[本実施形態の構成]
以下、本発明に係る電動車両について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る電動車両10の概略全体構成図である。
電動車両10では、高電圧バッテリ12からVCU(Voltage Control Unit)14及びPDU(Power Drive Unit)16を介してモータ18に電力を供給することにより該モータ18を駆動させ、モータ18の回転軸に接続されたトランスミッション20等を介して車輪22を回転させる。また、電動車両10には、地絡センサ24が搭載されている。
VCU14の高電圧バッテリ12側である1次側1Sは、低電圧回路26とされ、VCU14のPDU16及びモータ18側である2次側2Sは、高電圧回路27とされている。この場合、電動車両10の図示しない車体は接地電位にあり、低電圧回路26、VCU14及び高電圧回路27は、該接地電位から電気的に絶縁された非接地電源回路として構成される。また、PDU16及びモータ18を併せて負荷28というが、負荷28には、2次側2Sの他の構成要素を含むことができる。
高電圧バッテリ12は、例えば、リチウムイオン2次電池、ニッケル水素2次電池又はキャパシタのような充放電可能な蓄電装置であると共に、接地電位に対しては非接地電源として構成される。この場合、高電圧バッテリ12は、低電圧バスとしての1次側1Sの主回路配線1SP、1SNと、VCU14と、高電圧バスとしての2次側2Sの主回路配線2SP、2SNとを介して負荷28に電力を供給する一方で、モータ18の回生動作に伴って主回路配線2SP、2SNと、VCU14と、主回路配線1SP、1SNとを介して供給された電力を充電する。高電圧バッテリ12にはバッテリECU(Electronic Control Unit)40が接続されている。
VCU14は、主回路配線1SP、1SNのスイッチ30P、30Nが閉じている場合に、昇降圧動作が可能なDC/DCコンバータ32を有する。従って、高電圧バッテリ12を含む低電圧回路26には、DC/DCコンバータ32の昇降圧動作によって、降圧後の1次電圧V1が供給され、負荷28を含む高電圧回路27には、DC/DCコンバータ32の昇降圧動作によって、昇圧後の2次電圧V2が供給される。すなわち、低電圧回路26は、相対的に低電圧の非接地回路であり、高電圧回路27は、相対的に高電圧の非接地回路である。なお、高電圧バッテリ12の電圧Vb及び1次電圧V1は、V1=Vbである。
1次側1Sの主回路配線1SP、1SN間の電圧である1次電圧V1は、電圧センサ34で検出され、2次側2Sの主回路配線2SP、2SN間の電圧である2次電圧V2は、電圧センサ36で検出される。VCU14は、コンバータECU38をさらに有する。コンバータECU38は、電圧センサ34で検出された1次電圧V1、及び、電圧センサ36で検出された2次電圧V2に基づき、DC/DCコンバータ32の昇降圧動作を制御する。
1次側1Sにおいて、地絡センサ24は、接地電位と主回路配線1SP、1SNとの間の絶縁状態(接地電位と主回路配線1SP、1SNとの間の絶縁抵抗R1P、R1Nの値(絶縁抵抗値))や、接地電位と主回路配線2SP、2SNとの間の絶縁状態(接地電位と主回路配線2SP、2SNとの間の絶縁抵抗R2P、R2Nの値(絶縁抵抗値))を検出する。具体的な検出処理については後述する。また、1次側1Sには、高電圧バッテリ12と並列に、ダウンバータ(D/V)48及び補機50の直列回路と、エアコンディショナ(A/C)52とが電気的に接続されている。
2次側2Sにおいて、PDU16は、3相ブリッジ型の構成とされたインバータであり、直流を3相の交流に変換してモータ18に供給する一方、回生動作に伴う交流/直流変換後の直流をDC/DCコンバータ32を通じて高電圧バッテリ12等に供給する。また、PDU16及びモータ18は、モータECU42により制御される。すなわち、モータECU42は、モータ18の回生電力をPDU16を通じて高電圧バッテリ12に回収させることで、車輪22に対しモータ18の回生制動により制動させる制動力を付与する。
さらに、主回路配線2SP、2SNには、DC/DCコンバータ32に対して、PDU16と並列に発電機44も電気的に接続されている。発電機44は、燃料電池、又は、発電機として機能するモータを含む概念であり、PDU16を介してモータ18に電力を供給し、又は、DC/DCコンバータ32を介して高電圧バッテリ12を充電させる。そのため、高電圧バッテリ12と同様、PDU16、モータ18及び発電機44も非接地電源である。発電機44は、発電機ECU46により制御される。
従って、本実施形態に係る電動車両10は、(1)モータ18の駆動により発進して走行する電気自動車、(2)モータ18の電力を燃料電池がまかない、不足分の電力を高電圧バッテリ12がアシストする燃料電池自動車、(3)内燃機関も備えるハイブリッド自動車やプラグインハイブリッド自動車も含む概念である。
地絡センサ24、コンバータECU38、バッテリECU40、モータECU42及び発電機ECU46は、CAN(Controller Area Network)等の通信ネットワークに係る通信線54を通じて相互にデータを利用する等、通信可能に接続されている。
