JP5818482B2 - 低圧蒸気タービンの入口構造 - Google Patents

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本発明は、湿分分離加熱器で加熱された蒸気を低圧蒸気タービン内部に供給する低圧蒸気タービンの蒸気入口構造に関し、特に原子力発電プラントで使用される低圧蒸気タービンに適用して好適な低圧蒸気タービンの蒸気入口構造に関するものである。
原子力発電プラントにおいては、原子炉で発生した熱エネルギーを蒸気として取り出すための蒸気発生器で発生した蒸気は高圧タービンに送られる。そして、高圧タービンで仕事をした蒸気は、湿分分離加熱器で再び加熱され、クロスオーバー管を通って低圧タービンに送られる。
図4は、原子力発電プラントにおける低圧蒸気タービン近傍の斜視図である。
原子力発電プラントにおいては、湿分分離加熱器60は2つ設けられ、2つの湿分分離加熱器60が低圧蒸気タービン58を挟むようにして低圧蒸気タービン58の横に配置されている。そして、それぞれの湿分分離加熱器60で加熱された蒸気が流通するクロスオーバー管62が設けられる。クロスオーバー管62は、低圧蒸気タービン58内部に連通しており、クロスオーバー管62を流通する前記蒸気は低圧蒸気タービン58に供給されるようになっている。つまり、低圧蒸気タービン58には、2つのクロスオーバー管62から蒸気が導入されることとなる。
原子力発電プラントにおける低圧蒸気タービン58については、2つのクロスオーバー管62を合流させ、低圧蒸気タービン58への蒸気の供給部を1箇所とすることが一般的である。
図5は、従来の原子力発電プラントにおける低圧蒸気タービンの蒸気入口構造の概略構成図である。
原子力発電プラントにおける低圧蒸気タービン58の蒸気入口構造61は、低圧蒸気タービン58上部に、2つのクロスオーバー管62が合流する合流部63bと該合流部63bと低圧蒸気タービン58内部を連通する合流管63aとから形成されるT字管63が配されている。これにより、2つのクロスオーバー管62それぞれを流れる湿分分離加熱器60からの蒸気は、合流部63bで合流して合流管63aを通って低圧蒸気タービン58に供給される。
また、クロスオーバー管62には、加減弁80と止め弁82が設けられている。
加減弁80は、クロスオーバー管62内を流れる蒸気量を調整するためのものであり、止め弁82はクロスオーバー管62を遮断するためのものである。
ここで、低圧蒸気タービン58を急停止する際に、早急に低圧蒸気タービン58への蒸気供給を停止しなければオーバースピードにより低圧蒸気タービン58が過速してしまう可能性がある。オーバースピードを防止するためには、加減弁80及び止め弁82を低圧蒸気タービン58の近くに配置して、低圧蒸気タービン58内への過速蒸気の流入量を低減する必要がある。そのため、従来は加減弁80及び止め弁82をバタフライ弁として、出来る限り低圧蒸気タービン58に近いクロスオーバー管62内に設置している。
また、その他の低圧蒸気タービン入口部に関する技術として、特許文献1には2つの蒸気導入管(クロスオーバー管)からそれぞれ別個に低圧蒸気タービンに蒸気を供給する技術が開示されている。
特開2010−48216号公報
ところで近年、原子力発電プラントの大型化に伴い、低圧蒸気タービン58の大型化が進んでいる。低圧蒸気タービン58が大型化すると、低圧蒸気タービン58に蒸気を供給するためのクロスオーバー管62も大型化が必要となる。そして、クロスオーバー管62が大型化すると、クロスオーバー管62内に設けた加減弁80及び止め弁82も大型化する必要がある。加減弁80及び止め弁82は、前述の通り低圧蒸気タービン58に近い位置に設けるためにバタフライ弁としてクロスオーバー管62内に設けているので、弁が大型化するとそれだけ動作時間が長くかかることとなり、オーバースピードが生じる可能性がある。また、加減弁80及び止め弁82が大型化すると、各弁の位置が低圧蒸気タービン58から遠くなり、オーバースピードが生じる可能性が生じる。
