JP5820722B2 - シクロスポリン類似体及びhcv感染の治療におけるその使用 - Google Patents

シクロスポリン類似体及びhcv感染の治療におけるその使用 Download PDF

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Description

(関連出願)
本願は、2008年6月6日に出願された「新規の大環状ペプチド」という表題の米国仮出願第61/059,649号に対する優先権の利益を主張し、そのすべての内容は引用により本明細書中に組み込まれている。
(本発明の分野)
新規のシクロスポリン誘導体、該シクロスポリン誘導体を含む組成物、該シクロスポリン誘導体の製造方法、該シクロスポリン誘導体合成における中間体、及び治療薬としての、例えば抗ウイルス薬としての該シクロスポリン誘導体の使用が本明細書に開示されている。
1989年に、非A型非B型の輸液後肝炎の主要因ウイルスが発見され、C型肝炎ウイルス(HCV)と命名された。それ以来、A型、B型、及びC型のほかに、数種類の肝炎ウイルスが発見され、この中で、HCVによって生じた肝炎がC型肝炎と呼ばれる。HCVに感染した患者は、世界人口の数%を包含すると考えられ、HCVによる感染は特徴的に慢性となっている。
HCVは、エンベロープ型RNAウイルスであり、この中で、該ゲノムは、一本鎖のプラス鎖RNAであり、フラビウイルスのヘパシウイルス属に属する(国際微生物学連合の国際ウイルス分類委員会(The International Committee on Taxonomy of Viruses, International Union of Microbiological Societies)による。)。他の肝炎ウイルス、例えば、DNAウイルスであるB型肝炎ウイルス(HBV)は免疫系によって除去され、このウイルスによる感染は
急性感染で終止するが、例外として、新生児及び幼児はまだ、未成熟な免疫学的な応答能を有する。対照的に、HCVは、未知の機構によって宿主の免疫系を何らかの形で回避する。一旦、このウイルスに感染すると、成熟な免疫系を有する成人でさえ頻繁に、持続的な感染を発症する。
慢性肝炎がHCVによる持続的な感染と関連している場合、慢性肝炎は、高い割合で硬変症又は肝癌に進行する。患者がしばしば、非癌性部分における続発症の炎症による再発性肝癌を発症するので、手術による腫瘍の摘出は、明らかに役に立たない。
このように、C型肝炎を治療し又は制御する有効な治療法が望まれる。抗炎症薬を使用して炎症を抑制する全身性治療法とは別に、HCVを炎症のない低レベルまで低下させ、HCVを根絶する治療薬の開発に対する需要がある。最適な治療薬は、C型肝炎治療法を完了した後6ヶ月以上検出不可能なレベルの血中ウイルスとして定義される「持続したウイルス学的応答」として分類されるウイルス学的応答を提供するであろう。
現在のところ、単一の薬剤としての又はリバビリンとの併用でのインターフェロンによる処置は、HCVの根絶について公知の唯一の有効な方法である。しかしながら、インターフェロンは、患者集団の約1/3でしかウイルスを根絶できない。患者の残りについては、まったく効果を有さないか又は一時的な効果を提供するに過ぎない。それゆえ、抗HCV薬をインターフェロンの代わりに又はインターフェロンと同時に使用する必要がある。
シクロスポリンAは、その免疫抑制活性並びに、抗真菌活性、抗寄生虫活性、及び抗炎症活性、及び抗HIV活性を含むある範囲の治療用途について周知である。シクロスポリンA及び特定の誘導体は、抗HCV活性を有するものとして報告されており、Watashiらの文献(2003, Hepatology 38:1282-1288)、Nakagawaらの文献(2004, Biochem. Biophys. Res. Commun. 3 13:42-7)、並びにShimotohno及びK. Watashiの文献(2004, アメリカ移植術会議要約集(American Transplant Congress, Abstract) No. 648 (American Journal of Transplantation 2004, 第4巻, 第s8号, Pages 1-653))を参照されたい。HCV活性を有するシクロスポリン誘導体は、国際公報第WO2005/021028号、第WO2006/039668号、及び第WO2006/038088号から公知である。5-バリン窒素が非水素置換基によって置換されるシクロスポリンは、Papageorgiouらの文献(1997, Bioorganic & Medicinal Chemistry, 5(1):187-192)から公知である。
一態様において、一般式(I)のシクロスポリン誘導体:
Figure 0005820722
(式中:
Aは、(E) -CH=CHR又は-CH2CH2Rであり、式中、Rは、メチル、-CH2SH、-CH2(チオアルキル)、-CH2(カルボキシル)、-CH2(アルコキシカルボニル)、カルボキシル、又はアルコキシカルボニルを表す;
Bは、メチル、エチル、1-ヒドロキシエチル、イソプロピル、又はn-プロピルを表す;
R1は、
同じでも異なってもよい1つ以上のR3基によって任意に置換した1〜6個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖アルキル;
ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、N-モノアルキルアミノ、及びN,N-ジアルキルアミノからなる群から選択される同じでも異なってもよい1つ以上の基によって任意に置換した2〜6個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖アルケニル;
ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、N-モノアルキルアミノ、及びN,N-ジアルキルアミノからなる群から選択される同じでも異なってもよい1つ又は1つ以上の基によって任意に置換した2〜6個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖アルキニル;
ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、N-モノアルキルアミノ、及びN,N-ジアルキルアミノからなる群から選択される同じでも異なってもよい1つ以上の基によって任意に置換した3〜6個の炭素原子を含むシクロアルキル;或いは
2〜6個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖アルコキシカルボニル
を表す;
R2は、
同じでも異なってもよい1つ以上のR41基によって任意に置換した1〜6個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖アルキル;
同じでも異なってもよい1つ以上のR42基によって任意に置換した2〜6個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖アルケニル;
ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、N-モノアルキルアミノ、及びN,N-ジアルキルアミノからなる群から選択される同じでも異なってもよい1つ以上の基によって任意に置換した2〜6個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖アルキニル;
ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、N-モノアルキルアミノ、及びN,N-ジアルキルアミノからなる群から選択される同じでも異なってもよい1つ以上の基によって任意に置換した3〜6個の炭素原子を含むシクロアルキル;或いは
2〜6個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖アルコキシカルボニル
を表す;
Xは、-S(=O)n又は酸素を表し、式中、nは0、1、又は2である;
R3は、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、カルボキシル、アルコキシカルボニル、-NR5R6、-NR7(CH2)mNR5R6、シクロアルキル、及びフェニルからなる群から選択され、該フェニルは、アルキル、ハロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アミノ、N-アルキルアミノ、N,N-ジアルキルアミノ、カルボキシル、及びアルコキシカルボニルからなる群から選択される同じでも異なってもよい1〜5個の基によって任意に置換される;又はR3は、4〜6個の環原子を含む炭素結合した飽和若しくは不飽和複素環であり、該環は、窒素、酸素、及び硫黄からなる群から選択される同じでも異なってもよい1個若しくは2個のヘテロ原子を含んでもよく、該環は、アルキル、ハロゲン、アルコキシ、アミノ、カルボキシル、及びアルキルからなる群から選択される同じでも異なってもよい1〜4個の基によって任意に置換されてもよく、該アルキルは、アミノ、N-アルキルアミノ、若しくはN,N-ジアルキルアミノによって置換される;
R41は、
ハロゲン、ヒドロキシル、-OR8、カルボキシル、アルコキシカルボニル、-NR5R6、-NR7(CH2)mNR5R6、ホルミル、-C(=O)R8、-S(O)pR8(式中pは、0、1、又は2である);
アルキル、ハロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アミノ、N-アルキルアミノ、N,N-ジアルキルアミノ、カルボキシル、及びアルコキシカルボニルからなる群から選択される同じでも異なってもよい1〜5個の基によって任意に置換したフェニル;又は
ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、N-モノアルキルアミノ、及びN,N-ジアルキルアミノからなる群から選択される同じでも異なってもよい1つ以上の基によって任意に置換した3〜6個の炭素原子を含むシクロアルキル
を表す;
又はR41は、4〜6個の環原子を含む炭素結合した飽和若しくは不飽和複素環を表し、該環は、窒素、酸素、及び硫黄からなる群から選択される同じでも異なってもよい1〜3個のヘテロ原子を含み、該環は、アルキル、ハロゲン、アルコキシ、アミノ、カルボキシル、及びアルキルからなる群から選択される同じでも異なってもよい1〜4個の基によって任意に置換されてもよく、該アルキルは、アミノ、N-アルキルアミノ、及びN,N-ジアルキルアミノによって置換される;
R42は、
ハロゲン、ヒドロキシル、-NR5R6、-OR8、カルボキシル、アルコキシカルボニル、-C(=O)NR5R6、ホルミル、-C(=O)R8、-S(O)nR8、-NR7(CH2)mNR5R6
アルキル、ハロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アミノ、N-アルキルアミノ、N,N-ジアルキルアミノ、カルボキシル、及びアルコキシカルボニルからなる群から選択される同じでも異なってもよい1〜5個の基によって任意に置換したフェニル;又は
ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、N-モノアルキルアミノ、及びN,N-ジアルキルアミノからなる群から選択される同じでも異なってもよい1つ以上の基によって任意に置換した3〜6個の炭素原子を含むシクロアルキル
を表す;
又はR42は、4〜6個の環原子を含む炭素結合した飽和若しくは不飽和複素環であり、該環は、窒素、酸素、及び硫黄からなる群から選択される同じでも異なってもよい1〜3個のヘテロ原子を含み、該環は、アルキル、ハロゲン、アルコキシ、アミノ、カルボキシル、及びアルキルからなる群から選択される同じでも異なってもよい1〜4個の基によって任意に置換されてもよく、該アルキルは、アミノ、N-アルキルアミノ、及びN,N-ジアルキルアミノによって置換される;
R5及びR6は、同じでも異なってもよく、各々
水素;
1〜6個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖アルキル;
2〜4個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖アルケニル又はアルキニル;
1〜6個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖アルキルによって任意に置換した3〜6個の炭素原子を含むシクロアルキル
を表す;
或いは、R5及びR6は、それらが結合する窒素原子とともに、4〜6個の環原子を含む飽和又は不飽和複素環を形成し、該環は、窒素、酸素、及び硫黄からなる群から選択される別のヘテロ原子を任意に含んでもよく、該環は、アルキル、フェニル、及びベンジルからなる群から選択される同じでも異なってもよい1〜4個の基によって任意に置換されてもよい;
R7は、水素、1〜6個の炭素原子を含む直鎖若しくは分岐鎖アルキル、シアノ、又はアルキルスルホニルを表す;
R8は、
1〜6個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖アルキル;
アルキル、ハロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アミノ、N-アルキルアミノ、及びN,N-ジアルキルアミノからなる群から選択される同じでも異なってもよい1〜5個の基によって任意に置換したアリール;
アルキル、ハロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アミノ、N-アルキルアミノ、及びN,N-ジアルキルアミノからなる群から選択される同じでも異なってもよい1〜5個の基によって任意に置換したヘテロアリール;
アラルキルであって、この中で、該アリール環が、ハロゲン、アミノ、N-アルキルアミノ、N,N-ジアルキルアミノ、アルコキシ、及びハロアルキルからなる群から選択される同じでも異なってもよい1〜5個の基によって任意に置換され、この中で、該アルキレン基が、1〜3個の炭素原子を含む、アラルキル;又は
ヘテロアリールアルキルであって、この中で、該ヘテロアリール環が、ハロゲン、アミノ、N-アルキルアミノ、N,N-ジアルキルアミノ、アルコキシ及びハロアルキルによって任意に置換され、この中で、該アルキレン基が1〜3個の炭素原子を含む、ヘテロアリールアルキル
を表す;
mは、1〜4の整数である。);
並びにその医薬として許容し得る塩及び溶媒和物が本明細書に提供される。
別の態様において、一般式(I)の化合物(式中:
Aは、(E) -CH=CHR又は-CH2CH2Rを表し、式中、Rは、メチル、-CH2SH、-CH2(チオアルキル)、-CH2(カルボキシル)、又は-CH2(アルコキシカルボニル)を表す;
Bは、メチル、エチル、1-ヒドロキシエチル、イソプロピル、又はn-プロピルを表す;
R1は、
同じでも異なってもよい1つ以上のR3基によって任意に置換した1〜6個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖アルキル;
ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、N-モノアルキルアミノ、及びN,N-ジアルキルアミノからなる群から選択される同じでも異なってもよい1つ以上の基によって任意に置換した2〜6個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖アルケニル;
ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、N-モノアルキルアミノ、及びN,N-ジアルキルアミノからなる群から選択される同じでも異なってもよい1つ又は1つ以上の基によって任意に置換した2〜6個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖アルキニル;
ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、N-モノアルキルアミノ、及びN,N-ジアルキルアミノからなる群から選択される同じでも異なってもよい1つ以上の基によって任意に置換した3〜6個の炭素原子を含むシクロアルキル;或いは
2〜6個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖アルコキシカルボニル
を表す;
R2は、
同じでも異なってもよい1つ以上のR4基によって任意に置換した1〜6個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖アルキル;
ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、N-モノアルキルアミノ、及びN,N-ジアルキルアミノからなる群から選択される同じでも異なってもよい1つ以上の基によって任意に置換した2〜6個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖アルケニル;
ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、N-モノアルキルアミノ、及びN,N-ジアルキルアミノからなる群から選択される同じでも異なってもよい1つ以上の基によって任意に置換した2〜6個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖アルキニル;
ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、N-モノアルキルアミノ、及びN,N-ジアルキルアミノからなる群から選択される同じでも異なってもよい1つ以上の基によって任意に置換した3〜6個の炭素原子を含むシクロアルキル;
或いは、2〜6個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖アルコキシカルボニル
を表す;
Xは、-S(=O)n-又は酸素を表し、式中nは、0、1、又は2である;
R3は、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、カルボキシル、アルコキシカルボニル、-NR5R6、及び-NR7(CH2)mNR5R6、シクロアルキル、並びにアルキル、ハロアルキルハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アミノ、N-アルキルアミノ、N,N-ジアルキルアミノ、カルボキシル、及びアルコキシカルボニルからなる群から選択される同じでも異なってもよい1〜5個の基によって任意に置換したフェニルからなる群から選択される;又はR3は、4〜6個の環原子を含む飽和若しくは不飽和複素環であり、該環は、窒素、酸素、及び硫黄からなる群から選択される別のヘテロ原子を任意に含んでもよく、該環は、アルキル、ハロゲン、アルコキシ、アミノ、カルボキシル、及びアミノ、N-アルキルアミノ、若しくはN,N-ジアルキルアミノによって置換したアルキルからなる群から選択される同じでも異なってもよい1〜4個の基によって任意に置換してもよい;
R4は、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、カルボキシル、アルコキシカルボニル、-NR5R6、-NR7N(CH2)mR5R6、並びにアルキル、ハロアルキルハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アミノ、N-アルキルアミノ、N,N-ジアルキルアミノ、カルボキシル、及びアルコキシカルボニルからなる群から選択される同じでも異なってもよい1〜5個の基によって任意に置換したフェニルからなる群から選択される;又はR4は、4〜6個の環原子を含む飽和若しくは不飽和複素環であり、該環は、窒素、酸素、及び硫黄からなる群から選択される別のヘテロ原子を任意に含んでもよく、該環は、アルキル、ハロゲン、アルコキシ、アミノ、カルボキシル、及びアミノ、N-アルキルアミノ、若しくはN,N-ジアルキルアミノによって置換したアルキルからなる群から選択される同じでも異なってもよい1〜4個の基によって任意に置換されてもよい;
R5及びR6は、同じでも異なってもよく、各々
水素;
1〜6個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖アルキル;
2〜4個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖アルケニル又はアルキニル;或いは
1〜6個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖アルキルによって任意に置換した3〜6個の炭素原子を含むシクロアルキル
を表す;
或いは、R5及びR6は、それらが結合する窒素原子とともに、4〜6個の環原子を含む飽和又は不飽和複素環を形成し、該環は、窒素、酸素、及び硫黄からなる群から選択される別のヘテロ原子を任意に含んでもよく、該環は、アルキル、フェニル、及びベンジルからなる群から選択される同じでも異なってもよい1〜4個の基によって任意に置換されてもよい;
R7は、水素、1〜6個の炭素原子を含む直鎖若しくは分岐鎖アルキル、シアノ、又はアルキルスルホニルを表す;
mは、1〜4の整数である。);
又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物が本明細書に提供される。
別の態様において、本明細書に開示される式(I)の化合物の製造方法が本明細書に提供される。
特定の場合において、置換基A、B、R1、及びR2は、光学異性及び/又は立体異性の一因となり得る。このような形態はすべて、本発明によって包含される。
医薬として許容し得る塩、アルカリ金属、例えばナトリウム、カリウム、若しくはリチウムを有する、若しくはアルカリ土類金属、例えばマグネシウム若しくはカルシウムを有する塩、アンモニウム塩、又は窒素ベースの塩、例えばエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、メチルアミン、プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、ベンジルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N-ベンジルフェネチルアミン、N,N'-ジベンジルエチレンジアミン、ジフェニレンジアミン、ベンズヒドリルアミン、キニン、コリン、アルギニン、リシン、ロイシン、若しくはジベンジルアミンの例としての記載がなされてもよい。
(定義)
本発明の化合物及び複合体に言及する場合、下記の用語は、別段の記載がない限り、下記の意味を有する。
「シクロスポリン」は、当業者に公知の任意のシクロスポリン化合物又はその誘導体を指す。例えば、Rueggerらの文献(1976, Helv. Chim. Acta. 59:1075-92;Borelらの文献(1977, Immunology 32:1017-25))を参照されたい;これらのすべての内容は全体として引用により本明細書により組み込まれている。本明細書に開示した典型的な化合物は、シクロスポリン誘導体である。別段の記載がない限り、本明細書に記載したシクロスポリンは、シクロスポリンAであり、本明細書に記載したシクロスポリン誘導体は、シクロスポリンAの誘導体である。
