回ルート通知フレームは、電源供給ラインおよび/またはフレームの伝送ルートとして用いられている経路に障害が発生した場合に用いられる迂回ルートをゲートウェイ装置20が宛先中継ノード装置10に通知するアドホックフレームである。
図4(h)に示した状態変移通知フレームは、自ノード装置と隣接中継ノード装置10との間の通信および/または給電に関する障害発生または障害復旧をゲートウェイ装置20に通知するアドホックフレームである。
図4(a)に示した汎用コマンドフレームは、上で説明した各種アドホックフレームのコマンド以外のコマンド用のアドホックフレームである。
図4に示した何れの種類のアドホックフレームも、フレームヘッダ部およびデータ部を含む。
各種のアドホックフレームのフレームヘッダ部は、ネットワーク識別データ(Identification data、ID)フィールド、宛先ノードIDフィールド、送信元ノードIDフィールド、およびLengthフィールドを含む。
ネットワークIDフィールドには、送信元装置から宛先装置までのフレームの伝送ルートを表すデータが設定される。宛先ノードIDフィールドには、フレームの宛先に割り振られている6バイトのMACアドレスが設定される。送信元ノードIDフィールドには、送信元の装置に割り振られている6バイトのMACアドレスが設定される。Lengthフィールドには、フレーム中のデータの長さを示す2バイトの値が設定される。
各種のアドホックフレームのデータ部は、KINDフィールド、HOP数フィールド、データフィールド、およびFrame check Sequence(FCS)フィールドを含む。
KINDフィールドには、アドホックフレームの種別を表す2バイトのデータが設定される。HOP数フィールドには、アドホックフレームが宛先装置にたどり着くまでのホップ数を表す2バイトのデータが設定される。データフィールドには、46バイトから1500バイトの可変長のデータが設定される。FCSは、フレーム中の誤り検出および訂正をするためのチェックサム符号である。
起動通知フレームは、上述した各種アドホックフレームに共通するフィールドの他に、送受信ポート番号フィールドおよび電源ラインフラグフィールドをデータ部に含む。
送受信ポート番号フィールドには、フレームの宛先であるゲートウェイ装置20までの間でフレームを送受信する中継ノード装置10の送信ポート番号および受信ポート番号を示すデータが設定される。送受信ポート番号フィールドには、起動通知フレームを送信する中継ノード装置10のポート番号を示すデータと、その起動通知フレームを受信したその中継ノード装置10のポート番号を示すデータとが対として設定される。なお、以下の説明において送信ポートおよび受信ポートを併せて送受信ポートと呼ぶことがある。
電源ラインフラグフィールドには、ポートを介した電力供給により隣接中継ノード装置10が起動し、隣接中継ノード装置10への電力供給ラインが確立したか否かを表すデータが設定される。
起動通知応答フレームおよび迂回ルート通知フレームは、前述した各種アドホックフレームに共通するフィールドの他に、Gateway(GW)ネットワークIDフィールドをデータ部に含む。
GWネットワークIDフィールドには、送信元中継ノード装置10からゲートウェイ装置20までのフレームの伝送ルートを表すデータが設定される。
電源投入指示フレームには、前述した各種アドホックフレームに共通するフィールドの他に、電源投入ポート番号フィールドをデータ部に含む。電源投入ポート番号フィールドには、隣接する中継ノードへ電力供給するための1つ以上の送信ポートのポート番号を示すデータが設定される。
電源停止指示フレームには、前述した各種アドホックフレームに共通するフィールドの他に、電源停止ポート番号フィールドをデータ部に含む。電源停止ポート番号フィールドには、隣接する中継ノードへの電力供給を停止するための1つ以上の送信ポートのポート番号を示すデータが設定される。
状態変移通知フレームには、前述した各種アドホックフレームに共通するフィールドの他に、増減ポート数フィールド、1つ以上の増減フラグフィールド、および増減フラグフィールドと同数の増減ポート接続先ノードIDフィールドを含む。
増減ポート数フィールドには、隣接する中継ノード装置10との間の障害発生または障害復旧により状態変化が生じた自ノード装置の送信ポートの数を示すデータが設定される。増減フラグフィールドには、障害発生により接続可能な送信ポートが減少したこと、または障害復旧により接続可能な送信ポートが増加したことを表すデータが設定される。増減フラグフィールドには、障害発生により接続不可能になった送信ポート、または障害復旧により接続可能になった送信ポートの番号を示すデータが設定される。増減ポート接続先ノードIDフィールドは、障害発生により送信ポートを介して接続できなくなった隣接中継ノード装置のID、または障害復旧により送信ポートを介して接続可能になった隣接中継ノード装置のIDが設定される。
実施形態に従った有線アドホックネットワークシステムにおける電力供給制御方法の一例を以下に説明する。なお、図面を参照しながら以下で説明する処理は、必ずしも時系列的に処理されなくてもよく、並列的にもしくは個別に実行されてもよい処理が含まれる。また、図面を参照しながら以下で説明する処理以外の処理を付加できないことを意味しない。
実施形態に従った電力供給制御処理には、電源投入処理、電力供給ライン切り替え処理、障害検出処理、復旧検出処理、ルーティング変更処理、および中継ノード装置増設処理が含まれる。
<電源投入処理>
実施形態の電力供給制御処理の一側面として、まず、実施形態に従った電源投入処理を図1および図5〜図8を参照しながら説明する。
図5Aおよび図5Bは、中継ノード装置10−1への電源投入処理開始から中継ノード装置10−5への電源投入処理開始までの処理シーケンスの例図である。図6は、中継ノード装置10−1への電源投入処理時に送受信されるアドホックフレームの説明図である。図7Aおよび図7Bは、中継ノード装置10−2および10−5への電源投入処理時に送受信されるアドホックフレームの説明図である。図8Aおよび図8Bは、中継ノード装置10−6および10−9への電源投入処理時に送受信されるアドホックフレームの説明図である。なお、図6〜図8では、説明を明確にするために、図4に示したアドホックフレーム中の一部のフィールドの図示を省略している。
まず、給電装置30から電力供給を受けて起動しているゲートウェイ装置20は、中継ノード装置10−1への電源投入処理を開始する。
すなわち、ゲートウェイ装置20の電力供給制御部237は、タイマ238を起動(p502)と共に、ポートP2を介して中継ノード装置10−1(ノード1)への電力供給を開始する(p501)。仮に、タイマ238起動後所定時間経過しても中継ノード装置10−1からの起動通知フレームを受信しない場合には、電力供給制御部237は、ポートP2を介した中継ノード装置10−1への電力供給を止め、他の中継ノード装置10への電力投入処理を実施し得る。
中継ノード装置10−1は、ゲートウェイ装置20からの電力供給をポートP1を介して受けて起動する(p503)。中継ノード装置10−1のルーティング制御部135は、起動通知フレームを生成し(p504)、送信フレーム制御部132は、生成された起動通知フレームをすべてのポートP1〜P3から送信するよう制御する(p505)。生成および送信される起動通知フレームの一例を図6(a)に示す。
図6(a)に示す起動通知フレームにおいて、ネットワークIDフィールド内に設定された「000000000000」は、IDが付与されていないことを示す。また、宛先ノードIDフィールド内に設定された「000000000000」は、ブロードキャストアドレスであることを示す。送り元ノードIDフィールドには、起動通知フレームの送信元である中継ノード装置10−1のIDが設定される。KINDフィールドには、起動通知フレームであることを示すデータが設定される。HOP数フィールドには、隣接装置へのホップ数である「1」が設定される。送受信ポート番号フィールドにおいて、先頭の一桁(最も左の1ビット)には、起動通知フレームを送信するポートP1〜P3の番号を示す「1」〜「3」がそれぞれ設定される。また、次の一桁には、その起動通知フレームを受信するポートが自ノード装置10−1に存在しないことを示す「0」が設定される。その他の桁には、送受信ポートが存在しないことを示す「0」が設定される。電源ラインフラグフィールドには、隣接する中継ノード装置10−2および中継ノード装置10−5への電力供給ラインが確立していないことを示す「0」が設定される。
中継ノード装置10−1が図6(a)に示した起動通知フレームを送信する際には、隣接する中継ノード装置10−2および中継ノード装置10−5は起動していない。このため、中継ノード装置10−1のポートP3から中継ノード装置10−2へ向けて送信される起動通知フレームは、破棄される。また、中継ノード装置10−1のポートP2から中継ノード装置10−5へ向けて送信される起動通知フレームは、破棄される。図6(a)において、ポートP2およびポートP3から送信される起動通知フレームに示された取り消し線は、これらのフレームが破棄されることを意味する。
ゲートウェイ装置20は、中継ノード装置10−1のポートP1から送信された起動通知フレーム(図6(a))を自装置20のポートP2を介して受信する。ゲートウェイ装置20は、起動通知フレームの送信元ノードIDフィールドを参照することにより、自装置のポートP2からの電力供給によって中継ノード装置10−1が起動したと判定し得る。ゲートウェイ装置20は、受信した起動通知フレームの送受信ポート番号フィールドを参照することにより、中継ノード装置10−1がポートP1から起動通知フレームを送信したと判定し得る。ゲートウェイ装置20は、受信した起動通知フレームのHOP数フィールドを参照することにより、中継ノード装置10−1から自装置20までのホップ数が1であると判定し得る。
ゲートウェイ装置20のルーティング制御部235は、中継ノード装置10−1から受信した起動通知フレームを参照して、中継ノード装置10−1のIDおよびホップ数を、中継ノード装置10−1に対するルーティング管理テーブル236に格納する。また、ルーティング制御部235は、受信した起動通知フレームの送受信ポート番号フィールドを参照して中継ノード装置10−1へのネットワークIDを作成する。そして、ルーティング制御部235は、作成されたネットワークIDをルーティング管理テーブル236に格納すると共に、作成されたネットワークIDにより示される経路に電力供給ラインが確立したことを示す電源ラインフラグを設定する(p506)。
ルーティング制御部235は、起動通知応答フレームを生成する(p507)。そして、送信フレーム制御部232は、生成された起動通知応答フレームをポートP2を介して中継ノード装置10−1に送信するよう制御する(p508)。生成および送信される起動通知フレームの一例を図6(b)に示す。
図6(b)に示すように、起動通知応答フレームのネットワークIDフィールドには、ネットワークIDとして「0FFFFFFFFFFF」が設定される。ネットワークID「0FFFFFFFFFFF」中の先頭の一桁(一番左の1ビット)の「0」は、起動通知応答フレームを受信した中継ノード装置10−1の送信ポートが存在しないことを示す。すなわち、ネットワークIDが「0FFFFFFFFFFF」である場合は、フレームの次の転送先の装置がそのフレームの宛先装置であることを示す。
図6(b)に示すように、宛先ノードIDフィールドには、起動通知応答フレームの宛先である中継ノード装置10−1のIDが設定される。送り元ノードIDフィールドには、起動通知応答フレームの送信元であるゲートウェイ装置20のIDが設定される。KINDフィールドには、起動通知フレームを示すデータが設定される。HOP数フィールドには、ゲートウェイ装置20から中継ノード装置10−1までのホップ数である「1」が設定される。
図6(b)に示すように、起動通知応答フレームのGWネットワークIDフィールドには、GWネットワークIDとして「1FFFFFFFFFFF」が設定される。GWネットワークID「1FFFFFFFFFFF」中の先頭一桁の「1」は、ゲートウェイ装置20にフレームを送信する際の中継ノード装置10−1の送信ポートP1の番号を示す。
中継ノード装置10−1は、図6(b)に示した起動通知応答フレームをポートP1を介して受信する。中継ノード装置10−1は、受信した起動通知応答フレームのHOP数フィールドを参照して、自ノード装置からゲートウェイ装置20までのホップ数が1であると判定し得る。また、中継ノード装置10−1は、受信した起動通知応答フレームのGWネットワークIDフィールドを参照して、自ノード装置からゲートウェイ装置20へのGWネットワークIDが「1FFFFFFFFFF」であると判定し得る。すなわち、中継ノード装置10−1は、ゲートウェイ装置20へフレームを送信する際の自ノード装置の送信ポートがポートP1であると判定し得る。
中継ノード装置10−1のルーティング制御部135は、ゲートウェイ装置20から受信した起動通知応答フレームを参照して、GWネットワークIDおよびホップ数をGWルーティング管理テーブル136に格納する(p509)。
以上のような中継ノード装置10−1への電源投入処理によって経路40−1が電力供給ラインとして確立する。経路40−1が電力供給ラインとして確立すると、ゲートウェイ装置20は、中継ノード装置10−1に隣接する中継ノード装置10−2(ノード2)および中継ノード装置10−5(ノード5)への電源投入処理に移行する。
まず、ゲートウェイ装置20のルーティング制御部235は、中継ノード装置10−1に対する電源投入指示フレームを生成する(p510)。送信フレーム制御部232は、生成された電源投入指示フレームをポートP2から送信するよう制御する(p511)。電源投入指示フレームの一例を図7Aの(a)に示す。
図7Aの(a)に示す電源投入指示フレームにおいて、ネットワークIDフィールドに設定された「FFFFFFFFFFFF」は、ネットワークIDの初期値が設定されていることを示す。宛先ノードIDフィールドには、電源投入指示フレームの宛先である中継ノード装置10−1のIDが設定される。送り元ノードIDフィールドには、電源投入指示フレームの送信元であるゲートウェイ装置20のIDが設定される。KINDフィールドには、電源投入指示フレームを示すデータが設定される。HOP数フィールドには、ゲートウェイ装置20から中継ノード装置10−1までのホップ数である「1」が設定される。電源投入ポート番号フィールドには、電力供給を受けているポート以外の全てのポートを指す電源投入規定値が設定される。
中継ノード装置10−1は、ゲートウェイ装置20から送信された電源投入指示フレームをポートP1を介して受信する。中継ノード装置10−1の電力供給制御部137は、電力供給を受けているポートP1を除いて、電力供給を行なっていない自ノード装置のポートを検索する(p512)。
