JP5814836B2 - トラクション制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、トラクション制御装置に関し、特に、前輪がリフトしやすい自動二輪車等の車両の路面に対する駆動輪のグリップ状況に応じて駆動輪の駆動力を制御するトラクション制御装置に関する。
近年、路面に対して車両の駆動輪がスリップした際に、駆動輪の駆動力を減少させることによって路面に対する駆動輪のグリップ力を回復させるトラクション制御装置が提案されている。
特許文献1は、車両用スリップ抑制制御装置に関し、前後の車輪の回転速度の差に対応する値である監視値を検出し、検出された監視値が所定の開始閾値を超えている場合に、駆動輪の駆動力を減少させる構成を提案している。更に、特許文献1は、車速や変速ギア位置に応じてかかる開始閾値を変更する構成も提案している。
特許文献2は、車両用エンジン制御システムに関し、停車状態から走行状態に切り替わったと判定され、クラッチが半クラッチ状態又は結合状態と判定された場合に、アクセル操作量にかかわらずエンジン出力を所定出力以下に制限する構成を提案している。
そこで、特許文献2には、前輪がリフトすることを抑制するために、停車状態から走行状態に切り替わったと判定され、クラッチが半クラッチ状態又は結合状態と判定された場合、アクセル操作量にかかわらずエンジン出力を所定出力以下に制限する技術が開示されている。
特開2010−31845号公報 特開2008−121595号公報
しかしながら、本発明者の検討によれば、特許文献1においては、駆動輪の駆動力を減少させる開始閾値を変更する構成を有するものであるため、車両の走行状態によって、実際には運転者がスリップを体感していない状況であるのにもかかわらず、トラクション制御が実行されることによって駆動輪の駆動力が減少し、ドライバビリティが低下する事態や、例えば未舗装路(ダート路)の走行時等のように、スリップ感をもたらした方が発進しやすい状況下において、トラクション制御が介入して駆動力が増加せず、運転者が意図するような加速感が得られない事態には対処すること可能であるが、1速での発進時や極低速域からの加速時には開始閾値を一定にしているものに過ぎない。このようなトラクション制御は、未舗装路での発進時や極低速域からの加速時には有効であるが、アスファルト路等の舗装路ではスリップが発生せず、駆動輪である後輪がグリップし過ぎることによって、前輪が不用意にリフトしてしまう傾向も考えられる。
一方で、特許文献2においては、停車状態から走行状態に切り替わったと判定され、クラッチが半クラッチ状態又は結合状態と判定された場合に、アクセル操作量にかかわらずエンジン出力を所定出力以下に制限する構成有するものであるため、前輪が不用意にリフトする事態は抑制し得るものである。
ここで、本発明者の更なる検討によれば、未舗装路、特に岩石が露出しているいわゆるガレ場等では、岩石や倒木等の障害物を乗り越える際に、前輪の荷重を抜重するために、運転者が前輪を故意にリフトさせることがある。また、石畳や波状路を走行する際にも、前輪への衝撃を緩和するために、運転者が前輪の荷重を抜重することがある。
しかしながら、特許文献1や特許文献2記載の構成では、前後の車輪の回転速度の差に基づいてトラクション制御を実行するか否かを判断しているものであるため、前輪がリフト状態にあり、前輪の回転速度を直接検出できない状況であるのにもかかわらず、トラクション制御が実行され、運転者が思うような駆動力を得られない事態が発生する傾向も考えられ、更なる改良の余地がある。
本発明は、以上の検討を経てなされたものであり、前輪がリフト状態にあって、前輪の回転速度を直接検出できない状況下であっても、適切なトラクション制御を実行可能なトラクション制御装置を提供することを目的とする。
以上の目的を達成するべく、本発明は、第1の局面において、従動輪である前輪の回転速度である前輪速を検出する前輪速センサと、駆動輪である後輪の回転速度である後輪速を検出する後輪速センサと、前記前輪速と前記後輪速との偏差と所定のスリップ率との関係を判定してトラクション制御の開始を判断するトラクション制御開始判断部と、前記トラクション制御開始判断部の判断結果に基づいて、前記後輪の駆動力を制御するエンジン出力制御部と、前記前輪がリフトしている状態にあるか否かを判定する前輪リフト状態判定部と、前記前輪リフト状態判定部により前記前輪がリフトしている状態にあると判定された場合に、前記前輪がリフトした直前の前記前輪速を初期値として所定の補正量を用いながら順次補正演算することにより、前記前輪がリフトした以降の前記前輪速としての仮想の前輪速を算出する仮想前輪速算出部と、を備え、前記前輪リフト状態判定部により前記前輪がリフトしている状態にあると判定された場合に、前記トラクション制御開始判断部は、前記仮想の前輪速及び前記後輪速の間の偏差と所定のスリップ率との関係を判定し、且つ、前記エンジン出力制御部は、前記トラクション制御開始判断部が判定した前記関係に基づいて、前記後輪の前記駆動力を制御するトラクション制御装置である。