以後使用されるシクロスポリンの命名法及び付番方式は、J. Kallenらの文献「シクロスポリン:生合成、薬理学及び生物学、並びに臨床的応用における近年の発展(Cyclosporins: Recent Developments in Biosynthesis, Pharmacology and Biology, and Clinical Applications)」(バイオテクノロジー(Biotechnology), 第2版, H.-J. Rehm及びG. Reed編, 1997, p 535-591)によって使用されるものであり、以下に示される:
Figure 0005820722
これは、以下に示される式(I)の化合物における飽和環の炭素原子に対応する:
Figure 0005820722
「アルキル」は、特に最大約11個の炭素原子を有する、より特別には1〜8個の炭素原子の、なおもより特別には1〜6個の炭素原子の低級アルキルとしての一価の飽和脂肪族ヒドロカルビル基を指す。該炭化水素鎖は、直鎖又は分岐鎖のいずれであってもよい。この用語は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソ-ブチル、tert-ブチル、n-ヘキシル、n-オクチル、tert-オクチル、及びこれらの類似物などの基によって具現化される。用語「低級アルキル」は、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基を指す。
「アルキレン」は、特に最大約11個の炭素原子を有する、より特別には直鎖又は分岐鎖であることができる1〜6個の炭素原子を有する二価の飽和脂肪族ヒドロカルビル基を指す。この用語は、メチレン(-CH2-)、エチレン(-CH2CH2-)、プロピレン異性体(例えば、-CH2CH2CH2-及び-CH(CH3)CH2-)、及びこれらの類似物などの基によって具現化される。
「アルケニル」は、直鎖又は分岐鎖であり得かつ少なくとも1個の、特に1〜2個の部位のオレフィン不飽和を有する、好ましくは最大約11個の炭素原子、特に2〜8個の炭素原子、及びより特別には2〜6個の炭素原子を有する一価のオレフィン的に不飽和のヒドロカルビル基を指す。特定のアルケニル基には、エテニル(-CH=CH2)、n-プロペニル(-CH2CH=CH2)、イソプロペニル(-C(CH3)=CH2)、ビニル及び置換ビニル、並びにこれらの類似物を含む。
「アルケニレン」は、直鎖又は分岐鎖であり得かつ少なくとも1個の、特に1〜2個の部位のオレフィン不飽和を有する、特に最大約11個の炭素原子、及びより特別には2〜6個の炭素原子を有する二価のオレフィン的に不飽和のヒドロカルビル基を指す。この用語は、エテニレン(-CH=CH-)、プロペニレン異性体(例えば、-CH=CHCH2-及び-C(CH3)=CH-及び-CH=C(CH3)-)及びこれらの類似物などの基によって具現化される。
「アルキニル」は、直鎖又は分岐鎖であり得かつ少なくとも1個の、特に1〜2個の部位のアルキニル不飽和を有する、特に最大約11個の炭素原子及びより特別には2〜6個の炭素原子を有するアセチレン的に不飽和のヒドロカルビル基を指す。アルキニル基の特定の制限的でない例には、アセチレン、エチニル(-C≡CH)、プロパルギル(-CH2C≡CH)、及びこれらの類似物を含む。
「アルコキシ」は、Rがアルキルである-OR基を指す。特定のアルコキシ基には、例として、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、tert-ブトキシ、sec-ブトキシ、n-ペントキシ、n-ヘキソキシ、1,2-ジメチルブトキシ、及びこれらの類似物を含む。
「N-アルキルアミノ」は、アルキル-NR'-基を指し、式中R'は、水素及びアルキルから選択される。
「アルキルスルホニル」は、-S(=O)2アルキルラジカルを指し、式中アルキルは、本明細書に定義されるとおりである。
「アルコキシカルボニル」は、-C(=O)-アルコキシラジカルを指し、式中、アルコキシは、本明細書に定義されるとおりである。
「アミノ」は、-NH2ラジカルを指す。
「アラルキル」は、アリールによって置換したアルキルを指し、ここで、アルキル及びアリールは、本明細書に定義されるとおりである。特定の制限的でないアラルキル基には、ベンジル(-CH2Ph)、フェネチル(-CH2CH2Ph)、及びこれらの類似物を含む。
「アリール」は、任意に置換した芳香族炭化水素ラジカル、例えばフェニルを指す。
「アリールアミノ」は、アリール-NR'-を指し、式中R'は、水素、アリール、及びヘテロアリールから選択される。
「Bmt」は、2(S)-アミノ-3(R)-ヒドロキシ-4(R)-メチル-6(E)-オクテン酸を指す。
「カルボキシル」は、-C(=O)OHラジカルを指す。
「N,N-ジアルキルアミノ」は、-NRR'ラジカルを意味し、式中R及びR'は独立して、本明細書に定義されるように、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、シクロヘテロアルキル基、置換シクロヘテロアルキル基、ヘテロアリール基、又は置換ヘテロアリール基を表す。
「ホルミル」は、-C(=O)Hラジカルを指す。
「ハロゲン」又は「ハロ」は、クロロ、ブロモ、フルオロ、又はヨードを指す。
「ヘテロアリール」は、任意に置換した飽和又は不飽和の複素環ラジカルを指す。一般的に、該複素環は4〜7個の環原子、例えば5個又は6個の環原子を含む。ヘテロアリールの例には、チエニル、フリル、ピロリル、オキサジニル、チアジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、モルフォリニル、ピラゾリル、及びテトラヒドロフリルを含む。
「ヒドロキシル」は、-OHラジカルを指す。
「チオアルキル」は、-SR基を指し、式中Rはアルキルである。例には、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、ブチルチオ、及びこれらの類似物を含むが、これらに限定されるわけではない。
「医薬として許容し得る塩」は、生物学的特性を保持し、医薬用途に対して毒性ではなく又はそれに代わるものとして望ましくないものではない、本明細書に開示した化合物の任意の塩を指す。このような塩は、当技術分野で周知の種々の有機及び無機対イオンに由来し得、該対イオンを含む。このような塩には、(1)塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、スルファミン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンチルプロピオン酸、グリコール酸、グルタル酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、ソルビン酸、アスコルビン酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3-(4-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、ピクリン酸、ケイ皮酸、マンデル酸、フタル酸、ラウリン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2-エタン-ジスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4-クロロベンゼンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸、4-トルエンスルホン酸、ショウノウ酸、カンファースルホン酸、4-メチルビシクロ[2.2.2]-オクタ-2-エン-1-カルボン酸、グルコヘプトン酸、3-フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、tert-ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、安息香酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、シクロヘキシルスルファミン酸、キナ酸、ムコン酸、及びこれらの類似の酸などの有機酸又は無機酸を使用して形成される酸付加塩;又は(2)親化合物に存在する酸性プロトンが、(a)金属イオン、例えばアルカリ金属イオン、アルカリ土類イオン、若しくはアルミニウムイオン、又は水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化リチウム、水酸化亜鉛、及び水酸化バリウムなどのアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の水酸化物、アンモニアによって置換される場合、又は(b)アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ピコリン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、リシン、アルギニン、オルニチン、コリン、N,N'-ジベンジルエチレン-ジアミン、クロロプロカイン、ジエタノールアミン、プロカイン、N-ベンジルフェネチルアミン、N-メチルグルカミンピペラジン、トリス(ヒドロキシメチル)-アミノメタン、水酸化テトラメチルアンモニウム、及びこれらの類似物など、脂肪族、脂環式、若しくは芳香族の有機アミンなどの有機塩基と配位結合する場合のいずれかで形成される塩を含む。
塩にはさらに、例としてに過ぎないが、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、テトラアルキルアンモニウム、及びこれらの類似物を含み、該化合物が塩基性官能基を含む場合、ヒドロハライド、例えば塩酸塩及び臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩、スルファミン酸塩、硝酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、トリクロロ酢酸塩、プロピオン酸塩、ヘキサン酸塩、シクロペンチルプロピオン酸塩、グリコール酸塩、グルタル酸塩、ピルビン酸塩、乳酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、ソルビン酸塩、アスコルビン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、安息香酸塩、3-(4-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸塩、ピクリン酸塩、ケイ皮酸塩、マンデル酸塩、フタル酸塩、ラウリン酸塩、メタンスルホン酸塩(メシル酸塩)、エタンスルホン酸塩、1,2-エタン-ジスルホン酸塩、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩(ベシル酸塩)、4-クロロベンゼンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、4-トルエンスルホン酸塩、ショウノウ酸塩、カンファースルホン酸塩、4-メチルビシクロ[2.2.2]-オクタ-2-エン-1-カルボン酸塩、グルコヘプトン酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、トリメチル酢酸塩、tert-ブチル酢酸塩、ラウリル硫酸塩、グルコン酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、シクロヘキシルスルファミン酸塩、キナ酸塩、ムコン酸塩、及びこれらの類似物などの非毒性の有機酸又は無機酸の塩を含む。
用語「生理学的に許容し得るカチオン」は、酸性官能基の非毒性の生理学的に許容し得るカチオン性対イオンを指す。このようなカチオンは、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、及びテトラアルキルアンモニウムのカチオン、並びにこれらの類似物によって具現化される。
「溶媒和物」は、非共有結合性分子間力によって結合した化学量論量又は非化学量論量の溶媒をさらに含む本発明の化合物又はその塩を指す。該溶媒が水である場合、該溶媒和物は水和物である。
同じ分子式を有するが、その原子の結合の性質若しくは配列、又はその原子の空間的な配置が異なる化合物は、「異性体」と名付けられていることは理解されるべきである。その原子の空間的な配置が異なる異性体は、「立体異性体」と名付けられている。
互いに鏡像ではない立体異性体は、「ジアステレオマー」と名付けられ、互いに重ねることができない鏡像であるものは、「鏡像異性体」と名付けられている。化合物が不斉中心を有する場合、例えば4個の異なる基に結合している場合、一対の鏡像異性体があり得る。鏡像異性体は、その不斉中心の絶対配置を特徴とすることができ、Cahn及びPrelogの規則に従って(R)又は(S)と指定され(Cahnらの文献(1966, Angew. Chem. 78:413-447, Angew. Chem., Int. Ed. Engl. 5:385- 414(訂正: Angew. Chem., Int. Ed. Engl. 5:511);Prelog及びHelmchenの文献(1982, Angew. Chem. 94:614-631, Angew. Chem. Internat. Ed. Eng. 21:567-583);Mata及びLoboの文献(1993, Tetrahedron: Asymmetry 4:657-668))、或いは分子が偏光面を回転させる様式を特徴とすることができ、右旋性又は左旋性と(すなわち、それぞれ(+)-又は(-)-異性体として)指定される。キラル化合物は、個々の鏡像異性体又はその混合物としてのいずれかで存在することができる。等しい比率の鏡像異性体を含む混合物は、「ラセミ混合物」と呼ばれる。
特定の実施態様において、本発明に開示した化合物は、1つ以上の不斉中心を有してもよい;このような化合物はそれゆえ、個々の(R)-若しくは(S)-鏡像異性体、又はその混合物として生成することができる。別段の記載がない限り、例えば式の任意の位置における立体化学の明示によって、明細書及び特許請求の範囲における特定の化合物の説明又は呼称は、個々の鏡像異性体と、そのラセミ混合物又はその他の混合物との両方を包含することを意図する。立体化学の決定方法及び立体異性体の分離方法は、当技術分野で周知である。特定の実施態様において、本発明は、塩基による処理の際に本明細書に開示した化合物の立体異性体を提供する。
特定の実施態様において、本発明の化合物は、「立体化学的に純粋」である。又は、立体化学的に純粋な化合物は、当業者によって「純粋」と認識されるであろうあるレベルの立体化学的純度を有する。もちろん、このレベルの純度は100%未満であろう。特定の実施態様において、「立体化学的に純粋な」は、代替異性体が実質的に存在しない化合物を示す。特定の実施態様において、該化合物は、他の異性体を85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、又は99.9%含まない。
「サルコシン」又は「Sar」は、構造-N(Me)CH2C(=O)-を有する当業者に公知のアミノ酸残基を指す。当業者は、サルコシンをN-メチルグリシンとして認識し得る。
本明細書において使用されるように、用語「対象」及び「患者」は、本明細書では同義に使用する。用語「対象(subject)」及び「対象(subjects)」は、動物、好ましくは非霊長類(例えば、ウシ、ブタ、ウマ、ネコ、イヌ、ラット、及びマウス)及び霊長類(例えば、カニクイザル、チンパンジーなどのサル、及びヒト)を含む哺乳類、より好ましくはヒトを指す。別の実施態様において、対象は、家畜(例えば、ウマ、ウシ、ブタなど)又はペット(例えば、イヌ又はネコ)である。好ましい実施態様において、対象はヒトである。
本明細書において使用されるように、用語「治療薬(therapeutic agent)」及び「治療薬(therapeutic agents)」は、障害又は1つ以上のその症状の治療、管理、又は寛解において使用することができる任意の作用薬を指す。特定の実施態様において、用語「治療薬」は本発明に開示した化合物を指す。特定の他の実施態様では、用語「治療薬」は本発明に開示した化合物を指さない。好ましくは、治療薬は、障害又は1つ以上のその症状の治療、管理、予防、又は寛解に有用であることが知られており、或いはそのために使用されたことがあり、又は現に使用されている作用薬である。
「治療的有効量」は、疾患を治療するために対象に投与する場合、該疾患に対してこのような治療をもたらすのに十分な量の化合物又は複合物又は組成物を意味する。「治療的有効量」は、とりわけ該化合物、該疾患及びその重症度、並びに治療される対象の齢、体重などに応じて変動することができる。
任意の疾患又は障害の「治療すること」又は「治療」は、一実施態様において、対象に存在する疾患又は障害を寛解させることを指す。別の実施態様において、「治療すること」又は「治療」は、対象によっては識別不可能かもしれない少なくとも1つの身体的パラメータを寛解させることを指す。さらに別の実施態様において、「治療すること」又は「治療」は、疾患又は障害を身体的に(例えば、識別可能な症状の安定化)又は生理的に(例えば、身体的パラメータの安定化)のいずれかで、又はその両方で調節することを指す。さらに別の実施態様において、「治療すること」又は「治療」は、疾患又は障害の発症を遅延させることを指す。
本明細書で使用されるように、使用される用語「予防薬(prophylactic agent)」及び「予防薬(prophylactic agents)」は、障害又は1つ以上のその症状の予防において使用することができる任意の作用薬を指す。特定の実施態様において、用語「予防薬」は本発明に開示した化合物を指す。特定の他の実施態様において、用語「予防薬」は本発明の化合物を指さない。好ましくは、予防薬は、障害の発症、発達、進行、及び/又は重症度を予防し若しくは遅延させるために有用であることが知られており、或いは予防し若しくは遅延させるために使用されたことがあり、又は現に使用されている作用薬である。
本明細書で使用されるように、用語「予防する」、「予防すること」、及び「予防」は、治療法(例えば、予防薬又は治療薬)の投与、又は治療薬の併用(例えば、予防薬又は治療薬の併用)の投与の結果として生じる、対象における障害の1つ以上の症状の再発、発症、又は発達の予防を指す。
本明細書で使用されるように、句「予防的有効量」は、障害と関連した1つ以上の症状の発達、再発、若しくは発症の予防を結果として生じ又は別の治療法(例えば、別の予防薬)の予防効果を亢進し若しくは改善するのに十分な治療法(例えば、予防薬)の量を指す。
用語「ラベル」は、物品の直接容器上の記載物、印刷物、又は図示物の、例えば医薬として活性のある薬剤を含むバイアルに表示された記載物の表示物を指す。
用語「ラベリング」は、任意の物品、又は該物品の容器若しくは包装物のいずれかの上の、或いはこのような物品に添付されたすべてのラベル及び他の記載物、印刷物、若しくは図示物、例えば医薬として活性のある薬剤の容器に添付された又は付随した添付文書又は使用説明ビデオテープ若しくはDVDを指す。
特定の実施態様において、一般式(1)の化合物が本明細書で提供され、式中、Aは、(E) -CH=CHR又は-CH2CH2Rを表し、式中、Rは、メチル、-CH2SH、-CH2(チオアルキル)、-CH2(カルボキシル)、-CH2(アルコキシカルボニル)、カルボキシル、又はアルキオキシカルボオニル(alkyoxycarbonyl)を表す。一実施態様において、Aは、(E) -CH=CHR又は-CH2CH2Rを表し、式中Rは、メチル、-CH2SH、-CH2(チオアルキル)、-CH2(カルボキシル)、又は-CH2(アルコキシカルボニル)を表す。さらなる実施態様において、Aは、(E) -CH=CHRを表す。なおもさらなる実施態様において、Aは、-CH2CH2Rを表す。好ましい実施態様において、Aは、(E) CH=CHRを表す。
一実施態様において、Rはメチルを表す。
特定の実施態様において、Bは、メチル、エチル、1-ヒドロキシエチル、イソプロピル、又はn-プロピルを表す。一実施態様において、Bは、エチル、1-ヒドロキシエチル、イソプロピル、又はn-プロピルを表す。別の実施態様において、Bはエチルを表す。
一実施態様において、R1は、同じでも異なってもよい1つ以上のR3基によって任意に置換した、1〜6個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖アルキルを表す。別の実施態様において、R1は、同じでも異なってもよい1個又は2個のR3基によって任意に置換した、1〜4個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖アルキルを表す。さらなる実施態様において、R1は、同じでも異なってもよい1個又は2個のR3基によって任意に置換した、1〜3個の炭素原子を含む直鎖アルキルを表す。なおもさらなる実施態様において、R1は、1個又は2個のR3基によって任意に置換したアルキルを表す。さらに別の実施態様において、R1は、1個又は2個のR3基によって任意に置換した1〜3個の炭素原子を含む直鎖アルキルを表す。なおもさらなる実施態様において、R1は、R3基によって任意に置換した1〜3個の炭素原子を含む直鎖アルキルを表す。
特定の実施態様において、Xは、-S(=O)n-又は酸素を表し、式中nは、0、1、又は2である。一実施態様において、Xは酸素又は硫黄を表す。さらなる実施態様において、Xは酸素を表す。なおもさらなる実施態様において、Xは硫黄を表す。
一実施態様において、R2は、同じでも異なってもよい1つ以上のR41基によって任意に置換した、1〜6個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖アルキルを表す。別の実施態様において、R2は、R41基によって任意に置換した、1〜6個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖アルキルを表す。さらなる実施態様において、R2は、R41基によって置換した1〜4個の炭素原子を含む直鎖アルキルを表す。なおもさらなる実施態様において、R2は、R41基によって置換したメチルを表す。
一実施態様において、R2は、同じでも異なってもよい1つ以上のR41基によって任意に置換した、1〜6個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖アルキルを表す。別の実施態様において、R2は、R42基によって任意に置換した3〜6個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖アルケニルを表す。別の実施態様において、R2は、R42基によって置換した3〜6個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖アルケニルを表す。さらなる実施態様において、R2は、R42基によって任意に置換した3〜5個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖アルケニルを表す。さらなる実施態様において、R2は、R42基によって置換した3〜5個の炭素原子を含む直鎖アルケニルを表す。なおもさらなる実施態様において、R2は、R42基によって置換したブタ-2-エニルを表す。なおもさらなる実施態様において、R2は、R42基によって置換したトランスブタ-2-エニルを表す。なおもさらなる実施態様において、R2は、R42基によって4位において置換したブタ-2-エニルを表す(すなわち、-CH2CH=CHCH2R42)。
