以下、この発明の実施の形態を添付図面に従って詳細に説明する。ただし、この明細書では説明を理解しやすくするために、音楽コンテンツデータに含まれるメインコンテンツ(データ)がボイスパラメータのみあるいはボイスパラメータと波形データとのセットからなるボイスデータであって、音楽コンテンツデータに前記メインコンテンツと組み合わされて含まれるサブコンテンツ(データ)がボイスデータに関する説明用テキストデータ、デモ用自動演奏データ、デモ用動画データである場合を例に説明する。
図1は、この発明に係る電子音楽装置の全体構成の一実施例を示したハード構成ブロック図である。本実施例に示す電子音楽装置は選択したボイスデータに基づきユーザ所望の音色で楽音を再生することが可能な例えば電子楽器であって、マイクロプロセッサユニット(CPU)1、リードオンリメモリ(ROM)2、ランダムアクセスメモリ(RAM)3からなるマイクロコンピュータによって制御される。CPU1は、この電子音楽装置全体の動作を制御するものである。このCPU1に対して、データ及びアドレスバス1Dを介してROM2、RAM3、検出回路4,5、表示回路6、音源・効果回路7、外部記憶装置8A、内蔵記憶装置8B、MIDIインタフェース(I/F)9、通信インタフェース(I/F)10がそれぞれ接続されている。
ROM2は、CPU1により実行あるいは参照される各種制御プログラムや各種データ等を格納する。RAM3は、CPU1が所定のプログラムを実行する際に発生する各種データなどを一時的に記憶するワーキングメモリとして、あるいは現在実行中のプログラムやそれに関連するデータを一時的に記憶するメモリ等として使用される。RAM3の所定のアドレス領域がそれぞれの機能に割り当てられ、レジスタやフラグ、テーブル、テンポラリメモリなどとして利用される。
演奏操作子4Aは楽音の音高を選択するための複数の鍵を備えた例えば鍵盤等のようなものであり、各鍵に対応してキースイッチを有しており、この演奏操作子4A(鍵盤等)はユーザ自身の手弾きによるマニュアル演奏のために使用することは勿論のこと、利用したいメインコンテンツやサブコンテンツの選択などのために使用することもできる。検出回路4は、演奏操作子4Aの各鍵の押圧及び離鍵を検出することによって検出出力を生じる。
設定操作子(スイッチ等)5Aは、例えば外部記憶装置8Aに記憶されている拡張データのインストールを開始するためのインストール開始ボタン、当該装置をボイスモードに設定するためのモード設定スイッチ、前記ボイスモードへの設定に応じてディスプレイ6A上に表示される「音色リスト画面」から所望のボイス(音色)を選択するための各種操作子類(詳しくは後述する図5参照)、音高や効果等のその他の演奏環境/楽音制御に関する各種設定(パラメータ)を決定するためのその他のスイッチ類などを含んで構成される。勿論、設定操作子5Aは上記した以外にも音高、音色、効果等を選択・設定・制御するための数値データ入力用のテンキーや文字データ入力用のキーボード、あるいはディスプレイ6Aに表示されたポインタなどを操作するマウス等の各種操作子を含んでいてもよい。検出回路5は、上記設定操作子5Aの操作状態を検出し、その操作状態に応じたスイッチ情報等をデータ及びアドレスバス1Dを介してCPU1に出力する。
表示回路6は例えば液晶表示パネル(LCD)やCRT等から構成されるディスプレイ6Aに、後述する「音色リスト画面」(図5参照)等の各種画面を表示するのは勿論のこと、外部記憶装置8Aに記憶されている拡張データの一覧、ROM2に用意されるプリセットボイスバンク(図3参照)に記憶されているプリセットデータの一覧、RAM3及び内蔵記憶装置8Bに用意される拡張ボイスバンク(図3参照)に記憶されている拡張データの一覧、演奏環境/楽音制御に関する各種設定の設定状況さらにはCPU1の制御状態などを表示する。
