(全体構成)
図1は実施の形態に係る火災報知設備の一例を示すシステム構成図である。図1に示す火災報知設備は、一部を無線化した火災報知設備であり、監視対象となる建物に設置され、火災の発生を検知したときにこれを報知するシステムである。
本実施の形態に係る火災報知設備100は、図1に示すように、火災受信機Aと、火災受信機Aに信号線CL1により接続された無線式中継器B1(第1中継器)と、火災受信機Aに信号線CL2により接続された無線式中継器B2(第1中継器)と、監視対象となる建物の各部屋の天井に配置される無線式の火災感知器D11、D12、D21、D22、D31、D32、D41、D42、D43と、無線式中継器B1と火災感知器D21、D22との間に介在して無線信号を中継するリピータ中継器C1(第2中継器)と、無線式中継器B1と火災感知器D31、DB(D32)との間に介在して無線信号を中継するリピータ中継器C2、C3(第2中継器)とを備えている。無線式中継器Bは、電源線DC24Vにより、火災受信機Aに配線接続されて電源供給を受けて動作する。また、信号線CL1、CL2には、無線式ではない一般型の火災感知器を接続可能である。なお、無線式の火災感知器DB(D32)は防水型の火災感知器であり、防水型火災感知器としての符号DBと火災感知器としての符号D32とを併記しているが、以降、防水型火災感知器として説明する場合は、必要に応じて、符号DBを用いて説明する場合がある。
図1に示す設定器Eは、防水型火災感知器DBの監視モード用の通信周波数の設定や確認、上位機器としての無線式中継器B1、リピータ中継器C2、C3に無線式防水型感知器を登録のために使用する機器である。また、無線式中継器B1、B2に対する無線信号を用いた遠隔試験を行ったり、また、通信経路F1、F2、F3、F4の登録時の状態を確認するために使用する機器としても利用できる。
なお、これ以降、無線式中継器B1、B2を無線式中継器B、火災感知器D11、D12、D21、D22、D31、D32、D41、D42、D43を火災感知器D、及びリピータ中継器C2、C3をリピータ中継器Cと総称する場合がある。
ここで、各無線式中継器B及びこの無線式中継器Bとの間で無線通信を行う火災感知器D及びリピータ中継器Cの集合をグループと称する。すなわち、無線式中継器B毎に1つのグループを構成する。図1の例では、無線式中継器B1及びこの無線式中継器B1との間で無線通信を行うリピータ中継器C1、C2、C3と火災感知器D11、D12、D21、D22、D31、D32をグループG1と称する。また、無線式中継器B2及びこの無線式中継器B2との間で無線送受信を行う火災感知器D41、D42、D43をグループG2と称する。
また、各グループにおいては、無線式中継器Bを基点とする複数の通信経路が確立されている。図1のグループG1の例では、無線式中継器Bと火災感知器D11、D12の間には通信経路F1が確立され、無線式中継器Bとリピータ中継器C1及びこのリピータ中継器C1と火災感知器D21、D22の間には通信経路F2が確立されている。また、無線式中継器Bとリピータ中継器C2、C3及びリピータ中継器C3と火災感知器D31、D32の間には通信経路F3が確立されている。さらに、図1のグループG2の例では、無線式中継器B2と火災感知器D41、D42、D43の間には通信経路F4が確立されている。そして、各機器は、通信周波数(無線式防水型火災感知器DBにおいては、通常動作を行う監視モード用の通信周波数)として、複数の通信周波数(例えば、1〜16チャンネル)のいずれかを設定可能であり、例えば、グループG1は1チャンネル、グループG2は2チャンネルとして、各機器間の通信周波数は、グループ毎に個別の通信周波数を設定しているが、これに限定するものではない。
(火災感知器D)
火災感知器Dは、火災現象に基づく検知対象物の物理量または物理的変化を検出し、検出内容に応じた状態信号を無線信号として送信する。火災感知器Dとして、例えば、検出した煙濃度に基づくアナログ値または火災信号を無線信号として出力する無線式の煙感知器、検出した周囲温度に基づくアナログ値または火災信号を無線信号として出力する無線式の熱感知器等が使用されている。
図2は実施の形態における無線式火災感知器の主要構成を示すブロック図である。火災感知器Dは、制御回路1、電池2、定電圧回路3、電圧検出回路4、送受信回路5、アンテナ6、火災検出回路7、表示灯回路8、登録スイッチ9を備えている。
電池2は、定電圧回路3に直流電圧を供給する。定電圧回路3は、電池2の直流電圧を所定電圧に制御し、制御回路1、送受信回路5、火災検出回路7、表示灯回路8に供給する。
電圧検出回路4は、例えば、定電圧回路3に印加される電池2の直流電圧を検出し、検出電圧に応じた電池電圧検出信号を制御回路1に出力する。電圧検出回路4は、電池残量が低下したこと、あるいは電池切れの閾値より低下したことを検出すると、制御回路1に出力して、表示灯回路8を動作させると共に、電池切れの状態情報を含む状態信号を送受信回路5より出力させる。
火災検出回路7は、火災現象に基づく煙または熱等の検知対象物の物理量または物理的変化を検出して、検出内容に応じた状態信号を制御回路1に出力する。表示灯回路8は、発光ダイオード(LED)の点灯動作を制御する回路で、例えば、電池切れの場合にはLEDを点滅し、火災検出回路7により火災が検出されたときには、その点滅と異なる周期でLEDを点滅する。
送受信回路5は、無線信号を送受信するためのアンテナ6と接続されており、送信回路5aと受信回路5bとを備えている。受信回路5bは、所定周期で受信サンプリング動作を行ってアンテナ6から受信された無線信号を検出し、無線信号が自己宛の場合にはその内容に応じて受信処理を行う。そして、受信回路5bは、受信処理した信号を、制御回路1へ出力する。また、送信回路5aは、制御回路1に制御されて、状態信号などの信号の送信処理を行う。登録スイッチ9は、グループ内において無線信号を送受信するのに必要な通信経路等の情報を登録するときに使用されるスイッチである。
制御回路1は、火災検出回路7によって出力された信号に基づいて火災状態等を判別する状態判別部としての機能を有する。また、制御回路1は、火災状態であると判別した場合には、表示灯回路8を制御し、LEDの点滅によって警報を行う。また、制御回路1は、送受信回路5により受信された信号に基づいて必要な処理を行うと共に、必要に応じて送受信回路5を制御して無線式中継器Bあるいはリピータ中継器Cに状態信号や火災信号などを送信する。記憶素子1aは、例えばEEPROMなどの不揮発性メモリからなり、制御回路1が実行するプログラムや各種データが格納されている。また、後述の登録作業により、グループID、自己のアドレス、上位機器アドレス、下位機器アドレス、機器番号などの各種データが格納される。
また、制御回路1は、後述するが、登録スイッチ9がオンされたときに登録要求信号を他の機器に送信する。この登録要求信号の送信により、例えば無線式中継器Bからの無線式中継器Bが火災感知器Dを登録したことを示す登録信号が受信されたときには、無線式中継器Bとの間で通信経路を確立する。
火災感知器Dは、詳細には図示しないが、筐体背面に露出して設けられた電池接続用のコネクタに、筐体背面側に露出して配置された電池2のコネクタを接続することにより、各回路に電源が供給されて、通常動作を行う監視モードとなる。また、火災感知器Dは、詳細には図示しないが、筐体背面に露出して設けられた通信周波数設定用スイッチを操作することにより、通常動作を行う監視モード用の通信周波数として、複数の通信周波数(例えば、1〜16チャンネル)のいずれかを設定可能であり、例えば、グループG1は1チャンネル、グループG2は2チャンネルというように、グループ毎に個別の通信周波数が設定されている。そして、制御回路1は、通常動作を行う監視モードにおいて、グループ毎に設定された通信周波数の送受信状態に送受信回路5を設定して、無線信号の送受信を制御する。
(防水型火災感知器DB)
防水型火災感知器DBは、火災現象に基づく検知対象物の物理量または物理的変化を検出し、検出内容に応じた状態信号を無線信号として送信する。防水型火災感知器DBとして、例えば、検出した周囲温度に基づくアナログ値または火災信号を無線信号として出力する無線式の熱感知器等が使用されているが、煙式、炎式などその他の感知器であってもよい。
図3は実施の形態における無線式防水型火災感知器の主要構成を示すブロック図である。防水型火災感知器DBは、制御回路31、電池2、定電圧回路3、電圧検出回路4、送受信回路5、アンテナ6、火災検出回路7、表示灯回路8、リードスイッチ39を備えている。記憶素子11aは、例えばEEPROMなどの不揮発性メモリからなり、制御回路31が実行するプログラムや各種データ、通信周波数設定モード専用の通信周波数の設定が格納されている。また、後述の登録作業により、グループID、自己のアドレス、上位機器アドレス、下位機器アドレス、機器番号などの各種データ、監視モードの通信周波数の設定が格納される。
防水型火災感知器DBは、前述の火災感知器Dと異なり登録スイッチ9を備えておらず、また、制御回路31の動作内容も異なる。また、通信周波数設定用スイッチの代わりに、通常動作の監視モード用の通信周波数を設定するための通信周波数設定モードの開始のトリガーとなるリードスイッチ39(操作信号出力手段の一例)を備えているが、その他の回路構成については火災感知器Dと基本的に同様である。
防水型火災感知器DBは、カバー32とカバー32を覆う本体33により構成された筐体内に、密閉空間35が形成される。そして、防水型火災感知器DBを構成する全ての回路が密閉空間35内に収納されることによって、防水型としての防水性能を満たしている。なお、火災検出回路7を構成する熱式センサとしてのサーミスタ7aは、先端側が筐体外部に露出しているが、筐体からの挿通箇所を封止部材34で封止することにより、密閉空間35を保持している。なお、サーミスタ7aと同様の封止構造を利用して、必要に応じて、必要な回路構成(例えば、アンテナ6など)を筐体外部に露出してもよい。また、密閉空間35内を充填剤で充填してもよい。
防水型火災感知器DBは、モードとして、低消費電力モードと設定モード(通信周波数設定モード、及び通信経路登録モード)と監視モードとを有し、制御回路31は、各モードを切り替えるモード設定部31bとして機能する。また、リードスイッチ39は、磁石が近接されることによりオンして、モード設定部31bのモードを切り替える操作信号を出力する機能を有している。以下、各モードに関して説明する。
(1)低消費電力モード
低消費電力モードは、電池2からの電源供給を受けた状態で通常動作時(設定モード、監視モード)よりも消費電力の少ない待機動作を行うモードであり、工場出荷時に設定してあるモードである。低消費電力モードにおいて、制御回路31はストップモードに設定されていて、制御回路31に設けられたクロック回路の動作クロックの発振が停止し、火災検出回路7、表示灯回路8、送受信回路5などの監視制御動作も停止することから、防水型火災感知器DBは、消費電力を最小限に抑えた待機状態となる。
この状態で、モード設定部31bは、リードスイッチ39から入力される信号を判別しており、リードスイッチ39がオフであるときのハイレベルの信号が入力されている場合は、低消費電力モードを保持し、一方、磁石が近接されることにより、リードスイッチ39がオンしたときのロウレベルの信号が入力されると、低消費電力モードであるストップモードを解除し、本実施の形態では、設定モードに切り替える。
