図を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。まず、本発明の第1の実施形態について説明する。
図1の斜視図、図1のA−A断面図である図2、及び図1のB−B断面図である図3に示すように、柱梁接合構造10は、柱12、14、梁16、接合構造体18、及びブロック部材20を有している。柱12には4つの梁16が接合されており、これらの梁16は、平面視にて各梁16の材軸が柱12の中心軸で交差するように略配置されている。説明の都合上、図1には描かれていないが、図2、3に示すように、梁16の上面には床版22が設けられている。
図2に示すように、柱12、14は、荷重を支持する木製の柱心材24と、柱心材24の外周を取り囲む第1燃え止まり層26と、第1燃え止まり層26の外周を取り囲む木製の第1燃え代層28とを備えている。下階の柱12(柱12の柱心材24)の上には、上階の柱14(柱14の柱心材24)が載置されている。
図2、及び図4(a)の斜視図に示すように、柱12において、第1燃え止まり層26の上面から上方へ突出する柱心材24の柱突出部46の上面には、平面視にて略十字状の溝30が形成されている。また、柱14において、第1燃え止まり層26の下面から下方へ突出する柱心材24の柱突出部70の下面には、平面視にて略十字状の溝32が形成されている。
図2に示すように、柱12と柱14とは、接合構造体18によって接合されている。接合構造体18は、筒状部材40、挿入部材42、及び接合部材44によって構成されている。筒状部材40、挿入部材42、及び接合部材44は、鋼製の部材である。
図2、及び図4(a)に示すように、筒状部材40は角筒形状の部材であり、柱突出部46が、筒状部材40の中空部48に挿入される。筒状部材40の上端部のコーナー部には、筒状部材40の外側へ張り出すように配置された板状のフランジ50が溶接等によって固定されている。
図2に示すように、挿入部材42は、鋼板により形成された水平プレート52と、水平プレート52の下面に一体に設けられた下挿入部54と、水平プレート52の上面に一体に設けられた上挿入部56とによって構成されている。下挿入部54及び上挿入部56は、平面視にて略十字状に配置された鋼板によって形成されている。下挿入部54と上挿入部56とは、平面視にて略一致している。
筒状部材40と、挿入部材42とは、筒状部材40のフランジ50と、挿入部材42の水平プレート52とをボルト58及びナット100で接合することにより一体化されている。そして、溝30へ下挿入部54を挿入させるようにして、柱突出部46の上面が水平プレート52の下面に接触するまで、筒状部材40の中空部48へ柱突出部46を挿入し、溝32へ上挿入部56を挿入させるようにして、水平プレート52の上面に柱突出部70を載置することにより、柱12と柱14とは接合される。なお、筒状部材40、水平プレート52、及び下挿入部54は、接着剤により、柱突出部46に固定されている。また、水平プレート52及び上挿入部56は、接着剤により、柱突出部70に固定されている。そして、このような構成により、柱12と柱14との間において、鉛直荷重は、水平プレート52を介して、柱12の柱心材24(柱突出部46)の上面と、柱14の柱心材24(柱突出部70)の下面との支圧により伝達される。
図2に示すように、梁16は、荷重を支持する木製の梁心材34と、梁心材34の側面と下面とを取り囲む第2燃え止まり層36と、第2燃え止まり層36の側面と下面とを取り囲む木製の第2燃え代層38とを備えている。
図2、3に示すように、接合部材44は、奥壁部60と、奥壁部60の左右端部に固定された側壁部62、64と、奥壁部60及び側壁部62、64の下端部に固定された底部66とによって構成されている。奥壁部60、側壁部62、64、及び底部66は、鋼製の板状部材により形成されている。接合部材44は、奥壁部60の背面(外側の面)を筒状部材40の外周面に溶接等により固定することにより、筒状部材40に固定されている。すなわち、筒状部材40の中空部48に、柱12の柱突出部46を挿入することにより、筒状部材40を介して、柱心材24に接合部材44が固定される。