音源・効果回路7は複数のチャンネルで楽音信号の同時発生が可能であり、データ及びアドレスバス1Dを経由して与えられた、ユーザによる演奏操作子4Aの演奏操作に応じて発生される及び/又は予め記憶されている自動演奏データなどに基づき発生される各種演奏情報を入力し、これらの演奏情報に基づいて楽音信号を発生する。さらには、該発生した楽音信号に対して適宜に各種の音響効果を付与する。音源・効果回路7から発生される楽音信号は、アンプやスピーカなどを含むサウンドシステム7Aから発音される。こうした音源・効果回路7とサウンドシステム7Aの構成には、従来のいかなる構成を用いてもよい。例えば、音源・効果回路7はFM、PCM、物理モデル、フォルマント合成等の各種楽音合成方式のいずれを採用してもよく、また専用のハードウェアで構成してもよいし、DSP(Digital Signal Processor)やCPU1によるソフトウェア処理で構成してもよい。
外部記憶装置8Aは後述するような拡張データを記憶した記憶装置であって(図3参照)、例えばハードディスク(HD)の他に、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD‐ROM・CD‐RAM)、光磁気ディスク(MO)、あるいはDVD(Digital Versatile Disk)等の様々な形態の記憶媒体を利用する記憶装置であればどのようなものであってもよい。さらには、USBメモリなどの半導体メモリであってもよい。
内蔵記憶装置8Bは前記外部記憶装置8Aから拡張データのメインコンテンツをインストールした際に各種情報(図3参照)を記憶する、例えばハードディスク(HD)あるいはフラッシュメモリなどの装置本体の電源オフに応じて記憶内容が消去されることのない類の記憶装置である。また、内蔵記憶装置8Bは前記各種情報の他に、CPU1が実行する各種制御プログラム等を記憶する。上述したROM2に制御プログラムが記憶されていない場合、この内蔵記憶装置8Bに記憶された制御プログラムをRAM3に読み込むことにより、ROM2に制御プログラムを記憶している場合と同様の動作をCPU1に実行させることができる。このようにすると、制御プログラムの追加やバージョンアップ等が容易に行える。
MIDIインタフェース(I/F)9は、外部接続された他のMIDI機器9A等からMIDI形式の自動演奏データを当該電子音楽装置へ入力したり、あるいは当該電子音楽装置からMIDI形式の自動演奏データを他のMIDI機器9A等へ出力したりするためのインタフェースである。通信インタフェース(I/F)10は、例えばLANやインターネット、電話回線等の有線あるいは無線の通信ネットワークXに接続されており、該通信ネットワークXを介してサーバコンピュータ10Aと接続され、当該サーバコンピュータ10Aから制御プログラムあるいは拡張データなどの各種データを電子音楽装置側に取り込むためのインタフェースである。こうした通信インタフェース10は、有線あるいは無線のものいずれかでなく双方を具えていてよい。
なお、上述した実施例において、演奏操作子4Aは鍵盤楽器の形態に限らず、弦楽器や管楽器あるいは打楽器等どのようなタイプの形態でもよい。また、電子音楽装置は演奏操作子4Aやディスプレイ6Aあるいは音源・効果回路7などを1つの装置本体に内蔵したものに限らず、それぞれが別々に構成され、MIDIインタフェースや各種ネットワーク等の通信インタフェース10を用いて各装置を接続するように構成されたものであってもよいことは言うまでもない。
なお、本発明に係る電子音楽装置は電子楽器に限らず、カラオケ装置、パーソナルコンピュータ、携帯電話等の携帯通信端末、あるいはゲーム装置など、どのような形態の装置・機器であってもよい。携帯通信端末の場合、端末のみで所定の機能が完結している場合に限らず、機能の一部をサーバ側に持たせ、端末とサーバとからなるシステム全体として所定の機能を実現するようにしてもよい。