ここで、モード設定部31bは、ロウレベルの信号が入力する経過時間を判別することにより、設定モードとして、通信周波数設定モードまたは通信経路登録モードのうちの1つを選択して、当該選択した設定モードに切り替える。本実施の形態では、モード設定部31bは、ロウレベルの信号が入力する経過時間が一定時間(例えば、5秒)を経過しなかった場合は、通信周波数設定モードに切り替え、また、一定時間を経過した場合は、通信経路登録モードに切り替える。
(2)通信周波数設定モード(設定モード)
通信周波数設定モードは、通常動作を行う監視モード用の通信周波数を設定するモード、及び防水型火災感知器DBを特定する情報(監視モード用の通信周波数の設定、当該グループID、自己のアドレス、上位機器アドレス、下位機器アドレス、機器番号など)を確認するモードであり、図1の設定器Eとの間で、無線信号を送受信することによって、設定器Eが、防水型火災感知器DBの監視モード用の通信周波数を設定、及び確認するモードである。
通信周波数設定モードにおいて、制御回路31は、制御回路31に設けられたクロック回路の動作クロックの発振に基づいて、表示灯回路8、送受信回路5などの監視制御動作を行い、通信周波数設定処理、機器特定情報確認処理などを行う。このとき、モード設定部31bは、所定の通信周波数の送受信状態に送受信回路5を設定するが、所定の通信周波数として、本実施の形態では、監視モード用の通信周波数として設定可能な通信周波数とは異なる通信周波数(例えば、1〜16チャンネルとは異なる専用の17チャンネル)に設定して、監視モードにおけるシステム内の他の機器の無線信号との衝突を回避している。しかしながら、1〜16チャンネルのいずれかを設定することも可能である。
通信周波数設定処理として、制御回路31は、送受信回路5を介して、設定器Eから送信された監視モード用の通信周波数を指定する無線信号を受信すると、該指定された通信周波数を、記憶素子31aに記憶して、監視モード用の通信周波数として設定する。
また、機器特定情報確認処理として、制御回路31は、送受信回路5を介して、設定器Eから送信された機器特定情報を確認要求する無線信号を受信すると、記憶素子31aに記憶された機器特定情報を示す応答信号を、送受信回路5を介して、設定器Eへ送信する。
この通信周波数設定モードの状態で、モード設定部31bは、リードスイッチ39から入力される信号を判別しており、リードスイッチ39がオフであるときのハイレベルの信号が入力されている場合は、通信周波数設定モードを保持し、一方、磁石が近接されることにより、リードスイッチ39がオンしたときのロウレベルの信号が入力されると、または、通信周波数設定モードの開始から所定時間(例えば、10分間)が経過すると、通信周波数設定モードを解除し、監視モードに切り替える。
(3)通信経路登録モード(設定モード)
通信経路登録モードは、グループ内の他の機器との間の通信経路の登録を行うモードである。防水型火災感知器DBは、防水性能を満たすために、火災感知器Dのような登録スイッチ9が存在しないため、図1の設定器Eから送信される無線信号に基づいて、遠隔操作により、通信経路の登録を行うモードである。
通信経路登録モードにおいて、制御回路31は、制御回路31に設けられたクロック回路の動作クロックの発振に基づいて、表示灯回路8、送受信回路5などの監視制御動作を行い、通信経路登録処理などを行う。このとき、モード設定部31bは、監視モード用の通信周波数の送受信状態に送受信回路5を設定する。
通信経路登録処理として、制御回路31は、送受信回路5を介して、設定器Eから送信された登録開始命令信号を受信すると、火災感知器Dにおいて登録スイッチ9がオンされたときと同様の動作を行う。つまり、登録要求信号を他の機器に送信する。この登録要求信号の送信により、例えば無線式中継器Bからの無線式中継器Bが防水型火災感知器DBを登録したことを示す登録信号が受信されたときには、無線式中継器Bとの間で通信経路を確立する。
この通信経路登録モードの状態で、モード設定部31bは、リードスイッチ39から入力される信号を判別して、リードスイッチ39がオフであるときのハイレベルの信号が入力されている場合は、通信経路登録モードを保持し、一方、磁石が近接されることにより、リードスイッチ39がオンしたときのロウレベルの信号が入力されると、または、通信経路登録モードの開始から所定時間(例えば、30分間)が経過すると、通信経路登録モードを解除し、監視モードに切り替える。
(4)監視モード
監視モードは、通常動作を行うモードであり、後述する火災監視処理、状態収集処理などを行うモードである。監視モードにおいて、制御回路31は、制御回路31に設けられたクロック回路の動作クロックの発振に基づいて、火災検出回路7、表示灯回路8、送受信回路5などの監視制御動作を行い、火災監視処理、状態収集処理などを行う。このとき、モード設定部31bは、通信周波数設定モードにより設定された通信周波数の送受信状態に送受信回路5を設定するので、当該設定された通信周波数の無線信号を、制御回路31は、他の機器との間で送受信することができる。
この状態で、モード設定部31bは、リードスイッチ39から入力される信号を判別しており、リードスイッチ39がオフであるときのハイレベルの信号が入力されている場合は、監視モードを保持し、一方、磁石が近接されることにより、リードスイッチ39がオンしたときのロウレベルの信号が入力されると、監視モードを解除し、設定モードに切り替える。
(設定器E)
設定器Eは、防水型火災感知器DBの設定モード時に、各種の無線信号を送受信することによって、防水型火災感知器DBにおける監視モード用の通信周波数の設定、機器特定情報の確認、及び通信経路登録を行うものである。
設定器Eは、図1に主要構成を示すブロック図が示されている。設定器Eは、制御回路41、記憶素子41a、送受信回路45、アンテナ46、表示回路48、操作回路49を備えている。
制御回路41は、設定器Eの全体を制御する。記憶素子41aは、例えばEEPROMなどの不揮発性メモリからなり、制御回路41が実行するプログラムや各種データ、防水型火災感知器DBの通信周波数設定モード専用の通信周波数の設定が格納されている。送受信回路45は、アンテナ46を介して、各種の無線信号の送受信を行う。表示回路48は、受信した無線信号の情報や操作回路49の操作入力した情報などを表示する。操作回路49は、各種の情報を操作入力する。
制御回路41は、防水型火災感知器DBの監視モード用の通信周波数を設定する場合、または機器特定情報を確認する場合は、防水型火災感知器DBに設定されている通信周波数設定モード専用の通信周波数(例えば、17チャンネル)の送受信状態に送受信回路45を設定する。また、防水型火災感知器DBの通信経路を登録する場合は、防水型火災感知器DBに設定されている監視モード用の通信周波数(例えば、1チャンネル)の送受信状態に送受信回路45を設定する。そして、操作回路39の操作入力に基づいて、送受信回路45を介して、必要な無線信号を送信し、上記の必要な設定作業を行う。
(リピータ中継器C)
リピータ中継器Cは、無線式中継器Bと火災感知器Dとの間に介在し、無線信号の中継を行う。そのリピータ中継器Cは、無線式中継器Bと火災感知器Dとの間で互いに電波が届かない場合に設けられる。図1のグループG1に示すリピータ中継器C2、C3のように、無線式中継器Bと火災感知器Dとの間に2台以上のリピータ中継器Cを設けて中継させることも可能である。
図4は実施の形態におけるリピータ中継器の主要構成を示すブロック図である。
リピータ中継器Cは、制御回路11、電池2、定電圧回路3、電圧検出回路4、送受信回路5、アンテナ6、表示灯回路8、登録スイッチ9を備えている。リピータ中継器Cは、前述の火災感知器Dと異なり火災検出回路7を備えておらず、また、制御回路11の動作内容も異なるが、その他の構成については火災感知器Dと基本的に同様である。また、電池2の配置、電池2による電源供給方法、通信周波数設定用スイッチの配置、通信周波数の設定方法、及びこれらに関する制御回路11の制御については、火災感知器Dと基本的に同様である。なお、リピータ中継器Cに例えば図2の火災感知器Dに示すような火災検出回路7や煙や熱等を感知するセンサを設け、リピータ中継器Cが火災検出機能を有する構成としてもよい。
制御回路11は、後述するが、登録スイッチ10が操作されたときに登録要求信号を他の機器に送信する。この登録要求信号の送信により、例えば無線式中継器Bからの無線式中継器Bがリピータ中継器Cを登録したことを示す登録信号が受信されたときには、無線式中継器Bとの間で通信経路を確立する。
記憶素子11aは、例えばEEPROMなどの不揮発性メモリからなり、制御回路11が実行するプログラムや各種データが格納されている。また、後述の登録作業により、グループID、自己のアドレス、上位機器アドレス、下位機器アドレス、機器番号などの各種データが格納される。
(無線式中継器B)
無線式中継器Bは、火災感知器D及びリピータ中継器Cとの間で無線信号を送受信し、火災感知器Dあるいはリピータ中継器Cからの無線信号を火災受信機Aに転送する機能を有している。
無線式中継器Bは、後述するが、登録スイッチ9がオン状態のときに登録要求信号が受信されると、登録要求信号を発した火災感知器Dあるいはリピータ中継器Cにそれらが登録されたことを示す登録信号を送信して通信経路を確立する。また、無線式中継器Bは、通信経路を確立した後にリピータ中継器Cからの経路変更信号が受信されたときには、火災感知器Dまでの通信経路をリピータ中継器C経由に変更する。
図5は、実施の形態における無線式中継器の主要構成を示すブロック図である。
無線式中継器Bは、制御回路21、定電圧回路3、電圧検出回路4、送受信回路5、アンテナ6、表示灯回路8、登録スイッチ9、受信機I/F回路22、電源線用端子20a、信号線用端子20bを備える。無線式中継器Bは、前述の火災感知器Dやリピータ中継器Cのように電池駆動ではなく、火災受信機Aと電源線用端子20aとを接続する電源線DC24Vを介して火災受信機AからDC電源を供給される。また、火災受信機Aと信号線用端子20bとが信号線CL(CL1、CL2)で接続されており、無線式中継器Bは受信機I/F回路22を介して火災受信機Aと信号を送受信する。また、制御回路21の動作内容及び記憶素子21aに記憶される情報が一部異なるが、その他の構成については火災感知器Dやリピータ中継器Cと基本的に同様である。また、通信周波数設定用スイッチの配置、通信周波数の設定方法、及びこれらに関する制御回路21の制御については、火災感知器Dと基本的に同様である。なお、無線式中継器Bに例えば図2の火災感知器Dに示すような火災検出回路7や煙や熱等を感知するセンサを設け、無線式中継器Bが火災検出機能を有する構成としてもよい。
記憶素子21aは、例えばEEPROMなどの不揮発性メモリからなり、制御回路21が実行するプログラムや各種データ、グループIDなどが格納されている。また、後述の登録作業により、登録した機器のアドレス及び通信経路情報(後述する)等を保存するとともに、他の機器に登録信号を送信することによって、グループID、自己のアドレス、上位機器アドレス、下位機器アドレス、機器番号などの各種データを格納させる。