また、コンバータECU38、バッテリECU40、モータECU42及び発電機ECU46は、それぞれ、マイクロコンピュータを含む計算機であり、CPU(中央処理装置)、メモリであるROM(EEPROMも含む。)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、その他、A/D変換器、D/A変換器等の入出力装置、計時部としてのタイマ等を有しており、前記CPUが前記ROMに記録されているプログラムを読み出し実行することで各種機能実現部(機能実現手段)、例えば、制御部、演算部、及び、処理部等として機能する。
この場合、バッテリECU40は、高電圧バッテリ12の状態、発電機44の状態、モータ18の状態の他、各種センサからの入力(負荷要求)に基づき決定した電動車両10全体として高電圧バッテリ12に要求される負荷から、高電圧バッテリ12が負担すべき負荷と、発電機44が負担すべき負荷と、回生電源(モータ18)が負担すべき負荷との配分(分担)を調停しながら決定し、モータECU42(PDU16、モータ18)、発電機ECU46(発電機44)、高電圧バッテリ12及びコンバータECU38(DC/DCコンバータ32)に指令を送出し、電動車両10における回生制動による制動力と摩擦制動による制動力との協調制御を行わせる。
なお、通信線54には、電動車両10をオン(起動、始動)又はオフ(停止)するイグニッションスイッチとしての機能を有するメインスイッチ56も接続されている。
バッテリECU40は、昇圧検出部(昇降圧動作検出手段)60、検出許可判定部(検出許可判定手段)62、地絡判定部(地絡判定手段)64及びカウンタ66を有する。
昇圧検出部60は、例えば、コンバータECU38から供給されるデータ(1次電圧V1、2次電圧V2)に基づいて、DC/DCコンバータ32の昇降圧状態を検出する。具体的に、昇圧検出部60は、|V1−V2|≦規定値の第1状態であるのか、又は、|V1−V2|>規定値の第2状態であるのかを検出する。第1状態は、V1≒V2となるDC/DCコンバータ32の直結状態、又は、該直結状態近傍の電位差でDC/DCコンバータ32が昇降圧動作を行っている状態をいう。また、第2状態は、DC/DCコンバータ32が規定値を超える電位差で昇降圧動作を精度良く行っている状態をいう。
また、昇圧検出部60は、上述した検出方法以外にも、コンバータECU38から通信線54を介して、(1)DC/DCコンバータ32を制御するゲート駆動信号UH、ULのデューティ、(2)2次電圧V2の目標値、又は、(3)直結状態を示すフラグ、等の他の情報を受信し、受信した情報に基づいて、第1状態又は第2状態を判定してもよい。すなわち、これらの情報は、いずれも、DC/DCコンバータ32の昇降圧動作に関する情報であって、1次電圧V1と2次電圧V2との電位差に対応する情報であり、従って、昇圧検出部60は、これらの情報を用いて、第1状態又は第2状態を検出することができる。
具体的に、デューティに基づき検出する場合、昇圧検出部60は、当該デューティが所定値以下であれば第1状態と検出し、前記デューティが所定値を超えれば第2状態と検出すればよい。また、2次電圧V2の目標値に基づき検出する場合、昇圧検出部60は、当該目標値が所定値以下であれば第1状態と検出し、前記目標値が所定値を超えれば第2状態と検出すればよい。さらに、フラグに基づき検出する場合、昇圧検出部60は、当該フラグが入力された場合に、第1状態と検出し、前記フラグが入力されなければ、第2状態と検出すればよい。
なお、以下の説明では、昇圧検出部60は、1次電圧V1と2次電圧V2との電位差に基づき、第1状態又は第2状態を検出するものとして説明する。
検出許可判定部62は、昇圧検出部60が第1状態を検出した場合、地絡判定部64での判定処理を許可すると共に、地絡センサ24での絶縁状態の検出を許可する。また、検出許可判定部62は、昇圧検出部60が第2状態を検出した場合、地絡判定部64での判定処理と、地絡センサ24での絶縁状態の検出とを、共に禁止する。
地絡判定部64は、検出許可判定部62が許可した第1状態において、地絡センサ24から絶縁抵抗値のデータが入力された場合、該絶縁抵抗値に基づいて、接地電位に対する主回路配線1SP、1SN、2SP、2SNでの地絡の発生の有無を判定する。地絡判定部64が地絡の発生を判定する毎に、カウンタ66は、カウント値の積算を行う(カウントアップする、インクリメントする)。また、カウンタ66のカウント値が所定の地絡閾値に到達した場合、地絡判定部64は、主回路配線1SP、1SN、2SP、2SNの地絡の発生を確定する。なお、カウンタ66は、主回路配線1SP、1SN、2SP、2SNが地絡の状態から回復した場合には、カウント値をリセットする。
