以下、図面を参照して、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態1」と称する)につき詳細に説明する。なお、各図は、本発明を十分に理解できる程度に、概略的に示してあるに過ぎない。よって、本発明は、図示例のみに限定されるものではない。また、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
[実施形態1]
<現金取扱装置の構成>
本実施形態1に係る現金取扱装置1は、現金を取り扱う装置である。現金取扱装置1は、精査処理機能を有している。なお、「精査処理」とは、装置の内部の現金の有高を計数する処理(すなわち、装置の内部の貨幣の枚数を金種別に計数する処理)を意味している。
ここでは、現金取扱装置1が、例えば、販売店等に設置されたキャッシュレジスタの下に配置される釣銭機(以下、「釣銭機1」と称する)として構成されている場合を想定して説明する。また、ここでは、その釣銭機1が硬貨の精査処理を行う場合を想定して説明する。そのため、ここでは、硬貨を取り扱う機構を中心にして説明する。
以下、図1A、図1B、及び、図2を参照して、本実施形態1に係る現金取扱装置としての釣銭機1の構成につき説明する。図1Aは、実施形態1に係る現金取扱装置の主要部の斜視図である。図1Bは、実施形態1に係る現金取扱装置の被装着部周りの構成を示す図である。図2は、実施形態1に係る現金取扱装置の構成を示すブロック図である。
図1Aに示すように、本実施形態1に係る現金取扱装置としての釣銭機1は、操作部3、並びに、硬貨を取り扱う機構として、入金口4、出金口5、及び、リジェクト口6を有している。なお、図1A(a)は、斜め前方から見た、実施形態1に係る現金取扱装置としての釣銭機1の主要部の構成を示しており、図1A(b)は、斜め後方から見た釣銭機1の主要部の構成を示している。
操作部3は、オペレータによって操作される構成要素である。図1Aに示す例では、操作部3は、入力部3aと表示部3bとを備える構成になっている。入力部3aは、テンキーや十字キー等によって構成されており、各種の指示や情報が入力される。表示部3bは、LCD等によって構成されており、各種の情報が表示される。
入金口4は、入金用の硬貨が投入される開口部である。
出金口5は、出金用の硬貨が放出される開口部である。
リジェクト口6は、金種が鑑別不能な硬貨や、異物等が、放出される開口部である。
本実施形態1では、釣銭機1は、後記する補助ユニット100(図3参照)に電力を供給するためのジャック(以下、「電力供給用ジャック(図示せず)」と称する)が、出金口5の右側の位置に設けられている。
なお、図1Aに示す例では、操作部3は、筐体2の前方側の上面の右端の位置から、左方向に、筐体2の全幅の2分の1程度の幅で設けられている。また、入金口4は、筐体2の前方側の上面の左端付近の位置から、右方向に、筐体2の全幅の3分の1程度の幅で設けられている。また、出金口5は、筐体2の前方側の、入金部4の右斜め下の位置に、筐体2の全幅の6分の1程度の幅で設けられている。また、リジェクト口6は、筐体2の前方側の、出金口5の左側の位置に、筐体2の全幅の10分の1程度の幅で設けられている。
釣銭機1は、筐体2の入金口4及び出金口5の周りの部分が被装着部7となり、本実施形態1に係る硬貨精査補助ユニット100(以下、単に「補助ユニット100」と称する)の後記する装着部105(図3参照)がその被装着部7に嵌め合わされる。これにより、補助ユニット100が、釣銭機1に装着される。
被装着部7は、上面7aから下面7bまでの高さが「T1」となっている(図1A(a)参照)。被装着部7の高さT1は、デファクトスタンダードになっている値が存在する。そのため、補助ユニット100の後記する装着部105の高さT2(図3参照)は、被装着部7のそのデファクトスタンダードとなっている高さT1の値に合わせて、高さT1の値よりも若干大きな値に設定されている。
なお、釣銭機1は、機種毎に、被装着部7の入金口4や開口部5aの位置を違えて設計することができる。ただし、この場合に、補助ユニット100は、後記するシュータ301(図3(b)参照)の先端部が釣銭機1の入金口4の中に挿入自在な構成になるとともに、後記する取込口109(図3(b)参照)が釣銭機1の開口部5aの下に配置された構成になるように、装着の対象となる釣銭機1の機種に合わせて、設計される必要がある。
図1Bに示すように、出金口5は、その底部に、開口部5aとシャッタ9とが設けられている。
開口部5aは、硬貨を後記する補助ユニット100の取込口109の中に放出するための開口である。
シャッタ9は、開口部5aを選択的に開放又は閉鎖する板状の部材である。
図2に示すように、釣銭機1は、本体制御部11、記憶部12、通信部13、鑑別部14、搬送部15、収納部16、投入センサSN1、残留センサSN2、及び、ユニットセットスイッチSW1を有している。
本体制御部11は、鑑別部14や搬送部15等の各部の動作を制御する機能手段である。
記憶部12は、各種の情報を記憶する記憶手段である。
通信部13は、外部装置(ここでは、上位装置としてのキャッシュレジスタ99)と通信する構成要素である。
鑑別部14は、貨幣(硬貨及び紙幣)の金種を鑑別する構成要素である。
搬送部15は、貨幣を所定の部位に搬送する構成要素である。搬送部15は、入金ベルト41を備えている。入金ベルト41は、入金口4に投入された硬貨を釣銭機1の内部に取り込む搬送手段である。入金ベルト41は、入金口4の底部に設けられている(図7参照)。
収納部16は、貨幣を収納する部位である。収納部16は、金種別に貨幣を収納する複数の収納庫17を備えている。
投入センサSN1は、入金口4への硬貨の投入を検知するセンサである。
残留センサSN2は、出金口5の内部に残留する硬貨を検知するセンサである。
ユニットセットスイッチSW1は、補助ユニット100が釣銭機1に装着された場合に、本体制御部11の動作状態を、硬貨の精査処理が実行不能な状態(以下、「精査不能状態」と称する)から実行可能な状態(以下、「精査可能状態」と称する)に切り替えさせるためのスイッチである。
なお、本実施形態1では、記憶部12は、管理有高情報12a、回収カウント情報12b、補充カウント情報12c、精査記録情報12d等の情報を記憶する。
管理有高情報12aは、上位装置であるキャッシュレジスタ99によって計数された、管理上の現金の有高を表す情報である。管理有高情報12aは、硬貨の精査処理を行う前に、通信部13を介して、キャッシュレジスタ99から取得される。
回収カウント情報12bは、回収動作時にカウントされた硬貨の枚数を表す情報である。
補充カウント情報12cは、補充動作時にカウントされた硬貨の枚数を表す情報である。
精査記録情報12dは、実行された硬貨の精査処理の日時や結果等の記録を表す情報である。
<硬貨精査補助ユニットの構成>
(硬貨精査補助ユニットの全体構成)
本実施形態1に係る補助ユニット100は、現金取扱装置(ここでは、釣銭機1)に装着されるアタッチメント型の装置である。補助ユニット100は、現金取扱装置で行われる硬貨の精査処理時に、現金取扱装置の出金口5に放出された硬貨を自動的に現金取扱装置の内部に還流させることにより、硬貨の精査処理を補助する。
以下、図3及び図4を参照して、本実施形態1に係る補助ユニット100の全体構成につき説明する。図3は、実施形態1に係る硬貨精査補助ユニットの斜視図である。図4は、実施形態1に係る硬貨精査補助ユニットの側面図である。
図3及び図4に示すように、本実施形態1では、補助ユニット100の筐体101が、フロントカバー102とリヤカバー103とによって構成されている。なお、図3(a)は、斜め前方から見た補助ユニット100の構成を示しており、図3(b)は、斜め後方から見た補助ユニット100の構成を示している。また、図4は、右側から見た、補助ユニット100の構成を示している。
フロントカバー102は、補助ユニット100の内部の機構を前方から覆って保護する部材である。フロントカバー102は、補助ユニット100が釣銭機1に装着されるときに、オペレータと対向する側の部材となる。フロントカバー102は、後記する取付パネル201(図5参照)の前面側に取り付けられている。本実施形態1では、フロントカバー102は、左側の上端部及び下端部が取付パネル201に設けられたピン状の突起部によって軸支されており、突起部を中心にして取付パネル201の前面側で横方向に回動する構成になっている。
図3に示すように、フロントカバー102は、前面、上面、下面(図示せず)、右面、及び、左面がそれぞれ平坦な面で構成された略直方体の形状になっている。なお、フロントカバー102の前面は、補助ユニット100が釣銭機1に装着されるときに、オペレータと対面する側の面(以下、「オペレータとの対向面」と称する)となる。
フロントカバー102は、鍵穴121(図3(a)参照)が、前面(すなわち、オペレータとの対向面)の後記する取込口109(図3(b)参照)の下方の位置に設けられている。その鍵穴121の奥には、キーシリンダ122(図7参照)が設けられている。オペレータは、釣銭機1に硬貨の精査処理を実行させる場合に、鍵穴121を介して、キー120(図7参照)をキーシリンダ122に挿し込み、予め定められた精査実行位置までキー120を回転させる。これにより、オペレータは、キーシリンダ122を回動させる。
なお、「精査実行位置」とは、釣銭機1の本体制御部11の動作状態を、精査不能状態(硬貨の精査処理が実行不能な状態)から精査可能状態(硬貨の精査処理が実行可能な状態)に切り替えさせるための位置を意味している。ここでは、「精査実行位置」が、キー120を右側に約90度回転させた位置であるものとして説明する。
一方、リヤカバー103は、補助ユニット100の内部の機構を後方から覆って保護する部材である。リヤカバー103は、補助ユニット100が釣銭機1に装着されるときに、釣銭機1と対向する側の部材となる。リヤカバー103は、後記する取付パネル201の後面側に取り付けられている。本実施形態1では、リヤカバー103は、左側の上端部及び下端部が取付パネル201に設けられたピン状の突起部によって軸支されており、その突起部を中心にして取付パネル201の後面側で横方向に回動する構成になっている。
