以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための光学式情報読取装置を例示するものであって、本発明は光学式情報読取装置を以下のものに特定しない。また、本明細書は特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。特に実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。
本発明の実施例において使用される光学式情報読取装置とこれに接続される操作、制御、表示、その他の処理等のためのコンピュータ、プリンタ、外部記憶装置その他の周辺機器との接続は、例えばIEEE1394、RS−232xやRS−422、RS−423、RS−485、USB等のシリアル接続、パラレル接続、あるいは10BASE−T、100BASE−TX、1000BASE−T等のネットワークを介して電気的、あるいは磁気的、光学的に接続して通信を行う。接続は有線を使った物理的な接続に限られず、IEEE802.1x等の無線LANやBluetooth(登録商標)等の電波、赤外線、光通信等を利用した無線接続等でもよい。さらにデータの交換や設定の保存等を行うための記録媒体には、メモリカードや磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリ等が利用できる。なお本明細書において光学式情報読取装置とは、光学式情報読取装置本体のみならず、これにコンピュータ、外部記憶装置等の周辺機器を組み合わせた印字品質評価システムも含む意味で使用する。
(実施例1)
以下、本発明の実施例1に係る光学式情報読取装置として、ハンディターミナルに適用した例を、図1〜図8に基づいて説明する。これらの図において、図1は実施例1に係る光学式読取装置を示す斜め上方から見た斜視図、図2は図1の光学式情報読取装置100を底面側からみた斜視図、図3は図1の光学式情報読取装置100の平面図、図4は図1の光学式情報読取装置100の底面図、図5は図1の光学式情報読取装置100の側面図、図6は図1の光学式情報読取装置100の筐体10を上ケース11と下ケース12に分割した分解斜視図、図7は図6の光学式情報読取装置100の内部をさらに分解した分解斜視図、図8は図5の光学式読取装置の垂直断面図を、それぞれ示している。
図1〜図5に示す光学式情報読取装置100は、外形を一方向に延長された板状としている。光学式情報読取装置100の外形を構成する筐体10は、図6の分解斜視図に示すように、上ケース11と下ケース12に2分割される。上ケース11と下ケース12は、樹脂などの絶縁部材で構成される。これら上ケース11と下ケース12の間には、各部材を纏めたシャーシ集合体20が収納される。このシャーシ集合体20は図7に示すように、複数の部材で構成されている(詳細は後述)。また図6、図7の分解斜視図及び図8の垂直断面図等に示すように、筐体10の先端部分には、読取対象のシンボルの光学的読取を行うための読取部22が設けられている。読取部22は、バーコードを読み取るスキャンモジュールや二次元コードを読み取るカメラモジュールなどで構成される。
筐体10の上ケース11側の上面には、ディスプレイ部30と、キー配置部40が設けられる。またディスプレイ部30は筐体10の上方に設けられており、ディスプレイ部30の下方にはキー配置部40が設けられる。この筐体10は、ディスプレイ部30を設けた表示部分DAと、表示部分DAの下方に設けられた把持部分HAとで構成している。ユーザは、把持部分HAを手で把持して、表示部分DAに設けられたディスプレイの表示内容を参照しながら、把持部分HAの表面側に配置されたキー配置部40の各操作キー46を操作する。
また筐体10は、その表面側にディスプレイ部30を設けた表示部分DAと、表示部分DAの下方において、同じく表面側にキー配置部40を設けた把持部分HAとが一方向に並ぶように構成されている。また後述するように、筐体10は平面視において表示部分DAを幅広とし、把持部分HAを幅狭とする一方、側面視においては、把持部分HAを厚くしている。特に把持部分HAは、表示部分DAよりも平面視において一方向と略直交する方向の外径が幅狭となるように形成されている。一方でバッテリ部50は、筐体10の背面側に収納される。
(ディスプレイ部30)
ディスプレイ部30は、筐体10の一面に設けられ、読取対象のシンボルをカメラ部で撮像した画像や、シンボルを復号化した情報、その他の設定情報といった各種の情報を表示するための部材である。このようなディスプレイ部30には、液晶ディスプレイ部(LCD)や有機ELなどが利用される。またディスプレイ部30の上面には、タッチパネル34が配置される。
(キー配置部40)
キー配置部40には、各種の操作を行うテンキーや電源ボタン、ファンクションボタンといった複数の操作キー46が並べられている。
(バッテリ蓋58)
また光学式情報読取装置100は、これを駆動する電力を供給するためのバッテリ部50を備えている。バッテリ部50は、光学式情報読取装置100に着脱自在に装着している。このため、図9、図10の分解斜視図に示すように、筐体10の背面に、バッテリ部50を収納するためのバッテリ収納部13を形成している。バッテリ収納部13は、筐体10の把持部分HAに設けられる。またバッテリ収納部13は、バッテリ部50を収納できる窪み状に形成されている。このバッテリ収納部13の窪み状の開口部分は、バッテリ蓋58によって閉塞される。このためバッテリ蓋58は、筐体10の下ケース12に着脱自在に装着している。またバッテリ蓋58でバッテリ収納部13を閉塞した状態で防水性を発揮するよう、図7の分解斜視図に示すようにパッキン57を設けることもできる。
(ロックボタン59)