従来知られている電子音楽装置のように、本発明に係る電子音楽装置においても、メーカ等から提供され当該装置本体に予め用意されたプリセットデータを記憶したプリセットボイスバンクと、外部記憶装置8Aに記憶されている拡張データを取り込んで記憶する拡張ボイスバンクとからなるボイス(音色)バンクを有してなり、ユーザ選択に従って前記ボイスバンクから読み出されたボイスデータに基づいて所望の音色の楽音を再生することのできるようになっている。ただし、本発明に係る電子音楽装置では、前記外部記憶装置8Aに記憶されている拡張データをインストールする際に単にそのまま拡張ボイスバンクに全データを読み込む従来装置とは異なり、前記拡張データのうちメインコンテンツのみを拡張ボイスバンクに読み込む(インストールする)ようになっている。
そこで、まず前記外部記憶装置8Aに記憶されている拡張データに含まれるメインコンテンツのみを拡張ボイスバンクにインストールする「ボイスデータインストール処理」について、図2を用いて説明する。図2は、「ボイスデータインストール処理」の一実施例を示すフローチャートである。当該処理は、例えばユーザによるインストール開始ボタンの操作に応じて開始される。
ステップS1は、外部記憶装置8Aから装置本体側(詳しくは拡張ボイスバンク)にインストールする1乃至複数のボイスデータファイル(拡張データ)を特定する。ステップS2は、前記特定されたボイスデータファイルを前記外部記憶装置8Aから読み込んでボイス名称とアイコン画像を抽出し、任意の固有のボイス番号を付与した上で管理ファイルとしてフラッシュメモリ(内蔵記憶装置8B)に用意される拡張ボイスバンクに書き込むとともに、さらに読み込み元のファイルパスを特定してこれを管理ファイルに書き込む。ステップS3は、前記外部記憶装置8Aから読み込んだボイスデータファイルからボイスパラメータ、波形データを抽出して、RAM3に用意された音源によって参照される専用領域である音源用のRAM(拡張ボイスバンクの一部を構成する)に書き込む。
ここで、外部記憶装置8Aに記憶される拡張データ、ROM2やRAM3さらには内蔵記憶装置8Bに用意されるボイスバンクに記憶されるプリセットデータ及び拡張データについて、図3を用いて説明する。図3は、各記憶領域における拡張データ及びプリセットデータの記憶態様を説明するための概念図である。
外部記憶装置8Aに記憶される拡張データ(ボイスデータファイル)には、メインコンテンツとサブコンテンツとが組み合わされて記憶されている。この実施例において、メインコンテンツはボイスパラメータ及び波形データであり、サブコンテンツは説明用テキストデータ、デモ用自動演奏データ、デモ用動画データである。その他にも、音色の種類(例えばピアノ音色、ギター音色、効果音など)に対応したボイス名称、後述の音色リスト画面上に音色の種類に対応した楽器形状などのアイコンを表示するためのアイコン画像データなどが記憶されている。
本実施例においてメインコンテンツとサブコンテンツそれぞれの特徴を挙げると、メインコンテンツはユーザによる楽器演奏時(リアルタイム演奏時)に利用される楽音の制御に関連するデータであって、指定された際に直ちに利用可能となるようなリアルタイム性が要求される種類のコンテンツデータである。具体的には、上記したボイスデータの他に、伴奏スタイルデータ(パターン選択やスタート/ストップ等の操作に応じて直ちに反応する必要がある)、アルペジオパターンデータ(同様に操作に応じて直ちに反応する必要がある)、MIDIやオーディオ等のフレーズデータ(これらを所定操作子に割り当てておき、これらの操作子の操作に応じて直ちに再生される必要がある)などが該当する。一方、サブコンテンツはメインコンテンツに関連するがリアルタイム性はそれほど要求されない種類のデータであって、例えば上記したようなメインコンテンツの説明文やデモ演奏などを実現するための自動演奏データや動画データなどが該当する。