なお、本実施形態1では、リヤカバー103は、略中央に設けられた凹部104(図3(b)参照)によって、上部部分103aと下部部分103bとに分断された構成になっている。
図3(b)に示すように、リヤカバー103の上部部分103aは、後面、上面、下面(図示せず)、右面(図3(b)中、左側に配置された面)、及び、左面(図3(b)中、右側に配置された面)がそれぞれ平坦な面で構成された略直方体の形状になっている。なお、リヤカバー103の後面は、補助ユニット100が釣銭機1に装着されるときに、釣銭機1と対面する側の面(以下、「釣銭機1との対向面」と称する)となる。
また、図3(b)に示すように、リヤカバー103の下部部分103bは、後面、上面、下面(図示せず)、右面、及び、左面がそれぞれ平坦な面で構成された略直方体の形状になっている。
リヤカバー103は、凹部104(図3(b)参照)が、上部部分103aと下部部分103bとの間に設けられている。凹部104は、補助ユニット100が釣銭機1に装着されるときに、釣銭機1の出金口5(図1A及び図1B参照)及びリジェクト口6(図1A及び図1B参照)が入り込む空間である。
また、リヤカバー103は、突出部106(図3(b)及び図4参照)が、上部部分103aの後面(すなわち、釣銭機1との対向面)に設けられている。突出部106は、補助ユニット100が釣銭機1に装着されるときに、釣銭機1の出金口5(図1A及び図1B参照)の上を覆う部位である。突出部106は、リヤカバー103の上部部分103aの後面の、釣銭機1の出金口5の上方の位置に設けられている。
また、リヤカバー103は、シュータカバー302(図3及び図4参照)が、上部部分103aの後面に設けられている。シュータカバー302は、補助ユニット100が釣銭機1に装着されるときに、後記するシュータ301及び釣銭機1の入金口4(図1A及び図1B参照)を覆う部位である。シュータカバー302は、リヤカバー103の上部部分103aの後面の、釣銭機1の入金口4の上方の位置に設けられている。
係る構成において、リヤカバー103は、シュータカバー302の下端部302b(図3(a)参照)からリヤカバー103の下部部分103bの上面103baまでの部分が、装着部105となる。補助ユニット100は、その装着部105が釣銭機1の被装着部7に嵌め合わされることにより、釣銭機1に装着される。
装着部105は、その高さが「T2」となっている(図3(a)参照)。装着部105の高さT2は、釣銭機1の被装着部7の高さT1(図1A(a)参照)の値に合わせて、高さT1の値よりも若干大きな値に設定されている。
また、リヤカバー103は、取込口109(図3(b)参照)が、下部部分103bの上面103baに設けられている。取込口109は、釣銭機1の出金口5(図1A及び図1B参照)に放出される硬貨を補助ユニット100の内部に取り込む開口部である。
取込口109は、漏斗状に形成されている。取込口109は、その上端部が、リヤカバー103の下部部分103bの上面103baに配置されており、また、その下端部が、後記する分離部210(図5(a)参照)の上方に配置されている。
取込口109は、補助ユニット100が釣銭機1に装着されたときに、その上端部が、出金口5の底部に設けられた開口部5a(図1B参照)と対向する。したがって、取込口109は、補助ユニット100が釣銭機1に装着されたときに、リヤカバー103の下部部分103bの上面103baの、釣銭機1の出金口5の直下となる位置に設けられている。取込口109は、その上端部が釣銭機1の出金口5よりも広く形成されている。
補助ユニット100は、釣銭機1のシャッタ9(図1B参照)が開放されて、硬貨が釣銭機1の出金口5に放出されたときに、開口部5a及び取込口109を介して、釣銭機1の出金口5(図1A及び図1B参照)に放出された硬貨を、その内部に取り込む。そして、補助ユニット100は、漏斗状に形成された取込口109によって、取り込まれた硬貨を後記する分離部210(図5(a)参照)に導く。
図3(b)に示すように、本実施形態1では、補助ユニット100は、リヤカバー103の下部部分103bの内部に、第1レバー124及び第2レバー125を有している。第1レバー124及び第2レバー125は、補助ユニット100の内部に設けられたキーシリンダ122(図7参照)の先端付近に連結されている。
第1レバー124は、第2レバー125と一緒に連動して回動する部材である。第1レバー124は、特許請求の範囲に記載された「連動部材」に相当する。
第2レバー125は、後記するシュータ301とともに、釣銭機1の被装着部7を上下方向から挟み込むことにより、補助ユニット100を釣銭機1の被装着部7に固定する部材である。第2レバー125は、特許請求の範囲に記載された「固定部材」に相当する。
第1レバー124及び第2レバー125は、オペレータがキー120を回転させてキーシリンダ122を回動させることにより、それぞれの先端部がキーシリンダ122を軸にして一緒に回動する。このとき、第1レバー124及び第2レバー125のそれぞれの先端部は、取込口109を通って、リヤカバー103の下部部分103bの内部から外部に突出するように回動する。
このとき、第1レバー124は、シャッタ9が閉鎖されていると、シャッタ9と当接する。その結果、第1レバー124は、キーシリンダ122の回動(すなわち、第2レバー125の回動)を規制する。そのため、この場合に、キーシリンダ122及び第2レバー125は、前記した精査実行位置まで回動することができない。
一方、このとき、第1レバー124は、シャッタ9が開放されていると、シャッタ9と当接しない。そのため、この場合に、第1レバー124は、キーシリンダ122の回動(すなわち、第2レバー125の回動)を規制しない。そのため、この場合に、キーシリンダ122及び第2レバー125は、前記した精査実行位置まで回動することができる。
なお、第2レバー125は、前記した精査実行位置まで回動すると、先端部がユニットセットスイッチSW1(図2及び図12参照)を押下する。これにより、ユニットセットスイッチSW1は、オン状態になる。したがって、第2レバー125は、ユニットセットスイッチSW1を選択的にオン状態又はオフ状態にする部材としても機能する。
また、本実施形態1では、補助ユニット100は、シュータ301(図3(b)及び図4参照)を有している。シュータ301は、補助ユニット100の内部に取り込まれた硬貨を、釣銭機1の入金口4(図1A及び図1B参照)の上方から入金口4に向けて放出する構成要素である。
シュータ301は、リヤカバー103の上部部分103aの後面を介して、補助ユニット100の内部から外部に突出する構成になっている。シュータ301は、補助ユニット100が釣銭機1に装着されるときに、その先端部が釣銭機1の入金口4の中に挿入される。したがって、シュータ301は、先端部が釣銭機1の入金口4の中に挿入可能な位置に設けられている。
シュータ301は、後記するポスト305(図9(b)参照)を支点にして、その先端部が上下方向(図4の矢印B参照)に回動する構成になっている。シュータ301は、補助ユニット100がオペレータによって持ち運ばれるときに、先端部が上昇してシュータカバー302の外部から内部に収納される。一方、シュータ301は、補助ユニット100が釣銭機1に装着されるときに、先端部が下降してシュータカバー302の内部から外部に突出する。オペレータは、そのシュータ301の先端部を釣銭機1の入金口4の中に挿入する。
また、本実施形態1では、補助ユニット100は、ハンドル110を有している。ハンドル110は、補助ユニット100が持ち運ばれる際に、オペレータによって把持される構成要素である。図示例では、ハンドル110は、リヤカバー103の上部部分103aの上面を介して、補助ユニット100の内部から外部に突出している。
なお、図示例では、ハンドル110は、把持される部位(後記するグリップ部112(図8参照))の内部が剥き出しの状態になっている。しかしながら、実際は、オペレータが握り易いように、保護部材がその部位に取り付けられる。
ハンドル110は、上下方向(図4の矢印A参照)に摺動自在な構成になっている。ハンドル110は、補助ユニット100がオペレータによって持ち運ばれるときに、オペレータによって上方向に摺動させられる。また、ハンドル110は、補助ユニット100が釣銭機1に装着されるときに、オペレータによって下方向に摺動させられる。
なお、本実施形態1では、補助ユニット100は、後記するように、ハンドル110の上下方向の摺動に連動して、シュータ301の先端部が上下方向に回動する構成になっている。
また、本実施形態1では、補助ユニット100は、電源ケーブル199(図3(b)及び図4参照)が、取込口109の周囲で、補助ユニット100の内部から外部に引き出された構成になっている。
補助ユニット100は、オペレータによって電源ケーブル199(図1A(a))の先端に設けられたプラグ(図示せず)が釣銭機1の前記の電力供給用ジャック(図示せず)に挿入されることにより、釣銭機1から電力が供給される。なお、本実施形態1では、電力供給用ジャック(図示せず)は、釣銭機1の出金口5の右側の位置に設けられている。
補助ユニット100は、釣銭機1から電力が供給されると、後記する分離部210(図5(a)参照)及び後記する搬送部220(図5(a)参照)が、釣銭機1で行われる硬貨の精査処理から独立して(すなわち、釣銭機1で行われる硬貨の精査処理とは無関係に)駆動する。
(硬貨精査補助ユニットの内部の主要な構成)
以下、図5を参照して、補助ユニット100の内部の主要な構成につき説明する。図5は、実施形態1に係る補助ユニット100の内部の主要な構成を示す図である。図5(a)は、斜め前方から見た補助ユニット100の内部の主要な構成を示しており、図5(b)は、斜め後方から見た補助ユニット100の内部の主要な構成を示している。
図5(a)に示すように、補助ユニット100は、内部に、板状の取付パネル201が設けられている。その取付パネル201の前面側には、ユニット制御部206、分離部210、及び、搬送部220が取り付けられている。
ユニット制御部206は、分離部210及び搬送部220の動作を制御する構成要素である。