また、本発明は、かかる第1の局面に加えて、前記仮想前輪速算出部は、前記前輪がリフトした以前の前記前輪の回転速度から求めた前記前輪の速度変化率を加味して前記所定の補正量を算出し、前記所定の補正量は、前記前輪がリフトしていると判定された時点から時間経過と共に減衰的に減少する特性を呈することを第2の局面とする。
また、本発明は、かかる第1又は第2の局面に加えて、前記前輪リフト状態判定部は、更に、前記前輪がリフトし得る状態にあるか否かを判定し、前記トラクション制御開始判断部は、前記前輪がリフトしている前記状態及び前記前輪がリフトし得る前記状態に応じて、前記所定のスリップ率を変更自在であることを第3の局面とする。
また、本発明は、かかる第1から第3のいずれかの局面に加えて、前記前輪リフト状態判定部は、前記前輪速が前記後輪速より第1所定値以下であって減少しており、エンジントルクが第2所定値以上であり、前記後輪速が第3所定値以上であり、且つ、前記後輪速の速度変化が第4所定値以上である場合に、前記前輪がリフトしている前記状態であると判定することを第4の局面とする。
本発明の第1の局面におけるトラクション制御装置においては、前輪リフト状態判定部
により前輪がリフトしている状態にあると判定された場合に、前輪がリフトした直前の前輪速を初期値として所定の補正量を用いながら順次補正演算することにより、前輪がリフトした以降の前輪速としての仮想の前輪速を算出する仮想前輪速算出部を備え、前輪リフト状態判定部により前輪がリフトしている状態にあると判定された場合に、トラクション制御開始判断部が、仮想の前輪速及び後輪速の間の偏差と所定のスリップ率との関係を判定し、且つ、エンジン出力制御部が、トラクション制御開始判断部が判定した仮想の前輪速及び後輪速の間の偏差と所定のスリップ率との関係に基づいて、後輪の駆動力を制御するものであるため、前輪がリフトしている際、仮想の前輪速を用いてトラクション制御を実行するので、前輪がリフト状態にあり、前輪の回転速度を直接検出できない状況下であっても、適切なトラクション制御を実行することができる。
本発明の第2の局面におけるトラクション制御装置においては、仮想前輪速算出部が、前輪がリフトした以前の前輪の回転速度から求めた前輪の速度変化率を加味して所定の補正量を算出し、所定の補正量が、前輪がリフトしていると判定された時点から時間経過と共に減衰的に減少する特性を呈するものであるため、仮想の前輪速をより確実に求めて適切なトラクション制御を実行することができる。
本発明の第3の局面におけるトラクション制御装置においては、前輪リフト状態判定部が、更に、前輪がリフトし得る状態にあるか否かを判定し、トラクション制御開始判断部が、前輪がリフトしている状態及び前輪がリフトし得る状態に応じて、所定のスリップ率を変更自在であるものであるため、未舗装路等の摩擦が小さい路面では、スリップ率を許容することで走破性を向上させ、乾いたアスファルト路面等の摩擦が大きい路面では、スリップ率を抑制することで前輪が過剰にリフトすることを抑制することができる。
本発明の第4の局面におけるトラクション制御装置においては、前輪リフト状態判定部が、前輪速が後輪速より第1所定値以下であって減少しており、エンジントルクが第2所定値以上であり、後輪速が第3所定値以上であり、且つ、後輪速の速度変化が第4所定値以上である場合に、前輪がリフトしている状態であると判定するものであるため、石畳等で後輪が跳ねることによって後輪速が急激に変化している状態を前輪がリフトしている状態であると誤判定することを抑制し、前輪がリフトしている際のトラクション制御を精度よく行うことができる。
図1は、本発明の実施形態におけるトラクション制御装置が適用される電子制御装置の構成を示すブロック図である。 図2は、本実施形態におけるトラクション制御装置のトラクション制御処理の流れを示すフローチャートである。 図3は、本実施形態におけるトラクション制御処理中の前輪リフト予測処理の流れを示すフローチャートである。 図4は、本実施形態におけるトラクション制御処理中の前輪リフト判定処理の流れを示すフローチャートである。 図5は、本実施形態におけるトラクション制御処理中の仮想前輪速算出処理の流れを示すフローチャートである。 図6は、本実施形態におけるトラクション制御処理中のトラクション制御開始判断処理の流れを示すフローチャートである。 図7は、本実施形態におけるトラクション制御処理の一例を示すタイミングチャートである。
以下、図面を適宜参照して、本発明の実施形態におけるトラクション制御装置につき、
詳細に説明する。
〔電子制御装置の構成〕
