JP5819709B2 - 対基板作業支援装置および対基板作業支援方法 - Google Patents
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Description
電気回路を構成する回路基板に対して対基板作業機によって行われる対基板作業を支援するための対基板作業支援装置および支援方法であって、
対基板作業機の作業品質の変化に関する判断を行い、
作業品質の低下の程度が設定程度を超えていると判断した場合に、作業品質を改善するための改善処置を決定し、
その決定された改善処置を、対基板作業機と対基板作業機のオペレータとの少なくとも一方に通知し、
通知された改善処置の完了についての情報である処置完了情報を、対基板作業機と対基板作業機のオペレータとの少なくとも一方から受け取り、
その処置完了情報の受取を条件として、改善処置の実施された後に対基板作業が行われた基板であるか否かを判断し、改善処置の完了前後の作業品質の変化に関する判断を行うことを特徴とする。
対基板作業機の作業品質の変化に関する判断を行う品質判断部と、
その品質判断部が、作業品質の低下の程度が設定程度を超えていると判断した場合に、作業品質を改善するための改善処置を決定する改善処置決定部と、
その改善処置決定部によって決定された改善処置を、前記対基板作業機と前記対基板作業機のオペレータとの少なくとも一方に通知する処置通知部と、
その処置通知部によって通知された改善処置の完了についての情報である処置完了情報を、前記対基板作業機と前記対基板作業機のオペレータとの少なくとも一方から受け取る処置完了情報受取部と
を備え、
前記品質判断部が、前記処置完了情報受取部による前記処置完了情報の受取を条件として、改善処置の完了前後の作業品質の変化に関する判断を行うように構成されたことを特徴とする対基板作業支援装置。
対基板作業において前記対基板作業機が行った動作と前記対基板作業機に対して行われた処置との少なくとも一方に関する情報を含む作業機関連情報に基づいて、対基板作業における作業条件の変動である作業条件変動を認識する条件変動認識部と、
その認識された作業条件変動が作業品質に影響を及ぼす可能性のある作業部位を特定し、その特定された作業部位の少なくとも1つを、監視対象部位として認定する監視対象部位認定部と
を備え、
前記品質判断部が、
前記対基板作業機の動作に依拠して取得された動作依拠取得データと、前記対基板作業機による対基板作業の作業結果を検査する検査機による検査データとの少なくとも一方を含む対照用データの、前記認識された作業条件変動の発生前に対基板作業が実行された回路基板についてのものと、その作業条件変動の発生後に対基板作業が実行された回路基板についてのものとを対照して、前記監視対象部位の作業品質の変化に関する判断を行うように構成された(1)項ないし(6)項のいずれか1つに記載の対基板作業支援装置。
対基板作業機の作業品質の変化に関する判断を行う品質判断ステップと、
その品質判断ステップにおいて、作業品質の低下の程度が設定程度を超えていると判断された場合に、作業品質を改善するための改善処置を決定する改善処置決定ステップと、
その改善処置決定ステップにおいて決定された改善処置を、前記対基板作業機と前記対基板作業機のオペレータとの少なくとも一方に通知する処置通知ステップと、
その処置通知ステップにおいて通知された改善処置の完了についての情報である処置完了情報を、前記対基板作業機と前記対基板作業機のオペレータとの少なくとも一方から受け取る処置完了情報受取ステップと
を含み、
前記品質判断ステップにおいて、前記処置完了情報受取ステップにおいて前記処置完了情報を受け取ることを条件として、改善処置の完了前後の作業品質の変化に関する判断を行うことを特徴とする対基板作業支援方法。
i)電気回路製造ラインの全体構成
図1に示すように、電気回路製造ライン20(以下、単に、「製造ライン20」と略す場合がある)は、上流側から順に、基板投入器22,はんだ印刷機24,印刷作業結果検査機26,第1搬送経路切換器28,部品装着機30,第2搬送経路切換器32,装着作業結果検査機34,リフロー炉36,最終検査機38が、並んで配置されており、複数の基板が、それら機器を順次通過して、電気回路の製造が行われる。はんだ印刷機24,部品装着機30,リフロー炉36が、対基板作業機であり、それぞれが行うはんだ印刷作業,部品装着作業,部品固定作業が、対基板作業である。