また、図5に示した蒸気入口構造61においては、大型のバタフライ弁が4つ必要であって部品点数が多い。さらに、止め弁82は、加減弁80が大型化するとそれだけ低圧蒸気タービン58からの距離が遠くなり、その位置が低圧蒸気タービン58の上方にない場所に位置することとなる。この場合、加減弁80及び止め弁82の点検用の足場84を蒸気タービン58とは別個に設けねばならず、プラント全体に係る費用が大きくなる。
また、図5に示した蒸気入口構造61においては、クロスオーバー管62を介して低圧蒸気タービン58に供給される蒸気は、止め弁82及び加減弁80での圧損に加えて、T字管63での圧損を受ける。そのため、前記蒸気は、低圧蒸気タービン58に供給されるまでに大きな圧損を受け、該圧損が低圧蒸気タービン58の性能向上の妨げになっている。
従って、本発明は係る従来技術の問題点に鑑み、低圧蒸気タービンに供給される蒸気の圧損を低減するとともに、オーバースピードを防止することができる低圧蒸気タービンの蒸気入口構造を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明の第1の態様においては、気を低圧蒸気タービン内部に供給する低圧蒸気タービンの蒸気入口構造であって、蒸気が流通する2つのクロスオーバー管と、2つのクロスオーバー管が合流する合流部と、該合流部と低圧蒸気タービン内部を連通する合流管とから構成されるT字管と、前記合流管に設けられる加減弁と、を備え前記T字管は低圧蒸気タービンの上方に設けられ、前記加減弁はプラグ弁であることを特徴とする。
また、本発明の第2の態様においては、湿分分離加熱器で加熱された蒸気を低圧蒸気タービン内部に供給する低圧蒸気タービンの蒸気入口構造であって、前記湿分分離加熱器からの蒸気が流通する2つのクロスオーバー管と、2つのクロスオーバー管が合流する合流部と、該合流部と低圧蒸気タービン内部を連通する合流管とから構成されるT字管と、前記合流管に設けられる加減弁と、を備え前記T字管は低圧蒸気タービンの上方に設けられ、前記加減弁はプラグ弁であることを特徴とする。
T字管を構成する合流管に加減弁を設けることによって、加減弁の位置をより低圧蒸気タービンに近い位置とすることができる。これにより、オーバースピードの防止を図ることができる。さらに、加減弁を、クロスオーバー管中ではなくT字管に設けることで、動作速度の遅いバタフライ弁ではなく動作速度の速いプラグ弁とすることができる。これにより、さらに確実にオーバースピードを防止することができる。
また、加減弁の位置を低圧蒸気タービンに近い位置にすることができるので、加減弁の点検用足場を低圧蒸気タービン外周に設けた簡易な足場とすることができる。従って、加減弁の点検用足場に係る費用を小さく抑えることができ、プラント全体に係る費用を小さく抑えることができる。
さらに、加減弁をプラグ弁としてT字管に設け、加減弁を全開にすると、T字管で低圧蒸気タービンに供給される蒸気が受ける圧損は従来のT字管で受ける圧損と略同等となる。従って、低圧蒸気タービンに供給される蒸気の圧損を、従来の加減弁(バタフライ弁)で受けていた圧損に相当する分だけ低減することができる。
また、前記T字管の合流部よりも前記蒸気流れ上流側のクロスオーバー管内に、止め弁を設けるとよい。
これにより、低圧蒸気タービン停止時のクロスオーバー管の遮断をより確実に行うことができる。
また、前記止め弁は、前記低圧蒸気タービンの上方に位置するとよい。
これにより、止め弁の点検用足場を低圧蒸気タービン外周に設けた簡易な足場とすることができる。従って、止め弁の点検用足場に係る費用を小さく抑えることができ、止め弁を設けることによって係る費用を小さく抑えることができる。
圧蒸気タービンに供給される蒸気の圧損を低減するとともに、オーバースピードを防止することができる低圧蒸気タービンの蒸気入口構造を提供することができる。
実施例の低圧蒸気タービンの蒸気入口構造が適用される原子力発電プラントの概略図である。 実施例に係る原子力発電プラントにおける加減弁全開時の低圧蒸気タービンの蒸気入口構造の概略構成図である。 実施例に係る原子力発電プラントにおける加減弁全閉時の低圧蒸気タービンの蒸気入口構造の概略構成図である。 原子力発電プラントにおける低圧蒸気タービン近傍の斜視図である。 従来の原子力プラントにおける低圧蒸気タービンの蒸気入口構造の概略構成図である。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但しこの実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