中継ノード装置10−1は、検索された電力供給を行なっていないすべてのポートを介して、隣接の中継ノード装置への電力供給を開始する。中継ノード装置10は、隣接する複数の中継ノード装置10に同時に電力供給を開始してもよい。しかしながら、電力供給を開始する中継ノード装置10への突入電流を抑えるために、隣接する中継ノード装置10への電力供給を順次開始してもよい。以下では、中継ノード装置10が隣接する中継ノード装置10にポート番号の降順に電力供給を順次開始する例を説明する。
中継ノード装置10−1の電力供給制御部137は、タイマ138を起動すると共に(p514)、ポート電源スイッチS2をオン状態に制御して、ポートP2を介して中継ノード装置10−5への電力供給を開始する(p513)。仮に、タイマ138起動後所定時間経過しても中継ノード装置10−5からの起動通知フレームを受信しない場合には、電力供給制御部137は、中継ノード装置10−5への電力供給を止め、他の中継ノード装置10への電源投入処理を実施し得る。
中継ノード装置10−5は、自ノード装置のポートP1を介して中継ノード装置10−1からの電力供給を受けて起動する(p515)。中継ノード装置10−5のルーティング制御部135は、起動通知フレームを生成する(p516)。送信フレーム制御部132は、生成された起動通知フレームをすべてのポートP1〜P3から送信するよう制御する(p517)。生成および送信される起動通知フレームの一例を図7Aの(b)に示す。
図7Aの(b)に示す起動通知フレームにおいて、ネットワークIDフィールドおよび宛先ノードIDフィールドには、「000000000000」が設定される。送り元ノードIDフィールドには、中継ノード装置10−5のIDが設定される。KINDフィールドには、起動通知フレームであることを示すデータが設定される。HOP数フィールドには、隣接装置へのホップ数である「1」が設定される。送受信ポート番号フィールドの先頭の一桁には、起動通知フレームを送信するポートP1〜P3の番号を示す「1」〜「3」がそれぞれ設定される。また、次の一桁には、受信ポートが存在しないことを示す「0」がそれぞれ設定される。その他の桁には、送受信ポートが存在しないことを示す「0」がそれぞれ設定される。電源ラインフラグフィールドには、隣接する中継ノード装置10−6および中継ノード装置10−9への電力供給ラインが確立していないことを示す「0」が設定される。
中継ノード装置10−5が起動通知フレーム(図7Aの(b))を送信する際に、隣接する中継ノード装置10−5および中継ノード装置10−9は、起動していない。このため、中継ノード装置10−5のポートP2から中継ノード装置10−9へ向けて送信される起動通知フレームは、破棄される。また、中継ノード装置10−5のポートP3から中継ノード装置10−6へ向けて送信される起動通知フレームは、破棄される。図7Aの(b)において、ポートP2およびポートP3から送信される起動通知フレームに示された取り消し線は、これらのフレームが破棄されることを意味する。
中継ノード装置10−1は、中継ノード装置10−5のポートP1から送信された起動通知フレームを自ノード装置のポートP2を介して受信する。中継ノード装置10−1は、起動通知フレームの送り元ノードIDフィールドを参照することにより、起動通知フレームが中継ノード装置10−5から送信されたと判定し、自ノード装置のポートP2からの電力供給により中継ノード装置10−5が起動したと判定し得る。また、中継ノード装置10−1は、起動通知フレームの送受信ポート番号フィールドを参照することにより、起動通知フレームを送信した中継ノード装置10−5の送信ポートがポートP1であると判定し得る。
中継ノード装置10−1のルーティング制御部135は、中継ノード装置10−5から受信した起動通知フレームが示すホップ数を1つインクリメントし(p518)、自ノード装置の送受信ポート番号を示すデータを起動通知フレーム内に追加する(p519)。また、ルーティング制御部135は、自ノード装置のポートを介した電力供給によって隣接中継ノード装置が起動したことを示す「1」を電源ラインフラグに設定する(p520)。そして、中継ノード装置10−1は、電源投入指示フレームの送信元であるゲートウェイ装置20へ起動通知フレームを転送する(p521)。図7Aの(c)は、中継ノード装置10−1により転送される起動通知フレームの一例である。
図7Aの(c)に示すように、中継ノード装置10−1のルーティング制御部135は、受信した起動通知フレーム(図7Aの(b))のHOP数フィールドのホップ数を1つインクリメントして、「2」を設定する。また、ルーティング制御部135は、送受信ポート番号フィールド内に既に書き込まれている送信ポート番号および受信ポート番号を二桁後ろへ(右へ)それぞれシフトする。そして、ルーティング制御部135は、中継ノード装置10−1の送信ポート番号「1」を先頭の桁に設定し、受信ポート番号「2」を次の桁に設定する。ルーティング制御部135は、起動通知フレームの電源ラインフラグフィールドに、電源投入処理を実行したポートP2から起動通知フレームを受信したこと、すなわち、隣接する中継ノード装置10−5が起動したことを示す「1」を設定する。
ゲートウェイ装置20は、中継ノード装置10−1から送信された起動通知フレーム(図7Aの(c))をポートP2を介して受信する。ゲートウェイ装置20は、受信した起動通知フレームの送信元ノードIDフィールドおよび電源ラインフラグを参照することにより、起動通知フレームにより示される経路を通じた電力供給によって中継ノード装置10−5が起動したと判定し得る。ゲートウェイ装置20は、送受信ポート番号フィールドを参照することにより、起動通知フレームが中継ノード装置10−5から送信されて自装置20に受信されるまで間の装置の送受信ポートを認識し得る。ゲートウェイ装置20は、HOP数フィールドを参照することにより、ゲートウェイ装置20から中継ノード装置10−5までのホップ数を認識し得る。
ゲートウェイ装置20のルーティング制御部235は、中継ノード装置10−1から受信した起動通知フレームを参照して、中継ノード装置10−5のIDおよびホップ数を、中継ノード装置10−5に対するルーティング管理テーブル236に格納する。また、ルーティング制御部235は、受信した起動通知フレームの送受信ポート番号フィールドを参照して、中継ノード装置10−5へのネットワークIDを作成する。そして、ルーティング制御部235は、作成されたネットワークIDをルーティング管理テーブル236に格納すると共に、作成されたネットワークIDにより示される経路に電力供給ラインが確立したことを示す電源ラインフラグを設定する(p522)。
ゲートウェイ装置20のルーティング制御部235は、中継ノード装置10−5を宛先とする起動通知応答フレームを生成する(p523)。そして、送信フレーム制御部232は、生成された起動通知応答フレームをポートP2を介して中継ノード装置10−1に送信するよう制御する(p524)。生成および送信される起動通知応答フレームの一例を図7Aの(d)に示す。
図7Aの(d)に示すように、ルーティング制御部235は、起動通知フレームの伝送ルートと同じルートを通過して起動通知応答フレームが宛先の中継ノード装置10に到達するように、起動通知応答フレームのネットワークIDフィールドを設定する。図7Aの(d)に示す起動通知応答フレームでは、ルーティング制御部235は、起動通知フレーム(図7Aの(c))の送受信ポート番号フィールド内に順番に設定された受信ポート番号「0」および「2」を検索する。検索されたこれらの受信ポート番号は、起動通知応答フレームが経由する装置の送信ポート番号に対応する。そこで、ルーティング制御部235は、起動通知応答フレームのネットワークIDフィールド内の先頭の桁から順番に、起動通知フレームに設定された順序とは逆の順序で、検索された受信ポート番号を起動通知応答フレームの送信ポート番号として挿入する。図7Aの(d)に示すネットワークID「20FFFFFFFFFF」中の「20」は、起動通知フレームの送受信ポート番号フィールド内に設定された順序とは逆の順序の受信ポート番号に対応する。
図7Aの(d)に示すように、ルーティング制御部235は、起動通知応答フレームの宛先ノードIDフィールドに、中継ノード装置10−5のIDを設定する。ルーティング制御部235は、ゲートウェイ装置20のIDを送り元ノードIDフィールドに設定する。ルーティング制御部235は、起動通知応答フレームを示すデータをKINDフィールドに設定する。ルーティング制御部235は、ゲートウェイ装置20から中継ノード装置10−5までのホップ数である「2」を起動通知応答フレームのHOP数フィールドに設定する。
ルーティング制御部235は、中継ノード装置10−5から送信された起動通知フレームの送受信ポート番号フィールドに設定された送信ポート番号を参照する。そして、ルーティング制御部235は、参照された送信ポート番号を用いて、中継ノード装置10−5からゲートウェイ装置20までの経路を示すGWネットワークIDを起動通知応答フレームのGWネットワークIDフィールドに設定する。図7Aの(d)に示す起動通知応答フレームの例では、ルーティング制御部235は、起動通知フレーム(図7Aの(c))の送受信ポート番号フィールドに順番に設定された送信ポート番号「1」および「1」を検索する。そして、ルーティング制御部235は、起動通知フレーム(図7Aの(c))の送受信ポート番号フィールドに設定された順序と同じ順序で、GWネットワークIDフィールド内の先頭桁から順番に、検索された送信ポート番号を挿入する。図7Aの(d)に示すGWネットワークIDフィールド「11FFFFFFFFFF」中の「11」は、起動通知フレームの送受信ポート番号フィールド内に設定された送信ポート番号に対応する。
中継ノード装置10−1は、ゲートウェイ装置20から起動通知応答フレームを受信する。
中継ノード装置10−1のルーティング制御部135は、受信した起動通知応答フレームのネットワークIDフィールドを参照する。ネットワークIDフィールドの先頭桁は、起動通知応答フレームの中継ノード装置10−1の送信ポート番号を示す。ルーティング制御部135は、起動通知応答フレームのネットワークIDフィールドの先頭桁のデータを削除し、次順位以降の桁のデータを一桁前に(左に)シフトする(p525)。図7Aの(e)は、ルーティング制御部135により生成された起動通知応答フレームの一例である。図7Aの(d)に示した起動通知応答フレームのネットワークIDフィールド内のデータと比較すると、図7Aの(e)に示した起動通知応答フレームのネットワークIDフィールド内のデータは一桁前にシフトしている。
送信フレーム制御部132は、中継ノード装置10−1が受信した際に起動通知応答フレームのネットワークIDフィールドの先頭桁に示されていた送信ポートP2から、ルーティング制御部135によりネットワークIDフィールドの設定が変更された起動通知応答フレームを送信するように制御する(p526)。
中継ノード装置10−5は、中継ノード装置10−1から送信された起動通知応答フレームをポートP1を介して受信する。
中継ノード装置10−5は、受信した起動通知応答フレームのHOP数フィールドを参照して、ゲートウェイ装置20から自ノード装置までのホップ数が2であると判定し得る。また、中継ノード装置10−5は、GWネットワークIDフィールドを参照して、自ノード装置からゲートウェイ装置20へのGWネットワークIDが「11FFFFFFFFF」であると判定し得る。
中継ノード装置10−5のルーティング制御部135は、受信した起動通知応答フレームを参照して、GWネットワークIDおよびホップ数をGWルーティング管理テーブル136に格納する(p527)。
以上のような中継ノード装置10−1のポートP2を介した中継ノード装置10−5への電源投入処理によって経路40−5が電力供給ラインとして新たに確立する。経路40−5が電力供給ラインとして確立すると、中継ノード装置10−1は、ポートP3を介した中継ノード装置10−2への電源投入処理に移行する。
中継ノード装置10−1の電力供給制御部137は、タイマ138を起動すると共に(p529)、ポート電源スイッチS3をオン状態に制御して、ポートP3を介して中継ノード装置10−2への電力供給を開始する(p528)。仮に、タイマ138起動後所定時間経過しても中継ノード装置10−2からの起動通知フレームを受信しない場合には、電力供給制御部137は、中継ノード装置10−2に対する電力供給を止め、他の中継ノード装置10への電源投入処理を実施し得る。
なお、図5Aおよび図5Bを参照しながら説明した前述の処理シーケンスを理解すれば、以下の処理シーケンスも同様に理解し得ることから、図5Aおよび図5Bには、以下の処理シーケンスを示さない。
中継ノード装置10−2は、自ノード装置のポートP3を介して中継ノード装置10−1からの電力供給を受けて起動する。中継ノード装置10−2のルーティング制御部135は、起動通知フレームを生成し、送信フレーム制御部132は、生成された起動通知フレームをすべてのポートP1〜P3から送信するように制御する。生成および送信される起動通知フレームの一例を図7Aの(f)に示す。
図7Aの(f)に示す起動通知フレームにおいて、ネットワークIDフィールドおよび宛先ノードIDフィールドには、「000000000000」が設定される。送り元ノードIDフィールドには、中継ノード装置10−2のIDが設定される。KINDフィールドには、起動通知フレームであることを示すデータが設定される。HOP数フィールドには、隣接装置へのホップ数である「1」が設定される。送受信ポート番号フィールドの先頭の一桁には、起動通知フレームを送信するポートP1〜P3の番号を示す「1」〜「3」がそれぞれ設定される。送受信ポート番号フィールドの次の一桁には、受信ポートがないことを示す「0」がそれぞれ設定される。その他の桁には、送受信ポートが存在しないことを示す「0」が設定される。電源ラインフラグフィールドには、隣接する中継ノード装置10−3および中継ノード装置10−6への電力供給ラインが確立していないことを示す「0」が設定される。
中継ノード装置10−2が起動通知フレーム(図7Aの(f))を送信する際には、隣接する中継ノード装置10−3および中継ノード装置10−6は起動していない。このため、中継ノード装置10−2のポートP1から中継ノード装置10−3へ向けて送信される起動通知フレームは、破棄される。また、中継ノード装置10−2のポートP2から中継ノード装置10−6へ向けて送信される起動通知フレームは、破棄される。図7Aの(f)において、ポートP1およびポートP2から送信される起動通知フレームに示された取り消し線は、これらのフレームが破棄されることを意味する。
中継ノード装置10−1は、中継ノード装置10−2のポートP3から送信された起動通知フレームをポートP3を介して受信する。中継ノード装置10−1は、起動通知フレームの送り元ノードIDフィールドを参照することにより、起動通知フレームが中継ノード装置10−2から送信されたと判定し得る。また、中継ノード装置10−1は、起動通知フレームの送受信ポート番号フィールドを参照することにより、起動通知フレームを送信した中継ノード装置10−2の送信ポートがポートP3であると判定し得る。
