JP5809378B1 - 帯状金属薄板の突合せ接合装置 - Google Patents

帯状金属薄板の突合せ接合装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 一対の帯状金属薄板の突き合せを高精度で行えると共に、熱歪が小さくて均一な溶接ビードが得られて帯状金属薄板の溶接部の強度及び品質を一定に保つことができるようにする。【解決手段】 切断端同士を突き合せた一対の帯状金属薄板W1,W2を押圧した状態で一対の帯状金属薄板W1,W2の突合せ部を溶接装置9により突合せ溶接する帯状金属薄板の突合せ接合装置であって、一対の帯状金属薄板W1,W2の端部を支持載置する上下動可能な下部治具テーブル4と、下部治具テーブル4の上面に嵌め込み固定されたバックバー5と、バックバー5に挿通され、帯状金属薄板W1,W2の切断端の位置決めを行うセンタープレート6と、下部治具テーブル4に上下動可能に配設され、一対の帯状金属薄板W1,W2の端部を保持固定する左右のワーククランプ7と、一対の帯状金属薄板W1,W2の突合せ部近傍を下部治具テーブル4とで上下方向から挟持固定する左右の上部クランプ8とを備え、前記左右の上部クランプ8のうち、一方の上部クランプ8を帯状金属薄板W1,W2の長手方向へ移動調整可能として左右の上部クランプ8の間隔を調整できるようにし、また、他方の上部クランプ8を上下方向へ揺動可能とし、上部クランプ8の先端部を加圧バネにより一方の帯状金属薄板W1,W2の上面へ弾性的に当接させるようにする。【選択図】 図17

Description

本発明は、例えば、ステンレス、鉄、銅、アルミ等の帯状金属薄板からリードフレーム等の各種部品を生産するプレスラインや帯状金属薄板からパイプを生産する造管ライン等に設置され、ライン上を流れている先行の帯状金属薄板の終端に新しい後行の帯状金属薄板の始端を突合せ溶接により接合するようにした帯状金属薄板の突合せ接合装置に関するものである。
従来、この種の帯状金属薄板の突合せ接合装置としては、本件発明者が先に開発した特許第3564006号公報(特許文献1)や特許第3567122号(特許文献2)に開示された突合せ接合装置が知られている。
即ち、前記突合せ接合装置は、図示していないが、先行の帯状金属薄板の終端部及び後行の帯状金属薄板の始端部を支持載置する作業テーブルと、作業テーブルの上方に間隔を空けて対向状に配設され、両帯状金属薄板の上面を保持する左右の上部クランプと、作業テーブルの中央部にその上面より所定距離だけ下方に位置した状態で配設され、シリンダにより作業テーブルと同一高さ位置まで押し上げられて先行の帯状金属薄板の終端と後行の帯状金属薄板の始端とを突き合せた状態で両帯状金属薄板の突合せ部近傍を左右の上部クランプとで上下方向から挾持固定する下部クランプと、下部クランプの中央部に垂直状に挿通され、先行の帯状金属薄板の終端及び後行の帯状金属薄板の始端の位置決めを行うセンタープレートと、作業テーブル上に上下動自在に設けられ、両帯状金属薄板を作業テーブル上へ保持固定する左右のワーククランプと、両帯状金属薄板の突合せ部を突合せ溶接する溶接装置等から構成されている。
前記突合せ接合装置は、帯状金属薄板の撓み及び弾性力を利用して帯状金属板の端面同士の突き合せを行うようにしているため、幅が比較的狭い帯状金属薄板を突き合せる場合には、帯状金属薄板の持っている弾性力等を利用して帯状金属薄板の端面同士を簡単且つ正確に突き合せることができ、理想的な突合せ溶接を行えることになる。
ところで、理想的な突合せ溶接を行うには、左右の上部クランプ間の間隔を突合せ溶接する帯状金属薄板の厚さに応じて調整する必要があり、一般には帯状金属薄板の厚さが薄くなれば上部クランプ間の間隔を狭くし、また、帯状金属薄板の厚さが厚くなれば上部クランプ間の間隔を広くするようにしている。特に、厚みの極めて薄い帯状金属薄板を突合せ溶接する場合には、上部クランプ間の間隔を出来るだけ狭くする方が良い。これは上部クランプ間の間隔を広くすると、溶接時の熱で帯状金属薄板の表面温度が厚板の帯状金属薄板に比較して高温になり易く、そのために溶接中に変形が生じて溶接不良を引き起こすことになるからである。また、上部クランプ間の間隔を狭くすると、不要なアークが上部クランプの先端部により遮断され、両帯状金属薄板の突合せ部にアークエネルギーが集中的に与えられるからである。
ところが、上述した従来の突合せ接合装置においては、左右の上部クランプが固定された部材であり、帯状金属薄板の厚みに応じて上部クランプ間の間隔を調整することができなかった。
そのため、従来の突合せ接合装置においては、突合せ溶接する帯状金属薄板の厚みが変わった場合には、スリット状の溝を形成したセッティングプレートを突き合された帯状金属薄板と左右の上部クランプとの間に挿着し、セッティングプレートを介して上部クランプと下部クランプとによって両帯状金属薄板の突合せ部を挟持する構成としている。
その結果、左右の上部クランプの間隔がセッティングプレートのスリット状の溝によって規制されることになり、不要なアークをセッティングプレートにより遮断、吸収でき、帯状金属薄板の厚さが変わっても、セッティングプレートを交換するだけで対応することができた。
しかし、従来の突合せ接合装置においては、厚みの薄い幅広の帯状金属薄板を突き合せる場合、先行の帯状金属薄板と後行の帯状金属薄板をワーククランプにより作業テーブルの上面へ保持固定したときに、両帯状金属薄板の撓みの量が手前側と奥側とで不均一になることが多く、先行の帯状金属薄板の終端と後行の帯状金属薄板の始端とが完全に突き合されず、先行の帯状金属薄板と後行の帯状金属薄板とが部分的に重なったり、或いは両帯状金属薄板の突合せ部に部分的な隙間を生じたりすると云う問題が発生している。このような状態では、精密な突合せ溶接を行えないことになる。