まず、図1に基づいて本発明の低圧蒸気タービンの蒸気入口構造が適用される原子力発電プラントの概略について説明する。
図1は実施例の低圧蒸気タービンの蒸気入口構造が適用される原子力発電プラントの概略図である。図1に示した原子力発電プラントは、原子炉で発生した熱エネルギーを蒸気として取り出すための蒸気発生器52を備えている。蒸気発生器52で発生した蒸気は主蒸気管54を経て高圧蒸気タービン56に送られる。高圧蒸気タービン56に送られた蒸気は高圧蒸気タービン56を駆動した後、湿分分離加熱器60で加熱され、クロスオーバー管62を通って低圧蒸気タービン58に送られる。
低圧蒸気タービン58のタービンシャフトには発電機64の回転軸が連結されており、低圧蒸気タービン58に送られた蒸気は低圧蒸気タービン58を駆動した後、復水器66で蒸気から水(以下、復水と称する)に戻される。復水器66には復水ポンプ68の吸込み口が復水ポンプ入口管70を介して接続されており、復水は復水ポンプ68で昇圧された後、低圧給水加熱器72に供給される。
低圧給水加熱器72に供給された復水は、低圧給水加熱器72で加熱された後、給水ポンプ74にて高圧給水加熱器76に送られる。高圧給水加熱器76で加熱された復水は、蒸気発生器52に供給される。
次に、図2、図3に基づいて、実施例における低圧蒸気タービンの蒸気入口構造について説明する。
ここで、実施例における原子力発電プラントにおいては、図4に示した従来の原子力発電プラントと同様に湿分分離加熱器60は2つ設けられ、2つの湿分分離加熱器60が低圧蒸気タービン58を挟むようにして低圧蒸気タービン58の横に配置されている。
図2は、実施例に係る原子力発電プラントにおける加減弁全開時の低圧蒸気タービンの蒸気入口構造の概略構成図である。また、図3は実施例に係る原子力発電プラントにおける加減弁全閉時の低圧蒸気タービンの蒸気入口構造の概略構成図である。
原子力発電プラントにおける低圧蒸気タービン58の蒸気入口構造11は、低圧蒸気タービン58上部に、2つのクロスオーバー管62が合流する合流部13bと該合流部13bと低圧蒸気タービン58内部を連通する合流管13aとから形成されるT字管13が配されている。これにより、2つのクロスオーバー管62それぞれを流れる湿分分離加熱器60からの蒸気は、合流部13bで合流して合流管13aを通って低圧蒸気タービン58に供給される。
また、T字管13には、加減弁30が設けられている。加減弁30はプラグ弁であって、プラグ30aと支軸30bとから構成されている。加減弁30は、支軸30bを上下方向に移動させることによって、プラグ30aと合流管13aを形成する壁面の一部である弁座13cとの間隔を調整することにより、T字管13を通って低圧蒸気タービン58に供給される蒸気量を調整することができるものである。
また、2つのクロスオーバー管62には、それぞれ止め弁32が設けられている。止め弁30はバタフライ弁である。止め弁30は、可能な限りT字管13に近い位置であって低圧蒸気タービン58の上方に設けられる。
以上の構成において、図1に示した原子力発電プラントを稼動する際には、加減弁30及び止め弁32を開けておく。そして原子力発電プラントが稼動すると、湿分分離加熱器60で加熱された蒸気がクロスオーバー管62を介してT字管13方向へ流れ込む。T字管13方向へ流れ込んだ前記蒸気は、加減弁30の全開時には図2にaで示すようにT字管13を介して低圧蒸気タービン58に供給される。
また、低圧蒸気タービン58を停止する場合には、まず低圧蒸気タービン58を発電機64と切り離し、加減弁30を全閉にするとともに止め弁32を閉じる。これにより、図3に示したような加減弁30の全閉時には、クロスオーバー管62内の蒸気は低圧蒸気タービン58には供給されなくなる。また、加減弁30はプラグ弁であるので動作時間が早くオーバースピードも生じない。さらに、止め弁32を閉じることでクロスオーバー管の遮断をより確実に行うことができる。