まず、図1を参照して、本実施形態におけるトラクション制御装置が適用される電子制御装置の構成につき、詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態におけるトラクション制御装置が適用される電子制御装置の構成を示すブロック図である。
図1に示すように、本実施形態におけるトラクション制御装置が適用される電子制御装置1は、図示を省略する車両、典型的には自動二輪車に搭載され、車両に搭載されたバッテリから供給される電力を利用して動作し、車両の各種構成要素を制御自在な制御装置であり、図示を省略するメモリー等を備える。また、電子制御装置1は、トラクション制御部2と、エンジン出力制御部3と、を備えている。トラクション制御部2は、前輪リフト状態判定部21、仮想前輪速算出部22、スリップ率算出部23、及びトラクション制御開始判断部24を備えている。前輪リフト状態判定部21は、前輪リフト予測部21aと、前輪リフト判定部21bと、を備えている。かかるトラクション制御部2、前輪リフト状態判定部21、前輪リフト予測部21a、前輪リフト判定部21b、仮想前輪速算出部22、スリップ率算出部23、トラクション制御開始判断部24、及びエンジン出力制御部3は、いずれも機能ブロックとして示す。また、本実施形態におけるトラクション制御装置は、電子制御装置1トラクションにおける制御部2及びエンジン出力制御部3の部分に相当する。
前輪リフト予測部21aは、車両のエンジンの回転数を検出するクランクセンサ41、車両の変速ギア位置の位置を検出するギアポジションセンサ42、車両のアクセルグリップの開度を検出するアクセルポジションセンサ43に接続されている。前輪リフト予測部21aは、後述する前輪リフト予測処理を実行することによって、前輪がリフトし得る状態にあるか否かを判定するものである。
前輪リフト判定部21bは、アクセルポジションセンサ43、車両の従動輪である前輪の回転速度である前輪速を検出する前輪速センサ44、車両の駆動輪である後輪の回転速度である後輪速を検出する後輪速センサ45に接続されている。前輪リフト判定部21bは、後述する前輪リフト判定処理を実行することによって、前輪がリフトしているか否かを判定するものである。
仮想前輪速算出部22は、前輪リフト判定部21bによって前輪がリフトしている判定された場合、前輪がリフトする直前の前輪速を所定値で補正することによって仮想の前輪速を算出するものである
スリップ率算出部23は、前輪速センサ44、後輪速センサ45、及び仮想前輪速算出部22に接続されている。スリップ率算出部23は、前輪速センサ44によって検出された前輪速又は仮想前輪速算出部22によって算出された仮想前輪速と後輪速センサ45によって検出された後輪速との偏差を算出し、偏差とスリップ率との対応関係を示すテーブルデータから算出された偏差に対応するスリップ率を読み出すものである。
トラクション制御開始判断部24は、スリップ率算出部23によって算出されたスリップ率と所定のスリップ率(トラクション制御開始スリップ率)とを比較し、比較結果に基づいてトラクション制御の要否を判定するものである。
エンジン出力制御部3は、トラクション制御開始判断部24の判定結果に基づいて、イ
ンジェクタ51、点火装置52、及びスロットル弁53を制御することによって後輪の駆動力を制御するものである。
〔トラクション制御処理〕
以上の構成を有する電子制御装置1は、以下に示すトラクション制御処理を実行することによって、前輪がリフト状態にあり、前輪の回転速度を直接検出できない状況下であっても、適切なトラクション制御を実行する。以下、図2に示すフローチャートを参照して、かかるトラクション制御処理を実行する際の電子制御装置1の動作につき、詳細に説明する。
図2は、本実施形態におけるトラクション制御装置のトラクション制御処理の流れを示すフローチャートである。
図2に示すフローチャートは、車両のイグニッションスイッチがオフ状態からオン状態に切り替えられたタイミングで開始となり、トラクション制御処理はステップS1の処理に進む。トラクション制御処理は、イグニッションスイッチがオン状態である間、所定の制御周期毎に繰り返し実行される。
ステップS1の処理では、前輪リフト予測部21aが、前輪がリフトし得る状態にあるか否かを判定する(前輪リフト予測処理)。この前輪リフト予測処理の詳細については図3に示すフローチャートを参照して後述する。これにより、ステップS1の処理は完了し、トラクション制御処理はステップS2の処理に進む。
ステップS2の処理では、前輪リフト判定部21bが、前輪がリフトしているか否かを判定し、前輪がリフトしている判定された場合、仮想前輪速算出部22が、前輪がリフトする直前の前輪速を所定値で補正することによって仮想の前輪速を算出する(前輪リフト判定処理)。この前輪リフト判定処理の詳細については図4及び図5に示すフローチャートを参照して後述する。これにより、ステップS2の処理は完了し、トラクション制御処理はステップS3の処理に進む。
