JP5811268B2 - Esd保護デバイスおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

この発明は、ESD(Electrostatic Discharge; 静電気放電)保護デバイスおよびその製造方法に関するもので、特に、ESD保護デバイスにおいて静電気放電を促進するために設けられる放電補助電極についての改良に関するものである。
この発明にとって興味ある過電圧保護素子が、たとえば特開2008−85284号公報(特許文献1)に記載されている。
特許文献1には、放電を促進するために設けられる放電補助電極となるべき過電圧保護素子材料として、非導体粉末(たとえば、炭化ケイ素:粒径1〜50m)と、金属導体粉末(たとえば、銅:粒径0.01〜5μm)と、粘着剤(たとえば、ガラス粉末)とを含むものが記載されている。
また、特許文献1には、過電圧保護素子の製造方法として、所定の割合で非導体粉末と金属導体粉末と粘着剤とを均一に混合させて、材料ペーストを形成する工程と、基板上にその材料ペーストを印刷する工程と、その基板に焼成処理(温度:300〜1200℃)を施す工程とを含むものが記載されている。
しかしながら、特許文献1に記載の過電圧保護素子において、放電特性を高めるには限界がある。なぜなら、特許文献1に記載の過電圧保護素子では、放電特性を高めるためには、非導体粉末に対する金属導体粉末の含有比率を高めることが考えられるが、金属導体粉末の含有比率を高めると、金属導体粉末はその表面が露出した状態にあるため、放電時に露出した金属導体同士が結合し、絶縁信頼性を低下させてしまうことがある。なお、特許文献1に記載の過電圧保護素子において非導体粉末として用いられる炭化ケイ素は、絶縁抵抗の比較的低い半導体であるため、絶縁信頼性の向上には寄与しにくい。
上記のような課題を解決し得るものとして、たとえば国際公開第2009/098944号パンフレット(特許文献2)に記載されたものがある。
特許文献2には、放電補助電極として、無機材料(Al等)によりコートされた導電材料(Cu粉末等)を分散させたものを用いることが記載されている。特許文献2に記載の技術によれば、特許文献1に記載の技術に比べて、導電材料の露出が少ないため、絶縁信頼性を高くすることができる。また、導電材料の含有量を増やしても、導電材料同士の短絡が生じにくいため、導電材料を増やすことによって、放電しやすくすることができ、それによって、放電特性を向上させることができる。
しかしながら、特許文献1に記載の技術については、放電特性を向上させようとする場合、上述したように、導電材料の含有量を増やすしか方法がなく、よって、放電特性の向上には限界がある。そのため、放電特性の一層の向上を図ることができる方法が見出されることが望まれるところである。
特開2008−85284号公報 国際公開第2009/098944号パンフレット
そこで、この発明の目的は、上述したような要望を満たし得る、すなわち、放電特性の一層の向上を図り得る、ESD保護デバイスおよびその製造方法を提供しようとすることである。
この発明は、互いに対向するように配置された第1および第2の放電電極と、第1および第2の放電電極間に跨るように形成された放電補助電極と、第1および第2の放電電極ならびに放電補助電極を保持する絶縁体基材とを備える、ESD保護デバイスにまず向けられるものであって、上述した技術的課題を解決するため、放電補助電極が、第1の金属を主成分とする複数の金属粒子をコア部としながら、第2の金属を主成分とするシェル部とする、コア−シェル構造粒子の集合体から構成され、このコア−シェル構造粒子における前記コア部となる金属粒子のフラクタル次元Dが1.03以上であることを特徴としている。
このように、フラクタル次元Dが1.03以上である金属粒子は、その表面に微細な凹凸を有することになる。この微細な凹凸部には電荷が集中するため、放電補助電極において、比較的低い印加電圧で放電を生じさせることができる。なお、「フラクタル次元D」については後で詳細に説明する。
上記シェル部は、第2の金属を含む金属酸化物を主成分としていることが好ましい。このように、放電補助電極に含まれる金属粒子が、金属酸化物を主成分とするシェル部で完全にまたはほぼ完全に覆われた状態であると、放電時の絶縁信頼性を高くすることができる。
好ましい実施態様では、シェル部に含まれる第2の金属は、コア部となる金属粒子に含まれる第1の金属よりも酸化されやすいものである。これによって、後述する製造方法を適用して、第1の金属を主成分とするコア部と第2の金属を含む金属酸化物を主成分とするシェル部とからなるコア−シェル構造粒子を容易に得ることができる。
上記実施態様において、好ましくは、第1の金属は、銅または銅を主成分とした銅系合金である。これによって、比較的安価にESD保護デバイスを提供することができる。また、銅は比較的高融点であるので、放電時の絶縁信頼性をより向上させることができる。融点が低いと放電時の熱で金属粒子が溶融して焼結し、ショートするおそれがあるからである。
また、上記実施態様において、好ましくは、第2の金属を含む金属酸化物は、酸化アルミニウムである。酸化アルミニウムは、絶縁性が高いため、放電時の絶縁信頼性をより向上させることができる。
なお、コア部となる金属粒子は、第1の金属だけでなく、副成分として第2の金属を含むこともある。コア部となる金属粒子に第2の金属を含むと、何らかの理由でシェル部が破れた際に、放電時の熱によってシェル部を修復することができる。