中継ノード装置10−1は、中継ノード装置10−2から受信した起動通知フレームに、自ノード装置の送受信ポート番号を示すデータを追加と共に、起動通知フレームが示すホップ数を1つインクリメントする。また、中継ノード装置10−1は、電源投入処理を実行したポートP3から起動通知フレームを受信したことを示す「1」を電源ラインフラグに設定する。そして、中継ノード装置10−1は、ゲートウェイ装置20へ起動通知フレームを転送する。図7Bの(g)は、中継ノード装置10−1により転送される起動通知フレームの一例である。
図7Bの(g)に示すように、中継ノード装置10−1のルーティング制御部135は、受信した起動通知フレーム(図7Aの(f))のHOP数フィールドのホップ数を1つインクリメントして、「2」を設定する。また、ルーティング制御部135は、送受信ポート番号フィールド内に既に書き込まれている送受信ポート番号を二桁後ろへそれぞれシフトする。そして、ルーティング制御部135は、中継ノード装置10−1の送信ポート番号「1」を送受信ポート番号フィールド内の先頭の桁に設定し、受信ポート番号「3」を次の桁に設定する。ルーティング制御部135は、起動通知フレームの電源ラインフラグフィールドに、電源投入処理を実行したポートP3から起動通知フレームを受信したこと、すなわち、隣接する中継ノード装置10−2が起動したことを示す「1」を設定する。
ゲートウェイ装置20は、中継ノード装置10−1から送信された起動通知フレーム(図7Bの(g))をポートP2を介して受信する。ゲートウェイ装置20は、起動通知フレームの送信元ノードIDフィールドを参照することにより、中継ノード装置10−2が起動通知フレームにより示される経路による電力供給によって起動したと判定し得る。ゲートウェイ装置20は、受信した起動通知フレームの送受信ポート番号フィールドを参照することにより、起動通知フレームが中継ノード装置10−2から送信されて自装置20に受信されるまでの間の装置の送受信ポートを認識し得る。ゲートウェイ装置20は、受信した起動通知フレームのHOP数フィールドを参照することにより、ゲートウェイ装置20から中継ノード装置10−2までのホップ数を認識し得る。
ゲートウェイ装置20のルーティング制御部235は、中継ノード装置10−1から受信した起動通知フレームを参照して、中継ノード装置10−2のIDおよびホップ数を、中継ノード装置10−2に対するルーティング管理テーブル236に格納する。また、ルーティング制御部235は、中継ノード装置10−2へのネットワークIDを作成し、作成されたネットワークIDをルーティング管理テーブル236に格納すると共に、作成されたネットワークIDにより示される経路に電力供給ラインが確立したことを示す電源ラインフラグを設定する。
ルーティング制御部235は、中継ノード装置10−2を宛先とする起動通知応答フレームを生成する。そして、送信フレーム制御部232は、生成された起動通知応答フレームをポートP2を介して中継ノード装置10−1に送信する。生成および送信される起動通知フレームの一例を図7Bの(h)に示す。
ルーティング制御部235は、起動通知フレームの伝送ルートと同じルートを通過して起動通知応答フレームが宛先の中継ノード装置10に到達するように、起動通知応答フレームのネットワークIDフィールドを設定する。図7Bの(h)に示す起動通知応答フレームの例では、ルーティング制御部235は、起動通知フレーム(図7Bの(g))の送受信ポート番号フィールド内に順番に設定された受信ポート番号「0」および「3」を検索する。ルーティング制御部235は、起動通知応答フレームのネットワークIDフィールド内の先頭桁から順番に、起動通知フレームに設定された順序とは逆の順序で、検索された受信ポート番号を起動通知応答フレームの送信ポート番号として挿入する。図7Bの(h)に示すネットワークIDフィールド「30FFFFFFFFFF」中の「30」は、起動通知フレームの送受信ポート番号フィールド内に設定された順序とは逆の順序の受信ポート番号に対応する。
図7Bの(h)に示すように、ルーティング制御部235は、起動通知応答フレームの宛先ノードIDフィールドに、中継ノード装置10−2のIDを設定する。ルーティング制御部235は、ゲートウェイ装置20のIDを送り元ノードIDフィールドに設定する。ルーティング制御部235は、起動通知応答フレームを示すデータをKINDフィールドに設定する。ルーティング制御部235は、ゲートウェイ装置20から中継ノード装置10−2までのホップ数である「2」を起動通知応答フレームのHOP数フィールドに設定する。
ルーティング制御部235は、中継ノード装置10−2から送信された起動通知フレームの送受信ポート番号フィールドに設定された送信ポート番号を参照する。そして、ルーティング制御部235は、中継ノード装置10−2からゲートウェイ装置20までの経路を示すGWネットワークIDを起動通知応答フレームのGWネットワークIDフィールドに設定する。図7Bの(h)に示す起動通知応答フレームの例では、ルーティング制御部235は、起動通知フレーム(図7Bの(g))の送受信ポート番号フィールドに順番に設定された送信ポート番号「3」および「1」を検索する。そして、ルーティング制御部235は、起動通知フレーム(図7Bの(g))の送受信ポート番号フィールドに設定された順序と同じ順序で、GWネットワークIDフィールド内の先頭桁から順番に送信ポート番号を挿入する。図7Bの(h)に示すGWネットワークIDフィールド「31FFFFFFFFFF」中の「31」は、起動通知フレームの送受信ポート番号フィールド内に設定された送信ポート番号に対応する。
中継ノード装置10−1は、ゲートウェイ装置20から起動通知応答フレームを受信する。中継ノード装置10−1のルーティング制御部135は、起動通知応答フレームのネットワークIDフィールドの先頭桁のデータを削除し、次順位以降の桁のデータを一桁前にシフトする。図7Bの(i)は、ルーティング制御部135により生成された起動通知応答フレームの一例である。図7Bの(h)に示した起動通知応答フレームのネットワークIDフィールド内のデータと比較すると、図7Bの(i)に示した起動通知応答フレームのネットワークIDフィールド内のデータは一桁前にシフトしている。送信フレーム制御部132は、中継ノード装置10−1が受信した際に起動通知応答フレームのネットワークIDフィールドの先頭桁に示されていた送信ポートP3から起動通知応答フレームを送信するように制御する。
中継ノード装置10−2は、中継ノード装置10−1から送信された起動通知応答フレームをポートP3を介して受信する。
中継ノード装置10−2は、受信した起動通知応答フレームのHOP数フィールドを参照して、ゲートウェイ装置20から自ノード装置までのホップ数が2であると判定し得る。また、中継ノード装置10−2は、GWネットワークIDフィールドを参照して、自ノード装置からゲートウェイ装置20へのGWネットワークIDが「31FFFFFFFFF」であると判定し得る。
中継ノード装置10−2のルーティング制御部135は、受信した起動通知応答フレームを参照して、GWネットワークIDおよびホップ数をGWルーティング管理テーブル136内に格納する。
以上のような中継ノード装置10−1のポートP3を介した電源投入処理によって経路40−2が電力供給ラインとして新たに確立する。経路40−2が電力供給ラインとして確立すると、ゲートウェイ装置20は、中継ノード装置10−5に隣接する中継ノード装置10−6および中継ノード装置10−9への電源投入処理に移行する。または、ゲートウェイ装置20は、中継ノード装置10−2に隣接する中継ノード装置10−3および中継ノード装置10−6への電源投入処理に移行する。
以下では、中継ノード装置10−1の電源投入処理により先に起動した中継ノード装置10−5に隣接する中継ノード装置10−6および中継ノード装置10−9への電源投入処理を一例として説明する。
まず、ゲートウェイ装置20のルーティング制御部235は、中継ノード装置10−5に対する電源投入指示フレームを生成し、送信フレーム制御部232は、生成された電源投入指示フレームを送信するよう制御する。電源投入指示フレームの一例を図8Aの(a)に示す。
図8Aの(a)に示す電源投入指示フレームにおいて、ネットワークIDフィールドに設定された「20FFFFFFFFFF」中の「20」は、電源投入指示フレームを送信する中継ノード装置10の送信ポート番号を示す。すなわち、図8Aの(a)の例では、中継ノード装置10−1のポートP2を介して中継ノード装置10−5に転送されることを示す。宛先ノードIDフィールドには、中継ノード装置10−5のIDが設定される。送り元ノードIDフィールドには、ゲートウェイ装置20のIDが設定される。KINDフィールドには、電源投入指示フレームを示すデータが設定される。HOP数フィールドには、ゲートウェイ装置20から中継ノード装置10−5までのホップ数である「2」が設定される。電源投入ポート番号フィールドには、電力供給を受けているポート以外の全てのポートを指す電源投入規定値が設定される。
中継ノード装置10−5は、ゲートウェイ装置20から送信された電源投入指示フレームをポートP1を介して受信する。中継ノード装置10−5は、電力供給を受けているポートP1を除くポートを介して隣接の中継ノード装置への電力供給を開始する。以下では、中継ノード装置10−5がポートP2を介した電源投入処理をまず開始し、続いてポートP3を介した電源投入処理を開始する例を説明する。
中継ノード装置10−5の電力供給制御部137は、タイマ138を起動すると共に、ポート電源スイッチS2をオン状態に制御して、ポートP2を介して中継ノード装置10−9への電力供給を開始する。仮に、タイマ138起動後所定時間経過しても中継ノード装置10−9からの起動通知フレームを受信しない場合には、電力供給制御部137は、中継ノード装置10−9に対する電力供給を止め、他の中継ノード装置10への電源投入処理を実施し得る。
中継ノード装置10−9は、自ノード装置のポートP1を介して中継ノード装置10−5からの電力供給を受けて起動する。中継ノード装置10−9のルーティング制御部135は、起動通知フレームを生成し、送信フレーム制御部132は、生成された起動通知フレームをすべてのポートP1〜P3から送信するよう制御する。
中継ノード装置10−9が起動通知フレームを送信する際には、隣接する中継ノード装置10−13は起動していない。また、中継ノード装置10−9のポートP3には何も接続されていない。このため、中継ノード装置10−5のポートP2およびポートP3からそれぞれ送信される起動通知フレームは、破棄される。ポートP1から送信される起動通知フレームの一例を図8Aの(b)に示す。
図8Aの(b)に示す起動通知フレームにおいて、ネットワークIDフィールドおよび宛先ノードIDフィールドには、「000000000000」が設定される。送り元ノードIDフィールドには、中継ノード装置10−9のIDが設定される。KINDフィールドには、起動通知フレームであることを示すデータが設定される。HOP数フィールドには、隣接装置へのホップ数である「1」が設定される。送受信ポート番号フィールド内の先頭の一桁には、起動通知フレームを送信するポートP1の番号である「1」が設定される。また、先頭の送受信ポート番号フィールド内の次の一桁には、受信ポートが存在しないことを示す「0」が設定される。その他の桁には、送受信ポートが存在しないことを示す「0」が設定される。電源ラインフラグフィールドには、隣接する中継ノード装置10−13への電力供給ラインが確立していないことから「0」が設定される。
中継ノード装置10−5は、中継ノード装置10−9のポートP1から送信された起動通知フレームをポートP2を介して受信する。中継ノード装置10−5は、中継ノード装置10−9から受信した起動通知フレーム内に、自ノード装置の送受信ポート番号を示すデータを追加すると共に、ホップ数を1つインクリメントする。また、中継ノード装置10−5は、起動通知フレームの電源ラインフラグフィールドに、電源投入処理を実行したポートP2から起動通知フレームを受信したこと、すなわち、隣接する中継ノード装置10−9が起動したことを示す「1」を設定する。そして、中継ノード装置10−5は、中継ノード装置10−1へ起動通知フレームを転送する。図8Aの(c)は、中継ノード装置10−5により転送される起動通知フレームの一例である。
中継ノード装置10−1は、中継ノード装置10−5から送信された起動通知フレームをポートP2を介して受信する。中継ノード装置10−1は、中継ノード装置10−5から受信した起動通知フレーム内に、自ノード装置の送受信ポート番号を示すデータを追加すると共に、ホップ数を1つインクリメントする。そして、中継ノード装置10−1は、ゲートウェイ装置20へ起動通知フレームを転送する。図8Aの(d)は、中継ノード装置10−1により転送される起動通知フレームの一例である。
ゲートウェイ装置20は、中継ノード装置10−1から送信された起動通知フレームをポートP2を介して受信する。ゲートウェイ装置20は、起動通知フレームの送信元ノードIDフィールドおよび電源ラインフラグフィールドを参照することにより、中継ノード装置10−9が起動通知フレームにより示される経路での電力供給によって起動したと判定し得る。ゲートウェイ装置20は、受信した起動通知フレームの送受信ポート番号フィールドを参照することにより、起動通知フレームが中継ノード装置10−5から送信されて自装置20に受信されるまでの中継ノード装置10の送受信ポートを認識し得る。ゲートウェイ装置20は、受信した起動通知フレームのHOP数フィールドを参照することにより、ゲートウェイ装置20から中継ノード装置10−9までのホップ数を認識し得る。
ゲートウェイ装置20のルーティング制御部235は、中継ノード装置10−1から受信した起動通知フレームを参照して、中継ノード装置10−9のIDおよびホップ数を、中継ノード装置10−9に対するルーティング管理テーブル236に格納する。また、ルーティング制御部235は、中継ノード装置10−9へのネットワークIDを作成し、作成されたネットワークIDをルーティング管理テーブル236に格納すると共に、作成されたネットワークIDにより示される経路に電力供給ラインが確立したことを示す電源ラインフラグを設定する。
ルーティング制御部235は、中継ノード装置10−9を宛先とする起動通知応答フレームを生成する。そして、送信フレーム制御部232は、生成された起動通知応答フレームをポートP2を介して中継ノード装置10−1に送信するよう制御する。生成および送信される起動通知応答フレームの一例を図8Aの(e)に示す。
中継ノード装置10−1は、ゲートウェイ装置20から起動通知応答フレームを受信する。中継ノード装置10−1のルーティング制御部135は、起動通知応答フレームのネットワークIDフィールドの先頭桁のデータを削除し、次順位以降の桁のデータを一桁前にシフトする。図8Aの(f)は、ルーティング制御部135により生成された起動通知応答フレームの一例である。送信フレーム制御部132は、ネットワークIDフィールドの先頭桁に示されていた送信ポートP2から起動通知応答フレームを送信するように制御する。