はんだ印刷機24は、図2に示すように、角パイプを主体に構成されたベースフレーム50を有しており、そのベースフレーム50に支持されて配設された基板コンベア装置52,基板保持・昇降装置54(図では、スクリーン56に隠れて一部しか現われていない),スクリーン保持装置58,スキージ装置60,クリーニング装置62等によって構成されている。
印刷作業結果検査機26は、内部構造の図示は省略するが、基板コンベア装置と、検査ヘッドと、その検査ヘッドを移動させるヘッド移動装置とを含んで構成されている。基板コンベア装置は、はんだが印刷された基板を上流側から搬入して下流側に搬出するとともに、所定の検査位置に定置させる機能を有している。検査ヘッドは、検査位置に定置させられた基板の表面の情報を得るための作業ヘッドである。ヘッド移動装置は、いわゆるXY型の移動装置であり、検査ヘッドを基板搬送方向に平行な方向(X方向)に移動させるX方向移動機構と、その機構自体をX方向に直角な方向(Y方向)に移動させるY方向移動機構とを含んで構成されており、基板の上方において、検査ヘッドを、基板の表面に平行な一平面に沿って移動させる。
部品装着機30は、基板に部品を装着するための作業機であり、先に説明したように、ベース40と、6つの装着モジュール42と、モジュール統括コントローラ44とを含んで構成されている。図4は外装パネルを外した状態の装着モジュール42を示しており、この図を参照しつつ説明すれば、装着モジュール42は、モジュールベース100と、モジュールベース100に上架されたビーム102と、モジュールベース100に配設された基板コンベア装置104と、当該モジュール42の正面側においてモジュールベース100に交換可能に取り付けられてそれぞれが部品供給装置として機能する複数の部品フィーダ106と、基板コンベア装置104と複数の部品フィーダ106との間においてモジュールベース100に固定されたベース固定式の部品カメラ108と、複数の部品フィーダ106のいずれかから供給される部品を保持してその部品を基板Sに装着するために離脱させる装着ヘッド110(「作業ヘッド」の一種である)と、ビーム102に配設されて装着ヘッド110を移動させるヘッド移動装置112とを含んで構成されている。
装着作業結果検査機34は、内部構造の図示は省略するが、印刷作業結果検査機26と同様、基板コンベア装置と、検査ヘッドと、その検査ヘッドを移動させるヘッド移動装置とを含んで構成されている。基板コンベア装置は、部品が装着された基板を上流側から搬入して下流側搬出するとともに、所定の検査位置に定置させる機能を有している。基板コンベア装置およびヘッド移動装置は、印刷作業結果検査機26のものと同様の構成となっているが、検査ヘッドは、印刷作業結果検査機26のものとは異なる構成となっている。装着検査結果検査機34が備える検査ヘッド、つまり、装着検査ヘッドは、基板表面と基板に装着された部品の上面とを上方から撮像する撮像装置としての基板カメラを主要構成要素として構成されたものであり、その基板カメラによって、二次元的な撮像データが取得される。
リフロー炉36は、装着作業結果検査機34から搬入された基板、つまり、部品が装着された基板を搬出口まで搬送するコンベア装置と、コンベア装置によって搬送される基板を加熱するための熱風式,赤外線式等のヒータとを含んで構成されている。部品が装着された基板が、コンベア装置で搬送される最中に、ヒータによって加熱されることで、クリームはんだが溶融し、搬出口付近で冷却(自然冷却)されることによって、そのはんだが凝固して、部品が固定される。コンベア装置による基板の搬送速度、炉内の温度プロファイル(基板が炉内を搬送される際の搬送位置変化に対する基板加熱温度の変化の様子)等は、製造される基板の大きさ,部品数,クリームはんだの種類等に応じて、任意に設定可能とされている。
vii)最終検査機