この発明に係るESD保護デバイスにおいて、好ましくは、第1および第2の放電電極ならびに放電補助電極は、絶縁体基材の内部に配置され、絶縁体基材は、第1および第2の放電電極間のギャップを配置する空洞を有し、絶縁体基材の表面上に形成されかつ第1および第2の放電電極にそれぞれ電気的に接続される、第1および第2の外部端子電極をさらに備える。これによって、ESD保護デバイスの耐湿性を向上させることができる。
この発明は、また、ESD保護デバイスの製造方法にも向けられる。
この発明に係るESD保護デバイスの製造方法は、第1の金属および第1の金属よりも酸化されやすい第2の金属を含むとともに、第1の金属よりも低融点の不純物成分をさらに含む、合金からなる合金粉末を用意する工程と、絶縁体基材を用意する工程と、上記合金粉末を含む未焼成の放電補助電極を絶縁体基材の表面または内部に形成する工程と、放電補助電極上において互いに対向するように配置される第1および第2の放電電極を絶縁体基材の表面または内部に形成する工程と、未焼成の放電補助電極を焼成する工程とを備える。
そして、上記焼成工程は、合金粉末を構成する各粒子において、第2の金属を当該粒子の表面に向かって移動させ、表面に達した時点で酸化させて、第2の金属を含む金属酸化物とし、当該金属酸化物をもって、シェル部を形成するとともに、第2の金属の粒子の表面に向かっての移動の結果、残された第1の金属を主成分とする金属粒子をコア部とするコア−シェル構造粒子を得るため、第1の金属が酸化されず、第2の金属が酸化される酸素濃度を有する雰囲気下で熱処理する工程と、コア−シェル構造粒子におけるコア部となる金属粒子を、フラクタル次元が1.03以上となるように変形させる工程と、を含むことを特徴としている。
上述の放電補助電極を形成する工程と第1および第2の放電電極を形成する工程とは、いずれが先に実施されてもよい。
上記合金粉末は、好ましくは、アトマイズ法を用いて製造される。アトマイズ法によれば、合金の組成の制御が容易である。本件発明者は、合金を構成する第1の金属と第2の金属との組成比を変えれば、焼成工程によって、第2の金属を含む金属酸化物をもって形成されたシェル部の厚みを制御できるという知見を得ている。また、合金粉末を構成する金属粒子の粒径を変えることによっても、第2の金属を含む金属酸化物をもって形成されたシェル部の厚みを制御できることもわかっている。
合金粉末に含まれる不純物成分は、ビスマス、リンおよび銀から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。これらの不純物成分は、比較的安価でありながら、焼成工程において、コア部となる金属粒子の変形を生じさせる効果が比較的高い、という利点を有している。
この発明に係るESD保護デバイスによれば、放電補助電極において、フラクタル次元Dが1.03以上といった微細な凹凸を表面に有する金属粒子が含まれているので、この微細な凹凸部に電荷を集中させることができ、よって、低印加電圧での放電特性を向上させることができる。
したがって、この発明に係るESD保護デバイスは、半導体装置などの種々の機器または装置の保護のために広く用いることができる。
この発明に係るESD保護デバイスの製造方法によれば、焼成工程において、コア−シェル構造粒子におけるコア部となる金属粒子を、フラクタル次元が1.03以上となるように変形させることができるので、放電補助電極に含まれる金属粒子の表面に対して、フラクタル次元Dが1.03以上といった微細な凹凸を容易にかつ能率的に与えることができる。
この発明の一実施形態によるESD保護デバイス11を示す断面図である。 図1に示した放電補助電極18を構成する複数の金属粒子24を拡大して示す断面図である。 この発明において採用された金属粒子の表面の凹凸の度合いを示す指標となるフラクタル次元Dを説明するためのもので、粒子投影像を示す図である。 図3に示した粒子投影像の輪郭線のフラクタル次元Dを求めるために作成されるグラフを示す図である。 図2に示した金属粒子24を得るために用意された合金粒子25において、焼成工程で生じる第2の金属としてのAlの挙動を模式的に示す断面図である。 実験例において作製したESD保護デバイス42の製造工程を説明するためのもので、第1のセラミックグリーンシート31上に、未焼成の放電補助電極32を形成した状態を示す平面図である。 実験例において作製したESD保護デバイス42の製造工程を説明するためのもので、図6に示した工程の後、未焼成の第1および第2の放電電極33および34を形成した状態を示す平面図である。 実験例において作製したESD保護デバイス42の製造工程を説明するためのもので、図7に示した工程の後、未焼成の焼失層35を形成した状態を示す平面図である。 実験例において作製したESD保護デバイス42の製造工程を説明するためのもので、図8に示した工程の後、第2のセラミックグリーンシート36を積層した状態を示す断面図である。 実験例において作製したESD保護デバイス42の製造工程を説明するためのもので、図9に示した工程の後、未焼成の外部端子電極38および39を形成した状態を示す断面図である。 実験例において、図10に示した工程の後に実施した焼成工程で採用された焼成プロファイルを示す図である。 実験例において、焼成工程を実施し、完成したESD保護デバイス42を示す断面図である。