分離部210は、取込口109から取り込まれた硬貨を1枚ずつに分離する構成要素である。分離部210は、分離ベルト211及びモータ207aを有している。分離ベルト211は、取込口109から取り込まれた硬貨を搬送部220の方向に搬送して、硬貨を1枚ずつに分離しながら搬送部220の第1搬送ベルト221及び第2搬送ベルト222に受け渡す部材である。モータ207aは、分離ベルト211を走行させる駆動源である。
搬送部220は、分離部210によって分離された硬貨をシュータ301に搬送する構成要素である。搬送部220は、第1搬送ベルト221、第2搬送ベルト222、及び、モータ207bを有している。第1搬送ベルト221及び第2搬送ベルト222は、分離ベルト211から受け渡された硬貨を互いの間で挟み込みながらシュータ301の後端部に搬送する部材である。モータ207bは、第1搬送ベルト221及び第2搬送ベルト222を走行させる駆動源である。
図5(b)に示すように、取付パネル201の後面側には、ハンドル110及びシュータ301が取り付けられている。なお、シュータ301は、その後端部が、取付パネル201の後面側から前面側に貫通する構成になっている。また、シュータ301は、あふれセンサSN3が、その先端部に設けられている。あふれセンサSN3は、硬貨が釣銭機1の入金口4(図1A及び図1B参照)からあふれそうな状態になっている場合に、その状態(以下、「あふれの直前状態」と称する)を検出するセンサである。
(硬貨精査補助ユニットと現金取扱装置との関係)
以下、図6を参照して、補助ユニット100と現金取扱装置(ここでは、釣銭機1)との関係につき説明する。図6は、実施形態1に係る硬貨精査補助ユニットと現金取扱装置との関係を示す図である。図6(a)は、斜め前方から見た、釣銭機1に装着された補助ユニット100の構成を示しており、図6(b)は、斜め後方から見た、釣銭機1に装着された補助ユニット100の構成の構成を示している。
図6に示すように、補助ユニット100は、釣銭機1での精査処理時に、補助ユニット100の装着部105が釣銭機1の被装着部7に嵌め合わされる。これにより、補助ユニット100が、釣銭機1に装着される。
このとき、補助ユニット100のシュータ301(図3(b)、図4、及び、図5(b)参照)は、その先端部が、釣銭機1の入金口4(図1B参照)の中に挿入される。また、補助ユニット100のシュータカバー302(図3及び図4参照)は、補助ユニット100のシュータ301とともに、釣銭機1の入金口4の上を覆う。また、補助ユニット100の取込口109(図3(b)参照)は、釣銭機1の出金口5の底部に設けられた開口部5a(図1B参照)の下に配置される。
(硬貨精査補助ユニットの固定構造及び精査処理時の取り外し防止構造)
以下、図7及び図8を参照して、補助ユニット100の固定構造及び精査処理時の取り外し防止構造につき説明する。図7は、実施形態1に係る硬貨精査補助ユニットのシュータ及びハンドル周りの概略構成を示す図である。また、図8は、実施形態1に係る硬貨精査補助ユニットのハンドル周りの概略構成を示す図である。図7は、右側から見た、釣銭機1に装着された補助ユニット100の概略構成を、釣銭機1を除外して示している。図8は、正面から見た、後記するハンドルロック機構114の概略構成を示している。
補助ユニット100は、釣銭機1での硬貨の精査処理時に、シュータ301の先端部が釣銭機1の入金口4の中に挿入される構成になっている。その補助ユニット100は、釣銭機1に装着する際に、釣銭機1を傷つけることなく、釣銭機1の被装着部7に固定する必要がある。そこで、本実施形態1では、補助ユニット100は、釣銭機1を傷つけることなく、釣銭機1の被装着部7に固定するために、例えば、図7に示すように構成されている。
例えば、図7に示すように、本実施形態1では、補助ユニット100は、後記するポスト305(図9(b)参照)を支点にして、シュータ301の先端部を上下方向(矢印B参照)に回動させるシュータ回動機構303を有する構成になっている。また、補助ユニット100は、シュータ301の先端部を釣銭機1の入金口4の内部に挿入させるとともに、第2レバー125を釣銭機1の出金口5の底部に引っ掛ける構成になっている。
このような補助ユニット100は、シュータ301と第2レバー125とが釣銭機1の被装着部7を上下方向から挟み込むことにより、釣銭機1の被装着部7に固定される。その結果、補助ユニット100は、釣銭機1に装着する際に、釣銭機1を傷つけることなく、釣銭機1の被装着部7に固定することができる。なお、シュータ回動機構303の詳細な構成については、後記する。
また、補助ユニット100は、釣銭機1での硬貨の精査処理時に、釣銭機1から取り外されると、硬貨が、釣銭機1の出金口5の開口部5aや補助ユニット100のシュータ301の先端部から、釣銭機1及び補助ユニット100の外部にこぼれる。そのため、この場合に、釣銭機1は、正常に硬貨の精査処理を行うことができなくなる。そこで、本実施形態1では、補助ユニット100は、釣銭機1での硬貨の精査処理時に、釣銭機1からの取り外しを防止するために、例えば、図7及び図8に示すように構成されている。
例えば、図7に示すように、本実施形態1では、補助ユニット100は、シュータ回動機構303が、ハンドル110の上下方向(矢印A参照)の摺動に連動してシュータ301の先端部を上下方向(矢印B参照)に回動させる構成になっている。そして、図7及び図8に示すように、補助ユニット100は、釣銭機1での硬貨の精査処理時に、そのハンドル110が摺動しないように、ハンドル110を一時的にロックするハンドルロック機構114を有する構成になっている。
ハンドルロック機構114は、ハンドル110に設けられた係合部113に係合するロックレバー123によって構成されている。ロックレバー123は、硬貨の精査処理中にハンドル110が引き上げられないように、補助ユニット100の釣銭機1への装着時に、オペレータによって回転されるキー120の回転に連動して、その先端部123bが回動する構成になっている。
具体的には、図8に示すように、ロックレバー123は、長尺な板状の部材として形成されている。ロックレバー123は、ピン123aによって長手方向の中間付近で取付パネル201に軸支されている。ロックレバー123は、ピン123aを支点にして回動する。以下、ピン123aを「レバー支点」と称する場合もある。
ロックレバー123は、先端部123bがハンドル110の係合部113の周囲に配置されている。ロックレバー123は、ハンドル110が最下点の位置まで下方向に摺動されている場合に、先端部123bが右面(図8では、左側に配置された面)側からハンドル110の係合部113に設けられた溝113aの内部に進入可能な構成になっている。
また、ロックレバー123は、後端部123cがキーシリンダ122の胴体部分122aの周囲に配置されている。ロックレバー123は、オペレータによってキー120が回転されてキーシリンダ122が回動すると、後端部123cがキーシリンダ122の胴体部分122aに設けられた突出部122bと当接する。
ロックレバー123は、長手方向の数箇所で、折り曲げられた構成となっている(図7参照)。これにより、ロックレバー123は、先端部123bがハンドル110の係合部113と直交する構成になっている(図9(b)参照)。また、ロックレバー123は、後端部123cがキーシリンダ122の胴体部分122aに設けられた突出部122bと直交して当接する構成になっている。
ロックレバー123は、先端付近にバネ126が取り付けられている。ロックレバー123は、バネ126によって、先端部123bがハンドル110から離間するように、付勢されている。そのため、ロックレバー123は、通常、先端部123bが、ハンドル110の係合部113に設けられた溝113aの外に出た状態になっている。なお、バネ126は、一端が取付パネル201に固定されており、他端がロックレバー123の先端付近に取り付けられている。
一方、ハンドル110は、ハンドル110を取付パネル201に摺動自在に取り付けるためのベース部111と、オペレータによって把持されるグリップ部112とを有する構成になっている。ベース部111は、グリップ部112の左右に2つ設けられている。2つのベース部111のうち、一方のベース部111は、ロックレバー123と係合する係合部113を備えている。
係合部113は、板状に形成されている。係合部113は、板面が取付パネル201に対向して平行に配置されるように(図9(b)参照)、ベース部111から垂直に突出して設けられている。
係合部113は、板面の一部に溝113aが形成されている。溝113aは、ベース部111から離間する方向に開口して形成されている。溝113aは、ロックレバー123に設けられた先端部123bの幅よりも若干大きな幅に形成されている。溝113aは、ハンドル110が最下点の位置まで下方向に摺動されている場合に、ロックレバー123の先端部123bがその内部に進入可能な位置に設けられている。
このようなハンドルロック機構114は、硬貨の精査処理時に、補助ユニット100が釣銭機1に装着されて、オペレータがキー120を前記した精査可能位置まで回転させると、キーシリンダ122が回動し、この回動に伴って、キーシリンダ122の胴体部分122aに設けられた突出部122bがロックレバー123の後端部123cと当接する。
このとき、突出部122bは、ロックレバー123の後端部123cを押圧する押圧部として機能する。その結果、ロックレバー123は、レバー支点であるピン123aを中心にして、先端部123bがハンドル110の係合部113の方向に回動する。
そして、ロックレバー123は、ハンドル110が最下点の位置まで下方向に摺動されている場合に、先端部123bが右面(図8では、左側に配置された面)側からハンドル110の係合部113に設けられた溝113aの内部に進入する。これにより、ハンドルロック機構114は、ロックレバー123がハンドル110をロックする。その結果、これにより、ハンドル110が、固定されて、引き上げられなくなる。
なお、ハンドル110は、オペレータが前記した精査可能位置から初期位置に戻すようにキー120を回転させると、ロックレバー123の先端部123bがバネ126の付勢力によって溝113aの外に出て行くため、ロックが解除される。