最終検査機38は、装着作業結果検査機34と略同様の構成とされている。検査ヘッドが有する基板カメラによって取得された撮像データに基づいて、部品固定位置についての部品のX方向およびY方向の位置ズレ量,回転方向のズレ量(回転角度若しくは方位におけるズレ量)を取得し、部品の欠品,部品立ち(いわゆる「チップ立ち」)の発生を確認する。部品の欠品,部品立ちの発生を確認した場合は、その発生の事実をもってその作業部位が作業不良であると認定、つまり、その作業部位が不良部位であると認定する。一方、部品固定位置の位置ズレに関しては、ある部品の上記ズレ量が、その部品について規定された限界値(不良判定用限界値)を超えている場合に、その部品、つまり、その作業部位が不良部位であると認定する。本最終検査機38は、それらに加え、凝固したはんだについての検査をも実行する。具体的に言えば、上記撮像データに基づいて、各部品が載置されているはんだランドの各々の外形寸法の正規の外形寸法に対する差(外形寸法変動量)、簡単に言えば、はんだランドの形状不良を確認する。例えば、はんだがダレてはんだランドの面積が過多となった場合には、隣接するはんだランドと繋がり、電気回路がショート等してしまうことになり、はんだランドの外形は、そのような観点から検査され、はんだランドどうしが互いに接触している場合に、それらのはんだランドが不良部位であると認定する。その不良部位と作業不良の内容等の不良情報を、操作パネルのディスプレイ等を介して、オペレータに報知する。オペレータは、上記報知された情報に基づいて、リフロー炉36の搬送速度,温度プロファイルを調整する。なお、部品の固定位置についての不良は、リフロー炉36による部品固定作業の不良だけではなく、部品装着機30による部品装着作業の作業品質の低下によっても引き起こされる。したがって、その意味において、最終検査機38は、リフロー炉36による部品固定作業の作業結果のみならず、部品装着装置30による装着作業の結果を検査する検査機としても機能するものとなっている。つまり、最終検査機38は、装着作業結果検査機としても、また、固定作業結果検査機としても機能するものとなっている。
viii)ラインコントローラ
ラインコントローラ46は、製造ライン20を統括して制御する機能を主機能とする制御装置であり、現時点において各機器によって作業されている基板の把握、基板が製造ライン20による電気回路の製造予定数および製造実績数,製造ライン20の製造タクト等の管理、各機器について共通した設定項目についてのオペレータの入力操作による設定処理等を行う。なお、各機器は、現在自身が作業を行っている基板の基板IDを認識する機能を有している。各機器は、自身が対基板作業を行う基板の基板IDを把握しており、ラインコントローラ46は、各機器からの基板ID情報を基に、製造ライン20を通過する基板を管理している。なお、ラインコントローラ46は、そのような機能の他に、オペレータを管理する機能をも有し、オペレータ自身によって入力されたオペレータIDに基づいて、誰が現在製造ライン20のオペレータであるかを把握している。
電気回路製造支援装置10は、汎用コンピュータが所定のプログラムを実行することによって実現され、製造ライン20によって製造される電気回路の品質面における支援を行う。詳しく言えば、先に説明したように、それぞれが対基板作業機であるはんだ印刷機24,部品装着機30,リフロー炉36による対基板作業の作業不良については、印刷作業結果検査機26,装着作業結果検査機34,最終検査機38によって検出されるため、本支援装置10は、製造される電気回路の品質に対する高い信頼性を維持すべく、不良と認定される基準に達しないまでの品質低下を把握するための支援処理を行う。そしてその支援処理を効率的に行うため、対基板作業機において作業条件の変動が発生した場合に、その作業条件変動に関係する作業部位の品質低下を監視するようにされている。そのため、本支援装置10の支援処理は、大きくは、作業条件変動を認識し、監視する対象となる作業部位を認定するための条件変動認識・監視対象部位認定処理と、認定された作業部位についての作業品質の変化に関する判断を行い、品質低下があった場合にそれに対処するための品質変化判断・対処処理との2つの処理と、品質変化判断・対処処理のなかで行われる品質改善処理とを含んでいる。以下に、それら3つの処理に用いられる情報,データを説明した上で、それら3つの処理を、順次、説明し、その後で、本支援装置10の機能構成について説明する。
