JP5818167B2 - Ledランプ - Google Patents
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Description
本発明者等は、本発明に関連する次の先行特許文献が存在することを承知している。
半導体素子を使用した電子機器においては冷却・放熱手段が重要事項であるのと同様に、LEDランプにおいても冷却・放熱手段が重要事項となる。
この研究開発の結果に基づき、本発明は、新規な冷却・放熱手段を備えたLEDランプを提供することを目的とする。
(LEDランプの構成)
図2は、本発明の第1実施形態に係るLEDランプの一例を示す図である。ここで、(A)はLEDランプの正面図であり、(B)は4個の光源支持体の位置関係が分かるように斜め下方から見た斜視図である。このLEDランプ10は、図1で説明した現在広く宣伝・販売されている7W程度の低出力LEDランプではなく、主として高出力の20W程度のLEDランプを対象としている。このため、冷却・放熱手段が更に重要な検討事項となる。
図2(A)に示すLEDランプ10の各要素に関して簡単に説明する。
口金2は、白熱電球やHIDランプで使用されているねじ込みタイプ(E型)や差し込みタイプであってよい。外球6は、例えば、ホウケイ酸ガラス等の透光性の硬質ガラスから成るBT管である。しかし、任意の形状であってよい。外球6は、透明タイプ又は拡散タイプ(曇りガラスのタイプ)のいずれであってもよい。公知の白熱電球やHIDランプと同様に、口金2と外球6との間は気密封止され、外球内部空間と外部空間との間は気密封止状態となっている。
4枚の光源支持体片14−1〜14−4は、軸方向断面で見ると、概して矩形を形成するように配置されている。更に、隣接する光源支持体片の間は接続されてなく、スリット(間隙)26を空けて配置されている。図示する光源支持体14は、4枚の光源支持体片軸方向断面で見ると矩形を形成するように配置しているが、これに限定されない。即ち、3枚の光源支持体片で三角形を形成するように配置してもよく、任意の枚数(n個)の光源支持体片で任意の多角形(n角形)を形成するように配置してもよい。
各LED素子18に対する給電は、LED素子を直列に接続するリード線(図示せず。)により行われる。光源支持体14が良好な電気伝導体の場合、光源支持体を給電線として利用してもよい。
図3Bは、第2実施形態に係る光源支持体14を説明する図である。第1実施形態に係る光源支持体と比較すると、第2実施形態は、LED素子18が実装基板16に実装され、実装基板16が光源支持体14に固定されている点で相違する。
図に示すように、光源支持体14の外周側面には、実装基板16が固定されている。所望により、光源支持体14の外周側面と実装基板16との間に、熱伝導シート(図示せず。)を介在配置してもよい。光源支持体14の断面形状がn角形であれば、n個の外周側面に実装基板16が夫々固定される。各実装基板16には、1個又は2個以上の複数個のLED素子18が搭載されている。
(光源支持体の配置)
第1実施形態及び第2実施形態において、隣接する光源支持体片の間は接続されてなく、スリット(間隙)26を空けて配置されていると説明した。その理由は、次の通りである。
本出願人は、前掲特許文献5において、隣接する光源支持体片を接続したアイデアを提案した(特許文献5の図3参照)。図4Aは、このような光源支持体片を相互に接続してスリットが無い場合の冷却ガス流の流れを説明する図である。図に示すように、4枚の光源支持体片14−1〜14−4により取り囲まれ、軸方向のガス流路15が形成される。LED素子18の発熱により光源支持体14は高温となり、高温光源支持体により温められたガス流路15内の冷却ガスは上方に移動し、暖かいガス流23−2となりガス流路上端からランプ外球内に放出される。一方、ガス流路下端から、新たなガス流23−1がガス流路内に流入する。このような煙突効果により、光源支持体14の裏面は効果的に冷却される。LED素子18は、その表面を取り囲む冷却ガスにより冷却される。これに加えて、LED素子18は、裏面を、光源支持体14により効果的に冷却されている。このアイデアに関しては、一定の冷却効果が有ることが確認され、特許文献5の図6にグラフで示されている。
図5A〜図6Bのグラフを参照しながら、ランプの点灯方向(垂直点灯,水平点灯)を考慮した、スリットの有無による冷却効果の相違を説明する。尚、垂直点灯の実験は口金が下側に位置するBDで行なっているが、口金が上側に位置するBUでも、同様の効果が期待できる。
表1は、その実験データである。この実験は、次の条件で行われた。
光源支持体:1片が140mm長×25mm幅×3mm厚のアルミニウム板、4枚
スリットの大きさ(隣接する光源支持体距離):3.5mm
LED仕様:20W×4枚
モデルI:(BD,スリット有)、
モデルII:(BD,スリット無)、