バッテリ蓋58は、着脱自在に下ケース12に固定される。バッテリ蓋58でバッテリ収納部13を閉塞した状態にロックするため、下ケース12はロックボタン59を備えている。ロックボタン59は、バッテリ蓋58をロック状態とするロック位置と、バッテリ蓋58のロック状態を解除したロック解除位置とに切り替え可能としている。図2はロックボタン59をロック位置とした状態、図11はロック解除位置とした状態を、それぞれ示している。このようにロックボタン59の位置によって、バッテリ蓋58のロック状態を目視できる。この例ではロックボタン59はスライド式にロック位置とロック解除位置とを切り替え可能であり、後述する凹部14からその前方の突出部分15にかけて設けられている。すなわち、ロックボタン59はその移動方向と交差する方向に折曲した押圧面59bを有しており、この押圧面59bを押してロック位置、解除位置に移動できる。図8の断面図に示す例では、ロックボタン59は断面視凸状に下側に突出するよう形成されている。このようにロックボタン59は、スライドする方向と交差する押圧面59bを有しているので、ロック位置、解除位置のいずれの方向へ移動させる際も、押圧面59bを押圧してスライドさせ易くできる。特に従来のスライド式ロックボタンは、スライド方向に平行な面のみを表出させた形態であったため、この面を指で押圧して摩擦によってスライドさせる必要があり、移動させ難い問題があったが、移動方向に交差する押圧面59bを設けたことで、摩擦によらず押圧力を直接スライド移動させる力とでき、弱い力でも確実にロックボタンを操作できるという利点が得られる。
特に上記の光学式情報読取装置100では、ロックボタン59を凹部14に面した突出部分15に設けたことで、この凹部14の窪み部分を利用して、ロックボタン59の押し出し可能な押圧面59bを表出させることを実現している。このように、凹部14をユーザによる光学式情報読取装置100の握り易さのみならず、バッテリ蓋58の開閉の便にも資するように利用できる。また図2、図8等の例では、押圧面59bを傾斜させた面としており、凹部14と突出部分15との境界をなだらかにして、ユーザが把持した際のグリップ感をスムーズにしている。
さらにロックボタン59は、図2及び図4に示すように、突出部分15の幅方向にわたる全域に設けられるのでなく、突出部分15の中央近傍に設けられている。いいかえると、突出部分15において、ロックボタン59を配置した部分の両側には、突出部分15の一部を残している。この結果、図11に示すようにロックボタン59をロック解除位置にスライドさせた状態で、突出部分15の傾斜面が、押圧面59bの移動によって中央部分で窪み、その両側には傾斜面が残る状態となる。このように、突出部分全体をロックボタン59とするのでなく、その一部とし、かつロックボタン59の両側に突出部分15を残すことで、光学式情報読取装置100の使用時に誤ってロックボタン59をロック解除位置に移動させる事態を防止できる。すなわち、後述する図14に示すとおり、ユーザが光学式情報読取装置100を用いてバーコードの読み取りを行っている際、ユーザの人差し指等は上述した凹部14に位置する。この状態で、ユーザがロックボタン59をロック解除位置にスライドさせようと思っても、物理的に困難となる。すなわち、凹部14に位置する人差し指等でロックボタン59を押し上げようとしても、ロックボタン59の両側に突出部分15の傾斜面が存在するため、これが人差し指等に当接して、ロックボタン59の押圧面59bに押圧力を加えることを困難にする。このように、ロック機構を解除する動作を、光学式情報読取装置100の通常使用時、例えばスキャン操作やキー操作をしている際に行うことを、物理的に困難な構成を採用することで、使用中に不意にロック機構が解除されてバッテリ部が外れる事態を回避できる。なお、図2等の例では、突出部分15の略中央にロックボタン59を設けているが、ロックボタンの両側に突出部分が残っておれば上記効果が発揮できるので、必ずしも中央である必要はなく、突出部分の中間部分であれば足りる。すなわち、ロックボタン59をロック位置からロック解除位置に位置させた状態で、突出部分15の中間が窪むように配置されておればよく、例えば突出部分の中心から偏心した位置にロックボタンを設けてもよい。
(バッテリ部50)
次にバッテリ部50の外観斜視図を図12に、垂直断面図を図13に、それぞれ示す。これらの図に示すバッテリ部50は、充電可能な二次電池を備えている。ここでは、二次電池として円筒形の二次電池セル51を用いている。一般に光学式情報読取装置は、小型化、薄型化が求められているため、角型電池が用いられることが多い。言い換えると、厚さが厚くなる円筒形二次電池は忌避されていた。ただ、ユーザが光学式情報読取装置を把持する際の持ちやすさについて、本願発明者が検討したところ、単に薄型化するのみならず、平面視における横幅が小さいことも重要となることが判明した。寧ろ、薄くて幅広の板状は、却って持ち難いこともある。そこで本実施例では、敢えて角型電池でなく円筒形二次電池を採用することで、厚さを若干厚めにしつつも、横幅を狭くすることで、把持部分HAを板状から棒状に近付けている。このような把持部分HAとすることで、把持部分HAの厚みが若干増しても、持ちやすさの低下を防いでいる。
(曲面突出部分RP)
さらに把持部分HAの背面は、図14の側面図及び図15の横断面図に示すように、円筒形二次電池セル51の円筒形状に沿って、部分的に突出させた曲面状としている。このように筐体10の背面に突出した曲面を設けることで、把持部分HAが部分的に厚くなっても却って握りやすくでき、グリップ感を一層向上させることができる。すなわち、把持部分HAの背面を単に平坦面とした従来の構成と比べ、中央を凸状に突出させた曲面突出部分RPを設けたことで、ここをユーザが把持する際の握りやとっかかりとして利用でき、横幅を狭くしたこととも相俟って、グリップ感の向上に寄与することができる。
円筒形二次電池セル51は、図8の垂直断面図に示すように、その軸芯が筐体10の長手方向と略平行となる姿勢に配置される。このため曲面突出部分RPも、筐体10の長手方向に沿うように形成される。また、図16の模式図に示すように、円筒形二次電池セル51の一部が、ディスプレイ部30の一部と重なるように配置している。このように配置することで、光学式情報読取装置の筐体10の、長手方向の長さを短くでき、ひいては持ちやすさとキー操作性を高めることができる。すなわち、従来は薄型化やディスプレイ保護の観点から、ディスプレイ部と電池セルを重ねて配置することが避けられてきたところ、本実施例に係る光学式情報読取装置においては、あえて電池セルをディスプレイ部と部分的に重複するように配置することで、筐体10の長さを短くし、表示部分DAと把持部分HAとを近付けることで操作性を改善している。なお図8の垂直断面図に示すように、バッテリ部50はディスプレイ部30と部分的に重なるように配置されているため、バッテリ部50は把持部分HAのみならず、把持部分HAから表示部分DAの一部にかけて配置されている。