また、従来の突合せ接合装置においては、帯状金属薄板の厚みが変わった場合には、セッティングプレートを挿着したり、取り外したりしなければならず、作業性や取扱性、操作性に劣るうえ、スリット状の溝の幅が異なるセッティングプレートや長さの異なるセッティングプレートを多数用意しなければならないと言う問題があった。
一方、本件出願人は、厚みの薄い幅広の帯状金属薄板であっても、帯状金属薄板の突合せ部の重なりやズレ、部分的な隙間のない理想的な突き合せを行えると共に、左右の上部クランプの間隔を調整できるようにした突合せ接合装置を開発した(特許文献3参照)。
即ち、前記突合せ接合装置は、一対の帯状金属薄板の突き合せ作業時に作業テーブルの上面と面一になる平盤状の下部治具を備えていると共に、当該下部治具に一対の帯状金属薄板を下部治具上へ保持固定する左右のワーククランプを設けているため、一対の帯状金属薄板を下部治具の上面で突き合せる際に一対の帯状金属薄板が真っ直ぐな平板状になった状態で突き合せることができるので、厚みの薄い幅広の帯状金属薄板であっても、一対の帯状金属薄板の突き合せ作業を高精度で行え、両帯状金属薄板の突合せ部の重なりやズレ、部分的な隙間のない理想的な突き合せを行える。
また、前記突合せ接合装置は、左右の上部クランプを手動で帯状金属薄板の長手方向へ移動調整できるようにしているため、左右の上部クランプの間隔を調整することができ、セッティングプレートを使用することなく、厚みの異なる帯状金属薄板の突合せ溶接を行うことができる。
しかし、前記突合せ接合装置においては、作業員が手動操作により左右の上部クランプの両方をそれぞれ帯状金属薄板の長手方向に沿って動かし、左右の上部クランプの間隔を調整するようにしているため、左右の上部クランプの間隔を調整するのに手数がかかり、作業性や取扱性、操作性に劣ると言う問題があった。
また、左右の上部クランプは、帯状金属薄板の長手方向へスライド自在に設けたスライド板の下面に上下方向へ揺動自在に取り付けられているが、スライド板の下面に垂直状に螺着されたボルトに遊嵌状態で支持されているため、帯状金属薄板の厚みに応じて左右のクランプの間隔を調整しても、左右の上部クランプと下部治具とで帯状金属薄板の突合せ部近傍を上下方向から挟持する際に、左右の上部クランプが両方とも動くことがあり、左右の上部クランプの間隔が変わって安定した精密な突合せ溶接を行えないと言う問題があった。
尚、左右の上部クランプの間隔を自動調整できる突合せ接合装置も開発されているが、当該突合せ接合装置は、左右の上部クランプをモータ駆動型の駆動装置により移動させるようにしているため、コスト高になると共に、小型の突合せ接合装置には、適用できないと言う問題があった(特許文献4参照)。
更に、従来の突合せ接合装置は、帯状金属薄板の溶接部を圧延して溶接部の厚みや組織を均一化する圧延装置を備えているが、圧延台上に載置した帯状金属薄板の溶接部に圧延ローラを押し当て、圧延ローラをただ単に帯状金属薄板の溶接部上で転動させているだけであるため、圧延ローラが圧延台上へあまり強く押圧されず、帯状金属薄板の溶接部の圧延加工時に溶接部の厚みや組織を均一化し難いと言う問題もあった。
特許第3564006号公報 特許第3567122号公報 特許第5199920号公報 特許第5106811号公報
本発明は、このような問題点に鑑みて為されたものであり、その目的は、一対の帯状金属薄板の突き合せを高精度で行えると共に、熱歪が小さくて均一な溶接ビードが得られて帯状金属薄板の溶接部の強度及び品質を一定に保つことができ、また、作業性や取扱性、操作性に優れていると共に、左右の上部クランプの間隔を調整した寸法に保つことができて安定した精密な突合せ溶接を行え、しかも、帯状金属薄板の厚みに関係なく、溶接部を確実且つ良好に圧延加工することができ、溶接部の厚みや組織を確実且つ良好に均一化することができるようにした帯状金属薄板の突合せ接合装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明に係る帯状金属薄板の突合せ接合装置は、幅方向に沿って切断した一対の帯状金属薄板の切断端同士を突き合せ、突き合せた一対の帯状金属薄板を押圧した状態で一対の帯状金属薄板の突合せ部を溶接装置により突合せ溶接する帯状金属薄板の突合せ接合装置であって、一対の帯状金属薄板の端部を支持載置する上下動可能な下部治具テーブルと、下部治具テーブルの上面に帯状金属薄板の幅方向に沿う姿勢で嵌め込み固定され、下部治具テーブルの上面と面一になるバックバーと、バックバーにバックバーの上面から突出可能に挿通され、帯状金属薄板の切断端の位置決めを行うセンタープレートと、下部治具テーブルに上下動可能に配設され、一対の帯状金属薄板の端部をそれぞれ下部治具テーブルの上面へ密着状態で保持固定する左右のワーククランプと、下部治具テーブルの上方に間隔を空けて対向状に配設され、一対の帯状金属薄板の突合せ部近傍を下部治具テーブルとで上下方向から挟持固定する左右の上部クランプとを備え、前記左右の上部クランプのうち、一方の上部クランプを帯状金属薄板の長手方向へ移動調整可能として左右の上部クランプの間隔を調整できるようにし、また、他方の上部クランプを上下方向へ揺動可能とし、当該上部クランプの先端部を加圧バネにより一方の帯状金属薄板の上面へ弾性的に当接させるようにしたことに特徴がある。
前記一方の上部クランプは、下部治具テーブルの上方位置で帯状金属薄板の幅方向に沿って往復移動自在な溶接装置の上部フレームの下面に帯状金属薄板の長手方向へ移動調整可能に取り付けた調整ベースの下面に固定され、上部フレームと調整ベースとの間に設けたクランプ幅調整機構により帯状金属薄板の長手方向へ移動可能となっており、前記クランプ幅調整機構は、調整ベースの上面に設けた調整金具と、調整金具に埋設状態で正逆回転自在に支持され、先端部が上部フレームに螺挿された調整ボルトとを備え、調整ボルトの正逆回転により一方の上部クランプが調整金具及び調整ベースを介して帯状金属薄板の長手方向へ移動する構成とすることが好ましい。