図9〜図11は、このようなハンドルロック機構114の詳細な構成を示している。図9〜図11は、それぞれ、実施形態1に係る硬貨精査補助ユニットの細部の構成を示す図である。なお、図9〜図11は、このようなハンドルロック機構114に加え、シュータ回動機構303の詳細な構成も示している。
図9(a)は、斜め前方から見たハンドルロック機構114及びシュータ回動機構303の構成を示しており、図9(b)は、斜め後方から見たハンドルロック機構114及びシュータ回動機構303の構成を示している。図10は、正面から見た、ハンドルロック機構114の構成を示している。また、図11は、図10に示すA−A線に沿って見た、ハンドルロック機構114及びシュータ回動機構303の構成を示している。
シュータ回動機構303は、シュータ301を支持するシュータブラケット304によって構成されている。シュータブラケット304は、ハンドル110の上下方向の摺動に連動して、ポスト305(図9(b)参照)を中心にして、シュータ301の先端部を上下方向に回動させる構成になっている。
具体的には、図9(b)に示すように、本実施形態1では、ハンドル110は、2つのベース部111のそれぞれに、長手方向に沿って、長孔116が設けられている。長孔116は、上側と下側とに設けられている。以下、上側の長孔116を「長孔116a」と称し、下側の長孔116を「長孔116b」と称する。
また、ハンドル110は、2つのベース部111のそれぞれの下端付近に、湾曲孔117が設けられている。湾曲孔117は、その上端部が下端部よりも取付パネル201から離間し、その下端部が上端部よりも取付パネル201に近接するように、円弧状に湾曲して形成されている。湾曲孔117は、シュータブラケット304の側面(後記する端部部分の表面)に取り付けられたピン306がその中を移動することにより、ポスト305を中心にして、シュータブラケット304の先端部を上下方向に回動させるガイド部として機能する。
また、本実施形態1では、取付パネル201は、板状の2つの突出部202を備えている。2つの突出部202は、ハンドル110を上下方向に摺動自在に支持するハンドル支持部として機能する部位である。
2つの突出部202は、それぞれ、板面がハンドル110の2つのベース部111の内面に対向して平行に配置されるように、取付パネル201の主表面から垂直に突出して設けられている。
突出部202は、ポスト203,305が取り付けられている。ポスト203は、突出部202の上端付近の位置と中央付近の位置とに設けられている。以下、上側のポスト203を「ポスト203a」と称し、下側のポスト203を「ポスト203b」と称する。ポスト305は、突出部202の下端付近の位置に設けられている。
ポスト203は、ハンドル110のベース部111に設けられた長孔116を貫通するように突出部202に取り付けられている。これにより、ポスト203は、ハンドル110を上下方向に摺動自在に支持する。
一方、ポスト305は、シュータブラケット304の下端付近に設けられた丸孔(図示せず)を貫通するように突出部202に取り付けられている。これにより、ポスト305は、シュータブラケット304の下端付近を回動自在に支持する。
また、本実施形態1では、シュータブラケット304は、2つの突出部202の間に亘って設けられている。本実施形態1では、シュータブラケット304は、長尺な板状の部材によって構成されており、その中央部分に対して、長手方向の両側の端部部分が垂直に折り曲げられた形状になっている。これにより、長手方向の両側の端部部分は、その表面がシュータブラケット304の側面となる。
シュータブラケット304の中央部分は、シュータ301を支持する部位となっている。シュータブラケット304の中央部分は、2つの突出部202の離間距離よりも若干短い長さに設定されている。
一方、シュータブラケット304の端部部分は、その下端付近がポスト305によって突出部202に軸支される部位となっている。シュータブラケット304の端部部分の長さは、端部部分に取り付けられるピン306が湾曲孔117に沿って移動することができるとともに、シュータ301及びシュータブラケット304がシュータカバー302の内部で十分に回動することができる長さに設定されている。
シュータブラケット304の端部部分は、その上端付近にピン306が取り付けられている。ピン306は、ハンドル110のベース部111に設けられた湾曲孔117を貫通するようにシュータブラケット304に取り付けられている。
図11に示すように、シュータ回動機構303は、オペレータがハンドル110を上下方向に摺動させると、ピン306が、湾曲孔117に沿って、その内部を移動する。その結果、シュータ回動機構303は、シュータ301の先端部を上下方向に回動させるように、シュータブラケット304が、ポスト305を中心にして、回動する。
なお、図11(a)は、ハンドル110を最下点の位置まで下方向に摺動させた場合の、シュータ回動機構303の状態を示している。シュータ回動機構303は、補助ユニット100が釣銭機1に装着される場合に、図11(a)に示す状態となる。
一方、図11(b)は、ハンドル110を最上点の位置まで上方向に摺動させた場合の、シュータ回動機構303の状態を示している。シュータ回動機構303は、補助ユニット100が持ち運ばれる場合に、図11(b)に示す状態となる。
オペレータは、補助ユニット100を釣銭機1に装着する場合に、ハンドル110を押し下げる。すなわち、オペレータは、ハンドル110を下方向に摺動させる(図11(a)参照)。これにより、ハンドル110が、補助ユニット100の外部から内部に収納される。シュータ回動機構303は、ハンドル110が下方向に摺動させられると、ポスト305(図9(b)参照)を支点にして、シュータ301の先端部を下方向に回動させる。これにより、シュータ301の先端部が、シュータカバー302の内部から外部に突出する。オペレータは、シュータ301の先端部を釣銭機1の入金口4の中に挿入して、補助ユニット100を釣銭機1に装着する。
また、オペレータは、補助ユニット100を持ち運ぶ場合に、ハンドル110を引き上げる。すなわち、オペレータは、ハンドル110を上方向に摺動させる(図11(b)参照)。これにより、ハンドル110が、補助ユニット100の内部から外部に引き出される。シュータ回動機構303は、ハンドル110が上方向に摺動させられると、ポスト305(図9(b)参照)を支点にして、シュータ301の先端部を上方向に回動させる。これにより、シュータ301の先端部が、シュータカバー302の外部から内部に退避する。オペレータは、釣銭機1の入金口4からシュータ301の先端部を取り外して、釣銭機1から補助ユニット100を取り外す。
このような補助ユニット100は、シュータ回動機構303が、ハンドル110の上下方向の摺動に連動して、シュータ301の先端部をシュータカバー302の内部から外部に進出させたり又は外部から内部に退避させたりする構成になっている。その結果、補助ユニット100は、オペレータがハンドル110を引き上げると、シュータ301の先端部がシュータカバー302の内部に自動的に退避する。これにより、オペレータは、釣銭機1を傷つけることなく、釣銭機1から補助ユニット100を取り外すことができる。
また、このような補助ユニット100は、釣銭機1での硬貨の精査処理中に、ハンドルロック機構114が、ハンドル110をロックする構成になっている。そのため、補助ユニット100は、釣銭機1での硬貨の精査処理中に、ハンドル110が引き上げられるのを防止することができる。これにより、補助ユニット100は、釣銭機1での硬貨の精査処理中に、シュータ301の先端部が釣銭機1の入金口4から外れなくなる。その結果、補助ユニット100は、釣銭機1での硬貨の精査処理中に、不用意に釣銭機1から取り外されるのを防止することができる。
また、このような補助ユニット100は、釣銭機1に装着されている場合に、シュータカバー302が釣銭機1の入金口4を覆い、さらに、突出部106が釣銭機1の出金口5を覆う構成となっている。そのため、補助ユニット100は、釣銭機1での硬貨の精査処理中に、外部から硬貨に触れられるのを防止することができ、その結果、精査処理を厳格に行わせることができる。
(現金取扱装置の出金口周りの構成)
以下、図12及び図13を参照して、現金取扱装置(ここでは、釣銭機1)の出金口5周りの構成につき説明する。図12及び図13は、それぞれ、実施形態1に係る現金取扱装置の出金口周りの構成を示す図である。
なお、図12(a)は、左側から見た、出金口5の断面構成を示しており、図12(b)は、下から見た、出金口5の構成(すなわち、出金口5の底面の構成)を示している。また、図13(a)は、出金口5と第1レバー124及び第2レバー125との配置関係を示しており、図13(b)は、シャッタ9が閉鎖されているときの第1レバー124及び第2レバー125の状態を示しており、図13(c)は、シャッタ9が開放されているときの第1レバー124及び第2レバー125の状態を示している。
釣銭機1は、前記した通り、出金口5の底部にシャッタ9を有している。図12及び図13に示すように、本実施形態1では、シャッタ9は、開口部5aの上に設けられている。また、本実施形態1では、シャッタ9は、出金口5の内部で、開口部5aの前端付近の位置に設けられたシャッタ支点9aによって軸支された構成になっている。
したがって、本実施形態1では、シャッタ9は、前端側を固定端とし、後端側を自由端とし、固定端側に設けられたシャッタ支点9aを軸にして、出金口5の内部で、自由端が持ち上がるように回動する構成になっている。
オペレータは、釣銭機1に硬貨の精査処理を実行させる場合に、手動でシャッタ9を開放してから、補助ユニット100を釣銭機1に装着する。
なお、シャッタ9は、出金口5の底部を前後方向又は左右方向に摺動する摺動部材として構成することができる。
また、シャッタ9は、図示せぬシャッタ駆動機構を筐体2の内部の出金口5の周囲に設けることによって、硬貨の精査処理時に自動的に開放される構成にすることが可能である。
また、釣銭機1は、出金口5の内部に複数の残留センサSN2を有している。残留センサSN2は、出金口5の内部に硬貨が残留する場合に、その硬貨を検知するセンサである。本実施形態1では、複数の残留センサSN2は、それぞれ、1対の発光センサと受光センサとによって構成されているものとして説明する。発光センサ及び受光センサは、それぞれ、出金口5の内部で、左右に分かれて、対向して配置されている。