(円筒形二次電池セル51)
円筒形二次電池セル51は、外装缶を円筒状として、内部に電極板やセパレータなどを収納している。この構造の円筒形二次電池セル51は、角型電池セルに比べて収納効率に優れており、容量密度を向上できる利点が得られる。また、充放電の繰り返しによって外装缶の内部にガスが発生して高圧になっても、円筒形の外装缶の内面に対して均一に圧力が印加されるため、角型電池に比べて外装缶の膨らみによる変形も抑制でき、長期に渡って安定的に利用できる。さらに、例えばパソコン用などで普及している18650型のリチウムイオン二次電池は、規格化され大量生産されているため、安価で入手しやすいという利点も得られる。
さらにバッテリ部50の二次電池に、円筒形二次電池セル51を使用することで、角型電池を用いる例と比べ、把持部の形状を、側面視において厚く、かつ平面視において幅狭とできる。この結果、幅広で薄型の把持部よりも棒状に近付けた形状として、把持しやすさを改善できる。特に図3に示すように、表示部分DAを幅広とすることでディスプレイ部30を大きくでき、視認性を高めつつも、把持部分HAは幅狭として細身とすることで、ユーザが把持し易くできる。これによって、把持し易さと見易さとを両立できる。特に、把持部分HAが多少厚型化しても、平面視を幅狭とすることでグリップ感を向上でき、把持しやすさを改善できる利点が得られる。また幅狭の筐体10とすることで容積の小型化を維持できる利点も得られる。
なおこの例では、円筒形二次電池セル51を1本のみ使用しているが、2本以上用いてもよい。例えば円筒形二次電池セルを2本平行姿勢に並べて収納したバッテリ部を用いた場合、曲面突出部分は、断面形状がトラック形状となる。またこの例ではバッテリ部を着脱式とした例を説明しているが、これに限らず、バッテリ部を交換不可能な内蔵式とすることもできる。
(凹部14)
さらに図5の側面図に示すように、筐体10の背面側において、バッテリ部50を配置した部分よりも表示部分DA側に、凹部14を形成している。この凹部14は、図4の底面図に示すように、下ケース12の背面で、曲面突出部分RPの幅方向にわたって形成される。また凹部14の断面形状は、図14の側面図に示すように、ユーザが把持部分HAを把持した状態で、指をかけやすくなるよう、断面視を曲面状に形成している。これによって、把持部の握りやすさが一層向上される。凹部14に掛ける指は、例えばユーザの手が大きい場合は中指、手が小さい場合は人指し指等とできる。この凹部14は、把持部分HAと表示部分DAとの境界近傍で、表示部分DA側に形成される。
また凹部14は、光学式読取装置の重心よりも前に位置させることが好ましい。これによって、ユーザが凹部14に指をかけた状態で、ここを支点としてバランスよく把持し、光学式読取装置の姿勢をコントロールし易くして操作を容易にできる。例えばユーザが人差し指を凹部14にかけると、重心よりやや前で筐体10を保持でき、前方に倒れることを防止し、適切な姿勢とバランスを保持できるので、片手でも安定して保持しやすくできる。
(第二突出部分16)
さらに筐体10の背面には、図4の底面図及び図5の側面図に示すように、先端側に第二突出部分16を形成している。この突出部分は、表示部分DAの背面側において、把持部の背面側の曲面突出部分RPと同じか、これよりも高く突出させている。
本実施例は、円筒形二次電池セル51を用いるため、通常の角型電池を用いた光学式読取装置に比べて把持部分HAが厚くなる。このため、表示部分DAを設けた部分が相対的に薄くなる結果、図17に示すように側面視の形状が底面がフラットにならず、光学式読取装置を床面に置くと水平にならないという問題が生じる。
そこで、図14、図16などに示すように、下ケース12の上側の裏面に第二突出部分16を形成することで、光学式情報読取装置100を床面に置いた際に、この第二突出部分16が接触するようにして、前後に傾くことなく、水平姿勢で安定的に保持される。
また第二突出部分16は、曲面突出部分RPと交差する姿勢に形成する。ここでは、図4の底面図に示すように、曲面突出部分RP、すなわち円筒形二次電池セル51の長手方向とほぼ直交する姿勢としている。このようにすることで、光学式読取装置の背面の中心に円筒形二次電池セル51の頂部に沿って曲面突出部分RPが突出されていても、光学式読取装置を床面に置いた状態で第二突出部分16が接触するので、左右に傾くことなく、水平姿勢で静置できる。第二突出部分16は、ある程度の幅に形成されるが、下ケース12の幅全体にわたって延長する必要は必ずしもない。
加えて、このような第二突出部分16を設けることで筐体10内部に生じる空間を、読取部22を配置するスペースとして利用している。この例では図8の断面図に示すように、第二突出部分16を側面視で逆三角形状に形成し、読取部22の読取面を、この逆三角形を構成する先端側の傾斜面に面するように配置している。このように、読取面を斜めに設けることで、スキャンしやすい光学式情報読取装置とできる。また、第二突出部分16の幅は、読取部22の幅に応じて設計できる。
さらにこの例では、第二突出部を読取部22と下ケース12との間に隙間GP1、GP2を設けることにも利用している。すなわち、図16の模式断面図に示すように、読取部22を下ケース12の内面と密着させず、敢えて空間を設けることで、光学式情報読取装置を誤って落下させた際などに、筐体10に加わる衝撃が読取部22に直接伝達してこれを破損する事態を回避できる。特にスキャンモジュールは光学部品を備えており、その角度設定などが衝撃で狂うことのないような手当が必要となる上、筐体10の裏面側で突出する第二突出部分16は、落下した際に最初に床面などに触れて衝撃を受けやすい。このため、スキャンモジュール等の読取部22と下ケース12とを接触させず浮かせた構造とすることで、下ケース12に加えられた衝撃が直接読取部22に伝達する事態を回避できる。さらに読取部22は、後述する第二フレーム62に固定させており、第二フレーム62のフローティング構造によっても耐衝撃を向上できる。
(バッテリケース52)
