JP5808159B2 - 段ボール用ライナー - Google Patents

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Description

本発明は段ボール用ライナーに関し、特に段ボールケース内面と段ボールケースに内包される商品(商品を包装する包装材も含む)とが段ボールケースの搬送時に接触することにより、商品に傷入りが発生したり、段ボールケース内面が商品との接触により商品包装袋にピンホール等の毀損が発生したりすることを防止すると共に、段ボールケース内面と段ボールケースに内包される商品との接触により段ボールケース内面からの紙粉の発生を抑えるに最適な段ボールケース内面に用いられる段ボール用ライナーに関する。
段ボールケースに商品を入れて搬送する場合、段ボールケース内面と段ボールケースに内包される商品とが擦れることにより、商品に傷入りや、商品包装袋にピンホール等の毀損が発生する場合や段ボールケース内面と段ボールケースに内包される商品との接触により段ボールケース内面から紙粉が生じる場合がある。商品への傷発生を防止する手段としては、商品表面にUVニス加工やエンボス加工を施したり、商品をシュリンクやラミネートで包装したり、エアキャップやミラーマットなどの緩衝材を配置したりする対策が採用されている。
段ボールケース側では、商品と接触する段ボールケース内面をラミネート加工したり、段ボールケース内面に平滑性が高いコートボールライナーを用いる試みがなされている。
特許文献1には、段ボールケース内面にアクリル樹脂を塗布することで内包される密封包装袋にピンホールを生じ難くする技術が開示されているが、アクリル樹脂は一般に硬質な樹脂でありこのアクリル樹脂のみでは内包される商品との摩擦係数が高くなり、輸送中の衝撃により商品に擦過状の傷が生じたり、たとえば大きな物理的衝撃を受けた場合、段ボールケース内で商品が急激に移動して段ボールケース内面に衝突した際に、商品に傷入りが生じやすい問題を有する。また、段ボールケース内面においても、商品との接触により紙粉が発生する問題がある。
特許文献2には、対象物が紙製養生シートであるが、当該養生シート表裏面の摩擦係数を0.18以上とし、さらにフルート加工することで建築用材や建築部品、資材への損傷や汚れの防止を図る技術が開示されている。
しかしながら、段ボールケース内面の摩擦係数が大きすぎる場合、段ボールケース内面と商品との静摩擦係数が高くなるが故に、段ボールケース内面または内包される商品に傷入りが生じやすくなる問題を含んでいるため摩擦係数の下限を規定したのみでは不十分であり、また、動摩擦係数が大きすぎる場合、輸送中に大きな衝撃がかかると、商品が急激に移動して段ボールケース内面に衝突し、商品に傷入りや商品包装袋にピンホールが発生する問題がある。
特開平8−91359号公報 特開2000−273799号公報
本発明は、段ボールケース内面と段ボールケースに内包される商品とが搬送時に接触することにより発生する商品への傷や商品包装袋にピンホール等の毀損が生じることを防止すると共に、段ボールケース内面からの紙粉の発生を抑えるに最適な、段ボールケース内面に用いられる段ボール用ライナーを提供することを目的とする。
本発明にかかる段ボール用ライナーは、
基紙の少なくとも片面に、合成樹脂および潤滑剤を含む溶液を印刷にて付与して設けられた表面層を有する段ボール用ライナーであって、
上記合成樹脂がスチレン樹脂およびアクリル樹脂からなる混合樹脂であり、
上記潤滑剤がワックス、フッ素系撥水剤、シリコーン系撥水剤から選択される少なくとも1種であり、
上記表面層が、2層以上の多層で、各層が同じ組成の上記溶液にて設けられたものであることを特徴とする。
本発明は、かかる構成を有することにより、段ボールケース内面と段ボールケースに内包される商品とが接触することにより発生する商品への傷入りや商品包装袋へのピンホール等の毀損を防止すると共に、段ボールケース内面からの紙粉の発生を抑えるに最適な段ボール用ライナーを提供することができる。
上記潤滑剤、上記溶液中に0.1〜2.0質量%含有されている。そして、段ボール用ライナーの上記表面層が設けられた表面におけるJIS P 8147「紙および板紙の摩擦係数試験方法」で規定する動摩擦係数が0.10〜0.30であることが、段ボールケース内での適度な商品保持と衝撃を受けた際の適度な緩衝効果を得る上で好ましい。
本発明は、かかる構成を有することにより、上記溶液を基紙の表面に塗布した際に、塗布ムラが発生しにくく、商品包装袋にピンホールが発生しにくい。また、得られる段ボールシートの表面は、適度な動摩擦係数を有することとなり、段ボール内の荷物が安定に保たれ、かつ、製函前の段ボールシートを積み重ねた場合であっても荷崩れを起こしにくい。さらに、段ボールの組立時における良好な貼合性を維持することができる。
上記表面層は、上記溶液が片面あたり0.5〜3.5g/mとなるように設けられてなる。そして、段ボール用ライナーの上記表面層が設けられた表面におけるJIS P 8147「紙および板紙の摩擦係数試験方法」で規定する静摩擦係数が0.10〜0.30であることが好ましい。