一方、検出許可判定部62が禁止した第2状態においては、検出許可判定部62から地絡センサ24に対して禁止の指示を出しても、通信線54を介しての通信時間や、該地絡センサ24が指示を受け取ってから絶縁抵抗値の検出処理を停止するまで時間がかかることにより、第1状態から第2状態に切り替わった直後は、地絡センサ24から通信線54を介して地絡判定部64に、第2状態で検出した絶縁抵抗値のデータが入力される場合もある。そこで、地絡判定部64は、検出許可判定部62から禁止の指示を受けると、地絡センサ24から入力される第2状態での絶縁抵抗値を無視することで、地絡の有無の判定処理を停止する。
また、カウンタ66は、第2状態においては、第1状態から第2状態に切り替わる直前のカウント値を保持して、積算動作やリセット動作を禁止する。さらに、カウンタ66は、第1状態と第2状態とが切り替わる際には、積算動作やリセット動作を禁止する。
DC/DCコンバータ32は、図2に示すように、1次電圧V1(=Vb)を2次電圧V2(V1≦V2)に昇圧すると共に、2次電圧V2を1次電圧V1に降圧する昇降圧型且つチョッパ型の電圧変換装置であって、1次側1Sと2次側2Sとの間に配される相アームUAとリアクトル70とから構成される。
相アームUAは、上アーム素子(上アームスイッチング素子72と逆並列ダイオード74)と下アーム素子(下アームスイッチング素子76と逆並列ダイオード78)とで構成される。上アームスイッチング素子72及び下アームスイッチング素子76には、それぞれ、例えば、MOSFET又はIGBT等が採用される。
リアクトル70は、相アームUAの中点(共通接続点)と、高電圧バッテリ12の正極に接続される主回路配線1SPとの間に挿入され、DC/DCコンバータ32により1次電圧V1と2次電圧V2との間で電圧変換を行う際に、エネルギを蓄積及び放出する作用を有する。
上アームスイッチング素子72は、コンバータECU38から出力されるゲート駆動信号(駆動電圧)UHのハイレベルによりオンにされ、下アームスイッチング素子76は、ゲート駆動信号(駆動電圧)ULのハイレベルによりオンにされる。
DC/DCコンバータ32の昇圧時には、第1のタイミングで、ゲート駆動信号ULがハイレベル及びゲート駆動信号UHがローレベルにされ、高電圧バッテリ12からリアクトル70にエネルギが蓄積される(高電圧バッテリ12の正側から主回路配線1SP、リアクトル70、下アームスイッチング素子76、主回路配線1SN、及び、高電圧バッテリ12の負側に至る電流路)。第2のタイミングで、ゲート駆動信号ULがローレベル及びゲート駆動信号UHがローレベルにされ、リアクトル70に蓄積されたエネルギがダイオード74を通じて2次側2Sに供給される(高電圧バッテリ12の正側からリアクトル70、ダイオード74、主回路配線2SP、負荷30等、主回路配線2SN、及び、高電圧バッテリ12の負側の電流路)。以降、昇圧時の第1のタイミングと第2のタイミングが繰り返される。
DC/DCコンバータ32の降圧時には、第1のタイミングで、ゲート駆動信号UHがハイレベル及びゲート駆動信号ULがローレベルにされ、2次側2S(モータ18が回生中の負荷28又は発電機44)からリアクトル70にエネルギが蓄積されると共に高電圧バッテリ12に充電される。第2のタイミングで、ゲート駆動信号UHがローレベル及びゲート駆動信号ULがローレベルにされ、リアクトル70に蓄積されたエネルギがダイオード78及びリアクトル70を通じて高電圧バッテリ12に供給され、該高電圧バッテリ12が充電される。なお、回生電力は、図1から分かるように、補機50及びエアコンディショナ52にも供給可能である。以降、降圧時の第1のタイミングと第2のタイミングとが繰り返される。
DC/DCコンバータ32は、上述したチョッパ型として動作する他、直結型として動作することもできる。直結型として動作する場合、ゲート駆動信号UHがハイレベルにされると共にゲート駆動信号ULがローレベルとされ、高電圧バッテリ12が放電する際には、1次側1Sからダイオード74を通じて2次側2Sに電力が供給され、高電圧バッテリ12が充電される場合には、2次側2Sから上アームスイッチング素子72を通じて高電圧バッテリ12に電力が供給される(例えば、モータ18から高電圧バッテリ12に回生電力が供給される)。
地絡センサ24では、図3に示すように、主回路配線1SP、1SN間に、スイッチ80、82(S1、S2)を介してダイオード84、抵抗器86、及び、フライングキャパシタとして機能するコンデンサ88の直列回路が接続されている。また、ダイオード84、抵抗器86及びコンデンサ88の直列回路に対して、スイッチ90、94(S3、S4)及び抵抗器92、96の直列回路が並列に接続されている。抵抗器92と抵抗器96との間は接地されている。
また、抵抗器92に発生する電圧は、A/D変換器98でデジタル値に変換され、地絡抵抗算出部100に出力される。地絡抵抗算出部100は、A/D変換器98から入力されたデジタル値と、マップ記憶部102に記憶された絶縁抵抗値を特定するための所定のマップとを用いて、前記デジタル値に応じた絶縁抵抗値を算出する。
さらに、地絡センサ24では、ダイオード84及び抵抗器86に対してダイオード104及び抵抗器106の直列回路が並列に接続され、ダイオード104と抵抗器106との間は、スイッチ108(S5)及び抵抗器110を介して接地されている。