再びバッテリ部50の説明に戻ると、バッテリ部50は図13の断面図に示すように、円筒形二次電池セル51を収納するバッテリケース52を備えている。バッテリケース52は図12の外観斜視図に示すように、全体を円筒形二次電池セル51の円筒状に沿った蒲鉾状に形成しつつ、筐体10のバッテリ収納部13に収納される際に対向する面をほぼ平面状としている。このバッテリケース52は、図10及び図18の光学式情報読取装置100を背面から見た分解斜視図に示すように、ほぼ平面状の面を筐体10に対向させた姿勢で、バッテリ収納部13に収納する。
(電池側回路基板54)
さらに平面状の対向面には、図13の断面図に示すように段差部55を設けている。この段差部55には、電池側回路基板54が収納されている。電池側回路基板54は、円筒形二次電池セル51と接続されており、その制御を行う。例えば、セル電圧や温度等を検出して、安全に充放電が行われている状態にあるかどうかを監視している。
(段差部55)
さらに段差部55は、バッテリ部50を筐体10に収納した状態で、ディスプレイ部30と重ならない位置に設けられる。このようにすることで、円筒形二次電池セル51とディスプレイ部30とを重ねた部位に、さらに電池側回路基板54が位置することで光学式情報読取装置の厚さが増すことを回避できる。特にこの例では、電池側回路基板54を、電池の上面で電池の長さ方向にわたって設けるのでなく、長さを短くして、円筒形二次電池セル51の上面で、長手方向の一部を覆うようにしている。これによって、円筒形二次電池セル51とディスプレイ部30と重なった構成を採用しつつも、この重なり領域OLから電池側回路基板54の配置位置をずらすことにより、不必要に光学式情報読取装置が厚型化する事態を回避できる。
(バックアップ用電池56)
図8の断面図に示す例では、円筒形二次電池セル51の先端側でディスプレイ部30とオーバーラップさせた重なり領域OLを設け、一方円筒形二次電池セル51の後端側で、段差部55を設けている。この結果、図19の模式断面図に示すように、重なり領域OLと段差部55との間に、さらに空間が生じる。そこで、この空間を利用して、バックアップ用の電池56を配置している。バックアップ用電池56は、円筒形二次電池セル51の残容量がなくなった際や交換時にも設定データを保持するための電池であり、ボタン電池やリチウムイオン電池等が利用できる。図18の分解斜視図に示す例では、円盤状のリチウムイオン電池を利用しており、この電池の外形に沿った円形の枠体を段差部55と重なり領域OLとの間に形成している。このように、筐体10内の空間を有効利用してバックアップ用電池56を配置でき、筐体10の大型化を回避できる。
(ベルト60)
また筐体10の背面には、図21の斜視図及び図22の分解斜視図に示すように、長手方向に沿ってベルト60を設けることもできる。ベルト60は、ユーザが筐体10の把持部分HAを把持したときに、ユーザの指を筐体10の後面に保持する。これにより、作業中に誤って筐体10を落とし難くできる。このベルト60は、バッテリ蓋58Aに固定することが好ましい。すなわち従来は、図20の模式側面図に示すように、バッテリ蓋58Xの上下を跨ぐようにベルト60Xを下ケース12Xに固定していたため、バッテリ蓋58Xの取り外しの際にベルト60Xが邪魔になって作業し辛いという問題があった。これに対して、バッテリ蓋58Aにベルト60を固定することで、バッテリ蓋58Aと共にベルト60も外れて、作業を妨げることがなくなる。このようにベルト60をバッテリ蓋58Aと一体にすることで、バッテリ蓋58Aの着脱をベルト60が邪魔することなく、バッテリ部50のスムーズな交換が可能となる。また図21及び図22の例では、バッテリ蓋のみを交換することで、既存の光学式情報読取装置に対して、ベルトを付加できる。
なおこの例ではベルト60の両端をバッテリ蓋58Aに固定しているが、ベルトの一方の端部のみをバッテリ蓋に固定し、他方の端部を筐体に固定するようにしてもよい。例えば図23(a)の斜視図に示すように、ベルト60Bの後端を筐体10Bの端部に固定することで、バッテリ蓋58Bのロック状態を解除してバッテリ蓋58Bを外すことができる。この構成であれば、バッテリ蓋58Bが筐体10Bと常に連結されているため、バッテリ蓋58Bの紛失を回避できる。またベルトの下端を筐体に固定する構成に限らず、図23(b)の斜視図に示す変形例のように、ベルト60Cの上端を筐体10Cに固定し、下端をバッテリ蓋58Cに固定しても、同様の効果が得られる。またベルトは、ベルトと筐体との間にユーザが手を挿入できるよう、筐体と離間させた姿勢で固定することが望ましい。例えば図23(a)の例では、ベルト60Bの両端を支持するためにバッテリ蓋58B及び筐体10Bから、アームを突出させている。一方図23(b)の例では、ベルト60Cの上端側を筐体10Cの第二突出部分に固定することで、アームを設けることなくベルト60Cと筐体10Cとを離間させている。
(バッテリ蓋を一体化したバッテリ部50B)
なお、上記の例では、バッテリ部50を光学式読取装置に収納する形態、すなわち、バッテリ部50を光学式読取装置のバッテリ収納部13にセットした状態で、バッテリ蓋58でバッテリ収納部13を閉塞する形態としている。ただ、本発明はこの形態に限られず、バッテリ蓋をバッテリ部に一体化する形態としてもよい。このような例を図24に示す。この図に示すバッテリ部50Bは、バッテリ蓋を予め固定しており、バッテリ部50Bをバッテリ収納部13Bにセットした状態で、バッテリ収納部13Bが閉塞される。この構成であれば、バッテリ部50Bの交換の際に一々バッテリ蓋を取り外し、再度装着する手間を省き、バッテリ交換作業を省力化できる。またバッテリ部50Bの交換の際にバッテリ蓋を失う事態も回避できる。このバッテリ部50Bは、バッテリ蓋を背面に固定しているが、バッテリ部のバッテリケースの一部が、光学式読取装置の筐体の一部を構成するように、バッテリケースを形成することもできる。またいずれの場合も、ベルトをバッテリ部に装着できることは言うまでも無い。
(シャーシ集合体20)