なお、本実施の形態では、火災受信機Aは、信号線CLとは別の電源線DC24Vにより、無線式中継器B用の電源を供給しているが、電源容量の点で問題ないならば、電源線DC24Vを削除して、信号線CLにより、端末機器用の電源を供給することができる。その場合、無線式中継器Bは、図5において、電源線用端子20aに接続された各回路の一次側に、電源線用端子20aの代わりに、信号線用端子20bと受信機I/F回路22とを接続するようにする。
(火災報知設備の動作概要)
火災報知設備100の主要な動作の一つ目は、火災監視である。具体的には、各火災感知器Dは、自身の監視領域において火災発生の有無を監視する。そして、火災感知器Dが火災による煙や熱などの環境の変化を検知すると、この検知情報が、リピータ中継器Cを介してあるいは直接、無線式中継器Bに無線信号により伝えられる。さらに無線式中継器Bから火災受信機Aに対し、検知情報が伝えられる。火災受信機Aは、火災の検知情報を受信すると、図示しない音響警報装置を制御して火災報知を行わせると共に、図示しない防火戸や排煙機、シャッター等を作動させて延焼を防ぐ。
また、火災報知設備100の主要な動作の二つ目は、状態収集処理である。火災報知設備100においては、これを構成する各機器に電池切れや無線通信の不良が生じると、火災通知が行えなくなってしまう。このような不具合が生じないようにするために、各機器の状態(電池状態や無線通信機能の状態など)を所定周期で収集する状態収集処理を行う。
このように通常の監視を行うためには、無線式中継器D、リピータ中継器C、火災感知器D、防水型火災感知器DBに、各種の設定、登録作業を行う必要がある。これらについて、以下に説明する。なお、防水型火災感知器DBについては、必要に応じて、図6乃至図8の防水型火災感知器DBの動作フローチャートを用いて説明する。また、状態収集処理及び火災通知処理については、各種の設定、登録作業の説明の後で説明する。
(通信周波数の設定)
まず、通信周波数の設定について説明する。通信周波数の設定は、無線式中継器B、リピータ中継器C及び無線式の火災感知器D、防水型火災感知器DBを各部屋の天井や壁などに設置する前に行う。
(1)無線式中継器B、リピータ中継器C、火災感知器Dにおいては、筐体背面に設けられた通信周波数設定スイッチ(図示せず)を操作して、例えば、グループG1は1チャンネル、グループG2は2チャンネルというように、グループ毎に個別の通信周波数を設定する。
(2)防水型火災感知器DBにおいては、図6に示すように、最初は低消費電力モードで起動しているが(S1)、リードスイッチ39に磁石を近接させて、リードスイッチ39をオンさせて(S2)、低消費電力モードを解除して、設定モードに切り替える。このとき、リードスイッチ39を一定時間未満オンさせることによって(S3)、設定モードとして、まず、通信周波数設定モードに切り替える(S4)。
通信周波数設定モードにおいては、図7に示されるように、防水型火災感知器DBは、記憶素子31aに設定された通信周波数設定モード専用の通信周波数(例えば、17チャンネル)の送受信状態に送受信回路5を制御し、また、表示灯回路8によって、通信周波数設定モードを示す表示を行う(S10)。
一方、設定器Eにおいては、記憶素子41aに設定された通信周波数設定モード専用の通信周波数(例えば、17チャンネル)の送受信状態に送受信回路5を制御する。そして、操作回路49を操作して、防水型火災感知器DBの監視モード用の通信周波数の1つ(この場合は、1チャンネル)を選択し、当該1チャンネルを指定する無線信号を送信する。
防水型火災感知器DBは、当該無線信号を受信すると(S11)、その旨を表示灯回路8で表示し、監視モード用の通信周波数の設定として、1チャンネルを記憶素子31aに記憶する(S12)。その後、設定器Eに対して、応答信号を送信する(S13)。
一方、設定器Eは、当該応答信号を受信すると、通信周波数の設定が完了したことを表示回路48に表示する。
(通信経路の登録)
(1.初期登録)
つぎに、通信経路を確立するための初期登録について図1を参照しながら説明する。ここで、グループG1を管理する無線式中継器B1に、リピータ中継器C1、C2、C3及び火災感知器D11、D12、D21、D22、D31、防水型火災感知器DBの通信経路情報を登録する例を示す。
(1)まず、無線式中継器B1に設けられた登録スイッチ9を操作して登録モードを起動し、火災感知器D11の登録スイッチ9の操作により登録を開始する。このとき、火災感知器D11は、登録要求信号を他の機器に送信する。
一方、登録モードである無線式中継器B1は、登録要求信号が受信されると、火災感知器D11にアドレス、機器番号を付与するとともに、これらアドレス、機器番号と、無線式中継器B1の下位機器アドレスであることを含めた通信経路情報を無線式中継器B1の記憶素子21aに保存する。
また、無線式中継器B1は、グループID(G1)と付与したアドレスと機器番号、および火災感知器D11が無線式中継器B1の下位機器アドレスであることを含む登録信号を火災感知器D11に送信して、火災感知器D11の記憶素子1aに火災感知器D11の上位機器アドレスとして保存させる。火災感知器D11の記憶素子1aには、無線式中継器B1のグループIDと付与されたアドレスと機器番号と各火災感知器Dの上位機器アドレスが保存される。
(2)残りの火災感知器D12、D21、D22、D31においても各登録スイッチ9を操作することにより、無線式中継器B1の記憶素子21aには、グループIDと各火災感知器Dに付与したアドレスと機器番号および通信経路情報が保存される。また、各火災感知器Dの記憶素子1aには、無線式中継器B1のグループIDと付与されたアドレスと機器番号と各火災感知器Dの上位機器アドレスが保存される。
(3)また、リピータ中継器C1、C2、C3においても各火災感知器と同様の手順で登録する。そして、各リピータ中継器Cの記憶素子11aには、無線式中継器B1のグループIDと付与されたアドレスと機器番号と各リピータ中継器Cの上位機器アドレスが保存される。
(4)つぎに、防水型火災感知器DBにおいて、通信経路の登録作業を行うが、その登録作業をする前に、機器特定情報(監視モード用の通信周波数の設定を含む)を確認する作業を行う。
まず、前述した監視モード用の通信周波数の設定作業後に、設定器Eにおいて、操作回路49を操作して、防水型火災感知器DBの機器特定情報を要求する信号(監視モード用の通信周波数を確認する確認要求を含む)としての無線信号を送信する。当該無線信号は、通信周波数設定モード専用の通信周波数(例えば、17チャンネル)として、設定器Eから送信される。
そして防水型火災感知器DBにおいては、図7に示されるように、機器特定情報を要求する信号を受信すると(S14)、その旨を表示灯回路8で表示し、記憶素子31aに記憶した機器特定情報(グループID、自己のアドレス、機器番号、上位機器アドレス、監視モード用の通信周波数の設定)を読み出す。そして、設定器Eに対して、応答信号として、機器特定情報を示す応答信号を送信する(S15)。なお、現状では、記憶素子31aには、機器特定情報として、グループID、自己のアドレス、機器番号、上位機器アドレスは設定されていないので、送信される機器特定情報としては、設定されている監視モード用の通信周波数、例えば、1チャンネルのみである。
設定器は、当該応答信号を受信すると、当該設定されている監視モード用の通信周波数(例えば、1チャンネル)等の機器特定情報を表示回路48に表示する。
つぎに、防水型火災感知器DBは、再度、リードスイッチ39に磁石を近接させて、リードスイッチ39をオンさせて(S16)、または通信周波数設定モードの開始から所定時間が経過したことにより(S17)、表示灯回路8の表示を消去して(S18)、通信周波数設定モードを解除して(S19)、図6に示されるように、監視モードに切り替える(S6)。
(5)上記の通りに、機器特定情報の確認を行った後、防水型火災感知器DBにおいて、通信経路の登録作業を行う。最初に、防水型火災感知器DBにおいて、リードスイッチ39に磁石を近接させて、リードスイッチ39をオンさせて(S7)、監視モードを解除して、設定モードに切り替えるが、磁石を近接させる時間を一定時間以上とすることで(S3)、設定モードとして、通信経路登録モードに切り替える(S5)。
通信経路登録モードにおいては、防水型火災感知器DBは、図8に示されるように、通信経路登録モードに切り替えられたことを表示灯回路8で表示する(S20)。そして、記憶素子31aに設定された監視モード用の通信周波数(例えば、1チャンネル)の送受信状態に、送受信回路5を設定(制御)する(S21)。そして、防水型火災感知器DBにおいては、登録開始命令信号を受信したか否かを判断し、受信していなければ(S22)、リードスイッチ39がオンしたか否かを判断し、オンしていなければ(S23)、通信経路登録モードの開始から所定時間が経過したか否かを判断し、所定時間経過していなければ(S24)、ステップS22に戻って、登録開始信号の受信待ちとなる(S22)。一方、防水型火災感知器DBは、リードスイッチ39がオンしたこと(S23)、通信経路登録モードの開始から所定時間が経過したこと(S24)によって、表示灯回路8の表示を消去して(S25)、通信経路登録モードを解除して(S31)、図6に示されるように、監視モードに切り替える(S6)。
設定器Eにおいては、前述の機器特定情報で得られた情報に基づいて、操作回路49を操作して、まず、機器特定情報として収集された監視モード用の通信周波数(例えば、1チャンネル)の送受信状態に送受信回路45を制御する。そして、無線式中継器B1が、登録モードで起動していることを確認後、操作回路49を操作して、防水型火災感知器DBに対して、防水型火災感知器DBの登録を開始する登録開始命令信号を送信する。
防水型火災感知器DBは、登録開始命令信号を受信すると(S22)、登録を開始したことを表示灯回路8で表示し(S26)、つぎに、登録要求信号を他の機器に送信する(S27)。
一方、登録モードである無線式中継器B1は、登録要求信号が受信されると、防水型火災感知器DBにアドレス、機器番号を付与するとともに、無線式中継器B1の下位機器アドレスであることを含めた通信経路情報を無線式中継器B1の記憶素子21aに保存する。
また、無線式中継器B1は、グループID(G1)と付与したアドレス、機器番号および防水型火災感知器DBが無線式中継器B1の下位機器アドレスであることを含む登録信号を防水型火災感知器DBに送信して、防水型火災感知器DBの記憶素子31aに防水型火災感知器DBの上位機器アドレスとして保存させる。
防水型火災感知器DBが、登録信号を受信することで(S28)、防水型火災感知器DBの記憶素子31aには、無線式中継器B1のグループIDと付与されたアドレスと機器番号と防水型火災感知器DBの上位機器アドレスが保存される(S29)。登録が完了すると、防水型火災感知器DBは、登録が完了したことを表示灯回路8で表示し(S30)、その後、表示灯回路8の表示を消去し(S25)、通信経路登録モードを解除して(S31)、図6に示されるように、監視モードに切り替える(S6)。
上記の無線式中継器B1と防水型火災感知器DBとの間で送受信される無線信号は、設定器Eでも受信され、その内容が表示回路48で表示される。
そして、防水型火災感知器DBは、監視モードに切り替えられたことにより(S6)、記憶素子31aに記憶した監視モード用の通信周波数の設定(例えば、1チャンネル)で監視モードを開始する。