図1を参照して、この発明の一実施形態によるESD保護デバイス11について説明する。
ESD保護デバイス11は、絶縁体基材12を備えている。絶縁体基材12は、たとえば、ガラスセラミック等の低温焼結セラミック(LTCC)、窒化アルミニウム、アルミナ等の高温焼結セラミック(HTCC)、フェライト等の磁性体セラミックから構成される。絶縁体基材12は、少なくとも上層部13と下層部14とを含む積層構造を有している。
絶縁体基材12の内部であって、上層部13と下層部14との間には、所定のギャップGを隔てて互いに対向するように配置された第1および第2の放電電極16および17と、第1および第2の放電電極16および17間に跨るように形成された放電補助電極18とが設けられている。絶縁体基材12における上記ギャップGが位置する部分は、空洞19とされる。
絶縁体基材12の外表面上には、第1および第2の外部端子電極20および21が形成される。第1および第2の外部端子電極20および21は、それぞれ、前述した第1および第2の放電電極16および17に電気的に接続される。
このようなESD保護デバイス11において、放電補助電極18は、図2に示すように、第1の金属を主成分とする複数の金属粒子22を含んでいる。好ましくは、放電補助電極18は、上記金属粒子22をコア部としながら、第2の金属を含む金属酸化物を主成分とするシェル部23とからなるコア−シェル構造を有する複数のコア−シェル構造粒子24の集合体から構成されている。このように、放電補助電極18に含まれる金属粒子22が、金属酸化物を主成分とするシェル部23で完全にまたはほぼ完全に覆われた状態のコア−シェル構造粒子24のコア部を構成するように形成されると、放電時の絶縁信頼性を高くすることができる。シェル部23は、微粒子が集まった状態ではなく、図2に示すように、膜状に形成されていることに注目すべきである。
なお、コア−シェル構造粒子24には、絶縁信頼性を実質的に損なわない限り、金属酸化物を主成分とするシェル部23によって覆われない部分がわずかに存在していてもよい。コア−シェル構造粒子24の金属粒子22の全周囲の長さをL1とし、シェル部23で被覆された金属粒子22の周囲の長さをL2としたとき、L2/L1の比率が75%以上のものを、この発明でいう「コア−シェル構造」が達成されたものと定義する。
シェル部23の少なくとも一部には、空孔26が形成されていることが好ましい。このように、シェル部23に空孔26が存在すると、空孔26周辺においてシェル部23が薄くなるため、比較的低いESD印加電圧で放電を開始することができる。
コア部となる金属粒子22の表面には、微細な凹凸が形成されている。この発明の範囲を明確にするため、金属粒子22の表面の凹凸をフラクタル次元Dで規定し、このフラクタル次元Dが1.03以上であるとき、この発明の範囲内とする。フラクタル次元Dは、たとえば、大島敏男,「ディバイダー法」,粉体工学会誌,25,1988年,p.287−291において説明されているディバイダー法にて算出することができる。
より詳細には、図3に示したような複雑な曲線である粒子投影像輪郭線を長さrの線分の集合で折れ線近似することを考える。まず、曲線上の任意の点を始点とし、その点を中心にして半径rの円を描く。その円と曲線が最初に交わった点と始点とを直線で結ぶ。次に、その交点を新たに始点とし、以下同じ操作を繰り返す。このように長さrの線分の集合で粒子投影像の輪郭を折れ線近似するときに必要な線分の本数をN(r)とする。基準となる線分の長さrを変えれば、N(r)は変化する。
輪郭線のフラクタル次元Dは、図4に示すように、rとN(r)を両対数にプロット(Richardson プロット)して得られる直線の傾きに−1を乗じたものとして得られる。式で表わせば次式となる。
N(r)∝r-D
これを粒子投影像が円のような滑らかな表面の粒子に適用すれば、rを1/a(aは任意の正の実数)にすることによって、明らかにN(r)はa倍になり、したがって、フラクタル次元Dは1となる。しかし、表面に凹凸のある粒子では基準の線分の長さrを小さくすれば、rが大きいときには現れなかった粒子表面の小さな凹凸が折れ線近似に現れてくるので、N(r)はrの減少分以上に増加する。この増加は、粒子表面の凹凸が複雑になるほど大きくなるので、この増加割合を表わすフラクタル次元Dで粒表面の凹凸の複雑さ、すなわち粒子形状が表現できる。
なお、通常、フラクタル次元Dは、複数個の金属粒子についての平均値として求められる。より具体的には、フラクタル次元Dが、たとえば20個の金属粒子についての平均値として求められる場合、この20個の金属粒子は、たとえばSTEM(走査透過型電子顕微鏡)観察における視野内に存在する複数個の金属粒子のうち、サイズの大きいものから順に20個のものが選ばれる。
再び図2を参照して、金属粒子22が1.03以上のフラクタル次元Dを有していると、表面での凹凸の存在の結果、表面の凹み部分に電荷が集中しやすくなり、そのため、放電しやすくなって、放電特性が向上し、特に、より低いピーク電圧を実現することができる。
また、放電補助電極18において、複数のコア−シェル構造粒子24は、ガラス質含有物質27で互いに結合されていることが好ましい。これによって、落下衝撃後のピーク電圧特性の劣化を抑制することができる。