ステップS3の処理では、スリップ率算出部23が、前輪速センサ44によって検出された前輪速又は仮想前輪速算出部22によって算出された仮想前輪速と後輪速センサ45によって検出された後輪速との偏差を算出する。そして、スリップ率算出部23は、偏差とスリップ率との対応関係を示すテーブルデータから算出された偏差に対応するスリップ率を読み出す。これにより、ステップS3の処理は完了し、トラクション制御処理はステップS4の処理に進む。
ステップS4の処理では、トラクション開始判断部24が、ステップS3の処理によって算出されたスリップ率と所定のスリップ率(トラクション制御開始スリップ率)とを比較し、比較結果に基づいてトラクション制御の要否を判定する(トラクション開始判断処理)。このトラクション開始判断処理の詳細については図6に示すフローチャートを参照して後述する。これにより、ステップS4の処理は完了し、トラクション制御処理はステップS5の処理に進む。
ステップS5の処理では、エンジン出力制御部3が、ステップS4の処理結果に基づいて、インジェクタ51、点火装置52、及びスロットル弁53を制御することによって後輪の駆動力を制御する(エンジン出力制御処理)。これにより、ステップS5の処理は完了し、一連のトラクション制御処理は終了する。
〔前輪リフト予測処理〕
図3は、本実施形態におけるトラクション制御処理中の前輪リフト予測処理の流れを示すフローチャートである。
図3に示すフローチャートは、トラクション制御処理が開始されたタイミングで開始となり、前輪リフト予測処理はステップS11の処理に進む。
ステップS11の処理では、前輪リフト予測部21aが、クランクセンサ41の出力信号に基づいてエンジンの回転数が所定値(例えば1800rpm)以上であるか否かを判定する。判定の結果、エンジン回転数が所定値以上である場合、前輪リフト予測部21aは前輪リフト予測処理をステップS12の処理に進める。一方、エンジンの回転数が所定値未満である場合には、前輪リフト予測部21aは前輪リフト予測処理をステップS15の処理に進める。
ステップS12の処理では、前輪リフト予測部21aが、ギアポジションセンサ42の出力信号に基づいて変速ギア位置が所定値(例えば1速)以下であるか否かを判定する。判定の結果、変速ギア位置が所定値以下である場合、前輪リフト予測部21aは前輪リフト予測処理をステップS13の処理に進める。一方、変速ギア位置が所定値より大きい場合には、前輪リフト予測部21aは前輪リフト予測処理をステップS15の処理に進める。
ステップS13の処理では、前輪リフト予測部21aが、アクセルポジションセンサ43の出力信号に基づいてアクセル開度(運転者の要求トルク)が所定時間内(例えば350ms)に所定値以上増加したか否かを判定する。判定の結果、アクセル開度が所定時間内に所定値以上増加した場合、前輪リフト予測部21aは前輪リフト予測処理をステップS14の処理に進める。一方、アクセル開度が所定時間内に所定値以上増加していない場合には、前輪リフト予測部21aは前輪リフト予測処理をステップS15の処理に進める。
ステップS14の処理では、前輪リフト予測部21aが、前輪がリフトし得る状態にあるか否かを示す前輪リフト予測フラグの値を1(前輪がリフトし得る状態にあり)に設定する。これにより、ステップS14の処理は完了し、一連の前輪リフト予測処理は終了する。
ステップS15の処理では、前輪リフト予測部21aが、前輪がリフトし得る状態にあるか否かを示す前輪リフト予測フラグの値を1(前輪がリフトし得る状態にない)に設定する。これにより、ステップS15の処理は完了し、一連の前輪リフト予測処理は終了する。
以上の前輪リフト予測処理においては、前輪リフト状態判定部は、エンジン回転数が、所定値以上であり、変速ギア位置が、所定位置以下であり、運転者の要求トルクが所定時間内に所定値以上の変化であると、いう条件を満たしたときに、前輪がリフトしえる状態にあると判定するものであるので、変速ギア位置が低く運転者の要求トルクが急激に変化した際に、前輪がリフトするであろうと予測することが可能となり、トラクションを適切に制御することができる。
〔前輪リフト判定処理〕
図4は、本実施形態におけるトラクション制御処理中の前輪リフト判定処理の流れを示すフローチャートである。
図4に示すフローチャートは、前輪リフト予測処理が終了したタイミングで開始となり
、前輪リフト判定処理はステップS21の処理に進む。
ステップS21の処理では、前輪リフト判定部21bが、後輪速センサ45の出力信号に基づいて後輪速が所定値(例えば8km/h)以上であるか否かを判定する。判定の結果、後輪速が所定値以上である場合、前輪リフト判定部21bは前輪リフト判定処理をステップS22の処理に進める。一方、後輪速が所定値未満である場合には、前輪リフト判定部21bは前輪リフト判定処理をステップS28の処理に進める。