一実施態様において、R3は、アミノ、N-アルキルアミノ、N,N-ジアルキルアミノ、又はシクロアルキルを表す。別の実施態様において、R3は、N,N-ジメチルアミノエチル、N,N-ジエチルアミノエチル、N-メチル-N-tert-ブチルアミノエチル、N-エチル-N-tert-ブチルアミノエチル、又はシクロブチルを表す。さらなる実施態様において、R3は、N,N-ジメチルアミノ又はシクロブチルを表す。
一実施態様において、R41は、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、カルボキシル、アルコキシカルボニル、-NR5R6、-NR7(CH2)mNR5R6;又はアルキル、ハロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アミノ、N-アルキルアミノ、N,N-ジアルキルアミノ、カルボキシル、及びアルコキシカルボニルからなる群から選択される同じでも異なってもよい1〜5個の基によって任意に置換したフェニルを表す;又はR41は、4〜6個の環原子を含む炭素結合した飽和又は不飽和の複素環であり、該環は、窒素、酸素、及び硫黄からなる群から選択される同じでも異なってもよい1個又は2個のヘテロ原子を含み、該環は、アルキル、ハロゲン、アルコキシ、アミノ、カルボキシル、及びアルキルからなる群から選択される同じでも異なってもよい1〜4個の基によって任意に置換されてもよく、該アルキルは、アミノ、N-アルキルアミノ、及びN,N-ジアルキルアミノによって置換される。
一実施態様において、R41は、アルキル、ハロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、N-アルキルアミノ、N,N-ジアルキルアミノ、カルボキシル、及びアルコキシカルボニルからなる群から選択される同じでも異なってもよい1〜5個の基によって任意に置換したフェニルを表す。さらなる実施態様において、R41は、アルキル、ハロアルキル、ハロゲン、及びアルコキシからなる群から選択される基によって任意に置換したフェニルを表す。なおもさらなる実施態様において、R41は、アルキル及びハロアルキルからなる群から選択される1個の基によって任意に置換したフェニルを表す。なおもさらなる実施態様において、R41は、-NR5R6を表し、式中、同じでも異なってもよいR5及びR6は各々、アルキルを表す。
一実施態様において、R41は、ヒドロキシル、-NR5R6、-OR8、カルボキシル、アルコキシカルボニル、-C(=O)NR5R6、ホルミル、又は-C(=O)R8を表す。別の実施態様において、R41は、ヒドロキシル、-NR5R6、又は-OR8を表す。さらなる実施態様において、R41は、ヒドロキシル、-NR5R6、-OR8、又はアルキル、ハロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アミノ、N-アルキルアミノ、N,N-ジアルキルアミノ、カルボキシル、及びアルコキシカルボニルからなる群から選択される同じでも異なってもよい1〜5個の基によって任意に置換したフェニル;又はハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、N-モノアルキルアミノ、及びN,N-ジアルキルアミノからなる群から選択される同じでも異なってもよい1つ以上の基によって任意に置換した3〜6個の炭素原子を含むシクロアルキルを表す。
一実施態様において、R42は、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、N-モノアルキルアミノ、又はN,N-ジアルキルアミノを表す。別の実施態様において、R42は、ヒドロキシル、-NR5R6、-OR8、カルボキシル、アルコキシカルボニル、-C(=O)NR5R6、ホルミル、又は-C(=O)R8を表す。さらなる実施態様において、R42は、ヒドロキシル、-NR5R6、又は-OR8を表す。
一実施態様において、R5及びR6は、同じでも異なってもよく、各々、水素;又は1〜6個の炭素原子を含む直鎖若しくは分岐鎖アルキルを表す;又はR5及びR6は、それらが結合する窒素原子とともに、4〜6個の環原子を含む飽和若しくは不飽和複素環を形成し、該環は、窒素、酸素、及び硫黄からなる群から選択される別のヘテロ原子を任意に含んでもよく、該環は、アルキル、フェニル、及びベンジルからなる群から選択される同じでも異なってもよい1〜4個の基によって任意に置換されてもよい。別の実施態様において、R5及びR6は、同じでも異なってもよく、各々、1〜6個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖アルキルを表す。さらなる実施態様において、R5及びR6は各々、メチルを表す。
一実施態様において、R8は、アルキル、ハロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アミノ、N-アルキルアミノ、及びN,N-ジアルキルアミノからなる群から選択される同じでも異なってもよい1個又は2個の基によって任意に置換したアリールを表す;又はR8は、該アリール環が、ハロゲン、アミノ、N-アルキルアミノ、N,N-ジアルキルアミノ、アルコキシ、及びハロアルキルからなる群から選択される同じでも異なってもよい1個又は2個の基によって任意に置換されたアラルキルを表し、この中で、アラルキルのアルキルは、1個又は2個の炭素原子を含む。さらなる実施態様において、R8は、該フェニル環が、アルキル、ハロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、及びアルコキシからなる群から選択される同じでも異なってもよい1個又は2個の基によって任意に置換されたベンジルを表す。さらなる実施態様において、R8は、該フェニル環が、同じでも異なってもよい1個又は2個のアルコキシ基によって任意に置換されたベンジルを表す。
特定の実施態様において、一般式(I)の化合物が本明細書に提供される:
Aは、(E) -CH=CHR又は-CH2CH2Rを表し、式中、Rは、メチル、-CH2SH、-CH2(チオアルキル)、-CH2(カルボキシル)、又は-CH2(アルコキシカルボニル)を表す;
R2は、
同じでも異なってもよい1個以上のR41基によって任意に置換した1〜6個の炭素原子を含む直鎖若しくは分岐鎖アルキル;
同じでも異なってもよい1個以上のR42基によって任意に置換した2〜6個の炭素原子を含む直鎖若しくは分岐鎖アルケニル;
ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、N-モノアルキルアミノ、及びN,N-ジアルキルアミノからなる群から選択される同じでも異なってもよい1個以上の基によって任意に置換した2〜6個の炭素原子を含む直鎖若しくは分岐鎖アルキニル;
ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、N-モノアルキルアミノ、及びN,N-ジアルキルアミノからなる群から選択される同じでも異なってもよい1個以上の基によって任意に置換した3〜6個の炭素原子を含むシクロアルキル;又は
2〜6個の炭素原子を含む直鎖若しくは分岐鎖アルコキシカルボニル
を表す;
Xは、-S(=O)n-又は酸素を表し、式中、nは、0、1、又は2である;
R41は、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、カルボキシル、アルコキシカルボニル、-NR5R6、-NR7(CH2)mNR5R6;アルキル、ハロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アミノ、N-アルキルアミノ、N,N-ジアルキルアミノ、カルボキシル、及びアルコキシカルボニルからなる群から選択される同じでも異なってもよい1〜5個の基によって任意に置換したフェニルを表す;又はR41は、4〜6個の環原子を含む炭素結合した飽和若しくは不飽和複素環であり、該環は、窒素、酸素、及び硫黄からなる群から選択される同じでも異なってもよい1個若しくは2個のヘテロ原子を含み、該環は、アルキル、ハロゲン、アルコキシ、アミノ、カルボキシル、及びアルキルからなる群から選択される同じでも異なってもよい1〜4個の基によって任意に置換されてもよく、該アルキルは、アミノ、N-アルキルアミノ、及びN,N-ジアルキルアミノによって置換される;
R42は、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、N-モノアルキルアミノ、又はN,N-ジアルキルアミノを表す;
R5及びR6は、同じでも異なってもよく、各々、
水素;
1〜6個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖アルキル;
2〜4個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖アルケニル又はアルキニル;
1〜6個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖アルキルによって任意に置換した3〜6個の炭素原子を含むシクロアルキル
を表す;
又はR5及びR6は、それらが結合する窒素原子とともに、4〜6個の環原子を含む飽和若しくは不飽和複素環を形成し、該環は、窒素、酸素、及び硫黄からなる群から選択される別のヘテロ原子を任意に含んでもよく、該環は、アルキル、フェニル、及びベンジルからなる群から選択される同じでも異なってもよい1〜4個の基によって任意に置換されてもよい;
R7は、水素、1〜6個の炭素原子を含む直鎖若しくは分岐鎖アルキル、シアノ、又はアルキルスルホニルを表す;
及びmは、1〜4の整数である。
本発明の特に好ましい化合物には下記を含む:
1.[(R)-2-(N,N-ジメチルアミノ)エチルチオ-Sar]3-(N-ベンジル)-Val5-シクロスポリンA;
2.[(R)-(1-N,N-ジメチルアミノ-シクロブチルメチルチオ)-Sar]3-(N-ベンジル)-Val5-シクロスポリンA;
3.[(R)-2-(N,N-ジメチルアミノ)エチルチオ-Sar]3-(4-イソプロピルベンジル)-Val5-シクロスポリンA;
4.[メチルチオ-Sar]3-(N-ベンジル)-Val5-シクロスポリンA;
5.[n-プロピルチオ-Sar]3-(N-ベンジル)-Val5-シクロスポリンA;
6.[メトキシ-Sar]3-(N-ベンジル)-Val5-シクロスポリンA;
7.[メトキシ-Sar]3-(3-トリフルオロメチルベンジル)-Val5-シクロスポリンA;
8.[メトキシ-Sar]3-(N-アリル)-Val5-シクロスポリンA;
9.[メトキシ-Sar]3-(N-ブタ-2-エニル)-Val5-シクロスポリンA;
10.[メトキシ-Sar]3-(N-3-メチル-ブタ-2-エニル)-Val5-シクロスポリンA;
11.[メトキシ-Sar]3-N-(トランス-4-ベンジルオキシ-ブタ-2-エニル)-Val5-シクロスポリンA;
12.[メチルチオ-Sar]3-N-[トランス-4-(3',4'-ジメトキシ)ベンジルオキシ-ブタ-2-エニル]-Val5-シクロスポリンA;
13.[メトキシ-Sar]3-N-[トランス-4-(3',4'-ジメトキシ)ベンジルオキシ-ブタ-2-エニル]-Val5-シクロスポリンA;
14.[メチルチオ-Sar]3-N-[トランス-4-ヒドロキシ-ブタ-2-エニル]-Val5-シクロスポリンA;
15.[メトキシ-Sar]3-N-[トランス-4-ヒドロキシ-ブタ-2-エニル]-Val5-シクロスポリンA;
16.[メチルチオ-Sar]3-N-[トランス-4-ジメチルアミノ-ブタ-2-エニル]-Val5-シクロスポリンA;
17.[メトキシ-Sar]3-N-[トランス-4-ジメチルアミノ-ブタ-2-エニル]-Val5-シクロスポリンA;
18.[メトキシ-Sar]3-N-[4-ヒドロキシブチル]-Val5-シクロスポリンA;
19.[メトキシ-Sar]3-N-[4-ジメチルアミノブチル]-Val5-シクロスポリンA;
20.[メチルチオ-Sar]3-(N-アリル)-Val5-シクロスポリンA;及び
21.[エチルチオ-Sar]3-(N-ベンジル)-Val5-シクロスポリンA。
1〜21の番号を使用して、以後のこれらの化合物を引用し及び同定する。
本明細書に開示した化合物は、当業者に明白な任意の方法によって製造することができ、単離することができ、又は得ることができる。典型的な製造方法は、以下の実施例において詳細に記載する。
特定の実施態様において、式(I)の化合物は、式(II)の化合物の処理によって製造してもよい:
Figure 0005820722
(式中、A、B、X、及びR1は先に定義したとおりであり、結果として生じる陰イオン性化合物と式R2-Yの化合物との反応によって塩基が生じ、式中、R2は先に定義されるとおりであり、かつYは、ハロゲン、例えば臭化物、塩化物、ヨウ化物などの脱離基;又はメシル酸エステル、トルエンスルホン酸エステル、若しくはトリフルオロメタンスルホン酸エステルなどのスルホン酸エステルである。)。好ましくは、式(II)の化合物は適切な溶媒中で溶解し、約-70℃まで冷却される。該塩基を添加した後、式R2-Yの求電子剤を添加し、反応混合物をほぼ室温まで加温させる。好ましい溶媒には、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、ジオキサン、及びこれらの類似物を含む。該反応に適した塩基には、ホスファジン塩基、水素化ナトリウム、カリウムtert-ブトキシド、リチウムジイソプロピルアミド、及びこれらの類似物を含むが、これらに限定されるわけではない。特に好ましい塩基には、tert-ブチル-4,4,4-トリス(ジメチルアミノ)-2,2-ビス(トリス(ジメチルアミノ)-ホスホラニリデンアミノ)-25,45-カテナジ(ホスファゼン)(P4-t-ブチル)、及びこれらの類似物などの非求電子性塩基として当技術分野で公知のホスファジン型の塩基を含む。陰イオン性窒素基と反応することが公知の適切な求電子剤には、ハロゲン化アルキル又はスルホン酸アルキル;ハロゲン化ベンジル又はスルホン酸ベンジル;ハロゲン化ヘテロアリールアルキル又はスルホン酸ヘテロアリールアルキル;ハロゲン化アリル又はスルホン酸アリルを含む。式R1-Yの好ましい化合物には、エーテル基、チオエーテル基、及びエステル基とさらに置換したハロゲン化アルキル、例えばクロロメチルメチルエーテル、クロロメチルメチルスルフィド、及びtert-ブチルブロモアセタートを含む。
式(II)の化合物は、文献から公知であり、又は公知の方法の応用若しくは適合によって製造することができる。
特定の実施態様において、式(I)の化合物は、式(III)の化合物:
Figure 0005820722
の処理によって製造してもよい。
式中、A、B、及びR2は、先に定義したとおりであり、ポリアニオン種を生じるための適切な溶媒中の塩基は、このようにして得られたポリアニオンと式R1X-Lの求電子剤との反応によって生じ、式中、R1及びXは先に定義したとおりであり、かつLは脱離基である。典型的には、式(III)の化合物は、適切な溶媒中で溶解し、約-70℃まで冷却される。溶媒には、テトラヒドロフラン、ジメトキシオキシメタン、メチルtert-ブチルエーテル、ジオキサン、及びこれらの類似物を含む。混合物への塩基の添加後、結果として生じる混合物は一般的に、約1時間反応させ、任意で約-20℃まで加温させる。反応混合物は、典型的には-70℃まで冷却し、適切な求電子剤を添加する。この反応についての好ましい塩基には、n-ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、塩化リチウム及びナトリウムアミドと併用したリチウムジイソプロピルアミドを含む。適切な求電子剤には、活性化したアルキル及びハロゲン化アルケニル又はスルホン酸アルケニル、ジスルフィド、チオスルホナート、ハロゲン化トリアルキルシリル又はスルホン酸トリアルキルシリル、及びこれらの類似物を含むが、これらに限定されるわけではない。
A、B、及びR2がメチルを除き先に定義した通りである式(III)の化合物のポリアニオンは新規であり、それ自体、本発明のさらなる特徴を構成する。
式(II)の化合物は、式(IV)の化合物の処理によって製造されてもよい:
Figure 0005820722
(式中、A及びBは先に定義したとおりであり、結果として生じる陰イオン性化合物と式R1X-Yの化合物との反応によって塩基が生じ、式中、R1及びXは先に定義したとおりであり、かつYはハロゲン、例えば臭化物、塩化物、ヨウ化物などの脱離基;又はメシル酸エステル、トルエンスルホン酸エステル、若しくはトリフルオロメタンスルホン酸エステルなどのスルホン酸エステルである。)。好ましくは、式(IV)の化合物は、適切な溶媒中で溶解し、約-70℃まで冷却される。塩基を添加した後、式R1Yの求電子剤を添加し、反応混合物をほぼ室温まで加温させる。好ましい溶媒には、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、ジオキサン、及びこれらの類似物を含む。反応に適した塩基には、ホスファジン塩基、水素化ナトリウム、カリウムtert-ブトキシド、リチウムジイソプロピルアミド、及びこれらの類似物を含むがこれらに限定されるわけではない。特に好ましい塩基には、tert-ブチル-4,4,4-トリス(ジメチルアミノ)-2,2-ビス(トリス(ジメチルアミノ)-ホスホラニリデンアミノ)-25,45-カテナジ(ホスファゼン)(P4-t-ブチル)、及びこれらの類似物など、非求電子性塩基として当技術分野で公知のホスファジン型の塩基を含む。陰イオン性窒素基と反応することが公知の適切な求電子剤には、ハロゲン化アルキル又はスルホン酸アルキル;ハロゲン化ベンジル又はスルホン酸ベンジル;ハロゲン化ヘテロアリールアルキル又はスルホン酸ヘテロアリールアルキル;ハロゲン化アリル又はスルホン酸アリルを含む。式R1-Yの好ましい化合物には、エーテル基、チオエーテル基、及びエステル基でさらに置換したハロゲン化アルキル、例えば、クロロメチルメチルエーテル、クロロメチルメチルスルフィド、及びtert-ブチルブロモアセタートを含む。
先の式(IV)の化合物は公知であり、又は公知の方法の応用及び適合によって製造してもよい。
特定の実施態様において、式(I)の化合物は、式(V)の化合物:
Figure 0005820722
を脱保護することによって製造することができる。
式中、A、B、X、R1、及びR2は、先に定義したとおりであり、R50は、保護基を表す。好ましいR50基には、tert-ブチルジメチルシロキシ、トリエチルシリルオキシ、tert-ブチルジフェニルシリルオキシ、及びトリメチルシリルオキシなどのトリアルキルシリルを含む。該反応は一般的に、非プロトン性溶媒(例えば、THF)中で、約-20〜約50℃の温度でフッ化物源(例えば、フッ化テトラブチルアンモニウム、フッ化水素/ピリジン、フッ化セシウム)を使用して実施される。式(V)の化合物は新規であり、それ自体、本発明のさらなる特徴を形成する。
式(V)の化合物は、式(VI)の化合物:
Figure 0005820722
の処理によって製造してもよい:
式中、A、B、X、R1、及びR50は、先に定義したとおりであり、結果として生じる陰イオン性化合物と式R2-Yの化合物との反応によって塩基が生じ、式中R2は先に定義したとおり及びYである。反応条件は一般的に、式(II)の化合物からの式(I)の化合物の製造について先に記載したとおりである。式(VI)の化合物は、文献を公知であり、又は公知の方法の応用若しくは適合によって製造することができる。
式(V)又は(VI)の化合物は、対応する式(I)又は(II)の化合物を、任意で塩基の存在下で適切な溶媒中でこのような保護をもたらすことが公知の試薬を使用して処理することによって製造してもよい。好ましくは、該試薬は、トリアルキルシリル誘導体、活性化型カルボン酸、又はイソシアナートであり、該塩基は、トリアルキルアミン又はアルカリ土類カルボナートであり、該溶媒は、ジクロロメタン、ジクロロエタン、ジエチルエーテル、THF、及びこれらの類似物である。より好ましくは、該試薬は、tert-ブチルジメチルシリルトリフルオロアセタートであり、該塩基は、トリエチルアミンであり、該反応はジクロロエタン中で実施される。
式(I)の化合物は、例えば、以下に記載されるような、公知の方法の応用及び適合によって式(I)の他の化合物へと変換してもよい。
Xが硫黄でありかつR1がフェニルなどの芳香族基である式(I)、(II)、又は(V)の化合物の変換は、例えば下記の反応スキーム:
Figure 0005820722
に記載されるような、水銀塩などの触媒の存在下で適切なアルコールを使用した該含硫誘導体の処理によって、Xが酸素でありかつR1がアルキル又はアリールである式(I)、(II)、又は(V)の化合物へと変換することができる。
R1が、フェニル又は複素環によって置換したアルキルであり、かつ該フェニル又は複素環がハロゲン(例えば臭素)によって置換した式(I)、(II)、又は(V)の化合物は、式(I)、(II)、又は(V)の対応する化合物へと変換することができ、式中、R1は、フェニル又は複素環によって置換したアルキルであり、該フェニル又は複素環は、パラジウム仲介性反応、例えばスティル反応、鈴木反応、又はブッフバルト-ハートウィグクロスカップリング反応を使用して、アルキル、アリール、又はアミノによって置換される。
R1が非置換アルケニルを表す式(I)、(II)、又は(V)の化合物は、R1が置換アルキルである式(I)、(II)、又は(V)の他の化合物へと、文献において公知の手法を使用して選択的に変換することができる。例えば、このような化合物の選択的ヒドロホウ素化は、R1がヒドロキシルによって置換したアルキルである式(I)、(II)、又は(V)の対応する化合物を生じることができ、選択的メタセシス反応は新たなオレフィン誘導体をもたらすことができ、選択的ジヒドロキシル化は、R1が、2個のヒドロキシルによって置換したアルキルを表す式(I)、(II)、又は(V)の化合物をもたらすことができる。
R1が、アルコキシカルボニルによって置換したアルキルを表す式(I)、(II)、又は(V)の化合物は、R1が、カルボキシルによって置換したアルキルを表す式(I)、(II)、又は(V)の対応する化合物へと、例えばテトラヒドロフランにおける水酸化リチウム又はエタノールにおける水酸化ナトリウムを使用するアルコキシカルボニル基の選択的加水分解によって変換することができる。カルボキシルを含む式(I)、(II)、又は(V)の化合物は、カルボキシルがアミド、アルコキシカルボニル、及びヒドロキシルによって置換した式(I)、(II)、又は(V)の対応する化合物へと、公知の方法の応用及び適合によって変換してもよい。