上述したように、電子音楽装置に用意されるボイス(音色)バンクはプリセットバンクと拡張ボイスバンクとからなる。プリセットバンクはROM2にメーカ等によって予め用意された記憶領域であり、各ボイスデータ毎に固有のボイス番号とメインコンテンツ(ボイスパラメータ及び波形データ)を音源用のROM(ROM2において音源によって参照される専用領域である)に記憶する。また、音源用のROMに記憶された各ボイスデータに対応付けて、上記と同じボイス番号、ボイス名称、アイコン画像データがROM2の他の領域に記憶されていると共に、サブコンテンツとして説明用テキストデータ、デモ用自動演奏データ、デモ用動画データが付随的に記憶されている。ユーザは操作子の操作により、選択したボイスに関する説明文を説明用テキストデータに基づき表示させたり、当該ボイスを使ったデモ用自動演奏データをデモ用自動演奏データに基づき再生させたり、当該ボイスを使ってミュージシャンが演奏をしている風景などのデモ用動画等をデモ用動画データに基づき再生させたりすることができるようになっている(詳しくは後述する)。なお、サブコンテンツの種類については上記した3種類に限らず、ボイスに関してなんらかの情報を提供可能な1以上のコンテンツがあればよい。
他方、拡張ボイスバンクは内蔵記憶装置8B及びRAM3等に用意される記憶領域であり、外部記憶装置8Aに記憶されているボイスデータ(拡張データ)を読み込んで(インストールして)1〜複数セットのボイスデータを登録することのできるようになっている。ボイスデータとしてボイスパラメータ及び波形データの組み合わせが記憶されている場合には、任意の波形データを利用することができる。一方、ボイスデータとしてボイスパラメータのみが記憶されている場合には、プリセットボイスバンクに記憶されている任意の波形データを利用する。
上記したように、外部記憶装置8Aに記憶される拡張データ(ボイスデータファイル)には、プリセットボイスバンクに記憶されているプリセットデータと同様に、説明用テキストデータ、デモ用自動演奏データ、デモ用動画データなどのサブコンテンツが付随している。外部記憶装置8Aに記憶されている拡張データを読み込む際には、ボイス番号を付与するとともに、ボイス名称、アイコン画像を抽出してこれらを拡張ボイスバンクであるフラッシュメモリ(内蔵記憶装置8B)に管理ファイルとして書き込む(ステップS2参照)。また、ボイスパラメータ、波形データを抽出してこれらを前記付与したボイス番号とともに拡張ボイスバンクであるRAM3に用意された音源用のRAMに登録する(ステップS3参照)。サブコンテンツは、この時点では読み込まない。
上記のように、外部記憶装置8Aから装置本体側への拡張データ読み込み時にサブコンテンツを読み込まないことで、その際にかかるデータ読み込み時間の短縮と電子音楽装置の記憶領域の無駄な消費を回避することができる。ただし、拡張ボイスバンクに記憶した拡張データに関するサブコンテンツを使用する場合に備えて、読み込み元のファイルパスを管理ファイルに登録しておく。上記ファイルパスは、そもそも外部記憶装置8Aのボイスデータを再読み込みする際に(拡張ボイスバンクの一部を構成する音源用のRAMは、装置本体の電源オフによりデータ内容が消去されてしまうので、次回利用する際に再読み込みが必要である)利用される情報であるが(後述する図8参照)、本発明においてはこうしたファイルパスをサブコンテンツの読み込みの際に用いるようにしている。すなわち、拡張ボイスバンクに記憶済みのボイスデータに付随されているサブコンテンツを利用する際には、管理ファイルに登録されている読み込み元パスを参照して外部記憶装置8Aに記憶されている当該ボイスデータにアクセスし、該アクセスしたボイスデータに付随したサブコンテンツを抽出してこれを本体装置側の一時メモリ(RAM3)に読み込んで利用する。これにより、必要なときに必要なサブコンテンツだけを読み込んで利用することができる。