ステップS22の処理では、前輪リフト判定部21bが、後輪速センサ45の出力信号に基づいて後輪速が所定時間内に所定値以上増加しているか否かを判定する。判定の結果、後輪速が所定時間内に所定値以上増加していない場合、前輪リフト判定部21bは前輪リフト判定処理をステップS23の処理に進める。一方、後輪速が所定時間内に所定値以上増加している場合には、前輪リフト判定部21bは前輪リフト判定処理をステップS28の処理に進める。
ステップS23の処理では、前輪リフト判定部21bが、前輪速センサ44及び後輪速センサ45の出力信号に基づいて前輪速が後輪速より所定値(例えば3km/h)以下であるか否かを判定する。判定の結果、前輪速が後輪速より所定値以下である場合、前輪リフト判定部21bは前輪リフト判定処理をステップS24の処理に進める。一方、前輪速が後輪速より所定値以下でない場合には、前輪リフト判定部21bは前輪リフト判定処理をステップS28の処理に進める。
ステップS24の処理では、前輪リフト判定部21bが、アクセルポジションセンサ43の出力信号に基づいてエンジンの出力トルクが所定値以上であるか否かを判定する。判定の結果、エンジンの出力トルクが所定値以上である場合、前輪リフト判定部21bは前輪リフト判定処理をステップS25の処理に進める。一方、エンジンの出力トルクが所定値以上でない場合には、前輪リフト判定部21bは前輪リフト判定処理をステップS29の処理に進める。
ステップS25の処理では、前輪リフト判定部21bが、前輪速センサ44の出力信号に基づいて前輪速が所定時間内に所定値以上減少しているか否かを判定する。判定の結果、前輪速が所定時間内に所定値以上減少している場合、前輪リフト判定部21bは前輪リフト判定処理をステップS26の処理に進める。一方、前輪速が所定時間内に所定値以上減少していない場合には、前輪リフト判定部21bは前輪リフト判定処理をステップS29の処理に進める。
ステップS26の処理では、仮想前輪速算出部22が、前輪速センサ44によって検出された前輪速を所定の補正量で補正することによって仮想の前輪速を算出する(仮想前輪速算出処理)。この仮想前輪速算出処理の詳細については図5に示すフローチャートを参照して後述する。これにより、ステップS26の処理は完了し、前輪リフト判定処理はステップS27の処理に進む。
ステップS27の処理では、前輪リフト判定部21bが、前輪がリフトしているか否かを示す前輪リフトフラグの値を1(前輪がリフトしている状態)に設定する。これにより、ステップS27の処理は完了し、一連の前輪リフト判定処理は終了する。
ステップS28の処理では、前輪リフト判定部21bが、前輪がリフトしているか否かを示す前輪リフトフラグの値を0(前輪がリフトしていない状態)に設定する。これにより、ステップS28の処理は完了し、一連の前輪リフト判定処理は終了する。
ステップS29の処理では、前輪リフト判定部21bが、前輪速センサ44の出力信号に基づいて前輪速が所定時間内に所定値以上減少しているか否かを判定する。判定の結果、前輪速が所定時間内に所定値以上減少している場合、前輪リフト判定部21bは一連の前輪リフト判定処理を終了する。一方、前輪速が所定時間内に所定値以上減少していない場合には、前輪リフト判定部21bは前輪リフト判定処理をステップS30の処理に進める。
ステップS30の処理では、前輪リフト判定部21が、前輪速センサ44の出力信号に基づいて前輪速が減少していない状態が所定時間(例えば90ms)継続しているか否かを判定する。判定の結果、前輪速が減少していない状態が所定時間継続していない場合、前輪リフト判定部21bは一連の前輪リフト判定処理を終了する。一方、前輪速が減少していない状態が所定時間継続している場合には、前輪リフト判定部21bは前輪リフト判定処理をステップS31の処理に進める。
ステップS31の処理では、前輪リフト判定部21が、前輪速センサ44の出力信号に基づいて前輪の接地によって前輪速の増加が収束したか否かを判定する。判定の結果、前輪速の増加が収束した場合、前輪リフト判定部21bは前輪リフト判定処理をステップS32の処理に進める。一方、前輪速の増加が収束していない場合には、前輪リフト判定部21bは、一連の前輪リフト判定処理を終了する。
ステップS32の処理では、前輪リフト判定部21bが、前輪がリフトしているか否かを示す前輪リフトフラグの値を0(前輪がリフトしていない状態)に設定する。これにより、ステップS32の処理は完了し、一連の前輪リフト判定処理は終了する。
〔仮想前輪速算出処理〕
図5は、本実施形態におけるトラクション制御処理中の仮想前輪速算出処理の流れを示すフローチャートである。
図5に示すフローチャートは、ステップS25の処理において前輪速が所定時間内に所定値以上減少していると判定されたタイミングで開始となり、仮想前輪速算出処理はステップS41の処理に進む。