次に、筐体10の内部に収納されるシャーシ集合体20の詳細構造を図6〜図7、図25〜図29等に基づいて説明する。これらの図において、図6は筐体10を上ケース11と下ケース12に分割した分解斜視図、図7は図6からさらに分解した詳細な分解斜視図、図25はシャーシ集合体20の平面図、図26はシャーシ集合体20からディスプレイ部30を外した状態を示す分解斜視図、図27は図26の第一フレーム24から各部材を外した状態を示す分解斜視図、図28は図27を背面から見た分解斜視図、図29は第二フレーム62の底面図を、それぞれ示している。
上述の通り、円筒形二次電池セル51とディスプレイ部30とを重ねた配置とすると、外部からの衝撃によって電池セルの隅部がディスプレイ部30に接触する可能性があり、耐衝撃性が低下する虞がある。そこで、本実施例では第一フレーム24を、ディスプレイの周囲を囲む隔壁状の枠体25を設けることで、堅牢性を高めている。
(第一フレーム24)
第一フレーム24は、図25、図26、図27、図28などに示すように、板状のディスプレイ部30の周囲を覆う枠体25を形成している。枠体25は、その内形をディスプレイ部30の外形とほぼ等しいか、これよりも若干大きくした形状に形成される。特に枠体25の高さは、ディスプレイ部30の厚さよりも若干大きくすることで、ディスプレイ部30が直接落下時の衝撃等に晒されないように保護できる。またディスプレイ部30と枠体25の間には、スポンジやゴムのような衝撃吸収部材を配置して隙間を埋めると共に、耐衝撃性を向上させる。
さらに、枠体25の後端には、キー配置部40を下支えするためのキー配置プレート28を一体に構成している。また第一フレーム24は金属製等の、十分な強度を有する高剛性の材質とする。ここでは、第一フレーム24をマグネシウム合金製として、十分な強度を発揮しつつ軽量として携行性を高めている。このように、シャーシ集合体20の全体を形成するフレームとして第一フレーム24を高剛性の部材で一体に形成することで、耐衝撃性を高める効果が得られる。特に図30に示すように、筐体10の内部において複数のフレーム24Eに分割される構成が一般的であるため、このような分割式の構成に比べて、筐体10の全長にわたって一体的に構成されたコアとなるフレームを設け、さらに高剛性の部材とすることで、耐衝撃性は各段に向上される。加えて、枠体25でディスプレイ部30の周囲を覆うことで、この枠体25を隔壁として他の部材と隔離し、ディスプレイ部30を外部から保護する。さらに第一フレーム24は、図27、図28の分解斜視図に示すように、枠体25の底側にも、枠状の周囲に沿って底面板26を設けており、枠体25に収納されるディスプレイ部30を底面から支承する。底面板26は、枠体25の矩形状の四隅の部分で広くなるよう、八角形状に形成され、中央は開口させている。このような形状とすることで、枠体25の隅部を補強して強度の向上にも寄与し得る。
また底面板26は、ディスプレイ部30と円筒形二次電池セル51との重なり領域OLにも設けられる。これによって、落下などにより衝撃が加えられた際、円筒形二次電池セル51からディスプレイ部30を保護して、このような重複した配置でもディスプレイ部30の破損を回避できる。加えて第一フレーム24は、底面板26の一部で、ディスプレイ部30と円筒形二次電池セル51との重なり領域OLにおける底面板27の高さを、他の底面板26よりも深くしている。図8の断面図に示す例では、重なり領域OLにおける底面板27は円筒形二次電池セル51に当接させつつ、ディスプレイ部30の底面からは離間させている。これによって、円筒形二次電池セル51からディスプレイ部30側への衝撃力を弱める緩衝領域が形成され、耐衝撃性が一層高められる。
また第一フレーム24の裏面側には、図27、図28の分解斜視図に示すように、主回路基板36と、第二フレーム62と、読取部22が配置される。第二フレーム62は、主回路基板36と読取部22を固定するための部材である。また主回路基板36には、光学式情報読取装置の動作を制御する制御回路が実装されている。主回路基板36は、読取部22や後述するキー回路基板44とフレキシブル基板(FPC)やケーブル(FFC)等を介して電気的に接続されている。
(読取部22)
読取部22は、この例ではバーコードを読み取るためのスキャンモジュールである。スキャンモジュールは、バーコードを走査するための読取光源としてレーザダイオードやガルバノミラーを備えている。また、二次元コードの読取には、CCDイメージ素子等の撮像素子と照明手段を備えたカメラモジュールが利用される。この光学式情報読取装置は、スキャンモジュールとカメラモジュールのいずれかを選択することで、バーコードリーダとしても、二次元コードリーダとしても利用できる。このため、スキャンモジュールとカメラモジュールは、外形を共通化して、同じ第二フレーム62に固定できるように構成することが好ましい。
また読取部22は、図8の断面図に示すように、筐体10の水平方向に対して斜めに固定されている。このように読取部22を傾斜させることで、ユーザが光学式情報読取装置100を把持して読取作業を行う際、例えば二次元シンボルを読み取る際に、カメラモジュールで撮像した画像をリアルタイムでディスプレイ部30に表示させながら、撮像位置の確認作業を行いやすくしている。同様にバーコードのスキャンにおいても、照射位置の確認が容易となる。このような傾斜角度αは、例えば30°とする。
(第二フレーム62)
読取部22は、第二フレーム62に固定される。このため第二フレーム62には、図29の底面図に示すように、読取部22を収納する読取モジュール収納部63が形成される。この第二フレーム62は、開口や突起などを設けた板材64の一部(図29において左上)に、読取モジュール収納部63を形成している。読取モジュール収納部63は、読取部22の外形に応じた箱形に形成される。また、読取部22を所定の傾斜角度で保持するよう、読取モジュール収納部63の底面を傾斜させている。特に図8の断面図及び図16の模式断面図に示すように、読取部22を下ケース12から離間させつつ、読取部22が読み取り走査を行う読取面を斜めに保持する必要がある。このため第二フレーム62の読取モジュール収納部63は、読取部22が所定の傾斜角度と高さで筐体10内に保持されるよう、その形状にて姿勢と位置を規定する。いいかえると、読取部22を読取モジュール収納部63に収納することで、読取部22は位置決めされた状態となる。