前記他方の上部クランプは、下部治具テーブルの上方位置で帯状金属薄板の幅方向に沿って往復移動自在な溶接装置の上部フレームの下面に上部クランプの下面側から挿通したクランプ取付ボルトにより上下方向へ揺動自在に取り付けられており、クランプ取付ボルトの頭部と当該頭部に当接する上部クランプの下面の一部とをそれぞれ湾曲面に形成してクランプ取付ボルトの頭部と上部クランプを面接触状態とし、上部クランプを前記湾曲面を介して上下方向へ揺動させるようにすることが好ましい。
前記帯状金属薄板の突合せ接合装置は、一対の帯状金属薄板の溶接部を圧延加工して溶接部の厚み及び組織を均一化する圧延装置を更に備えており、前記圧延装置は、一対の帯状金属薄板の溶接部が支持載置される圧延台と、圧延台の上方位置に圧延台に沿って往復走行自在に配設された圧延ベースと、圧延ベースに上下動自在に支持されたローラ受け台と、ローラ受け台に回転自在に支持され、圧延台に支持載置された帯状金属薄板の溶接部上を転動する圧延ローラと、圧延ベースとローラ受け台との間に設けられ、ローラ受け台を圧延ベース側へ加圧すると共に、その加圧力を調整できる加圧機構とを備えていることが好ましい。
前記加圧機構は、圧延ベースとローラ受け台との間に介設した圧縮コイルスプリングと、圧延ベースと圧縮コイルスプリングとの間に配設したスプリング押し金具と、圧延ベースに圧縮コイルスプリング側へ移動自在に螺挿され、スプリング押し金具を介して圧縮コイルスプリングを圧縮操作する加圧ノブとを備えていることが好ましい。
本発明に係る帯状金属薄板の突合せ接合装置は、左右の上部クランプのうち、一方の上部クランプを帯状金属薄板の長手方向へ移動調整可能として左右の上部クランプの間隔を調整できるようにし、また、他方の上部クランプを上下方向へ揺動可能とし、当該上部クランプの先端部を加圧バネにより一方の帯状金属薄板の上面へ弾性的に当接させるようにしているため、左右の上部クランプと下部治具テーブルとで帯状金属薄板の突合せ部近傍を上下方向から挟持するときに、一方の上部クランプの先端部下面を基準にして他方の上部クランプが加圧バネの作用により均一に帯状金属薄板を押えることができる。その結果、一対の帯状金属薄板の突き合せを高精度で行えると共に、熱歪が少なくて均一な溶接ビードが得られて帯状金属薄板の突合せ溶接部の強度及び品質を一定に保つことができる。
本発明に係る帯状金属薄板の突合せ接合装置は、一方の上部クランプのみを移動調整して左右の上部クランプの間隔を帯状金属薄板の厚みに応じて調整するようにしているため、左右の上部クランプを移動調整するようにした従来の突合せ接合装置に比較して作業性や取扱性、操作性に優れたものとなる。
本発明に係る帯状金属薄板の突合せ接合装置は、他方の上部クランプが溶接装置の上部フレームの下面にクランプ取付ボルトにより上下方向へ揺動自在に取り付けられており、当該クランプ取付ボルトの頭部と当該頭部に当接する上部クランプの下面の一部とをそれぞれ湾曲面に形成してクランプ取付ボルトの頭部と上部クランプを面接触状態とし、上部クランプを前記湾曲面を介して上下方向へ揺動させるようにしているため、帯状金属薄板の厚みに応じて左右のクランプの間隔を調整しても、左右の上部クランプと下部治具とで帯状金属薄板の突合せ部近傍を上下方向から挟持する際に、他方の上部クランプが帯状金属薄板の長手方向へ動くと言うことがなく、左右の上部クランプの間隔を調整した寸法に確実に保つことができ、安定した精密な突合せ溶接を行える。
本発明に係る帯状金属薄板の突合せ接合装置は、一対の帯状金属薄板を突き合せる下部治具テーブルに一対の帯状金属薄板の端部をそれぞれ保持固定する左右のワーククランプを設けているため、一対の帯状金属薄板の突合せ部が帯状金属薄板の幅方向及び長手方向へズレると言うことがなく、センターズレや融合不良の防止を図れる。
本発明に係る帯状金属薄板の突合せ接合装置は、一方の上部クランプを移動調整するクランプ幅調整機構の調整ボルトが調整金具に埋設状態で回転自在に支持されているため、調整ボルトが外部へ突出しておらず、当該調整ボルトが不用意に回されて左右の上部クランプの間隔が変わると言うこともない。
本発明に係る帯状金属薄板の突合せ接合装置は、一対の帯状金属薄板の溶接部を圧延加工して溶接部の厚み及び組織を均一化する圧延装置を備えていると共に、当該圧延装置が圧延ローラの加圧力を調整できる加圧機構とを備えているため、帯状金属薄板の厚みに関係なく、溶接部を確実且つ良好に圧延加工することができ、溶接部の厚みや組織を確実且つ良好に均一化することができる。
本発明の一実施形態に係る帯状金属薄板の突合せ接合装置を示し、(A)は突合せ接合装置の正面図、(B)は突合せ接合装置の平面図、(C)は突合せ接合装置の側面図である。 スタートタブ、バックバー、センタープレート及びワーククランプを配設した下部治具テーブルの平面図である。 同じく下部治具テーブルの一部破断正面図である。 同じく下部治具テーブルの側面図である。 図2のA−A線拡大断面図である。 図2のB-B線拡大断面図である。 バックバーの部分拡大斜視図である。 左右の上部クランプ及び溶接装置部分の斜視図である。 左右の上部クランプ及び溶接装置部分の正面図である。 左右の上部クランプ及び溶接装置部分の平面図である。 左右の上部クランプ及び溶接装置部分の側面図である。 左右の上部クランプ及び溶接装置部分の一部破断拡大正面図である。 圧延装置の正面図である。 圧延装置の平面図である。 圧延装置の側面図である。 圧延装置の要部の拡大縦断面図である。 一対の帯状金属薄板を上部クランプと下部治具テーブルとで挟持固定した状態の縦断面図である。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る帯状金属薄板の突合せ接合装置を示し、当該帯状金属薄板の突合せ接合装置は、ステンレスや鉄、銅、アルミ等の帯状金属薄板W1,W2からリードフレーム等の各種部品を生産するプレスライン等に設置されており、ライン上を流れている先行の帯状金属薄板W1の終端に新しい後行の帯状金属薄板W2の始端を突合せ溶接により接合し、新しい後行の帯状金属薄板W2を先行の帯状金属薄板W1に引き続いてライン上へ供給できるようにしたものである。