中継ノード装置10−5は、中継ノード装置10−1のポートP2から送信された起動通知応答フレームをポートP1を介して受信する。中継ノード装置10−5のルーティング制御部135は、起動通知応答フレームのネットワークIDフィールドの先頭桁のデータを削除し、次順位以降の桁のデータを一桁前にシフトする。図8Aの(g)は、ルーティング制御部135により生成された起動通知応答フレームの一例である。送信フレーム制御部132は、ネットワークIDフィールドの先頭桁に示されていた送信ポートP2から起動通知応答フレームを送信するように制御する。
中継ノード装置10−9は、中継ノード装置10−5のポートP2から送信された起動通知応答フレームをポートP1を介して受信する。
中継ノード装置10−9は、受信した起動通知応答フレームのHOP数フィールドを参照して、ゲートウェイ装置20から自ノード装置までのホップ数が3であると判定し得る。また、中継ノード装置10−5は、GWネットワークIDフィールドを参照して、自ノード装置からゲートウェイ装置20へのGWネットワークIDが「111FFFFFFFF」であると判定し得る。
中継ノード装置10−9のルーティング制御部135は、受信した起動通知応答フレームを参照して、GWネットワークIDおよびホップ数をGWルーティング管理テーブル136内に格納する。
以上のような中継ノード装置10−5のポートP2を介した中継ノード装置10−9への電源投入処理によって経路40−11が電力供給ラインとして新たに確立する。経路40−11が電力供給ラインとして確立すると、中継ノード装置10−5は、ポートP3を介した中継ノード装置10−6への電源投入処理に移行する。
中継ノード装置10−5の電力供給制御部137は、タイマ138を起動すると共に、ポート電源スイッチS3をオン状態に制御して、ポートP3を介して中継ノード装置10−6へ電力供給を開始する。仮に、タイマ138起動後所定時間経過しても中継ノード装置10−6からの起動通知フレームを受信しない場合には、電力供給制御部137は、中継ノード装置10−6への電力供給を止め、他の中継ノード装置10への電源投入処理を実施し得る。
中継ノード装置10−6は、自ノード装置のポートP3を介して中継ノード装置10−5からの電力供給を受けて起動する。中継ノード装置10−6のルーティング制御部135は、起動通知フレームを生成し、送信フレーム制御部132は、生成された起動通知フレームをすべてのポートP1〜P3から送信するよう制御する。
中継ノード装置10−6が起動通知フレームを送信する際には、隣接する中継ノード装置10−10は起動していない。このため、中継ノード装置10−6のポートP1から送信される起動通知フレームは、破棄される。ポートP2およびポートP3から送信される起動通知フレームの一例を図8Aの(h)に示す。
中継ノード装置10−2は、中継ノード装置10−6のポートP2から送信された起動通知フレームをポートP2を介して受信する。中継ノード装置10−2は、中継ノード装置10−6から受信した起動通知フレーム内に、自ノード装置の送受信ポート番号を示すデータを追加すると共に、ホップ数を1つインクリメントする。そして、中継ノード装置10−2は、起動通知フレームをポートP3を介して中継ノード装置10−1へ転送する。図8Aの(i)は、中継ノード装置10−2により転送される起動通知フレームの一例である。
中継ノード装置10−1は、中継ノード装置10−2から送信された起動通知フレームをポートP3を介して受信する。中継ノード装置10−1は、中継ノード装置10−2から受信した起動通知フレーム内に、自ノード装置の送受信ポート番号を示すデータを追加すると共に、ホップ数を1つインクリメントする。そして、中継ノード装置10−1は、ゲートウェイ装置20へ起動通知フレームを転送する。図8Aの(j)は、中継ノード装置10−1により転送される起動通知フレームの一例である。
一方、中継ノード装置10−5は、中継ノード装置10−6のポートP3から送信された起動通知フレームをポートP3を介して受信する。中継ノード装置10−5は、中継ノード装置10−6から受信した起動通知フレーム内に、自ノード装置の送受信ポート番号を示すデータを追加すると共に、ホップ数を1つインクリメントする。また、中継ノード装置10−5は、起動通知フレームの電源ラインフラグフィールドに、電源投入処理を実行したポートP3から起動通知フレームを受信したこと、すなわち、隣接する中継ノード装置10−6が起動したことを示す「1」を設定する。そして、中継ノード装置10−5は、起動通知フレームをポートP1を介して中継ノード装置10−1へ転送する。図8Bの(k)は、中継ノード装置10−5により転送される起動通知フレームの一例である。
中継ノード装置10−1は、中継ノード装置10−5から送信された起動通知フレームをポートP2を介して受信する。中継ノード装置10−1は、中継ノード装置10−5から受信した起動通知フレーム内に、自ノード装置の送受信ポート番号を示すデータを追加すると共に、ホップ数を1つインクリメントする。そして、中継ノード装置10−1は、ゲートウェイ装置20へ起動通知フレームを転送する。図8Bの(l)は、中継ノード装置10−1により転送される起動通知フレームの一例である。
ゲートウェイ装置20は、中継ノード装置10−5のポートP2およびポートP3から送信された起動通知フレーム(図8Aの(j)および図8Bの(l))を中継ノード装置10−1からそれぞれ受信する。
まず、ゲートウェイ装置20は、受信した複数の起動通知フレームの内、電源ラインフラグフィールドの設定値が「1」である起動通知フレーム(図8Bの(l))に示される経路で電力供給ラインが確立し、中継ノード装置10−6が起動したと判定し得る。図8Bの(l)に示した起動通知フレームの例では、ゲートウェイ装置20は、経路40−1および経路40−5と共に、経路40−9が電力供給ラインとして新たに確立したと判定し得る。
そこで、ゲートウェイ装置20のルーティング制御部235は、電源ラインフラグフィールドの設定値が「1」である起動通知フレームの送受信ポート番号フィールドを参照する。そして、ルーティング制御部235は、中継ノード装置10−6を宛先とし、かつ電力供給ラインが確立されている経路で伝送される起動通知応答フレームを生成する。生成された起動通知応答フレームの一例を図8Bの(m)に示す。送信フレーム制御部は、生成された起動通知フレームをポートP2を介して送信するよう制御する。
中継ノード装置10−1は、ゲートウェイ装置20から起動通知応答フレームを受信する。中継ノード装置10−1のルーティング制御部135は、起動通知応答フレームのネットワークIDフィールドの先頭桁のデータを削除し、次順位以降の桁のデータを一桁前にシフトする。図8Bの(n)は、ルーティング制御部135により生成された起動通知応答フレームの一例である。送信フレーム制御部132は、ネットワークIDフィールドの先頭桁に示されていた送信ポートP2から起動通知応答フレームを送信するように制御する。
中継ノード装置10−5は、中継ノード装置10−1のポートP2から送信された起動通知応答フレームをポートP1を介して受信する。中継ノード装置10−5のルーティング制御部135は、起動通知応答フレームのネットワークIDフィールドの先頭桁のデータを削除し、次順位以降の桁のデータを一桁前にシフトする。図8Bの(o)は、ルーティング制御部135により生成された起動通知応答フレームの一例である。送信フレーム制御部132は、ネットワークIDフィールドの先頭桁に示されていた送信ポートP3から起動通知応答フレームを送信するように制御する。
中継ノード装置10−6は、中継ノード装置10−5のポートP3から送信された起動通知応答フレームをポートP3を介して受信する。
中継ノード装置10−6は、受信した起動通知応答フレームのHOP数フィールドを参照して、ゲートウェイ装置20から自ノード装置までのホップ数が3であると判定し得る。また、中継ノード装置10−6は、GWネットワークIDフィールドを参照して、自ノード装置からゲートウェイ装置20へのGWネットワークIDが「311FFFFFFFF」であると判定し得る。
中継ノード装置10−6のルーティング制御部135は、受信した起動通知応答フレームを参照して、GWネットワークIDおよびホップ数をGWルーティング管理テーブル136内に格納する。
一方、ゲートウェイ装置20は、受信した複数の起動通知フレームの内、電源ラインフラグフィールドの設定値が「0」である起動通知フレーム(図8Aの(j))により示される経路を中継ノード装置10−6を起動する迂回路であると判定する。
ゲートウェイ装置20のルーティング制御部235は、電源ラインフラグフィールドの設定値が「0」である起動通知フレームの送受信ポート番号フィールドを参照して、中継ノード装置10−6に対する迂回ルート通知フレームを生成する。生成された迂回ルート通知フレームの一例を図8Bの(p)に示す。送信フレーム制御部は、生成された迂回ルート通知フレームをポートP2を介して送信するよう制御する。
中継ノード装置10−1は、ゲートウェイ装置20から迂回ルート通知フレームを受信する。中継ノード装置10−1のルーティング制御部135は、迂回ルート通知フレームのネットワークIDフィールドの先頭桁のデータを削除し、次順位以降の桁のデータを一桁前にシフトする。図8Bの(q)は、ルーティング制御部135により生成された迂回ルート通知フレームの一例である。送信フレーム制御部132は、ネットワークIDフィールドの先頭桁に示されていた送信ポートP3から迂回ルート通知フレームを送信するように制御する。
中継ノード装置10−2は、中継ノード装置10−1のポートP3から送信された迂回ルート通知フレームをポートP3を介して受信する。中継ノード装置10−2のルーティング制御部135は、迂回ルート通知フレームのネットワークIDフィールドの先頭桁のデータを削除し、次順位以降の桁のデータを一桁前にシフトする。図8Bの(r)は、ルーティング制御部135により生成された迂回ルート通知フレームの一例である。送信フレーム制御部132は、ネットワークIDフィールドの先頭桁に示されていた送信ポートP2から迂回ルート通知フレームを送信するように制御する。
中継ノード装置10−6は、中継ノード装置10−2のポートP2から送信された迂回ルート通知フレームをポートP2を介して受信する。
中継ノード装置10−6は、受信した迂回ルート通知フレームのHOP数フィールドを参照して、ゲートウェイ装置20から自ノード装置までのホップ数が3であると判定し得る。また、中継ノード装置10−6は、GWネットワークIDフィールドを参照して、自ノード装置からゲートウェイ装置20への迂回路のGWネットワークIDが「231FFFFFFFF」であると判定し得る。
中継ノード装置10−6のルーティング制御部135は、受信した起動通知応答フレームを参照して、迂回ルートのGWネットワークIDおよびホップ数をGWルーティング管理テーブル136内に格納する。
図1に示した有線アドホックネットワークシステム1内の各中継ノード装置10への電源投入処理は、上述した電源投入処理が以後同様に継続することにより実施され、有線アドホックネットワークシステム1内のすべての電力供給ラインが確立する。
図9は、有線アドホックネットワークシステム内に確立した電力供給ラインの一例を示す図である。
図9において、各中継ノード装置10に付された丸数字は、ゲートウェイ装置20からのホップ数を表す。各中継ノード装置10に付された丸数字の枝番号は、ホップ数が同じ中継ノード装置10の内、起動される中継ノード装置10の順番を表す。例えば、ホップ数が同じ2である中継ノード装置10−2および中継ノード装置10−5の内、中継ノード装置10−5がまず起動し、続いて、中継ノード装置10−2が起動することを意味する。
図9において、矢印で示された経路40は、電力供給ラインとして確立した経路を表し、その矢印の方向は、電力が供給される方向を表す。棒線で示されたその他の経路40は、迂回路として設定された経路を表す。
図5〜図8を参照しながら前述した電源投入処理中における中継ノード装置10の処理フローの一例を図10に示す。
図10Aおよび図10Bは、実施形態に従った中継ノード装置の電源投入処理フローの例図である。
図10Aおよび図10Bには、実施形態に従った電源投入処理中に中継ノード装置10が他の装置からフレームを受信した場合の処理フローの一例が示されている。
ステップs1001において、中継ノード装置10は、有線アドホックネットワークシステム内の他の装置から送信されたフレームをポートP1〜P3の何れか1つを介して受信する。
ステップs1002において、中継ノード装置10の受信フレーム制御部131は、受信したフレーム内の宛先ノードIDを参照し(s1002)、受信したフレームの宛先が自ノード装置であるか否かを判定する(s1003)。
受信したフレームの宛先が自ノード装置ではない場合(ステップs1003で”NO”)、中継ノード装置10は、ステップs1004以降に進み、受信したフレームを他の装置に中継する処理を行う。実施形態の電源投入処理において、中継ノード装置10が中継処理するフレームとしては、隣接装置からの電力供給を受けて起動した中継ノード装置10により送信された起動通知フレームが挙げられる。
ステップs1004において、ルーティング制御部135は、受信したフレームの宛先ノードIDを参照する。そして、ルーティング制御部135は、受信したフレームが他の中継ノード装置10からゲートウェイ装置20への上りフレームであるか、ゲートウェイ装置20から他の中継ノード装置への下りフレームであるかを判定する。
受信したフレームが上りフレームである場合(ステップs1004で”YES”)、ルーティング制御部135は、GWルーティング管理テーブル136を参照して、ゲートウェイ装置20へ向けての自ノード装置の送信ポートを検索する(s1005)。また、ルーティング制御部135は、受信したフレームの送受信ポート番号フィールドに自ノード装置の送受信ポート番号を追加し(s1006)、HOP数フィールドのホップ数を1つインクリメントする(s1007)。そして、ステップs1008において、ルーティング制御部135は、受信したフレームの送り元ノードIDが電源投入指示フレームによる電源投入処理中の中継ノード装置10のIDであるか否かを判定する。電源投入指示フレームによる電源投入処理中の中継ノード装置10である場合(ステップs1008で”YES”)、ルーティング制御部は、受信したフレームの電源ラインフラグを「1」に設定する。
一方、受信したフレームが下りフレームである場合(ステップs1004で”NO”)、そのフレームは、そのフレームを受信した中継ノード装置10による中継処理が以前に行われたフレームであると言える。そこで、ルーティング制御部135は、受信したフレームの送受信ポート番号フィールドを参照して(s1011)、自ノード装置10の送受信ポート番号を削除し(s1012)、HOP数フィールドのホップ数を1つインクリメントする(s1013)。
ステップs1010において、送信フレーム制御部132は、ステップs1008、s1009、およびs1013において処理されたフレームを宛先の装置に向けて送信ポートから送信するよう制御する。そして、中継ノード装置10は、他の装置から送信されたフレームを受信する処理に戻る(s1029)。