さらに、第二フレーム62の、読取モジュール収納部63を設けた面と反対面には、主回路基板36が固定される。主回路基板36は図27の分解斜視図に示すように、四隅をねじ止めして第二フレーム62に固定される。このように、第二フレーム62は一方の面に読取部22を、他方の面に主回路基板36を固定している。
(アーム部65)
さらに第二フレーム62は、第一フレーム24と固定される。このため図29の底面図に示すように、第二フレーム62の板材64の周囲にフレーム状にアーム部65を設ける。アーム部65は、第二フレーム62の四隅から突出させており、各アーム部65にねじ穴を開口している。そしてねじ穴を介して、第二フレーム62を第一フレーム24にねじ止めにより固定する。
この第二フレーム62は、剛性を一定とせず、アーム部65の剛性を他の部位よりも低くしている。例えば、第二フレーム62とアーム部65を同一の樹脂、部材で構成しつつ、前者を厚肉形状(高剛性)、後者を薄肉形状(低剛性)にする、もしくは第二フレーム62を高剛性の樹脂製(例えばガラス繊維を含んだポリカーボネート)としつつ、アーム部65については低剛性の樹脂(例えばガラス繊維を含まないポリカーボネートやABS等)を用いる。このようにすることで、高剛性の読取モジュール収納部63で読取部22を保護しつつ、第一フレーム24との接続部分であるアーム部65に柔軟性を持たせ、衝撃を吸収可能なフローティング構造を実現する。すなわち、図16及び図31の模式断面図に示すように、第一フレーム24は筐体10の上ケース11と下ケース12との間で強固に固定されているものの、第二フレーム62は低剛性のアーム部65でもって第一フレーム24と固定したことで、筐体10と強固には固定されていない。さらに主回路基板36は、第一フレーム24とは直接固定されておらず、第二フレーム62と固定されている。このため、仮に落下などの衝撃が筐体10に加えられても、筐体10から第一フレーム24に伝えられた衝撃をアーム部65が吸収することで、第二フレーム62への衝撃が緩和されて、主回路基板36を保護できる。その一方で、第一フレーム24自体は高剛性の金属製として、使用時の捻れなどに対して十分な耐性を発揮し、ディスプレイ部30のLCDやタッチパネル34を保護できる。
(ディスプレイ駆動回路32)
一方、ディスプレイ部30は、これを駆動するための駆動回路32を備えている。ディスプレイ駆動回路32は、例えばディスプレイ部30がLCDの場合は、LCDドライブ回路であり、ディスプレイ部30の周囲の一辺近傍に設けられる。通常、LCDを機器に搭載する場合、駆動回路32を表示領域の下方に位置させるようにレイアウトすることが多く、それゆえにLCD自体の視野角設定も、そのようなレイアウトの場合に操作者に対し視野角が広くなるよう、最適化されている場合が多い。図26の分解斜視図に示す例では、ディスプレイ駆動回路32は、ディスプレイ部30に含まれている。
一方で、上ケース11には、ディスプレイ部30の下方に第一キー70を配置している。第一キー70は、ディスプレイ部30の表示内容を参照しながら操作されるため、表示領域と近いほど操作性がよい。しかしながら、上述の通りディスプレイ部30の下方にはディスプレイ駆動回路32が配置されている。一般にディスプレイ部30の全面が表示領域とならず、ディスプレイ部30の表面の内、周辺部分は表示領域として利用できない部位が残る。図25の平面図に示す例では、ディスプレイ部30において枠状に示す領域が表示領域となり、その周囲には非表示領域が存在する。このため、第一キー70を表示領域と近付けようとすると、いきおい、ディスプレイ部30の下辺に設けられたディスプレイ駆動回路32と第一キー70も近付いてしまう。ディスプレイ駆動回路32は、電子部品を実装しているため、外部からの応力が加わると、電子部品の破損や、半田付部分の割れや接触不良といった可能性が懸念される。このため従来は、表示領域と第一キー70との間をある程度離間させる構成が採用されていた。
しかしながら、このような配置では上述の通り、表示領域と第一キーとが離れるほど、情報の表示される部位と、これに基づいて操作を行う部位とが離れてしまうため、操作がし辛くなるという問題があった。そこで本実施例においては、第一キー70の下面側に台座部72を設け、台座部72でもって第一キー70を支承することで、第一キー70を押下するなどの操作によって生じる応力が、その下面側に伝達され難くなる構造とした。これによって、表示領域と第一キー70とを近接させて配置することが可能となり、操作性が向上する。
(台座部72)
台座部72は、図26の分解斜視図に示すように、板状に形成され第一フレーム24に固定されている。台座部72の大きさは、第一キー70の大きさと同程度とすることが好ましい。また台座部72の高さは、図19の模式断面図に示すように、ディスプレイ部30の表面よりも高い位置とする。これによって第一キー70が押し込まれても、台座部72で支承され留められる結果、ディスプレイ部30の表面に達することが回避される。このように台座部72をディスプレイ部30の表面から離間させた位置に固定するため、台座部72は剛性に優れた金属製とし、好ましくは第一フレーム24と一体に成形される。
特に図19の模式断面図に示すように、庇状に上方(図19において左側)に向かって迫り出すように、断面視L字状に形成される。このような形状とすることで、ディスプレイ部30を枠体25内に配置する際に、台座部72の支承部分73が抵触することを回避できる。特にディスプレイ部30の後端部分には上述の通りディスプレイ駆動回路32が設けられているため、後端部分が第一キー70の操作によって応力を受けないようにすることで、回路の保護が図られる。
また、台座部72と底面板26との間に形成される空間74に、ディスプレイ部30の後端が部分的に入り込むように配置してもよい。これによって、一層ディスプレイ部30と第一キー70とを近接させ、第一キー70を表示画面の直下まで近づけて配置できるため、キー操作性がさらに改善される。
図26の分解斜視図に示す例では、第一フレーム24の枠体25の内、台座部72が配置される部分の近傍を部分的に切り欠いている。これによって、台座部72の下方で、第一フレーム24の枠体25内への連通口75が開かれるため、ここにFPCやFFC等を通して、ディスプレイ部30上面のタッチパネル34と、後述するキー回路基板44とを接続できる。また第一フレーム24を、台座部72を一体的に設けた形状に、金型で成型でき、金属製の台座部72を第一フレーム24と共に形成できることで、強度の向上とコストの削減が実現される。