即ち、前記帯状金属薄板の突合せ接合装置は、図1に示す如く、水平な作業テーブル2を設けたキャビネット本体1と、先行の帯状金属薄板W1の終端部及び後行の帯状金属薄板W2の始端部を幅方向に沿って切断する切断装置3と、作業テーブル2の中央部に配設され、両帯状金属薄板W1,W2の切断端部を支持載置する上下動可能な下部治具テーブル4と、下部治具テーブル4の上面に嵌め込み固定され、下部治具テーブル4の上面と面一になるバックバー5と、バックバー5に突出可能に挿通され、帯状金属薄板W1,W2の切断端の位置決めを行うセンタープレート6と、下部治具テーブル4に上下動可能に配設され、両帯状金属薄板W1,W2の切断端部をそれぞれ下部治具テーブル4の上面へ密着状態で保持固定する左右のワーククランプ7と、下部治具テーブル4の上方位置に間隔を空けて対向状に配設され、両帯状金属薄板W1,W2の突合せ部近傍を下部治具テーブル4とで上下方向から挟持固定する左右の上部クランプ8と、両帯状金属薄板W1,W2の突合せ部を突合せ溶接する溶接装置9と、両帯状金属薄板W1,W2の溶接部を圧延加工して溶接部の厚みや組織を均一化する手動式の圧延装置10とを具備している。
尚、切断装置3は、作業テーブル2の奥側のキャビネット本体1内に前後方向(両帯状金属薄板W1,W2の幅方向)へ往復移動自在に配設されており、両帯状金属薄板W1,W2の切断時に作業テーブル2側へ引き出されるようになっている。この切断装置3は、従来公知のものと同様構造に構成されているため、ここではその詳細な説明を省略する。
前記キャビネット本体1は、前面側の中間部分に水平姿勢の作業テーブル2を備えており、当該作業テーブル2の中央部には、下部治具テーブル4が収容される矩形状の大きな開口2a(幅160mm、奥行き150mmの開口)が形成されている。
また、キャビネット本体1の前面側には、溶接条件等を設定して溶接電流や溶接速度等を表示するタッチパネル11や各種スイッチ12、シールドガスの流量計13等が配設されている。
更に、キャビネット本体1の内部には、溶接用電源装置及びその制御装置、溶接用ガスボンベ及びその付属品、切断装置及び溶接装置9の制御装置等がそれぞれ格納されている(何れも図示省略)。
前記下部治具テーブル4は、図2〜図4に示す如く、金属材により作業テーブル2の開口2aよりも若干小さめの矩形の厚肉板状に形成されており、作業テーブル2の開口2a周縁部の下面側に取り付けた断面形状が凹状の下部治具ベース14内に上下動自在に配設され、下部治具ベース14の下面に設けた二つのテーブル用シリンダ15により作業テーブル2の上面と面一になる下降位置と作業テーブル2の上面から上方へ突出して上部クランプ8とで帯状金属薄板W1,W2を挟持する突出位置とに亘って上下動するようになっている。
また、下部治具テーブル4の中央部上面には、図5に示す如く、バックバー5が交換可能に嵌め込まれる溝状の凹所4aが帯状金属薄板W1,W2の幅方向に略沿う姿勢で形成されており、当該凹所4aの底面には、シールドガスが流れる細幅溝4bが凹所4aの長手方向に沿って形成されている。この細幅溝4bの底面には、シールドガスが流れると共に、センタープレート6が上下動自在に挿通されるスリット状溝4cが凹所4aの長手方向に沿って形成されている。
更に、下部治具テーブル4には、初期アークを発生させるスタートタブ16が設けられている。このスタートタブ16は、銅材により円柱状に形成されており、下部治具テーブル4の奥側部分で且つ溝状の凹所4aの一端部近傍位置に高さ調整可能にねじ込み固定されている。
前記バックバー5は、図5に示す如く、銅材により厚肉の長尺板状に形成されており、幅方向中心部には、シールドガスを噴出すると共に、センタープレート6が上下動自在に挿通されるスリット状溝5aがバックバー5の長手方向に沿って形成されている。このバックバー5は、両帯状金属薄板W1,W2の突合せ部を突合せ溶接する際に、余分な熱を吸収してビードの溶け落ちや穴あき等を防止すると共に、両帯状金属薄板W1,W2の突合せ部の裏面側にアルゴンガス等のシールドガスを流して溶接部の酸化を防止するものである。
また、バックバー5の上面には、図7に示す如く、スリット状溝5aに連通する溝部5bがバックバー5の長手方向に沿って形成されていると共に、当該溝部5bの側端縁が凹凸状となるように溝部5bの側壁に複数の凹状部5cが形成されている。この凹状部5cは、溝部5bの長さ方向に亘って規則的に配列されて形成されている。隣り合う凹状部5cの間には、溝部5bの側端縁に凸状部5dが形成されており、その凸状部5dを輪郭とするバックバー5上面の領域によって、突合せ溶接される帯状金属薄板W1,W2を支持することができる。
尚、凹状部5cは、溝部5bの深さと同じ深さとしているが、溝部5bの深さよりも浅い深さとしても良い。また、凹状部5cは、線対称に配列しているが、互い違いに配列しても良い。更に、凹状部5cは、平面視において円弧状の輪郭形状としているが、平面視において角状、半楕円状等の他の形状としても良い。