一方、受信したフレームの宛先が自ノード装置である場合(ステップs1003で”YES”)、中継ノード装置10は、ステップs1014以降の処理に進む。
ステップs1014において、ルーティング制御部135は、受信したフレームのKINDフィールド参照し、受信したフレームが起動通知応答フレームおよび電源投入指示フレームの何れであるかを判定する。
受信したフレームが起動通知応答フレームである場合、ステップs1015において、ルーティング制御部135は、受信したフレームの送り元IDフィールドを参照し、受信したフレームの送り元ノードIDがゲートウェイ装置20のIDであるか否かを判定する。そして、受信したフレームの送り元ノードIDがゲートウェイ装置20のIDである場合(ステップs1015で”YES”)には、ルーティング制御部135は、受信したフレームにより示されるGWルーティングIDおよびホップ数をGWルーティング管理テーブル136に格納する(s1016)。また、受信したフレームの送り元ノードIDがゲートウェイ装置20のIDでない場合(ステップs1015で”NO”)には、ルーティング制御部135は、受信したフレームを破棄する(s1017)。そして、中継ノード装置は、他の装置から送信されたフレームを受信する処理に戻る(s1029)。
一方、受信したフレームが電源投入指示フレームである場合、中継ノード装置10は、ステップs1018の処理に進む。
ステップs1018において、ルーティング制御部135は、受信したフレームの送り元IDフィールドを参照し、受信したフレームの送り元ノードIDがゲートウェイ装置20のIDであるか否かを判定する。
受信したフレームの送り元ノードIDがゲートウェイ装置20のIDである場合(ステップs1018で”YES”)、ステップs1019〜ステップs1027において、電力供給制御部137は、自ノード装置内のポートを介して隣接の中継ノード装置10への電源投入処理を実行する。
例えば、中継ノード装置10が備えるポートの数が3つであり、隣接の中継ノード装置10への電源投入処理がポート番号が小さいポートから順次行われる場合、電力供給制御部137は、ポート番号が1のポートP1を介した隣接の中継ノード装置への電源投入処理を実行済みであるか否かを判定する(s1019)。
ポートP1による電源投入処理が未実行である場合(ステップs1019で”NO”)、電力供給制御部137は、スイッチS1をオン状態にしてポートP1を介した電力供給を開始する(s1020)。また、電力供給制御部137は、監視タイマ138を起動して、ポートP1から起動通知フレームを受信するまでの時間を監視する(s1021)。
一方、ポートP1を介した電源投入処理が実行済みである場合(ステップs1019で”YES”)、電力供給制御部137は、ポート番号が2のポートP2を介した隣接の中継ノード装置への電源投入処理を実行済みであるか否かを判定する(s1022)。
ポートP2を介した電源投入処理が未実行である場合(ステップs1022で”NO”)、電力供給制御部137は、スイッチS2をオン状態にしてポートP2を介した電力供給を開始する(s1023)。また、電力供給制御部137は、監視タイマ138を起動して、ポートP2から起動通知フレームを受信するまでの時間を監視する(s1024)。
一方、ポートP2を介した電源投入処理が実行済みである場合(ステップs1022で”YES”)、電力供給制御部137は、ポート番号が3のポートP3を介した隣接の中継ノード装置への電源投入処理を実行済みであるか否かを判定する(s1025)。
ポートP3を介した電源投入処理が未実行である場合(ステップs1025で”NO”)、電力供給制御部137は、スイッチS3をオン状態にしてポートP3を介した電力供給を開始する(s1026)。また、電力供給制御部137は、監視タイマ138を起動して、ポートP3から起動通知フレームを受信するまでの時間を監視する(s1027)。
一方、ポートP3を介した電源投入処理が実行済みである場合(ステップs1025で”YES”)、中継ノード装置は、他の装置から送信されたフレームを受信する処理に戻る(s1029)。
なお、ステップs1018において、受信したフレームの送り元ノードIDがゲートウェイ装置20のIDではない場合(ステップs1018で”NO”)、中継ノード装置は、受信したパケットを破棄し(s1028)、他の装置から送信されたフレームを受信する処理に戻る(s1029)。
図5〜図10を参照しながら前述したような電源投入処理により、ゲートウェイ装置20の各ノードルーティング管理テーブル236には、ゲートウェイ装置20と各ノード装置10との間で電力供給ラインとして確立した経路および迂回経路に関するデータが格納される。
また、各中継ノード装置10のGWルーティング管理テーブル136には、自ノード装置10とゲートウェイ装置20との間で電力供給ラインとして確立した経路および迂回経路に関するデータが格納される。
そこで、ゲートウェイ装置20は、各ノードルーティング管理テーブル236を用いて、各中継ノード装置10への電力供給ラインを管理することができる。
また、ゲートウェイ装置20は、各ノードルーティング管理テーブル236を用いて、自装置20から各中継ノード装置10へ送信するフレームのルーティングを管理することができる。各中継ノード装置10は、GWルーティング管理テーブル136を用いて、自ノード装置10からゲートウェイ装置20へ送信するフレームのルーティングを管理することができる。
実施形態の電源投入処理により設定されるネットワークIDおよびGWネットワークIDの一例を図11〜図14を参照しながら説明する。
図11は、起動通知フレームおよび起動通知応答フレームの伝送ルートの一例を説明する図である。図11の各中継ノード装置10内に記載された数字1〜3は、ポートP1〜P3のそれぞれの番号を指す。
例えば、中継ノード装置10−20からゲートウェイ装置20に図11中の丸数字1〜8の経路で起動通知フレームが送信されると仮定する。この場合、起動通知フレームの送受信ポート番号フィールドには、起動通知フレームを送信する各中継ノード装置10によって、図12に示すような送受信ポート番号がそれぞれ設定される。図12は、図11に示す伝送ルート中の起動通知フレームの例図である。
図11に示すように、中継ノード装置10−20は、図11の丸数字1の経路で起動通知フレームをポートP1から送信する。また、中継ノード装置10−20には、起動通知フレームを受信するポートが存在しない。そこで、図12(a)に示すように、中継ノード装置10−20は、起動通知フレームを送信するポートP1の番号を示す送信ポート番号「1」を送受信ポート番号フィールド内の先頭の(最も左の)桁に設定し、その起動通知フレームを受信するポートが存在しないことを示す受信ポート番号「0」を次の桁に設定する。また、中継ノード装置10−20は、送受信ポート番号フィールド内のその他の桁には、送受信ポートが存在しないことを示す「0」を設定する。
図11に示すように、中継ノード装置10−16は、中継ノード装置10−20から送信された起動通知フレームをポートP2により受信し、ポートP3から丸数字2の経路で送信する。そこで、図12(b)に示すように、中継ノード装置10−16は、送受信ポート番号フィールド内に既に設定された送受信ポート番号「10」を二桁後ろに(右に)シフトする。そして、中継ノード装置10−16は、起動通知フレームを送信するポートP3の番号を示す送信ポート番号「3」を送受信ポート番号フィールド内の先頭の桁に設定し、起動通知フレームを受信したポートP2の番号を示す受信ポート番号「2」を次の桁に設定する。
以後同様に、図12(c)〜図12(g)に示すように、起動通知フレームを転送する中継ノード装置10により起動通知フレーム内の送受信ポート番号フィールドが設定される。
そして、図11に示すように、中継ノード装置10−1は、図12(g)に示される起動通知フレームをポートP2により受信し、受信した起動通知フレームをポートP1から送信する。そこで、図12(h)に示すように、中継ノード装置10−1は、送受信ポート番号フィールド内に既に設定された送受信ポート番号「13311332133210」を二桁後ろに(右に)シフトする。そして、中継ノード装置10−1は、起動通知フレームを送信するポートP1の番号を示す送信ポート番号「1」を送受信ポート番号フィールド内の先頭の桁に設定し、起動通知フレームを受信したポートP2の番号を示す受信ポート番号「2」を次の桁に設定する。
図12(h)のような起動通知フレームを受信したゲートウェイ装置20は、送受信ポート番号フィールド内の送受信ポート番号を参照して、中継ノード装置10−20へのネットワークIDと、中継ノード装置10−20のGWネットワークIDを設定する。
すなわち、図12(h)の起動通知フレームの例では、ゲートウェイ装置20のルーティング制御部235は、送受信ポート番号フィールド内の受信ポート番号を先頭から順に抜き出す。抜き出された受信ポート番号は、「23132320」である。ルーティング制御部235は、起動通知により示された経路に対するネットワークIDとして、抜き出した受信ポート番号の後に初期値を示す「F」を付加して6バイトのデータ「23132320FFFF」を作成する。
また、ルーティング制御部235は、送受信ポート番号フィールド内の送信ポート番号を先頭から順に抜き出す。抜き出された送信ポート番号は、「11313131」である。ルーティング制御部235は、抜き出した送信ポート番号を逆順に並び替える。逆順に並び替えられた送信ポート番号は、「13131311」である。ルーティング制御部235は、起動通知により示された経路に対するGWネットワークIDとして、逆順に並び替えられた「13131311」の後に初期値を示す「F」を付加して6バイトのデータ「13131311FFFF」を作成する。
図13は、図11に示す伝送ルート中の起動通知応答フレームの例図である。
図13(a)には、ルーティング制御部235により作成された起動通知応答フレームが示されている。図13(a)の起動通知応答フレームには、ネットワークIDとして「23132320FFFF」が設定され、GWネットワークIDとして「13131311FFFF」が設定されている。ゲートウェイ装置20により作成された起動通知応答フレームは、図11中の丸数字9〜16の経路で中継ノード装置10−20へ送信される。
図13(a)の起動通知応答フレームを受信した中継ノード装置10−1のルーティング制御部135は、受信した起動通知応答フレームのネットワークIDの先頭の一桁を検索して、自ノード装置の送信ポートがポートP2であると判定する。そして、ルーティング制御部135は、受信した起動通知応答フレームのネットワークIDの先頭の一桁のデータを削除し、次の桁以降のデータを前の桁にそれぞれシフトする。そして、中継ノード装置10−1は、ポートP2により起動通知応答フレームを送信する。
以後同様に、図13(b)〜(h)に示すように起動通知応答フレームのネットワークIDが変更されながら転送される。そして、中継ノード装置10−20は、図13(h)に示すように起動通知応答フレームのネットワークIDの先頭が「0」であることから、受信した起動通知応答フレームの宛先が自ノード装置であると判定する。そして、中継ノード装置10−20は、受信した起動通知応答フレームに示されるGWネットワークIDを取得する。
なお、実施形態によっては、起動通知応答フレームを受信した中継ノード装置10は、上述したようにネットワークIDをシフトする代わりに、ホップ数フィールドに示されるホップ数をデクリメントするように構成してもよい。この場合、起動通知応答フレームを受信した中継ノード装置10は、受信した起動通知応答フレームのホップ数を参照し、ホップ数が「1」であれば自ノード装置10宛ての起動通知応答フレームであると判定できる。また、起動通知応答フレームの宛先である中継ノード装置は、ゲートウェイ装置20から自ノード装置10までのホップ数を、受信した起動通知応答フレームのネットワークIDまたはGWネットワークIDに示される送信ポート番号の数によって認識することができる。
図14は、各ノードルーティング管理テーブルの例図である。
図14には、各ノードルーティング管理テーブル236の内、中継ノード装置10に対するルーティング管理テーブル236が示されている。
各ノードルーティング管理テーブル236には、ノード番号、優先順位、ネットワークID、ホップ数、および電源ラインフラグの各データが含まれる。ノード番号は、中継ノード装置10の識別番号を表す。優先順位は、ゲートウェイ装置20から中継ノード装置10までのフレームの伝送ルートの優先順位を示す。ネットワークIDは、ゲートウェイ装置20から中継ノード装置10までの伝送ルートを示す。ホップ数は、ゲートウェイ装置20から中継ノード装置10までのホップ数を示す。電源ラインフラグは、その伝送ルートが電力供給ラインである場合には「1」、その伝送ルートが電力供給ラインではなく迂回路である場合は「0」で表されるフラグである。
図15は、GWルーティング管理テーブルの例図である。
図15には、中継ノード装置10により作成されたGWルーティング管理テーブル136が示されている。
GWルーティング管理テーブル136には、ルーティング、優先順位、GWネットワークID、ホップ数、および送信ポート番号の各データが含まれる。ルーティングは、自ノード装置10からゲートウェイ装置20へのルーティングであることを表す。優先順位は、自ノード装置10からゲートウェイ装置20までのフレームの伝送ルートの優先順位を示す、GWネットワークIDは、自ノード装置10からゲートウェイ装置20までの伝送ルートを示す。ホップ数は、自ノード装置10からゲートウェイ装置20までのホップ数を示す。送信ポート番号は、該当の経路中でフレームを送信する自ノード装置10のポートの番号を示す。
図14および図15の各テーブルを参照すると明らかなとおり、ゲートウェイ装置20が管理する各中継ノード装置10に対するルーティング管理テーブル236内の経路およびそれらの優先順位と、各中継ノード装置が管理するルーティング管理テーブル136内の経路およびそれらの優先順位は、対応関係にある。各テーブル内の経路の優先順位は、例えば、電力供給ラインとして確立している経路を優先順位1位とし、ホップ数が少ない経路を2位以下の優先順位の経路の中で上位とするように設定してもよい。
このように、ゲートウェイ装置20は、各ノードルーティング管理テーブル236内の優先順位1位の経路を用いて各中継ノード装置10への電力供給を行なうと共に、各中継ノード装置10を宛先とするフレームの経路として優先順位1位の経路を選択することができる。また、各中継ノード装置10は、GWルーティング管理テーブル136内の優先順位1位の経路をゲートウェイ装置20を宛先とするフレームの経路に選択することができる。
図16は、図14および図15の各テーブルに格納された経路の説明図である。図16には、説明を明確にするために、図1に示した有線アドホックネットワークシステム1の一部が示されている。
図14のおよび図15各テーブルにおいて示された優先順位1位〜3位の経路は、図16の丸数字の1〜3の矢印で示した経路にそれぞれ対応する。