接合部材44は、奥壁部60、側壁部62、64、及び底部66に囲まれて形成された箱状の挿入部68を有している。挿入部68は、上面及び正面が開口している。そして、柱12、14の側面に形成された切り欠き部82に梁16の梁心材34の端部を挿入し、この梁心材34の端部を挿入部68へ挿入して接続することによって、柱12に梁16が接合されている。なお、梁16の梁心材34の端部は、接着剤により、接合部材44に固定されている。そして、このような構成により、曲げ荷重は、筒状部材40及び挿入部材42を介して柱12、14と梁16との間で伝達される。
図4(a)に示すように、ブロック部材20は、平面視にてL字状の木製の第3燃え代層72と、第3燃え代層72の端面(図4(b)の斜視図において、接合部材44の側壁部62、64の外面と対向する面)に設けられた燃え止まり板74と、第3燃え代層72の内周面に設けられた燃え止まり板76と、第3燃え代層72の上面に設けられた燃え止まり板78とを備えている。また、柱12を構成する、第1燃え止り層26及び第1燃え代層28の上面には、平面視にて正方形の枠状の燃え止まり板80が設けられている。
そして、筒状部材40の外側の角部と、ブロック部材20(燃え止まり板76)の内側の角部とを合わせるようにして4つのブロック部材20を配置し、図4(b)に示すように、配置した4つのブロック部材20により筒状部材40の外周を取り囲んでいる。
この状態において、図3に示すように、対向する一対の燃え止まり板74と、接合部材44の底部66の下方に位置する、燃え止まり板80の部分とによって、第3燃え止まり層84が形成される。すなわち、接合部材44は、第3燃え止まり層84により側面と下面とを取り囲まれ、第3燃え止まり層84は、側面を第3燃え代層72に取り囲まれ、下面を第1燃え代層28に取り囲まれている。また、図2に示すように、梁心材34の端部が挿入部68へ接続された状態で、第3燃え止まり層84の端面は、梁16の第2燃え止り層36の端面に接触している。
図2、3に示すように、梁14の上面には、鉄筋コンクリート製の床版22が設けられている。すなわち、梁心材34、第2燃え止まり層36、及び第2燃え代層38の上面に、床版22が設けられている。これにより、梁心材34の外周が、第2燃え止まり層36と床版22とによって取り囲まれ、第2燃え止まり層36の外周が、第2燃え代層38と床版22とによって取り囲まれている。また、床版22の下面とフランジ50の下面とは、高さが略一致している。これにより、フランジ50及び水平プレート52の側面と、水平プレート52の上面の外縁部とは、床版22に覆われ、フランジ50の下面は燃え止まり板78に覆われている。
次に、柱梁接合方法について説明する。ここでは、図4(a)〜(d)の斜視図により、柱梁接合構造を構築する柱梁接合方法の一例について説明する。柱梁接合方法は、接合部材固定工程、第3燃え止まり層形成工程、梁接合工程、柱接合工程、及び床形成工程によって構成されている。
まず、接合部材固定工程では、図4(a)に示すように、筒状部材40の中空部48に、柱12の柱突出部46を挿入することにより、筒状部材40を介して、柱心材24に接合部材44を固定する。
次に、第3燃え止まり層形成工程では、図4(b)に示すように、筒状部材40の外側の角部と、ブロック部材20(燃え止まり板76)の内側の角部とを合わせるようにして4つのブロック部材20を配置することにより、対向する一対の燃え止まり板74と、接合部材44の底部66の下方に位置する、燃え止まり板80の部分とによって、第3燃え止まり層84を形成する。
次に、梁接合工程では、図4(c)に示すように、梁16の梁心材34の端部を挿入部68へ挿入して接続することにより、柱12に梁16を接合する。