そして、前記バックバー5は、下部治具テーブル4の凹所4a内に着脱自在に嵌め込み固定されており、バックバー5の上面が下部治具テーブル4の上面と面一になっている。このバックバー5によれば、帯状金属薄板W1,W2の突合せ溶接時には、凸状部5dの領域で突き合された帯状金属薄板W1,W2を支持して熱歪による段付きの発生を抑制すると共に、凹状部5cの箇所では帯状金属薄板W1,W2の接触がなく、帯状金属薄板W1,W2からバックバー5への熱伝導がないため、帯状金属薄板W1,W2の冷却速度を遅らせることにより冷却割れを抑制することができる。
前記センタープレート6は、薄板の鋼板により長尺板状に形成されており、図5に示す如く、下部治具テーブル4に形成したスリット状溝4c内及びバックバー5に形成したスリット状溝5a内に鉛直姿勢で且つ上下動自在に配設されている。このセンタープレート6は、下部治具テーブル4の下面に取り付けたプレート用シリンダ17により下部治具テーブル4内(又はバックバー5内)に収納される収納位置とセンタープレート6の上端部がバックバー5の上面から上方へ数ミリ程度突出する突出位置とに亘って上下動するようになっている。
前記左右のワーククランプ7は、図2〜図4、図6に示す如く、下部治具テーブル4の奥側部分の左右位置に上下動自在に配設されており、下部治具テーブル4に設けられ、ロッド18aが下部治具テーブル4の上面から突出する縦向き姿勢のクランプ用シリンダ18と、クランプ用シリンダ18のロッド18aに取り付けられ、下部治具テーブル4に支持載置された帯状金属薄板W1,W2の上面に当接し得るクランプ板19と、クランプ板19の下面に貼り付けたウレタン部材20とを備えている。
この左右のワーククランプ7によれば、クランプ用シリンダ18の伸長時には、クランプ板20と下部治具テーブル4の上面との間に帯状金属薄板W1,W2の側辺部を挿入できる間隙が形成され、また、クランプ用シリンダ18の短縮時には、クランプ板19が下降してクランプ板19の下面に貼り付けたウレタン部材20により帯状金属薄板W1,W2を下部治具テーブル4の上面へ保持固定するようになっている。
尚、図2〜図4において、21は継手、22はノックピンである。
前記左右の上部クランプ8は、キャビネット本体1内に収納されて下部治具テーブル4の上方位置で前後方向(帯状金属薄板W1,W2の幅方向)へ水平移動する溶接装置9の上部フレーム24の下面に、両帯状金属薄板W1,W2の幅方向に沿う姿勢で且つ所定の間隙を空けて対向状に配設されており、鋭角状に形成した先端部が両帯状金属薄板W1,W2の突合せ部近傍の上面へそれぞれ当接するようになっている。この左右の上部クランプ8は、両帯状金属薄板W1,W2の突合せ部を溶接する際に、主にアークの拡がりを遮断して両帯状金属薄板W1,W2の突合せ部にアークエネルギーを集中的に与えるものである。
具体的には、左右の上部クランプ8は、銅材により両帯状金属薄板W1,W2の幅よりも長めの長尺板状に形成されており、左右の上部クランプ8のうち、一方の上部クランプ8(図12の右側の上部クランプ8)を帯状金属薄板W1,W2の長手方向へ移動調整可能として左右の上部クランプ8の間隔を微調整できるようにし、また、他方の上部クランプ8(図12の左側の上部クランプ8)を上下方向へ揺動可能とし、上部クランプ8の先端部を複数の加圧バネ23により一方の帯状金属薄板W2の上面へ弾性的に当接させるようにしている。
即ち、一方の上部クランプ8は、図8、図11及び図12に示す如く、溶接装置9の上部フレーム24の下面にリニアガイド25(リニアガイド25は、案内レール及び案内レール上を摺動するスライダから成る)を介して帯状金属薄板W1,W2の長手方向へ水平移動自在に取り付けた調整ベース26の下面に水平姿勢で固定されており、上部フレーム24と調整ベース26との間に設けたクランプ幅調整機構27により調整ベース26を移動調整することによって、帯状金属薄板W1,W2の長手方向へ水平移動するようになっている。
従って、一方の上部クランプ8を水平移動させることによって、突合せ溶接する両帯状金属薄板W1,W2の厚みに応じて左右の上部クランプ8の間隔を調整することができる。
前記クランプ幅調整機構27は、図12に示す如く、調整ベース26の上面に固定した調整金具28と、調整金具28に埋設状態で且つ帯状金属薄板W1,W2の長手方向に沿う姿勢で正逆回転自在に支持され、先端部が上部フレーム24に螺挿された調整ボルト29(キャップボルト)と、上部フレーム24と調整金具28との間に介設され、調整ボルト29の弛み止めをすると共に、調整ベース26及び一方の上部クランプ8を他方の上部クランプ8から離間する方向へ付勢する圧縮コイルスプリング30とを備えており、調整ボルト29を正回転若しくは逆回転させると、調整ボルト29が一回転するごとに調整金具28及び調整ベース26が調整ボルト29に形成したネジのピッチ分だけ両帯状金属薄板W1,W2の長手方向へ移動するようになっている。
従って、調整ベース26の下面に固定した一方の上部クランプ8も、両帯状金属薄板W1,W2の長手方向へ移動し、左右の上部クランプ8の間隙が調整されることになる。
一方、他方の上部クランプ8は、図12に示す如く、溶接装置9の上部フレーム24の下面に固定した固定ベース31の下面に上部クランプ8の下面側から上部クランプ8に挿通したクランプ取付ボルト32により上下方向へ揺動自在に取り付けられており、クランプ取付ボルト32の頭部と当該頭部に当接する上部クランプ8の下面の一部とをそれぞれ湾曲面に形成してクランプ取付ボルト32の頭部と上部クランプ8を面接触状態とし、上部クランプ8を前記湾曲面を介して上下方向へ揺動させるようになっている。
また、他方の上部クランプ8は、固定ベース31と他方の上部クランプ8との間で且つ上部クランプ8の長手方向に沿って配設された複数の加圧バネ23(圧縮コイルスプリング)により下方へ付勢されており、鋭角状に形成した先端部が一方の帯状金属薄板W2の突合せ部近傍の上面へ弾性的に当接するようになっている。