R2がアルコキシカルボニルによって置換したアルキルを表す式(I)又は(V)の化合物は、R2がカルボキシルによって置換したアルキルを表す式(I)又は(V)の対応する化合物へと、例えばテトラヒドロフランにおける水酸化リチウム又はエタノールにおける水酸化ナトリウムを使用するアルコキシカルボニル基の選択的加水分解によって変換することができる。カルボキシルを含む式(I)又は(V)の化合物は、カルボキシルがアミド、アルコキシカルボニル、及びヒドロキシルによって置換される式(I)又は(V)の対応する化合物へと、公知の方法の応用及び適合によって変換してもよい。
R2がエーテルによって置換したアルキレンを表す式(I)又は(V)の化合物は、R2がヒドロキシルである式(I)又は(V)の対応する化合物へと、該エーテル基の選択的脱保護によって変換することができる。この手法において採用することができる好ましいエーテルには、4-メトキシベンジル、3,4-ジメトキシベンジル、アルキルチオメチル、テトラヒドロピラニル、及びこれらの類似物を含む。
R2がヒドロキシルによって置換したアルケニルを表す式(I)又は(V)の化合物は、1,4-不飽和カルボニル誘導体を与えるためのヒドロキシルの酸化;ヒドロキシル化合物を与えるためのアルケニル基のその後の選択的還元及びカルボニルの還元を包含する因果的連鎖によって、対応するアルキル誘導体へと変換することができる。アルケニル基の選択的還元は、水素化銅、リチウム/アンモニア、水酸化ナトリウム/鉄ペンタカルボニル、水素化ホウ素ナトリウム/塩化ニッケル、水素化臭素ナトリウム/硫酸銅、及びこれらの類似物を含む1,4還元を生じることが公知の試薬によってもたらすことができる。
先に論じたように、本明細書に開示した化合物は、中性形態、又は塩の形態であってもよい。
本発明の化合物、例えば、本明細書に開示した化合物が塩基性部分で置換される場合、酸付加塩を形成することができる。酸付加塩を製造するのに使用することができる酸には、好ましくは、遊離塩基と組み合わせる場合、医薬として許容し得る塩、すなわち、医薬用量の塩において陰イオンが対象に対して非毒性である塩を生じるものを含む。本発明の範囲内の医薬として許容し得る塩は、下記の酸に由来するものである:塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、スルファミン酸、及び硝酸などのミネラル酸;並びに酢酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンチルプロピオン酸、グリコール酸、グルタル酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、ソルビン酸、アスコルビン酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3-(4-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、ピクリン酸、ケイ皮酸、マンデル酸、フタル酸、ラウリン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2-エタン-ジスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4-クロロベンゼンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸、4-トルエンスルホン酸、ショウノウ酸、カンファースルホン酸、4-メチルビシクロ[2.2.2]-オクタ-2-エン-1-カルボン酸、グルコヘプトン酸、3-フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、tert-ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、安息香酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、シクロへキシスルファミン酸、キナ酸、ムコン酸、及びこれらに類する酸。
対応する酸付加塩には、ヒドロハライド、例えば塩酸塩及び臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩、スルファミン酸塩、硝酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、トリクロロ酢酸塩、プロピオン酸塩、ヘキサン塩、シクロペンチルプロピオン酸塩、グリコール酸塩、グルタル酸塩、ピルビン酸塩、乳酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、ソルビン酸塩、アスコルビン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、安息香酸塩、3-(4-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸塩、ピクリン酸塩、ケイ皮酸塩、マンデル酸塩、フタル酸塩、ラウリン酸塩、メタンスルホン酸塩(メシル酸塩)、エタンスルホン酸塩、1,2-エタン-ジスルホン酸塩、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩(ベシル酸塩)、4-クロロベンゼンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、4-トルエンスルホン酸塩、ショウノウ酸塩、カンファースルホン酸塩、4-メチルビシクロ[2.2.2]-オクタ-2-エン-1-カルボン酸塩、グルコヘプトン酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、トリメチル酢酸塩、tert-ブチル酢酸塩、ラウリル硫酸塩、グルコン酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、シクロヘキシルスルファミン酸塩、キナ酸塩、ムコン酸塩、及びこれらの類似物を含む。
本発明のさらなる特徴によると、本発明の化合物の酸付加塩は、遊離塩基と適切な酸との反応によって、公知の方法の応用又は適合によって製造することができる。例えば、本発明の化合物の酸付加塩は、水性若しくは水性-アルコール溶液又は適切な酸を含む他の適切な溶媒において遊離塩基を溶解して、溶液を蒸発させることによって塩を単離することによって、或いは有機溶媒において遊離塩基と酸とを反応させることによってのいずれかで製造することができ、後者の場合、塩は、直接分離し又は溶液の濃縮によって得ることができる。
本発明の化合物の酸付加塩、例えば、本発明に開示した化合物は、公知の方法の応用又は適合によって塩から再生することができる。例えば、本明細書に開示した親化合物は、アルカリ、例えば重炭酸ナトリウム水溶液又はアンモニア水溶液による処理によって、該親化合物の酸付加塩から再生することができる。
本発明の化合物、例えば、本発明の化合物が、酸部分と置換される場合、塩基付加塩を形成することができる。例えばアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩を含む、本発明の範囲内の医薬として許容し得る塩は、下記の塩基に由来するものである:水素化ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化リチウム、水酸化亜鉛、水酸化バリウム、並びに、アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ピコリン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、リシン、アルギニン、オルニチン、コリン、N,N'-ジベンジルエチレン-ジアミン、クロロプロカイン、ジエタノールアミン、プロカイン、N-ベンジルフェネチルアミン、N-メチルグルカミンピペラジン、トリス(ヒドロキシメチル)-アミノメタン、水酸化テトラメチルアンモニウム、及びこれらの類似物など、脂肪族、脂環式、又は芳香族有機アミンなどの有機アミン。
本発明の化合物の金属塩、例えば、本明細書に開示した化合物は、水性溶媒又は有機溶媒における水素化物、水酸化物、炭酸塩、又は選択された金属の同様の反応性化合物を、該化合物の遊離酸形態と接触させることによって得ることができる。採用される水性溶媒は、水であってもよく、或いは該溶媒は、水と有機溶媒、好ましくはメタノール若しくはエタノールなどのアルコール、アセトンなどのケトン、テトラヒドロフランなどの脂肪族エーテル、又は酢酸エチルなどのエステルとの混合物であってもよい。このような反応は通常、大気温で実施されるが、所望の場合、加熱しながら実施してもよい。
本発明の化合物のアミン塩、例えば、本明細書に開示した化合物は、水性溶媒又は有機溶媒におけるアミンを該化合物の遊離酸形態と接触させることによって得ることができる。適切な水性溶媒には、水及び水とメタノール若しくはエタノールなどのアルコール、テトラヒドロフランなどのエーテル、アセトニトリルなどのニトリル、又はアセトンなどのケトンとの混合物を含む。アミノ酸塩は、同様に製造され得る。
本発明の化合物の塩基付加塩、例えば本明細書に開示した化合物は、公知の方法の応用又は適合によって塩から再生することができる。例えば、本明細書に開示した親化合物は、酸、例えば塩酸による処理によって該親化合物の塩基付加塩から再生することができる。
(医薬組成物及び投与方法)
本発明の方法において使用されるシクロスポリン化合物は好ましくは、単独で又は希釈剤若しくはアジュバントなどの1つ以上の適合性のあるかつ医薬として許容し得る担体との或いは別の治療薬(例えば、抗HCV薬)との併用の形態のいずれかで、適宜、塩の形態における一般式(I)の少なくとも1つの化合物を含む医薬組成物を使用して提供される。臨床の実際において、本発明のシクロスポリン化合物は、任意の従来経路によって、特に経口的に、非経口的に、直腸的に、又は(例えばエアゾールの形態における)吸入によって投与されてもよい。本発明のシクロスポリン化合物は、好ましくは経口的に投与される。
経口投与のための固体組成物として、錠剤、丸剤、硬質ゼラチンカプセル、散剤、又は顆粒剤の使用がなされてもよい。これらの組成物において、本発明に従った活性製剤は、ショ糖、乳糖、又はデンプンなど、1つ以上の不活性希釈剤又はアジュバントと混合される。
これらの組成物は、希釈剤以外の物質、例えば、ステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤、又は放出制御のために意図したコーティングを含むことができる。
経口投与のための液体組成物として、水又は流動パラフィンなどの不活性希釈剤を含む、医薬として許容し得る懸濁液、エマルション、シロップ剤、及びエリキシル剤である溶液の使用がなされてもよい。また、これらの組成物は、希釈剤以外の物質、例えば、湿潤製剤、甘味製剤、又は調味製剤を含むこともできる。
非経口投与のための組成物は、エマルション又は滅菌溶液であることができる。溶媒又はビヒクルとして、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油、特にオリーブ油、又は注射可能な有機エステル、例えばオレイン酸エチルの使用がなされてもよい。また、これらの組成物は、アジュバント、特に湿潤剤、等張剤、乳化剤、分散剤、及び安定化剤を含むこともできる。滅菌は、いくつかの方法で、例えば、細菌フィルターを使用して、照射によって、又は加熱によって実施することができる。また、該組成物は、滅菌水又はその他の注射可能な滅菌済み媒体における使用の時点で溶解することができる滅菌済み固体組成物の形態で製造することもできる。
直腸投与のための組成物は、活性成分に加えて、カカオ脂、半合成グリセリド、又はポリエチレングリコールなどの賦形剤を含む坐剤又は直腸用カプセルである。
また、組成物はエアゾールとすることもできる。液体エアゾールの形態での使用のために、組成物は、安定した滅菌済み溶液又は、非発熱性滅菌水における、塩類溶液若しくはその他の医薬として許容し得るビヒクルにおける使用の時点で溶解した固体組成物とすることができる。直接吸入されるよう意図したドライエアゾールの形態における使用のために、活性成分を細かく分割し、水溶性固体希釈剤又はビヒクル、例えば、デキストラン、マンニトール、又は乳糖と組み合わせる。
好ましい実施態様において、本発明の組成物は、医薬組成物又は単回単位剤形である。本発明の医薬組成物及び単回単位剤形は、予防的又は治療的有効量の1つ以上の予防薬又は治療薬(例えば、本発明の化合物、又は他の予防薬若しくは治療薬)と、典型的に1つ以上の医薬として許容し得る担体又は賦形剤とを含む。具体的な実施態様において及びこの文脈において、用語「医薬として許容し得る」は、動物、より特別にはヒトにおける使用のために、連邦政府若しくは州政府の管理官庁によって認可され、又は米国薬局方若しくは他の一般的に認識された薬局方に列挙されていることを意味する。用語「担体」は、治療薬がともに投与される希釈剤、アジュバント(例えば、フロイントアジュバント(完全及び不完全))、賦形剤、又はビヒクルを指す。このような医薬担体は、ピーナッツ油、ダイズ油、ミネラルオイル、ゴマ油、及びこれらの類似物など、石油起源、動物起源、植物起源、又は合成起源のものを含む、水及び油などの滅菌済み液体であることができる。水は、医薬組成物が静脈内投与される場合、好ましい担体である。また、塩類溶液並びにデキストロース水溶液及びグリセロール水溶液は、特に、注射可能な溶液のための液体担体として採用することもできる。適切な医薬担体の例は、E. W. Martinの文献「Remingtonの製薬科学(Remington's Pharmaceutical Sciences)」に記載されている。
典型的な医薬組成物及び剤形は、1つ以上の賦形剤を含む。適切な賦形剤は医薬の当業者に周知であり、適切な賦形剤に関する制限的でない例には、デンプン、グルコース、乳糖、ショ糖、ゼラチン、麦芽、コメ、穀粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、滑石、塩化ナトリウム、ドライスキムミルク、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノール、及びこれらの類似物を含む。特定の賦形剤が医薬組成物又は剤形への組み込みに適しているかどうかは、剤形が対象に投与されるであろう方法及び剤形における具体的な活性成分を含むがこれらに限定されるわけではない当技術分野で周知の種々の因子による。また、所望の場合、組成物又は単回単位剤形は、少量の湿潤剤若しくは乳化剤、又はpH緩衝剤を含むことができる。
本発明の乳糖非含有組成物は、当技術分野で周知でありかつ例えば米国薬局方(USP)SP(XXI)/NF(XVI)に列挙されている賦形剤を含むことができる。一般的に、乳糖非含有組成物は、医薬として適合し得かつ医薬として許容し得る量で、活性成分、結合剤/充填剤、及び潤滑剤を含む。典型的な乳糖非含有剤形は、活性成分、微結晶セルロース、あらかじめゼラチン化したデンプン、及びステアリン酸マグネシウムを含む。
水が、いくつかの化合物の崩壊を容易にすることができるので、本発明はさらに、活性成分を含む無水の医薬組成物及び剤形を包含する。例えば、水の添加(例えば、5%)は、保存期間又は製剤の経時的な安定性などの特徴を決定するために長期の保存を模倣する手段として医薬分野で広く許容されている。例えば、Jens T. Carstensenの文献(「薬物の安定性:原理及び実際第2版(Drug Stability: Principles & Practice, 2d. Ed.)」, Marcel Dekker, NY, NY, 1995, pp. 379-80)を参照されたい。事実上、水及び熱は、いくつかの化合物の分解を加速する。このように、製剤の製造、取り扱い、包装、保存、輸送、及び使用の間に水分及び/又は湿気に普遍的に遭遇するので、製剤に及ぼす水の影響は、極めて重大となる可能性がある。
本発明の無水医薬組成物及び剤形は、無水又は低水分を含む成分及び低水分条件又は低湿度条件を使用して製造することができる。製造、包装、及び/又は保存の間に水分及び/又は湿気との実質的な接触が予期される場合、乳糖と第一級アミン又は第二級アミンを含む少なくとも1つの活性成分とを含む医薬組成物及び剤形は、好ましくは無水である。
無水医薬組成物は、その無水性が維持されるよう製造され及び保存されるべきである。従って、無水組成物は好ましくは、適切な製剤キットに含むことができるよう、水への曝露を防止することが公知の材料を使用して包装される。適切な包装の例には、密封封着したホイル、プラスチック、単位用量容器(例えば、バイアル)、ブリスター包装、及びストリップ包装を含むが、これらに限定されるわけではない。
本発明はさらに、活性成分が分解するであろう速度を低下させる1つ以上の化合物を含む医薬組成物及び剤形を包含する。「安定化剤」として本明細書で言及されるこのような化合物には、アスコルビン酸などの抗酸化物質、pH緩衝剤、又は塩緩衝剤を含むが、これらに限定されるわけではない。
医薬組成物及び単回単位剤形は、溶液、懸濁液、エマルション、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、持続放出性製剤、及びこれらの類似物の形態をとることができる。経口製剤には、医薬等級のマンニトール、乳糖、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなどの標準的な担体を含むことができる。このような組成物及び剤形は、予防的又は治療的有効量の予防薬又は治療薬を好ましくは精製した形態で、適切な量の担体とともに含んで、対象への適切な投与のための形態を提供するであろう。製剤は、投与の様式に適しているべきである。好ましい実施態様において、医薬組成物又は単回単位剤形は、滅菌済みであり、対象、好ましくは動物対象、より好ましくは哺乳類対象、及び最も好ましくはヒト対象への投与に適した形態である。
本発明の医薬組成物は、その意図した投与経路に適合するよう製剤される。投与経路の例には、非経口的、例えば、静脈内、皮内、皮下、筋肉内、皮下、経口、頬側、舌下、吸入、鼻内、経皮、局所、経粘膜、腫瘍内、滑膜内、及び直腸投与を含むが、これらに限定されるわけではない。具体的な実施態様において、組成物は、ヒトへの静脈内、皮下、筋肉内、経口、鼻内、又は局所投与に適した医薬組成物として所定の手法に従って製剤される。ある実施態様において、医薬組成物は、ヒトへの皮下投与のために所定の手法に従って製剤される。典型的には、静脈内投与のための組成物は、滅菌済みの等張性水性緩衝液における溶液である。必要な場合、組成物にはまた、可溶化剤及び、注射部位での疼痛を軽減するためのリグノカインなどの局所麻酔薬を含んでもよい。
剤形の例には、下記を含むが、これらに限定されるわけではない:錠剤;カプレット剤;軟質弾性ゼラチンカプセル剤などのカプセル剤;オブラート剤;トローチ剤;バッカル剤;分散剤;坐剤;軟膏;パップ剤(cataplasm)(パップ剤(poultice));ペースト剤;散剤;包帯;クリーム;ギプス;溶液;パッチ;エアゾール(例えば、点鼻スプレー又は吸入剤);ゲル;懸濁液(例えば、水性若しくは非水性液体懸濁液、水中油エマルション、又は油中水液体エマルション)、溶液、及びエリキシル剤を含む、対象への経口投与又は粘膜投与に適した液体剤形;対象への非経口投与に適した液体剤形;及び対象への非経口投与に適した液体剤形を提供するために再構成することができる滅菌済み固体(例えば、結晶固体又は非晶質固体)。
本発明の剤形の組成、形状、及び種類は、該剤形の使用に応じて典型的に変動するであろう。例えば、ウイルス感染の初期的治療に使用される剤形では、該剤形が含む活性成分の1つ以上の量が同一の感染の維持治療に使用される剤形よりも多く含まれてもよい。同様に、非経口剤形では、該剤形が含む活性成分の1つ以上の量が同一の疾患又は障害を治療するために使用される経口剤形よりも少なく含まれてもよい。これら及び、本発明によって包含される具体的な剤形が互いに変動するであろう他の方法は、当業者に容易に明らかであろう。例えば、Remingtonの製薬科学(Remington's Pharmaceutical Sciences)第18版(Mack Publishing, Easton PA(1990))を参照されたい。
一般的に、本発明の組成物の成分は、個別に又は単位剤形において互いに混合してのいずれかで、例えば活性薬の量を示すアンプル又はサシェなどの密封封着した容器における凍結乾燥した散剤又は水不含濃縮剤として供給される。組成物が注入によって投与されるべきである場合、該組成物は、滅菌済みの医薬等級の水又は塩類溶液を含む注入瓶を使用して分配することができる。組成物が注射によって投与される場合、注射用滅菌水又は塩類溶液のアンプルは、成分が混合された後に投与され得るよう提供することができる。
本発明の典型的な剤形は、本発明の化合物又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、若しくは水和物を、午前中に1日1回の単回用量として与えられるが好ましくは食物とともに摂取される1日を通じての分割した用量として与えられる約0.1mg/日〜約1000mg/日の範囲内に収まるよう含む。本発明の特定の剤形は、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、1.0、2.0、2.5、5.0、10.0、15.0、20.0、25.0、50.0、100、200、250、500、又は1000mgの活性型シクロスポリンを有する。
(経口剤形)
経口投与に適した本発明の医薬組成物は、錠剤(例えば、咀嚼可能な錠剤)、カプレット剤、カプセル剤、及び液体(例えば、調味されたシロップ剤)などだがこれらに限定されるわけではない離散した剤形として呈することができる。このような剤形は、所定の量の活性成分を含んでおり、当業者に周知の製薬方法によって製造され得る。一般的には、Remingtonの製薬科学(Remington's Pharmaceutical Sciences),第18版(Mack Publishing, Easton PA(1990))を参照されたい。
好ましい実施態様において、先の節で詳細に記載したとおり、経口剤形は固体であり、無水成分を使用して無水条件下で製造される。しかしながら、本発明の範囲は、無水の固体経口剤形を超えて拡大する。そういうものとして、さらなる形態が本明細書に記載されている。
本発明の典型的な経口剤形は、従来の医薬配合技術に従って少なくとも1つの賦形剤との本質的な混合において活性成分を組み合わせることによって製造される。賦形剤は、投与に望ましい製造形態に応じて、広範な種類の形態をとることができる。例えば、経口液体又はエアゾール剤形における使用に適した賦形剤には、水、グリコール、油、アルコール、調味料、保存料、及び着色料を含むがこれらに限定されるわけではない。固体経口剤形(例えば、散剤、錠剤、カプセル剤、及びカプレット剤)における使用に適した賦形剤の例には、デンプン、糖、微結晶性セルロース、希釈剤、造粒剤、潤滑剤、結合剤、及び崩壊剤を含むがこれらに限定されるわけではない。
錠剤及びカプセル剤は、その投与が容易であるので、最も有利な経口投薬単位形態を表し、この場合、固体賦形剤が採用される。所望の場合、錠剤は、標準的な水性又は非水性技術によってコーティングすることができる。このような剤形は、製薬の方法のいずれかによって製造することができる。一般に、医薬組成物及び剤形は、活性成分を液体担体、細かく分割した固体担体、又はその両方と均一かつ完全に混合した後に、必要に応じて望ましい体裁へと製品を成形することによって製造される。