次に、柱接合工程では、図4(c)に示すように、フランジ50と水平プレート52とをボルト58及びナット100で接合して一体化し、釘98等によってブロック部材20をフランジ50及び水平プレート52に固定した後に、図4(d)に示すように、水平プレート52の上面に柱14の柱突出部70を載置することによって、柱12と柱14とを接合する。
次に、床形成工程では、コンクリートを打設して、梁16の上面に鉄筋コンクリート製の床版22を形成する。また、ナット100を収容するために、ブロック部材20の上面に形成されている切り欠き102をモルタル等の充填材Mで塞ぐ。
次に、本発明の第1の実施形態の作用と効果について説明する。
本発明の第1の実施形態に係る柱梁接合構造10では、図2に示すように、柱12の柱心材24に固定された接合部材44に、梁16の梁心材34の端部を接続することにより、柱心材24と梁心材34との間で荷重を伝達することができ、柱12に梁16を接合することができる。
また、火災が発生したときに火炎が第1燃え代層28に着火し、第1燃え代層28が燃焼する。そして、燃焼した第1燃え代層28は炭化する。よって、柱12、14の外部から柱心材24への熱伝達と酸素供給とを、炭化した第1燃え代層28が遮断し、第1燃え止まり層26が吸熱するので、火災(加熱)時及び火災(加熱)終了後における柱心材24の温度上昇を抑制することができる。これにより、火災(加熱)時及び火災(加熱)終了後において、所定時間(例えば、1時間耐火の場合には、1時間)の間、柱心材24を着火温度未満に抑え、柱心材24を燃焼させずに燃え止まらせて、構造体として機能させることができる。
また、火災が発生したときに火炎が第2燃え代層38に着火し、第2燃え代層38が燃焼する。そして、燃焼した第2燃え代層38は炭化する。よって、梁16の外部から梁心材34への熱伝達と酸素供給とを、炭化した第2燃え代層38と、コンクリート製の床版22とが遮断し、第2燃え止まり層36が吸熱するので、火災(加熱)時及び火災(加熱)終了後における梁心材34の温度上昇を抑制することができる。これにより、火災(加熱)時及び火災(加熱)終了後において、所定時間(例えば、1時間耐火の場合には、1時間)の間、梁心材34を着火温度未満に抑え、梁心材34を燃焼させずに燃え止まらせて、構造体として機能させることができる。
また、図2に示すように、梁心材34の端部が挿入部68へ接続された状態で、第3燃え止まり層84の端面は、梁16の第2燃え止り層36の端面に接触しているので、柱12と梁16との接合部から熱が進入して、柱12、14の柱心材24、及び梁16の梁心材34の温度が上昇するのを抑制することができる。
よって、火災(加熱)時及び火災(加熱)終了後において、所定時間(例えば、1時間耐火の場合には、1時間)の間、柱心材24及び梁心材34を着火温度未満に抑え、柱心材24及び梁心材34を燃焼させずに燃え止まらせて、構造体として機能させることができる。
また、図3に示すように、接合部材44は、側面が第3燃え代層72に取り囲まれ下面が第1燃え代層28に取り囲まれている第3燃え止まり層84により、側面と下面とが取り囲まれている。また、図2に示すように、筒状部材40は、外側を第3燃え代層72に取り囲まれた燃え止まり板76により、外周面のコーナー部付近が取り囲まれ、外周面の他の部分は接合部材44によって取り囲まれている。また、図2に示すように、挿入部材42は、平面視における中央領域が、柱突出部46の上面と柱突出部70の下面との間に配置され、平面視における中央領域以外の外周領域が、コンクリート製の床版22に埋設されている。また、フランジ50の側面は床版22に覆われ、フランジ50の下面は燃え止まり板78に覆われている。また、図2に示すように、梁心材34の端部が挿入部68へ接続された状態で、第3燃え止まり層84の端面は、梁16の第2燃え止り層36の端面に接触している。
これらにより、先に説明した「梁心材34の温度上昇が抑制される」のと同様の原理で、火災(加熱)時及び火災(加熱)終了後における接合構造体18の温度上昇を抑制することができる。これによって、柱12と梁16との接合部に耐火性を付与することができる。