上記ファイルパスには、各ボイスデータファイルのパスが記録される。ボイスデータファイルは外部記憶装置8Aの記憶領域に記憶されることから、各ボイスデータファイルの記憶場所を特定するパス(フルパス)に従って特定のボイスデータファイルを指定することができる。上記パスは基本的にはボイスパラメータや波形データと共にサブコンテンツにアクセスするために用いられる情報であり、サブコンテンツのみにアクセスする情報ではない。しかし、ボイスデータファイルはそもそもチャンク構造になっており(すなわち、メインコンテンツはメインデータチャンクに、サブコンテンツはサブデータチャンクにそれぞれ記憶されている)、簡単にファイル内の一部分である特定のチャンクにアクセスすることができるようになっていることから、ボイスデータファイルのファイルパスによってサブコンテンツのみを抽出して読み込むことができる。
次に、ユーザ所望のボイス(音色)の設定及びボイスに関するサブコンテンツの利用を実現する「ボイスモード処理」について説明する。図4は、ボイスモード処理の一実施例を示すフローチャートである。当該処理は、例えばユーザによるモード設定スイッチ操作等によるボイスモードの設定に応じて開始され、ボイスモード以外の他のモードへの設定が行われるまで繰り返し実行される。
ステップS11は、ROM2あるいはフラッシュメモリ(内蔵記憶装置8B)に記憶されているデータ内容に応じて音色リスト画面データを作成し、これに基づきディスプレイ6Aに「音色リスト画面」(後述の図5参照)を表示する。ステップS12は、前記「音色リスト画面」において何れかのボイスの選択操作が行われたか否かを判定する。何れのボイスの選択操作も行われていないと判定した場合には(ステップS12のNO)、選択操作が行われるまで本処理の進行を待機する。
ここで、ディスプレイ6Aに表示される上記「音色リスト画面」(ステップS11参照)について、図5を用いて説明する。図5は、音色リスト画面の一実施例を示す概念図である。
図5に示すように、「音色リスト画面」は、所定の表示エリアにプリセットボイスバンク及び拡張ボイスバンクに記憶されている情報を元に、選択可能なボイスを一覧表示(リスト表示)する。ここでは、一例としてボイスをボイス名称毎に別途独立した表示態様によって一覧表示したものを示している。画面右上には「プリセット」又は「拡張」と記載されたタグ101が表示されており、「プリセット」タグを選択すればプリセットボイスバンクに記憶されているボイスが、「拡張」を選択すれば拡張ボイスバンクに記憶されているボイスがそれぞれ表示対象として選択され一覧表示されるようになっている。こうしたタグ101の選択は、ディスプレイ6Aの周囲に配置されている設定操作子5Aのうち、右上に配置されている左右の「矢印」操作子を操作することによって行われる。
この「音色リスト画面」において、ディスプレイ6Aの左右に配置されている「A」〜「J」の各設定操作子5Aのいずれかを押下操作した場合には、ボイス一覧表示102のうち操作された操作子5Aに対応する画面位置に表示されているボイス(ボイス名称)が選択されるようになっており、該選択されたボイスのボイスパラメータ及び波形データが音源・効果回路7によって楽音生成時に利用されることになる(後述のステップS13参照)。図示の例では、操作子「D」が押下操作されて「ギター」ボイスが選択されている状態を示している(選択されたボイスは強調表示される)。すなわち、「A」〜「J」の各設定操作子5Aは、ボイスを選択するスイッチとして動作するよう機能が割り当てられる。ただし、「A」〜「J」の各設定操作子5Aはボイス選択のための専用の操作子ではなく、画面の種類及び画面上の対応する位置に表示されている表示内容に従ってその機能が適宜に変更される類の共通操作子である。