例えば、ゲートウェイ装置20から中継ノード装置10−10までの優先順位1位の経路中の各装置の送信ポートは、中継ノード装置10−1のポートP2、中継ノード装置10−5のポートP3、中継ノード装置10−6のポートP1、および中継ノード装置10−10の送信ポートなしである。そこで、図14に示したノードルーティング管理テーブル236中の優先順位1位のネットワークIDは、「2310FFFFFFFF」と示される。同様に、中継ノード装置10−10からゲートウェイ装置20までの優先順位1位の経路中の各装置の送信ポートは、中継ノード装置10−10のポートP1、中継ノード装置10−6のポートP3、中継ノード装置10−5のポートP1、および中継ノード装置10−1のポートP1である。そこで、図15に示したGWルーティング管理テーブル136中の優先順位1位のGWネットワークIDは、「1311FFFFFFFF」と示される。
ゲートウェイ装置20から中継ノード装置10−10までの優先順位1位の経路のホップ数は、中継ノード装置10−1、中継ノード装置10−5、中継ノード装置10−6、および中継ノード装置10−10の4ホップである。同様に、中継ノード装置10−10からゲートウェイ装置20までの優先順位1位の経路のホップ数は、中継ノード装置10−6、中継ノード装置10−5、中継ノード装置10−1、およびゲートウェイ装置20の4ホップである。従って、図14および図15の各テーブル中の優先順位1位の経路のホップ数は、それぞれ「4」と示される。
図9に示したように、電源投入処理完了後には、経路40−1、経路40−5、経路40−9、および経路40−12がゲートウェイ装置20と中継ノード装置10−10との間の電力供給ラインとして確立している。そこで、図15のGWルーティング管理テーブル136中の優先順位1位の電源ラインフラグは「1」と示される。
図14のおよび図15各テーブルにおいて示された優先順位2位および3位の経路についても、優先順位1位の経路についての上記説明と同様に説明できる。
以上の説明から理解し得るように、実施形態の電力供給制御装置、中継ノード装置、有線アドホックネットワークシステム、および電力供給制御方法に従えば、以下に示すような1つ以上の利点を得ることができる。
実施形態では、各中継ノード装置への電源投入が順次行なわれて各中継ノード装置が起動し、ネットワークシステム内に張り巡らされた経路の中から各中継ノード装置への必要な電力供給ラインが確立される。したがって、突入電流や電圧ドロップ等に起因した障害を起こすことなく、有線アドホックネットワークシステム内の各中継ノード装置が正常に起動するように、給電装置から各中継ノード装置への電力供給ラインを確立することができる。
実施形態に従えば、有線アドホックネットワークシステム内の各中継ノード装置は順次起動する。したがって、起動した各中継ノード装置がゲートウェイ装置やサーバ等に向けて同時に起動通知メッセージを送信するといったメッセージの輻輳を回避できる。
実施形態に従えば、電源供給制御装置の一例であるゲートウェイ装置は、各中継装置10への電源投入処理を通じて、各中継ノード装置のポートの接続状態に関するデータを集約することができる。したがって、電源供給制御装置は、各中継ノード装置への電力供給ラインを確立することを通じて、有線アドホックネットワークシステム内のネットワークの接続状態を取得することができる。
実施形態に従えば、各中継ノード装置の起動時に、起動した各中継ノード装置とゲートウェイ装置との間で起動通知および起動通知応答メッセージが順次送受信され、ゲートウェイ装置と各ノード装置との間のルーティングパスが学習される。したがって、複雑に組み込まれたネットワークであっても、ゲートウェイ装置と各ノード装置との間のルーティングパスをContent Addressable Memory(CAM)といった消費電力やサイズが大きくコストのかかるデバイスを各装置に実装することなく確立することができる。
実施形態に従えば、ゲートウェイ装置に近い中継ノード装置から電源投入処理が順次実施される。したがって、各中継装置への電源投入処理を通じて、ゲートウェイ装置と各中継ノード装置との間の最短のルーティングパスおよび迂回ルートを構築することができる。
<電力供給ライン切り替え処理>
実施形態では、電力供給制御装置の一例であるゲートウェイ装置20は、中継ノード装置10に電源投入指示フレームおよび電源停止指示フレームを送信することにより、有線アドホックネットワークシステム1内に確立した電力供給ラインを変更することができる。
図17は、電力供給ラインの切り替え処理の一例の説明図である。例えば、図9に示した電力供給ラインから図17に示した電力供給ラインに切り替えるために、以下のような電力供給ライン切り替え処理が行われる。
ゲートウェイ装置20は、中継ノード装置10−18のポートP3からの電力供給開始を指示する電源投入指示フレームを中継ノード装置10−18に送信する。
電源投入指示フレームを受信した中継ノード装置10−18は、ポートP3からの電力供給を開始する。この結果、中継ノード装置10−19は、中継ノード装置10−18からの電力供給をポートP3を介して受ける。中継ノード装置10−18は、ポートP3からの電力供給を開始したことを通知する電源投入応答フレームをゲートウェイ装置20に送信する。電源投入応答フレームのフォーマットは、図4(a)に示した汎用コマンドフレームのフォーマットであり得る。
中継ノード装置10−18からの電源投入応答フレームを受信したゲートウェイ装置20は、中継ノード装置10−19のポートP1からの電力供給開始を指示する電源投入指示フレームを中継ノード装置10−19に送信する。
電源投入指示フレームを受信した中継ノード装置10−19は、ポートP1からの電力供給を開始する。この結果、中継ノード装置10−15は、中継ノード装置10−19からの電力供給をポートP2を介して受ける。中継ノード装置10−19は、ポートP1からの電力供給を開始したことを通知する電源投入応答フレームをゲートウェイ装置20に送信する。
中継ノード装置10−19からの電源投入応答フレームを受信したゲートウェイ装置20は、中継ノード装置10−15のポートP2からの電力供給停止を指示する電源停止指示フレームを中継ノード装置10−15に送信する。
電源停止指示フレームを受信した中継ノード装置10−15は、ポートP2からの電力供給を停止する。この結果、中継ノード装置10−15のポートP2を介した中継ノード装置10−19への電力供給が停止する。中継ノード装置10−15は、ポートP2からの電力供給を停止したことを通知する電源停止応答フレームをゲートウェイ装置20に送信する。電源停止応答フレームのフォーマットは、図4(a)に示した汎用コマンドフレームのフォーマットであり得る。
中継ノード装置10−15からの電源停止応答フレームを受信したゲートウェイ装置20は、中継ノード装置10−11のポートP2からの電力供給停止を指示する電源停止指示フレームを中継ノード装置10−11に送信する。
電源停止指示フレームを受信した中継ノード装置10−11は、ポートP2からの電力供給を停止する。この結果、中継ノード装置10−11のポートP2を介した中継ノード装置10−15への電力供給が停止する。中継ノード装置10−11は、ポートP2からの電力供給を停止したことを通知する電源停止応答フレームをゲートウェイ装置20に送信する。
中継ノード装置10−11からの電源停止応答フレームを受信したゲートウェイ装置20は、中継ノード装置10−11のポートP3からの電力供給開始を指示する電源投入指示フレームを中継ノード装置10−11に送信する。
電源投入指示フレームを受信した中継ノード装置10−11は、ポートP3からの電力供給を開始する。この結果、中継ノード装置10−10は、中継ノード装置10−11からの電力供給をポートP3を介して受ける。中継ノード装置10−11は、ポートP3からの電力供給を開始したことを通知する電源投入応答フレームをゲートウェイ装置20に送信する。
中継ノード装置10−11からの電源投入応答フレームを受信したゲートウェイ装置20は、中継ノード装置10−6のポートP1からの電力供給停止を指示する電源停止指示フレームを中継ノード装置10−6に送信する。
電源停止指示フレームを受信した中継ノード装置10−6は、ポートP1からの電力供給を停止する。この結果、中継ノード装置10−6のポートP1を介した中継ノード装置10−10への電力供給が停止する。中継ノード装置10−6は、ポートP1からの電力供給を停止したことを通知する電源停止応答フレームをゲートウェイ装置20に送信する。
ゲートウェイ装置20は、中継ノード装置10−6からの電源停止指示フレームを受信し、電力供給ライン切り替え処理が完了したと判定する。
このような電源投入切り替え処理によって、図9に示した電力供給ラインから図17に示した電力供給ラインに切り替えることができる。
実施形態ではさらに、ゲートウェイ装置20は、中継ノード装置10に電源投入指示フレームおよび電源停止指示フレームを送信することにより、有線アドホックネットワークシステム1内の必要経路のみに電力供給されるように変更することができる。
図18は、必要経路のみへの電力供給ライン切り替え処理の一例の説明図である。図17を示して前述したような電力供給ライン切り替え処理により、例えば、図9に示した電力供給ラインから図18に示した電力供給ラインに切り替えることができる。図18では、経路40−1、40−5、40−9、40−12、40−15、40−18、40−21、および40−25のみが電力供給ラインとなるように切り替えられている。この結果、中継ノード装置10−1、10−5、10−6、10−10、10−11、10−15、10−16、および10−20のみが起動し、その他の中継ノード装置は停止する。
このように、実施形態に従えば、有線アドホックネットワーク内の電力供給ラインを必要に応じて迂回路に切り替えることにより、電力供給ラインに生じた障害に対応することができる。
また、実施形態に従えば、有線アドホックネットワークシステム内の必要な電力供給ラインのみを用いることで、有線アドホックネットワークシステム内の低消費電力化を図ることができる。また、仮に、有線アドホックネットワークシステム内のすべての装置を起動するに足りる電力容量を給電装置が有しない場合であっても、給電装置の電力容量の範囲内で、有線アドホックネットワークシステムの必要な運用を実現することができる。
<障害検出処理およびルーティング変更処理>
前述したように、実施形態では、ゲートウェイ装置20は、実施形態の電力供給処理を通じてデータが収集および記録された各ノードルーティング管理テーブル236を用いて、各中継ノード装置10への電力供給ラインを管理することができる。
また、ゲートウェイ装置20は、各ノードルーティング管理テーブル236を用いて、自装置20から各中継ノード装置10へ送信するフレームのルーティングを管理することができる。各中継ノード装置10は、実施形態の電力供給処理を通じてデータが収集および記録されたGWルーティング管理テーブル136を用いて、自ノード装置10からゲートウェイ装置20へ送信するフレームのルーティングを管理することができる。
そこで、例えば、ゲートウェイ装置20は、各ノードルーティング管理テーブル236内の優先順位1位の経路により各中継ノード装置10への電力供給が行われるように制御すると共に、各中継ノード装置10を宛先とするフレームの伝送ルートとして優先順位1位の経路を選択することができる。各中継ノード装置10は、GWルーティング管理テーブル136内の優先順位1位の経路をゲートウェイ装置20を宛先とするフレームの伝送ルートに選択することができる。
また、電力供給ラインとして確立している経路に障害が発生した場合には、ゲートウェイ装置20は、各ノードルーティング管理テーブル236を参照して、障害が発生した電力供給ラインの迂回路である優先順位2位の経路を用いて、中継ノード装置10への電力供給が実施されるように制御すると共に、中継ノード装置10を宛先とするフレームの伝送ルートとして優先順位2位の経路を選択することができる。各中継ノード装置10は、GWルーティング管理テーブル136を参照して、障害が発生した電力供給ラインの迂回路である優先順位2位の経路を、ゲートウェイ装置20を宛先とするフレームの伝送ルートとして選択することができる。
中継ノード装置10とゲートウェイ装置20との間のフレーム伝送に用いられている経路に障害が発生した場合の実施形態に従った障害検出方法およびルーティング変更方法の一例を説明する。
以下の説明では、一例として、有線アドホックネットワークシステム1の電力供給ラインが図9および図9の一部を示した図16のように確立しているとする。ゲートウェイ装置20は、中継ノード装置10−10に対するルーティング管理テーブル236として、図14に示したルーティング管理テーブル236を有するとする。中継ノード装置10−10は、GWルーティング管理テーブル136として、図15に示したGWルーティング管理テーブル136を有するとする。
まず、第1の具体例として、隣接する中継ノード装置間を結ぶ経路に給電障害発生した場合について説明する。図19は、給電障害が発生した場合の実施形態の障害検出処理およびルーティング変更処理の説明図である。図20Aおよび図20Bは、給電障害が発生した場合の実施形態の障害検出処理およびルーティング変更処理のシーケンスの例図である。
図9および図16に示したような電力供給ラインの確立後、各中継ノード装置10は、自ノード装置の各ポートから隣接する中継ノード装置10に向けて、図4(d)に示すようなヘルスフレーム要求フレームを所定時間間隔で送信する。ヘルスフレーム要求フレームを受信した隣接の中継ノード装置10は、ヘルスフレーム要求フレームを受信した自ノード装置のポートから、図4(d)のようなヘルスフレームを送信する。
各中継ノード装置10は、GWルーティング管理テーブル136に格納されたGWネットワークIDにより、自ノード装置の各ポートを介して隣接する中継ノード装置を識別できる。したがって、中継ノード装置10は、ヘルスフレーム要求フレームを送信したポートからヘルスフレームを受信した場合、ヘルスフレーム要求フレームを送信したポートを介して隣接する中継ノード装置10、および自ノード装置とその中継ノード装置10との間の経路40が正常であると判定できる。一方、中継ノード装置10は、ヘルスフレーム要求フレームの送信後所定時間を経過してもヘルスフレームを受信しない場合には、ヘルスフレーム要求フレームを送信したポートを介して隣接する中継ノード装置10、または自ノード装置とその中継ノード装置10との間の経路40に障害が発生したと判定できる。
例えば、図19に示すように、中継ノード装置10−6と中継ノード装置10−10とを結ぶ経路40−12の断線等に起因して、経路40−12の電力供給機能に障害が発生したと仮定する。この場合、中継ノード装置10−6からの電力供給を経路40−12を介して受けていた中継ノード装置10−10は、ダウンする。
このように中継ノード装置10−10がダウンすると、中継ノード装置10−6は、タイマ138の起動(p2002)と共に、ポートP1からヘルスフレーム要求フレームを送信しても(p2001)、タイマ138により監視される所定時間内にポートP1からヘルスフレームを受信することはできない。