また、接合部材44の挿入部68へ梁16の梁心材34の端部を挿入することにより、柱12に梁16を接合することができる。すなわち、ボルト接合やコンクリート打設等の煩雑な作業を必須の作業とせずに、柱12に梁16を接合することができる。
また、柱梁接合構造10では、図4(a)に示すように、ほぞ接合の場合に柱心材24に形成される大きな断面欠損を生じさせずに、柱12に梁16を接合することができる。すなわち、柱12と梁16との接合強度を向上させることができる。また、柱心材24に大きな断面欠損を生じさせなくてよいので、柱心材24の平断面(構造断面)を小さくすることができ、柱12の平断面(構造断面)を小さくすることができる。
また、筒状部材40を設置することによって、接合部材44を柱12の柱心材24に固定することができる。これにより、建物の建築において、柱、梁の組み立て作業の効率化を図ることができる。
また、筒状部材40及び挿入部材42(下挿入部54と上挿入部56)を設けることによって、柱12と柱14とを接合した状態から、柱12に対して柱14が横方向へずれるのを防止することができる。
また、筒状部材40と挿入部材42とは、別々の部材であり、ボルト58及びナット100によって接合されて一体化されるので、例えば、工場等で、筒状部材40を柱12に取り付け、挿入部材42を柱14に取り付けておいて、現場で筒状部材40と挿入部材42とを接合することにより、柱12と柱14とを接合することができる。
また、第1の実施形態に係る柱梁接合方法では、接合部材44により、柱12に梁16を接合することができる。また、第3燃え止まり層84を形成することにより、接合部材44の温度上昇を抑制し、柱12と梁16との接合部に耐火性を付与することができる。
また、柱接合工程では、1階分の長さの柱同士(柱12と柱14)を接合するので、柱を短い長さの構造部材とすることができる。これにより、柱の搬送、揚重、移動、配置等の作業が行い易くなる。
以上、本発明の第1の実施形態について説明した。
なお、本発明の第1の実施形態では、図2に示すように、柱突出部46の上面と、柱突出部70の下面との間に水平プレート52を配置した例を示したが、柱12と柱14との間で鉛直荷重が伝達されれば、どの様な構成であってもよい。例えば、柱突出部46の上面と、柱突出部70の下面との間にモルタル等の充填材Mを充填してもよいし、柱突出部46の上面に柱突出部70を直接載置するようにしてもよい。柱突出部46の上面と、柱突出部70の下面との間に水平プレート52を配置したり、図5の正面断面図に示す柱梁接合構造124のように、充填材Mを充填したりすることによって、柱突出部46の上面に均一に柱14の荷重を伝達することができる。充填材Mとしては、モルタル、繊維補強セメントなどが挙げられる。
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
本発明の第2の実施形態の説明において、第1の実施形態と同じ構成のものは、同符号を付すると共に、適宜省略して説明する。図6(a)、(b)の斜視図に示すように、第2の実施形態の柱梁接合構造86では、接合部材44が、筒状部材40等の部材を介さずに、柱88の柱心材24に直接固定されている。図6(a)には、接合部材44が柱心材24に固定される前の状態が描かれ、図6(b)には、接合部材44が柱心材24に固定された状態が描かれている。
図6(a)に示すように、柱88は、図5において充填材Mを介さずに柱12と柱14とを一体化したものと同様の構成になっている。また、柱梁接合構造86では、柱88にブロック部材20(図4(a)を参照のこと)が一体に形成されている。すなわち、第1燃え代層28と第3燃え代層72とが、平面視にて略一致するとともに一体化され、第1燃え止まり層26と燃え止まり板76とが、平面視にて略一致するとともに一体化されている。なお、燃え止まり板78、80は、設けられていない。接合部材44を取り囲むように配置される燃え止まり部材90は、第1の実施形態で示した第3燃え止まり層84(図3を参照のこと)と同様の構成になっている。