(シャッタの開け忘れ防止構造)
釣銭機1は、オペレータがシャッタ9を開け忘れた場合に、シャッタ9が閉じた状態のままで、硬貨の精査処理が実行されると、硬貨が出金口5に溜まり、最終的に、硬貨が出金口5からあふれてしまう(外部にこぼれてしまう)。また、出金口5に放出された硬貨は、釣銭機1に還流されない。そのため、釣銭機1は、硬貨の精査処理を適正に行うことができない。したがって、釣銭機1は、オペレータがシャッタ9を開け忘れた場合に、硬貨の精査処理が実行されるのを防止することが好ましい。
そこで、本実施形態1では、釣銭機1は、例えば、図12及び図13に示すように、筐体2の内部の、出金口5の周囲に、ユニットセットスイッチSW1が設けられている。
ユニットセットスイッチSW1は、前記した通り、補助ユニット100が釣銭機1に装着された場合に、本体制御部11の動作状態を、精査不能状態(硬貨の精査処理が実行不能な状態)から精査可能状態(硬貨の精査処理が実行可能な状態)に切り替えさせるためのスイッチである。本実施形態1では、ユニットセットスイッチSW1がマイクロスイッチとして構成されているものとして説明する。
図12及び図13に示す例では、ユニットセットスイッチSW1は、釣銭機1の筐体2の内部の、出金口5の前端付近の位置に設けられている。ユニットセットスイッチSW1は、センサ部(先端部)を下側に向けた状態で配置されている。筐体2は、第2レバー125(図13参照)の先端部を通すための孔(以下、「レバー進入孔5b」と称する)が、そのセンサ部の周囲に設けられている。
ユニットセットスイッチSW1は、通常、オフ状態になっている。釣銭機1の本体制御部11は、ユニットセットスイッチSW1がオフ状態になっている場合に、自身の動作状態を精査不能状態に維持する。したがって、この場合に、釣銭機1は、硬貨の精査処理を実行しない。
一方、ユニットセットスイッチSW1は、第2レバー125の先端部がレバー進入孔5bの中に進入してセンサ部(先端部)を押下すると、オン状態になる。この場合に、釣銭機1の本体制御部11は、補助ユニット100の装着を検知して、自身の動作状態を精査不能状態から精査可能状態に切り替える。したがって、この場合に、釣銭機1は、硬貨の精査処理を実行する。
図13(a)に示すように、補助ユニット100は、釣銭機1に装着されると、キーシリンダ122の先端付近が釣銭機1の出金口5の下に配置される。そのキーシリンダ122の先端付近には、第1レバー124及び第2レバー125が設けられている。第1レバー124及び第2レバー125は、それぞれ、オペレータがキー120を回転させてキーシリンダ122を回動させることにより、先端部が回動する。
その補助ユニット100は、図13(b)に示すように、釣銭機1のシャッタ9が閉鎖されている場合に、オペレータがキー120を前記した精査実行位置の方向に回転させると、キー120の回転の途中で、第1レバー124の先端部が釣銭機1のシャッタ9と当接する。
そのため、オペレータは、キー120をそれ以上回転させることができず、キー120を前記した精査実行位置まで回動させることができない。したがって、この場合に、補助ユニット100の第1レバー124は、キーシリンダ122の回動(すなわち、第2レバー125の回動)を規制する。
このとき、補助ユニット100の第2レバー125は、先端部が、釣銭機1のユニットセットスイッチSW1のセンサ部(先端部)に到達しない。そのため、補助ユニット100の第2レバー125は、釣銭機1のユニットセットスイッチSW1をオン状態にすることができない。
したがって、釣銭機1のユニットセットスイッチSW1は、オフ状態のままとなる。その結果、釣銭機1の本体制御部11は、自身の動作状態を精査不能状態に維持する。したがって、この場合に、釣銭機1は、硬貨の精査処理を実行しない。
なお、この場合に、釣銭機1の本体制御部11は、図示せぬ放音手段によってアラーム音を放音させたり、又は、シャッタ9の開放を指示するメッセージを表示部3b(図1A参照)に表示させたりして、シャッタ9が閉鎖状態であることをオペレータに警告する。これにより、本体制御部11は、オペレータにシャッタ9を開けるように促す。
また、補助ユニット100は、図13(c)に示すように、釣銭機1のシャッタ9が開放されている場合に、オペレータがキー120を前記した精査実行位置の方向に回転させると、補助ユニット100の第1レバー124の先端部が釣銭機1のシャッタ9と当接しない。
そのため、オペレータは、キー120を前記した精査実行位置まで回動させることができる。したがって、この場合に、補助ユニット100の第1レバー124は、キーシリンダ122の回動(すなわち、第2レバー125の回動)を規制しない。
このとき、補助ユニット100の第2レバー125は、先端部が、釣銭機1のユニットセットスイッチSW1のセンサ部(先端部)に到達する。そのため、補助ユニット100の第2レバー125は、釣銭機1のユニットセットスイッチSW1をオン状態にすることができる。
その結果、釣銭機1の本体制御部11は、自身の動作状態を精査不能状態から精査可能状態に切り替える。したがって、この場合に、釣銭機1は、硬貨の精査処理を実行する。
このように、補助ユニット100は、釣銭機1のシャッタ9が開放されている場合にのみ、釣銭機1のユニットセットスイッチSW1をオン状態にすることができる。また、釣銭機1は、シャッタ9が開放されている場合にのみ、硬貨の精査処理を実行することができる。
そのため、釣銭機1及び補助ユニット100は、シャッタ9が閉鎖されている場合に、硬貨の精査処理が実行されるのを防止することができる。したがって、釣銭機1及び補助ユニット100は、オペレータがシャッタ9を開け忘れた場合に、硬貨の精査処理が実行されるのを防止することができる。
なお、釣銭機1は、硬貨の精査を行う場合だけでなく、硬貨の回収だけを行う場合にも、本体制御部11が、シャッタ9の開閉状態を確認して、その結果をオペレータに通知するようにしてもよい。
係る構成において、オペレータは、例えば、装置の内部に収納されている硬貨の精査処理を行う場合に、事前作業として、釣銭機1の出金口5の底部に設けられたシャッタ9(図1B参照)を開放する。
オペレータは、シャッタ9を開放すると、補助ユニット100を釣銭機1のそばまで持ち運び、補助ユニット100を釣銭機1に装着する。このとき、オペレータは、補助ユニット100のハンドル110(図3参照)を下方向に摺動させる。これにより、シュータ回動機構303が、ハンドル110の摺動に連動して、シュータ301を回動させる。その結果、補助ユニット100は、シュータ301(図3参照)の先端部が、降下して、シュータカバー302の内部から外部に突出する。
オペレータは、シュータ301の先端部が、シュータカバー302の外部に突出すると、補助ユニット100の装着部105を釣銭機1の被装着部7に嵌め合わせて、補助ユニット100を釣銭機1に装着する(図6参照)。
次に、オペレータは、鍵穴121を介してキー120をキーシリンダ122に挿し込み、キー120を回転させる(図7及び図8参照)。これにより、キーシリンダ122が、回動を開始する。
キーシリンダ122の先端付近には、第1レバー124及び第2レバー125が設けられている(図7参照)。第1レバー124は、シャッタ9が閉鎖されている場合に、シャッタ9と当接することによって、キーシリンダ122の回動(すなわち、第2レバー125の回動)を規制する。
ここでは、シャッタ9が開放されており、第1レバー124がシャッタ9と当接しないものとして説明する。このとき、オペレータは、キー120を前記した精査実行位置まで回動させることができる。その結果、キーシリンダ122は、精査実行位置まで回動する。
キーシリンダ122が精査実行位置まで回動すると、キーシリンダ122の先端付近に設けられた第1レバー124及び第2レバー125が精査実行位置まで回動する。これにより、第1レバー124の先端部が、開口部5aから出金口5の内部に進入する。また、第2レバー125の先端部が、出金口5の底部に設けられたレバー進入孔5b(図13参照)の中に進入して、レバー進入孔5bの奥に設けられたユニットセットスイッチSW1(図13参照)のセンサ部(先端部)を押圧する。
その結果、第2レバー125は、ユニットセットスイッチSW1をオン状態にする。これにより、釣銭機1の本体制御部11は、補助ユニット100の装着を検知して、自身の動作状態を精査不能状態から精査可能状態に切り替える。
また、キーシリンダ122が回動すると、その胴体部分122aに設けられた突出部122bがロックレバー123の後端部123cを押圧する。このとき、ロックレバー123は、ピン123aを中心にして、先端部123bをハンドル110に近接させる方向に回動する。
これにより、ロックレバー123の先端部123bが、ハンドル110の係合部113に設けられた溝113aに進入する。その結果、ハンドルロック機構114は、ハンドル110をロックする。
オペレータは、キー120を前記した精査実行位置まで回動させることができた場合に、補助ユニット100の電源ケーブル199(図1A(a)参照)の先端に設けられたプラグ(図示せず)を釣銭機1の電力供給用ジャック(図示せず)に挿入する。これにより、補助ユニット100は、釣銭機1から電力が供給される。その結果、補助ユニット100は、稼動(具体的には、分離部210(図5(a)参照)及び搬送部220(図5(a)参照)の駆動)を開始する。
この後、オペレータは、釣銭機1の操作部3(図1A参照)を操作し、硬貨の精査処理開始コマンドを投入して、硬貨の精査処理の実行を釣銭機1に指示する。これにより、釣銭機1は、動作を開始する。なお、硬貨の精査処理は、硬貨を装置外部に放出する回収動作と、硬貨を装置内部に取り込む補充動作とによって行われる。
まず、釣銭機1は、装置内部の同一金種の硬貨を出金口5に放出する回収動作を行う。回収動作では、釣銭機1は、搬送部15が、精査する金種の収納庫17の中から硬貨を順次取り出し、取り出された硬貨を出金口5に搬送する。その際に、釣銭機1は、図示せぬ計数手段が、硬貨の枚数をカウントする。