そこで、中継ノード装置10−6のルーティング制御部135は、自ノード装置のポートP1の接続状態に障害が発生したことをゲートウェイ装置20に通知する図4(h)のような状態変移通知フレームを生成する(p2003)。生成される状態変移通知フレームのGWネットワークIDは、GWルーティング管理テーブル136の優先順位1位のGWネットワークIDであり、例えば、図19の丸数字4で示す伝送ルートのIDである。
中継ノード装置10−6は、生成された状態変移通知フレームを送信し(p2004)、伝送ルート中の中継ノード装置10−5および中継ノード装置10−1は、受信した状態変移通知フレームの宛先をそれぞれ判別して転送する(p2005〜p2008)。そして、ゲートウェイ装置20は、中継ノード装置10−6からの状態変移通知フレームを受信する。
ゲートウェイ装置20のルーティング制御部235は、受信した状態変移通知フレームを参照し、中継ノード装置10−6の送信ポートP1の接続状態に障害が発生したこと、および送信ポートP1の接続先が中継ノード装置10−10であることを認識する(p2009)。
ルーティング制御部235は、中継ノード装置10−6の送信ポートP1の接続状態の障害原因が、中継ノード装置10−6と中継ノード装置10−10との間の電力供給機能の障害なのか通信機能の障害なのかを判定するために、中継ノード装置10−10と接続する隣接の中継ノード装置10−11および10−14からの状態変移通知フレームの受信を所定時間待ち合わせる(p2010)。仮に、中継ノード装置10−11および10−14からの状態変移通知フレームを所定時間経過後も受信しない場合には、中継ノード装置10−10がこれらの中継ノード装置と正常に通信を実施していることから、ルーティング制御部235は、中継ノード装置10−6と中継ノード装置10−10との間の通信機能の障害であると判定し得る。
本具体例では、経路40−12の電力供給機能の障害発生により中継ノード装置10−10はダウンしている。このため、中継ノード装置10−14は、タイマ138の起動(p2012)と共にヘルスフレーム要求フレームをポートP2から送信しても(p2011)、タイマ138により監視される所定時間内にヘルスフレームをポートP2から受信できない。
中継ノード装置10−14は、自ノード装置のポートP2の接続状態に障害が発生したことをゲートウェイ装置20に通知する状態変移通知フレームを生成する(p2013)。生成される状態変移通知フレームのGWネットワークIDは、中継ノード装置10−14が管理するGWルーティング管理テーブル136の優先順位1位のGWネットワークIDであり、例えば、図19の丸数字5で示す伝送ルートのIDである。
中継ノード装置10−14は、生成された状態変移通知フレームを送信し(p2014)、伝送ルート中の中継ノード装置10−13、10−9、10−5、および10−1は、受信した状態変移通知フレームの宛先をそれぞれ判別して転送する(p2015〜p2022)。そして、ゲートウェイ装置20は、中継ノード装置10−14からの状態変移通知フレームを受信する。
ゲートウェイ装置20のルーティング制御部235は、受信した状態変移通知フレームを参照し、中継ノード装置10−14の送信ポートP2の接続状態に障害が発生したこと、および送信ポートP2の接続先が中継ノード装置10−10であることを認識する(p2023)。
中継ノード装置10−11も中継ノード装置10−14と同様の状態になり、例えば、図19の丸数字6で示す伝送ルートで状態変移通知フレームをゲートウェイ装置20に送信する(図20Aおよび図20Bには明示せず)。ゲートウェイ装置20のルーティング制御部235は、受信した状態変移通知フレームを参照し、中継ノード装置10−11の送信ポートP3の接続状態に障害が発生したこと、および送信ポートP3の接続先が中継ノード装置10−10であることを認識する。
ルーティング制御部235は、中継ノード装置10−6、10−14および10−11からそれぞれ送信された状態変移通知フレームを受信することにより、それぞれの状態変移通知フレームに示された障害原因が中継ノード装置10−6から中継ノード装置10−10への電力供給ラインの障害であると判定する。
ルーティング制御部235は、中継ノード装置10−10に対するルーティング管理テーブル236を参照する。そして、図21に示すように、ルーティング制御部235は、電力供給ラインである優先順位1位の伝送ルートを削除し、優先順位2位以降の伝送ルートを繰り上げる。ルーティング制御部235は、繰上げ後の優先順位が1位の伝送ルートを新たな電力供給ラインとして選択する(p2024)。
ルーティング制御部235は、繰上げ後の優先順位1位の伝送ルートを電力供給ラインとするルーティング変更処理を開始する。本具体例では、繰上げ後の優先順位1位の伝送ルートは、図16の丸数字2で示されるルートである。図16の丸数字2で示されるルートの中で、矢印で示される電力供給ラインが確立していない経路は、中継ノード装置10−14から中継ノード装置10−17への経路40−17である。そこで、ルーティング制御部235は、中継ノード装置10−14のポートP2からの電力供給開始を指示する、宛先が中継ノード装置10−14である電源投入指示フレームをタイマの起動(p2026)と共に生成して送信する(p2025)。
ゲートウェイ装置20から送信された電源投入指示フレームは、中継ノード装置10−1、10−5、10−9、および10−13における中継処理を経て(p2027〜p2030)、中継ノード装置10−14により受信される。
中継ノード装置10−14の電力供給制御部137は、所定時間内での起動通知フレームの受信の有無を監視するためにタイマ138を起動すると共に、受信した電源投入指示フレームに従って、スイッチS2をオン状態にしてポートP2からの電力供給を開始する(p2031)。
中継ノード装置10−10は、中継ノード装置10−14のポートP2からの電力供給を経路40−17を介してポートP2から受けて起動する(p2032)。中継ノード装置10−10のルーティング制御部135は、起動通知フレームを生成し(p2033)、GWルーティング管理テーブル136を更新する(p2034)。例えば、図22に示すように、ルーティング制御部135は、優先順位1の伝送ルートのデータを削除し、次順位以降の伝送ルートのデータを繰り上げて、電力供給投入を受けたポートP2からの伝送ルートを優先順位1位とする変更を行なう。
中継ノード装置10−10は、生成された起動通知フレームを中継ノード装置10−14に送信する(p2035)。中継ノード装置10−14は、中継ノード装置10−10から起動通知フレームを受信することにより、中継ノード装置10−10が電源供給を受けて起動したと判定する。
中継ノード装置10−14は、ゲートウェイ装置20を宛先として電源投入応答フレームを送信する(p2036)。中継ノード装置10−14のポートP3を介して送信された電源投入応答フレームは、中継ノード装置10−13、10−9、10−5、および10−1での中継処理を経て(p2037〜p2040)、ゲートウェイ装置20に受信される。
ゲートウェイ装置20のルーティング制御部235は、受信した電源投入応答フレームを参照して、中継ノード装置10−14のポートP2からの電力供給により中継ノード装置10−10が起動したと判定する。そして、ルーティング制御部235は、図21に示すように、繰上げ後の優先順位が1位の伝送ルートの電源ラインフラグを「1」に設定する(p2041)。
ゲートウェイ装置20は、中継ノード装置10−6のポートP1からの電力供給停止を指示する電源停止指示フレームを生成して送信する(p2042)。中継ノード装置10−1および中継ノード装置10−5は、受信した電源停止指示フレームの宛先をそれぞれ判別して転送する(p2043〜p2046)。そして、中継ノード装置10−6は、ゲートウェイ装置20からの電源停止指示フレームを受信する。
中継ノード装置10−6の電力供給制御部137は、受信した電源停止指示フレームの指示に従って、ポートP1からの電力供給を停止する(p2047)。この結果、中継ノード装置10−6のポートP1を介した中継ノード装置10−1のポートP1への電力供給は停止する(p2048、p2049)。
以上の説明のように、実施形態に従えば、有線アドホックネットワークシステム内に生じた電力供給ラインの障害を検出し、電力供給ラインを迂回路に適切に切り替えることができる。
次に、第2の具体例として、自ノード装置に隣接する中継ノード装置の通信機能に障害が発生した場合について説明する。図23は、通信障害が発生した場合の実施形態の障害検出処理およびルーティング変更処理の説明図である。図24Aおよび図24Bは、通信障害が発生した場合の実施形態の障害検出処理およびルーティング変更処理のシーケンスの例図である。
例えば、図23に示すように、中継ノード装置10−6の通信機能に障害が発生したと仮定する。この場合、中継ノード装置10−10は、経路40−12を介してフレームを受信することはできないが、中継ノード装置10−6からの電力供給を経路40−12を介して受けることは依然として可能である。
中継ノード装置10−6の通信機能に障害が発生すると、中継ノード装置10−5は、タイマ138の起動(p2402)と共に、ポートP3からヘルスフレーム要求フレームを送信しても(p2401)、タイマ138により監視される所定時間内にポートP3からヘルスフレームを受信することはできない。
そこで、中継ノード装置10−5のルーティング制御部135は、自ノード装置のポートP3の接続状態に障害が発生したことをゲートウェイ装置20に通知する状態変移通知フレームを生成する(p2403)。生成される状態変移通知フレームのGWネットワークIDは、中継ノード装置10−5が管理するGWルーティング管理テーブル136の優先順位1位のGWネットワークIDであり、例えば、図23の丸数字7で示す伝送ルートのIDである。
中継ノード装置10−5は、生成された状態変移通知フレームを送信し(p2404)、伝送ルート中の中継ノード装置10−1は、受信した状態変移通知フレームの宛先を判別して転送する(p2405〜p2406)。そして、ゲートウェイ装置20は、中継ノード装置10−5からの状態変移通知フレームを受信する。
ゲートウェイ装置20のルーティング制御部235は、受信した状態変移通知フレームを参照し、中継ノード装置10−5の送信ポートP3の接続状態に障害が発生したこと、および送信ポートP3の接続先が中継ノード装置10−6であることを認識する(p2407)。
ルーティング制御部235は、中継ノード装置10−5の送信ポートP3の接続状態の障害原因が、中継ノード装置10−5と中継ノード装置10−6との間の電力供給機能の障害なのか通信機能の障害なのかを判定するために、中継ノード装置10−6と接続する隣接の中継ノード装置10−2および10−10からの状態変移通知フレームの受信を所定時間待ち合わせる(p2408)。仮に、中継ノード装置10−2および10−10からの状態変移通知フレームを所定時間内に受信した場合には、中継ノード装置10−10に正常に電力供給がなされていることから、ルーティング制御部235は、中継ノード装置10−6の通信機能の障害であると判定し得る。また、仮に、中継ノード装置10−2からの状態変移通知フレームのみを所定時間内に受信した場合には、ルーティング制御部235は、中継ノード装置10−5と中継ノード装置10−6との間の電力供給機能の障害であると判定し得る。
本具体例では、中継ノード装置10−6の通信機能に障害発生している。このため、中継ノード装置10−10は、タイマ138の起動(p2410)と共にヘルスフレーム要求フレームをポートP1から送信しても(p2409)、タイマ138により監視される所定時間内にヘルスフレームをポートP1から受信できない。
中継ノード装置10−10は、自ノード装置のポートP1の接続状態に障害が発生したことをゲートウェイ装置20に通知する状態変移通知フレームを生成する(p2411)。例えば、中継ノード装置10−10が図15に示したGWネットワーク管理テーブル136を有する場合、本具体例では、GWルーティング管理テーブル136の優先順位1位の伝送経路中に障害が発生している。そこで、図22に示したGWルーティング管理テーブル136と同様に、中継ノード装置10−10のルーティング制御部135は、優先順位1位の伝送ルートのデータを削除し、優先順位2位以降の次順位以降の伝送ルートのデータを繰り上げる。そして、ルーティング制御部135は、生成される状態変移通知フレームのGWネットワークIDとして、図23の丸数字8で示す伝送ルートのIDで示される繰上げ後の優先順位1位の伝送ルートを用いる。
中継ノード装置10−10は、生成された状態変移通知フレームを送信し(p2412)、伝送ルート中の中継ノード装置10−14、10−13、10−9、10−5、および10−1は、受信した状態変移通知フレームの宛先をそれぞれ判別して転送する(p2413〜p2422)。そして、ゲートウェイ装置20は、中継ノード装置10−10からの状態変移通知フレームを受信する。
ゲートウェイ装置20のルーティング制御部235は、受信した状態変移通知フレームを参照し、中継ノード装置10−10の送信ポートP1の接続状態に障害が発生したこと、および送信ポートP1の接続先が中継ノード装置10−6であることを認識する(p2423)。
中継ノード装置10−2も中継ノード装置10−10と同様の状態になり、例えば、図23の丸数字9で示す伝送ルートで状態変移通知フレームをゲートウェイ装置20に送信する(図24Aおよび図24Bには明示せず)。ゲートウェイ装置20のルーティング制御部235は、受信した状態変移通知フレームを参照し、中継ノード装置10−2の送信ポートP2の接続状態に障害が発生したこと、および送信ポートP2の接続先が中継ノード装置10−6であることを認識する。
ルーティング制御部235は、中継ノード装置10−5、10−10および10−2からのそれぞれ送信された状態変移通知フレームを受信することにより、それぞれの状態変移通知フレームに示された障害原因が中継ノード装置10−6の通信機能の障害であると判定する。
ルーティング制御部235は、中継ノード装置10−10に対するルーティング管理テーブル236を参照する。そして、図21に示すルーティング管理テーブル236と同様に、ルーティング制御部235は、電力供給ラインである優先順位1位の伝送ルートを削除し、優先順位2位以降の伝送ルートを繰り上げる。ルーティング制御部235は、繰上げ後の優先順位が1位の伝送ルートを新たな電力供給ラインとして選択する(p2424)。なお、本具体例では、電力供給機能に障害が発生していないことから、実施形態によっては、ルーティング制御部235は、優先順位1位の伝送ルートをそのまま電力供給ラインとして用いるようにし、優先順位2位以降の伝送ルートの優先順位を繰り上げるように変更してもよい。