ステップS41では、仮想前輪速算出部22が、仮想の前輪速を算出する際に用いる前輪速加算値のデータを取得済みであるか否かを示す前輪速加算値取得フラグの値が1(取得済み)であるか否かを判定することによって、前輪速加算値のデータを取得済みであるか否かを判定する。判定の結果、前輪速加算値のデータを取得済みである場合、仮想前輪速算出部22は仮想前輪速算出処理をステップS44の処理に進める。一方、前輪速加算値のデータを取得済みでない場合には、仮想前輪速算出部22は仮想前輪速算出処理をステップS42の処理に進める。
ステップS42の処理では、仮想前輪速算出部22が、前回の処理において検出された前輪速と今回の処理において検出された前輪速との差分値を前輪速加算値(前輪の速度変化率)として算出する。かかる前輪速加算値は、仮想前輪速を算出する際の所定の補正量の初期値となる。これにより、ステップS42の処理は完了し、仮想前輪速算出処理はステップS43の処理に進む。
ステップS43の処理では、仮想前輪速算出部22が、前輪速加算値取得フラグの値を1(取得済み)に設定する。これにより、ステップS43の処理は完了し、仮想前輪速算出処理はステップS48の処理に進む。
ステップS44の処理では、仮想前輪速算出部22が、ステップS42の処理によって前輪速加算値のデータを取得してから所定時間が経過したか否かを判定することによって、前輪速加算値の更新タイミングであるか否かを判定する。判定の結果、前輪速加算値のデータを取得してから所定時間が経過している場合、仮想前輪速算出部22は、前輪速加算値の更新タイミングであると判断し、仮想前輪速算出処理をステップS45の処理に進める。一方、前輪速加算値のデータを取得してから所定時間が経過していない場合には、仮想前輪速算出部22は、前輪速加算値の更新タイミングでないと判断し、仮想前輪速算出処理をステップS45の処理に進める。
ステップS45の処理では、仮想前輪速算出部22が、前回の処理において用いた前輪加算値から所定値を差し引いた値を新たな前輪速加算値として算出する。かかる前輪速加算値は、仮想前輪速を処理ループの2回目以降に算出する際の所定の補正量となり、かかる所定の補正量は、前輪がリフトしていると判定された時点から時間経過と共に減衰的に減少する特性を呈することになる。ここで、所定値は、好適には、前輪リフト発生時のエンジン回転数から得られる。これにより、ステップS45の処理は完了し、仮想前輪速算出処理はステップS46の処理に進む。
ステップS46の処理では、仮想前輪速算出部22が、ステップS45の処理によって算出された新たな前輪速加算値が0以下であるか否かを判定する。判定の結果、新たな前輪速加算値が0以下でない場合、仮想前輪速算出部22は仮想前輪速算出処理をステップS48の処理に進める。一方、新たな前輪速加算値が0以下である場合には、仮想前輪速算出部22は仮想前輪速算出処理をステップS47の処理に進める。
ステップS47の処理では、仮想前輪速算出部22が、新たな前輪速加算値を0に設定する。これにより、ステップS47の処理は完了し、仮想前輪速算出処理はステップS48の処理に進む。
ステップS48の処理では、仮想前輪速算出部22が、前輪速センサ44によって検出された前輪速の値に前輪速加算値を加算したものを仮想の前輪速として算出する。これにより、ステップS48の処理は完了し、一連の仮想前輪速算出処理は終了する。
〔トラクション制御開始判断処理〕
図6は、本発明の実施形態におけるトラクション制御開始判断処理の流れを示すフローチャートである。図6に示すフローチャートは、スリップ率算出処理が終了したタイミングで開始となり、トラクション制御開始判断処理はステップS51の処理に進む。
ステップS51の処理では、トラクション制御開始判断部24が、前輪リフト予測フラグの値が1であるか否かを判定する。判定の結果、前輪リフト予測フラグの値が1である場合、トラクション制御開始判断部24はトラクション制御開始判断処理をステップS53の処理に進める。一方、前輪リフト予測フラグの値が0である場合には、トラクション制御開始判断部24はトラクション制御開始判断処理をステップS52の処理に進める。
ステップS52の処理では、トラクション制御開始判断部24が、前輪リフトフラグの値が1であるか否かを判定する。判定の結果、前輪リフトフラグの値が1である場合、トラクション制御開始判断部24はトラクション制御開始判断処理をステップS53の処理に進める。一方、前輪リフトフラグの値が0である場合には、トラクション制御開始判断部24はトラクション制御開始判断処理をステップS54の処理に進める。
ステップS53の処理では、トラクション制御開始判断部24が、前輪がリフトし得る状態にある場合又は前輪がリフトしている場合のトラクション制御開始スリップ率と目標
スリップ率との情報を取得する。ここで、前輪がリフトし得る状態にある場合のトラクション制御開始スリップ率と目標スリップ率は、前輪がリフトしている場合のトラクション制御開始スリップ率及び目標スリップ率から異ならせてもよく、例えば、高い値に設定してもよい。これにより、ステップS53の処理は完了し、トラクション制御開始判断処理はステップS54の処理に進む。