最後に、無線式中継器B1の登録スイッチ9を操作して登録モードを終了させる。このようにして、各火災感知器Dと防水型火災感知器DB及び各リピータ中継器Cは、無線式中継器Bによって付与されたアドレス、グループID、上位機器アドレスを保存する。
(6)以上で、無線式中継器B1と各火災感知器D11、D12、D21、D22、D31、防水型火災感知器DBとの間で通信経路が確立され、無線式中継器B1と各リピータ中継器C1、C2、C3との間で通信経路が確立される。
(2.経路変更登録)
次に、火災感知器D21、D22とリピータ中継器C1との間で通信経路が確立されるように、また、火災感知器D31、防水型火災感知器DBとリピータ中継器C2、C3の間で通信経路が確立されるように、リピータ中継器C経由の火災感知器Dへの経路変更登録を行う。
(1)まず、リピータ中継器C1の登録スイッチ9を操作して登録モードを起動する。次に、リピータ中継器C1を介する火災感知器D21の登録スイッチを操作して登録を開始する。このとき、火災感知器D21からは、グループID、自己のアドレスを付与した登録要求信号が他の機器に送信される。
(2)登録モード中のリピータ中継器C1は登録要求信号が受信されると、グループIDが自己のグループIDと一致していることを判別すると火災感知器D21のアドレスを抽出し、火災感知器D21がリピータ中継器C1の下位機器であることを含める下位機器アドレスを自己の記憶素子11aに保存する。そして、リピータ中継器C1は、自己のアドレスを含む経路変更信号を火災感知器D21に送信するとともに、グループID、自己のアドレス、火災感知器D21のアドレスおよびリピータ中継器C1の上位機器であることを含める経路変更信号を無線式中継器B1に送信する。
(3)一方、火災感知器D21は、リピータ中継器C1からの経路変更信号が受信されると、記憶素子1aに保存されていた無線式中継器B1が上位機器であることを含める上位機器アドレスを無効にして、リピータ中継器C1が上位機器であることを含める新たな上位機器アドレスを記憶素子1aに保存する。
(4)無線式中継器B1は、リピータ中継器C1からの経路変更信号が受信されると、火災感知器D21との間で設定されていた通信経路情報は、新たにリピータ中継器C1を介して火災感知器21との間で設定した通信経路情報に変更して、自己の記憶素子21aに保存する。
(5)火災感知器D22においても火災感知器D21と同様の手順で通信経路情報を変更する。最後に、リピータ中継器C1の登録スイッチ9を操作して登録モードを終了させる。
(6)火災感知器D31がリピータ中継器C2、C3を介して無線式中継器B1を介するように通信経路を変更する場合は、リピータ中継器C3の登録スイッチ9を操作して登録モードを起動し、次に、リピータ中継器C3を介する火災感知器D31の登録スイッチを操作して登録を開始する他は、上記(2.経路変更登録)の(1)〜(5)と同様の作業であり、説明を省略する。なお、リピータC3の記憶素子11aには、火災感知器D31のアドレスと火災感知器D31が下位機器であることを含める下位機器アドレスが保存され、火災感知器D31の記憶素子1aには、保存されていた無線式中継器B1の上位機器アドレスを無効にし、リピータ中継器C3の上位機器アドレスが保存される。また、無線式中継器B1は、火災感知器D31との間で設定されていた通信経路情報は、新たにリピータ中継器C3を介して火災感知器31との間で設定した通信経路情報に変更して、自己の記憶素子21aに保存する。
(7)残りの防水型火災感知器DBがリピータ中継器C2、C3を介して無線式中継器B1を介するように通信経路を変更する場合は、リピータ中継器C3の登録スイッチ9を操作して登録モードを起動し、防水型火災感知器DBを、図8の通信経路登録モードに切り替えた状態にする。そして、設定器Eにおいて、操作回路49を操作して、防水型火災感知器DBに対して、防水型火災感知器DBの登録を開始する登録開始命令信号を送信する。防水型火災感知器DBは、登録開始命令信号を受信すると(S22)、登録要求信号を他の機器に送信する(S27)。
(8)登録モード中のリピータ中継器C3は登録要求信号が受信されると、グループIDが自己のグループIDと一致していることを判別すると防水型火災感知器DBのアドレスを抽出し、防水型火災感知器DBがリピータ中継器C3の下位機器であることを含める下位機器アドレスを自己の記憶素子11aに保存する。そして、リピータ中継器C3は、自己のアドレスを含む経路変更信号を防水型火災感知器DBに送信するとともに、グループID、自己のアドレス、防水型火災感知器DBのアドレスおよびリピータ中継器C3の上位機器であることを含める経路変更信号を無線式中継器B1に送信する。
(9)一方、防水型火災感知器DBは、リピータ中継器C3からの経路変更信号(登録信号)が受信されると(S28)、記憶素子31aに保存されていた無線式中継器B1が上位機器であることを含める上位機器アドレスを無効にして、登録情報として、リピータ中継器C3が上位機器であることを含める新たな上位機器アドレスを記憶素子31aに保存し(S29)、その後、通信経路登録モードを解除して(S31)、図6に示されるように、監視モードに切り替える(S6)。
(10)無線式中継器B1は、リピータ中継器C3からの経路変更信号が受信されると、防水型火災感知器DBとの間で設定されていた通信経路情報は、新たにリピータ中継器C3を介して防水型火災感知器DBとの間で設定した通信経路情報に変更して、自己の記憶素子21aに保存する。
(11)次に、リピータ中継器C3からリピータ中継器C2に経路変更登録を行う。
リピータ中継器C2の登録スイッチ9を操作して登録モードを開始させ、リピータC3の登録スイッチ9を操作して、登録要求信号を送出させることにより、登録を開始する。このとき、リピータ中継器C2は、登録要求信号からリピータ中継器C3のアドレス及び火災感知器D31、防水型火災感知器DBのアドレスを抽出し、リピータ中継器C3のアドレスを下位機器アドレスとして、記憶素子11aに保存する。また、リピータ中継器C2は、リピータ中継器C3に経路変更信号を送信して、リピータ中継器C3の記憶素子11aに自己のアドレスを上位機器アドレスとして保存させる。
そして、リピータ中継器C2は、上位機器である無線式中継器B1に経路変更信号を送信して、無線式中継器B1の記憶素子21aに保存されていた通信経路情報をリピータ中継器C2、C3及び火災感知器D31、D32の各アドレスを関連付けた新たな通信経路情報に変更して保存させる。最後に、リピータ中継器C2の登録スイッチ9を操作して登録モードを終了させる。上記の無線式中継器B1、リピータ中継器C、火災感知器D、防水型火災感知器DBの間で送受信される無線信号は、設定器Eでも受信され、その内容が表示回路48で表示される。
以上により、グループG1においては、無線式中継器B1と火災感知器D11、D12の間には通信経路F1が確立され、リピータ中継器C1を経由する無線式中継器B1と火災感知器D11、D12の間には通信経路F2が確立され、また、リピータ中継器C2、C3を経由する無線式中継器B1と火災感知器D31、D32の間には通信経路F3が確立される。
そして、無線式中継器Bの記憶素子21aには、各通信経路F1、F2、F3における通信経路情報がそれぞれ保存されている。ここでは、通信回路F3の通信経路情報のみを以下に例示する。
通信経路F3における通信ルートは、無線式中継器B1(アドレスB1)とリピータ中継器C1(アドレスC1)とリピータ中継器C2(アドレスC2)と火災感知器D31(アドレス31)との間の1つ目のルートと、無線式中継器B1とリピータ中継器C1とリピータ中継器C2と防水型火災感知器DB(アドレス32)との間の2つ目のルートと、により構成される。
よって、無線式中継器Bの記憶素子21aには、1つ目のルートにおける無線式中継器B1とリピータ中継器C1とリピータ中継器C2と火災感知器D31の各アドレスを関連付けした通信経路情報(B1−C1−C2−31)と、2つ目のルートおける無線式中継器B1とリピータ中継器C1とリピータ中継器C2と火災感知器D32の各アドレスを組み合わせた通信経路情報(B1−C1−C2−32)が保存されている。
また、グループG2においては、グループG1の通信経路F1と同様な手順によって無線式中継器B2と火災感知器D41、D42、D43との間には通信経路F4が確立される。
通信経路を確立した後は、グループG1、G2毎に各機器を天井に配置し、そして、無線式中継器B1、B2を伝送線CL1、CL2により火災受信機Aと接続して電波状況を確認する。これは、グループG1、G2毎に、無線式中継器Bとリピータ中継器Cと火災感知器Dの間で電波を送受信させて電波状況を確認する。電波が正常に送受信されたかどうかは、無線式中継器Bとリピータ中継器Cと火災感知器Dと防水型火災感知器DBに設けられたLEDの点灯状態例えば正常時は緑色点滅、異常時は橙色点灯から判断する。上記の無線式中継器B、リピータ中継器C、火災感知器D、防水型火災感知器DBの間で送受信される無線信号は、設定器Eでも受信して、その内容を表示回路48に表示することが可能である。
その点灯状態から、例えば、火災感知器D43の電波が異常であった場合、無線式中継器B2と火災感知器D43との間にリピータ中継器Cを増設する。なお、増設についても通信経路F2におけるリピータ中継器C1の登録と同様な手順で行う。
この場合、無線式中継器B2の記憶素子21aには、保存されていた無線式中継器B2と火災感知器D43との間の通信経路情報に対し、増設したリピータ中継器Cのアドレスが付加された、無線式中継器B2と中継器Cと火災感知器D43との間の新たな通信経路情報に変更して保存される。また、火災感知器D43の記憶素子1aには、無線式中継器B2のグループID(G2)が保存されるとともに、無線式中継器Bの上位機器アドレスに代えてリピータ中継器Cの上位機器アドレスが保存される。また、リピータ中継器Cの記憶素子11aには、無線式中継器B2のグループID(G2)および上記機器アドレスと火災感知器D43の下位機器アドレスが保存される。
これにより、無線式中継器B2と火災感知器D43には、リピータ中継器Cを経由する新たな通信経路(例えば、F5)が確立される。
また、グループG2の監視エリアに、新たな火災感知器Dが必要となった場合には、前述した操作により、無線式中継器B2の記憶素子21aには、増設した火災感知器D、例えばD44と無線式中継器B2との通信経路情報が保存され、その火災感知器Dの記憶素子1aには、無線式中継器B2のグループID(G2)及び上位機器アドレスが保存される。これにより、無線式中継器B2と火災感知器D44の間で新たな通信経路が確立される。
(送受信処理の概要)
次に、火災報知設備100における送受信処理の概要について説明する。
火災報知設備100における無線信号の主要な送受信処理は、(1)状態収集処理、(2)火災通知処理である。
(1)状態収集処理