第2の金属として、第1の金属よりも酸化されやすいものが用いられると、後述する製造方法を適用して、第1の金属を主成分とする金属粒子22と第2の金属を含む金属酸化物を主成分とするシェル部23とからなるコア−シェル構造を有する複数のコア−シェル構造粒子24を容易に得ることができる。
たとえば、第1の金属として、銅または銅を主成分とした銅系合金が用いられる。第1の金属として、銅または銅系合金が用いられると、第2の金属としては、たとえば、アルミニウム、ニッケル、ビスマス、ガリウム、ゲルマニウム、インジウム、マグネシウム、リン、ケイ素、錫などを用いることができる。なお、第1の金属として、銅または銅系金属が用いられ、放電補助電極18が絶縁体基材12と共焼成される場合には、絶縁体基材12はLTCCから構成されることが好ましい。
第1の金属として、その他、銀、アルミニウム、モリブデン、タングステン等を用いることもできる。いずれの場合にしても、第2の金属としては、第1の金属よりも酸化されやすいものを選べばよい。
上記のように、第2の金属として、第1の金属よりも酸化されやすいものが選ばれるが、第2の金属を含む金属酸化物は、特に、酸化アルミニウムであることが好ましい。酸化アルミニウムは、絶縁性が高いため、放電時の絶縁信頼性をより向上させることができるからである。
ESD保護デバイス11は、たとえば、次にようにして製造される。
まず、絶縁体基材12となるべき複数のセラミックグリーンシートが用意される。複数のセラミックグリーンシートのうち、第1のセラミックグリーンシートは、絶縁体基材12のたとえば下層部14を形成するためのものであり、第2のセラミックグリーンシートは、同じく上層部13を形成するためのものである。
また、放電補助電極18を形成するためのものであって、第1の金属および第1の金属よりも酸化されやすい第2の金属を含む合金からなる合金粉末が用意される。合金粉末は、第1の金属よりも低融点の不純物成分をさらに含む。この不純物成分としては、好ましくは、ビスマス、リンおよび銀から選ばれる少なくとも1種が用いられる。合金粉末は、好ましくは、アトマイズ法を用いて製造される。アトマイズ法によれば、合金の組成の制御が容易である。
次に、第1のセラミックグリーンシート上に、上記合金粉末を含むペーストを用いて、放電補助電極18となるべき未焼成のペースト膜が所定のパターンをもって形成される。この放電補助電極18を形成するためのペーストに、所望の特性を満たす範囲で、たとえばSiCを含有させてもよい。
次に、第1のセラミックグリーンシート上であって、上記未焼成の放電補助電極18としてのペースト膜上において所定のギャップGを隔てて互いに対向するように、第1および第2の放電電極16および17が形成される。放電電極16および17は、たとえば、導電性ペーストを付与することによって形成される。
次に、第1および第2の放電電極16および17間のギャップGを覆うように焼失層が形成される。焼失層は、後述する焼成工程において焼失して、前述した空洞19を絶縁体基材12の内部に残すためのものである。焼失層は、たとえば、樹脂ビーズを含むペーストによって形成される。
なお、上述した放電補助電極18、第1および第2の放電電極16および17ならびに焼失層をそれぞれ形成するために用いるペーストは、直接付与対象物上に付与されても、あるいは、転写法などを用いて付与されてもよい。
次に、第1のセラミックグリーンシート上に、未焼成の放電補助電極18、第1および第2の放電電極16および17ならびに焼失層を覆うように第2のセラミックグリーンシートが積層され、圧着される。これによって、未焼成の絶縁体基材12が得られる。
次に、未焼成の絶縁体基材12の表面上に、第1および第2の外部端子電極20および21が形成される。外部端子電極20および21は、たとえば、導電性ペーストを付与することによって形成される。
次に、焼成工程が実施される。この焼成工程の結果、セラミックグリーンシートが焼結してなる絶縁体基材12が得られるとともに、放電電極16および17、放電補助電極18ならびに外部端子電極20および21が焼結する。また、焼失層が焼失し、空洞19が絶縁体基材12の内部に形成される。
以上のようにして、ESD保護デバイス11が完成される。
上述の焼成工程に際して、特に放電補助電極18に含まれる合金粉末を構成する各合金粒子において生じる現象について注目すると、(1)コア−シェル構造形成工程、(2)コア部の変形工程、の2段階の工程に分類される。以下、各工程について詳細に説明する。
(1)コア−シェル構造形成工程
この工程は、未焼成の放電補助電極18に含まれる合金粉末を構成する第1の金属が酸化されず、第2の金属が酸化される酸素濃度を有する雰囲気下で実施される。この工程は、通常、焼成プロファイル中の昇温過程において達成されるもので、合金粉末を構成する各合金粒子において、第2の金属を当該合金粒子の表面に向かって移動させて残った第1の金属を主成分とするコア部としての金属粒子と、第2の金属を表面に達した時点で酸化させて、第2の金属を含む金属酸化物を主成分とするシェル部とを有する、コア−シェル構造粒子を形成することが目的である。
合金を構成する第1の金属がCuであり、第2の金属がAlであるとして、図5を参照しながらより具体的に説明する。図5には、合金粉末を構成する1個の合金粒子25が模式的に示されている。