ステップS54の処理では、トラクション制御開始判断部24が、スリップ率算出処理において算出されたスリップ率がステップS53の処理によって取得されたトラクション制御開始スリップ率以上であるか否かを判定する。判定の結果、スリップ率がトラクション制御開始スリップ率以上である場合、トラクション制御開始判断部24はトラクション制御開始判断処理をステップS55の処理に進める。一方、スリップ率がトラクション制御開始スリップ率未満である場合、トラクション制御開始判断部24はトラクション制御開始判断処理をステップS56の処理に進める。
ステップS55の処理では、トラクション制御開始判断部24が、スリップ率がステップS63の処理によって取得された目標スリップ率になるようにトラクション制御の実行を開始すべくエンジン出力制御部3を制御する。これにより、ステップS55の処理は完了し、一連のトラクション制御開始判断処理は終了する。
ステップS56の処理では、トラクション制御開始判断部24が、トラクション制御を終了するようにエンジン出力制御部3を制御する。これにより、ステップS56の処理は完了し、一連のトラクション制御開始判断処理は終了する。
〔具体例〕
最後に、図7を参照して、以上のトラクション制御処理の具体例につき、詳細に説明する。
図7は、本実施形態におけるトラクション制御処理の一例を示すタイミングチャートである。
図7に示すトラクション制御処理では、時刻t=t1で変速ギア位置が1速に入り、時刻t=t2において、エンジン回転数が所定値以上、変速ギア位置が1速以下、及びエンジントルクが所定値以上になると、前輪がリフトし得る状態にあると判定され、前輪リフト予測フラグの値が1に設定される。そして、一点鎖線L1で示すトラクション制御開始スリップ率は前輪がリフトし得る状態に合わせた値に設定される。
次に、時刻t=t3において、前輪速V1が後輪速V2より所定値以下、且つ、減少しており、エンジントルクが所定値以上であり、後輪速V2が所定値以上であり、後輪速の速度変化が所定値以上である場合、前輪がリフトしていると判定され、前輪リフトフラグの値が1に設定される。これにより、一点鎖線L1で示すトラクション制御開始スリップ率は前輪がリフトしている状態に合わせた値に設定される。
次に、時刻t=t4において、仮想の前輪速V3から求められるスリップ率がトラクション制御開始スリップ率以上になると、エンジントルクを抑制するトラクション制御が行われる。この結果、曲線L2で示すエンジントルクは運転者の要求トルク(直線L3)に対し減少する。
次に、時刻t=t5において、仮想の前輪速V3から求められるスリップ率がトラクション制御開始スリップ率未満になると、エンジントルクを抑制するトラクション制御は終了する。この結果、曲線L2で示すエンジントルクは運転者の要求トルク(直線L3)に
復帰する。
そして最後に、時刻t=t6において、前輪速の増加が収束したと判定された場合、前輪はリフトしていないと判定され、前輪リフトフラグの値が0に設定される。これにより、一点鎖線L1で示すトラクション制御開始スリップ率は前輪がリフトし得る状態に合わせた値に戻る。
以上の本実施形態の構成においては、前輪リフト状態判定部21により前輪がリフトしている状態にあると判定された場合に、前輪がリフトした直前の前輪速を初期値として所定の補正量を用いながら順次補正演算することにより、前輪がリフトした以降の前輪速としての仮想の前輪速を算出する仮想前輪速算出部22を備え、前輪リフト状態判定部により前輪がリフトしている状態にあると判定された場合に、トラクション制御開始判断部24が、仮想の前輪速及び後輪速の間の偏差と所定のスリップ率との関係を判定し、且つ、エンジン出力制御部3が、トラクション制御開始判断部が判定した仮想の前輪速及び後輪速の間の偏差と所定のスリップ率との関係に基づいて、後輪の駆動力を制御するものであるため、前輪がリフトしている際、仮想の前輪速を用いてトラクション制御を実行するので、前輪がリフト状態にあり、前輪の回転速度を直接検出できない状況下であっても、適切なトラクション制御を実行することができる。
また、仮想前輪速算出部22が、前輪がリフトした以前の前輪の回転速度から求めた前輪の速度変化率を加味して所定の補正量を算出し、所定の補正量が、前輪がリフトしていると判定された時点から時間経過と共に減衰的に減少する特性を呈するものであるため、仮想の前輪速をより確実に求めて適切なトラクション制御を実行することができる。
また、前輪リフト状態判定部21が、更に、前輪がリフトし得る状態にあるか否かを判定し、トラクション制御開始判断部24が、前輪がリフトしている状態及び前輪がリフトし得る状態に応じて、所定のスリップ率を変更自在であるものであるため、未舗装路等の摩擦が小さい路面では、スリップ率を許容することで走破性を向上させ、乾いたアスファルト路面等の摩擦が大きい路面では、スリップ率を抑制することで前輪が過剰にリフトすることを抑制することができる。