状態収集処理は、無線式中継器Bが、自身と無線信号の送受信を行う機器(リピータ中継器C、火災感知器D)の状態情報(例えば、電池状態等)を収集する処理である。無線式中継器Bは、自身の下位機器に対してその機器自身の状態情報を送信するよう要求する状態要求信号を送信し、この状態要求信号を受信した機器は、更に自身の下位機器に対して状態要求信号を送信する。この状態要求信号は、その通信経路の末端に至るまで中継され、末端の機器である火災感知器Dは、自身の状態情報を含む信号を状態情報信号として上位機器に対して送信する。この状態情報信号を受信した上位機器は、受信した信号に対して自身の状態情報を含む信号を付加し、その信号を状態情報信号として上位機器へと送信する。この状態情報信号は、通信経路の最上位機器である無線式中継器Bに至るまで順に送信される。そして、無線式中継器Bは、下位機器から収集した状態情報信号を自ら状態判定して、必要があれば、その状態情報信号に含まれる情報を火災受信機Aに送信する。
状態収集処理は、無線通信の経路毎に行う。すなわち、図1の例では、まず、無線式中継器B1が火災感知器D11及びD12との間(通信経路F1)で状態収集処理を行い、これが終了すると、無線式中継器B1がリピータ中継器C1及びこれと送受信を行う火災感知器D21、D22との間(通信経路F2)で状態収集処理を行い、これが終了すると、無線式中継器B1がリピータ中継器C2、C3及びこれと送受信を行う火災感知器D31、D32との間(通信経路F3)で状態収集処理を行う。状態収集処理は、所定周期(例えば24時間周期)で行ってもよいし、火災報知設備100の設置年数等の状況に応じて状態収集処理を行う周期を変化させてもよい。
(2)火災通知処理
これは、火災感知器Dが検知した火災情報に基づく無線信号を、無線式中継器Bを介して火災受信機Aに対して送信する処理である。信号の流れは、火災感知器D、リピータ中継器C(介在する場合のみ)、無線式中継器B、火災受信機A、という通信経路の下位機器から上位機器までの順となる。
なお、無線信号を送信する際には、規格等で設定されている送信時間の範囲内で送信する必要がある。本実施の形態では、標準規格RCR STD−30に準拠し、送信期間が3秒以下、送信休止時間が2秒以上である場合を例に説明する。
また、無線式中継器B、リピータ中継器C、及び火災感知器Dは、基本的には所定時間おきに他の機器からの無線信号の受信を行う間欠受信を行っている。本実施の形態では、無線式中継器Bの間欠受信間隔をTB、リピータ中継器Cの間欠受信間隔をTC、火災感知器Dの間欠受信間隔をTDとする。
上記のような火災監視や状態収集の送受信処理においては無線信号により通信を行う。無線式中継器B及びリピータ中継器Cは、火災受信機Aと感知器Dとの間に介在し、これらの間で行われるべき無線通信を中継する中継器として機能する。
また、火災報知設備100を構成する各機器には、信号の送受信を行うために必要な情報が各機器の記憶素子に記憶されている。記憶素子に記憶される情報としては、少なくとも、グループID、自己アドレス、上位機器アドレス、下位機器アドレス、機器番号を含んでいる。
グループIDは、図1に示すグループ毎に固有に割り当てられるIDである。このグループIDは、無線式中継器B、リピータ中継器C、及び感知器Dのすべての機器に対して設定されている。
自己アドレスは、各機器に固有に割り当てられた通信アドレスであり、無線式中継器B、リピータ中継器C、及び感知器Dのすべての機器に対して設定されている。
上位機器アドレスは、通信階層において自身の直近上位に位置する機器のアドレスである。ここで、上位とは、各機器に対して火災受信機Aにより近い側をいう。例えば、図1のグループG1において、リピータ中継器C1の上位機器は無線式中継器B1であり、感知器D21、D22の上位機器はリピータ中継器C1である。この上位機器アドレスは、リピータ中継器C、及び感知器Dに対して設定されている。
下位機器アドレスは、通信階層において自身の直近下位に位置する機器のアドレスである。ここで、下位とは、各機器に対して火災受信機Aから遠い側をいう。例えば、図1のグループG1において、リピータ中継器C2の下位機器はリピータ中継器C3であり、リピータ中継器C3の下位機器は感知器D31、D32である。この下位機器アドレスは、無線式中継器B及びリピータ中継器Cに対して設定されている。
機器番号は、1つのグループに属する同種の機器内において、各端末に固有に割り当てられた番号である。例えば、本実施の形態では1グループに接続可能なリピータ中継器Cの最大数は6台であり、各リピータ中継器Cには01〜06のいずれかの機器番号が割り当てられる。また、本実施の形態では1グループに接続可能な感知器Dの最大数は30台であり、各感知器Dには01〜30のいずれかの機器番号が割り当てられる。なお、本実施の形態では自己アドレスと機器番号とを別に設ける例を示すが、各機器に固有の情報である自己アドレスを機器番号として使用することもできる。
ここで、グループ内において無線信号を送受信するのに必要な通信経路等の情報を各機器に登録する登録処理の概要を説明する。
まず、上位機器となる無線式中継器Bとリピータ中継器Cは、通信経路を登録するための動作モードとして登録モードというモードを有している。また、下位機器となるリピータ中継器Cと感知器Dは、通信経路の登録を要求する登録要求信号の送信が可能である。このような構成において、登録モード状態の上位機器(無線式中継器B又はリピータ中継器C)に対し、下位機器(リピータ中継器C又は感知器D)から自身のアドレスを含む登録要求信号が送信されると、上位機器は、登録要求信号に含まれるアドレスを自身の下位機器アドレスとして設定するとともに、その下位機器に対して自己アドレスを含む登録信号を送信する。この登録信号を受信した下位機器(リピータ中継器C又は感知器D)は、登録信号に含まれるアドレスを自身の上位機器アドレスとして設定する。このような処理を通信経路を構成する各機器について行うことにより、その通信経路が確立される。なお、登録モードへの移行や登録要求信号の送信は、登録スイッチ9を使用者に操作されることによって実行される。また、この登録処理は、火災報知設備100を新たに設置する際に行うほか、火災報知設備100を設置した後に機器を増設する場合にも行うことができる。
(通信電文)
次に、本実施の形態に係る火災報知設備100で用いられる通信電文について説明する。ここで説明する通信電文は、上述の(1)状態収集処理、(2)火災通知処理において用いられる通信電文である。
実施の形態の火災報知設備100では、送受信処理の種類((1)状態収集処理または(2)火災通知処理)と、送信元機器の種別、及び受信元機器の種別によって、使用する通信電文が定められている。まずは、各通信電文を具体的に説明する。
図9は、実施の形態の状態収集処理及び火災通知処理において、無線式中継器あるいはリピータ中継器に対して送信される通信電文を説明する図である。
図9に示す通信スロット110は、送信元(無線式中継器Bまたはリピータ中継器C)からリピータ中継器C、あるいは、送信元(リピータ中継器Cまたは火災感知器D)から無線式中継器Bまたはリピータ中継器Cに信号を伝送する送信スロット111と、他の機器からの信号を受信する連続受信スロット112から構成される。
送信スロット111は、連続する複数(本実施の形態では60)の基本フレーム101で構成される。すなわち、送信スロット111では、基本フレーム101を連続して複数回送信する。基本フレーム101は、例えば、同期信号、送信元を識別するためのグループIDや送信元アドレス、フレーム番号、データ等を含んでいる。
送信スロット111の長さは、無線式中継器Bの間欠受信間隔TB及びリピータ中継器Cの間欠受信間隔TCの長さよりも長くなるよう設定されており、無線式中継器Bとリピータ中継器Cが送信スロット111のうちのいずれかのフレームを受信できるようになっている。
なお、送信スロット111による送信を開始する前には、送信前CS(送信前キャリアセンス)を行い、他の機器が無線信号を送信中でないことを確認した後に送信を開始する。
連続受信スロット112は、無線信号の送信を行わない送信休止期間であり、受信回路を起動して無線信号の受信処理を行う時間帯である。連続受信スロット112は、火災転送信号用エリア113と、火災通知信号用エリア114と、その他信号用エリア115とを備える。火災転送信号用エリア113は他の機器から転送される火災転送信号を受信するためのエリア、火災通知信号用エリア114は火災感知器Dから送信される火災通知信号を受信するためのエリア、その他信号用エリア115は、火災転送信号と火災通知信号以外の制御要求信号または状態要求信号を受信するためのエリアである。詳細は図14で後述するが、他の機器は、この火災転送信号用エリア113、火災通知信号用エリア114、その他信号用エリア115に対して、対応する信号を送信することができるようになっている。本実施の形態では、無線信号の重要性が高い順に、火災転送信号用エリア113、火災通知信号用エリア114、その他信号用エリア115の順番でエリアが設けられている。
図10は、実施の形態の状態収集処理において、火災感知器に対して送信される通信電文及び火災感知器が送信する通信電文を説明する図である。図10(A)は、火災感知器Dに対して無線式中継器Bまたはリピータ中継器Cが送信する通信電文を示し、図10(B)は、火災感知器Dが送信する通信電文を示している。なお、図10(B)では、間欠受信タイミングの異なる複数の火災感知器Dの送受信動作例を示している。
図10(A)に示すブロック通信120は、送信スロット121と、連続受信スロット122と、送信スロット123と、連続受信スロット124と、送信スロット125と、連続受信スロット126とで構成される。送信スロット121、123、125は、連続する複数の基本フレーム101で構成される。すなわち、送信スロット121、123、125では、基本フレーム101を連続して複数回送信する。なお、送信スロット121による送信を開始する前には、送信前CS(送信前キャリアセンス)を行い、他の機器が無線信号を送信中でないことを確認した後に送信を開始する。
連続受信スロット122、124、126は、無線信号の送信を行わない送信休止期間であり、受信回路を起動して無線信号の受信処理を行う。
ブロック通信120では、無線信号を送信する送信期間(送信スロット121、123、125)と、無線信号を送信しない送信休止期間(連続受信スロット122、124、126)とを交互に繰り返す。
ここで、ブロック通信120を構成する各スロットの時間について説明する。まず、無線信号の送信処理は、前述のように規格に従い、送信期間が3秒以下、送信休止時間が2秒以上となるように設定される必要がある。一方で、受信側である火災感知器Dは、間欠受信間隔TD(本実施の形態では7秒)ごとに間欠受信を行っているとともに、各火災感知器Dの間欠受信のタイミングは異なりうる。したがって、各火災感知器Dが間欠受信において無線信号を受信するためには、各火災感知器Dの間欠受信のタイミングが、信号送信元の送信スロットに含まれている必要がある。
そこで、本実施のブロック通信120では、送信スロット121、連続受信スロット122、送信スロット123の合計時間が、火災感知器Dの間欠受信間隔TD(7秒)以下であり、かつ、連続受信スロット122(図10における区間T1)の7秒後が送信スロット125に含まれるようにしている。このようにすることで、すべての火災感知器Dが、送信スロット121、123、125のいずれかで送信された無線信号を受信できるようにしている。すなわち、例えば、ある火災感知器Dの間欠受信タイミングが、連続受信スロット122に含まれていた場合でも、その火災感知器Dは、次の間欠受信タイミングにおいて送信スロット125で送信された無線信号を受信することができる。