本発明は、かかる構成を有することにより、古紙が多用されるライナーにおいて、前記合成樹脂および潤滑剤を含む溶液の被膜性を保持しながら所望の摩擦係数を保持することが可能となり、上記溶液を基紙の表面に塗布した際に、商品包装袋にピンホールが発生しにくい。また、ある程度の厚みの表面層が得られることにより、ライナーの粗さを改善することができ、商品への傷入りや、たとえば真空包装商品の包装袋や包装部材にピンホールが生じる問題を防止することができる。また、紙紛の発生を防止できるとともに、段ボールの組立時における良好な貼合性を維持することができる。また、本発明では、上記のとおり、商品への傷入りや真空パック等の高密閉性を特徴とする商品包装袋にピンホール等の毀損が生じることを防止する目的であるため、たとえば耐油紙に求められるように、基紙の表面に溶液を大量に付与する必要はない。言いかえれば、従来耐油紙等の分野において基紙の表面に合成樹脂を含む溶液を付与する技術があるが、かかる技術では、耐油性付与を目的として大量の溶液を塗布しなければならない。一方、本発明では、商品への傷入りや商品包装にピンホール等の毀損が生じることを防止する、という新たな課題に着目し鋭意検討した結果、特定の合成樹脂および潤滑剤を含む溶液を上記のような少ない塗布量で塗布することにより、充分な効果を奏することを見出している点に最大の特徴を有している。
上記段ボール用ライナーの上記表面層が設けられた表面のJIS P 8119「紙および板紙 ベック平滑度試験機による平滑度試験方法」で規定するベック平滑度が9.0〜20.0秒であることが好ましい。
本発明は、かかる構成を有することにより、段ボールケース内面と、段ボールケースに内包される商品との適度な平坦性を考慮した「面」接触における傷入りを顕著に防止することができる。
上記段ボール用ライナーの上記表面層が設けられた表面のJIS P 8151「紙および板紙−表面粗さおよび平滑度試験方法(エア・リーク法)−プリント・サーフ試験機法」において、ソフトバッキングを使用し1MPaに加圧して測定したプリント・サーフ表面粗さが7.0μm〜10.0μmであることが好ましい。
本発明は、かかる構成を有することにより、過大な衝撃が段ボールケースに内包される商品に生じても、段ボールケース内面と商品との衝撃的な接触を緩和し、商品への傷入りを顕著に防止することができる。特に、上記ベック平滑度を9.0〜20.0秒とし、かつ、プリント・サーフ表面粗さを7.0μm〜10.0μmの範囲を満たす場合に、商品の傷入り、商品包装袋にピンホール等の毀損や、段ボールケース内面からの紙粉の発生を有利に防止する効果を奏する。
本発明によれば、段ボールケース内面と商品とが接触することにより発生する商品(商品包装材)への傷入りや、商品包装袋にピンホール等の毀損を防止すると共に、段ボールケース内面からの紙粉の発生を抑えるに最適な段ボール用ライナーを提供することができる。
本発明にかかる段ボール用ライナーは、
基紙の少なくとも片面に、合成樹脂および潤滑剤を含む溶液を付与して設けられた表面層を有する段ボール用ライナーであって、
上記合成樹脂がスチレン−アクリル樹脂を含み、
上記潤滑剤がワックス、フッ素系撥水剤、シリコーン系撥水剤から選択される少なくとも1種であることを特徴とする。
<基紙について>
基紙について説明する。本発明で使用する基紙は、本発明の段ボール用ライナーを作製するに際して、合成樹脂および潤滑剤を含む溶液が付与される原紙として用いられる。基紙としては、JIS P 3902に準拠するLA級またはLB級を満足する多層または単層のライナーやクラフト紙を好適に用いることができる。
本発明の段ボール用ライナーの基紙に使用する原料パルプには、各種のものが使用でき、たとえば、クラフトパルプ(KP)、サルファイトパルプ(SP)、ソーダパルプ(AP),等の化学パルプ、セミケミカルパルプ(SCP)、ケミグランドウッドパルプ(CGP)等の半化学パルプ、砕木パルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP、CTMP、BCTMP)、リファイナーグランドウッドパルプ(RGP)等の機械パルプが使用可能である。
その他のパルプとしては、コットンリンター、楮、三椏、麻、ケナフ等を原料とする非木材繊維パルプ、古紙を原料とする脱墨パルプ等がある。これらのパルプは単独でも、二種以上混合使用してもよい。但し、樹種によっては樹脂分が多いものもあり、特にライナー原紙として使用する場合、ガラス板の表面を汚染させることもあるため、なるべく樹脂分の少ない樹種を選定した方が好ましい。たとえばコットンリンターやアルカリ処理によりαセルロースの純度を高めたパルプまたはキシラナーゼなどの酵素により酵素処理が施されたパルプ等が挙げられる。
これらの原料パルプは、叩解を進めることでパルプ繊維間結合力が強化され発塵量が少なくなるため好ましい。遊離状叩解よりも粘状叩解されたものがより好ましい。パルプのフリーネスはカナダ変法ろ水度(0.3g法)で600ml以下にすることが好ましい。叩解を行うにあたって叩解装置の種類、パルプ濃度、仕込み速度のような叩解条件は特に限定するものではなく前述のフリーネスの範囲になるように各条件を設定すればよい。