なお、スイッチ80、82、90、94、108は、例えば、光MOSFETによるスイッチであることが望ましい。
[地絡センサの動作]
本実施形態に係る電動車両10は、以上のように構成されるものであり、次に、該電動車両10の動作のうち、地絡センサ24による絶縁抵抗値の検出処理について、図4A〜図8Bを参照しながら説明する。なお、図4A〜図6Bでは、説明の容易化のために、地絡センサ24と高電圧バッテリ12、負荷28又は発電機44との電気的接続のみ図示し、電動車両10内の他の構成要素の図示を省略している。
地絡センサ24においては、概略、下記(1)〜(5)のようにして絶縁抵抗値の検出処理を行う。
(1)|V1−V2|≦規定値の条件に起因する検出許可判定部62からの検出許可の指示を受けるまで、検出禁止の状態を維持する。
(2)検出許可判定部62から検出許可の指示を受けると、非接地電源である高電圧バッテリ12、負荷28又は発電機44の電圧(Vb=V1≒V2)を検出する(図4A及び図4B参照)。
(3)高電圧バッテリ12、負荷28又は発電機44から、接地電位と負極側の主回路配線1SN、2SNとの間の絶縁抵抗R1N、R2Nに印加される電圧V1gn、V2gnを検出する(図5A及び図5B参照)。
(4)高電圧バッテリ12、負荷28又は発電機44から、接地電位と正極側の主回路配線1SP、2SPとの間の絶縁抵抗R1P、R2Pに印加される電圧V1gp、V2gpを検出する(図6A及び図6B参照)。
(5)正極側の電圧V1gp、V2gpと負極側の電圧V1gn、V2gnとの差の絶対値と、高電圧バッテリ12、負荷28又は発電機44の電圧Vbとの比(割合)を算出し、算出した割合|V1gp−V1gn|/Vb、又は、|V2gp−V2gn|/Vbと、マップ記憶部102に記憶されたマップとを用いて、絶縁抵抗値を特定する(図7A及び図7B参照)。
なお、上記の(2)〜(4)の順序は一例であって、任意の順序で電圧の検出処理を行ってもよい。
次に、上記(2)〜(5)の詳細について、図4A〜図8Bを参照しながら説明する。
(2)において、検出許可判定部62から検出許可の指示を受けた場合、地絡センサ24は、先ず、図4Aに示すように、スイッチ80、82をオン、スイッチ90、94、108をオフにすることで、高電圧バッテリ12、負荷28又は発電機44の正極から、スイッチ80、ダイオード84、抵抗器86、コンデンサ88及びスイッチ82を介して、高電圧バッテリ12、負荷28又は発電機44の負極に至る経路で、コンデンサ88を充電する。
次に、地絡センサ24は、図4Bに示すように、スイッチ90、94をオン、スイッチ80、82、108をオフにすることで、コンデンサ88から、ダイオード104、抵抗器106、スイッチ90、抵抗器92、抵抗器96及びスイッチ94を介して、コンデンサ88に至る経路で、コンデンサ88に蓄積された電荷を放電させる。この場合、A/D変換器98は、放電開始直後の抵抗器92に発生するピーク電圧値をホールドしてデジタル値に変換する。これにより、A/D変換器98は、変換したデジタル値を、高電圧バッテリ12、負荷28又は発電機44の電圧Vbに応じた電圧値として地絡抵抗算出部100に出力することができる。
(3)において、地絡センサ24は、先ず、図5Aに示すように、スイッチ80、94をオン、スイッチ82、90、108をオフにすることで、高電圧バッテリ12、負荷28又は発電機44の正極から、スイッチ80、ダイオード84、抵抗器86、コンデンサ88、スイッチ94、抵抗器96、アース(接地電位)及び負極側の絶縁抵抗R1N(R2N)を介して、高電圧バッテリ12、負荷28又は発電機44の負極に至る経路で、コンデンサ88を充電する。
次に、地絡センサ24は、図5Bに示すように、図4Bの場合と同様、スイッチ90、94をオン、スイッチ80、82、108をオフにすることで、コンデンサ88から、ダイオード104、抵抗器106、スイッチ90、抵抗器92、抵抗器96及びスイッチ94を介して、コンデンサ88に至る経路で、コンデンサ88に蓄積された電荷を放電させる。この場合でも、A/D変換器98は、放電開始直後の抵抗器92に発生するピーク電圧値をホールドしてデジタル値に変換する。但し、図4A及び図4Bの場合とは異なり、図5Aでは、負極側の絶縁抵抗R1N(R2N)を含む経路でコンデンサ88の充電を行ったため、A/D変換器98は、変換したデジタル値を、高電圧バッテリ12、負荷28又は発電機44から負極側の絶縁抵抗R1N(R2N)に印加された電圧V1gn(V2gn)に応じた電圧値として、地絡抵抗算出部100に出力することになる。
(4)において、地絡センサ24は、先ず、図6Aに示すように、スイッチ82、90をオン、スイッチ80、94、108をオフにすることで、高電圧バッテリ12、負荷28又は発電機44の正極から、正極側の絶縁抵抗R1P(R2P)、アース(接地電位)、抵抗器92、スイッチ90、ダイオード84、抵抗器86、コンデンサ88及びスイッチ82を介して、高電圧バッテリ12、負荷28又は発電機44の負極に至る経路で、コンデンサ88を充電する。