支援処理において用いられる情報・データは、大きくは、2つに類別することができる。その1つは、作業条件変動を認識するための情報である「作業機関連情報」であり、もう1つは、品質低下を判断するために対照される「品質低下判断時対照用データ(以下、単に、「対照用データ」と言う場合がある)」である。ちなみに、それらの情報・データは、支援処理にあたって、支援装置10が有する情報・データ格納部に格納される。以下に、それぞれについて、順次説明する。
作業機関連情報は、簡単に言えば、対基板作業機が1つの基板に対して対基板作業を行った際、どのようなデバイスや資材が使用されたか,どのような動作が行われたか,当該作業機の状態がどのような状態であったか等を表す情報であり、さらに2つに類別することができる。その1つは、対基板作業機が実際に行った作業に関する情報(作業実績情報)であり、もう1つは、対基板作業機に対して実際に行われた処置に関する情報(処置情報)である。作業機関連情報は、主に、各対基板作業機が1つの基板に対して対基板作業を完了した都度、その対基板作業機から支援装置に送信される。なお、先に説明したオペレータに関する情報も作業機関連情報の一種であり、そのような情報は、ラインコントローラ46から送信される。
対照用データには、動作依拠取得データと検査データとの少なくとも一方が含まれる。動作依拠取得データは、先に説明したように、対基板作業機が対基板作業を行う上での動作に関するデータ、動作を行っている際若しくは動作後の対基板作業機の状態(ステータス)に関するデータ、動作の対象物の動き,状態に関するデータ等、対基板作業機において検出・測定・認識可能の種々のデータが含まれる。先に説明した作業実績情報の多くは、この動作依拠取得データとして扱うことができる。具体的に例示すれば、はんだ印刷機24に関しては、スキージのスクリーンへの加圧力(印圧),撮像装置による基板基準マークの撮像データから得られる当該マークのズレに関するデータ等、種々のデータが、動作依拠取得データとなり得る。また、部品装着機30に関しては、吸着ノズル118,124に吸着保持された部品の部品カメラ108による撮像データから得られるデータ(ノズル軸線に対する部品の位置ズレ等に関するデータ等)、部品ごとの或いは吸着ノズルごとの吸着ミスの回数,確率、基板カメラ116による基板基準マークの撮像データから得られる当該マークのズレに関するデータ等が、動作依拠取得データとなり得る。リフロー炉36に関しては、基板の搬送速度,炉内の温度プロファイルが、動作依拠取得データとなり得る。 それらの動作依拠取得データは、例えば、それら対基板作業機が対基板作業を行った都度、それら対基板作業機から支援装置10に送られる。
条件変動認識・監視対象部位認定処理は、図6にフローチャートを示す条件変動認識・監視対象認定プログラムが実行されることによって行われる。このプログラムは、いずれかの対基板作業機が、1の基板に対して対基板作業を完了したことをトリガとして開始される。その対基板作業機が、はんだ印刷機24,部品装着機30,リフロー炉36のいずれであっても、当該プログラムの実行によって、その対基板作業機に応じた処理がなされる。
品質変化判断・対処処理は、図7にフローチャートを示す品質変化判断・対処プログラムが実行されることによって行われる。このプログラムは、上記作業条件変動監視リストに登録された作業条件変動が影響を与える可能性のある基板についての検査が、その作業条件変動が発生した対基板作業の結果を検査する検査機によって実行された都度、詳しく言えば、上記処理対象とされた基板1つ1つの検査の終了の都度行われる。ちなみに、処理の対象となる基板は、条件変動関連データとして格納されている基板IDを基に判断され、その基板IDの基板以降に連続して対基板作業が行われたいくつかの基板が対象とされる。
品質改善処理は、先の品質変化判断・対処処理において、品質低下が認定され、改善処置が一旦通知されたを条件に、S22において実行される処理であり、図9にフローチャートを示す品質改善サブルーチンが実行されることによって行われる処理である。ちなみに本サブルーチンによる処理の終了により、品質変化判断・対処も終了する。