前記溶接装置9は、下部治具テーブル4の上方位置に前後方向へ往復移動自在に配設されており、キャビネット本体1内に位置する待機位置と、下部治具テーブル4の上方に位置する溶接作業位置とを取り得るようになっている。この溶接装置9は、両帯状金属薄板W1,W2の突合せ溶接する際に前方へ引き出され、溶接用トーチ33が所定の速度で両帯状金属薄板W1,W2の突合せ部に沿って直線移動するようになっている。
即ち、溶接装置9は、図8〜図11に示す如く、キャビネット本体1に水平姿勢で配設したレール台34上にリニアガイド35(案内レール35a及び案内レール35a上を摺動するスライダ35bから成る)を介して前後方向へ往復移動自在に支持された略枠状の上部フレーム24と、上部フレーム24を待機位置と溶接作業位置とに亘って往復移動させるロッドレスシリンダ36と、上部フレーム24に両帯状金属薄板W1,W2の幅方向に沿って往復移動自在に支持され、先端部からシールドガスを流すと共に、タングステン電極棒33aを挿着した溶接用トーチ33と、溶接用トーチ33を両帯状金属薄板W1,W2の幅方向に沿って往復移動させるモータ37a、ラック37b及びピニオンギア(図示省略)等から成るトーチ走行用駆動装置37等から構成されている。
前記圧延装置10は、図13〜図15に示す如く、作業テーブル2に圧延台取付板38を介して帯状金属薄板W1,W2の幅方向に沿う姿勢で取り付けられ、一対の帯状金属薄板W1,W2の溶接部が支持載置されると共に、作業テーブル2の上面と略面一の角柱形状の圧延台39と、キャビネット本体1内に設けた圧延取付ベース40と、圧延取付ベース40にリニアガイド41(レール41a及びレール41a上を摺動するスライダ41bから成る)を介してスライド自在に支持され、圧延台39の上方位置に圧延台39に沿って往復走行自在に配設された圧延ベース42と、圧延ベース42にリニアガイド43(レール43a及びレール43a上を摺動するスライダ43bから成る)を介して上下動自在に支持されたローラ受け台44と、ローラ受け台44にローラ軸45を介して回転自在に支持され、圧延台39に支持載置された帯状金属薄板W1,W2の溶接部上を転動する圧延ローラ46と、圧延ベース42とローラ受け台44との間に設けられ、ローラ受け台44を圧延ベース42側へ加圧すると共に、その加圧力を調整できる加圧機構47と、シリンダチューブ48aの基端部がシリンダ取付金具49に取り付けられ、ロッド48bの先端部が圧延ベース42に連結されてリニアガイド43に沿う姿勢のスプリングリターンタイプの単動シリンダ48と、圧延ベース42の上面に取り付けられ、圧延ベース42を前後方向へ移動操作するグリップ50とを備えており、加圧機構47により圧延台39側へ向って加圧力が加えられている圧延ローラ46を一対の帯状金属薄板W1,W2の溶接部に沿って前後方向へ転動させて一対の帯状金属薄板W1,W2の溶接部を圧延加工するようにしたものである。
前記加圧機構47は、図16に示す如く、圧延ベース42とローラ受け台44との間に介設した圧縮コイルスプリング51と、圧延ベース42と圧縮コイルスプリング51との間に配設したスプリング押し金具52と、圧延ベース42に圧縮コイルスプリング51側へ移動自在に螺挿され、スプリング押し金具52を介して圧縮コイルスプリング51を圧縮操作する加圧ノブ53とを備えており、加圧ノブ53を回転操作して加圧ノブ53を上下動させ、スプリング押し金具52を介して圧縮コイルスプリング51の圧縮力を変化させることによって、圧延ローラ46の加圧力を調整できるようになっている。
次に、上述した帯状金属薄板の突合せ接合装置を用いてライン上を流れている先行の帯状金属薄板W1の終端に新しい後行の帯状金属薄板W2の始端を突合せ溶接により接合する場合について説明する。
先ず、切断装置3を作業テーブル2側へ引き出し、切断装置3により先行の帯状金属薄板W1の終端部と後行の帯状金属薄板W2の始端部とをそれぞれ幅方向に沿って一直線状に切断加工した後、切断装置3を後退させてキャビネット本体1内へ収納する。
次に、センタープレート6をプレート用シリンダ17により上昇させ、センタープレート6の上端部を下部治具テーブル4及びバックバー5の上面よりも上方へ突出させる。
センタープレート6を上方へ突出させたら、先行の帯状金属薄板W1の切断した終端面(切断端面)をセンタープレート6の一方の側面に押し当てると共に、先行の帯状金属薄板W1の終端部側辺を右側のワーククランプ7のクランプ板19の下方へ挿入し、先行の帯状金属薄板W1の終端側縁をスタートタブ16に押し当て、この状態で右側のワーククランプ7を作動させて先行の帯状金属薄板W1の終端部を右側のワーククランプ7により下部治具テーブル4の上面へ密着状に保持固定する。
その後、センタープレート6をプレート用シリンダ17により下降させて下部治具テーブル4内(又はバックバー5内)に収納し、後行の帯状金属薄板W2の切断した始端面(切断端面)を目視によって先に下部治具テーブル4の上面に保持固定した先行の帯状金属薄板W1の終端面に突き合せると共に、後行の帯状金属薄板W2の始端部側辺を左側のワーククランプ7のクランプ板19の下方へ挿入し、後行の帯状金属薄板W2の始端側縁をスタートタブ16に押し当て、この状態で左側のワーククランプ7を作動させて後行の帯状金属薄板W2の始端部を左側のワーククランプ7により下部治具テーブル4の上面へ密着状に保持固定する。
このとき、平盤状の下部治具テーブル4に左右のワーククランプ7を上下動自在に配設しているため、先行の帯状金属薄板W1の終端と後行の帯状金属薄板W2の始端とを下部治具テーブル4の上面で突き合せ固定するときに、先行の帯状金属薄板W1の終端部と後行の帯状金属薄板W2の始端部とが真っ直ぐな平板になった状態で両帯状金属薄板W1,W2の突き合せ固定を行える。