また、「音色リスト画面」には上記したボイスの一覧表示102に加えて、選択可能なサブコンテンツがサブコンテンツ表示103として表示される。ここでは、一例としてデモ用動画データに基づきデモ演奏の動画を表示する「デモ動画」、デモ用自動演奏データに基づきデモソングを発生する「デモソング」、説明用テキストデータに基づき説明文を表示する「説明文」の各サブコンテンツを表示したものを示している。こうしたサブコンテンツを指定する場合には、サブコンテンツ表示103に対応する位置に配置された「1」〜「6」の各設定操作子5Aのうち、サブコンテンツ表示103の各画面位置に対応する位置に配置されている「4」〜「6」のいずれかの操作子5Aを操作すればよい。すなわち、「4」〜「6」の各設定操作子5Aは、サブコンテンツを指定するサブコンテンツスイッチとして動作するよう機能が割り当てられる。例えば「5」の操作子5Aを押下操作した場合には、該選択されたサブコンテンツ「デモソング」を実現するデモ用自動演奏データが外部記憶装置8Aから選択的に読み込まれて一時メモリ(RAM3)に記憶され、これを自動再生することによってデモソングが自動演奏されることになる(後述の図6参照)。なお、サブコンテンツの指定はボイスの選択後のみに行うことが可能となっており、指定可能なサブコンテンツは選択されたボイスに関するサブコンテンツのみである。
なお、ディスプレイ6Aは画面上でのタッチ操作可能な所謂タッチパネルであってもよく、その場合には画面上に表示されたタグ101、ボイス一覧表示102、サブコンテンツ表示103において所望の表示にユーザが直接触れることにより、上記したような表示対象、ボイスあるいはサブコンテンツの選択/指定等を行うことができることは言うまでもない。
図4の説明に戻って、何れかのボイスの選択操作が行われたと判定した場合には(ステップS12のYES)、「音色リスト画面」において選択されたボイスをリスト上で強調表示すると共に、設定されたボイス(ボイスパラメータ、波形データ)をプリセットボイスバンク又は拡張ボイスバンクから読み出して音源(音源・効果回路7)で利用可能に設定する(ステップS13)。ステップS14は、前記設定されたボイスを利用して演奏処理を実行する。当該演奏処理の実行に伴って、ユーザによる演奏操作や自動演奏データの再生等に基づきユーザ所望の音色の楽音が発生される。ステップS15は、後述の図6に示すサブコンテンツ利用処理を実行する。ステップS16は、ユーザ操作に応じてボイスモード終了指示が行われたか否かを判定する。ボイスモード終了指示が行われていないと判定した場合には(ステップS16のNO)、ステップS12の処理に戻る。ボイスモード終了指示が行われたと判定した場合には(ステップS16のYES)、当該処理を終了する。
次に、上記した「ボイスモード処理」において実行される「サブコンテンツ利用処理」(ステップS15)について、図6を用いて説明する。図6は、サブコンテンツ利用処理の一実施例を示すフローチャートである。
ステップS21は、上述した「音色リスト画面」(図5参照)においていずれかのサブコンテンツスイッチの操作が行われたか否かを判定する。いずれのサブコンテンツスイッチの操作も行われていないと判定した場合には(ステップS21のNO)、当該処理を終了する。一方、いずれかのサブコンテンツスイッチの操作が行われたと判定した場合には(ステップS21のYES)、該サブコンテンツスイッチの操作前に選択されているボイスが拡張ボイスバンクに記憶されているボイスであるか否かを判定する(ステップS22)。予め選択済みのボイスが拡張ボイスバンクに記憶されているボイスでないと判定した場合つまりはプリセットボイスバンクに記憶されているボイスである場合は(ステップS22のNO)、プリセットボイスバンク(ROM2)から指定されたサブコンテンツを読み出し、表示あるいは再生などの予めサブコンテンツ毎に決められた利用態様に従って利用する(ステップS23)。その後、ステップS29の処理へ行く。