焼成プロファイル中の昇温過程では、CuおよびAlからなる合金粒子25において、Alは、矢印で示すように、当該合金粒子25の表面に向かって移動し、表面に達した時点で酸化され、Alとなる。したがって、合金粒子25のシェル部が、Alによって形成される。このような現象からわかるように、合金粒子25のコア部には、第2の金属としてのAlが残ることもある。
この工程における温度は特に限定されないが、500℃〜900℃の範囲で行なうことが好ましい。500℃未満の温度では合金粒子表面への第2の金属成分の移動が緩慢となり、十分な厚みと均一性を有するシェル部が形成できない場合がある。他方、900℃を超える温度では、合金粒子表面への第2の金属成分の移動が不均一化し、十分な厚みと均一性を有するシェルが形成できない場合がある。
この工程における酸素濃度は、合金粒子を構成する第1の金属成分が酸化せず、第2の金属成分が酸化する酸素濃度に設定する。この条件を満たす酸素濃度であれば、特に限定されない。
この工程における保持時間は、少なくとも、500℃〜900℃の範囲で30分〜800分に設定することが好ましい。30分未満の場合、合金粒子表面への第2の金属成分の移動が不十分となり、十分な厚みと均一性を有するシェルが形成できない場合がある。800分を超える場合、生産性が著しく低下する。
(2)コア部の変形工程
この工程は、通常、焼成プロファイルにおけるトップ温度キープ過程から降温過程において達成されるもので、図2に示すように、第1の金属を主成分とするコア部としての金属粒子22を、フラクタル次元Dが1.03以上となるように変形させることが目的である。
この工程では、トップ温度キープ過程においてコア−シェル構造粒子におけるコア部としての金属粒子とシェル部との間で接合を達成した後、降温過程に移ったとき、一般に、金属の方が酸化物よりも熱膨張係数が大きいため、酸化物が主成分のシェル部よりも金属が主成分のコア部の方がより大きく収縮しようとする性質が利用される。このコア部の収縮に際して、コア部がシェル部から受ける拘束力が、その全表面にわたって均一ではなく、場所によって異なるため、収縮の度合いが場所によって異なり、その結果、図2に示すように、コア部としての金属粒子22の表面に凹凸が形成されるものと推測される。
合金粉末に含まれる第1の金属よりも低融点の不純物成分は、上述したコア部としての金属粒子の変形をより容易にするためのものである。不純物成分は、前述したように、ビスマス、リンおよび銀から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。これらの不純物成分は、比較的安価でありながら、焼成工程において、コア部となる金属粒子の変形を生じさせる効果が比較的高い、という利点を有している。
図2を参照して前述したように、シェル部23内に空孔26が存在している。この空孔26は次のようにして生成されたものと推測される。すなわち、コア部としての金属粒子22に上述したような不均一な収縮が生じたとき、金属粒子22の収縮に伴われてシェル部23の一部が収縮したため、シェル部23内で構造破壊が起き、その結果、シェル部23内で空孔26が生み出されたものと推測される。
この工程における温度は特に限定されないが、第1の金属成分の融点未満で行なう必要がある。第1の金属成分の融点以上に設定した場合、コア部が溶融することでコア−シェル構造が破壊される。
この工程における酸素濃度は、第2の金属成分が還元されない酸素濃度とすることが好ましい。より好ましくは、第1の金属成分が酸化せず、第2の金属成分が酸化する酸素濃度に設定する方が良い。
また、上述した焼成工程の結果、放電補助電極18において、好ましくは、複数のコア−シェル構造粒子24がガラス質含有物質27で互いに結合された状態が得られる。このガラス質含有物質27は、たとえば、次のようにして生成される。
すなわち、絶縁体基材12が、ガラスセラミック等の低温焼結セラミック(LTCC)からなる場合のように、ガラス質含有物質を含む場合、焼成工程において、ガラス質含有物質27は、複数のコア−シェル構造粒子24間を結合する状態となるように、放電補助電極18中へと拡散する。あるいは、ガラスそのものを未焼成の放電補助電極18に予め含有させておく方法、焼成時にガラスを生成する物質を未焼成の放電補助電極18に予め含有させておく方法、焼成時にシェル部23と反応してガラスを生成する方法、焼成時にシェル部23の主成分となる第2の金属を含む酸化物の一部をアモルファス成分とする方法、などを採用することによっても、複数の金属粒子24がガラス質含有物質27で互いに結合された状態を得ることができる。
この発明の範囲内において、さらに、以下のような変形例も可能である。
図示の実施形態では、放電電極16および17ならびに放電補助電極18が、絶縁体基材12の内部に配置されたが、絶縁体基材の外表面上に配置されてもよい。
また、放電電極16および17ならびに放電補助電極18が絶縁体基材12の内部に配置される場合であっても、空洞19は、必ずしも形成されていなくてもよい。
また、前述した製造方法では、放電電極16および17ならびに放電補助電極18を焼結させるための焼成と同時に、絶縁体基材12を焼結させるための焼成を実施したが、焼結したセラミックからなる絶縁体基材を予め用意し、この絶縁体基材上に、放電電極および放電補助電極を形成するようにしてもよい。
次に、この発明による効果を確認するために実施した実験例について説明する。
[実験例]
〈評価試料の作製〉
(1)セラミックグリーンシートの作製