なお、硬貨は、出金口5に搬送されると、出金口5に放出される。出金口5に放出された硬貨は、開口部5a(図2参照)を介して、出金口5から補助ユニット100の取込口109(図3(b)及び図5(b)参照)の中に放出される。これにより、補助ユニット100は、取込口109(図3(b)及び図5(b)参照)を介して、釣銭機1の出金口5から、出金口5に放出された硬貨を補助ユニット100の内部に取り込む。
補助ユニット100は、硬貨を取り込むと、分離部210の分離ベルト211(図5(a)参照)が、取り込まれた硬貨を搬送部220の方向に搬送して、硬貨を1枚ずつに分離しながら、硬貨を搬送部220の第1搬送ベルト221及び第2搬送ベルト222(図5(a)参照)に受け渡す。
搬送部220の第1搬送ベルト221及び第2搬送ベルト222は、硬貨が受け渡されると、硬貨をシュータ301(図5(a)参照)の後端部に搬送し、硬貨をシュータ301の後端部からシュータ301の中に放出する。これにより、硬貨は、シュータ301の中を通過して、シュータ301の先端部から外部に放出される。
シュータ301の先端部は、釣銭機1の入金口4(図1A及び図1B参照)の中に挿入されている。したがって、このとき、補助ユニット100は、シュータ301によって釣銭機1の入金口4の上方から入金口4に向けて硬貨を投入する。その結果、補助ユニット1は、釣銭機1の出金口5に放出された硬貨を自動的に釣銭機1の内部に還流させる。
釣銭機1は、硬貨が入金口4に投入されると、補充動作を行う。補充動作では、釣銭機1は、搬送部15が、入金口4に投入された硬貨を鑑別部14に搬送する。このとき、鑑別部14は、硬貨の金種を鑑別しながら、硬貨の枚数をカウントする。これにより、釣銭機1は、その硬貨を精査する。そして、釣銭機1は、搬送部15が、精査された硬貨を該当する金種の収納庫17に搬送して、硬貨を収納庫17の中に収納する。
この後、釣銭機1は、回収動作時の硬貨の枚数のカウント値(回収カウント情報12b(図2参照)の値)と補充動作時の硬貨の枚数のカウント値(補充カウント情報12c(図2参照)の値)とが一致することを確認し、さらに、補充動作時の硬貨の枚数のカウント値(補充カウント情報12c(図2参照)の値)とキャッシュレジスタ99から取得された管理有高情報12a(図2参照)の値とが一致することを確認する。これにより、釣銭機1は、一金種分の硬貨の精査処理を行う。
釣銭機1は、このような動作を装置内部の全ての金種の硬貨に対して行う。これにより、釣銭機1は、全ての金種分の硬貨の精査処理を行う。そして、釣銭機1は、硬貨の精査処理の結果をオペレータに通知する。
なお、オペレータは、硬貨の精査処理が終了すると、補助ユニット100を釣銭機1から取り外す。
このとき、まず、オペレータは、補助ユニット100の電源ケーブル199(図1A(a)参照)の先端に設けられたプラグ(図示せず)を釣銭機1の電力供給用ジャック(図示せず)から取り外す。
次に、オペレータは、前記した精査可能位置から初期位置に戻すようにキー120を回転させる。これにより、ハンドルロック機構114が、ハンドル110のロックを解除する。このとき、釣銭機1の本体制御部11は、自身の動作状態を精査可能状態から精査不能状態に切り替える。
次に、オペレータは、ハンドル110を最上点の位置まで上方向に摺動させる。これにより、シュータ回動機構303が、シュータ301の先端部を持ち上げるように、シュータ301を回動させる。その結果、シュータ301の先端部は、上昇して、シュータカバー302の外部から内部に収納される。
この後、オペレータは、釣銭機1から補助ユニット100を取り外す。そして、オペレータは、補助ユニット100を任意の場所に持ち運ぶ。
<現金取扱装置の動作>
以下、図14を参照して、本実施形態1に係る現金取扱装置としての釣銭機1の動作につき説明する。図14は、実施形態1に係る現金取扱装置の動作を示すフローチャートである。ここでは、補助ユニット100が釣銭機1に装着されており、また、補助ユニット100が既に稼動しているものとして説明する。
釣銭機1は、オペレータによって硬貨の精査処理開始コマンドが投入されると、動作を開始する。
図14に示すように、釣銭機1は、本体制御部11によって、ユニットセットスイッチSW1がオン状態になるまで、ユニットセットスイッチSW1がオン状態になっているか否かを繰り返し判定する(S105)。すなわち、釣銭機1は、ユニットセットスイッチSW1がオン状態になるまで、待機する。
S105の判定で、ユニットセットスイッチSW1がオン状態になっていると判定された場合(“Yes”の場合)に、釣銭機1は、回収動作を開始する(S120)。そして、釣銭機1は、回収動作が終了すると(S125)、本体制御部11によって、投入センサSN1(図2参照)がオン状態になっているか否かを判定する(S130)。
S130の判定で、投入センサSN1がオン状態になっていないと判定された場合(“No”の場合)に、釣銭機1は、硬貨の投入エラーの発生をオペレータに通知するためのメッセージを表示部3bに表示する(S135)。この場合に、硬貨の精査処理は、中断となる。
一方、S130の判定で、投入センサSN1がオン状態になっていると判定された場合(“Yes”の場合)に、釣銭機1は、補充動作を開始する(S140)。そして、釣銭機1は、補充動作が終了すると(S145)、本体制御部11が、回収カウント情報12b(図2参照)や補充カウント情報12c(図2参照)等を含む、精査記録情報12d(図2参照)を記憶部12(図2参照)に保存する(S150)。
S150の後、釣銭機1は、本体制御部11によって、全ての金種(具体的には、1円、5円、10円、50円、100円、及び、500円の6金種)分の硬貨の精査処理が完了したか否かを判定する(S155)。
S155の判定で、全ての金種分の硬貨の精査処理が完了していないと判定された場合(“No”の場合)に、釣銭機1は、精査処理が完了していない、次の金種分の硬貨の精査処理を実行する(S160)。この後、処理は、S120に戻る。
一方、S155の判定で、全ての金種分の硬貨の精査処理が完了していると判定された場合(“Yes”の場合)に、釣銭機1は、本体制御部11によって、全ての金種で、精査された硬貨の有高が、キャッシュレジスタ99から取得されている管理有高情報12aの額と一致するか否かを判定する(S165)。
この判定は、例えば、回収カウント情報12b(図2参照)の値と補充カウント情報12c(図2参照)の値とが一致することを判定し、さらに、補充カウント情報12c(図2参照)の値と管理有高情報12a(図2参照)の値とが一致するか否かを判定することによって行われる。
S165の判定で、精査された硬貨の有高が有高情報の額と一致しないと判定された場合(“No”の場合)に、釣銭機1は、精査エラーの発生をオペレータに通知するためのメッセージを表示部3bに表示する(S170)。この場合に、硬貨の精査処理は、中断となる。
一方、S165の判定で、精査された硬貨の有高が有高情報の額と一致すると判定された場合(“Yes”の場合)に、一連のルーチンの動作が終了する。この場合に、硬貨の精査処理は、正常終了となる。
<硬貨精査補助ユニットの動作>
以下、補助ユニット100の動作につき説明する。ここでは、補助ユニット100の動作の特徴を分かり易く説明するために、まず、比較例として仮想上の補助ユニット100Z(図示せず)の動作を説明し、その仮想上の補助ユニット100Zの動作と対比させて、本実施形態1に係る補助ユニット100の動作を説明する。
なお、仮想上の補助ユニット100Z(図示せず)は、本実施形態1に係る補助ユニット100と同一の構成になっており、動作のみが異なるものとする。
仮想上の補助ユニット100Z及び本実施形態1に係る補助ユニット100は、ともに、硬貨が釣銭機1の入金口4からあふれそうな状態になると、あふれセンサSN3(図5(b)参照)によって、その状態を「あふれの直前状態」として検知する。
このとき、仮想上の補助ユニット100Zは、モータ207a,207b(図5(a)参照)を停止させることによって、釣銭機1の入金口4の内部での硬貨のあふれを防止するものとする。
しかしながら、仮想上の補助ユニット100Zは、モータ207a,207bを停止するため、前記した「あふれの直前状態(硬貨が釣銭機1の入金口4からあふれそうな状態)」が解消された場合に、再度、モータ207a,207b(図5(a)参照)を起動する必要がある。このとき、比較的大きな搬送系イナーシャ(慣性)が、モータ207a,207bに加わる。その結果、仮想上の補助ユニット100Zは、モータ207a,207bの停止時及び起動時に、比較的大きな負荷が、モータ207a,207bにかかる。
したがって、仮想上の補助ユニット100Zは、モータ207a,207bの停止時及び起動時のイナーシャ(慣性)によって、比較的大きな負荷がモータ207a,207bにかかるため、モータ207a,207bの寿命を短くすることが予測される。
そこで、本実施形態1では、補助ユニット100は、あふれセンサSN3(図5(b)参照)によって前記した「あふれの直前状態」を検知した場合に、モータ207a,207b(図5(a)参照)を停止させるのではなく、モータ207a,207bの回転速度を低下させることによって、釣銭機1の入金口4の内部での硬貨のあふれを防止するものとする。
以下、まず、図15Aを参照して、比較例として、仮想的な補助ユニット100Zの動作を説明し、次に、図15Bを参照して、本実施形態1に係る補助ユニット100の動作を説明する。
まず、図15Aを参照して、比較例として、仮想的な補助ユニット100Zの動作を説明する。図15Aは、比較例に係る硬貨精査補助ユニットの動作を示すフローチャートである。
仮想上の補助ユニット100Zは、釣銭機1から電力が供給されることにより、動作を開始する。このとき、補助ユニット100Zのユニット制御部206は、継続して、あふれセンサSN3の状態を検知する。
図15Aに示すように、釣銭機1が硬貨の精査処理を開始し、釣銭機1の残留センサSN2がオン状態になると、比較例に係る仮想的な補助ユニット100Zは、あふれセンサSN3がオフ状態になるまで、あふれセンサSN3がオフ状態になっているか否かを繰り返し判定する(S205)。すなわち、補助ユニット100Zは、あふれセンサSN3がオフ状態になるまで、待機する。