本実施例によれば、T字管13に加減弁30を設けることによって、加減弁30及び止め弁32の位置をより低圧蒸気タービン58に近い位置とすることができる。これにより、オーバースピードの防止を図ることができる。さらに、加減弁30を、クロスオーバー管62中ではなくT字管13に設けることで、動作速度の遅いバタフライ弁ではなく動作速度の速いプラグ弁とすることができる。これにより、さらに確実にオーバースピードを防止することができる。
また、加減弁30及び止め弁32の位置を従来よりもさらに低圧蒸気タービン58に近い位置とすることができるので、加減弁30及び止め弁32の点検用足場を図2及び図3に示すような低圧蒸気タービン58外周に設けた簡易な足場34とすることができる。従って、加減弁30及び止め弁32の点検用足場に係る費用を小さく抑えることができ、プラント全体に係る費用を小さく抑えることができる。
さらに、加減弁30をプラグ弁としてT字管13に設け、加減弁30を全開にするとT字管13で低圧蒸気タービンに供給される蒸気が受ける圧損は従来のT字管63で受ける圧損と略同等となる。従来は、低圧蒸気タービン30に供給される蒸気は、止め弁82、加減弁80及びT字管63で圧損を受けていた。本実施例においては、低圧蒸気タービン30に供給される蒸気は、止め弁32及びT字管13で圧損を受けるのみであり、従来加減弁80で受けていた圧損に相当する分の圧損を低減することができる。即ち、クロスオーバー管62を介して低圧蒸気タービンに供給される蒸気の圧損を低減することができる。
圧蒸気タービンに供給される蒸気の圧損を低減するとともに、オーバースピードを防止することができる低圧蒸気タービンの蒸気入口構造として利用することができる。
11 蒸気入口構造
13 T字管
13a 合流管
13b 合流部
30 加減弁
32 止め弁
58 低圧蒸気タービン
60 湿分分離加熱器
62 クロスオーバー管

Claims (5)

  1. 蒸気を低圧蒸気タービン内部に供給する低圧蒸気タービンの蒸気入口構造であって、
    蒸気が流通する2つのクロスオーバー管と、
    2つのクロスオーバー管が合流する合流部と、該合流部と低圧蒸気タービン内部を連通する合流管とから構成されるT字管と、
    前記合流管に設けられる加減弁と、を備え
    前記T字管は低圧蒸気タービンの上方に設けられ、
    前記加減弁は、弁体と、該弁体に接続された支軸と、を含み、前記支軸を上下方向に移動させることによって前記弁体と弁座との間隔を調整するように構成された弁構造を有する弁であることを特徴とする低圧蒸気タービンの蒸気入口構造。
  2. 湿分分離加熱器で加熱された蒸気を低圧蒸気タービン内部に供給する低圧蒸気タービンの蒸気入口構造であって、
    前記湿分分離加熱器からの蒸気が流通する2つのクロスオーバー管と、
    2つのクロスオーバー管が合流する合流部と、該合流部と低圧蒸気タービン内部を連通する合流管とから構成されるT字管と、
    前記合流管に設けられる加減弁と、を備え
    前記T字管は低圧蒸気タービンの上方に設けられ、
    前記加減弁は、弁体と、該弁体に接続された支軸と、を含み、前記支軸を上下方向に移動させることによって前記弁体と弁座との間隔を調整するように構成された弁構造を有する弁であることを特徴とする低圧蒸気タービンの蒸気入口構造。
  3. 前記T字管の合流部よりも前記蒸気流れ上流側のクロスオーバー管内に、止め弁を設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の低圧蒸気タービンの蒸気入口構造。
  4. 前記止め弁は、前記低圧蒸気タービンの上方に位置することを特徴とする請求項3記載の低圧蒸気タービンの蒸気入口構造。
  5. 前記加減弁は、前記クロスオーバー管の前記合流部に設けられ、前記2つのクロスオーバー管内を流通する前記蒸気量を調整する1つの前記弁構造の弁であり、
    前記止め弁は、前記加減弁の両側の前記クロスオーバー管のそれぞれに設けられたバタフライ弁であることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の低圧蒸気タービンの蒸気入口構造。
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