JP5815170B2 - 自動二輪車の後輪懸架構造 - Google Patents
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Description
したがって本願は、走行フィーリングを向上させるために、捩り剛性の大幅な減少を抑えつつ、車両幅方向の剛性を調整することが可能なリヤスイングアームを提供することを目的とする。
このスイングアームは、左右一対のアーム部と、この左右一対のアーム部間に掛け渡されたクロスメンバと、
このクロスメンバの後面側とアーム部の内面側とを接続する左右一対の補強部材とを備えた自動二輪車の後輪懸架構造において、
前記補強部材は、上板部と、この上板部の縁部から下方に延びる垂下部とを備えるとともに、
この垂下部に下端から前記上板部の縁部に向けて切り欠かれた切り欠き部が形成されていることを特徴とする。
前記車体に支持されたパワーユニットを備え、このパワーユニットからの駆動力を前記後輪へ伝達するチェーンと、このチェーンをガイドするチェーンスライダと、を備え、
前記補強部材の切り欠き部に前記チェーンスライダを係止するための係合突起が形成されていることを特徴とする。
前記リヤスイングアームには、パッセンジャー用のピリオンステップを支持するためのステップブラケットが取付けられていることを特徴とする。
前記チェーンスライダは、前記ピボット軸を後方から覆うように前方へ延出する上延出部と下延出部を備え、
この下延出部は前記上延出部よりも前方へ延び出していることを特徴とする。
前記チェーンスライダは前記左右一対の補強部材のいずれか側へ重なるように設けられるとともに、
前記左右一対の補強部材は同じものであり、
前記チェーンスライダが配置されない側の補強部材にも前記係合突起が設けられていることを特徴とする。
一方、リヤスイングアームの捩り方向においては、垂下部に切り欠き部を設けても、捩り剛性はあまり大きく下がらず、必要十分な捩り剛性を確保できる。
したがって、捩り剛性の大幅な減少を抑えつつ、車両幅方向の剛性を調整して走行フィーリングを向上させることが可能になる。
前輪1及び後輪2間において、パワーユニット3が車体フレーム4に支持されている。
車体フレーム4はパワーユニット3の前方を後方へ斜め下がりに設けられたダウンフレーム4aと、パワーユニット3の上方を後方へ延びるメインフレーム4bと、このメインフレーム4bからパワーユニット3の後方を斜めに下方へ延びるセンターフレーム4cと、メインフレーム4bからさらに後方へ略水平に延びるシートレール4dとを備える。
センターフレーム4cの上下方向中間部には、リヤスイングアーム5の前端がピボット軸6により揺動自在に支持されている。リヤスイングアーム5の後端には、後輪2が後輪車軸7により、回転自在に支持されている。
さらに、リヤスイングアーム5の後端部とシートレール4dの間には、リヤクッション8が支持されている。リヤスイングアーム5とリヤクッション8は後輪懸架装置を構成している。
11はチェーンケース、12はピリオンステップ、13はメインフレーム4b上に支持される燃料タンク、14はシートである。シート14はライダー(運転者)用の前席とパッセンジャー(同乗者)用の後席とを一体に備えたダブルシートであり、後席のパッセンジャーはピリオンステップ12に足を乗せるようになっている。
なお、図中の符号Lは、ピボット軸6と後輪車軸7の各中心を通る直線であり、側面視におけるリヤスイングアーム5(正確には後述するアーム部20)の上下方向の略中心を通る中心線である。この延長上に駆動スプロケット3aがあり、この駆動スプロケット3aと被動スプロケット9に巻き掛けられたチェーン10が直線Lの上下に配されている。
この空間を塞いで、略3角形のドレスガード18が設けられ、ピボット軸6でセンターフレーム4cへ共締めされている。
19はトルクロッドであり、後輪のハブ2aとリヤスイングアーム5の前部間を連結している。
アーム部20及びクロスメンバ21は、それぞれ角筒状の金属パイプであり、クロスメンバ21は長手方向端部の開口が側面視で前後方向へ長い矩形をなしている(図4参照)。
各アーム部20の長手方向中間部には、ステップブラケット24が設けられ、これにピリオンステップ12が起倒自在に取付けられている。なお、右側のステップブラケット24には、線材を折り曲げたステップガード25が設けられている。ステップガード25は倒した状態のピリオンステップ12内側へ重なるようになっている。
各アーム部20の後端部には、リヤクッション8の下端部を取付けるクッションブラケット26が設けられている。
また、左右のアーム部20の後端部側面には車軸穴5aが設けられている。車軸穴5aは前後方向に長い長穴形状をなし、上下幅は後輪車軸7の外径程度であるが、前後方向はチェーンの張り調節を可能にするため、後輪車軸7を前後方向へ進退移動させるに十分な長さになっている。
チェーンスライダ30はクロスメンバ21の左端部及びガセットプレート22の上に重なって前後方向へ延び、チェーンスライダ30に形成された係止突起31がアーム部20に形成された係止穴21aへ係合して一体化される。また、後端部32は、左側のガセットプレート22に係止される。チェーンスライダ30の詳細は後述する。