図10(B)に示すように、火災感知器Dは、無線式中継器Bまたはリピータ中継器Cからの無線信号を受信すると、短縮フレーム102を送信する。この短縮フレーム102は、例えば、同期信号、送信元を識別するためのグループIDや送信元アドレス、データ等を含んでいる。
ここで、火災感知器Dが応答の信号として短縮フレーム102を送信するタイミングについて説明する。まず、連続受信スロット122についてさらに説明する。図10(A)に示すように、連続受信スロット122は、各火災感知器Dそれぞれからの無線信号を受信するためのエリアに分かれた火災感知器返送スロット129を含んでいる。火災感知器返送スロット129は、グループに接続可能な火災感知器Dの台数分のエリア(本実施の形態では30エリア)に分かれている。
各火災感知器Dは、送信スロット121、123、125で送信されたいずれかの基本フレーム101を受信すると、受信した基本フレーム101に含まれるフレーム番号に基づいて、その送信スロット(送信スロット121、123、125のいずれか)が終了するまで待機する。そして、予め各火災感知器Dの記憶素子1aに記憶された火災感知器返送スロット129の各エリアのタイミングに関する情報に基づいて、火災感知器Dは、火災感知器返送スロット129のエリアのうち、自身に割り当てられた機器番号に対応したエリア(時間帯)に対して、無線信号を送信する。例えば、機器番号5番の火災感知器Dは、火災感知器返送スロット129の5番目のエリアに対して無線信号を送信する。このように、火災感知器Dによって受信の時間帯(火災感知器Dの送信時間帯)を定めておくことで、複数の火災感知器Dによって信号が同時に送信されることにより電文が破壊されることを抑制することができる。また、1回の送信スロットで複数の火災感知器Dからの無線信号を受信できるので、受信に要する時間を短縮することができる。
次に、間欠受信タイミングの異なる火災感知器Dの動作例を、図10(B)を参照して説明する。まず、機器番号01の火災感知器Dは、間欠受信により送信スロット123の45フレーム目の基本フレーム101を受信し、これに対する応答としての短縮フレーム102を、連続受信スロット124の火災感知器返送スロット129の1番目のエリアに対して送信する。また、機器番号02の火災感知器Dは、間欠受信により送信スロット121の48フレーム目の基本フレーム101を受信し、これに対する応答としての短縮フレーム102を、連続受信スロット122の火災感知器返送スロット129の2番目のエリアに対して送信する。また、番号03の火災感知器Dは、間欠受信により送信スロット125の55フレーム目の基本フレーム101を受信し、これに対する応答としての短縮フレーム102を、連続受信スロット126の火災感知器返送スロット129の3番目のエリアに対して送信する。
このように、各火災感知器Dは、信号を受信した送信スロット(送信スロット121、123、125のいずれか)に続く連続受信スロット(連続受信スロット122、124、126のいずれか)において、短縮フレーム102を送信する。
図11は、実施の形態の状態収集処理において、リピータ中継器が送信する通信電文を説明する図である。より具体的には、図11に示す通信電文は、状態収集処理においてリピータ中継器Cが、無線式中継器Bまたはリピータ中継器Cに対して送信するものある。
図11に示す通信スロット130は、リピータ中継器Cから他のリピータ中継器Cまたは無線式中継器Bに対して信号を伝送する送信スロット131と、他の機器からの信号を受信する連続受信スロット132から構成される。
送信スロット131は、連続する複数(本実施の形態では10)の連送フレーム103で構成される。すなわち、送信スロット131では、連送フレーム103を連続して複数回送信する。
この送信スロット131は、無線式中継器Bあるいはリピータ中継器Cに対して無線信号を送るものである。したがって、送信スロット131の長さは、無線式中継器Bの間欠受信間隔TB及びリピータ中継器Cの間欠受信間隔TCの長さよりも長くなるよう設定されており、無線式中継器Bとリピータ中継器Cが送信スロット131のうちのいずれかのフレームを受信できるようになっている。
なお、送信スロット131による送信を開始する前には、送信前CS(送信前キャリアセンス)を行い、他の機器が無線信号を送信中でないことを確認した後に送信を開始する。
連送フレーム103は、火災感知器情報201と、リピータ中継器情報202とを含んでいる。火災感知器情報201は、1台の無線式中継器Bと通信可能な火災感知器Dの台数分(本実施の形態では30)のデータエリアで構成されている。リピータ中継器情報202は、1台の無線式中継器Bと通信可能なリピータ中継器Cの台数分(本実施の形態では6)のデータエリアで構成されている。
連続受信スロット132は、無線信号の送信を行わず他の機器からの信号を受信待機する時間帯であり、火災転送信号用エリア133と、火災通知信号用エリア134と、その他信号用エリア135とを備える。連続受信スロット132、火災転送信号用エリア133、火災通知信号用エリア134、及びその他信号用エリア135は、それぞれ、図9で示した連続受信スロット112、火災転送信号用エリア113、火災通知信号用エリア114、及びその他信号用エリア115と同様の構成である。
(送受信処理の詳細)
次に、(1)状態収集処理、及び(2)火災通知処理について、これらの処理で使用される通信電文を含めて更に説明する。
(1)状態収集処理
図12は、実施の形態に係る状態収集処理を説明する図である。なお、図12では、図1に示す無線式中継器B1と無線通信を行う通信経路のうち、通信経路F1(火災感知器D11、D12の通信経路)と、通信経路F3(リピータ中継器C2、C3、火災感知器D31、32の通信経路)を例に説明する。
まず、無線式中継器B1は、火災受信機Aからの状態要求信号を受信したものとする。
(S301)無線式中継器B1は、通信経路F1に属する機器のうち、記憶素子に記憶されている下位機器アドレスに対し、状態要求信号を送信する。この例では、無線式中継器B1の通信経路F1における下位機器は火災感知器D11、D12であるので、無線式中継器B1は、状態要求信号を、ブロック通信120(図10(A))にて送信する。
一方、火災感知器D11、D12は、間欠受信間隔TDで間欠受信を行っており、無線式中継器B1がブロック通信120の送信スロット121、123、125のいずれかで送信した状態要求信号を受信する。この例では、火災感知器D12は送信スロット123で送信された状態要求信号を受信し、火災感知器D11は送信スロット125で送信された状態要求信号を受信したものとする。
(S302)火災感知器D12は、状態要求信号を受信すると、短縮フレーム102により自身の状態情報を含む状態情報信号を送信する。より具体的には、無線式中継器B1の、連続受信スロット124の火災感知器返送スロット129の自身の番号に対応するエリアにおいて(図10)、状態情報信号を送信する。
(S303)火災感知器D11は、状態要求信号を受信すると、短縮フレーム102により自身の状態情報を含む状態情報信号を送信する。より具体的には、無線式中継器B1の、連続受信スロット126の火災感知器返送スロット129の自身の番号に対応するエリアにおいて(図10)、状態情報信号を送信する。
このステップS301〜S303により通信経路F1の状態収集処理は終了し、無線式中継器B1は、火災感知器D11及び火災感知器D12の状態情報を収集したこととなる。
なお、図1の例では、通信経路F1の状態収集処理が終了した後には通信経路F2の状態収集処理を行うが、通信経路F2における処理内容は通信経路F3の処理内容に含まれているため、ここでは説明を省略し、以下、通信経路F3の状態収集処理を説明する。
(S304)無線式中継器B1は、通信経路F3に属する機器のうち、記憶素子に記憶されている下位機器アドレスに対し、状態要求信号を送信する。この例では、無線式中継器B1の通信経路F3における下位機器はリピータ中継器C2であるので、無線式中継器B1は、状態要求信号を、通信スロット110の送信スロット111(図9)にて送信する。無線式中継器B1は、送信スロット111により状態要求信号を送信した後は、受信機能を起動して連続受信スロット112の受信待機状態に移行する。
一方、リピータ中継器C2は、間欠受信間隔TCで間欠受信を行っており、無線式中継器B1が送信スロット111で送信した状態要求信号を受信する。
(S305)リピータ中継器C2は、無線式中継器B1が送信した状態要求信号を受信すると、自身の記憶素子に記憶されている下位機器アドレスに対し、状態要求信号を中継送信する。この例では、リピータ中継器C2の下位機器はリピータ中継器C3であるので、リピータ中継器C2は、状態要求信号を、通信スロット110の送信スロット111(図9)にて送信する。
ここで、リピータ中継器C2が状態要求信号を送信するタイミングにおいて、無線式中継器B1は、連続受信スロット112の受信待機状態である(S304)。無線式中継器B1は、リピータ中継器C2がリピータ中継器C3宛に送信した状態要求信号を連続受信スロット112にて受信し(S304の破線参照)、これにより、状態要求信号が相手に正常に受信されたことを認識する。なお、図示しないが、ステップS304の連続受信スロット112にて、リピータ中継器C2により送信された状態要求信号を受信できない場合には、無線式中継器B1は、通信異常等何らかの異常が発生したものと判断し、状態要求信号を再送する。
一方、リピータ中継器C3は、間欠受信間隔TCで間欠受信を行っており、リピータ中継器C2がステップS305で送信した状態要求信号を受信する。
(S306)リピータ中継器C3は、リピータ中継器C2が送信した状態要求信号を受信すると、自身の記憶素子に記憶されている下位機器アドレスに対し、状態要求信号を送信する。この例では、リピータ中継器C3の下位機器は火災感知器D31、D32であるので、リピータ中継器C3は、状態要求信号を、ブロック通信120の送信スロット121、123、125(図10(A))にて送信する。
ここで、リピータ中継器C3が状態要求信号を送信するタイミングにおいて、リピータ中継器C2は、連続受信スロット112の受信待機状態である(S305)。リピータ中継器C2は、リピータ中継器C3が送信した状態要求信号を連続受信スロット112にて受信し(S305の破線参照)、これにより、状態要求信号が相手に正常に受信されたことを認識する。なお、図示しないが、ステップS305の連続受信スロット112にて、リピータ中継器C3により送信された状態要求信号を受信できない場合には、リピータ中継器C2は、通信異常等何らかの異常が発生したものと判断し、状態要求信号を再送する。
一方、火災感知器D31、D32は、間欠受信間隔TDで間欠受信を行っており、リピータ中継器C3が送信スロット121、123、125のいずれかで送信した状態要求信号を受信する。この例では、火災感知器D32は送信スロット123で送信された状態要求信号を受信し、火災感知器D31は送信スロット125で送信された状態要求信号を受信したものとする。
(S307)火災感知器D32は、状態要求信号を受信すると、短縮フレーム102により自身の状態情報を含む状態情報信号を送信する。より具体的には、リピータ中継器C3の、連続受信スロット124の火災感知器返送スロット129の自身の番号に対応するエリアにおいて(図10)、状態情報信号を送信する。