次に、地絡センサ24は、図6Bに示すように、図4B及び図5Bの場合と同様、スイッチ90、94をオン、スイッチ80、82、108をオフにすることで、コンデンサ88から、ダイオード104、抵抗器106、スイッチ90、抵抗器92、抵抗器96及びスイッチ94を介して、コンデンサ88に至る経路で、コンデンサ88に蓄積された電荷を放電させる。この場合でも、A/D変換器98は、放電開始直後の抵抗器92に発生するピーク電圧値をホールドしてデジタル値に変換する。但し、図4A〜図5Bの場合とは異なり、図6Aでは、正極側の絶縁抵抗R1P(R2P)を含む経路でコンデンサ88の充電を行ったため、A/D変換器98は、変換したデジタル値を、高電圧バッテリ12、負荷28又は発電機44から正極側の絶縁抵抗R1P(R2P)に印加された電圧V1gp(V2gp)に応じた電圧値として、地絡抵抗算出部100に出力することになる。
なお、(2)〜(4)において、A/D変換器98でのデジタル値への変換後、コンデンサ88に蓄積されている電荷は不要になるため、スイッチ108をオン、スイッチ80、82、90、94をオフにすることで、コンデンサ88に蓄積された電荷をダイオード104、スイッチ108及び抵抗器110を介してアースに速やかに放電させてもよい。
図7Aは、コンデンサ88の充電(図4A、図5A及び図6A参照)による、該コンデンサ88の電圧値の時間変化を図示したものである。
図4Aの場合に、コンデンサ88の電圧値は、時間経過に伴って上昇し、Δtの時点で所定の電圧V0(高電圧バッテリ12、負荷28又は発電機44の電圧Vb)にまで到達する。一方、図5A及び図6Aの場合に、コンデンサ88の電圧値は、時間経過に伴って上昇し、Δtの時点で所定の電圧V1g、V2g(前述の電圧V1gp、V2gp又はV1gn、V2gn)に到達する。
ここで、絶縁抵抗R1P(R2P)又はR1N(R2N)の値(絶縁抵抗値)が低ければ、電圧値の上昇を決定付けるパラメータである時定数が小さくなると共に、絶縁抵抗R1P(R2P)又はR1N(R2N)を介して、より多くの電流がアースに流れるため、コンデンサ88の電圧値が電圧V0に近づく。一方、絶縁抵抗R1P(R2P)又はR1N(R2N)の値(絶縁抵抗値)が高ければ、時定数が大きくなると共に、絶縁抵抗R1P(R2P)又はR1N(R2N)を介してアースに流れる電流が小さくなるため、コンデンサ88の電圧値は0に近づく。
従って、地絡センサ24は、例えば、コンデンサ88がV0又はV1g(V2g)の電圧値で充電されているときに、該コンデンサ88を放電させることにより、放電開始直後に抵抗器92に発生する略V0又はV1g(V2g)の電圧値をA/D変換器98にホールドさせてデジタル値を取得することができる。
図7Bは、マップ記憶部102に記憶されているマップを図示している。
このマップは、割合|V1gp−V1gn|/Vb、又は、|V2gp−V2gn|/Vbを横軸に取ると共に、絶縁抵抗値を縦軸に取ったものであり、該マップには、1本の直線が引かれている。
地絡抵抗算出部100は、上記(2)〜(4)によって、A/D変換器98から入力されたデジタル値(Vb、V1gp、V1gn、V2gp、V2gn)を用いて前記割合を算出した後に、前記マップ上の前記1本の直線から、前記割合に対応する絶縁抵抗値を導出する。
なお、前記マップにおいて、Rthは絶縁抵抗閾値であり、絶縁抵抗値がRthよりも高ければ地絡が発生していないものと判定し、一方で、絶縁抵抗値がRthよりも低ければ地絡が発生しているものと判定することができる。この判定は、地絡判定部64で行うことができる。
図8A及び図8Bは、第2状態で絶縁抵抗の検出を行った場合(比較例)を図示している。
第2状態では、規定値を超える電位差でDC/DCコンバータ32が昇降圧動作を行っているため、この比較例において、図8Aに示すように、1次側1Sで高電圧バッテリ12から絶縁抵抗R1P、R1Nに電圧を印加したときのコンデンサ88の電圧値と、2次側2Sで回生状態の負荷28又は発電機44から絶縁抵抗R2P、R2Nに電圧を印加したときのコンデンサ88の電圧値とでは、時間経過に伴う電圧上昇の程度が異なり、Δtの時点では、互いに異なる電圧値V1g、V2gに到達する(V1g<V2g)。
そのため、1次側1Sに接続された地絡センサ24は、基準電圧をVbとして割合|V1gp−V1gn|/Vbを求めることにより、図7Bのマップから1次側1Sの絶縁抵抗R1P、R1Nの値(絶縁抵抗値)を算出することが可能である。
しかしながら、前述のように、DC/DCコンバータ32での昇降圧動作によって1次電圧V1と2次電圧V2とが異なるため(Vb=V1<V2)、2次側2Sの絶縁抵抗R2P、R2Nの値(絶縁抵抗値)を算出する場合、地絡センサ24は、2次電圧V2ではなく、1次電圧V1(電圧Vb)を基準電圧として、割合|V2gp−V2gn|/Vbを算出することになる。この結果、2次電圧V2を基準電圧として用いれば、地絡が発生していないと判定できるにも関わらず(図8Bの真値)、1次電圧V1を基準電圧としたことにより(図8Bの計算値)、地絡が発生していると誤検出するおそれがある。