図9に示すように、チェーンスライダ30の後端部32は、ガセットプレート22の垂下部41に重なり、後端部32に形成されたスリット33へ係合突起43が差し込まれ、爪部44にて係合するようになっている。
凹部34を囲んで、前方へ延出する上側の上延出部34aと、下側の下延出部34bを備え、これら上延出部34aと下延出部34bでピボット軸6の周囲を後方から覆っている。下延出部34bの前端部は上延出部34aの前端部よりも長く前方へ突出している。
このようにすると、回転するチェーン10を迎える側となる下延出部34bの方が、上延出部34aよりも前方へ延出していることになり、たるみを生じる下側のチェーン10をより早く、ピボット軸6の前方でガイドできることになるから、チェーン10を効果的にガイドできる。
上辺部35と下辺部36の間は、前方の凹部34側が閉じられ、後方が開放された空間となっており、凹部34に隣接する肉抜き部37は、上辺部35から下方へ延びる仕切壁35aと、下辺部36から上方へ延びる仕切壁36aとにより、後方のクロスメンバ収容部38と区画される。
クロスメンバ収容部38内には、上辺部35と下辺部36の仕切壁35a及び仕切壁36a近傍に形成された係止突起31が上下から突出している。
図12中の符号39はチェーン10の右側面をガイドするガイドリブである。
アジャスタケース51は左右に分割された半割部52を左右向かい合わせにして用いられるものであり、適当な合成樹脂で成形される。
半割部52の内側すなわち、相手側と向かい合わせになる側には、内側へ開放された凹部55,56がカラーの穴53を挟んで設けられ、このうち、後方側の凹部56を囲む壁部のうち、後壁部にアジャストボルト48を通す半円形断面の溝57が設けられている。
また、アジャスタケース51をアーム部20へ挿入後、アーム部20の後端開口へエンドピース47を取付け、ダブルナット49で締結することにより、後輪車軸7の位置が固定される。
このとき、左右の半割部52は、単に重ね合わせるだけで組立てでき、これをアーム部20内へ挿入すると、アーム部20の壁部によってバラけることを防止され、組立状態を維持するので、組立後に何らかの結合手段で結合する必要がないから、チェーンアジャスタ15の組立、組付が容易である。
このとき、摺動突部58は上下に位置することになるが、小面積の摺動突部58をアジャスタケース51の上下に形成することができ、アーム部20の内壁を摺動する際における摺動抵抗を減少させることができるから好都合になる。
したがって、捩り剛性の大幅な減少を抑えつつ、車両幅方向の剛性を調整して走行フィーリングを向上させることが可能になる。
しかも、垂下部41に対して切り欠き部42を設けるという、微少部分の変更により、リヤスイングアーム5全体に及ぶ大きな効果を生じさせることができる。
しかも、前後方向へ長く配設されるアーム部20に対して、ステップブラケット24を設ければよいので、ステップブラケット24を設ける位置の自由度が大きくなり、さらにはピリオンステップ12の配置における自由度も大きくなる。
Claims (5)
- 一端が車体(4c)へ揺動可能に支持されるとともに、他端に後輪(2)を回転可能に支持するリヤスイングアーム(5)を備え、
このスイングアームは、左右一対のアーム部(20・20)と、この左右一対のアーム部間に掛け渡されたクロスメンバ(21)と、
このクロスメンバの後面側とアーム部(20・20)の内面側とを接続する左右一対の補強部材(22)とを備えた自動二輪車の後輪懸架構造において、
前記補強部材(22)は、上板部(40)と、この上板部の縁部から下方に延びる垂下部(41)とを備えるとともに、
この垂下部(41)に下端から前記上板部の縁部に向けて切り欠かれた切り欠き部(42)が形成されていることを特徴とする自動二輪車の後輪懸架構造。 - 前記車体に支持されたパワーユニット(3)を備え、このパワーユニットからの駆動力を前記後輪(2)へ伝達するチェーン(10)と、このチェーンをガイドするチェーンスライダ(30)と、を備え、
前記補強部材(22)の切り欠き部(42)に前記チェーンスライダ(30)を係止するための係合突起(43)が形成されていることを特徴とする請求項1に記載した自動二輪車の後輪懸架構造。 - 前記リヤスイングアーム(5)には、パッセンジャー用のピリオンステップ(12)を支持するためのステップブラケット(24)が取付けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載した自動二輪車の後輪懸架構造。
- 前記チェーンスライダ(30)は、前記ピボット軸(6)を後方から覆うように前方へ延出する上延出部(34a)と下延出部(34b)を備え、
この下延出部(34b)は前記上延出部(34a)よりも前方へ延び出していることを特徴とする請求項2又は3に記載した自動二輪車の後輪懸架構造。 - 前記チェーンスライダ(30)は前記左右一対の補強部材(22)のいずれか側へ重なるように設けられるとともに、
前記左右一対の補強部材(22)は同じものであり、
前記チェーンスライダ(30)が配置されない側の補強部材(22)にも前記係合突起(43)が設けられていることを特徴とする請求項2に記載した自動二輪車の後輪懸架構造。
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