例えば、錠剤は、圧縮又は鋳造によって製造することができる。圧縮剤形は、適切な機械において、任意で賦形剤と混合して散剤又は顆粒剤などの自由流動形態にある活性成分を圧縮することによって製造することができる。鋳造した錠剤は、適切な機械において、不活性液体希釈剤で湿潤した粉末化した化合物の混合物を鋳造することによって製造することができる。
本発明の経口剤形において使用することができる賦形剤の例には、結合剤、充填剤、崩壊剤、及び潤滑剤を含むが、これらに限定されるわけではない。医薬組成物及び剤形における使用に適した結合剤には、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、又は他のデンプン、ゼラチン、アカシア、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸、他のアルギン酸塩、粉末状トラガカント、グアーゴムなどの天然及び合成ゴム質、セルロース及びその誘導体(例えば、エチルセルロース、酢酸セルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム)、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、あらかじめゼラチン化したデンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えば、第2208番、第2906番、第2910番)、微結晶性セルロース、及びこれらの混合物を含むが、これらに限定されるわけではない。
本明細書に開示した医薬組成物及び剤形における使用に適した充填剤の例には、滑石、炭酸カルシウム(例えば、顆粒又は粉末)、微結晶性セルロース、粉末状セルロース、デキストラート(dextrate)、カオリン、マンニトール、ケイ酸、ソルビトール、デンプン、あらかじめゼラチン化したデンプン、及びこれらの混合物を含むが、これらに限定されるわけではない。本発明の医薬組成物における結合剤又は充填剤は典型的には、医薬組成物又は剤形の約50〜約99重量%で存在する。
微結晶性セルロースの適切な形態には、AVICEL PH 101、AVICEL PH 103 AVICEL RC 581、AVICEL PH 105(FMC Corporation, American Viscose Division, Avicel Sales, Marcus Hook, PAから入手可能)として販売されている材料、及びこれらの混合物を含むが、これらに限定されるわけではない。具体的な結合剤は、AVICEL RC 581として販売されている、微結晶性セルロースとカルボキシメチルセルロースナトリウムとの混合物である。適切な無水又は低湿賦形剤又は添加物には、AVICEL PH 103(商標)及びStarch 1500 LMを含む。
崩壊剤は、水性環境に曝露されたときに崩壊する錠剤を提供するために本発明の組成物において使用される。あまりにも多くの崩壊剤を含む錠剤は、保存において崩壊するかもしれないが、あまりにも少ない崩壊剤を含む錠剤は、所望の速度で又は所望の条件下で崩壊しないかもしれない。このように、活性成分の放出を不利益に変化させない多すぎでも少なすぎでもいない十分量の崩壊剤が、本発明の固体経口剤形を形成するために使用されるべきである。使用される崩壊剤の量は、製剤の種類に基づいて変動し、当業者に容易に認識できる。典型的な医薬組成物は、約0.5〜約15重量%の崩壊剤、具体的には、約1〜約5重量%の崩壊剤を含む。
本発明の医薬組成物及び剤形において使用することができる崩壊剤には、アガーアガー、アルギン酸、炭酸カルシウム、微結晶性セルロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポラクリンカリウム、グリコール酸デンプンナトリウム、ジャガイモ又はタピオカデンプン、あらかじめゼラチン化したデンプン、他のデンプン、粘土、他のアルギン、他のセルロース、ゴム質、及びこれらの混合物を含むが、これらに限定されるわけではない。
本発明の医薬組成物及び剤形において使用することができる潤滑剤には、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ミネラルオイル、軽ミネラルオイル、グリセリイン、ソルビトール、マンニトール、ポリエチレングリコール、他のグリコール、ステアリン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、滑石、水素化した植物油(例えば、ピーナッツ油、綿実油、ヒマワリ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、及びダイズ油)、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸エチル、エチルラウレアート(laureate)、アガー、及びこれらの混合物を含むが、これらに限定されるわけではない。さらなる潤滑剤には例えば、シロイド(syloid)シリカゲル(Baltimore, MDのW.R. Grace Co.によって製造されたAEROSIL 200)、合成シリカの共凝集エアゾール(Plano, TXのDegussa Co.によって市販)、CAB O SIL(Boston, MAのCabot Co.によって販売されている発熱性二酸化シリコン製品)、及びこれらの混合物を含む。少しでも使用される場合、潤滑剤は典型的には、該潤滑剤が組み込まれる医薬組成物又は剤形の約1重量%未満の量で使用される。
(遅延放出剤形)
本明細書に開示した化合物などの活性成分は、当業者に周知の制御放出手段又は送達装置によって投与することができる。例には、それらの各々が引用により本明細書中に組み込まれている米国特許第3,845,770号;第3,916,899号;第3,536,809号;第3,598,123号;並びに第4,008,719号、第5,674,533号、第5,059,595号、第5,591,767号、第5,120,548号、第5,073,543号、第5,639,476号、第5,354,556号、及び第5,733,566号に記載されているものを含むが、これらに限定されるわけではない。このような剤形を使用して、例えば、ヒドロプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリックス、ゲル、透過可能なメンブレン、浸透圧系、多層コーティング、微粒子、リポソーム、ミクロスフェア、又はこれらの組み合わせを使用して、変動する割合で所望の放出特性を提供する1つ以上の活性成分の遅延放出又は制御放出を提供することができる。本明細書に記載されたものを含む当業者に公知の適切な制御放出製剤は、本発明の活性成分ともに使用するために容易に選択することができる。このように、本発明は、制御放出に適した錠剤、カプセル剤、ゲルキャップ剤、及びカプレット剤などだがこれらに限定されるわけではない経口投与に適した単回単位剤形を包含する。
すべての制御放出医薬製剤は、これらの非制御対応物によって達成されるものを上回って薬物治療法を改良する共通の目的を有する。理想的には、医学的治療における最適に設計された制御放出製造物の使用は、最短の時間において容態を治癒し又は制御するために採用されている最小量の薬剤を特徴とする。制御放出製剤の利点には薬剤の延長した活性、低い投薬頻度、及び高い対象の遵守を含む。加えて、制御放出製剤を使用して、薬剤の血中レベルなど、作用又は他の特徴の開始時刻に影響を及ぼすことができ、従って、副作用(例えば、有害作用)の発生に影響を及ぼすことができる。
ほとんどの制御放出製剤は、所望の治療効果を正確に生じる薬剤(活性成分)の量を初期的に放出して、並びに薬剤の他の量を徐々にかつ持続的に放出して、このレベルの治療効果又は予防効果を経時的に延長して維持するよう設計されている。身体における薬剤のこの定常レベルを維持するために、薬剤は、身体から代謝され及び排泄されている薬剤の量を置換するであろう速度で剤形から放出されなければならない。活性成分の制御放出は、pH、温度、酵素、水、若しくは他の生理学的条件を含むがこれらに限定されるわけではない種々の条件、又は化合物によって刺激することができる。
(非経口剤形)
固体の無水経口剤形が好ましいが、本発明はまた非経口剤形も提供する。非経口剤形は、皮下、静脈内(迅速投与を含む。)、筋肉内、及び動脈内を含むがこれらに限定されるわけではない種々の経路によって対象に投与することができる。該投与が典型的に、汚染菌に対する対象の自然な防御を迂回するので、非経口剤形は好ましくは、対象への投与前に滅菌済みであり又は滅菌することができる。非経口剤形の例には、注射用に準備された溶液、注射用に医薬として許容し得るビヒクルに溶解され又は懸濁されるよう準備された乾燥製剤、注射用に準備された懸濁液、及びエマルションを含むが、これらに限定されるわけではない。
本発明の非経口剤形を提供するために使用することができる適切なビヒクルは、当業者に周知である。例には下記を含むが、これらに限定されるわけではない:米国薬局方注射用水;塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、デキストロース注射液、デキストロース及び塩化ナトリウム注射液、並びに乳酸化リンゲル注射液などだがこれらに限定されるわけではない水性ビヒクル;エチルアルコール、ポリエチレングリコール、及びポリプロピレングリコールなどだがこれらに限定されるわけではない水混和性ビヒクル;並びにトウモロコシ油、綿実油、ピーナッツ油、ゴマ油、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、及び安息香酸ベンジルなどだがこれらに限定されるわけではない非水性ビヒクル。
また、本明細書に開示した活性成分の1つ以上の溶解度を増大させる化合物も、本発明の非経口剤形に組み込むことができる。
(経皮的、局所的、及び粘膜剤形)
固体の無水経口剤形が好ましいが、本発明はまた、経皮的、局所的、及び粘膜剤形も提供する。本発明の経皮的、局所的、及び粘膜剤形には、点眼用の溶液、スプレー、エアゾール、クリーム、ローション、軟膏、ゲル、溶液、エマルション、懸濁液、又は当業者に公知の他の形態を含むがこれらに限定されるわけではない。例えば、Remingtonの製薬科学(Remington's Pharmaceutical Sciences)第16版及び第18版(Mack Publishing, Easton PA (1980及び1990));並びに医薬剤形入門(Introduction to Pharmaceutical Dosage Forms)第4版(Lea & Febiger, Philadelphia (1985))を参照されたい。口腔内の粘膜組織を治療するのに適した剤形は、含嗽剤として又は経口ゲルとして製剤することができる。さらに、経皮的剤形には、皮膚に適用して特定の時間装着して所望の量の活性成分の浸透を可能にすることができる「貯蔵器型」又は「マトリックス型」のパッチを含む。
本発明によって包含される経皮的、局所的、及び粘膜剤形を提供するために使用することができる適切な賦形剤(例えば、担体及び希釈剤)及び他の材料は、医薬分野の当業者に周知であり、与えられた医薬組成物又は医薬剤形が適用されるであろう特定の組織による。その点を考慮に入れると、典型的な賦形剤には、非毒性ありかつ医薬として許容し得るローション、チンキ剤、クリーム、エマルション、ゲル、又は軟膏を形成するための水、アセトン、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタン1,3ジオール、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミネラルオイル、及びこれらの混合物を含むがこれらに限定されるわけではない。また、所望の場合、保湿剤若しくは湿潤剤も医薬組成物及び剤形に添加することができる。このようなさらなる成分の例は、当技術分野で周知である。例えば、emingtonの製薬科学(Remington's Pharmaceutical Sciences)第16版及び第18版(Mack Publishing, Easton PA (1980及び1990))を参照されたい。
治療されるべき具体的な組織に応じて、さらなる成分を、本発明の活性成分による治療の前、治療中、又は治療後に使用してもよい。例えば、浸透増強剤を使用して、活性成分を組織に送達するのを援助することができる。適切な浸透増強剤には下記を含むが、これらに限定されるわけではない:アセトン;エタノール、オレイル、及びテトラヒドロフリルなどの種々のアルコール;ジメチルスルホキシドなどのアルキルスルホキシド;ジメチルアセトアミド;ジメチルホルムアミド;ポリエチレングリコール;ポリビニルピロリドンなどのピロリドン;コリドン(Kollidon)等級(ポビドン、ポリビドン);尿素;並びにトゥイーン80(ポリソルベート80)及びスパン60(ソルビタンモノステアラート)などの種々の水溶性又は水不溶性糖エステル。
また、医薬組成物若しくは剤形のpH、又は医薬組成物若しくは剤形が適用される組織のpHを調整して、1つ以上の活性成分の送達を高めてもよい。同様に、溶媒担体の極性、そのイオン強度、又は浸透圧を調整して、送達を高めることができる。また、ステアラートなどの化合物を医薬組成物又は剤形に添加して、送達を高めるよう1つ以上の活性成分の疎水性又は親油性を有利に変化させることができる。この点において、ステアラートは、製剤のための脂質ビヒクルとして、乳化剤又は界面活性剤として、及び送達増強剤又は浸透増強剤として機能することができる。活性成分の異なる塩、水和物、又は溶媒和物を使用して、結果として生じる組成物の特性をさらに調整することができる。
(対象における疾患を治療し又は予防する方法)
本発明の化合物は、シクロフィリンと呼ばれる酵素に作用し、その触媒活性を阻害する。シクロフィリンは、ヒト、酵母、細菌、原生動物、後生動物、昆虫、植物、又はウイルスを含む広範な種類の異なる生物において存在する。感染性生物の場合、本発明の化合物によるシクロフィリン触媒活性の阻害は結果としてしばしば、該生物に及ぼす阻害効果を生じる。その上、ヒトにおいて、シクロフィリンの触媒活性は、多くの異なる疾患状況においてある役割を担っている。この触媒活性の阻害はしばしば、治療効果と関連付けられる。それゆえ、本発明の特定の化合物は、HCV及びHIV(以下にさらに記載されている。)、並びに真菌病原体、原生動物寄生虫、及び後生動物寄生虫によるものを含む感染の治療に使用することができる。加えて、本発明の特定の化合物は、アルツハイマー病、パーキンソン病、及びニューロパチーなどの神経変性疾患を治療するために使用することができる。本発明の化合物の別の用途は、脊髄若しくは頭部の損傷後の麻痺性障害又は心筋梗塞後の心臓障害など、虚血及び再潅流と関連した組織障害に対する保護である。その上、本発明の化合物は、緑内障における視神経の障害など、損傷又は他の潜在的な病理に応じて障害を受け又は損失した毛髪、肝臓、歯肉、又は神経組織の再生過程などの再生過程を誘導する。
本発明の特定の化合物は、例えば、顔面肩甲上腕型(ランドジー‐デジェリーヌ型)筋ジストロフィー、ドゥシェンヌ型及びベッカー型筋ジストロフィーを含む肢帯型筋ジストロフィー、ウールリッヒ型先天性筋ジストロフィー、並びにベスレムミオパチーと診断された患者の筋肉細胞におけるミトコンドリアの機能及びアポトーシスの速度に影響を及ぼし得る。
本発明の特定の化合物は、慢性の炎症性疾患及び自己免疫疾患を治療するために使用することができる。また、本明細書に開示した化合物による免疫応答の調節によって、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、高IgE、橋本甲状腺炎、多発性硬化症、進行性全身性強皮症、重症筋無力症、I型糖尿病、ぶどう膜炎、アレルギー性脳脊髄炎、糸球体腎炎などの自己免疫疾患の治療における有用性が見出されるであろう。さらなる用途には、乾癬、アトピー性皮膚炎、接触皮膚炎及びさらなる湿疹性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、扁平苔癬、天疱瘡、水疱性類天疱瘡、表皮水疱症、蕁麻疹、血管性浮腫、脈管炎、紅斑、皮膚好酸球増加症、エリテマトーデス、瘡、及び円形脱毛症などの炎症性及び過剰増殖性皮膚疾患並びに免疫学的に仲介される病気の皮膚症状発現;角結膜炎、春季カタル性結膜炎、角膜炎、ヘルペス性角膜炎、円錐角膜、角膜上皮異栄養症、角膜白斑、眼天疱瘡、モーレン角膜潰瘍、強膜炎、グレーブズ病眼症、フォークト・小柳・原田症候群、サルコイドーシス、多発性骨髄腫などの種々の眼疾患(自己免疫及びその他);慢性閉塞性肺疾患、喘息(例えば、気管支喘息、アレルギー性喘息、内因性喘息、外因性喘息、及び塵性喘息(dust asthma))、特に慢性又は難治性喘息(例えば、遅発性喘息及び気道過敏性)、気管支炎、アレルギー性鼻炎、及びこれらの類似疾患などの容態を含む気道閉塞性疾患;胃潰瘍、虚血性疾患によって生じる血管障害、及び血栓症などの粘膜及び血管の炎症の治療及び予防を含む。さらに、特に生物学的に又は機械的に仲介される血管損傷後の内膜平滑筋細胞過形成、再狭窄、及び血管閉塞などの過剰増殖性血管疾患は、本発明に開示した化合物によって治療することができ又は予防することができる。他の治療可能な容態には、虚血性腸疾患;炎症性腸疾患、壊死性腸炎、熱傷と関連した腸管病変、及びロイコトリエンB4仲介性疾患;セリアック病、直腸炎、好酸球性胃腸炎、肥満細胞症、クローン病、及び潰瘍性大腸炎などの腸管炎症/アレルギー;消化管から遠隔に症候性徴候を有する食物関連アレルギー性疾患(例えば、片頭痛、鼻炎、及び湿疹);間質性腎炎、グッドパスチャー症候群、溶血性尿毒症症候群、及び糖尿病性腎症などの腎疾患;:多発筋炎、ギラン・バレー症候群、メニエール病、多発神経炎(polyneuritis)、多発神経炎(multiple neuritis)、単神経炎、及び神経根障害などの神経系疾患;甲状腺機能亢進症及びバセドウ病などの内分泌系疾患;赤芽球癆、再生不良性貧血(aplastic anemia)、再生不良性貧血(hypoplastic anemia)、特発性血小板減少性紫斑病、自己免疫性溶血性貧血、無顆粒球症、悪性貧血、巨赤芽球性貧血、及び赤血球形成不全(anerythroplasia)などの血液疾患;骨粗鬆症などの骨疾患;サルコイドーシス、類線維腫肺、及び特発性間質性肺炎などの呼吸器疾患;皮膚筋炎、尋常性白斑、尋常性魚鱗癬、光アレルギー感受性、及び皮膚T細胞性リンパ腫などの皮膚疾患;動脈硬化症、粥状硬化症、大動脈炎症候群、結節性多発動脈炎、及び心筋症などの循環器疾患;皮膚硬化症、ウエゲナー肉芽腫、及びシェーグレン症候群などのコラーゲン疾患;脂肪過多;好酸球性筋膜炎;歯肉、歯周靱帯、歯槽骨、及び歯セメント質(substantia ossea dentis)の病変などの歯周疾患;糸球体腎炎などのネフローゼ症候群;脱毛を予防し若しくは毛髪の発芽過程を提供し及び/又は毛髪の発生及び毛髪の成育を促進することによる男性型脱毛症又は老人性脱毛症;筋ジストロフィー;膿皮症及びセザリー症候群;アジソン病;例えば保存、移植、又は虚血性疾患(例えば、血栓症及び心筋梗塞)の際に生じる臓器(心臓、肝臓、腎臓、及び消化管など)の虚血-再潅流損傷などの臓器損傷としての活性酸素仲介性疾患;薬剤又は照射によって生じるエンドトキシンショック、偽膜性大腸炎、及び結腸炎などの腸疾患;虚血性急性腎不全及び慢性腎不全などの腎疾患;肺-酸素又は薬剤(例えば、パラコート(paracort)及びブレオマイシン)によって生じる中毒症(toxinosis)、肺癌、及び肺気腫などの肺疾患;白内障、鉄錆症、網膜炎、網膜色素変性症(pigmentosa)、加齢黄斑変性、硝子体瘢痕、及び角膜アルカリ熱傷などの眼疾患;多形紅斑、線状IgA水疱性皮膚症、及びセメント皮膚炎などの皮膚炎;並びに歯肉炎、歯周炎、敗血症、膵炎、環境汚染(例えば、大気汚染)、加齢、発癌物質、癌の転移、及び高山病(hypobaropathy)によって生じる疾患などのその他;ヒスタミン又はロイコトリエン-C4の放出によって生じる疾患;腸ベーチェット病、血管ベーチェット病、又は神経ベーチェット病などのベーチェット病、及びまた、口腔、皮膚、眼、外陰部、関節、精巣上体、肺、腎臓などに影響を及ぼすベーチェット病を含むであろうが、これらに限定されるわけではない。その上、本明細書に開示した化合物は、免疫原性疾患(例えば、自己免疫肝炎、原発性胆汁性肝硬変、及び硬化性胆管炎からなる群などの慢性自己免疫肝疾患)、部分的肝切除、急性肺壊死、硬変症(アルコール性硬変症など)、並びに慢性肝疾患に関する劇症肝不全、遅発型肝不全、及び急性肝不全などの肝不全などの肝疾患の治療及び予防に有用である。その上、また、本発明の特定の化合物は、例えば先天性肝線維症を有する新生児の、又は移植片受容者、例えば、臓器又は組織の移植片、例えば肝移植片の受容者の予防的処置としても使用してもよい。
(対象におけるHCV感染を治療し又は予防する方法)
レトロウイルス感染の治療又は予防を必要とする対象におけるレトロウイルス感染の治療又は予防のための本発明の化合物又は組成物を使用する方法が本明細書に提供される。該方法は一般的に、対象に有効量の化合物又は組成物を投与して、レトロウイルス感染を治療し又は予防する工程を含む。好ましい実施態様において、レトロウイルス感染はHCV感染である。
本発明の特定の実施態様において、対象は、HCVに感染した、又はHCVに感染する危険にある任意の対象であり得る。感染又は感染についての危険は、当業者によって適切だと考えられる任意の技術に従って決定することができる。特に好ましい対象は、HCVに感染したヒトである。
HCVは、当業者に公知の任意のHCVであり得る。当業者に現在公知であるHCVには、少なくとも6個の遺伝子型及び少なくとも50個のサブタイプがある。HCVは、当業者に公知の任意の遺伝子型又はサブタイプであり得る。特定の実施態様において、HCVは、まだ特徴づけられていない遺伝子型又はサブタイプである。特定の実施態様において、対象は、単一の遺伝子型のHCVに感染している。特定の実施態様において、対象は、複数のサブタイプ又は複数の遺伝子型のHCVに感染している。
特定の実施態様において、HCVは、遺伝子型1であり、任意のサブタイプであり得る。例えば、特定の実施態様において、HCVは、サブタイプ1a、1b、又は1cである。遺伝子型1のHCV感染は、現在のインターフェロン治療法にほとんど応答しないと考えられている。本発明の方法は、遺伝子型1によるHCV感染の治療法について有利であり得る。
特定の実施態様において、HCVは、遺伝子型1以外である。特定の実施態様において、HCVは、遺伝子型2であり、任意のサブタイプであり得る。例えば、特定の実施態様において、HCVは、サブタイプ2a、2b、又は2cである。特定の実施態様において、HCVは、遺伝子型3であり、任意のサブタイプであり得る。例えば、特定の実施態様において、HCVは、サブタイプ3a、3b、又は10aである。特定の実施態様において、HCVは、遺伝子型4であり、任意のサブタイプであり得る。例えば、特定の実施態様において、HCVはサブタイプ4aである。特定の実施態様において、HCVは遺伝子型5であり、任意のサブタイプであり得る。例えば、特定の実施態様において、HCVは、サブタイプ5aである。特定の実施態様において、HCVは、遺伝子型6であり、任意のサブタイプであり得る。例えば、特定の実施態様において、HCVは、サブタイプ6a、6b、7b、8b、9a、又は11aである。例えば、それらのすべての内容が全体として引用により組み込まれているSimmondsの文献(2004, J Gen Virol. 85: 3173-88);Simmondsの文献(2001, J. Gen. Virol., 82, 693- 712)を参照されたい。