これに対して、本実施形態では、上述のように、第2状態での絶縁抵抗値の検出を禁止し、第1状態において絶縁抵抗値の検出を行っているため、1次側1Sと2次側2Sとの間での電位差がほとんどない。従って、本実施形態では、1次電圧V1(電圧Vb)を基準電圧として割合を求め、求めた割合から絶縁抵抗値を精度よく算出するため、地絡の発生の有無を誤検出することを回避することができる。
[バッテリECUの動作]
次に、バッテリECU40での制御処理について、図9〜図13を参照しながら説明する。
図9は、バッテリECU40の制御処理を示すフローチャートであり、所定時間間隔で繰り返し行われる。
先ず、バッテリECU40は、ステップS1、S2において、コンバータECU38から通信線54を介して1次電圧V1及び2次電圧V2をそれぞれ取得する。
次のステップS3において、バッテリECU40の昇圧検出部60は、|V1−V2|≦規定値であるか否かを判定することにより、DC/DCコンバータ32の昇降圧状態が第1状態又は第2状態のどちらであるかを判定する。
|V1−V2|>規定値の場合(ステップS3:NO)、昇圧検出部60は、DC/DCコンバータ32の昇降圧状態が第2状態であると判定し、次のステップS4において、検出許可判定部62は、地絡判定部64での判定処理を禁止、すなわち、地絡センサ24からの絶縁抵抗値(LK)の入力があっても無視するように地絡判定部64に指示する。また、ステップS5において、検出許可判定部62は、通信線54を介して地絡センサ24に絶縁抵抗値LKの検出を禁止するように指示する。
一方、|V1−V2|≦規定値の場合(ステップS3:YES)、昇圧検出部60は、DC/DCコンバータ32の昇降圧状態が第1状態であると判定し、次のステップS6において、検出許可判定部62は、地絡判定部64での判定処理を許可し、地絡センサ24から絶縁抵抗値LKを取得させる。
ステップS7において、地絡判定部64は、絶縁抵抗値LKが所定の規定値(図7Bに示す絶縁抵抗閾値Rth)以下であるか否かを判定する。
LK≦Rthであれば(ステップS7:YES)、次のステップS8において、地絡判定部64は、地絡が発生したと判定し、カウンタ66は、地絡判定部64の判定結果に基づいて、カウントアップを行う(変数の値を1だけ積算(インクリメント)する)。また、地絡判定部64はカウンタ66のカウント値が地絡閾値に到達した場合、地絡の発生を確定する。
一方、LK>Rthであれば(ステップS7:NO)、地絡判定部64は、地絡が発生していないと判定し、カウンタ66は、カウントアップを行わない。
図10は、ステップS8の詳細を示すフローチャートである。
ステップS11において、地絡判定部64は、DC/DCコンバータ32が昇降圧動作を行っているか否かを判定する。DC/DCコンバータ32が昇降圧動作を行っていれば(ステップS11:YES)、地絡判定部64は、ステップS12以降の処理を行わず、ステップS8の処理を終了する。
DC/DCコンバータ32が昇降圧動作を行っていなければ(ステップS11:NO)、次のステップS12において、地絡判定部64は、地絡が発生しているか否かを判定する。地絡が発生してなければ(ステップS12:NO)、地絡判定部64は、ステップS13以降の処理を行わず、ステップS8の処理を終了する。
一方、地絡が発生していれば(ステップS12:YES)、次のステップS13において、カウンタ66は、現在のカウンタ値(前回値)を1だけ増分し今回値に設定する。
次のステップS14において、地絡判定部64は、今回値が所定の地絡閾値に到達したか否かを判定する。今回値が地絡閾値に到達した場合(ステップS14:YES)、次のステップS15において、地絡判定部64は、地絡の発生を確定する。一方、今回値が地絡閾値に到達していない場合(ステップS14:NO)、地絡判定部64は、ステップS8の処理を終了する。
図11は、DC/DCコンバータ32が第1状態から第2状態に移行して、前述の規定値以上の電位差で昇降圧動作を開始した場合での電動車両10内の各部の動作を示すタイムチャートである。
DC/DCコンバータ32が時点t1で直結状態を解除し、昇降圧動作を開始することにより、時点t4において、1次電圧V1と2次電圧V2との電位差が所定の電圧差Vu(Vu=V2−V1)に到達したものとする。
コンバータECU38には、電圧センサ34、36で検出された1次電圧V1及び2次電圧V2が逐次入力されており、コンバータECU38内では、デジタル処理により1次電圧V1と2次電圧V2との電圧差を算出している。コンバータECU38は、1次電圧V1、2次電圧V2及び電圧差を通信線54を介してバッテリECU40に送信する。また、コンバータECU38は、時点t2において、1次電圧V1と2次電圧V2との電圧差が、昇圧検出部60において第1状態又は第2状態の判定を行うために用いられる規定値に対応した所定の電圧閾値Vthとなったことを認識することができる。
バッテリECU40内部でもデジタル処理を行っているが、通信線54を介したコンバータECU38とバッテリECU40との間の通信時間により、時点t2から時間T1だけ経過した時点t3において、1次電圧V1と2次電圧V2との電圧差が電圧閾値Vthに到達したことを認識することになる。