セラミック材料として、Ba、Al、およびSiを主たる成分とする材料を用意した。そして、各材料を所定の組成になるよう調合し、800〜1000℃で仮焼した。得られた仮焼粉末をジルコニアボールミルで12時間粉砕し、セラミック粉末を得た。
次に、このセラミック粉末に、トルエンおよびエキネンを含む有機溶剤を加え、これらを混合した後、さらに、バインダおよび可塑剤を加え、再びこれらを混合することにより、スラリーを得た。
次に、このスラリーをドクターブレード法により成形し、厚さ50μmのセラミックグリーンシートを作製した。ここで作製されたセラミックグリーンシートの1つが、図6ないし図10において、セラミックグリーンシート31として図示され、また、他の1つが、図9および図10において、セラミックグリーンシート36として図示されている。
(2)放電補助電極用ペーストの作製
Figure 0005811268
表1に示した金属粉末を含む放電補助電極用ペーストP−1〜P−5を作製した。表1において、ペースト記号に*を付したものは、この発明の範囲外の放電補助電極用ペーストである。
より詳細には、表1の「金属種」の欄に示された合金または金属からなる金属粉末をアトマイズ法で作製した。なお、表1に示した「粒度分布」はレーザー回折式粒度分布法により、「組成」はICP-AES法(誘導結合プラズマ発光分析)により求めた。「焼成前フラクタル次元D」は以下の方法により求めた。
各金属粒子の20個について、走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影し、フラクタル次元を前述したディバイダー法にて算出した。算出されたフラクタル次元の平均値を、表1の「焼成前フラクタル次元D」の欄に記載した。
他方、重量平均分子量が5×10のエトセル樹脂と重量平均分子量が8×10のアルキッド樹脂とをターピネオールに溶解することによって、有機ビヒクルを得た。有機ビヒクル中において、エトセル樹脂の含有率を9.0重量%、アルキッド樹脂の含有率を4.5重量%、ターピネオールの含有率を86.5重量%とした。
次に、上記金属粉末と上記有機ビヒクルとを、体積比で17:83となるように調合し、三本ロールにて分散処理し、放電補助電極用ペーストP−1〜P−5を得た。
(3)放電電極用ペーストの作製
平均粒径1μmのCu粉末を40重量%と、平均粒径3μmのCu粉末を40重量%と、エチルセルロースをターピネオールに溶解して作製した有機ビヒクルを20重量%とを調合し、3本ロールにより混合することにより、放電電極用ペーストを作製した。
(4)焼失層用樹脂ビーズペーストの作製
焼成時に焼失して空洞となる焼失層を形成するために樹脂ビーズペーストを作製した。平均粒径1μmの架橋アクリル樹脂ビーズ38重量%と、エチルセルロースをジヒドロターピニルアセテートに溶解して作製した有機ビヒクル62重量%とを調合し、3本ロールにより混合することにより、焼失層用樹脂ビーズペーストを作製した。
(5)外部端子電極用ペーストの作製
平均粒径が約1μmのCu粉末を80重量%と、転移点620℃、軟化点720℃で平均粒径が約1μmのホウケイ酸アルカリ系ガラスフリットを5重量%と、エチルセルロースをターピネオールに溶解して作製した有機ビヒクルを15重量%とを調合し、3本ロールにより混合することにより、外部端子電極用ペーストを作製した。
(6)各ペーストの印刷
まず、図6に示すように、セラミックグリーンシート31の一方主面上に放電補助電極用ペーストを塗布することによって、150μm×100μmの寸法の未焼成の放電補助電極32を形成した。ここで、放電補助電極用ペーストとして、表1に示した種々の放電補助電極用ペーストP−1〜P−5のいずれかを、表2の「放電補助電極ペースト記号」の欄に示すように用いた。
次いで、セラミックグリーンシート31の上記主面上であって、未焼成の放電補助電極32と一部重なるように、放電電極用ペーストを塗布することによって、図7に示すように、未焼成の第1および第2の放電電極33および34を形成した。未焼成の第1および第2の放電電極33および34は、未焼成の放電補助電極32の上において、20μmのギャップGを隔てて互いに対向するものであり、対向部の幅Wは100μmとした。図7には、その他の部分の寸法も表示されている。
次いで、図8に示すように、未焼成の第1および第2の放電電極33および34のギャップGを覆うようにして焼失層用樹脂ビーズペーストを塗布して、140μm×150μmの寸法の未焼成の焼失層35を形成した。
(7)積層・圧着
上記のように、未焼成の放電補助電極層32、未焼成の放電電極33および34ならびに未焼成の焼失層35を形成した第1のセラミックグリーンシート31の主面上に、図9に示すように、ペーストが塗布されていない第2のセラミックグリーンシート36を複数枚、積層・圧着し、未焼成の絶縁体基材37を得た。この絶縁体基材37は、焼成後の厚みが0.3mmになるようにした。
(8)カットおよび外部電極用ペーストの印刷
上記絶縁体基材37を、焼成後において1.0mm×0.5mmの平面寸法となるように、マイクロカッターにてカットした。なお、図7に示した寸法および図6ないし図9に示したセラミックグリーンシート31等の外形状は、このカット工程の後の段階でのものであると理解すべきである。
次いで、図10に示すように、絶縁体基材37の外表面上に外部電極用ペーストを塗布し、それによって、第1および第2の放電電極33および34とそれぞれ接続される未焼成の第1および第2の外部端子電極38および39を形成した。このようにして、未焼成のESD保護デバイス40を得た。