本発明の特定の実施態様において、対象は、HCV感染についての治療法又は予防法をこれまで受けていない。本発明のさらなる実施態様において、対象は、HCV感染についての治療法又は予防法をすでに受けたことがある。例えば、特定の実施態様において、対象は、HCV治療法に応答していない。実際、現在のインターフェロン治療法の下では、最大50%以上のHCV対象は、治療法に応答しない。特定の実施態様において、対象は、治療法を受けたがウイルス感染又はその1つ以上の症状に罹患し続けた対象であり得る。特定の実施態様において、対象は、治療法を受けたが、持続的なウイルス学的応答を達成し損ねた対象であり得る。特定の実施態様において、対象は、HCV感染についての治療法を受けたが失敗し、治療法の12週間後にHCV RNAレベルにおける2log10の低下を示す。治療法の12週間後に血清HCV RNAの2log10超の低下を示さなかった対象では、応答しない機会が97〜100%あると考えられている。本発明の化合物は、現在のHCV治療法以外の機構によって作用するので、本明細書に開示した化合物は、このような非応答者を治療する上で有効であろうと考えられている。
特定の実施態様において、対象は、HCV治療法と関連した1つ以上の有害な事象のため、該治療法を続行しなかった対象である。特定の実施態様において、対象は、現在の治療法が指示されていない対象である。例えば、HCVについての特定の治療法は、神経精神病的事象と関連している。インターフェロン(IFN)-α+リバビリンは、高い割合の鬱と関連している。鬱症状は、いくつかの医学的障害におけるより重度の結果と連関している。自殺、自殺及び殺人思考、鬱、薬物嗜癖/過剰投与の再発、並びに攻撃的行動を含む生命を脅かす又は致命的な神経精神病的事象は、HCV治療法の間に既に精神病障害に罹患していた及び罹患していない対象において生じている。インターフェロン誘発性鬱は、特に精神病障害を罹患している対象にとって、慢性C型肝炎の治療に対する限界である。精神病的副作用は、インターフェロン治療法と共通であり、HCV感染についての現在の治療法の途絶の約10%〜約20%の原因である。
従って、本発明は、鬱などの神経精神病的事象の危険が現在のHCV治療法による治療に禁忌を示す対象におけるHCV感染を治療し又は予防する方法を提供する。また、本発明は、鬱などの神経精神病的事象又はこのような危険が現在のHCV治療法による治療の途絶を必要とする対象におけるHCV感染を治療し又は予防する方法も提供する。本発明はさらに、鬱などの神経精神病的事象又はこのような危険によって現在のHCV治療法の用量低下が必要となる対象におけるHCV感染を治療し又は予防する方法を提供する。
また、現在の治療法は、インターフェロン若しくはリバビリン、又はその両方、或いはインターフェロン又はリバビリンの投与のための医薬製剤のその他の成分に対して過敏である対象において禁忌が示されている。現在の治療法は、ヘモグロビン血症(例えば、重症型サラセミア、鎌状赤血球貧血)を罹患している対象及び現在の治療法の血液学的副作用に由来する危険にある他の対象において必要とされていない。共通の血液学的副作用には、骨髄抑制、好中球減少症、及び血小板減少を含む。その上、リバビリンは、赤血球細胞に対して毒性であり、溶血と関連している。従って、本発明はまた、インターフェロン若しくはリバビリン、又はその両方に対して過敏な対象、ヘモグロビン血症を罹患している対象、例えば重症型サラセミア対象及び鎌状赤血球貧血対象、並びに現在の治療法の血液学的副作用に由来する危険にある他の対象におけるHCV感染を治療し又は予防する方法も提供する。
特定の実施態様において、対象は、HCV治療法を受け、かつ該治療法を途絶した後に、本発明の方法を投与している。さらなる実施態様において、対象は、治療法を受け、かつ本発明の方法の投与とともに該治療法を受け続けている。本発明の方法は、当業者の判断に従ってHCVのための他の治療法と同時投与することができる。有利な実施態様において、本発明の方法又は組成物は、HCVについての低い用量の他の治療法と同時投与することができる。
特定の実施態様において、本発明は、インターフェロンによる治療に不応性の対象を治療する方法を提供する。例えば、いくつかの実施態様において、対象は、インターフェロン、インターフェロンα、ペグ化したインターフェロンα、インターフェロン+リバビリン、インターフェロンα+リバビリン、及びペグ化したインターフェロンα+リバビリンからなる群から選択される1つ以上の薬剤による治療に応答し損なった対象であり得る。いくつかの実施態様において、対象は、インターフェロン、インターフェロンα、ペグ化したインターフェロンα、インターフェロン+リバビリン、インターフェロンα+リバビリン、及びペグ化したインターフェロンα+リバビリンからなる群から選択される1つ以上の薬剤による治療にほとんど応答しなかった対象であり得る。
さらなる実施態様において、現在の治療法が妊娠中の女性においても禁忌を示すので、本発明は、妊娠中である又は妊娠した可能性のある対象におけるHCV感染を治療する方法を提供する。
特定の実施態様において、本発明の方法又は組成物は、肝移植後の対象に投与される。C型肝炎は、米国における肝移植の主要因であり、肝移植を受ける多くの対象が、移植後にHCV陽性のままである。本発明は、このような再発性HCV対象を本発明の化合物又は組成物で治療する方法を提供する。特定の実施態様において、本発明は、肝移植の前、間、又は後に対象を治療して再発性HCV感染を予防する方法を提供する。
(薬用量及び単位剤形)
ヒトの治療において、医師は、予防的又は治癒的処置に従ってかつ齢、体重、感染の段階、及び治療されるべき対象に特異的な他の因子に従って最も適切であると考える薬量を決定するであろう。一般的に、用量は、成人に対して1日あたり約1〜約2000mg、又は1日あたり約5〜約250mg、又は1日あたり約10〜50mgである。特定の実施態様において、用量は、1日あたり約5〜約400mgであり、より好ましくは1成人につき1日あたり25〜200mgである。また、1日あたり約50〜約500mgの用量率も好ましい。
さらなる態様において、本発明は、HCV感染を治療し又は予防する必要のある対象に、HCVに対して治療係数が高い有効量の本発明の化合物、又はその医薬として許容し得る塩を投与することによって対象におけるHCV感染を治療し又は予防する方法を提供する。治療係数は、以下の実施例に記載されている方法など、当業者に公知の任意の方法に従って測定することができる。特定の実施態様において、治療係数は、化合物が毒性である濃度とHCVに対して有効である濃度との比である。細胞毒性(例えば、IC50又はIC90)及び致死量(例えば、LD50又はLD90)を含む毒性は、当業者に公知の任意の技術によって測定することができる。同様に、有効濃度は、有効濃度(例えば、EC50又はEC90)及び有効用量(例えば、EC50又はEC90)を含む当業者に公知の任意の技術によって測定することができる。好ましくは、同様の測定は、比で比較される(例えば、IC50/EC50、IC90/EC90、LD50/ED50、又はLD90/ED90)。特定の実施態様において、治療係数は、2.0、5.0、10.0、15.0、20.0、25.0、50.0、75.0、100.0、125.0、150.0又はそれより高いのと同程度に高いものとすることができる。
障害又は1つ以上のその症状の予防又は治療において有効であろう本発明の化合物又は組成物の量は、疾患又は容態の性質及び重度、並びに活性成分が投与される経路とともに変動するであろう。また、頻度及び薬用量も、投与される具体的な治療法(例えば、治療薬又は予防薬)、障害、疾患、又は容態の重度、投与の経路、並びに対象の齢、身体、重量、応答、及び既往歴に応じた各対象に特異的な因子に従って変動するであろう。有効量は、インビトロでの又は動物モデルでの試験系に由来する用量-反応曲線から推定されてもよい。
組成物の典型的な用量には、対象又は試料の重量1kgあたりmg又はμg量の活性化合物を含む(例えば、約10μg/kg〜約50mg/kg、約100μg/kg〜約25mg/kg、又は約100μg/kg〜約10mg/kg)本発明の組成物について、対象に投与される薬用量は、典型的には活性化合物の重量に基づいて、対象の体重の0.140mg/kg〜3mg/kgである。好ましくは、対象に投与される薬用量は、対象の体重の0.20mg/kg〜2.00mg/kg、又は0.30mg/kg〜1.50mg/kgである。
一般に、本明細書に記載した容態についての本発明の組成物の推奨される1日量範囲は、1日あたり約0.1mg〜約2000mgの範囲内に収まり、単回の1日1回用量として又は1日を通じて分割された用量として与えられる。一実施態様において、1日量は、等しく分割した用量で1日に2回投与される。具体的には、1日量範囲は、1日あたり約10mg〜約200mg、より具体的には1日あたり約10mg〜約150mg、又はさらにより具体的には1日あたり約25〜約100mgであるべきである。当業者に明らかであろうように、いくつかの場合において本明細書に開示した範囲の外側の薬用量の活性成分を使用することは必要かもしれない。その上、臨床医又は治療医は、対象の応答とともに治療法の中断、調整、終止の方法及び時期を見分けられることに留意されたい。
異なる治療的有効量は、当業者によって容易にわかるであろうように、異なる疾患及び容態について適用可能であってもよい。同様にまた、このような障害を予防し、管理し、治療し、又は寛解させるのに十分だが、本発明の組成物と関連した有害な効果を生じるのに不十分であり又は低下させるのに十分な量も、先に記載した薬用量及び投薬頻度スケジュールによって包含される。さらに、対象が複数の薬用量の本発明の組成物を投与される場合、薬用量のすべてが必ずしも同一である必要はない。例えば、対象に投与される薬用量は、組成物の予防効果若しくは治療効果を改善するよう増大してもよく、又は特定の対象が経験している1つ以上の副作用を低下させるために減少してもよい。
具体的な実施態様において、対象における障害又はその1つ以上の症状を予防し、治療し、管理し、若しくは寛解させるために投与される、活性化合物の重量に基づいた本発明の組成物の薬用量又は本発明の組成物は、対象の体重の約0.1mg/kg、1mg/kg、2mg/kg、3mg/kg、4mg/kg、5mg/kg、6mg/kg、10mg/kg、15mg/kg、若しくは30mg/kg又はそれより多い。別の実施態様において、対象における1つの障害又はその1つ以上の症状を予防し、治療し、管理し、又は寛解させるために投与される本発明の組成物の薬用量又は本発明の組成物は、約0.1mg〜約200mg、約0.1mg〜約100mg、約0.1mg〜約50mg、約0.1mg〜約25mg、約0.1mg〜約20mg、約0.1mg〜約15mg、約0.1mg〜約10mg、約0.1mg〜約7.5mg、約0.1mg〜約5mg、約0.1〜約2.5mg、約0.25mg〜約20mg、約0.25〜約15mg、約0.25〜約12mg、約0.25〜約10mg、約0.25mg〜約7.5mg、約0.25mg〜約5mg、約0.5mg〜約2.5mg、約1mg〜約20mg、約1mg〜約15mg、約1mg〜約12mg、約1mg〜約10mg、約1mg〜約7.5mg、約1mg〜約5mg、又は約1mg〜約2.5mgの単位用量である。
特定の実施態様において、本発明の化合物又は組成物の1つ以上の負荷用量で、続いて1つ以上の維持用量を使用して、治療又は予防を開始することができる。このような実施態様において、負荷用量は例えば、1日あたり約60〜約2000mg、又は1日あたり約100〜約200mgを1日〜5週間とすることができる。負荷用量の後に、1つ以上の維持用量が続くことができる。各維持用量は、独立して、1日あたり約10mg〜約200mg、より具体的には、1日あたり約25mg〜約150mg、又はさらにより具体的には1日あたり約25〜約80mgとすることができる。維持用量は好ましくは毎日投与され、単回用量として又は分割した用量として投与することができる。
特定の実施態様において、本発明の化合物又は組成物の用量を投与して、対象の血液又は血清における活性成分の定常状態濃度に到達することができる。定常状態濃度は、当業者に利用可能な技術に従った測定によって決定することができ、又は身長、体重、及び齢などの対象の身体的特徴に基づいていることができる。特定の実施態様において、十分量の本発明の化合物又は組成物を投与して、約300〜約4000ng/mL、約400〜約1600ng/mL、又は約600〜約1200ng/mLの対象の血液又は血清における定常状態濃度に到達する。負荷用量を投与して、約1200〜約8000ng/mL、又は約2000〜約4000ng/mLの定常状態血液又は血清濃度に1〜5日間到達することができる。維持用量を投与して、約300〜約4000ng/mL、約400〜約1600ng/mL、又は約600〜約1200ng/mLの対象の血液又は血清における定常状態濃度に到達することができる。
特定の実施態様において、本発明の同一の組成物の投与を反復してもよく、投与は少なくとも1日、2日、3日、5日、10日、15日、30日、45日、2ヶ月、75日、3ヶ月、又は6ヶ月ほど離してもよい。他の実施態様において、同一の予防薬又は治療薬の投与を反復してもよく、投与は少なくとも少なくとも1日、2日、3日、5日、10日、15日、30日、45日、2ヶ月、75日、3ヶ月、又は6ヶ月ほど離してもよい。
特定の態様において、本発明は、本発明の化合物又はその医薬として許容し得る塩を投与に適した形態で含む単位薬用量を提供する。このような形態は、先に詳細に記載されている。特定の実施態様において、単位薬用量は、1〜2000mg、5〜250mg、又は10〜50mgの活性成分を含む。特定の実施態様において、単位薬用量は、約1、5、10、25、50、100、125、250、500、1000、又は2000mgの活性成分を含む。このような単位薬用量は、当業者の精通した技術に従って製造することができる。
(併用療法)
本発明は、HCV感染の治療又は予防を必要とする対象におけるHCV感染の治療又は予防に有効な第二の薬剤の投与を含む予防の治療の方法を提供する。第二の薬剤は、HCV感染の治療又は予防に有効であることが当業者に公知の任意の薬剤であり得る。第二の薬剤は、当業者に現在公知の第二の薬剤であり得、又は第二の薬剤は、HCVの治療若しくは予防のために後に開発される第二の薬剤であり得る。特定の実施態様において、第二の薬剤は、HCVの治療又は予防のために現在認可されている。
特定の実施態様において、本発明の化合物は、1つの第二の薬剤と併用して投与される。さらなる実施態様において、第二の薬剤は、2つの第二の薬剤との併用で投与される。なおもさらなる実施態様において、第二の薬剤は、2つ以上の第二の薬剤と併用して投与される。
適切な第二の薬剤には、経口的に生物が利用可能な小分子のHCV酵素阻害剤、ウイルスRNAを攻撃する核酸ベースの薬剤、宿主の免疫応答を調節することができる薬剤を含む。典型的な第二の薬剤には、(i)現在認可されている治療法(ペグ-インターフェロン+リバビリン)、(ii)HCV-酵素を標的とする化合物、(iii)ウイルス-ゲノムを標的とする治療法(例えば、RNA干渉又はRNAi)、並びに(iv)リバビリン、インターフェロン(INF)、及びToll受容体アゴニストなどの免疫調節薬を含む。
特定の実施態様において、第二の薬剤は、NS3-4Aプロテアーゼの調節薬である。NS3-4Aプロテアーゼは、NS3タンパク質のアミノ末端ドメインと小分子NS4A補因子とを含むヘテロ二量体プロテアーゼである。該プロテアーゼの活性は、ウイルスRNA複製複合体の構成成分の発生に必須である。
1つの有用なNS3-4Aプロテアーゼ阻害剤は、ペプチド生成物阻害剤の大環状模倣物であるBILN2061(シルプレビル;Boehringer Ingelheim)である。BILN 2061を使用した臨床試験は停止されたが(前臨床心毒性)、BILN 2061は、ヒトにおいて検査された最初のNS3阻害剤であった。そのすべての内容が全体として引用により本明細書により組み込まれているLamarreらの文献(2003, Nature 426: 186-189)を参照されたい。
別の有用なNS3-4Aプロテアーゼ阻害剤は、NS3-4Aプロテアーゼのプロテアーゼ切断生成物由来のペプチド模倣阻害剤であるVX-950(Vertex/Mitsubishi)である。VX-950は、ケトアミドを通じて酵素の活性部位へと安定化されると考えられている。例えば、それらのすべての内容が引用により本明細書により組み込まれているLinらの文献(2005, J. Biol. Chem. 原稿M506462200(電子出版));Summaの文献(2005, Curr. Opin. Investig. Drugs. 6: 831-7)を参照されたい。
特定の実施態様において、第二の薬剤は、RNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRp)であるHCV NS5Bの調節薬である。NS5Bタンパク質内に含まれているRdRpは、RNAテンプレートを使用してRNAを合成する。この生化学的活性は、哺乳類細胞には存在しない。
RdRpの1つの有用な調節薬は、NM283(バロピシタビン;Idenix/Novartis)である。NM283は、HCV感染の治療又は予防のための第2相治験におけるNM107(2'-C-メチル-シチジン)の経口プロドラッグ(バリンエステル)である。例えば、そのすべての内容が全体として引用により本明細書により組み込まれている米国特許出願公報第20040077587号を参照されたい。
RdRpの他の有用な調節薬には、7-デアザヌクレオシドアナログを含む。例えば、7-デアザ-2'-C-メチル-アデノシンは、優れた薬物動態特性を有するC型肝炎ウイルス複製の強力かつ選択的な阻害剤である(そのすべての内容が引用により本明細書により組み込まれているOlsenらの文献(2004, Antimicrob. Agents Chemother. 48: 3944-3953))。
さらなる実施態様において、第二の薬剤は、NS5Bの非ヌクレオシド調節薬である。NS5B阻害剤の非ヌクレオシド阻害剤(NNI)の少なくとも3つの異なるクラスが臨床において評価中である。
NS5Bの有用な非ヌクレオシド調節薬には、JTK-003及びJTK-009を含む。JTK-003は、第2相に進行している。NS5Bの有用な非ヌクレオシド調節薬には、ベンズイミダゾール核又はインドール核をベースにした6,5-縮合した複素環化合物を含む。例えば、そのすべての内容が引用により本明細書により組み込まれているHashimotoらの文献(WO2000/147883)を参照されたい。
さらなる有用なポリメラーゼNNIには、R803(Rigel)、並びにHCV-371、HCV-086、及びHCV-796(ViroPharma/Wyeth)を含む。さらなる有用なNNIには、NS5Bポリメラーゼの可逆的アロステリック阻害剤であり、ベンズイミダゾールベースの阻害剤によって占有される部位近くだが該部位とは別個である部位に結合するチオフェン誘導体を含む。例えば、Biswalらの文献(2005, J. Biol. Chem. 280: 18202-18210)を参照されたい。
本発明の方法についてのさらなる有用なNNIには、ベンゾ-1,2,4-チアジアジンなどのベンゾチアジアジンを含む。ベンゾ-1,2,4-チアジアジンの誘導体は、HCV RNAポリメラーゼの高度に選択的な阻害剤であることが示されている(そのすべての内容が引用により本明細書により組み込まれているDhanakらの文献(2002, J. Biol. Chem. 277: 38322-38327))。
本発明の方法のためのさらなる有用なNNI及び該NNIの機構は、それらのすべての内容が各々引用により本明細書により組み込まれているLaPlanteらの文献(2004, Angew Chem. Int. Ed. Engl. 43:4306-4311);Tomeiらの文献(2003, J. Virol. 77: 13225-13231);Di Marcoらの文献(2005, J. Biol Chem. 280:29765-70);Lu, H.の文献(WO 2005/000308);Chanらの文献(2004, Bioorg. Med. Chem. Lett. 14:797-800);Chanらの文献(2004, Bioorg. Med. Chem. Lett. 14:793-796);Wangらの文献(2003, J. Biol. Chem. 278:9489-9495);Loveらの文献(2003, J. Virol. 77:7575-7581);Guらの文献(2003, J. Biol. Chem. 278:16602-16607);Tomeiらの文献(2004, J. Virol 78:938-946);及びNguyenらの文献(2003, Antimicrob. Agents Chemother. 47:3525-3530)に記載されている。
さらなる実施態様において、第二の薬剤は、HCVポリヌクレオチドに配向される低分子阻害RNA(siRNA)又は低分子ヘアピン型RNA(shRNA)などのHCV RNAで干渉できる薬剤である。組織培養において、ウイルスゲノムに対して配向されるsiRNA及びベクターによりエンコードした低分子ヘアピン型RNA(shRNA)は、HCVレプリコンの複製を効果的に遮断する。例えば、そのすべての内容が引用により本明細書により組み込まれているRandallらの文献(2003, Proc. Natl Acad. Sci. USA 100:235-240)を参照されたい。
さらなる実施態様において、第二の薬剤は、対象の免疫応答を調節する薬剤である。例えば、特定の実施態様において、第二の薬剤は、インターフェロン(IFN)、ペグ化したIFN、IFN+リバビリン、又はペグ化したIFN+リバビリンなどのHCV感染のための現在認可されている治療法であり得る。好ましいインターフェロンには、IFNα、IFNα2a、及びIFNα2b、特に、ペグ化したIFNα2a(PEGASYS(登録商標))又はペグ化したIFNα2b(PEG-INTRON(登録商標))を含む。
さらなる実施態様において、第二の薬剤は、Toll様受容体(TLR)の調節薬である。TLRは、生得的な抗ウイルス応答を刺激するための標的であると考えられている。適切なTLRには、TLR3、TLR7、TLR8、及びTLR9を含むが、これらに限定されるわけではない。toll様受容体は、細菌、ウイルス、及び寄生虫などの侵入する微生物の存在を感知すると考えられている。該受容体は、マクロファージ、単球、樹状細胞、及びB細胞を含む免疫細胞によって発現される。TLRの刺激又は活性化は、抗菌遺伝子並びに炎症性サイトカイン及びケモカインの誘導による急性炎症反応を誘発することができる。