電気回路製造支援装置10は、上記のような条件変動認識・監視対象部位認定処理,品質変化判断・対処処理,品質改善処理を行うことから、図10に示すような機能構成を有していると考えることができる。具体的に言えば、支援装置10は、それぞれが内部バス150によって互いに繋がる仮想的な複数の機能部である情報・データ入手部152,条件変動認識部154,監視対象部位認定部156,対象部位品質判断部158,改善処置決定部160,情報・処置通知部162,情報・データ格納部164,処置完了情報受取部166を有している。そして、支援装置10は、LAN48を介して、それぞれが対基板作業機であるはんだ印刷機24,部品装着機30,リフロー炉36と、また、印刷作業結果検査機26,装着作業結果検査機34,最終検査機38と繋がっている。
次に、支援装置10によって行う支援処理の具体例として、いくつかの作業条件変動に対する処理の具体例について説明する。
部品装着機30における吸着ノズル118,124の交換は、部品保持デバイスの交換であり、部品装着作業の作業品質、詳しくは、装着される部品の装着精度に影響を与える作業条件変動の一例である。吸着ノズル118,124の交換は、作業機関連情報である上記作業実績情報、具体的には、ノズルIDが、前回作業基板と今回作業基板とで異なることによって認識される。吸着ノズル118,124の交換が認識された場合、交換された吸着ノズル118,124によって装着された部品が、影響部位として特定される。そして、監視対象部位として、その吸着ノズル118,124によって装着された部品のうち、最も大きい部品、最も小さい部品,1つの部品についての端子数が最も多い部品が認定される。装着作業結果検査機34からの検査データのうち、吸着ノズル118,124の交換前に部品装着作業が行われた基板における監視対象部位についての装着位置の位置ズレ量および交換後に部品装着作業が行われた基板における監視対象部位についての装着位置の位置ズレ量が対照用データとして用いられ、監視対象部位の各々についての吸着ノズル118,124の交換前後におけるそれらの位置ズレ量に対する工程能力指数CpKが安定度指標値としてそれぞれ算出され、それら工程能力指数CpKが比較されて、監視対象部位の各々に対する品質低下の有無が判断される。また、部品装着機30からの動作依拠取得データのうち、監視対象部位となる部品の部品カメラ108による撮像データに基づいて取得されたその部品の吸着ノズル118,124の軸線に対するズレ、つまり、吸着ノズル118,124によるその部品の吸着保持位置のズレ量も、対照用データとして用いられ、監視対象部位の各々についての吸着ノズル118,124の交換前後におけるそれらの位置ズレ量に対する工程能力指数CpKが安定度指標値としてそれぞれ算出され、それら工程能力指数CpKが比較されて、監視対象部位の各々に対する品質低下の有無が判断される。さらに、動作依拠取得データのうち、監視対象部位となる部品が部品フィーダ106から吸着ノズル118,124によって取り出される際の吸着保持ミスの回数も対照用データとして用いられ、監視対象部位の各々についての吸着ノズル118,124の交換前後における吸着保持ミス率(厳密には、吸着保持成功率である)が安定度指標値としてそれぞれ算出され、それら吸着保持ミス率が比較されて、監視対象部位の各々に対する品質低下の有無が判断される。いずれかの監視対象部位において品質の低下が発生していると判断された場合、第1順位の改善処置として、ノズルクリーナ128を利用した吸着ノズル118,124の自動クリーングが、第2順位の改善処置として、オペレータによるノズルの曲がりの修正が、第3順位の改善処置として、吸着ノズル118,124の再交換が、決定される。