(9)焼成
上記未焼成のESD保護デバイス40を、図11に示した焼成プロファイルで焼成し、図12に示すような空洞部41を有するESD保護デバイス42を得た。
焼成にあたっては、N2/H2/H2Oの比率を変更することによって、表2の「焼成条件」の欄に示すように焼成炉の雰囲気を制御した。表2の「焼成条件」の欄に示す焼成条件AおよびBは以下のとおりである。
●焼成条件A
銅が酸化せず、アルミニウムが酸化する酸素濃度。
●焼成条件B
銅およびアルミニウムが酸化する酸素濃度。
なお、放電補助電極において用いられた各金属が温度T(K)において酸化する酸素分圧は、以下の式により算出した。
・ln(CuPO2)>{-338904+(-33TlogT)+247T}/(8.314T)
・ln(AlPO2)>{-1117993+(-11TlogT)+244T}/(8.314T)
〈特性評価〉
次に、上述のようにして作製した各試料に係るESD保護デバイスについて、以下の方法で各特性を調べた。
(1)放電補助電極中に含まれる金属粒子構造特性
各ESD保護デバイスを、エポキシ樹脂に埋め、硬化させた。硬化後、研磨によって、長さ方向に延びる辺と厚み方向に延びる辺とによって規定されるLT面を露出させた。なお、研磨は、幅方向寸法の1/2に達するまで行なった。次いで、研磨によって露出した放電補助電極に対して、FIB(収束イオンビーム)加工を行なった。
FIB加工によってサンプリングした放電補助電極に対して、STEM(走査透過型電子顕微鏡)観察および各種金属と酸素についてのEDS(エネルギー分散型X線分析装置)による分析を行なった。なお、STEM観察は加速電圧5kVで5000倍と25000倍とで行なった。具体的には、まず、5000倍で放電補助電極全体を観察して径1μm以上の金属粒子を抽出した。その後、径1μm以上の金属粒子を25000倍で撮像し、そのSTEM像について、後述する手法でフラクタル次元を算出した。
上述のSTEM観察およびESD分析から、放電補助電極の金属粒子が「金属酸化物のシェル部を有するコア−シェル構造粒子のコア部として存在しているのか」の判定を行なった。表2の「コア−シェル構造」の欄において、金属酸化物のシェル部が認められたものを「○」と表示し、金属酸化物のシェル部が認められなかったものを「×」と表示した。なお、「コア−シェル構造」についての「○」および「×」の判定基準は、前述した定義のとおり、金属粒子のコア部の全周囲の長さをL1とし、シェル部で被覆されたコア部の周囲の長さをL2としたとき、L2/L1の比率が75%以上のものを「○」と判定し、75%未満のものを「×」と判定するようにした。
また、金属酸化物のシェル部が認められたものについて、金属酸化物の種類を分析した。その結果が、表2の「シェル部の金属酸化物種」の欄に示されている。
さらに、以下の手法で金属粒子のフラクタル次元Dを算出した。まず、STEM像中の径1.0μm以上の金属粒子の輪郭線に対して、長さ(r)=1.0μm、0.5μm、0.25μmで折れ線近似を行なった。各長さ(r)と輪郭線を折れ線近似するときに必要な線分の本数N(r)とをRichardson プロットし、最小二乗法で求めた傾きに−1を乗じ、フラクタル次元Dを求めた。この操作を20個の金属粒子に対して行ない、20個の平均値をフラクタル次元Dと定め、表2の「フラクタル次元D」の欄に記載した。
(2)初期ショート特性
各試料に係るESD保護デバイスの外部端子電極間に50Vの直流電圧を印加して、絶縁抵抗を測定した。10Ω以上の絶縁抵抗を示したものを初期ショート特性が良好であると判定し、表2の「初期ショート」の欄に「○」と表示し、10Ω未満の絶縁抵抗を示したものを初期ショート特性が不良であると判定し、同欄に「×」と表示した。
なお、この実験例では、初期ショート特性が不良と判定された試料はなかった。
(3)ショート耐性
各試料に係るESD保護デバイスに対して、0.2kV印加を10回→0.4kV印加を10回→0.6kV印加を10回→1kV印加を10回→2kV印加を10回→4kV印加を10回順次実施した。印加毎に各試料の絶縁抵抗を測定し、1度も106Ω未満の抵抗値が測定されなかったものをショート耐性が良好であると判定し、同欄に「○」と表示し、1度でも106Ω未満の抵抗値が測定されたものをショート耐性が不良であると判定し、同欄に「×」と表示した。
なお、この実験例では、ショート耐性が不良と判定された試料はなかった。
(4)低印加電圧での放電特性
静電気試験ガンを用いて、各試料に係るESD保護デバイスに2kVの静電気を印加した。その際に、オシロスコープで測定される電圧をピーク電圧(Vpeak)と定義し、ピーク電圧が300V以下であったものを低印加電圧での放電特性が優れていると判定し、表2の「低印加電圧での放電特性」の欄に「○」と表示し、ピーク電圧が300Vを超えたものを低印加電圧での放電特性が不良であると判定し、同欄に「×」と表示した。
(5)総合評価
上記「初期ショート」、「ショート耐性」および「低印加電圧での放電特性」の評価において、すべての評価項目で「○」と評価された試料については、表2の「総合評価」の欄に「○」と表示し、いずれかの評価項目で「×」と評価された試料については、同欄に「×」と表示した。
Figure 0005811268