図6(a)に示すように、柱88の柱心材24には、複数の貫通孔92が略水平に形成されており、この貫通孔92にボルト94を貫通させ、図6(b)に示すように、一方の端部にナット96をねじ込み締め付けることによって、柱心材24に接合部材44を固定している。そして、接合部材44を取り囲むように燃え止まり部材90を配置し、接着剤等により接合部材44に固定する。そして、図6(b)に示すように、梁16の梁心材34の端部を接合部材44の挿入部68へ挿入することにより、柱12に梁16を接合する。
次に、本発明の第2の実施形態の作用と効果について説明する。
第2の実施形態では、切り欠き部82と貫通孔92とを形成する程度の加工を行うだけで、比較的容易に、柱88の任意の位置(高さ)に梁16を接合することができる。
以上、本発明の第1及び第2の実施形態について説明した。
なお、本発明の第1及び第2の実施形態で示した、柱心材24、梁心材34、第1燃え代層28、第2燃え代層38、及び第3燃え代層72は、木材によって形成されていればよい。例えば、柱心材24、梁心材34、第1燃え代層28、第2燃え代層38、及び第3燃え代層72は、米松、唐松、檜、杉、あすなろ等の一般の木造建築に用いられる柱材や梁材(以下、「一般木材」とする)によって形成してもよいし、これらの一般木材を角柱状の単材に加工し、この単材を複数集成し単材同士を接着剤により接着して一体化することによって形成してもよい。
また、第1燃え止まり層26、第2燃え止まり層36、及び燃え止まり板74、76、78、80は、熱の吸収が可能な層であればよい。例えば、第1燃え止まり層26、第2燃え止まり層36、及び燃え止まり板74、76、78、80は、一般木材よりも熱容量が大きな材料、一般木材よりも断熱性が高い材料、又は一般木材よりも熱慣性が高い材料によって形成してもよいし、これらの材料と一般木材とを組み合わせて形成してもよい。
一般木材よりも熱容量が大きな材料としては、モルタル、石材、ガラス、繊維補強セメント等の無機質材料、各種の金属材料などが挙げられる。一般木材よりも断熱性が高い材料としては、珪酸カルシウム板、ロックウール、グラスウールなどが挙げられる。一般木材よりも熱慣性が高い材料としては、セランガンバツ、ジャラ、ボンゴシ等の木材が挙げられる。
また、本発明の第1及び第2の実施形態では、図2、3に示すように、第2燃え止まり層36が、梁心材34の側面と下面とを取り囲み、第2燃え代層38が、第2燃え止まり層36の側面と下面とを取り囲む例を示したが、第2燃え止まり層36が、梁心材34の外周を取り囲み、第2燃え代層38が、第2燃え止まり層36の外周を取り囲むようにしてもよい。
また、本発明の第1及び第2の実施形態では、梁16の端部を挿入する切り欠き部82を柱12、14の側面に形成した例を示したが、この切り欠き部82は、図2に示すように、柱12、14に梁16が接合され梁16の上面に床版22が設けられた状態で、床版22の上面と、柱14の第1燃え止まり層26及び第1燃え燃え代層28の下面との間に、10〜20mm程度の隙間を有するように形成してもよい(以下、床版22の上面に形成される隙間を「上目地」とする)。このようにすれば、切り欠き部82の開口面積が大きくなるので、プレキャスト床版を設置することにより床版22を形成する場合に、プレキャスト床版が設置し易くなる。また、上目地に、耐火性を有する充填材を充填して耐火処理を施すことによって、上目地から熱が進入することを防ぐことができる。また、上目地に、耐火性を有する可撓性材料を充填することにより、第1燃え止まり層26や第1燃え代層28が乾燥等により上下方向へ収縮した場合においても、上目地が閉塞された状態を維持することができる。