モデルIII(BH,スリット有)、
モデルIV:(BH,スリット無)。
図5A及び図5Bの結果より、モデルI<モデルII及びモデルIII<モデルIVが得られ、
図6A及び図6Bの結果より、モデルI<モデルIII及びモデルII<モデルIVが得られ、
図7の結果より、モデルIII<モデルIIが得られる。
従って、次の順序でLSI素子温度が高くなることが判明した。即ち、右に行くほどLED素子温度は高く、左に行くほどLED素子18の温度は低く維持され、冷却効果が高いことが判明した。
モデルI(スリット有り,BD)<モデルIII(スリット有り,BH)<モデルII(スリット無し,BD)<モデルVI(スリット無し,BH)
この結果、冷却に寄与する第1の要因は「スリット有り」であり、第2の要因は「垂直点灯(BD)」であることが判明した。第2の要因に関する点灯方式は、多くの場合、ランプが設置される建造物、照明エリア、照明器具、顧客ニーズ等によって決められる。従って、光源支持体を「スリット有り」とすることが重要である。
第1の要因である「スリット有り」から、『ガス流路15を形成する光源支持体14の両端部の冷却ガス流入・流出口に加えて、光源支持体の両端部の間にも冷却ガス流入・流出口を設けることにより、LED素子に対する冷却効果は更に向上する』との技術的知見が得られた。
図9は、本実施形態に係るLEDランプの製造方法のフローであり、各ステップの右側にその段階の簡単なランプの図を示している。
ステップS1のマウント組立工程で、LED素子18を光源支持体14に固定し、光源支持体を支柱20に取り付けてマウントを形成、ステム8を取り付ける。
ステップS2の封止工程で、マウントを外球6の外球内部に挿入し、マウントが取り付けられたステム8と外球6とをバーナーで熱して封着し、気密封止する。
ステップS3の排気行程で、封止済みの外球内部から排気管を通じて一度真空状態に排気する。その後、低分子量ガスを封入し、チップオフ(排気管をバーナーで溶かして封着すること)する。
ステップS4の口金付け工程で、口金2のトップ部及びサイド部を半田付けする。
ステップS5の点灯試験、検査を経て、LEDランプ10が完成する。
本発明は、更に、以下のようなその他の実施形態を採用し得る。
(第4実施形態)
図10Aは、本発明の第4実施形態に係る、端部を拡げた光源支持体を説明する図である。図10Bは、同様に、中間部の板厚を厚くした光源支持体を説明する図である。第4実施形態は、光源支持体で形成する冷却ガス流路を、両端部における冷却ガス流路断面積に比較して、中央部における冷却ガス流路断面積を小さく(狭く)している。図10Aに示す光源支持体14cは、両端部をラッパ状に拡げて、中央部を相対的に狭くしている。図10Bに示す光源支持体14dは、各支持体片の中間部の板厚を両端部の板厚より厚くして、中央部を相対的に狭くしている。中央部における冷却ガス流路断面積を狭くすることにより、中央部分でガス流は加速され、冷却効果が高くなることが期待される。
図11は、本発明の第5実施形態に係る伝熱器28及び第6実施形態に係る追加放熱器30を説明する図である。第5実施形態では、図11(A)に示すように、外球内部に伝熱器28を形成することにより、更に冷却・放熱性能の向上を図っている。具体的には、外球内に、熱伝導樹脂を流し込み、硬化させて伝熱器28を形成する。ランプ製造の際、外球6の口金2の近傍は加熱され高温に曝されるが、外球トップ部は熱遮蔽部材24の効果等によりこの熱に曝されることはない。従って、予め形成された伝熱器28が、その後の製造工程で熱の影響を受けることはない。
試作段階では、伝熱器28は、シリコンにカーボンファイバーを混入した熱伝導樹脂を用いて作成した。しかし、他の熱伝導樹脂(樹脂に金属粉・金属片を混入したもの)を使用してもよい。この伝熱器28に対して、光源支持体14の端部を直接固定する。この場合、光源支持体14の端部にある冷却ガス流の出入り口を確保するため、例えば、光源支持体の端部に切り欠き、穴等を設けたり、端部を複数本の脚部状にしたりして、ガス流の流入・流出口(図示せず。)を塞がないようにする。伝熱器28に対して、光源支持体14の端部を直接固定することで、LED素子18の発熱が光源支持体14から伝熱器28に効率良く熱伝導され、冷却・放熱効果が向上する。
図12は、本発明の第7実施形態に係る、光源支持体の端部付近に冷却空気駆動ファンを設けた例を説明する図である。光源支持体14の下端部の冷却ガス流入口に、ガス流加速用ファン32を設けてもよい。ガス流加速用ファン32は、光源支持体14の上端部のガス流出口に設けてもよく、両端部に設けてもよい。ガス流加速用ファン32の作用により、冷却ガス流路15を通る冷却ガスは加速され、更に冷却効果が高くなる。