従って、バッテリECU40の昇圧検出部60は、時点t3において、DC/DCコンバータ32が昇降圧動作を行った(第2状態に移行した)ことを示すフラグを立てる。また、昇圧検出部60がフラグを立てたことに対応して、検出許可判定部62は、時点t3から時点t5までの時間T2において、地絡センサ24から入力される絶縁抵抗値のデータを無視するよう地絡判定部64を制御する。これにより、時点t5以降、地絡センサ24は、地絡の判定処理を停止し、地絡センサ24から入力される絶縁抵抗値のデータを無視することができる。
ところで、通信線54を介してバッテリECU40と地絡センサ24との間で通信可能な時間T3は、所定周期で繰り返す。具体的に、時点t3と時点t5との間では、時点t4から時点t5までの時間T3において、バッテリECU40と地絡センサ24との間でのデータの送受信が可能である。
そこで、検出許可判定部62は、時点t5に、地絡センサ24での絶縁抵抗値の検出を停止することを求めるインヒビット信号(INH信号)を通信線54を介して地絡センサ24に送信する。
地絡センサ24は、INH信号を受信すると、スイッチ80、82、90、94をオフにして、低電圧回路26、VCU14及び高電圧回路27との電気的な接続を直ちに遮断する。これにより、時点t5以降、地絡センサ24における電圧検出は停止する。従って、コンデンサ88の電圧は、時点t5以降、略0レベルに低下する。
また、地絡センサ24は、時点t5から時点t6まで、絶縁抵抗値の検出処理を停止するための処理を行う。これにより、時点t6以降、地絡センサ24における絶縁抵抗値の検出処理は停止する。
さらに、地絡センサ24は、時点t7でスイッチ108をオンにして、コンデンサ88に蓄積された電荷を速やかにアースに放電する。
そして、地絡センサ24は、通信線54を介してバッテリECU40にデータを送信する場合、時点t5までは全てのデータをバッテリECU40に送信可能であり、時点t5から時点t6までは、絶縁抵抗値、高電圧バッテリ12の電圧Vb、及び、地絡センサ24のステータス情報を送信可能であり、時点t6以降は、データの送信がマスクされると共に、ステータス情報の送信も制限される。
図12A及び図12Bは、カウンタ66でのカウントを図示したタイムチャートである。
図12Aは、地絡が発生していない場合を図示し、図12Bは、地絡が発生している場合を図示したものである。図12A及び図12Bでは、第1状態と第2状態(昇圧中)とが繰り返す場合を図示している。
図12Aにおいて、地絡が発生していない場合、理想的には、破線で示すように、カウンタ66は積算しない。しかしながら、第1状態から第2状態への移行に伴って、バッテリECU40から通信線54を介して地絡センサ24にINH信号を出力しても、通信線54を介した通信時間や、地絡センサ24での停止処理に時間がかかることで、該地絡センサ24から通信線54を介してバッテリECU40に絶縁抵抗値のデータが入力されることにより、第1状態から第2状態への移行の際、地絡判定部64が誤判定を行い、カウンタ66が誤ってカウントアップする(誤積算する)おそれがある。
そこで、本実施形態では、図13に示すように、カウンタ66は、第1状態のように、DC/DCコンバータ32が昇降圧動作を行っていない場合(図13の今回及び次回の「昇圧なし」)には、カウントアップを可能とし、一方で、第2状態(図13の今回及び次回の「昇圧あり」)、第1状態と第2状態との移行の際(図13の今回又は次回のいずれか一方が「昇圧あり」の場合)には、カウントアップを禁止する。
より詳しく説明すれば、バッテリECU40では、図11に示す地絡センサ24との間で通信可能な時間T3を含む1周期内で、図9及び図10に示す制御処理を実行している。すなわち、図13中の「今回」は、今回の1周期内での制御処理を示しており、一方で、「次回」は、次の1周期内での制御処理を示している。
そのため、第1状態(図13の今回及び次回の「昇圧なし」)において、バッテリECU40内の地絡判定部64は、地絡の発生の有無を判定し、地絡が発生したと判定した場合、カウンタ66は、この判定結果を反映するため、カウントアップを行う。
一方、第2状態(図13の今回及び次回の「昇圧あり」)や、第1状態と第2状態との移行の際(図13の今回又は次回のいずれか一方が「昇圧あり」の場合)では、地絡判定部64での誤判定や、カウンタ66での誤積算を回避するために、地絡判定部64は、判定処理を実施せず、カウンタ66もカウントアップやリセットを実施しない。
つまり、本実施形態では、図12Bに示すように、第1状態では、カウンタ66はカウントアップを行っているが、第1状態と第2状態とが切り替わる際や、第2状態では、カウンタ66はカウント値を保持している。これにより、第1状態と第2状態とが頻繁に切り替わるような場合でも、地絡判定部64は、第1状態において、カウンタ66のカウント値が地絡閾値Cthに到達すれば、地絡の発生を精度良く確定させることができる。
[本実施形態の効果]