また、本発明の第1の実施形態では、筒状部材40、挿入部材42、及び接合部材44によって接合構造体18を構成した例を示したが、筒状部材40及び挿入部材42は、柱14の柱心材24から柱12の柱心材24へ軸力が伝達されるように、柱12の柱心材24と柱14の柱心材24とをつなぐことができれば、どのような形状でもよいし、どのような材料によって形成してもよい。例えば、筒状部材40の平断面形状を円形、多角形にしてもよい。また、例えば、下挿入部54を設けなくてもよいし、挿入部材42と筒状部材40との上下の配置を逆にしてもよいし、挿入部材42のみによって柱12の柱心材24と柱14の柱心材24とをつないでもよい。また、例えば、図5に示すように、筒状部材40のみによって柱12の柱心材24と柱14の柱心材24とをつないでもよい。
また、本発明の第1及び第2の実施形態で示した接合部材44は、柱12の柱心材24に固定されて梁16の梁心材34の端部を接続することにより、柱心材24と梁心材34との間で荷重を伝達することができるものであればよい。例えば、接合部材は44は、必要とする強度が得られれば、木、鋼鉄、樹脂、コンクリート等のどのような材料によって形成してもよい。先に述べたように、第1及び第2の実施形態では、接合部材44の温度上昇が抑制されるので、耐火性や吸熱性が期待できない材料によって接合部材44が形成されていても、柱12と梁16との接合部に付与される耐火性が損なわれることはない。
また、例えば、図7〜10の正面断面図に示されている柱梁接合構造104、106、108、110のように、接合部材44をコッター溝部材112A、114A、116Aやコッター溝部122Aとしてもよい。
図7の正面断面図に示すように、柱梁接合構造104では、柱88の柱心材24に鋼製のコッター溝部材112Aが固定され、梁16の梁心材34の端部に鋼製のコッター溝部材112Bが固定されている。また、コッター溝部材112Aの外側の端面(突出している部分の頂部の面)は、第1燃え代層28の外周面と略面一になっている。そして、コッター溝部材112Aとコッター溝部材112Bとの間にモルタル等の充填材Mを充填し硬化させて、柱88に梁16を接合する。この構成により。硬化した充填材Mを介して、柱心材24と梁心材34との間で、せん断力を伝達することができる。
図8の正面断面図に示すように、柱梁接合構造106では、柱88の柱心材24に鋼製のコッター溝部材114Aが固定され、梁16の梁心材34の端部に鋼製のコッター溝部材114Bが固定されている。また、コッター溝部材114Aの外側の端面(突出している部分の頂部の面)は、第1燃え代層28の外周面と略面一になっている。また、コッター溝部材114Aとコッター溝部材114Bとの間に、硬化したモルタルよりもせん断力の伝達効率の高いコッターピース120が配置されている。そして、コッター溝部材114Aとコッターピース120、及びコッター溝部材114Bとコッターピース120との間にモルタル等の充填材Mを充填し硬化させて、柱88に梁16を接合する。この構成により、コッターピース120、及び硬化してコッターピース120と一体になった充填材Mを介して、柱心材24と梁心材34との間で、せん断力を伝達することができる。
図9の正面断面図に示すように、柱梁接合構造108では、柱88の柱心材24に鋼製のコッター溝部材116Aが固定され、梁16の梁心材34の端部に鋼製のコッター溝部材116Bが固定されている。また、コッター溝部材116Aの外側の端面(突出している部分の頂部の面)は、柱心材24の外周面と略面一になっている。そして、コッター溝部材116Aとコッター溝部材116Bとの間にモルタル等の充填材Mを充填し硬化させて、柱12に梁16を接合する。この構成により、硬化した充填材Mを介して、柱心材24と梁心材34との間で、せん断力を伝達することができる。