また、前輪リフト状態判定部21が、前輪速が後輪速より第1所定値以下であって減少しており、エンジントルクが第2所定値以上であり、後輪速が第3所定値以上であり、且つ、後輪速の速度変化が第4所定値以上である場合に、前輪がリフトしている状態であると判定するものであるため、石畳等で後輪が跳ねることによって後輪速が急激に変化している状態を前輪がリフトしている状態であると誤判定することを抑制し、前輪がリフトしている際のトラクション制御を精度よく行うことができる。
なお、以上の本実施形態では、前輪リフト状態判定部21により前輪がリフトしている状態にあると判定された場合に、前輪がリフトした以降の仮想の前輪速を算出する構成を採用しているが、これに併せて又は単独で、前輪リフト状態判定部21により前輪がリフトし得る状態にあると判定された場合に、前輪がリフトし得ると判定された以降で前輪がリフトしている状態にあると判定されるまでの仮想の前輪速を算出する構成を採用してもかまわない。
また、本発明においては、部材の種類、配置、個数等は前述の実施形態に限定されるものではなく、その構成要素を同等の作用効果を奏するものに適宜置換する等、発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることはもちろんである。
以上のように、本発明においては、簡便な構成により、前輪がリフト状態にあって、前輪の回転速度を直接検出できない状況下であっても、適切なトラクション制御を実行可能なトラクション制御装置を提供することができ、その汎用普遍的な性格から自動二輪車等のトラクション制御装置に広範に適用され得るものと期待される。
1…電子制御装置
2…トラクション制御部
3…エンジン出力制御部
21…前輪リフト状態判定部
21a…前輪リフト予測部
21b…前輪リフト判定部
22…仮想前輪速算出部
23…スリップ率算出部
24…トラクション制御開始判断部
41…クランクセンサ
42…ギアポジションセンサ
43…アクセルポジションセンサ
44…前輪速センサ
45…後輪速センサ
51…インジェクタ
52…点火装置
53…スロットル弁

Claims (4)

  1. 従動輪である前輪の回転速度である前輪速を検出する前輪速センサと、
    駆動輪である後輪の回転速度である後輪速を検出する後輪速センサと、
    前記前輪速と前記後輪速との偏差と所定のスリップ率との関係を判定してトラクション制御の開始を判断するトラクション制御開始判断部と、
    前記トラクション制御開始判断部の判断結果に基づいて、前記後輪の駆動力を制御するエンジン出力制御部と、
    前記前輪がリフトしている状態にあるか否かを判定する前輪リフト状態判定部と、
    前記前輪リフト状態判定部により前記前輪がリフトしている状態にあると判定された場合に、前記前輪がリフトした直前の前記前輪速を初期値として所定の補正量を用いながら順次補正演算することにより、前記前輪がリフトした以降の前記前輪速としての仮想の前輪速を算出する仮想前輪速算出部と、
    を備え、
    前記前輪リフト状態判定部により前記前輪がリフトしている状態にあると判定された場合に、前記トラクション制御開始判断部は、前記仮想の前輪速及び前記後輪速の間の偏差と所定のスリップ率との関係を判定し、且つ、前記エンジン出力制御部は、前記トラクション制御開始判断部が判定した前記関係に基づいて、前記後輪の前記駆動力を制御することを特徴とするトラクション制御装置。
  2. 前記仮想前輪速算出部は、前記前輪がリフトした以前の前記前輪の回転速度から求めた前記前輪の速度変化率を加味して前記所定の補正量を算出し、前記所定の補正量は、前記前輪がリフトしていると判定された時点から時間経過と共に減衰的に減少する特性を呈することを特徴とする請求項1に記載のトラクション制御装置。
  3. 前記前輪リフト状態判定部は、更に、前記前輪がリフトし得る状態にあるか否かを判定し、前記トラクション制御開始判断部は、前記前輪がリフトしている前記状態及び前記前輪がリフトし得る前記状態に応じて、前記所定のスリップ率を変更自在であることを特徴とする請求項1又は2に記載のトラクション制御装置。
  4. 前記前輪リフト状態判定部は、前記前輪速が前記後輪速より第1所定値以下であって減少しており、エンジントルクが第2所定値以上であり、前記後輪速が第3所定値以上であり、且つ、前記後輪速の速度変化が第4所定値以上である場合に、前記前輪がリフトしている前記状態であると判定することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のトラクション制御装置。
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