特定の実施態様において、第二の薬剤は、CpGモチーフを含むポリヌクレオチドである。メチル化していないCpGモチーフを含む合成オリゴヌクレオチドは、TLR-9の強力なアゴニストである。これらのオリゴヌクレオチドによる樹状細胞の刺激は結果的に、腫瘍壊死因子α、インターロイキン-12、及びIFN-αの生成をもたらす。また、TLR-9リガンドは、B細胞増殖及び抗体分泌の強力な刺激因子である。1つの有用なCpG含有オリゴヌクレオチドは、臨床で評価されたCPG-10101(アクチロン;Coley Pharmaceutical Group)である。
TLRの別の有用な調節薬は、ANA975(Anadys)である。ANA975は、TLR-7を通じて作用すると考えられており、誘導を介した強力な抗ウイルス応答及びINFαなどの炎症性サイトカインの放出を誘発することが知られている。
別の実施態様において、第二の薬剤はセルゴシビルである。セルゴシビルは、α-グルコシダーゼI阻害剤であり、宿主により配向されるグリコシル化を通じて作用する。前臨床研究において、セルゴシビルは、INFα+リバビリンとの強力な相乗作用を示している。例えば、Whitbyらの文献(2004, Antivir Chem Chemother. 15(3): 141-51)を参照されたい。セルゴシビルは、カナダの慢性HCV患者における第2相単剤療法研究において現在評価中である。
さらなる免疫調節薬、及び該免疫調節薬の機構又は標的は、Schetter及びVollmerの文献(2004, Curr. Opin. Drug Discov. Dev. 7:204-210);Takedaらの文献(2003, Annu. Rev. Immunol. 21:335-376);Leeらの文献(2003, Proc. Natl Acad. Sci. USA 100:6646-6651);Hosmansらの文献(2004, Hepatology 40 (Suppl. 1), 282A);及び米国特許第6,924,271号に記載されている;それらのすべての内容は全体として各々、引用により本明細書により組み込まれている。
特定の実施態様において、本発明の第二の薬剤は、本発明のシクロスポリン誘導体とともに製剤することができ又は包装することができる。当然、当業者の判断に従ってこのような同時製剤が、いずれかの薬剤の活性又は投与方法に干渉しないはずである場合にのみ、第二の薬剤は、本発明のシクロスポリン誘導体とともに製剤されるであろう。特定の実施態様において、本発明のシクロスポリン誘導体及び第二の薬剤は、別個に製剤される。これらは、当業者の簡便性のために、共に包装することができ、又は別個に包装することができる。
第二の薬剤の薬用量は、本発明の併用療法において使用されるべきである。特定の実施態様において、HCV感染を予防し又は治療するために使用されてきた又は現在使用中であるものよりも低い薬用量が、本発明の併用療法において使用される。第二の薬剤の推奨される薬用量は、当業者の知識から得ることができる。臨床的用途のために認可された該第二の薬剤については、推奨される薬用量は、例えば、それらのすべての内容が全体として各々引用により本明細書中に組み込まれているHardmanらの文献「Goodman及びGilmanの治療学の基礎に関する薬理学的基礎第9版(Goodman & Gilman's The Pharmacological Basis Of Basis Of Therapeutics)」(1996, Mc-Graw-Hill, New York);「医師用卓上参考書(Physician's Desk Reference (PDR))第57版」(2003, Medical Economics Co., Inc., Montvale, NJ)に記載されている。
種々の実施態様において、治療法(例えば、本発明のシクロスポリン誘導体及び第二の薬剤)は、5分未満の間隔で、30分未満の間隔で、1時間間隔で、約1時間間隔で、約1〜約2時間間隔で、約2時間〜約3時間間隔で、約3時間〜約4時間間隔で、約4時間〜約5時間間隔で、約5時間〜約6時間間隔で、約6時間〜約7時間間隔で、約7時間〜約8時間間隔で、約8時間〜約9時間間隔で、約9時間〜約10時間間隔で、約10時間〜約11時間間隔で、約11時間〜約12時間間隔で、約12時間〜18時間間隔で、18時間〜24時間間隔で、24時間〜36時間間隔で、36時間〜48時間間隔で、48時間〜52時間間隔で、52時間〜60時間間隔で、60時間〜72時間間隔で、72時間〜84時間間隔で、84時間〜96時間間隔で、又は96時間〜120時間間隔で投与される。好ましい実施態様において、2つ以上の治療法は、同一の患者来院内で投与される。
特定の実施態様において、本発明のシクロスポリン誘導体及び第二の薬剤は、周期的に投与される。周期的治療法は、ある期間の第一の治療法(例えば、第一の予防薬又は治療薬)の投与、続いて、ある期間の第二の治療法(例えば、第二の予防薬又は治療薬)の投与、続いて、ある期間の第三の治療法(例えば、第三の予防薬又は治療薬)の投与など、及びこの一連の投与を反復すること、すなわち、薬剤の1つに対する耐性の発達を低下させるための、薬剤の1つに関する副作用を回避し又は低下させるための、及び/又は治療の有効性を改善するための周期を包含する。
特定の実施態様において、同一の薬剤の投与は反復してもよく、該投与は、少なくとも1日、2日、3日、5日、10日、15日、30日、45日、2ヶ月、75日、3ヶ月、又は6ヶ月だけ離してもよい。他の実施態様において、同一の薬剤の投与は反復してもよく、該投与は、少なくとも少なくとも1日、2日、3日、5日、10日、15日、30日、45日、2ヶ月、75日、3ヶ月、又は6ヶ月だけ離してもよい。
特定の実施態様において、本発明のシクロスポリン誘導体及び第二の薬剤は、患者、好ましくは哺乳類、より好ましくはヒトに、シクロスポリン誘導体が他の薬剤とともに作用して、それらが別法で投与される場合よりも高い利点を提供することができるよう、連続してかつある時間間隔内で投与される。例えば、第二の活性薬は、同時に、又は異なる時点で任意の順序で連続して投与することができる;しかしながら、同時に投与されない場合、該シクロスポリン誘導体及び第二の活性薬は、所望の治療効果又は予防効果を提供するよう、十分に近い時刻で投与すべきである。一実施態様において、シクロスポリン誘導体及び第二の活性薬は、重複する時点においてそれらの効果を発揮する。各第二の活性薬は、別個に、任意の適切な形態で、かつ任意の適切な経路によって投与することができる。他の実施態様において、シクロスポリン誘導体は、第二の活性薬の投与の前に、同時に、又は後に投与される。
種々の実施態様において、シクロスポリン誘導体及び第二の薬剤は、約1時間未満の間隔で、約1時間間隔で、約1時間〜約2時間間隔で、約2時間〜約3時間間隔で、約3時間〜約4時間間隔で、約4時間〜約5時間間隔で、約5時間〜約6時間間隔で、約6時間〜約7時間間隔で、約7時間〜約8時間間隔で、約8時間〜約9時間間隔で、約9時間〜約10時間間隔で、約10時間〜約11時間間隔で、約11時間〜約12時間間隔で、24時間以下の間隔で、又は48時間以下の間隔で投与される。他の実施態様において、シクロスポリン誘導体及び第二の薬剤は、同時に投与される。
他の実施態様において、シクロスポリン誘導体及び第二の薬剤は、約2〜4日間隔で、約4〜6日間隔で、約1週間間隔で、約1〜2週間間隔で、又は2週間超の間隔で投与される。
特定の実施態様において、シクロスポリン誘導体及び第二の薬剤は、患者に周期的に投与される。周期療法は、一定期間の第一の薬剤の投与、続いて、一定期間の第二の薬剤及び/又は第三の薬剤の投与、並びにこの一連の投与を反復することを包含する。周期療法は、治療法の1つ以上に対する耐性の発達を低下させることができ、治療法の1つに関する副作用を回避することができ若しくは低下することができ、及び/又は治療の有効性を改善することができる。
特定の実施態様において、シクロスポリン誘導体及び第二の活性薬は、約3週間未満、2週間ごとに約1回、10日ごとに約1回、又は毎週約1回の周期で投与される。1つの周期は、周期ごとに約90分間、周期ごとに約1時間、周期ごとに約45分間にわたる注入によるシクロスポリン誘導体及び第二の薬剤の投与を含むことができる。各周期は、残りの少なくとも1週間、残りの少なくとも2週間、残りの少なくとも3週間を含むことができる。投与される周期数は、約1〜約12周期、より典型的には約2〜約10周期、及びより典型的には約2〜約8周期である。
他の実施態様において、治療の複数のコースが患者に同時に投与され、すなわち、第二の薬剤の個々の用量は、シクロスポリン誘導体が第二の活性薬とともに作用することができるよう、ある時間間隔内でなおも別個に投与される。例えば、1つの構成要素は、2週間ごとに1回又は3週間ごとに1回投与することができる他の構成要素と併用して、1週間あたり1回投与することができる。言い換えれば、投薬計画は、治療薬が同時に又は同日中に投与されない場合でさえ、協働して実施される。
第二の薬剤は、シクロスポリン誘導体と相加的に、又はより好ましくはシクロスポリン誘導体と相乗的に作用することができる。一実施態様において、シクロスポリン誘導体は、同一の医薬組成物における1つ以上の第二の薬剤と協働して投与される。別の実施態様において、シクロスポリン誘導体は、別個の医薬組成物における1つ以上の第二の薬剤と協働して投与される。なおも別の実施態様において、シクロスポリン誘導体は、第二の薬剤の投与の前に又は後に投与される。本発明は、同一の又は異なる投与経路、例えば経口及び非経口によるシクロスポリン誘導体及び第二の薬剤の投与を意図する。特定の実施態様において、シクロスポリン誘導体が、毒性を含むがこれに限定されるわけではない有害な副作用を潜在的に生じる第二の薬剤と協働して投与される場合、第二の活性薬は、有害な副作用が誘発される閾値未満に収まる用量で有利に投与することができる。
(キット)
また、本発明は、HCV感染の治療又は予防の方法における使用のためのキットを提供する。キットには、本発明の医薬化合物又は組成物と、細菌感染を治療し又は予防するための使用に関する医療提供者に情報を提供する説明書とを含むことができる。説明書は、印刷した形態で、又はフロッピーディスク、CD、若しくはDVDなどの電子媒体の形態で、又はこのような説明が得られ得るウェブサイトアドレスの形態で提供され得る。本発明の化合物又は組成物の単位用量には、対象に投与する場合に、該化合物又は組成物の治療的又は予防的有効血漿レベルが対象において少なくとも1日間維持することができるような薬用量を含むことができる。いくつかの実施態様において、本発明の化合物又は組成物は、滅菌済み水性医薬組成物又は乾燥粉末(例えば、凍結乾燥した)組成物として含むことができる。一実施態様において、該化合物は、式(I)に従っている。
いくつかの実施態様において、適切な包装が提供される。本明細書で使用されるように、「包装」は、システムにおいて慣例的に使用され、対象への投与に適した本発明の化合物又は組成物を固定した制限内で保持できる固体のマトリックス又は材料を指す。このような材料には、ガラス及びプラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びポリカーボネート)製の瓶、バイアル、紙、プラスチック、並びにプラスチックホイルを積層した外被、並びにこれらの類似物を含む。電子ビーム滅菌技術を採用する場合、包装は、内容物の滅菌化を可能にするために十分低い密度を有するべきである。
また、本発明のキットは、本発明の化合物又は組成物に加えて、先の方法に記載した化合物又は組成物ともに使用するための第二の薬剤又は第二の薬剤を含む組成物を含んでもよい。
下記の実施例は、本発明において使用される代表的なシクロスポリン化合物の合成を説明する。これらの実施例は、本発明の範囲を制限するものとして解釈されるよう意図しておらず、また、そのように解釈されるべきでもない。本発明が、本明細書に特に記載されるもの以外で実施されてもよいことは明白であろう。本発明の数多くの改変及び変動は、本明細書の教示の点において可能であり、それゆえ、本発明の範囲内である。
(実施例1)
ジイソプロピルアミン(300mg)を無水テトラヒドロフランに溶解した。この溶液を窒素下で−25℃に冷却した。n-ブチルリチウム(2.5M/ヘキサン、1.2mL)を添加した後、混合物を−25℃で30分間撹拌した。例えば参照実施例1に従って製造したN-ベンジル-Val5-シクロスポリンA(320mg)を無水テトラヒドロフランに溶解して、前記溶液に添加した。混合物をこの温度で90分間維持した後、無水テトラヒドロフランにおけるトルエン-4-チオスルホン酸S-(2-ジメチルアミノエチル)エステル(390mg)を溶液に添加した。溶液を−25℃で2時間撹拌した後、室温へと一晩加温しておいた。塩化アンモニウムの飽和溶液を添加することによって反応をクエンチした後、酢酸エチルで2回抽出した。組み合わせた有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濃縮した。HPLCを使用して粗材料のいくらかを精製して、[(R)-2-(N,N-ジメチルアミノ)エチルチオ-Sar]3-(N-ベンジル)-Val5-シクロスポリンA(化合物1)を与えた;
Figure 0005820722
同様の様式で進行することによって、下記の化合物を製造した:
[(R)-(1-N,N,-ジメチルアミノ-シクロブチルメチルチオ)-Sar]3-(N-ベンジル)-Val5-シクロスポリンA(化合物2)
Figure 0005820722
[(R)-2-(N,N-ジメチルアミノ)エチルチオ-Sar]3-(4-イソプロピルベンジル)-Val5-シクロスポリンA(化合物3)
Figure 0005820722
(実施例2)
例えば参照実施例2に従って製造した[(R)-メチルチオ-Sar]3-シクロスポリンA(150mg)、及び臭化ベンジル(85.5mg)をオーブン乾燥したフラスコに入れた。無水テトラヒドロフランを反応容器に添加した。この溶液を窒素流の下で−78℃に冷却した。ホスファゼン塩基P4-tBu(CAS:[111324-04-0]、1M/ヘキサン、0.5mL)をゆっくりと添加した。反応混合物を−30℃に加温しておいた後、クエン酸(1N)でクエンチした。反応物を酢酸エチルでさらに希釈した後、酢酸エチルで2回抽出した。組み合わせた有機層を重炭酸ナトリウムの飽和溶液、次いで鹹水で洗浄した。硫酸ナトリウム上で乾燥させた後、該有機層を濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(40gISCOシリカカートリッジ、酢酸エチル/ヘプタン勾配)によって精製して、[メチルチオ-Sar]3-(N-ベンジル)-Val5-シクロスポリンA(化合物4)を白色の固体として得た。
Figure 0005820722
同様の様式で進行することによって、下記の化合物を製造した:
[n-プロピルチオ-Sar]3-(N-ベンジル)-Val5-シクロスポリンA(化合物5)
Figure 0005820722
[メトキシ-Sar]3-(N-ベンジル)-Val5-シクロスポリンA(化合物6)
Figure 0005820722
[メトキシ-Sar]3-(3-トリフルオロメチルベンジル)-Val5-シクロスポリンA(化合物7)
Figure 0005820722
[メトキシ-Sar]3-(N-アリル)-Val5-シクロスポリンA(化合物8)
Figure 0005820722
[メトキシ-Sar]3-(N-ブタ-2-エニル)-Val5-シクロスポリンA(化合物9)
Figure 0005820722
[メトキシ-Sar]3-(N-3-メチル-ブタ-2-エニル)-Val5-シクロスポリンA(化合物10)
Figure 0005820722
[メトキシ-Sar]3-N-(トランス-4-ベンジルオキシ-ブタ-2-エニル)-Val5-シクロスポリンA(化合物11)
Figure 0005820722
[メチルチオ-Sar]3-N-[トランス-4-(3',4'-ジメトキシ)ベンジルオキシ-ブタ-2-エニル]-Val5-シクロスポリンA(化合物12)
Figure 0005820722
[メトキシ-Sar]3-N-[トランス-4-(3',4'-ジメトキシ)ベンジルオキシ-ブタ-2-エニル]-Val5-シクロスポリンA(化合物13)
Figure 0005820722
[メチルチオ-Sar]3-(N-アリル)-Val5-シクロスポリンA(化合物20)
Figure 0005820722
[エチルチオ-Sar]3-(N-ベンジル)-Val5-シクロスポリンA(化合物21)
Figure 0005820722
(実施例3)
ジクロロメタン及び水の溶媒混合物における[メチルチオ-Sar]3-N-[トランス-4-(3',4'-ジメトキシ)ベンジルオキシ-ブタ-2-エニル]-Val5-シクロスポリンA(化合物12)(0.25g)の溶液に、2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-p-ベンゾキノン(DDQ)(40mg)を添加し、結果として生じる混合物を室温で2時間撹拌した。該混合物をジクロロメタンで希釈し、飽和重炭酸ナトリウム溶液、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄した後、減圧下で濃縮した。ヘプタンにおける0〜100%酢酸エチルの勾配で溶出するフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィーを使用して粗生成物を精製して、[メチルチオ-Sar]3-N-[トランス-4-ヒドロキシ-ブタ-2-エニル]-Val5-シクロスポリンA(化合物14)を白色の固体として得た;
Figure 0005820722
同様の様式で進行することによって、[メトキシ-Sar]3-N-[トランス-4-(3',4'-ジメトキシ)ベンジルオキシ-ブタ-2-エニル)-Val5-シクロスポリンA(化合物13)から出発して、[メトキシ-Sar]3-N-[トランス-4-ヒドロキシ-ブタ-2-エニル]-Val5-シクロスポリンA(化合物15)を製造した。
Figure 0005820722
(実施例4)
窒素下で氷槽において0℃に冷却した無水ジクロロメタンにおける[メチルチオ-Sar]3-N-[トランス-4-ヒドロキシ-ブタ-2-エニル]-Val5-シクロスポリンA(化合物14)(200mg、0.16mmol)の溶液に、トリエチルアミン(0.06mL、2.4当量)及び塩化メタンスルホニル(0.03mL、2.4当量)を添加した。結果として生じる混合物を室温で2時間撹拌した。該混合物をジクロロメタンで希釈し、水及び鹹水で連続して洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。残渣をTHFに溶解し、この溶液にトリエチルアミン(0.06mL、4.0当量)及びジメチルアミン(0.29mL、5.0当量、THFにおける2.0M溶液)を添加した。結果として生じる混合物を窒素下で室温で一晩撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、調製用HPLCを使用して残渣を精製して、[メチルチオ-Sar]3-N-[トランス-4-ジメチルアミノ-ブタ-2-エニル]-Val5-シクロスポリンA(化合物16)を凍結乾燥後に白色の固体として得た;
Figure 0005820722
同様の様式で進行することによって、[メトキシ-Sar]3-N-[トランス-4-ヒドロキシ-ブタ-2-エニル]-Val5-シクロスポリンA(化合物15)から出発して[メトキシ-Sar]3-N-[トランス-4-ジメチルアミノ-ブタ-2-エニル]-Val5-シクロスポリンA(化合物17)を製造した。
Figure 0005820722
(実施例5)
THFにおける[3'-tert-ブチルジメチルシロキシ-N-メチル-Bmt]1-[メトキシ-Sar]3-N-[4-ヒドロキシブチル]-Val5-シクロスポリンA(90mg)の溶液に、フッ化テトラブチルアンモニウム(0.1mL、1.5当量、THFにおける1.0M溶液)を添加し、結果として生じる混合物を室温で12時間撹拌した。該混合物を酢酸エチルで希釈し、水及び鹹水で連続して洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。溶媒を減圧下で除去し、ヘプタンにおける0〜100%酢酸エチルの勾配で溶出するフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィーを使用して残渣を精製して、[メトキシ-Sar]3-N-[4-ヒドロキシブチル]-Val5-シクロスポリンA(化合物18)を白色の固体として得た。
Figure 0005820722
(実施例6)
THFにおける[3'-tert-ブチルジメチルシロキシ-N-メチル-Bmt]1-[メトキシ-Sar]3-N-[4-ジメチルアミノブチル]-Val5-シクロスポリンA(90mg)の溶液に、フッ化テトラブチルアンモニウム(0.09mL、1.5当量、THFにおける1.0M溶液)を添加し、結果として生じる混合物を室温で12時間撹拌した。該混合物を酢酸エチルで希釈し、水及び鹹水(10mL)で連続して洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。溶媒を減圧下で除去し、溶媒A(A=DCM)における溶媒B(B=DCM/MeOH/NH4OH(90:9:1(v/v/v)))の0〜70%の勾配で溶出するフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィーを使用して残渣を精製して、[メトキシ-Sar]3-N-[4-ジメチルアミノブチル]-Val5-シクロスポリンA(化合物19)を白色の固体として得た。
Figure 0005820722
(参照実施例1)
シクロスポリンA(3.0g)及び臭化ベンジル(1.8g)をオーブン乾燥したフラスコに負荷した。無水テトラヒドロフランを反応容器に添加した。溶液を窒素流の下で−78℃に冷却した。ホスファゼン塩基P4-tBu(CAS:[111324-04-0]、1M/ヘキサン、10.5mL)をゆっくりと添加した。反応混合物を−30℃に加温したままにした後、クエン酸(1N)でクエンチし、酢酸エチルで希釈した後、酢酸エチルで2回抽出した。組み合わせた有機層を重炭酸ナトリウムの飽和溶液及び鹹水で洗浄した。硫酸ナトリウム上で乾燥させた後、該有機層をCombiflash(登録商標)システム(120gのISCOシリカカートリッジ、酢酸エチル/ヘプタン勾配)において濃縮し及び精製して、N-ベンジル-Val5-シクロスポリンAを白色の固体として得た。
Figure 0005820722
同様の様式で進行することによって、Aが(E) -CH=CHCH3でありかつBがエチルである式(III)の下記の化合物を製造した:
Figure 0005820722
(参照実施例2)
無水t-ブチルメチルエーテル(TBME)におけるシクロスポリンA(1.2g)の溶液を不活性大気下で−33℃での液体アンモニウム(30mL)におけるナトリウムアミド(1.0g)の懸濁液に添加した。結果として生じる混合物を不活性大気下で−33℃で90分間撹拌した。次に、ジメチルジスルフィド(1.9g)を添加し、反応混合物を不活性大気下で−33℃でさらに2時間撹拌した。固体塩化アンモニウム(1.4g)を添加し、−33℃で10分間撹拌し続けた。室温に加温した後、反応混合物をTBME及び水で希釈し、完全に混合し、層を分離した。有機層を鹹水で洗浄した後、濃縮した。最初に酢酸エチル及びヘプタンの混合物で溶出するシリカゲルカラムを使用するクロマトグラフィーによって残渣を精製して、[2'-メチルチオ-Sar]3-シクロスポリンAを得た。