表2において、この発明の範囲外の試料については、その試料番号に*を付している。
この発明の範囲内の試料3〜6のESD保護デバイスは、放電補助電極内の金属粒子構造が金属酸化物をシェル部に有するコア−シェル構造であり、かつ、フラクタル次元Dが1.03以上であるため、優れたESD保護特性(初期ショート特性、ショート耐性、低印加電圧での放電特性)を有していた。なお、試料3〜6において用いた放電補助電極用ペーストP−2〜P−5に含まれる金属粒子の場合、表1に示すように、使用したCu−Al合金粒子中にCuよりも低融点の不純物を含んでいたため、焼成過程でコア部の変形が容易となり、高いフラクタル次元になったと推察できる。
他方、この発明の範囲外の試料1のESD保護デバイスは、フラクタル次元Dが1.03未満であるため、低印加電圧での放電特性が不良であった。試料1において用いた放電補助電極用ペーストP−1に含まれる金属粒子の場合、表1に示すように、使用したCu−Al合金粒子中にCuよりも低融点の不純物が含まれていないため、焼成過程におけるコア部の変形が困難となり、フラクタル次元Dが1.03未満となったと推察できる。
この発明の範囲外の試料2のESD保護デバイスは、「焼成条件」が「B」であり、銅およびアルミニウムが酸化する焼成雰囲気で焼成しているため、金属粒子の銅およびアルミニウムが酸化し、コア−シェル構造のシェル部が認められず、低印加電圧での放電特性が不良であった。
11,42 ESD保護デバイス
12 絶縁体基材
16,17 放電電極
18 放電補助電極
19,41 空洞
20,21 外部端子電極
22 金属粒子
23 シェル部
24 コア−シェル構造粒子
31,36 セラミックグリーンシート
32 未焼成の放電補助電極
33,34 未焼成の放電電極
35 未焼成の焼失層
37 未焼成の絶縁体基材
38,39 未焼成の外部端子電極
40 未焼成のESD保護デバイス
G ギャップ

Claims (10)

  1. 互いに対向するように配置された第1および第2の放電電極と、
    前記第1および第2の放電電極間に跨るように形成された放電補助電極と、
    前記第1および第2の放電電極ならびに前記放電補助電極を保持する絶縁体基材と
    を備え、
    前記放電補助電極は、第1の金属を主成分とする複数の金属粒子をコア部としながら、第2の金属を主成分とするシェル部とする、コア−シェル構造粒子の集合体から構成され
    前記コア−シェル構造粒子における前記コア部となる前記金属粒子のフラクタル次元Dが1.03以上である、
    ESD保護デバイス。
  2. 前記シェル部は、前記第2の金属を含む金属酸化物を主成分としている、請求項1に記載のESD保護デバイス。
  3. 前記第2の金属は、前記第1の金属よりも酸化されやすい、請求項2に記載のESD保護デバイス。
  4. 前記第1の金属は、銅または銅を主成分とした銅系合金である、請求項3に記載のESD保護デバイス。
  5. 前記第2の金属を含む前記金属酸化物は、酸化アルミニウムである、請求項3または4に記載のESD保護デバイス。
  6. 前記コア部は、副成分として前記第2の金属を含む、請求項3ないし5のいずれかに記載のESD保護デバイス。
  7. 前記第1および第2の放電電極ならびに前記放電補助電極は、前記絶縁体基材の内部に配置され、前記絶縁体基材は、前記第1および第2の放電電極間の前記ギャップを配置する空洞を有し、前記絶縁体基材の表面上に形成されかつ前記第1および第2の放電電極にそれぞれ電気的に接続される、第1および第2の外部端子電極をさらに備える、請求項1ないし6のいずれかに記載のESD保護デバイス。
  8. 第1の金属および前記第1の金属よりも酸化されやすい第2の金属を含むとともに、前記第1の金属よりも低融点の不純物成分をさらに含む、合金からなる合金粉末を用意する工程と、
    絶縁体基材を用意する工程と、
    前記合金粉末を含む未焼成の放電補助電極を前記絶縁体基材上に形成する工程と、
    前記放電補助電極上において互いに対向するように配置される第1および第2の放電電極を前記絶縁体基材の表面または内部に形成する工程と、
    前記未焼成の放電補助電極を焼成する工程と
    を備え、
    前記焼成する工程は、
    前記合金粉末を構成する各粒子において、前記第2の金属を当該粒子の表面に向かって移動させ、表面に達した時点で酸化させて、前記第2の金属を含む金属酸化物とし、当該金属酸化物をもって、シェル部を形成するとともに、前記第2の金属の前記粒子の表面に向かっての移動の結果、残された第1の金属を主成分とする金属粒子をコア部とするコア−シェル構造粒子を得るため、第1の金属が酸化されず、第2の金属が酸化される酸素濃度を有する雰囲気下で熱処理する工程と、
    前記コア−シェル構造粒子における前記コア部となる前記金属粒子を、フラクタル次元が1.03以上となるように変形させる工程と、
    を含む、
    ESD保護デバイスの製造方法。
  9. 前記合金粉末を用意する工程は、アトマイズ法を用いて前記合金粉末を製造する工程を含む、請求項8に記載のESD保護デバイスの製造方法。
  10. 前記不純物成分は、ビスマス、リンおよび銀から選ばれる少なくとも1種である、請求項8または9に記載のESD保護デバイスの製造方法。
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