部品装着機30においてスプライシング若しくは部品フィーダ106の交換等によって部品を補給した場合、ロットの変更が発生する。部品ロットの変更は、部品装着作業の作業品質、詳しくは、その部品の装着精度に影響を与える作業条件変動である。部品のロットの変更があった場合、作業機関連情報である上記作業実績情報として、部品IDが採用され、その部品IDが、前回作業基板と今回作業基板とで異なることによって認識される。部品のロットの変更が認識された場合、変更されたロットの部品が、影響部位として特定される。そして、監視対象部位として、影響部位として特定された部品のすべてが認定される。装着作業結果検査機34からの検査データのうち、部品ロットの変更前に部品装着作業が行われた基板における監視対象部位についての装着位置の位置ズレ量および変更後に部品装着作業が行われた基板における監視対象部位についての装着位置の位置ズレ量が対照用データとして用いられ、監視対象部位の各々についての部品ロット変更前後におけるそれらの位置ズレ量に対する工程能力指数CpKが安定度指標値としてそれぞれ算出され、それら工程能力指数CpKが比較されて、監視対象部位の各々に対する品質低下の有無が判断される。また、部品装着機30からの動作依拠取得データのうち、監視対象部位となる部品の部品カメラ108による撮像データに基づいて取得されたその部品の吸着ノズル118,124の軸線に対するズレ、つまり、吸着ノズル118,124によるその部品の吸着保持位置のズレ量も、対照用データとして用いられ、監視対象部位の各々についての部品ロット変更前後におけるそれらの位置ズレ量に対する工程能力指数CpKが安定度指標値としてそれぞれ算出され、それら工程能力指数CpKが比較されて、監視対象部位の各々に対する品質低下の有無が判断される。さらに、動作依拠取得データのうち、監視対象部位となる部品が部品フィーダ106から吸着ノズル118,124によって取り出される際の吸着保持ミスの回数も対照用データとして用いられ、監視対象部位の各々についての部品ロット変更前後における吸着保持ミス率(厳密には、吸着保持成功率である)が安定度指標値としてそれぞれ算出され、それら吸着保持ミス率が比較されて、監視対象部位の各々に対する品質低下の有無が判断される。また、いずれかの監視対象部位において品質の低下が発生していると判断された場合、部品フィーダ106ごと部品を交換したことによって部品のロットが変更されたときには、まず、部品フィーダ106だけを、さらに別の部品フィーダ106に交換する処置が、その処置でも改善が見られないときには、続いて、部品をさらに別のロットの部品に交換する処置が、順次、改善処置として決定され、通知される。一方、スプライシング等によって部品だけを交換したことによって部品のロットが変更されたときには、部品をさらに別のロットの部品に交換する処置が、唯一の改善処置として決定され、通知される。
はんだ印刷機24におけるスクリーン56は、はんだランドの擦れ,はみ出し,突起等を防止するための有効な手段であり、はんだ印刷機24では、定期的に自動でドライクリーニングが行われる。この定期的なドライクリーニングは、はんだ印刷作業における作業条件変動となる。定期的なドライクリーニングが実施された場合、作業機関連情報である上記処置情報として、そのクリーニングが実施された事実がはんだ印刷機24から支援装置10に送られ、支援装置10は、そのクリーニングの実施を、作業条件変動と認識する。ドライクリーニングの場合、印刷されるすべてのはんだランドが影響部位として特定され、監視対象部位として、最も面積の小さなはんだランド,最も面積の大きなはんだランド,最も近接した2つのはんだランド,X方向Y方向のそれぞれにおける基板の両端の各々に最も近いはんだランド,基板の最も中央に位置するはんだランドが、認定される。監視対象部位の各々におけるドライクリーニング前の面積変動量,体積変動量のそれぞれについての工程能力指数CpKおよびドライクリーニング前の面積変動量,体積変動量についての工程能力指数CpKが安定度指標値として算出され、各監視対象部位についてのそれらが比較されて、作業品質の低下が判断される。品質の低下があった場合には、第1順位の改善処置として、ウェットクリーニングが、第2順位の改善処置として、バキュームクリーニングが決定される。