第8実施形態は、図示していないが、外球6の内部空間22に封入する低分子量ガスに加えて、他のガスを封入する例である。低分子量ガスの水素ガスやヘリウムガスは、分子が小さいため、ランプを長時間使用した場合、ガスが外球6から徐々に外部へ抜けてしまう現象が見られた。冷却ガスが抜けてしまうと、外球内の冷却ガス量は減少してLED素子18の温度が上昇する。これを防止するため、水素ガスやヘリウムガスを使用する場合には、外球外部へ抜けにくい比較的大きい分子のガス(典型的には窒素ガス)と混合して封入することが好ましい。
以上により、本発明に係るLEDランプの実施形態に付いて説明したが、これらは例示であって、本発明を限定するものではない。本発明の技術的範囲は、添付の特許請求の範囲の記載によって定められる。
BD:垂直点灯、 BH:水平点灯、
Claims (13)
- 複数個のLED素子と、該LED素子を側面に支持する光源支持体と、該光源支持体を包囲し且つ冷却ガスとしての低分子量ガスを内封して気密封止されたガラス製密封容器とを備え、
前記光源支持体は、ランプ軸線に沿って延在する1個の棒状体であり、前記ガラス製密封容器の端部から延在する支柱によって該容器の内部空間内に支持され、
前記光源支持体には、ランプ軸線に沿って形成され且つ両端は開放してガス流入・流出口となって、一端から他端に流れる冷却ガス流路となる貫通孔が形成され、
垂直点灯したとき、前記貫通孔にある冷却ガスは暖められ、前記冷却ガス流路を下端から上端に向かって流れ、前記ガラス製密封容器内に排出され、該容器内で冷やされて再び下端から該貫通孔に流入する冷却ガス流が形成されるLEDランプにおいて、
更に、前記光源支持体は、両端の前記ガス流入・流出口に加えて、両端部の間にガス流入・流出口を有して、前記貫通孔の下端から上端へ流れる冷却ガス流に流入又は流出するガス流を形成している、LEDランプ。 - 請求項1に記載のLEDランプにおいて、
前記低分子量ガスは、ヘリウムガス、水素ガス及びネオンガスのいずれか又はこれらの任意の組み合わせの混合ガスを含む、LEDランプ。 - 請求項1又は2に記載のLEDランプにおいて、
前記光源支持体の両端部の間にあるガス流入・流出口は、前記光源支持体の側面から前記貫通孔に至る開口である、LEDランプ。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載のLEDランプにおいて、
前記光源支持体には、前記複数個のLEDが搭載された実装基板が固定されている、LEDランプ。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載のLEDランプにおいて、
前記光源支持体には、前記複数個のLEDが搭載された実装基板が固定され、該実装基板はメタルコア基板である、LEDランプ。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載のLEDランプにおいて、
前記光源支持体は、少なくとも、アルミニウム、銅、又は熱伝導樹脂を含む良好な熱伝導性を有する部材から成る、LEDランプ。 - 請求項3に記載のLEDランプにおいて、
前記光源支持体は、前記冷却ガス流路を取り囲むように配置された複数個の光源支持体片からなり、
前記複数個の光源支持体片は、ランプ軸線に垂直な断面で見て、n角形(n=3,4,…)を形成するように配置され、
前記光源支持体の側面から前記貫通孔に至る開口は、格子状又はメッシュ状に形成されている、LEDランプ。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載のLEDランプにおいて、
前記光源支持体は、両端部が拡がった形状からなり、前記冷却ガス流路の断面積が、両端部に比較して中央部が相対的に狭くなっている、LEDランプ。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載のLEDランプにおいて、
前記光源支持体は、両端部に比較して中央部の板厚が厚く形成され、前記冷却ガス流路の断面積が、両端部に比較して中央部が相対的に狭くなっている、LEDランプ。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載のLEDランプにおいて、更に、
前記口金とは反対側である前記ガラス製密封容器のトップ部内側に、前記光源支持体に固定された熱伝導樹脂から成る伝熱器を備えている、LEDランプ。 - 請求項10に記載のLEDランプにおいて、更に、
前記ガラス製密封容器のトップ部外側に、前記伝熱器に前記ガラス製密封容器を挟んで熱的伝導関係にある追加熱放熱器を備えている、LEDランプ。 - 請求項3に記載のLEDランプにおいて、更に、
前記光源支持体の上端、下端又はその両方の近傍に、ガス流加速ファンを備えている、LEDランプ。 - 請求項1又は2に記載のLEDランプにおいて、
前記ガラス製密封容器内に、前記低分子量ガスに加えて、窒素ガスが内封されている、LEDランプ。
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