(S308)火災感知器D31は、状態要求信号を受信すると、短縮フレーム102により自身の状態情報を含む状態情報信号を送信する。より具体的には、リピータ中継器C3の、連続受信スロット126の火災感知器返送スロット129の自身の番号に対応するエリアにおいて(図10)、状態情報信号を送信する。
このステップS306、307、308により、リピータ中継器C3は、自身の下位機器(火災感知器D31、D32)の状態情報を収集したこととなる。
(S309)リピータ中継器C3は、自身の記憶素子に記憶されている上位機器アドレスに対し、状態情報信号を送信する。この例では、リピータ中継器C3の上位機器はリピータ中継器C2であるので、リピータ中継器C3は、通信スロット130の送信スロット131(図11)により状態情報信号を送信する。このとき送信する連送フレーム103は、ステップS306で受信した火災感知器D31、D32からの状態情報信号に含まれる状態情報を火災感知器情報201に含むとともに、リピータ中継器C3自身の状態情報をリピータ中継器情報202に含んでいる。すなわち、リピータ中継器C3から送信される状態情報信号には、リピータ中継器C3の下位機器である火災感知器D31、D32及びリピータ中継器C3の状態情報が含まれている。
一方、リピータ中継器C2は、間欠受信間隔TCで間欠受信を行っており、リピータ中継器C3がステップS309で送信した状態情報信号を受信する。
(S310)リピータ中継器C2は、リピータ中継器C3が送信した状態情報信号を受信すると、自身の記憶素子に記憶されている上位機器アドレスに対し、状態情報信号を送信する。この例では、リピータ中継器C2の上位機器は無線式中継器B1であるので、リピータ中継器C2は、通信スロット130の送信スロット131(図11)により状態情報信号を送信する。このとき送信する連送フレーム103の火災感知器情報201には火災感知器D31、D32の状態情報を含み、リピータ中継器情報202にはリピータ中継器C3、C2の状態情報を含んでいる。すなわち、リピータ中継器C2は、下位機器から受信した状態情報信号に対して自身の状態情報を付加した信号を、状態情報信号として送信する。
ここで、リピータ中継器C2が状態情報信号を送信するタイミングにおいて、リピータ中継器C3は、連続受信スロット132の受信待機状態である(S309)。リピータ中継器C3は、リピータ中継器C2が無線式中継器B1宛に送信した状態情報信号を連続受信スロット132にて受信し(S309の破線参照)、これにより、状態情報信号が相手に正常に受信されたことを認識する。なお、図示しないが、ステップS309の連続受信スロット132にて、リピータ中継器C2により送信された状態情報信号を受信できない場合には、リピータ中継器C3は、通信異常等何らかの異常が発生したものと判断し、状態情報信号を再送する。
一方、無線式中継器B1は、間欠受信間隔TBで間欠受信を行っており、リピータ中継器C2がステップS310で送信した状態要求信号を受信する。
(S311)無線式中継器B1は、リピータ中継器C2が送信した状態情報信号を受信すると、送信元の機器に対して、信号を受信したことを表す信号である受信応答信号を送信する。
リピータ中継器C2は、無線式中継器B1により送信された受信応答信号をステップS310の連続受信スロット132において受信し、これにより、状態情報信号が相手に正常に受信されたことを認識する。なお、図示しないが、ステップS310の連続受信スロット132にて、無線式中継器B1により送信された受信応答信号を受信できない場合には、リピータ中継器C2は、通信異常等何らかの異常が発生したものと判断し、状態情報信号を再送する。
また、図示しないが、無線式中継器B1は、自身のグループの全通信経路の状態収集処理が終了すると、収集した状態情報を含む信号を自ら状態判定するとともに、必要であれば、その状態情報信号に含まれる情報を火災受信機Aに送信する。また、ステップS311では、無線式中継器B1がリピータ中継器C2に対して受信応答信号を送信する例を示しているが、無線式中継器B1と火災受信機Aとの間で無線通信を行う構成であれば、無線式中継器B1から火災受信機Aに対して送信される状態情報を含む信号を、リピータ中継器C2に対する受信応答信号に代えてもよい。
このように、本実施の形態の火災報知設備100においては、図12のステップS305、S306、S310に示すように、リピータ中継器Cが中継先の機器に対して送信する状態情報信号が、中継元の機器に対して受信したことを示す応答信号を兼ねている。このため、信号を正常に受信したことを示す応答信号を中継元機器に対して別途送信する場合と比較して、信号送信回数を低減でき、消費電流を低減できるとともに通信トラフィックを抑制できる。
なお、ブロック通信120では、必ずしもすべてのスロット(送信スロット121、連続受信スロット122、送信スロット123、連続受信スロット124、送信スロット125、及び連続受信スロット126)を実行するものではなく、その通信経路に属するすべての火災感知器Dからの状態情報信号を受信した時点で、信号の送信を中止することができる。例えば、連続受信スロット122において、すべての火災感知器Dからの状態情報信号を受信した場合には、ブロック通信120の送信元であるリピータ中継器Cまたは無線式中継器Bは、送信スロット123以降の処理を行わない。このようにすることで、無駄な通信処理を行う必要がなく、消費電流を低減できるとともに、情報伝達の遅れを防ぐことができる。
また、連続受信スロット122、124、126のいずれにおいても火災感知器Dから状態情報信号を受信できない場合には、リピータ中継器Cまたは無線式中継器Bは、当該火災感知器Dに割り当てられた火災感知器返送スロット129のエリアに、「無応答」を表す信号を入れ、これを状態情報信号として上位の機器に送信する。
(2)火災通知処理
図13は、火災通知処理を説明する図である。なお、図13(A)は、図1に示す無線式中継器B1と無線通信を行う通信経路のうち、通信経路F1(火災感知器D11、D12の通信経路)を示し、図13(B)は、通信経路F3(リピータ中継器C2、C3、火災感知器D31、32の通信経路)を示している。以下、火災通知処理について、図13と、前述の図9〜図11を参照して説明する。なお、図1の通信経路F2の処理内容については、これと同様の処理が通信経路F3と処理内容に含まれているため、ここでは説明を省略する。
図13(A)では、火災感知器D12の監視領域にて火災が発生した場合を例に示している。
(S401)火災感知器D12は、火災発生を検知すると、通信スロット110の送信スロット111(図9)により、火災検知情報を含む火災信号を、記憶素子に記憶された上位機器アドレス宛に送信する。この例では、火災感知器D12の上位機器は無線式中継器B1であるので、火災感知器D12は、無線式中継器B1に対して火災信号を送信する。火災感知器D12は、送信スロット111により火災信号を送信した後は、受信機能を起動して連続受信スロット112の受信待機状態に移行する。
一方、無線式中継器B1は、間欠受信間隔TBで間欠受信を行っており、火災感知器D12がステップS401で送信した火災信号を受信する。
(S402)無線式中継器B1は、火災感知器D12からの火災信号を受信すると、送信元の機器である火災感知器D12に対して、信号を受信したことを表す信号である受信応答信号を送信する。
火災感知器D12は、無線式中継器B1により送信された受信応答信号をステップS401の連続受信スロット112において受信し、これにより、火災信号が相手に正常に受信されたことを認識する。なお、図示しないが、ステップS401の連続受信スロット112にて、無線式中継器B1により送信された受信応答信号を受信できない場合には、火災感知器D12は、通信異常等何らかの異常が発生したものと判断し、火災信号を再送する。
図13(B)では、火災感知器D31の監視領域にて火災が発生した場合を例に示している。
(S501)火災感知器D31は、火災発生を検知すると、通信スロット110の送信スロット111(図9)により、火災信号を、記憶素子に記憶された上位機器アドレス宛に送信する。この例では、火災感知器D31の上位機器はリピータ中継器C3であるので、火災感知器D31は、リピータ中継器C3に対して火災信号を送信する。火災感知器D31は、送信スロット111により火災信号を送信した後は、受信機能を起動して連続受信スロット112の受信待機状態に移行する。
一方、リピータ中継器C3は、間欠受信間隔TCで間欠受信を行っており、火災感知器D31がステップS501で送信した火災信号を受信する。
(S502)リピータ中継器C3は、火災感知器D31からの火災信号を受信すると、記憶素子に記憶された上位機器アドレス(ここではリピータ中継器C2のアドレス)に対し、火災転送信号を送信する。リピータ中継器C3は、火災転送信号を送信した後は、受信機能を起動して連続受信スロット112の受信待機状態に移行する。
このリピータ中継器C3が送信した火災転送信号は、火災感知器D31が、連続受信スロット112において受信し(S501の破線参照)、火災感知器D31はこの火災転送信号の受信により、自身が送信した火災信号が正常にリピータ中継器C3に受信されたことを認識する。
一方、間欠受信間隔TCで間欠受信を行っているリピータ中継器C2も、リピータ中継器C3により送信された火災転送信号を受信する。
(S503)リピータ中継器C2は、リピータ中継器C3からの火災転送信号を受信すると、送信スロット111(図9)により、火災転送信号を、記憶素子に記憶された上位機器アドレス(ここでは無線式中継器B1のアドレス)に対して送信する。リピータ中継器C2は、火災転送信号を送信した後は、受信機能を起動して連続受信スロット112の受信待機状態に移行する。
このリピータ中継器C2が送信した火災転送信号は、リピータ中継器C3が、連続受信スロット112において受信し(S502の破線参照)、リピータ中継器C3はこの火災転送信号の受信により、自身が送信した火災信号が正常にリピータ中継器C2に受信されたことを認識する。
一方、間欠受信間隔TBで間欠受信を行っている無線式中継器B1も、リピータ中継器C2により送信された火災転送信号を受信する。
(S504)無線式中継器B1は、リピータ中継器C2からの火災転送信号を受信すると、この火災転送信号の送信元であるリピータ中継器C2に対し、受信の応答信号を送信する。
リピータ中継器C2は、連続受信スロット112において無線式中継器B1からの受信応答信号を受信し、これにより、自身が送信した火災転送信号が正常に無線式中継器B1に受信されたことを認識することができる。
なお、図13(B)の例のように、無線式中継器Bと火災感知器Dとの間にリピータ中継器Cを介在させる構成であっても、各機器の配置や電波状況によっては、火災感知器Dから送信された火災信号を無線式中継器Bが直接受信することができる場合もある。このような場合、無線式中継器Bは、リピータ中継器Cからの火災転送信号が届いていなくとも、火災感知器Dから送信された火災信号により火災が発生したことを認識し、火災信号を火災受信機Aに送信する。このため、火災感知器Dから火災受信機Aへ火災信号を早期に伝達できる。