上記3つの具体例以外に、種々の作業条件変動が存在している。そのいくつかについて列挙すれば、はんだ印刷機24に関しては、例えば、基板のロット変更,スキージの交換,クリームはんだの追加供給,スキージの移動速度の変更,機内の設定温度の変更等が、部品装着機30に関しては、例えば、装着ヘッド110,122の交換,装着モジュール46の交換,基板のロットの変更,装着位置等に関する装着プログラムの変更等が、また、リフロー炉に関しては、例えば、炉内の温度プロファイルの変更,基板搬送速度の変更等が、それぞれ、作業条件変動に該当する。本装着装置10は、用いる基板関連情報を適切に選択することにより、種々の作業条件変動を認定可能とされている。対照用データも、作業条件変動に応じた適切なものを選択可能であり、また、影響部位の特定,監視対象部位の認定の規則,安定度指標値,対処処置等も、任意に設定可能とされている。すなわち、本装着装置10は、幅広い種類の作業条件変動に容易に対処可能とされているのである。
Claims (7)
- 電気回路を構成する回路基板に対して対基板作業機によって行われる対基板作業を支援するための対基板作業支援装置であって、
対基板作業機の作業品質の変化に関する判断を行う品質判断部と、
その品質判断部が、作業品質の低下の程度が設定程度を超えていると判断した場合に、作業品質を改善するための改善処置を決定する改善処置決定部と、
その改善処置決定部によって決定された改善処置を、前記対基板作業機と前記対基板作業機のオペレータとの少なくとも一方に通知する処置通知部と、
その処置通知部によって通知された改善処置の完了についての情報である処置完了情報を、前記対基板作業機と前記対基板作業機のオペレータとの少なくとも一方から受け取る処置完了情報受取部と
を備え、
前記品質判断部が、前記処置完了情報受取部による前記処置完了情報の受取を条件として、改善処置の実施された後に対基板作業が行われた基板であるか否かを判断し、改善処置の完了前後の作業品質の変化に関する判断を行うように構成されたことを特徴とする対基板作業支援装置。 - 前記改善処置決定部が、前記決定された改善処置が前記対基板作業機に対して施されたにも拘わらず作業品質の改善が見られないときには、施された改善処置とは別の改善処置を決定するように構成された請求項1に記載の対基板作業支援装置。
- 前記改善処置決定部が、設定された優先順位に従って、前記別の改善処置を決定するように構成された請求項2に記載の対基板作業支援装置。
- 前記品質判断部が、対基板作業とその対基板作業の作業結果との少なくとも一方についての安定度に基づいて、作業品質の変化に関する判断を行うように構成された請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の対基板作業支援装置。
- 前記対基板作業機が、前記対基板作業として回路基板に電気部品を装着する部品装着作業を実行する部品装着機であり、当該対基板作業支援装置が、その部品装着作業を支援する装置である請求項1ないし請求項4のいずれか1つに記載の対基板作業支援装置。
- 前記対基板作業機が、前記対基板作業として回路基板にクリームはんだを印刷するはんだ印刷作業を実行するはんだ印刷機であり、当該対基板作業支援装置が、そのはんだ印刷作業を支援する装置である請求項1ないし請求項4のいずれか1つに記載の対基板作業支援装置。
- 電気回路を構成する回路基板に対して対基板作業機によって行われる対基板作業を支援するための対基板作業支援方法であって、
対基板作業機の作業品質の変化に関する判断を行う品質判断ステップと、
その品質判断ステップにおいて、作業品質の低下の程度が設定程度を超えていると判断された場合に、作業品質を改善するための改善処置を決定する改善処置決定ステップと、
その改善処置決定ステップにおいて決定された改善処置を、前記対基板作業機と前記対基板作業機のオペレータとの少なくとも一方に通知する処置通知ステップと、
その処置通知ステップにおいて通知された改善処置の完了についての情報である処置完了情報を、前記対基板作業機と前記対基板作業機のオペレータとの少なくとも一方から受け取る処置完了情報受取ステップと
を含み、
前記品質判断ステップにおいて、前記処置完了情報受取ステップにおいて前記処置完了情報を受け取ることを条件として、改善処置の実施された後に対基板作業が行われた基板であるか否かを判断し、改善処置の完了前後の作業品質の変化に関する判断を
行うことを特徴とする対基板作業支援方法。
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