S205の判定で、あふれセンサSN3がオフ状態になったと判定された場合(“Yes”の場合)に、補助ユニット100Zは、モータ207a,207bを回転させる(S210)。そして、補助ユニット100Zは、モータ207a,207bを回転させながら、あふれセンサSN3が所定ms以上オン状態になったか否かを判定する(S215)。
S215の判定で、あふれセンサSN3が所定ms以上オン状態になったと判定された場合(“Yes”の場合)に、補助ユニット100Zは、モータ207a,207bを停止させる(S220)。この後、処理は、S215に戻る。
一方、S215の判定で、あふれセンサSN3が所定ms以上オン状態になっていないと判定された場合(“No”の場合)に、補助ユニット100Zは、モータ207a,207bを回転させる(S225)。このとき、補助ユニット100Zは、モータ207a,207bが回転していれば、その回転を継続させ、モータ207a,207bが停止していれば、回転を開始させる。
S225の後、釣銭機1の残留センサSN2がオフ状態になり、硬貨の精査処理が終了すると、比較例に係る仮想的な補助ユニット100Zは、あふれセンサSN3がオフ状態になったか否かを判定する(S230)。
S230の判定で、あふれセンサSN3がオフ状態になったと判定された場合(“Yes”の場合)に、補助ユニット100Zは、モータ207a,207bの回転を停止させる(S235)。この後、処理は、S205に戻る。
一方、S230の判定で、あふれセンサSN3がオフ状態になっていないと判定されない場合(“No”の場合)に、処理は、S205に戻る。
次に、図15Bを参照して、本実施形態1に係る補助ユニット100の動作を説明する。図15Bは、本実施形態1に係る硬貨精査補助ユニットの動作を示すフローチャートである。
本実施形態1に係る補助ユニット100は、図16に示すモータ速度テーブルを用いて、2通りの設定速度で、モータ207a,207bの回転速度を制御する。なお、図16は、実施形態1で用いる設定速度の一例を示す図である。
図16に示すように、本実施形態1では、第1設定速度が、「補助ユニット硬貨搬送速度≧釣銭機硬貨入金速度」を満たす速度として設定されている。
また、第2設定速度が、「補助ユニット硬貨搬送速度<釣銭機硬貨入金速度」を満たす速度として設定されている。
なお、「補助ユニット硬貨搬送速度」とは、補助ユニット100の内部に設けられた第1搬送ベルト221(図5(a)参照)及び第2搬送ベルト222(図5(a)参照)の走行速度を意味している。
また、「釣銭機硬貨入金速度」とは、釣銭機1の入金口4の内部に設けられた入金ベルト41(図7参照)の走行速度を意味している。
図15Bに示すように、本実施形態1に係る補助ユニット100の動作は、比較例に係る仮想的な補助ユニット100Zの動作と比較すると、S210、S220、及び、S225の処理が、S210a、S220a、及び、S225aの処理に変更されている点で相違している。
すなわち、補助ユニット100は、S205の判定で、あふれセンサSN3がオフ状態になったと判定された場合(“Yes”の場合)に、第1搬送ベルト221及び第2搬送ベルト222の走行速度が第1設定速度になるように、モータ207a,207bを回転させる(S210a)。
また、補助ユニット100は、S215の判定で、あふれセンサSN3が所定ms以上オン状態になったと判定された場合(“Yes”の場合)に、第1搬送ベルト221及び第2搬送ベルト222の走行速度が第2設定速度になるように、モータ207a,207bを回転させる(S220a)。
すなわち、この場合に、補助ユニット100は、モータ207a,207bの回転を停止させずに、第1搬送ベルト221及び第2搬送ベルト222の走行速度が第1設定速度から第1設定速度よりも低速の第2設定速度になるように、モータ207a,207bの回転速度を切り替えて、モータ207a,207bを回転させる。
また、補助ユニット100は、S215の判定で、あふれセンサSN3が所定ms以上オン状態になっていないと判定された場合(“No”の場合)に、第1搬送ベルト221及び第2搬送ベルト222の走行速度が第1設定速度になるように、モータ207a,207bを回転させる(S225a)。
このような補助ユニット100は、S215の判定で、あふれセンサSN3が所定ms以上オン状態になった場合(すなわち、あふれの直前状態を所定ms以上検出した場合)に、S220aで、モータ207a,207bの回転速度を遅くして、第1搬送ベルト221及び第2搬送ベルト222の走行速度を、第1設定速度から第1設定速度よりも低速の第2設定速度に切り替える。これにより、補助ユニット100は、補助ユニット100の内部の硬貨の搬送速度を、釣銭機1の硬貨の取り込み速度よりも遅くする。
その結果、釣銭機1は、釣銭機1の硬貨の取り込み速度が、補助ユニット100の内部の硬貨の搬送速度よりも速くなるため、入金口4の内部の硬貨の量を減らすことができる。したがって、補助ユニット100は、硬貨が釣銭機1の入金口4からあふれるのを防止することができる。
<硬貨精査補助ユニットの搬送部の特徴>
以下、補助ユニット100の搬送部220(図5(a)参照)の特徴につき説明する。ここでは、補助ユニット100の搬送部220の特徴を分かり易く説明するために、まず、比較例として仮想上の補助ユニット1000(図17A参照)の搬送部220aの構成を説明し、その仮想上の補助ユニット1000の搬送部220aと対比させて、本実施形態1に係る補助ユニット100の搬送部220の特徴を説明する。
なお、仮想上の補助ユニット1000は、搬送部220a以外の構成が本実施形態1に係る補助ユニット100と同一の構成になっているものとする。
以下、まず、図17Aを参照して、比較例として、仮想的な補助ユニット1000の搬送部220aの構成を説明し、次に、図17Bを参照して、本実施形態1に係る補助ユニット100の搬送部220の構成を説明する。
まず、図17Aを参照して、比較例として、仮想的な補助ユニット1000の搬送部220aの構成を説明する。図17Aは、比較例に係る硬貨精査補助ユニットの搬送部の構成を示す図である。図17A(a)は、比較例に係る補助ユニット1000の搬送部220aの全体構成を示しており、図17A(b)は、比較例に係る補助ユニット1000の搬送部220aの主要部の構成を示している。
図17Aに示すように、比較例に係る補助ユニット1000の搬送部220aは、第1搬送ベルト221a及び第2搬送ベルト222aを有している。第1搬送ベルト221a及び第2搬送ベルト222aは、分離ベルト211から受け渡された硬貨を互いの間で挟み込みながらシュータ301の後端部に搬送する部材である。
第1搬送ベルト221a及び第2搬送ベルト222aは、互いの間で硬貨を挟み込む部分(以下、「上昇搬送部229a」と称する)が、直線状に垂直方向に延伸する構成になっている。
このような補助ユニット1000の上昇搬送部229aは、図17A(b)に示すように、複数枚の硬貨Cが上昇搬送部229aを支持する1対のローラ223の間に進入した場合に、硬貨Cを保持する保持力が著しく低下する可能性がある。
例えば、図17A(b)に示す例では、3枚の硬貨C1、C2,C3が、1対のローラ223の間に進入している。そのため、上昇搬送部229aは、硬貨C1及び硬貨C3の厚みにより、第1搬送ベルト221aと第2搬送ベルト222aとの間が離間する。したがって、上昇搬送部229aは、硬貨C1と硬貨C3との間に位置する硬貨C2を保持する保持力が、低下する。
その結果、この場合に、上昇搬送部229aは、硬貨C2を保持しきれず、硬貨C2を落下させる可能性がある。したがって、補助ユニット1000は、硬貨Cの搬送中に、硬貨Cの落下や硬貨Cの滞留が上昇搬送部229aで発生することが予測される。
次に、図17Bを参照して、本実施形態1に係る補助ユニット100の搬送部220の構成を説明する。図17Bは、実施形態1に係る硬貨精査補助ユニットの搬送部の構成を示す図である。図17B(a)は、実施形態1に係る補助ユニット100の搬送部220の全体構成を示しており、図17B(b)は、実施形態1に係る補助ユニット100の搬送部220の主要部の構成を示している。
図17Bに示すように、本実施形態1に係る補助ユニット100の搬送部220の第1搬送ベルト221及び第2搬送ベルト222は、互いの間で硬貨を挟み込む部分(以下、「上昇搬送部229」と称する)が、円弧状に垂直方向に延伸する構成になっている。
上昇搬送部229は、円弧状に配置された複数のローラ223が第1搬送ベルト221及び第2搬送ベルト222を支持することによって、円弧状に形成されている。
補助ユニット100は、1対のローラ223の間のピッチ(以下、「ローラピッチPp」と称する)間に1枚の硬貨Cしか入らないように、硬貨Cを搬送するピッチ(以下、「硬貨搬送ピッチPc」と称する)を確保して、硬貨Cを搬送する。
なお、「ローラピッチPp」は、厳密には、ローラ223とベルト(図示例では、第1搬送ベルト221)との接点部の間の距離となる。
また、「硬貨搬送ピッチPc」は、最小径の硬貨(具体的には、1円硬貨)以上の大きさとなる。
補助ユニット100は、分離部210の分離ベルト211と、搬送部220の第1搬送ベルト221及び第2搬送ベルト222との間で、速度差を設けることによって、「硬貨搬送ピッチPc」を調整する。
具体的には、補助ユニット100は、「分離ベルトの走行速度<搬送ベルトの走行速度」の速度差で、硬貨Cを分離部210の分離ベルト211から搬送部220の第1搬送ベルト221及び第2搬送ベルト222に受け渡すことにより、「硬貨搬送ピッチPc」を調整する。
このような補助ユニット100は、上昇搬送部229が円弧状に形成されており、しかも、各ローラピッチPp間に1枚の硬貨Cしか入らないように、硬貨搬送ピッチPcが設定されている。
そのため、補助ユニット100は、例えば、図17B(b)に示すように、3枚の硬貨C1、C2,C3が、上昇搬送部229に進入しても、比較例に係る補助ユニット1000と異なり、他の硬貨Cの厚みによって、硬貨Cが落下する程に、保持力が低下する箇所が上昇搬送部229に発生するのを防止することができる。
したがって、補助ユニット100は、上昇搬送部229が硬貨Cを保持しきれずに硬貨Cを落下させるのを防止することができる。これにより、補助ユニット100は、保持力を低下させることなく、硬貨Cを安定して搬送させることができる。