その結果、厚みの薄い幅広の帯状金属薄板W1,W2であっても、先行の帯状金属薄板W1の終端と後行の帯状金属薄板W2の始端との突き合せ作業を簡単に且つ正確に高精度で行え、両帯状金属薄板W1,W2の突合せ部の重なりやズレ、突合せ部の部分的な隙間が全くない理想的な突き合せを行える。
また、左右のワーククランプ7のクランプ板19の下面にウレタン部材20を貼り付けているため、両帯状金属板の表面が傷つくのを防止することができる。
そして、先行の帯状金属薄板W1の終端と後行の帯状金属薄板W2の始端とがバックバー5の上面で突き合せ固定されたら、溶接装置9の上部フレーム24を待機位置から溶接作業位置へ前進させ、左右の上部クランプ8を両帯状金属薄板W1,W2の突合せ部の上方位置へ移動させる。この状態で下部治具テーブル4をテーブル用シリンダ15により上昇させ、下部治具テーブル4の上面の高さ位置を固定状態になっている右側の上部クランプ8の下面の高さ位置と略同じ高さ位置にする。これにより、両帯状金属薄板W1,W2の突合せ部近傍が左右の上部クランプ8及び下部治具テーブル4により上下方向から挾持固定されることになる。
このとき、両帯状金属薄板W1,W2は、左右のワーククランプ7により切断端面同士が完全に突合された状態で下部治具テーブル4と一緒に上方へ持ち上げられるため、その切断端面同士が正確に且つ確実に突き合された状態で左右の上部クランプ8と下部治具テーブル4との間で緊密に挾持固定されることになる。
特に、左右の上部クランプ8のうち、一方の上部クランプ8を帯状金属薄板W1,W2の長手方向へ移動調整可能として左右の上部クランプ8の間隔を調整できるようにし、また、他方の上部クランプ8を上下方向へ揺動可能とし、上部クランプ8の先端部を加圧バネ23により一方の帯状金属薄板W2の上面へ弾性的に当接させるようにしているため、左右の上部クランプ8と下部治具テーブル4とで帯状金属薄板W1,W2の突合せ部近傍を上下方向から挟持するときに、一方の上部クランプ8の先端部下面を基準にして他方の上部クランプ8が加圧バネ23の作用により均一に帯状金属薄板W1,W2を押えることができる。
また、他方の上部クランプ8が溶接装置9の上部フレーム24の下面にクランプ取付ボルト32により上下方向へ揺動自在に取り付けられており、当該クランプ取付ボルト32の頭部と当該頭部に当接する上部クランプ8の下面の一部とをそれぞれ湾曲面に形成してクランプ取付ボルト32の頭部と上部クランプ8を面接触状態とし、上部クランプ8を前記湾曲面を介して上下方向へ揺動させるようにしているため、帯状金属薄板W1,W2の厚みに応じて左右のクランプ8の間隔を調整しても、左右の上部クランプ8と下部治具テーブル4とで帯状金属薄板W1,W2の突合せ部近傍を上下方向から挟持する際に、他方の上部クランプ8が動くと言うことがなく、左右の上部クランプ8の間隔を調整した寸法に確実に保つことができる。
両帯状金属薄板W1,W2の突合せ部近傍が左右の上部クランプ8及び下部治具テーブル4により上下方向から挾持固定されたら、溶接装置9の溶接用トーチ33を高さ調整した後、溶接用トーチ33のタングステン電極棒33a先端とスタートタブ16との間にアークを発生させる。アークが安定したら、この状態で溶接用トーチ33を帯状金属薄板W1,W2の幅方向に沿って移動させ、両帯状金属薄板W1,W2の突合せ部を突合せ溶接する。
両帯状金属薄板W1,W2の突合せ部の突合せ溶接が終了したら、アーク及びシールドガスが停止され、下部治具テーブル4が下降すると共に、溶接装置9が溶接作業位置から待機位置へ後退する。また、左右のワーククランプ7による両帯状金属薄板W1,W2の保持固定状態を解除する。これにより、突合せ溶接された両帯状金属薄板W1,W2は、フリーの状態となる。
最後に、フリーの状態になった両帯状金属薄板W1,W2は、手動式の圧延装置10によりその溶接部を圧延加工し、両帯状金属薄板W1,W2の溶接部の厚みや組織を均一化する。
このとき、圧延装置10は、圧延ローラ46の加圧力を調整できる加圧機構47を備えているため、帯状金属薄板W1,W2の厚みに関係なく、溶接部を確実且つ良好に圧延加工することができ、溶接部の厚みや組織を確実且つ良好に均一化することができる。
このように、上述した帯状金属薄板の突合せ接合装置は、厚みが薄い幅広の帯状金属薄板W1,W2であっても、先行の帯状金属薄板W1の終端と後行の帯状金属薄板W2の始端との突き合せ作業を簡単に且つ正確に高精度で行えるため、突合せ部の部分的な隙間や重なり、突合せ部のズレが全くない理想的な突き合せを行え、溶接部の穴あきや重なり不良がなくなり、作業員が初心者であっても、安定した精密な突合せ溶接を行える。
また、この帯状金属薄板の突合せ接合装置は、一方の上部クランプ8のみを移動調整して左右の上部クランプ8の間隔を帯状金属薄板W1,W2の厚みに応じて調整するようにしているため、左右の上部クランプ8を移動調整するようにした従来の突合せ接合装置に比較して作業性や取扱性、操作性に優れたものとなる。
1はキャビネット本体、2は作業テーブル、2aは開口、3は切断装置、4は下部治具テーブル、4aは溝状の凹所、4bは細幅溝、4cはスリット状溝、5はバックバー、5aはスリット状溝、5bは溝部、5cは凹状部、5dは凸状部、6はセンタープレート、7はワーククランプ、8は上部クランプ、9は溶接装置、10は圧延装置、11はタッチパネル、12はスイッチ、13は流量計、14は下部治具ベース、15はテーブル用シリンダ、16はスタートタブ、17はプレート用シリンダ、18はクランプ用シリンダ、18aはロッド、19はクランプ板、20はウレタン部材、21は継手、22はノックピン、23は加圧バネ、24は上部フレーム、25はリニアガイド、26は調整ベース、27はクランプ幅調整機構、28は調整金具、29は調整ボルト、30は圧縮コイルスプリング、31は固定ベース、32はクランプ取付ボルト、33は溶接用トーチ、33aはタングステン電極棒、34はレール台、35はリニアガイド、35aはレール、35bはスライダ、36はロッドレスシリンダ、37はトーチ走行用駆動装置、37aはモータ、37bはラック、38は圧延台取付板、39は圧延台、40は圧延取付ベース、41はリニアガイド、41aはレール、41bはスライダ、42は圧延ベース、43はリニアガイド、43aはレール、43bはスライダ、44はローラ受け台、45はローラ軸、46は圧延ローラ、47は加圧機構、48は単動シリンダ、48aはシリンダチューブ、48bはロッド、49はシリンダ取付金具、50はグリップ、51は圧縮コイルスプリング、52はスプリング押し金具、53は加圧ノブ、W1は先行の帯状金属薄板、W2は後行の帯状金属薄板。