ルーティング制御部235は、繰上げ後の優先順位1位の伝送ルートを電力供給ラインとするルーティング変更処理を開始する。本具体例では、繰上げ後の優先順位1位の伝送ルートは、図16の丸数字2で示されるルートである。図16の丸数字2で示されるルートの中で、矢印で示される電力供給ラインが確立していない経路は、中継ノード装置10−14から中継ノード装置10−17への経路40−17である。そこで、ルーティング制御部235は、タイマの起動(p2426)と共に、中継ノード装置10−14のポートP2からの電力供給開始を指示する電源投入指示フレームを生成して送信する(p2425)。
ゲートウェイ装置20から送信された電源投入指示フレームは、中継ノード装置10−1、10−5、10−9、および10−13における中継処理を経て(p2427〜p2430)、中継ノード装置10−14により受信される。
中継ノード装置10−14の電力供給制御部137は、受信した電源投入指示フレームに従って、スイッチS2をオン状態にしてポートP2からの電力供給を開始する(p2431)。中継ノード装置10−10は、中継ノード装置10−14のポートP2からの電力供給を経路40−17を介してポートP2から受ける(p2432)。
中継ノード装置10−14は、ポートP2を介した電力供給を開始したことを通知する電源投入応答フレームを送信する(p2433)。そして、中継ノード装置10−14から送信された電源投入応答フレームは、中継ノード装置10−13、10−9、10−5、および10−1での中継処理を経て(p2434〜p2437)、ゲートウェイ装置20に受信される。
ゲートウェイ装置20のルーティング制御部235は、受信した電源投入応答フレームを参照して、中継ノード装置10−14のポートP2からの電力供給が開始されたと判定する。そして、ルーティング制御部235は、図21に示すように、繰上げ後の優先順位が1位の伝送ルートの電源ラインフラグを「1」に設定する(p2438)。
ゲートウェイ装置20は、中継ノード装置10−5のポートP3からの電力供給停止を指示する電源停止指示フレームを生成して送信する(p2439)。中継ノード装置10−1は、受信した電源停止指示フレームの宛先を判別して転送する(p2440〜p2441)。そして、中継ノード装置10−5は、ゲートウェイ装置20からの電源停止指示フレームを受信する。
中継ノード装置10−5の電力供給制御部137は、受信した電源停止指示フレームの指示に従って、ポートP3からの電力供給を停止する(p2442)。この結果、中継ノード装置10−5のポートP3を介した中継ノード装置10−6への電力供給は停止し(p2443)、起動中の中継ノード装置10−6は停止する(p2444)。
中継ノード装置10−5は、ポートP3からの電力供給を停止したことを示す電源停止応答フレームを生成して送信する(p2445)。電源停止応答フレームは、中継ノード装置10−1での中継処理を経て(p2446)、ゲートウェイ装置20に受信される。
ゲートウェイ装置20のルーティング制御部235は、電源停止応答フレームの受信により中継ノード装置10−5のポートP3からの電力供給が停止されて、中継ノード装置10−6が停止したと判定する。そして、ルーティング制御部235は、中継ノード装置10−6に対するルーティング管理テーブル136に中継ノード装置10−6が停止中であることを示すデータを付加する(p2447)。
以上の説明のように、実施形態に従えば、有線アドホックネットワークシステム内に生じた通信障害を検出し、電力供給ラインおよび/または通信経路を迂回路に適切に切り替えることができる。
<障害復旧検出処理およびルーティング変更処理>
実施形態では、有線アドホックネットワークシステム内で発生した前述のような電力供給機能および/または通信機能の障害が復旧した場合、障害復旧を検出して障害発生前の伝送ルートに戻すことが可能である。
図25は、実施形態に従った障害復旧検出処理およびルーティング変更処理の説明図である。図26Aおよび図26Bは、実施形態に従った障害復旧の際のルーティング変更処理シーケンスの例図である。
例えば、経路40−12の断線等に起因する電力供給機能の障害が発生した後、経路40−12を修復して経路40−12の電力供給機能の障害が復旧したとする。
経路40−12の電力供給機能の障害が復旧した場合、中継ノード装置10−6は、タイマ138の起動(p2602)と共にポートP1からヘルスフレーム要求フレームを送信すると(p2601)、タイマ138により監視される所定時間内にポートP1からヘルスフレームを受信できる(p2603)。
そこで、中継ノード装置10−6のルーティング制御部135は、自ノード装置のポートP1の接続状態が復旧したことをゲートウェイ装置20に通知する状態変移通知フレームを生成する(p2604)。生成される状態変移通知フレームのGWネットワークIDは、GWルーティング管理テーブル136の優先順位1位のGWネットワークIDであり、例えば、図25の丸数字10で示す伝送ルートのIDである。
中継ノード装置10−6は、生成された状態変移通知フレームを送信し(p2605)、伝送ルート中の中継ノード装置10−5および中継ノード装置10−1は、受信した状態変移通知フレームの宛先をそれぞれ判別して転送する(p2606〜p2609)。そして、ゲートウェイ装置20は、中継ノード装置10−6からの状態変移通知フレームを受信する。
ゲートウェイ装置20のルーティング制御部235は、受信した状態変移通知フレームを参照し、中継ノード装置10−6の送信ポートP1の接続状態が復旧したこと、および送信ポートP1の接続先が中継ノード装置10−10であることを認識する(p2610)。
ゲートウェイ装置20は、タイマ238の起動(p2612)と共に、中継ノード装置10−6のポートP1からの電力供給を指示する電源投入指示フレームを生成して送信する(p2611)。ゲートウェイ装置20から送信された電源投入指示フレームは、中継ノード装置10−1および10−5を経て(p2613、p2614)、中継ノード装置10−6に受信される。
電源投入指示フレームを受信した中継ノード装置10−6の電力供給制御部137は、ポートP1を介した電力供給を開始する(p2615)。この結果、中継ノード装置10−10は、ポートP1を介して電力供給を受ける(p2616)。
中継ノード装置10−6は、ポートP1を介した電力供給を開始したことを通知する電源投入応答フレームを生成して送信する(p2617)。中継ノード装置10−6から送信された電源投入応答フレームは、中継ノード装置10−5および10−1を経て(p2618、p2619)、ゲートウェイ装置20に受信される。
ゲートウェイ装置20のルーティング制御部235は、中継ノード装置10−6からの電源投入応答フレームの受信により、経路40−12を介した中継ノード装置10−10への電力供給が正常に行なわれたと判定する。ルーティング制御部235は、中継ノード装置10−10に対するルーティング管理テーブル236を参照する。そして、ルーティング制御部235は、優先順位が1位以降の伝送ルートを繰り下げ、電力供給ラインとして新たに確立した経路を含む伝送ルートを優先順位1位とする変更処理を行う(p2620)。本具体例では、優先順位1位の伝送ルートは、図16の丸数字1で示されるルートである。なお、実施形態によっては、ルーティング制御部235は、優先順位が1位以降の伝送ルートの後に、電力供給ラインとして新たに確立した経路を含む伝送ルートを追加してもよい。この場合は、フレーム伝送に用いられる優先順位1位の伝送ルートは変更されない。
ルーティング制御部235は、タイマ238の起動(p2622)と共に、中継ノード装置10−14のポートP2からの電力供給の停止を指示する電源停止指示フレームを生成し送信する(p2621)。ゲートウェイ装置20から送信された電源停止指示フレームは、中継ノード装置10−1、10−5、10−9、および10−13での中継処理を経て(p2623〜p2630)、中継ノード装置10−14に受信される。
電源停止指示フレームを受信した中継ノード装置10−14の電力供給制御部137は、ポートP2を介した電力供給を停止する(p2631)。この結果、中継ノード装置10−10は、ポートP2を介した電力供給を受けなくなる。
中継ノード装置10−10のルーティング制御部135は、GWルーティング管理テーブル136内の優先順位1位の以降の伝送ルートを繰り下げ、ポートP1からの電源供給ラインを含む新たな伝送ルートを優先順位1位とする変更処理を行う(p2632)。この結果、中継ノード装置10−10が有するGWルーティング管理テーブル136は、例えば、図15のように障害発生前と同じテーブルとなる。なお、実施形態によっては、ルーティング制御部135は、優先順位1位の以降の伝送ルートの後にポートP1からの電源供給ラインを含む新たな伝送ルートを追加してもよい。この場合は、フレーム伝送に用いられる優先順位1位の伝送ルートは変更されない。
中継ノード装置10−14は、ポートP2からの電源供給を停止したことを通知する電源停止応答フレームを生成して送信する(p2633)。中継ノード装置10−14から送信された電源停止応答フレームは、中継ノード装置10−13、10−9、10−5、および10−1での中継処理を経て(p2634〜p2637)、ゲートウェイ装置20に受信される。
ゲートウェイ装置20のルーティング制御部235は、受信した電源停止応答フレームを参照して、中継ノード装置10−14のポートP2からの電源供給が停止したと判定する。そして、ルーティング制御部235は、中継ノード装置10−10に対するルーティング管理テーブル236内の優先順位が1位の伝送ルートの電源ラインフラグを「1」に設定する(p2638)。この結果、中継ノード装置10−10に対するルーティング管理テーブル236は、例えば、図14のように障害発生前と同じテーブルとなる。
以上の説明のように、実施形態に従えば、有線アドホックネットワークシステム内に生じた伝送ルートの障害復旧を検出し、電力供給ラインおよび/伝送ルートを適切に切り替えることができる。
<中継ノード装置増設処理>
実施形態では、前述したような電源投入処理により各中継ノード装置への電力供給ラインが確立した後に中継ノード装置が増設された場合であっても、増設された中継ノード装置への電源供給ラインを確立することが可能である。
実施形態に従った中継ノード装置増設処理の第1例および第2例を以下に説明する。
図27は、増設された中継ノード装置に対する実施形態に従った電力供給制御処理の第1例の説明図である。
図27は、図9に示した有線アドホックネットワークシステム1の一部を示す。図27に示した有線アドホックネットワークシステム1内の中継ノード装置10−17の未使用ポートP2を用いて追加の中継ノード装置10−Aを増設する一例を以下に説明する。
まず、有線アドホックネットワークシステム1内の中継ノード装置10−17の未使用のポートP2に追加の経路40−Aを接続する。また、追加の中継ノード装置40−Aの任意のポートであるポートP1を追加の経路40−Aと接続する。
次に、図27に示すように、ゲートウェイ装置20から中継ノード装置10−17へ電源投入指示フレームを送信する。
電源投入指示フレームを受信した中継ノード装置10−17は、ポートP2からの電力供給を開始する。この結果、追加の中継ノード装置10−Aは、ポートP1を介して中継ノード装置10−17から電源供給を受けて起動する。
起動した追加の中継ノード装置10−Aは、図27に示すように、ゲートウェイ装置20に起動通知フレームを送信する。
ゲートウェイ装置20は、受信した起動通知フレームを参照して、中継ノード装置10−AのID、およびホップ数を、中継ノード装置10−Aに対するルーティング管理テーブル236に格納する。また、ゲートウェイ装置20は、送受信ポート番号フィールドを参照して、中継ノード装置10−AへのネットワークIDを作成する。そして、ゲートウェイ装置20は、作成されたネットワークIDをルーティング管理テーブル236に格納し、作成されたネットワークIDにより示される経路に電力供給ラインが確立したことを示す電源ラインフラグを設定する。
そして、ゲートウェイ装置20は、起動通知応答フレームを生成し、中継ノード装置10−Aに送信する。
中継ノード装置10−Aは、受信した起動通知応答フレームを参照し、GWネットワークIDおよびホップ数をGWルーティング管理テーブル136に格納する。
以上のような中継ノード装置10−Aへの電源投入処理によって経路40−Aが電力供給ラインとして確立する。
図28は、増設された中継ノード装置に対する実施形態に従った電力供給制御処理の第2例の説明図である。
図28は、図27と同様、図9に示した有線アドホックネットワークシステム1の一部を示す。
まず、中継ノード装置10−17の未使用ポートP2のポート電源スイッチS2をオン状態する。例えば、前述した電源投入処理において、電源投入指示フレームをゲートウェイ装置20から受信した際に中継ノード装置10が未使用ポートへの電源出力を停止しないように構成されている場合には、各中継ノード装置10の未使用ポートのポート電源スイッチは既にオン状態になっている。また、電源投入指示フレームを受信した際に中継ノード装置10が未使用ポートへの電源出力を停止するように構成されている場合には、ゲートウェイ装置20から中継ノード装置10−17に電源投入指示フレームを新たに送信する。
次に、有線アドホックネットワークシステム1内の中継ノード装置10−17の未使用のポートP2に追加の経路40−Aを接続する。また、追加の中継ノード装置10−Aの任意のポートであるポートP1を追加の経路40−Aと接続する。この結果、追加の中継ノード装置10−Aは、ポートP1を介して中継ノード装置10−17からの電源供給を受けて起動する。
起動した追加の中継ノード装置10−Aは、図28に示すように、ゲートウェイ装置20に起動通知フレームを送信する。
ゲートウェイ装置20は、受信した起動通知フレームを参照して、中継ノード装置10−AのID、およびホップ数を、中継ノード装置10−Aに対するルーティング管理テーブル236に格納する。また、ゲートウェイ装置20は、起動通知フレームの送受信ポート番号フィールドを参照して、中継ノード装置10−AへのネットワークIDを作成する。そして、ゲートウェイ装置20は、作成されたネットワークIDをルーティング管理テーブル236に格納し、作成されたネットワークIDにより示される経路に電力供給ラインが確立したことを示す電源ラインフラグを設定する。
そして、ゲートウェイ装置20は、起動通知応答フレームを生成し、中継ノード装置10−Aに送信する。
中継ノード装置10−Aは、受信した起動通知応答フレームを参照し、GWネットワークIDおよびホップ数をGWルーティング管理テーブル136に格納する。
以上のような中継ノード装置10−Aへの電源投入処理によって経路40−Aが電力供給ラインとして確立する。
以上の説明のように、実施形態に従えば、各中継ノード装置への電力供給ライン確立後に有線アドホックネットワークシステム内に中継ノード装置が増設された場合であっても、増設された中継ノード装置への電源供給ラインを確立することができる。また、増設された中継ノード装置への電源投入処理を通じて、電力供給制御装置の一例であるゲートウェイ装置と増設された中継ノード装置との間のルーティングパスを確立することができる。