同様の様式で進行することによって、[2'-プロピルチオ-Sar]3-シクロスポリンAも製造した。
(参照実施例3)
ジクロロメタン(80mL)におけるトランス-1,4-ジブロモブタ-2-エン(20.0g、93.5mmol)、ベンジルアルコール(10.6mL、102.9mmol)、及び硫酸水素テトラブチルアンモニウム(3.17g、9.35mmol)の溶液に、水における水酸化ナトリウム(33.7g、841mmol)を添加し、結果として生じる混合物を室温で24時間撹拌した。該混合物を水で希釈し、ジエチルエーテルで抽出した。組み合わせた有機抽出物を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィーを使用して粗生成物を精製して、10.8gのトランス-4-ベンジルオキシ-1-ブロモ-2-ブテンを生じた。
Figure 0005820722
同様の様式で進行することによって、トランス-4-(3',4'-ジメトキシ)ベンジルオキシ-1-ブロモ-2-ブテンも製造した。
Figure 0005820722
(参照実施例4)
無水ジクロロメタンにおける[メトキシ-Sar]3-N-[トランス-4-(3',4'-ジメトキシ)ベンジルオキシ-ブタ-2-エニル)]-Val5-シクロスポリンA(化合物13)の溶液に、0℃でトリエチルアミン(0.31mL、10当量)及びトリフルオロメタンスルホン酸tert-ブチルジメチルシリル(0.25mL、5.0当量)を添加し、結果として生じる混合物を室温で5時間撹拌した。該混合物をジクロロメタンで希釈し、水、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄した後、減圧下で濃縮した。ヘプタンにおける0〜80%の酢酸エチルの勾配で溶出するフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィーを使用して粗生成物を精製して、[3'-tert-ブチルジメチルシロキシ-N-メチル-Bmt]1-[メトキシ-Sar]3-N-[トランス-4-(3',4'-ジメトキシ)ベンジルオキシ-ブタ-2-エニル]-Val5-シクロスポリンAを白色の固体として得た。
Figure 0005820722
(参照実施例5)
ジクロロメタン及び水の溶媒混合物における[3'-tert-ブチルジメチルシロキシ-N-メチル-Bmt]1-[メトキシ-Sar]3-N-[トランス-4-(3',4'-ジメトキシ)ベンジルオキシ-ブタ-2-エニル]-Val5-シクロスポリンA(0.29g)の溶液に、2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-p-ベンゾキノン(DDQ)(50mg)を添加し、結果として生じる混合物を室温で2時間撹拌した。該混合物をジクロロメタンで希釈し、飽和重炭酸ナトリウム溶液、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄した後、減圧下で濃縮した。ヘプタンにおける0〜100%の酢酸エチルの勾配で溶出するフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィーを使用して粗生成物を精製して、[3'-tert-ブチルジメチルシロキシ-N-メチル-Bmt]1-[メトキシ-Sar]3-N-[トランス-4-ヒドロキシ-ブタ-2-エニル]-Val5-シクロスポリンAを白色の固体として得た。
Figure 0005820722
(参照実施例6)
ジクロロメタンにおける[3'-tert-ブチルジメチルシロキシ-N-メチル-Bmt]1-[メトキシ-Sar]3-N-[トランス-4-ヒドロキシ-ブタ-2-エニル]-Val5-シクロスポリンA(0.23g)の溶液に、Dess-Martinペルヨージナン(140mg)を添加し、結果として生じる混合物を室温で1時間撹拌した。該混合物をジクロロメタンで希釈し、10%チオ硫酸ナトリウム溶液、飽和重炭酸ナトリウム溶液、及び鹹水で洗浄した。溶媒除去後、0.23gの[3'-tert-ブチルジメチルシロキシ-N-メチル-Bmt]1-[メトキシ-Sar]3-N-[ブタ-2-エン-4-アール]-Val5-シクロスポリンAを得、さらに精製せずにこれを使用した。
Figure 0005820722
(参照実施例7)
メタノール及び水の95:5(v/v)溶媒混合物における鉄ペンタカルボニル(0.76g、3.90mmol)及び水酸化ナトリウム(80mg、1.95mmol)の混合物に不活性ガスを流し、室温で20分間撹拌して、確実に水酸化ナトリウムを完全に枯渇させた。この混合物に、同一の溶媒混合物における[3'-tert-ブチルジメチルシロキシ-N-メチル-Bmt]1-[メトキシ-Sar]3-N-[ブタ-2-エン-4-アール]-Val5-シクロスポリンA(0.23g)の溶液を添加し、結果として生じる混合物を不活性ガスの下で室温で72時間撹拌した。反応混合物を水に注ぎ、ジエチルエーテルを添加した。混合物を撹拌しながら0℃に冷却し、気体の放出が観察されなくなるまで塩化鉄(III)を添加した。層を分離し、飽和NaHCO3、鹹水で有機層を洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。溶媒除去後、ヘプタンにおける0〜100%の酢酸エチルの勾配で溶出するフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィーを使用して粗生成物を精製して、185mgの[3'-tert-ブチルジメチルシロキシ-N-メチル-Bmt]1-[メトキシ-Sar]3-N-[ブタン-4-アール]-Val5-シクロスポリンAを白色の固体として得た。
Figure 0005820722
(参照実施例8)
無水メタノールにおける[3'-tert-ブチルジメチルシロキシ-N-メチル-Bmt]1-[メトキシ-Sar]3-N-[ブタン-4-アール]-Val5-シクロスポリンA(0.09g)の溶液に、水素化ホウ素ナトリウム(4.8mg、2.0当量)を添加し、結果として生じる混合物を室温で1時間撹拌した。反応混合物を水でクエンチし、酢酸エチルで抽出した。有機層を鹹水で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。溶媒除去後、0.09gの[3'-tert-ブチルジメチルシロキシ-N-メチル-Bmt]1-[メトキシ-Sar]3-N-[4-ヒドロキシブチル]-Val5-シクロスポリンAを得、さらに精製せずにこれを使用した。
Figure 0005820722
(参照実施例9)
0.01mLの酢酸を含む無水メタノールにおける[3'-tert-ブチルジメチルシロキシ-N-メチル-Bmt]1-[メトキシ-Sar]3-N-[ブタン-4-アール]-Val5-シクロスポリンA(0.09g)の溶液に、ジメチルアミン(0.08mL、0.18mmol、THFにおける2.0M溶液)及び水素化シアノホウ素ナトリウム(10mg、0.14mmol)を添加し、結果として生じる混合物を室温で12時間撹拌した。次に、該混合物を減圧下で濃縮し、溶媒A(A=DCM)における溶媒B(B=DCM/MeOH/NH4OH(90:9:1(v/v/v)))の0〜70%の勾配で溶出するフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィーを使用して残渣を精製して、85mgの[3'-tert-ブチルジメチルシロキシ-N-メチル-Bmt]1-[メトキシ-Sar]3-N-[4-ジメチルアミノブチル]-Val5-シクロスポリンAを白色の固体として得た。
Figure 0005820722
[(R)-メトキシ-Sar]3シクロスポリンA(3-メトキシシクロスポリンAとしても知られている。)は、米国特許第6,583,265号及びPCT公報第WO2006/0398668号に記載されており、それらのすべての内容は全体として引用により本明細書中に組み込まれている。
(HCV活性)
Krigerらの文献(2001, Journal of Virology 75:4614-4624)、Pietschmannらの文献(2002, Journal of Virology, 76:4008-4021)によって記載されたものから応用される方法を使用して、及び米国特許第6,630,343号に記載されたHCV RNA構築物を使用して、HCVに対する活性について本発明の代表的な化合物を検査した。安定したルシフェラーゼ(LUC)リポーターを含むHCV RNAレプリコンであるヒト肝細胞癌細胞株ET(lub ubi neo/ET)において化合物を検討した。HCV RNAレプリコンETは、ホタルルシフェラーゼ(LUC)、ユビキチン、及びネオマイシンホスホトランスフェラーゼ(NeoR)融合タンパク質の生成を駆動するHCVの5'末端(HCV配列内リボソーム進入部位(IRES)及びHCV中心タンパク質の最初の数個のアミノ酸を有する。)を含む。ユビキチン切断は、LUCタンパク質及びNeoRタンパク質を放出する。EMCV IRES要素は、HCV構造タンパク質NS3-NS5の翻訳を制御する。NS3タンパク質は、HCVポリタンパク質を切断して、HCV複製に必要な成熟型NS3、NS4A、NS4B、NS5A、及びNS5Bタンパク質を放出する。レプリコンの3'末端には、HCVの標準3'NTRがある。LUCリポーターの活性は、HCV複製レベルに正比例しており、ポジティブコントロール抗ウイルス化合物は、LUC終点を使用して再現性のある抗ウイルス応答を生じる。
0.03〜3μM又は1〜100μMのいずれかで変動する5つの0.5ログ濃度で各々、化合物をDMSOに溶解した。ET株のサブコンフルエントな培養物を、細胞数(細胞毒性)又は抗ウイルス活性の分析に供する96ウェルプレートへと蒔種し、翌日、化合物を適切なウェルに添加した。細胞がなおもサブコンフルエントである場合、細胞を72時間後に処理した。ウイルス複製をそれぞれ50%及び90%低下させる化合物の有効濃度であるEC50及びEC90として、抗ウイルス活性を表した。化合物のEC50及びEC90の値は、HCV RNAレプリコンに由来するLUC活性として評価されるHCV RNAレベルに由来した。細胞生存率をそれぞれ50%及び90%阻害する化合物の濃度であるIC50及びIC90として細胞毒性を表した。細胞数及び細胞毒性の指標として比色アッセイを使用して、化合物のIC50及びIC90の値を算出した。LUCリポーターの活性は、ヒト細胞株におけるHCV RNAレベルに正比例する。インターフェロン-α-2bをポジティブコントロールとして使用する並行実験において、HCV-レプリコンアッセイを確認した。また、比較としてシクロスポリンも検査した。本明細書に開示した代表的な化合物は、ヒト肝細胞におけるHCV複製を阻害した。特に、化合物第1〜4番、第6〜12番、第14〜17番、第20番及び第21番は、1000nM未満のEC50値を有した。化合物第5番は、1000nMを超えるEC50値を有した。加えて、細胞毒性のレベルを考慮する場合、このような化合物は、安全域を呈した(抗ウイルスIC50対細胞毒性EC50)。
(シクロフィリン結合活性)
本発明に開示した化合物のシクロフィリン阻害結合は、Quesniauxらの文献(Eur. J Immunol., 1987, 17:1359-1365)によって記載された方法から応用した競合的ELISAを使用して決定される。D-Lys8-シクロスポリンA(D-Lys8-Cs)に結合したスクシニルスペーサーの活性化したエステルは、位置8におけるD-リシル残基を通じてウシ血清アルブミン(BSA)に共役される。BSAは、0.1Mホウ酸緩衝液, pH9.0(1.4mLにおける4mg)に溶解される。ジメチルホルムアミド(0.6mL)に溶解した100倍モル過剰量のD-Lys8-Csを、激しい撹拌の下でBSAに滴下して添加する。共役反応は、穏やかな撹拌の下で室温で2〜3時間実施され、抱合体は、リン酸緩衝塩類溶液(PBS, pH7.4)に対して大規模に透析される。抱合したタンパク質の一定分量をアセトン沈殿した後、アセトン溶液には共有結合したD-Lys8-Csは残っておらず、シクロスポリン共有結合の程度が算出される。
マイクロタイタープレートをD-Lys8-Cs-BSA抱合体でコーティングする(PBSにおける2μg/mLで4℃、24時間)。プレートをTween(登録商標)/PBSで及びPBS単独で洗浄する。非特異的結合を遮断するために、2%BSA/PBS(pH7.4)をウェルに添加し、37℃で2時間インキュベートしたままにする。検査されるべき化合物の5倍希釈系列を別個のマイクロタイタープレートにおけるエタノール中に調製する。出発濃度は、ヒト組換えシクロフィリンを使用するアッセイについて0.1mg/mLである。198μLの0.1μg/mLシクロフィリン溶液をマイクロタイターに添加した直後に、2μLの希釈したシクロスポリンA(参照化合物として使用)又は本発明の化合物を添加する。コーティングしたBSA-Cs抱合体と遊離シクロスポリンAとシクロフィリンとの反応は、4℃で一晩平衡化するようにしておく。PBSを含む1%BSAに希釈した抗シクロフィリンウサギ抗血清を使用して、シクロフィリンを検出し、4℃で一晩インキュベートする。プレートを先に記載したとおり洗浄する。次に、1%BSA-PBSに希釈し、37℃で2時間インキュベートしておいたアルカリホスファターゼに抱合したヤギ抗ウサギIgGによって、結合したウサギ抗体を検出する。プレートを先に記載したとおり洗浄する。リン酸4-ニトロフェニル(ジエタノールアミン緩衝液における1g/L、pH9.8)とともに37℃で1〜2時間インキュベートした後、分光光度計を使用して405nmで酵素反応を分光光度的に測定する。結果は、50%阻害に到達するために必要とされる本発明の化合物の濃度であるEC50として表される。化合物第1〜4番、第6〜17番、第20番及び第21番は、シクロフィリンA及びBに対して600nM未満のEC50値を有した;化合物第5番は、シクロフィリンA及びBに対して600nMを超えるEC50値を有した。化合物第1〜3番、第6〜12番、第14〜17番、及び第21番は、シクロフィリンDに対して600nM未満のEC50値を有した;化合物第4、5、及び20番は、シクロフィリンDに対して600nMを超えるEC50値を有した。
ジャーカット細胞における抗CD3及び抗CD28との同時刺激によるT細胞刺激(IL-2)について、本明細書に開示した化合物を検査する。すべての化合物は、10μM(n=2)〜0.0015μMで出発する0.5ログの9点用量設定を有する。また、シクロスポリンA(コントロール)も、500ng/mLで出発する0.5ログの9点用量設定で実行する。検査されるべき化合物はすべて、ジメチルスルホキシドに溶解する。細胞毒性は、平行なAlamar Blueプレートを使用して評価する。ジャーカット細胞を、96ウェルプレートにおける190μLの増殖培地において、1ウェルあたり2×105個で蒔種する。細胞をRPMI 1640培地、10%ウシ胎仔血清、及びL-グルタミンにおいて、37℃で5%二酸化炭素を使用するインキュベーションで培養する。1時間のインキュベーションの後、固定した抗CD3(0.4μg/ウェル)、可溶性抗CD28(2μg/mL)を使用して細胞を刺激する。6時間後、試料上清を回収し、−80℃で保存する。Luminex(登録商標)1-plexアッセイを使用して、上清の50μL試料をIL-2について検査する。
(ミトコンドリア透過性移行)
Ca2+によって誘導したミトコンドリアの膨潤を測定することによって、ミトコンドリア透過性移行(MPT)を決定する。手法は、Blattnerらの文献(2001, Analytical Biochem, 295:220)によって記載された方法から応用する。ショ糖ベースの緩衝液における穏やかな均質化の後に、細胞細片をまず除去した後にミトコンドリアをペレット化する分画遠心法を利用する標準的な方法を使用して、血液を除去するためにリン酸緩衝塩類溶液(PBS)で灌流しておいたラット肝臓からミトコンドリアを調製する。膨潤は、150μMのCa2+(CaCl2の濃縮した溶液から添加)によって誘導し、535〜540nmにおける散乱を測定することによってモニターする。代表的な化合物を添加した5分後に膨潤を誘導する。EC50は、本明細書に開示した化合物を使用した及び使用していない膨潤を比較することによって決定する。化合物第1、6〜11、14、16、20、及び21番は、10μm未満のEC50値を有した;化合物第2〜5番は、10μmを超えるEC50値を有した;化合物第12及び17番は、1.5μmを超えるEC50値を有した。
本明細書に引用されるすべての刊行物及び特許出願は、各個々の刊行物又は特許出願が引用により組み込まれると具体的にかつ個別に示されていたかのように、引用により本明細書中に組み込まれている。本発明は、種々の好ましい実施態様の点で記載しているが、当業者は、その精神から逸脱せずに種々の改変、置換、省略、及び変更がなされてもよいことを認識するであろう。従って、本発明の範囲は、その等価物を含む下記の特許請求の範囲によってのみ制限されるべきであることが意図される。

Claims (9)

  1. 一般式(I)の化合物:
    Figure 0005820722
    又はその医薬として許容し得る塩
    (式中:
    Aは、(E) -CH=CHRを表し、この中で、Rは、メチルを表す;
    Bは、エチルを表す;
    R1は、下記を表す:
    1〜6個の炭素原子を含む非置換の直鎖若しくは分岐鎖アルキル、又は同じでも異なってもよい1個以上のR3基によって置換した1〜6個の炭素原子を含む直鎖若しくは分岐鎖アルキル;
    R2は、下記を表す:
    同じでも異なってもよい1個以上のR41基によって置換した1〜6個の炭素原子を含む直鎖若しくは分岐鎖アルキル;又は
    同じでも異なってもよい1個以上のR42基によって置換した2〜6個の炭素原子を含む直鎖若しくは分岐鎖アルケニル;
    Xは、酸素又は硫黄を表す;
    R3は、アミノ、N-アルキルアミノ、N,N-ジアルキルアミノ、又はシクロアルキルを表す;
    R41は、ヒドロキシル、-NR5R6、又は-OR8を表す;
    R42は、ヒドロキシル、-NR5R6、又は-OR8を表す;
    R5及びR6は、同じでも異なってもよく、各々下記を表す;
    水素;又は
    1〜6個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖アルキル;
    R8は、下記を表す:
    1〜6個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖アルキル;
    非置換アリール、又はアルキル、ハロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アミノ、N-アルキルアミノ及びN,N-ジアルキルアミノからなる群から選択される同じでも異なってもよい1〜5個の基によって置換したアリール;又は
    アラルキルであって、この中で、該アリール環が、非置換であるか、又はハロゲン、アミノ、N-アルキルアミノ、N,N-ジアルキルアミノ、アルコキシ及びハロアルキルからなる群から選択される同じでも異なってもよい1〜5個の基によって置換され、この中で、該アルキルが、1〜3個の炭素原子を含む、アラルキル。)。
  2. R2が、1個のR42基によって置換した3〜6個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖アルケニルを表す、請求項1記載の化合物。
  3. [メトキシ-Sar]3-N-(トランス-4-ベンジルオキシ-ブタ-2-エニル)-Val5-シクロスポリンA;
    [メチルチオ-Sar]3-N-[トランス-4-(3’,4’-ジメトキシ)ベンジルオキシ-ブタ-2-エニル]-Val5-シクロスポリンA;
    [メトキシ-Sar]3-N-[トランス-4-(3’,4’-ジメトキシ)ベンジルオキシ-ブタ-2-エニル]-Val5-シクロスポリンA;
    [メチルチオ-Sar]3-N-[トランス-4-ヒドロキシ-ブタ-2-エニル] -Val5-シクロスポリンA;
    [メトキシ-Sar]3-N-[トランス-4-ヒドロキシ-ブタ-2-エニル] -Val5-シクロスポリンA;
    [メチルチオ-Sar]3-N-[トランス-4-ジメチルアミノ-ブタ-2-エニル]-Val5-シクロスポリンA;
    [メトキシ-Sar]3- N-[トランス-4-ジメチルアミノ-ブタ-2-エニル]-Val5-シクロスポリンA;
    [メトキシ-Sar]3- N-[4-ヒドロキシブチル]-Val5-シクロスポリンA;及び
    [メトキシ-Sar]3- N-[4-ジメチルアミノブチル]-Val5-シクロスポリンA;又は
    その医薬として許容し得る塩からなる群から選択される、請求項1記載の化合物。
  4. 請求項1に定義される一般式(I)の化合物、又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物を含む、組成物。
  5. 請求項1に定義される式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物を含む、対象のC型肝炎ウイルス感染を治療又は予防するための医薬組成物。
  6. 請求項1に定義される一般式(I)の化合物の製造方法であって、
    (a)塩基による式(II)の化合物:
    Figure 0005820722
    (式中、A、B、X及びR1は、請求項1に定義されるとおりである。)の処理、及び結果として生じる陰イオン性化合物と式R2-Yの化合物との反応(式中、R2は、請求項1に定義されるとおりであり、かつYは脱離基である。);又は
    (b)ポリアニオン種を生じるための適切な溶媒中の塩基による式(III)の化合物:
    Figure 0005820722
    (式中、A、B及びR2は、請求項1に定義されるとおりである。)の処理、及びこのようにして得られた陰イオンと式R1X-Lの求電子剤との反応(式中、R1及びXは請求項1に定義されるとおりであり、かつLは脱離基である。);
    (c)式(V)の化合物:
    Figure 0005820722
    (式中、A、B、X、R1及びR2は請求項1に定義されるとおりであり、かつR50は保護基を表す。)を脱保護すること;
    を含む、前記方法。
  7. 一般式(III)の化合物のポリアニオン:
    Figure 0005820722
    (式中、A、B及びR2は請求項1に定義されるとおりである。)。
  8. 一般式(V)の化合物:
    Figure 0005820722
    (式中、A、B、X、R1及びR2は請求項1に定義されるとおりであり、かつR50は保護基を表す。)。
  9. 前記得られた式(I)の化合物が、その医薬として許容し得る塩又は溶媒和物に変換される、請求項6記載の方法。
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