Claims (5)

  1. 幅方向に沿って切断した一対の帯状金属薄板(W1),(W2)の切断端同士を突き合せ、突き合せた一対の帯状金属薄板(W1),(W2)を押圧した状態で一対の帯状金属薄板(W1),(W2)の突合せ部を溶接装置(9)により突合せ溶接する帯状金属薄板の突合せ接合装置であって、一対の帯状金属薄板(W1),(W2)の端部を支持載置する上下動可能な下部治具テーブル(4)と、下部治具テーブル(4)の上面に帯状金属薄板(W1),(W2)の幅方向に沿う姿勢で嵌め込み固定され、下部治具テーブル(4)の上面と面一になるバックバー(5)と、バックバー(5)にバックバー(5)の上面から突出可能に挿通され、帯状金属薄板(W1),(W2)の切断端の位置決めを行うセンタープレート(6)と、下部治具テーブル(4)に上下動可能に配設され、一対の帯状金属薄板(W1),(W2)の端部をそれぞれ下部治具テーブル(4)の上面へ密着状態で保持固定する左右のワーククランプ(7)と、下部治具テーブル(4)の上方に間隔を空けて対向状に配設され、一対の帯状金属薄板(W1),(W2)の突合せ部近傍を下部治具テーブル(4)とで上下方向から挟持固定する左右の上部クランプ(8)とを備え、前記左右の上部クランプ(8)のうち、一方の上部クランプ(8)を帯状金属薄板(W1),(W2)の長手方向へ移動調整可能として左右の上部クランプ(8)の間隔を調整できるようにし、また、他方の上部クランプ(8)を上下方向へ揺動可能とし、当該上部クランプ(8)の先端部を加圧バネ(23)により一方の帯状金属薄板(W1),(W2)の上面へ弾性的に当接させるようにしたことを特徴とする帯状金属薄板の突合せ接合装置。
  2. 前記一方の上部クランプ(8)は、下部治具テーブル(4)の上方位置で帯状金属薄板(W1),(W2)の幅方向に沿って往復移動自在な溶接装置(9)の上部フレーム(24)の下面に帯状金属薄板(W1),(W2)の長手方向へ移動調整可能に取り付けた調整ベース(26)の下面に固定され、上部フレーム(24)と調整ベース(26)との間に設けたクランプ幅調整機構(27)により帯状金属薄板(W1),(W2)の長手方向へ移動可能となっており、前記クランプ幅調整機構(27)は、調整ベース(26)の上面に設けた調整金具(28)と、調整金具(28)に埋設状態で正逆回転自在に支持され、先端部が上部フレーム(24)に螺挿された調整ボルト(29)とを備え、調整ボルト(29)の正逆回転により一方の上部クランプ(8)が調整金具(28)及び調整ベース(26)を介して帯状金属薄板(W1),(W2)の長手方向へ移動する構成としたことを特徴する請求項1に記載の帯状金属薄板の突合せ接合装置。
  3. 前記他方の上部クランプ(8)は、下部治具テーブル(4)の上方位置で帯状金属薄板(W1),(W2)の幅方向に沿って往復移動自在な溶接装置(9)の上部フレーム(24)の下面に上部クランプ(8)の下面側から挿通したクランプ取付ボルト(32)により上下方向へ揺動自在に取り付けられており、クランプ取付ボルト(32)の頭部と当該頭部に当接する上部クランプ(8)の下面の一部とをそれぞれ湾曲面に形成してクランプ取付ボルト(32)の頭部と上部クランプ(8)を面接触状態とし、上部クランプ(8)を前記湾曲面を介して上下方向へ揺動させるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の帯状金属薄板の突合せ接合装置。
  4. 帯状金属薄板の突合せ接合装置は、一対の帯状金属薄板(W1),(W2)の溶接部を圧延加工して溶接部の厚み及び組織を均一化する圧延装置(10)を更に備えており、前記圧延装置(10)は、一対の帯状金属薄板(W1),(W2)の溶接部が支持載置される圧延台(39)と、圧延台(39)の上方位置に圧延台(39)に沿って往復走行自在に配設された圧延ベース(42)と、圧延ベース(42)に上下動自在に支持されたローラ受け台(44)と、ローラ受け台(44)に回転自在に支持され、圧延台(39)に支持載置された帯状金属薄板(W1),(W2)の溶接部上を転動する圧延ローラ(46)と、圧延ベース(42)とローラ受け台(44)との間に設けられ、ローラ受け台(44)を圧延ベース(42)側へ加圧すると共に、その加圧力を調整できる加圧機構(47)とを備えていることを特徴とする請求項1に記載の帯状金属薄板の突合せ接合装置。
  5. 前記加圧機構(47)は、圧延ベース(42)とローラ受け台(44)との間に介設した圧縮コイルスプリング(51)と、圧延ベース(42)と圧縮コイルスプリング(51)との間に配設したスプリング押し金具(52)と、圧延ベース(42)に圧縮コイルスプリング(51)側へ移動自在に螺挿され、スプリング押し金具(52)を介して圧縮コイルスプリング(51)を圧縮操作する加圧ノブ(53)とを備えていることを特徴とする請求項4に記載の帯状金属薄板の突合せ接合装置。
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