他方、予め選択済みのボイスが拡張ボイスバンクに記憶されているボイスであると判定した場合には(ステップS22のYES)、選択されているボイスの読み込み元ファイルパスを参照して、外部記憶装置8A内の該当するボイスデータファイルにアクセスする(ステップS24)。ステップS25は、外部記憶装置8A内に前記ボイスデータファイルが記憶されているか否かを判定する。外部記憶装置8A内に前記ボイスデータファイルが記憶されていないと判定した場合には(ステップS25のNO)、インストール元のボイスデータファイルが見つからない旨の警告文をディスプレイ6A上に一定期間表示してから(ステップS28)、本処理を終了する。一方、外部記憶装置8A内に前記ボイスデータファイルが記憶されていると判定した場合には(ステップS25のYES)、当該ボイスデータファイルからサブコンテンツスイッチ操作により指定されたサブコンテンツを抽出して読み込み、一時メモリ(RAM3)に書き込む(ステップS26)。ステップS27は、前記書き込んだ一時メモリ(RAM3)内のサブコンテンツに基づいて表示あるいは再生などの予めサブコンテンツ毎に決められた利用態様に従ってサブコンテンツを利用した制御を行う。
図7は、サブコンテンツの利用態様の具体例を示す概念図である。ただし、ここではサブコンテンツとして説明用テキストデータによる「説明文」表示が指定された場合を例に示している。例えば図5に示した「音楽リスト画面」上において、「ギター」ボイスの選択後に「説明文」のサブコンテンツスイッチが操作された場合には、図7に示すように「音楽リスト画面」上にさらに「説明文」を記載したポップアップ画面104が表示される。前記表示される「説明文」は、予め選択済みの「ギター」ボイスに関する音楽的な特徴や使い方あるいは関連するパラメータの設定方法等の、ユーザが当該ボイスを有効に利用するための補助的な説明が記載されている。
図6の説明に戻って、ステップS29はサブコンテンツの利用が終了したか否かを判定する。サブコンテンツの利用終了指示は、例えば図7に示した「音色リスト画面」において「説明文」スイッチを再度操作するあるいは他のボイスを選択する操作を行うなどのユーザによる所定操作に応じて行われる。また、サブコンテンツがデモソングやデモ動画である場合には、上記した操作に加えてデモ用自動演奏データやデモ用動画データの再生等を行うシーケンサ部(図示せず)に処理の強制停止を指示するために別途設けられている専用の「停止」スイッチなどを操作することによってもよい。サブコンテンツの利用が終了していないと判定した場合には(ステップS29のNO)、サブコンテンツの利用が終了するまで(上記ユーザによる強制停止を含む)本処理の進行を待機する。サブコンテンツの利用が終了したと判定した場合には(ステップS29のYES)、サブコンテンツの利用を終了して(ステップS30)、本処理を終了する。サブコンテンツの利用を終了する際には、一時メモリに記憶したサブコンテンツを消去する。
以上のように、本発明に係る電子音楽装置では、外部記憶装置に記憶された拡張コンテンツデータを読み込むユーザ操作が行われた場合、外部記憶装置から指定された拡張コンテンツデータに含まれるメインコンテンツのみを取得して記憶手段に記憶し、この時点ではサブコンテンツを読み込まないでおく。そして、外部記憶装置に記憶された拡張コンテンツデータに含まれるサブコンテンツが選択された場合には、外部記憶装置に記憶されている前記選択されたサブコンテンツを含む拡張コンテンツデータに再度アクセスし、該アクセスした拡張コンテンツデータから該当するサブコンテンツのみを取得するようにしている。
こうすることで、外部記憶装置に記憶された拡張コンテンツデータを装置本体に読み込む際にはサブコンテンツの読み込みが行われないことから、メインコンテンツのみを効率的にすばやく取得することができ、従ってメインコンテンツを使用できる状態になるまでに大きなタイムラグが発生せずユーザの使い勝手の悪化を招くことがない。またメインコンテンツのみを記憶すればよいので記憶容量は少なくて済む。拡張コンテンツデータに含まれるメインコンテンツを利用する際には、記憶手段に記憶済みのメインコンテンツを利用すればよいことから、拡張コンテンツデータに含まれるメインコンテンツを直ちに使用することができる。