なお、本実施形態1では、補助ユニット100は、分離部210の分離ベルト211と搬送部220の第1ベルト221及び第2ベルト222との間に速度差を設けることにより、硬貨搬送ピッチPcを確保している。
しかしながら、補助ユニット100は、別駆動によって間欠的に回転する図示せぬローラを分離部210に設け、一定間隔で硬貨を分離部210から搬送部220に受け渡すことによっても、硬貨搬送ピッチPcを確保することができる。
以上の通り、本実施形態1に係る補助ユニット100によれば、現金取扱装置(ここでは、釣銭機1)で行われる硬貨の精査処理時に、現金取扱装置の出金口に放出された硬貨を自動的に現金取扱装置の内部に還流させることができる。
[実施形態2]
実施形態1に係る補助ユニット100は、釣銭機1のシャッタ9が閉鎖されている場合に、オペレータがキー120を回転させると、キー120の回転の途中で、第1レバー124が釣銭機1のシャッタ9に当接して、キーシリンダ122の回動(すなわち、第2レバー125の回動)が規制される(図13(b)参照)。
そのため、実施形態1に係る補助ユニット100は、釣銭機1のユニットセットスイッチSW1をオン状態にすることができない。したがって、実施形態1に係る補助ユニット100は、釣銭機1のシャッタ9が閉鎖されている場合に、釣銭機1に、硬貨の精査処理を実行させることができない。
そこで、本実施形態2では、補助ユニット100の装着時における釣銭機1のシャッタ9の開閉状態に関わらず、釣銭機1に、硬貨の精査処理を実行させることができる補助ユニット100Aを提供する。
以下、図18を参照して、本実施形態2に係る補助ユニット100Aの構成につき説明する。図18は、実施形態2に係る硬貨精査補助ユニットの構成を示す図である。
本実施形態2では、釣銭機1の構成は、実施形態1と同様の構成となっている。ただし、本実施形態2では、釣銭機1のシャッタ9は、補助ユニット100Aの第1レバー124aから実施形態1に係る補助ユニット100の第1レバー124よりも強い押圧を受けるため、丈夫で摩耗し難い素材によって構成されることが好ましい。
一方、本実施形態2に係る補助ユニット100Aは、実施形態1に係る補助ユニット100(図12及び図13参照)と比較すると、図18に示すように、第1レバー124aの位置及び長さが実施形態1に係る第1レバー124の位置及び長さと異なる点で相違している。
具体的には、図18に示すように、補助ユニット100Aの第1レバー124aは、実施形態1に係る補助ユニット100の第1レバー124よりもシャッタ支点9aから若干離れた位置に設けられている。また、補助ユニット100Aの第1レバー124aは、実施形態1に係る補助ユニット100の第1レバー124よりも長く形成されている。
このような補助ユニット100Aは、オペレータがキー120を回転させると、第1レバー124a及び第2レバー125が回動する。そして、補助ユニット100Aは、釣銭機1のシャッタ9が閉鎖されている場合に、キー120の回転の途中で、第1レバー124aの先端部が釣銭機1のシャッタ9と当接する。
このとき、補助ユニット100Aは、第1レバー124aの先端部が、釣銭機1のシャッタ9を上方向に押し上げて、釣銭機1のシャッタ9を強制的に開放させる。その結果、補助ユニット100Aは、第2レバー125の先端部が、釣銭機1のレバー進入孔5bの中に進入して、釣銭機1のユニットセットスイッチSW1のセンサ部(先端部)を押圧する。
そのため、補助ユニット100Aは、釣銭機1のユニットセットスイッチSW1をオン状態にすることができる。その結果、釣銭機1の本体制御部11は、自身の動作状態を、精査不能状態から精査可能状態に切り替える。その結果、釣銭機1は、硬貨の精査処理を実行する。
このような補助ユニット100Aは、釣銭機1のシャッタ9が閉鎖されている場合に、オペレータがキー120を回転させると、第1レバー124aが釣銭機1のシャッタ9を強制的に開放する構成となっている。
したがって、補助ユニット100Aは、たとえ、釣銭機1のシャッタ9が閉鎖されていても、釣銭機1のシャッタ9を強制的に開放させることができる。そのため、補助ユニット100Aは、釣銭機1のシャッタ9の開閉状態に関わらず、釣銭機1に、硬貨の精査処理を実行させることができる。
なお、第1レバー124aは、実施形態1に係る補助ユニット100の第1レバー124よりも強い押圧をシャッタ9に与えるため、丈夫で摩耗し難い素材によって構成されることが好ましい。
以上の通り、本実施形態2に係る補助ユニット100Aによれば、たとえ、釣銭機1のシャッタ9が閉鎖されていても、釣銭機1のシャッタ9を強制的に開放させることができる。そのため、本実施形態2に係る補助ユニット100Aによれば、釣銭機1のシャッタ9の開閉状態に関わらず、釣銭機1に、硬貨の精査処理を実行させることができる。
[実施形態3]
実施形態1に係る釣銭機1(図12及び図13参照)は、ユニットセンサスイッチSW1(図12及び図13参照)によって、シャッタ9の開閉状態を検知する構成になっている。
これに対し、本実施形態3では、実施形態1に係る釣銭機1に既に設けられている既存の残留センサSN2を用いることにより、ユニットセンサスイッチSW1(図12及び図13参照)を用いることなく、シャッタ9の開閉状態を検知する釣銭機1Bを提供する。
以下、図19を参照して、本実施形態3に係る釣銭機1Bの構成につき説明する。図19は、実施形態3に係る現金取扱装置の構成を示す図である。
本実施形態3に係る現金取扱装置としての釣銭機1Bは、実施形態1に係る釣銭機1(図12及び図13参照)と比較すると、図19に示すように、ユニットセンサスイッチSW1(図12及び図13参照)が削除される代わりに、突出部9bがシャッタ9の底面に設けられている点で相違している。突出部9bは、シャッタ9が開放された場合に、残留センサSN2の発光センサと受光センサとの間を遮る構成要素である。
残留センサSN2は、前記した通り、出金口5の内部に硬貨が残留する場合に、その硬貨を検知するセンサである。残留センサSN2は、出金口5の内部に複数設けられている。各残留センサSN2は、それぞれ、1対の発光センサと受光センサとによって構成されている。発光センサ及び受光センサは、それぞれ、出金口5の内部で、左右に分かれて、対向して配置されている。
釣銭機1Bは、図19(a)に示すように、シャッタ9が閉鎖されている場合に、突出部9bが残留センサSN2の発光センサと受光センサとの間を遮らない。そのため、この場合に、釣銭機1Bは、残留センサSN2がシャッタ9の開放を検知していない状態となる。
一方、釣銭機1Bは、図19(b)に示すように、シャッタ9が開放されている場合に、突出部9bが残留センサSN2の発光センサと受光センサとの間を遮る。そのため、この場合に、釣銭機1Bは、残留センサSN2がシャッタ9の開放を検知した状態となる。
このような釣銭機1Bは、オペレータによって硬貨の精査処理開始コマンドが投入されて、硬貨の精査処理が開始されると、本体制御部11が、残留センサSN2の状態に基づいて、シャッタ9の開閉状態を確認する。
そして、本体制御部11は、シャッタ9が閉鎖されている場合に、図示せぬ放音手段によってアラーム音を放音させたり、又は、シャッタ9の開放を指示するメッセージを表示部3b(図1A参照)に表示させたりして、シャッタ9が閉鎖状態であることをオペレータに警告する。これにより、本体制御部11は、オペレータにシャッタ9を開けるように促す。
図20に、このような釣銭機1Bの動作フローを示す。図20は、実施形態3に係る現金取扱装置の動作を示すフローチャートである。
図20に示すように、本実施形態3に係る現金取扱装置としての釣銭機1Bの動作は、実施形態1に係る釣銭機1の動作(図14参照)と比較すると、S105の処理(ユニットセットスイッチがオン状態になっているか否かの判定処理)が削除される代わりに、S110の判定処理が行われる点で相違している。
すなわち、釣銭機1Bは、オペレータによって硬貨の精査処理開始コマンドが投入されると、動作を開始する。このとき、釣銭機1Bは、まず、本体制御部11によって、残留センサSN2がオン状態になっているか否かを(すなわち、シャッタ9が開放されているか否かを)判定する(S110)。
S110の判定で、残留センサSN2がオン状態になっていない(すなわち、シャッタ9が開放されていない)と判定された場合(“No”の場合)に、釣銭機1Bの本体制御部11は、図示せぬ放音手段によってアラーム音を放音させたり、又は、シャッタ9の開放を指示するメッセージを操作部3の表示部3bに表示させたりして、シャッタ9が閉鎖状態であることをオペレータに警告する(S115)。これにより、本体制御部11は、オペレータにシャッタ9を開けるように促す。この後、処理は、S110に戻る。
一方、S110の判定で、残留センサSN2がオン状態になっている(すなわち、シャッタ9が開放されている)と判定された場合(“Yes”の場合)に、処理は、S120に進む。その結果、釣銭機1Bは、S120の回収動作を開始する。
このような釣銭機1Bは、シャッタ9が閉鎖されている場合に、硬貨の精査処理が実行されるのを防止することができる。したがって、釣銭機1Bは、オペレータが、硬貨の精査処理時に、シャッタ9を開け忘れても、硬貨の精査処理が実行されるのを防止することができる。
以上の通り、本実施形態3に係る釣銭機1Bによれば、シャッタ9の底面に突出部9bを設け、既存の残留センサSN2を用いて突出部9bを検出することにより、ユニットセンサスイッチSW1(図12及び図13参照)を用いることなく、シャッタ9の開閉状態を検知することができる。
また、釣銭機1Bによれば、ユニットセンサスイッチSW1を削除することができるため、出金口5周りの構成を簡素化することができる。
本発明は、前記した実施形態に限定されることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更や変形を行うことができる。
例えば、現金取扱装置(釣銭機1,1B)は、硬貨だけでなく、紙幣を取り扱う構成であってもよい。
また、例えば、実施形態3では、釣銭機1Bは、突出部9bがシャッタ9の底面に設けられている。しかしながら、シャッタ9が残留センサSN2によって検知されるだけの十分な厚さを有するのであれば、釣銭機1Bは、突出部9bを削除することが可能である。