図10の正面断面図に示すように、柱梁接合構造110では、柱88の柱心材24の接合面に、複数の溝により構成されるコッター溝部122Aが形成され、梁16の梁心材34の端面に、複数の溝により構成されるコッター溝部122Bが形成されている。また、コッター溝部122Aの外側の端面(突出している部分の頂部の面)は、柱心材24の外周面と略面一になっている。そして、コッター溝部122Aとコッター溝部122Bとの間にモルタル等の充填材Mを充填し硬化させて、柱12に梁16を接合する。この構成により、硬化した充填材Mを介して、柱心材24と梁心材34との間で、せん断力を伝達することができる。なお、コッター溝部122Aの外側の端面(突出している部分の頂部の面)が、第1燃え代層28の外周面と略面一になる構成にしてもよい。
柱梁接合構造104、106、108、110では、コッター溝部材112A、114A、116A、118Aと、コッター溝部材112B、114B、116B、118Bとの間に形成される隙間や、コッター溝部122Aとコッター溝部122Bとの間に形成される隙間によって、梁16の梁長方向に対する梁16の設置誤差を吸収することができる。なお、コッター溝部材やコッター溝部の形状は、柱心材24と梁心材34との間で鉛直方向のせん断力を確実に伝達できれば、どのような形状にしてもよい。
また、本発明の第1及び第2の実施形態では、梁16の梁心材34の端部を接合部材44の挿入部68へ挿入して接続することにより、柱12に梁16を接合する例を示したが、梁心材34の端部は、この状態のまま接合部材44に固定せずに、所謂「ピン接合」の状態にしてもよいし、ボルトやドリフトピン等の固定部材によって接合部材44に固定してもよい。
また、本発明の第1及び第2の実施形態では、梁心材34の端部が挿入部68へ接続された状態で、第3燃え止まり層84の端面を、梁16の第2燃え止り層36の端面に接触させた例を示したが、第3燃え止まり層84の端面と、梁16の第2燃え止り層36の端面とは、対向していればよい。すなわち、第3燃え止まり層84の端面と、梁16の第2燃え止り層36の端面とは、接触していてもよいし、隙間を有していてもよい。隙間を有する場合には、この隙間からの熱の進入を防ぐために、モルタル等の充填材Mを充填してこの隙間を塞ぐ。
また、本発明の第1及び第2の実施形態では、柱12に4つの梁16を接合した例を示したが、柱12に接合する梁16はいくつでもよい。例えば、1つの梁16のみを柱12に接合してもよいし、平面視にて一直線状、L字状又はT字状に配置されるように2つ又は3つの梁16を柱12に接合してもよい。
また、第1の実施形態では、4つのブロック部材20により筒状部材40の外周を取り囲んだ例を示し、第2の実施形態では、柱88にブロック部材20が一体に形成されている例を示したが、第1の実施形態において、柱12にブロック部材20を一体に形成してもよいし、第2の実施形態において、4つのブロック部材20により筒状部材40の外周を取り囲むようにしてもよい。
また、第1及び第2の実施形態では、柱心材24、第1燃え止まり層26、及び第1燃え代層28により構成された柱12、14と、梁心材34、第2燃え止まり層36、及び第2燃え代層38により構成された梁16とを用いた例を示したが、第1及び第2の実施形態は、一般的な木造の柱や梁に対しても適用可能である。
また、本発明の第1及び第2の実施形態では、柱12に梁16を接合する柱梁接合構造10、86について説明したが、この柱梁接合構造10、86を梁同士(例えば、大梁と小梁)の接合に適用してもよい。
また、本発明の第1及び第2の実施形態では、床版22を鉄筋コンクリート製とした例を示したが、床版22は、鉄筋コンクリート製以外のものであってもよい。例えば、ALC(軽量気泡コンクリート)床版、穴あきPC(プレストレスト・コンクリート)床版、ハーフPC(プレストレスト・コンクリート)床版であってもよいし、プレキャスト製のこれらの床版であってもよい。
以上、本発明の第1及び第2の実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものでなく、第1及び第2の実施形態を組み合わせて用いてもよいし、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。