以上説明したように、本実施形態に係る電動車両10によれば、バッテリECU40の検出許可判定部62は、DC/DCコンバータ32の低電圧回路26側の1次電圧V1(高電圧バッテリ12の電圧Vb)と、高電圧回路27側の2次電圧V2(モータ18の回生電圧又は発電機44の電圧)との電位差の絶対値|V1−V2|が、規定値(電圧閾値Vth)以下の第1状態においては、地絡センサ24による接地電位と低電圧回路26又は高電圧回路27との間の絶縁状態の検出を許可する。また、検出許可判定部62は、|V1−V2|>規定値(Vth)の第2状態では、地絡センサ24による絶縁状態の検出を禁止する。
これにより、1つの地絡センサ24を用いて、接地電位と低電圧回路26との間の絶縁状態や、接地電位と高電圧回路27との間の絶縁状態を精度良く検出することができる。
なお、第1状態は、具体的に、V1≒V2となる直結状態、又は、該直結状態近傍の電位差でDC/DCコンバータ32が昇降圧動作を行っている状態である。従って、|V1−V2|を小さくする程、地絡センサ24は、接地電位と低電圧回路26との間の絶縁状態や、接地電位と高電圧回路27との間の絶縁状態を精度良く検出することができる。
また、第2状態は、具体的に、DC/DCコンバータ32が低電圧回路26と高電圧回路27との間で、規定値を超える電位差で昇降圧動作を精度良く行っている状態である。従って、第2状態での地絡センサ24による絶縁状態の検出を禁止することにより、接地電位と低電圧回路26又は高電圧回路27との間の絶縁状態を誤検出してしまうことを回避することができる。
さらに、本実施形態では、地絡センサ24が低電圧回路26と電気的に接続されているため、該地絡センサ24(を構成する電子部品)の耐圧を低く設定することができ、地絡センサ24の低コスト化を実現することができる。
また、地絡センサ24は、接地電位と低電圧回路26又は高電圧回路27との間の絶縁抵抗値を算出し、算出した絶縁抵抗値のデータをバッテリECU40に送信する。バッテリECU40において、地絡判定部64は、地絡センサ24から入力される絶縁抵抗値のデータに基づいて、接地電位に対する低電圧回路26又は高電圧回路27の地絡の発生の有無を判定する。また、昇圧検出部60が第2状態を検出した場合、地絡判定部64は、検出許可判定部62からの指示に従って、地絡センサ24から入力される絶縁抵抗値のデータを無視すればよい。
これにより、地絡判定部64の判定処理を素早く禁止状態とすることができる。この結果、検出許可判定部62から通信線54を介して地絡センサ24に絶縁抵抗値の算出禁止を指示してから、該地絡センサ24が絶縁抵抗値の算出処理を停止するまでの間に、地絡センサ24から通信線54を介して地絡判定部64に、第2状態において算出された絶縁抵抗値のデータが入力された場合でも、該地絡判定部64では、入力された絶縁抵抗値のデータを無視することができる。
なお、地絡センサ24は、第1状態において、割合|V1gp−V1gn|/Vb、又は、|V2gp−V2gn|/Vbと、マップ記憶部102に記憶されたマップとを用いて、絶縁抵抗値を算出するため、低電圧回路26側の絶縁抵抗値や、高電圧回路27側の絶縁抵抗値を精度よく検出することができる。
また、地絡センサ24は、第1状態において、所定時間間隔で絶縁抵抗値を算出してバッテリECU40に出力し、地絡判定部64は、絶縁抵抗値が入力される毎に、地絡の発生の有無を判定する。また、カウンタ66は、地絡の発生を地絡判定部64が判定する毎に積算し、地絡判定部64は、カウンタ66のカウント値が所定のカウント閾値に到達した場合、接地電位に対する低電圧回路26又は高電圧回路27の地絡の発生を確定する。
このように、地絡判定部64は、1回の判定処理で地絡の発生を確定するのではなく、判定処理を複数回行っても地絡が発生していると判定される場合に、該地絡の発生を確定させるので、地絡の発生の有無をより正確に判定することができる。
また、カウンタ66は、第2状態において、現在のカウント値を保持するため、絶縁抵抗値の算出が禁止される第2状態において、カウント値が誤積算されることを阻止することができる。
さらに、カウンタ66は、第1状態と第2状態とが切り替わる際に、積算動作又はリセット動作を禁止するため、第1状態と第2状態とが頻繁に切り替わるような状況でも、カウンタ66が誤積算したり、又は、リセットすることを阻止することができ、地絡の発生の確定を精度良く行うことができる。
そして、昇圧検出部60が第2状態を検出した場合、検出許可判定部62は、地絡センサ24に対して絶縁抵抗値の検出禁止を指示する(INH信号を出力する)。これにより、地絡センサ24は、スイッチ80、82、90、94をオフにして、地絡センサ24と低電圧回路26及び高電圧回路27との間を電気的に遮断させ、絶縁抵抗値の検出を強制的に禁止することができ、DC/DCコンバータ32での昇降圧動作の開始によって、地絡センサ24に耐圧以上の高電圧が印加されることを確実に防止することができる。
なお、本発明は、上述した実施形態に限らず、本明細書の記載内容に基づき、種々の構成を採り得ることは勿論である。