他方、サブコンテンツデータについてはユーザに必要とされ利用指示されたもののみがその都度装置本体側に読み込まれて利用されることから、サブコンテンツデータを記憶するための記憶容量が少なくて済み都合がよい。サブコンテンツデータについてはメインコンテンツデータほどのリアルタイム性が要求されないので、装置本体側への取り込みに多少の時間がかかっても問題ない。
ところで、本実施例においては上述した「ボイスデータインストール処理」(図2参照)の実行に伴って拡張データのメインコンテンツを音源用のRAM(RAM3)に書き込み、また上述した「サブコンテンツ利用処理」(図6参照)の実行に伴って拡張データのサブコンテンツを一時メモリ(同様にRAM3)に書き込むようにしている。RAM3内にデータを記憶させるようにしていることから、装置本体の電源がオフされると記憶したデータは当然に消去されることになる。そうした場合、消去されたデータを再度使用できるようにするためには、メインコンテンツを再インストールする必要があるが、ユーザは再度インストールするボイスを指定しなければならず面倒である。そこで、拡張ボイスバンク(詳しくはフラッシュメモリ(内蔵記憶装置8B))に記憶した各ボイスデータに関する情報に従って、装置本体の電源オン時に過去にインストールしたボイスデータのメインコンテンツを自動的にリロードできるようにしている。図8は、起動時のリロード処理の一実施例を示すフローチャートである。当該処理は、装置本体の電源オンに応じて開始される。
ステップS31は、フラッシュメモリの管理ファイルに記憶されている全ボイスの読み込み元ファイルパスを参照して、外部記憶装置8A内のボイスデータファイルに順次アクセスする。ステップS32は、外部記憶装置8A内に該当するボイスデータファイルが記憶されているか否かを判定する。外部記憶装置8A内に該当するボイスデータファイルが記憶されていないと判定した場合、例えば別の外部記憶装置8Aに取り替えられており該当のボイスデータが記憶されていないような場合には(ステップS32のNO)、インストール元のボイスデータファイルが見つからない旨の警告文をディスプレイ6A上に一定期間表示する(ステップS34)。なお、インストール元のボイスデータファイルが見つからない場合には、外部記憶装置8Aを装着しなおす(取り替える)などして再度リロード処理するのが望ましいことは言うまでもない。
一方、外部記憶装置8A内に該当するボイスデータファイルが記憶されていると判定した場合には(ステップS32のYES)、見つかったボイスデータファイルからボイスパラメータ及び/又は波形データ(つまりメインコンテンツ)のみを抽出して読み込み、音源用のRAMに書き込む(ステップS33)。ステップS35は、フラッシュメモリの管理ファイルに記憶されている全ボイスに対応する全ファイルについてアクセスしたか否かを判定する。全ファイルについてアクセスしておらずアクセス完了していないと判定した場合には(ステップS35のNO)、ステップS32の処理に戻って上記ステップS32〜ステップS35の処理を繰り返し実行する。全ファイルについてアクセスしアクセス完了したと判定した場合には(ステップS35のYES)、本処理を終了する。このように、リロード時においてもメインコンテンツのみを装置本体側に記憶し、サブコンテンツについては装置本体側に記憶しない。
なお、拡張データは外部記憶装置8Aから取得することに限らず、メーカ(コンテンツ提供者)やその他の利用者が新規に作成しサーバコンピュータ10Aに登録した任意の拡張データを通信ネットワークXを介して取得することのできるようになっていてもよい。