また台座部72の形状は、上述した台座部72の長手側後端側で支承部分74により支承した庇型に限らず、例えば図32の模式図に示すように、台座部72の短手側の両端を支承した断面視コ字状としてもよい。コの形状でも、台座部72Bの下方に連通口75Bを形成でき、タッチパネルとキー回路基板44との電気配線が可能となる。
(第一キー70)
以上の第一キー70は、使用頻度の高いキーが好ましい。複数のキーの内で、操作頻度の高い第一キー70をディスプレイ部30の表示領域に近接して配置することで、ユーザの操作性を向上させることができる。このような第一キー70としては、読取部22の読取動作を実行させるための読取実行キー(トリガキー)が好適に利用できる。また、十字キーなど、操作頻度の高い他のキーをキー配置部40に配置してもよい。
(第一キー配置部71)
第一キー70は第一キー配置部71に配置される。第一キー配置部71は、ディスプレイ部30の下方中央とする。これによって、ユーザが光学式情報読取装置を手のひらで包むように把持した状態で、親指で第一キー70を押下し易くでき、バランスよく第一キー70を配置できる。
以上の例では、図26や図27の分解斜視図に示すように、第一フレーム24を筐体10の長手方向全体に渡って延長し、その中央近傍に台座部72を固定した例を説明した。ただ台座部72は、この構成に限らず、フレームを2分割した構成においても適用できる。例えば、図33の模式断面図に示す例では、筐体10Cの長手方向においてフレームを2分割し、ディスプレイ部30Cを保持するディスプレイ用フレーム66Cと、キー配置部40Cを保持するキー用フレーム67Cを設けている。このような構成において、ディスプレイ用フレーム66Cの下端側に台座部72Cを設けても、上記と同様、この台座部72C上に第一キー70Cを配置することで、第一キー70Cとディスプレイ駆動回路32Cとを離間させて、回路に応力が加わる状態を回避できる。あるいは逆に、図34の模式断面図に示すように、キー配置部40Dを保持するキー用フレーム67Dの上端側に台座部72Dを設ける構成としても、同様に第一キー70Dの操作によって生じる応力から、ディスプレイ用フレーム66Dに保持されたディスプレイ30Dの駆動回路32Dを保護できる。この構成において、キー用フレーム67Dは、キートップ42とバッテリ部50の間に介在するフレームであると言える。このように、フレームを複数に分割する構成において、分割されたフレームに台座部を設けてこの上に第一キーを配置することでも、上記と同様のディスプレイ駆動回路を保護する効果が得られる。要するに、ディスプレイ部30又はキー配置部40のうち少なくとも一方(又は両方)を保持するためのフレームに台座部を設け、この上に第一キーを配置することで、ディスプレイ駆動回路を保護することができる。
(キー配置部40)
また一方で、ディスプレイ部30の下方には、図3の平面図に示すように、各種の操作を行うための複数の操作キー46が配置されたキー配置部40が設けられる。キー配置部40には、図7の詳細な分解斜視図に示すように、上ケース11の裏面側から第一フレーム24のキー配置プレート28に向かって順に、キートップ42と、スイッチシート43と、キー回路基板44とが配置されている。また上ケース11の把持部分HAには、各操作キー46を表出させるためのキー挿入孔18が開口されている。キー配置部40に形成されるキー挿入孔18は、複数のキーのうち少なくとも二以上のキーを挿入可能な大きさとしている。またキーは、筐体10の内側から外側に向けて挿入されている。
図35に、キートップ42の平面図を示す。キートップ42は、板状の弾性シート45の上に複数の操作キー46を設けている。各操作キー46は、キー挿入孔18を通じて外部に表出される。スイッチシート43は、キートップ42の裏面側に配置され、各操作キー46と対応する位置にメンブレンスイッチを各々設けている。そして各操作キー46の押下に反応してメンブレンスイッチをON/OFFさせ、キー操作と対応する電気信号を発生させる。さらにキー回路基板44は、スイッチシート43で発生された電気信号を受けて、操作信号を主回路基板36側に伝達する。このためキー回路基板44は、FPCやFFCを介して主回路基板36と電気的に接続されている。
(操作キー46の位置決め機構)
操作キー46の位置決めは厳格に行う必要がある。すなわち、任意の操作キー46を押下した際に、この操作キー46と対応するキースイッチがONされて、キー回路基板44に伝達されるよう、言い換えると隣接する他の操作キーが誤作動しないよう、また、キーの押下感が良好になるよう、筐体10表面に表出する操作キー46と、筐体10内部に配置されたキー回路基板44との対応が正しくとれるように、正確な位置決めが求められる。このため従来は、組立時において上ケース側にキートップ42、スイッチシート43、キー回路基板44を固定するように設計されていた。しかしながらこの方法では、上ケースと主回路基板が取り付けられるシャーシ集合体で回路が分断されてしまうため、電子回路の配線作業等が面倒になるという問題があった。組み立て作業の効率を考えれば、シャーシ集合体20側で電子回路を纏めて組み上げられるように構成することが望ましいが、この場合は、シャーシ集合体20側で組み上げられたキートップの各操作キーが、上ケースのキー挿入穴に正しく挿入されるようにすることが、製造時の公差や組み立ての精度などの観点から困難となる。
そこで本実施例においては、操作キー46を位置決めするための位置決め機構を、キー配置プレート28に設けている。図27の分解斜視図及びこれを背面側から見た図36の分解斜視図に示す例では、キー配置プレート28に、操作キー46の位置決め機構として位置決めボス29を複数設けている。またキー回路基板44、スイッチシート43、キートップ42にはそれぞれ、位置決めボス29と対応する位置に、複数のボス穴49を開口している。各部材に設けられたボス穴49に位置決めボス29を挿入した状態で、キー回路基板44、スイッチシート43、キートップ42はそれぞれ位置決めされた状態となるように、位置決めボス29とボス穴49が設計される。この構成によって、共通の位置決めボス29を用いて各部材を簡単に位置決めできる。図26の分解斜視図に示す例では、位置決めボス29はキー配置部40の隅部近傍の4箇所に設けられる。このように複数箇所で位置決めすることで、位置決めの精度を向上できる。