また、図12、図13では、状態収集処理と火災通知処理のそれぞれを説明したが、例えば、状態収集処理を行っている最中に、火災感知器Dが火災を検知する場合がある。このように、両方の通信処理が同時に発生した場合には、火災報知設備100では、火災通知処理を優先させる。より具体的には、リピータ中継器Cは、状態要求信号を受信あるいは送信している最中において、火災感知器Dからの火災信号を受信した場合には、状態要求信号の送受信処理を中止し、火災転送信号の送信処理を開始する。このように火災転送信号の送信を優先させることで、火災信号の転送の遅れを抑制できる。
ここで、状態収集処理を行っている最中に、火災感知器Dが火災を検知した場合の動作例を更に説明する。図14は、実施の形態に係る状態収集処理中に火災感知器が火災を検知した場合の動作例を説明する図である。
図14では、図12に示したステップS309においてリピータ中継器Cが状態情報信号を送信している最中に、火災感知器D32が火災を検知した状況を示している。
ステップS510に示すように、火災を検知した火災感知器D32は、火災信号を送信する前に送信前キャリアセンスを行う。この送信前キャリアセンスにおいて、火災感知器D32は、ステップS309でリピータ中継器C3が送信している無線信号を受信したものとする。ここで、ステップS309で送信されているのは連送フレーム103であるので、火災感知器D32は、送信前キャリアセンスで連送フレーム103を受信するために火災信号を送信できない。そして、火災感知器D32は、送信前キャリアセンスで受信した連送フレーム103のフレーム番号に基づいて、送信スロット131が終了するまで待機する。そして、連続受信スロット132の火災通知信号用エリア134のタイミングになると、火災感知器D32は、連続受信スロット132の火災通知信号用エリア134に対し、火災信号を送信する。このように、火災感知器Dは、送信する信号の種別によって、受信側機器の対応するエリアに対して信号を送信する。このように、信号の種別によって受信の時間帯(送信側機器における送信時間帯)を定めておくことで、複数の種類の信号が同時に送信されることにより電文が破壊されることを抑制することができる。また、送信する信号の種別によって受信側機器における受信のエリア(時間帯)を分けたので、重要性の高い火災信号の送信を優先することができ、火災信号を早期伝達することができる。
以上のように本実施の形態によれば、無線式中継器B、リピータ中継器C及び火災感知器Dを各部屋の天井などに設置する前に集めて、無線式中継器Bと火災感知器Dの間、無線式中継器Bとリピータ中継器Cの間、また、リピータ中継器Cと火災感知器Dの間で無線通信を行って通信経路を確立させるようにしたので、無線式中継器Bが全ての火災感知器を送信範囲に含むことができない場合でも確実に監視することができる。
以上、説明したように、本発明に係る無線式防水型感知器(防水型火災感知器DB)は、設置環境の異常を検出する状態検出部(一例として、火災検出回路7)と、他の機器(一例として、無線式中継器B)との間で、無線信号を送受信する送受信部(送受信回路5)と、前記送受信部5を制御する制御部(制御回路31)と、内部に密閉空間35を有する筐体と、を備えた無線式防水型感知器DBにおいて、通常動作を行う監視モード用の通信周波数を設定する通信周波数設定モードと、前記通信周波数設定モードにより設定された通信周波数の送受信状態に前記送受信部5を設定して、通常動作を行う監視モードとを切り替えるモード設定部31bと、前記筐体内の密閉空間35に収納され、前記筐体外部からの要因により、前記モード設定部31bのモードを切り替える操作信号を出力する操作信号出力手段(一例として、リードスイッチ39)と、を備え、前記モード設定部31bは、前記操作信号出力手段39による操作信号に基づいて、前記通信周波数設定モードに切り替えたときに、所定の通信周波数の送受信状態に前記送受信部5を設定し、前記送受信部5を介して前記監視モード用の通信周波数を指定する無線信号を受信すると、該指定された通信周波数を、前記監視モード用の通信周波数として設定するものである。
無線式防水型感知器DBは、通信周波数設定用の部材としてのリードスイッチ39を筐体内の密閉空間35に収納する。そして、磁石を近接させる外部操作により、リードスイッチ39が操作信号を出力して、通信周波数設定モードとなって、通信周波数の設定が行える。このように、通信周波数設定用の部材を筐体から露出して設けないなど、防水性能を満たしながらも、通信周波数の設定が行える。
また、本発明に係る無線式防水型感知器DBは、前記通信周波数設定モードで用いられる前記所定の通信周波数は、前記監視モード用の通信周波数として設定可能な通信周波数とは異なる通信周波数であるので、監視モードで動作しているシステム内の他の機器の無線信号との衝突を回避することができる。
また、本発明に係る無線式防水型感知器DBは、前記筐体内の密閉空間35に収納され、動作電源を供給する電池2を備え、前記モード設定部31bは、前記電池2からの電源供給を受けた状態で前記通常動作時よりも消費電力の少ない待機動作を行う低消費電力モードを工場出荷時に設定し、前記低消費電力モードの設定中に前記操作信号出力手段39による操作信号に基づいて、前記通信周波数設定モードまたは監視モードに切り替える。
無線式防水型感知器DBは、電源供給用の部材としての電池2を筐体内の密閉空間35に収納する。そして、磁石を近接させる外部操作により、リードスイッチ39が操作信号を出力して、低消費電力モードから通信周波数設定モードまたは監視モードとなって、通信周波数の設定または通常動作が行える。このように、電源供給用の部材を筐体から露出して設けないなど、防水性能を満たしながらも、通信周波数設定用の部材としてのリードスイッチ39を用いて、低消費電力モードからモードを切り替えることができる。
また、本発明に係る無線式防水型感知器DBは、前記モード設定部31bは、前記操作信号出力手段39による操作信号に基づいて、または、前記通信周波数設定モードの開始から所定時間が経過すると、前記通信周波数設定モードを終了して、前記監視モードに切り替えるものであるので、監視モードへの切り替えのし忘れを防止することができる。
また、本発明に係る無線式防水型感知器DB用の設定器Eは、前記無線式防水型感知器DBが通信周波数設定モードのときに、前記所定の通信周波数で、前記監視モード用の通信周波数を指定する無線信号を送信するとともに、前記所定の通信周波数で、前記監視モード用の通信周波数を確認要求する無線信号を送信するものであるので、無線式防水型感知器DBの通信周波数の設定、確認が行える。特に、前記所定の通信周波数を、前記監視モード用の通信周波数として設定可能な通信周波数とは異なる通信周波数とした場合は、無線式防水型感知器DBとの間で、通信周波数設定モード用の通信周波数が専用の通信周波数に設定されているため、無線式防水型感知器DBの監視モード用の通信周波数を確認するために、監視モード用の通信周波数として設定可能な通信周波数毎に、無線式防水型感知器DBとの間で、無線信号を送受信できるか否かという作業をしなくて済むので、無線式防水型感知器DBの監視モード用の通信周波数の確認操作が容易である。
また、本発明に係る無線式防水型感知器DB用の設定器Eは、前記他の機器(一例として、無線式中継器B)に無線式防水型感知器DBを登録する登録モードのときに、前記無線式防水型感知器DBに対して、登録開始命令信号を送信するものであるので、無線式防水型感知器DBは、登録用の登録スイッチが不要となり、防水性能を満たしながらも、通信経路の登録等が行える。
なお、本実施の形態では、モード設定部31bは、低消費電力モードを解除すると設定モードに切り替わるものとして説明したが、監視モードに切り替わるようにしてもよい。また、低消費電力モードが解除されると、監視モードと設定モードとの間でしか切り替えが行われないものとして説明したが、監視モード、設定モード、低消費電力モードとの間で切り替えが行われるようにしてもよい。また、設定モードは、リードスイッチ39の操作信号の入力経過時間によって、通信周波数設定モード、通信経路登録モードのいずれかが選択されて切り替えられるものとして説明したが、通信周波数設定モード、通信経路登録モードを循環的に切り替えるようにしてもよく、モードの切り替え順序については、上記実施の形態に限定されない。
また、本実施の形態では、低消費電力モードとして、制御回路31は、クロック回路の動作クロックの発振が停止するストップモードに設定されるものとして説明したが、ストップモード以外に、防水型火災感知器DBの消費電力を低減させるモードであってもよく、例えば、クロック回路の動作クロックの発振を低速としたり、消費電力の大きな回路の動作を停止させるものであってもよい。
また、本実施の形態では、防水型火災感知器DBは、通信経路登録モード時に、監視モード用の通信周周波数の送受信状態に送受信回路5を設定したが、通信周波数設定モード専用の通信周波数に設定してもよく、その場合、防水型火災感知器DBは、通信周波数設定モード専用の通信周波数に設定した設定器Eと、監視モード用の通信周波数に設定した上位機器との間で、無線信号を送受信できるように、送受信回路5の通信周波数を定期的に切り替えるようにすればよい。
また、本実施の形態では、火災報知設備を例に挙げて説明したが、設置環境の異常を検出して報知する設備であればよく、例えば、ガス漏れ検知器を利用したガス漏れ報知設備とすることもできる。
また、本実施の形態における火災報知設備としては、P型受信機を用いた火災報知設備、双方向通信機能を備えたR型受信機を用いた火災報知設備のいずれであっても、本発明を適用できる。
また、本実施の形態では、操作信号出力手段としてリードスイッチ39を用いて説明したが、筐体内の密閉空間35に収納され、筐体外部からの要因により、モード設定部31bのモードを切り替える操作信号を出力するものであればよく、例えば、その他の非接触型のスイッチなどでもよい。
一例として、操作入力により光信号を出力する発光器を用いて、操作信号出力手段は、筐体外部からの要因として、光信号を受信する受光素子とすることができる。その場合、受光素子は、筐体から受光面を露出しつつ、その周囲は封止部材34で封止して、密閉空間35における防水性能を満たすようにする。低消費電力モードとしては、受光素子を間欠的に起動させるモードとすることが好適である。
また、一例として、操作入力により電磁誘導信号を出力する電磁誘導信号出力器(例えば、リーダライタ)を用いて、操作信号出力手段は、筐体外部からの要因として、電磁誘導信号を受信する非接触型ICタグとすることができる。その場合、非接触型ICタグは、密閉空間35内に収納されるようにする。低消費電力モードとしては、非接触型ICタグを間欠的に起動させるモードとすることが好適であるが、非接触ICタグが電磁誘導により電流が供給されたことを、上記実施の形態におけるリードスイッチ39のように、ポート入力として、制御回路31に入力することにより、低消費電力モードとして、ストップモードを採用できて、より好適である。
また、一例として、操作入力により無線信号を出力する設定器Eを用いて、操作信号出力手段は、筐体外部からの要因として、無線信号を受信する送受信回路5としてもよい。その場合、送受信回路5は、上記実施の形態で説明したように、密閉空間35内に収納されるようにする。低消費電力モードとしては、送受信回路5を監視モード等よりもより間欠的に起動させるモードとすることが好適である。