このような操作キー46の位置決め機構を備えることで、組立時には、キー配置プレート28上に操作キー配置部40の内部構造を位置決めされた状態で組み立てる。すなわち、下ケース12側にシャーシ集合体20として、第一フレーム24のキー配置プレート28上に、キー回路基板44と、スイッチシート43とを、位置決めボス29で位置決めした状態にて組み上げて配線作業等を行う。一方、キートップ42は上ケース11側に予め装着される。そして図6に示すように、上ケース11と下ケース12とを固定する。この際、キートップ42が弾性シート45で構成されているため、ボス穴49は位置決めボス29をガイドとして、ボス穴49に位置決めボス29が挿入されるよう、すなわち本来の位置となるように、変形または位置を微調整される。これによって、従来は困難であった操作キー配置部40を分離して組み立てつつ、正確な位置決めを実現できる。
(操作キー46)
操作キー46には、図3の平面図などに示すように、テンキーの他、クリアキーやエンターキー、電源キーやファンクションキーなどが含まれる。この内、テンキーについては、密集して配置することにより、キー間の指の移動距離が少なくなって操作性が向上する。その反面、ユーザの操作感を高めるために、各キーのストロークや押し感(クリック感)を確保する必要があるところ、キー同士を密着して配置すると、所望の一のキーを押下させた際に、隣接する他のキーもこれにつれて動くため、所望のキーの押し感が悪くなる。そこで、各キーの角部を面取りすることで、隣接するキー同士が接触しないキー隅部48を形成している。この結果、図37の模式平面図に示すように、隣接するキー同士の間で、接触するキー直線部47と、接触しないキー隅部48とが設けられる結果、キー同士の接触面積が低減される。この結果、接触面積の低減によって隣接するキー間の独立した移動がし易くなり、キーの押し感が改善される。
(挿入孔突出部19)
加えて、上ケース11のキー挿入孔18の周囲には、挿入孔突出部19を形成している。挿入孔突出部19は、操作キー46の角部に形成されたキー隅部48に当接するよう形成される。この結果、各操作キー46はキー隅部48を挿入孔突出部19で保持されて安定し、キー押下時のぐらつきを抑制して安定的に操作でき、押し感の改善も得られる。
操作キー46は、多角形状とすることが好ましい。図3等の例では、テンキーの隅部を直線的に面取りして8角形状(上下の行に位置するテンキーは6角形状)とし、また挿入孔突出部19は、三角形状としている。このようにすることで、操作キーの表面面積の減少を防ぐことができる。すなわち通常であれば、操作キーのぐらつきを防止するために、操作キーと操作キーの間に格子を入れる。しかしながらこの構成では、格子を設けた分だけ、操作キー自体に割り当てられる面積が相対的に少なくなる。これに対して上記構成によれば、ぐらつき防止のための形状を最小に抑制できるので、その分だけ操作キーの表面面積の減少を防ぐことができるのである。
ただ、この形状に限らず、例えば図38に示すように、操作キー46Bの隅部を円弧状に面取りしたキー隅部48Bを形成してもよい。さらに図39に示すように、操作キー46Cの平面形状を楕円状又は曲面で構成することもできる。このような場合においても、隣接する操作キー同士が面する部位を、本明細書においては便宜上キー直線部47Cと呼ぶ。また図35の平面図に示すキートップ42のように、隣接する操作キー46同士の界面においてキー直線部47が互いに密着されている必要は必ずしもなく、隙間が形成されている態様も含む。僅かな隙間があっても、キー押下時に摩擦によって周囲のキーも追従してしまう結果、上述したクリック感やストロークが乏しくなる問題が生じるからである。
さらに挿入孔突出部19も、キー隅部48の形状に応じて形成される。あるいは図40に示すように、挿入孔突出部19Dを、キー隅部48の形状と一致させない形態とすることもできる。いずれの場合も、挿入孔突出部19は、キー隅部48と当接させることで、操作キー46の動作を安定させることができる。
また操作キー46の表面は、曲面状に形成することが好ましい。これにより、操作キー46表面の曲面と、操作キー46同士の間の谷間との形状の際を、操作キー46が小さくてもユーザが指で区別しやすくなり、操作感を向上できる。特に操作キー46表面の曲面形状は、キー同士の接触方向と直交する方向に軸を有する略円筒形状とすることが好ましい。このように、操作キー46の表面を曲面状に形成することによって、操作キー46同士をなるべく狭い領域に密集させ、配置密度が高まった場合であっても押し感が損なわれるのを防止することができ、ひいては操作感を向上できる。
以上の例では、図41(a)の平面図に示すように、縦方向に隣接する操作キー46について、キー隅部48を設ける構成を説明した。いいかえると、列方向に密接して並ぶ操作キー46群同士の間に桟17が介在された配置である。ただ本発明はこの構成に限らず、図41(b)に示すように、横方向に隣接する操作キー46E同士の間において、キー隅部48Eを設けて接触面積を低減することもできる。この場合は、行方向に密接して並べられた操作キー46E群同士の間に桟17Eが介在された配置となる。あるいは図41(c)に示すように、縦横両方において、隣接する操作キー46F間でキー隅部48Fを設けることもできる。この場合は、明確な桟が存在しない。
また以上の例では、操作キー46の平面形状を横長の矩形状とした場合を説明した。すなわち、操作キー46の長手方向とほぼ直交する方向に隣接する操作キー46との間で、キー隅部48を形成している。特に長辺側で隣接した操作キー46同士は、そのままでは接触面積が大きいため、一方のキーの移動につれて他方のキーが追従する作用が大きくなる。よってこの面においてキー隅部48を形成することで、キー同士の独立した動きを担保し押し感を改善する効果は特に大きい。ただ、操作キーを縦長の形状とした場合でも、押し感の改善効果が得られることはいうまでもない。