本発明の段ボール用ライナーの基紙を抄造する際の内外添薬品については、必要に応じて適宜公知の薬品が使用可能である。
たとえば、ロジン系、スチレン・マレイン酸樹脂系、アルケニル無水コハク酸、アルキルケテンダイマー等のサイズ剤、各種紙力増強剤、濾水歩留り向上剤、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン等の耐水化剤、吸湿剤、柔軟剤、帯電防止剤、消泡剤、スライムコントロール剤、タルク等の填料、染料等を使用することができる。
また、上記薬品以外に、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、デンプン等があり、それらの中には、高ケン化度PVA、低ケン化度PVA、変性PVA、変性ポリアクリルアミド、生デンプン、酸化デンプン、変性デンプンの水溶液などを、基紙表面に予め必要に応じて塗布もしくは含浸させることも可能である。
特に本発明における傷等の毀損や紙粉が発生しない段ボール用ライナーにおいては、表面が緻密で平滑性が高く、クッション性が高く所望の摩擦係数を保持する紙を使用することが好ましい。かかる性状を満たすさらに好適な構成としては、たとえば、JIS P 8140「紙および板紙―吸水度試験方法―コッブ法」で規定する段ボールケース内面のコッブ吸水度が20〜80g/m2・2分であり、段ボールシートを形作る中芯からなるフルートと接触する側のコッブ吸水度が100〜190g/m2・2分であることが、段ボール箱への成形加工適性や本発明にかかる合成樹脂および潤滑剤を含む溶液を段ボール用ライナー表面に適度な被膜と段ボールケースに内包される商品との接触における所望の摩擦係数と平坦性、クッション性を保持するに好適である。
また、JIS P 8124「紙および板紙−坪量測定方法」に準拠して測定した坪量が100〜350g/m2であることが、段ボール箱の成形や段ボールシート加工後に印刷機で本発明にかかる合成樹脂および潤滑剤を含む溶液を設けるに作業性の面から好ましく、たとえば、大王製紙(株)製のJEKライナー170〜280g/m2を好適に使用することができる。
より具体的には、コッブ吸水度が上記範囲から外れる場合、後述する溶液を付与した場合に、付与された溶液が基紙の内部に過度に浸透することとなり、基紙の表面に充分な表面層を形成することができない傾向がある。また、ベック平滑度が上記範囲から外れる場合、段ボールケース内面と段ボールケースに内包される商品との接触が「面」から「点」の状態となり、接触部位で商品包装袋にピンホール等の毀損や、段ボールケース内面からの紙粉の発生、内包される商品への傷入りが生じる問題が生じやすくなる。また、基紙の表面層(皮膜)で原料パルプ由来の異物を覆うことができず、特に古紙パルプを50%以上高配合したライナーを用いた場合の、古紙由来のプラスチックや結束繊維等による傷入り防止の効果が得られにくくなる傾向がある。
なお、後述するように、本発明は、溶液に含有される合成樹脂および潤滑剤に特徴があり、かつ、得られる表面層の表面性状にも特徴がある。
<溶液について>
溶液について説明する。本発明で使用する溶液には、合成樹脂および潤滑剤を含むことを特徴とし、合成樹脂がスチレン−アクリル樹脂を含み、潤滑剤がワックス、フッ素系撥水剤、シリコーン系撥水剤から選択される少なくとも1種であることを特徴とする。
スチレン−アクリル樹脂としては、下記のようなビニル系単量体を重合して得られたものを例示することができる。
ビニル系単量体としては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−クロロスチレン、3,4−ジクロロスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレンなどのスチレンまたはスチレン誘導体;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチルなどのメタクリル酸エステル誘導体;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸フェニルなどのアクリル酸エステル誘導体;エチレン、プロピレン、イソブチレンなどのオレフィン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニル、フッ化ビニリデンなどのハロゲン系ビニル類;プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルなどのビニルエステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテルなどのビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトンなどのビニルケトン類;N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンなどのN−ビニル化合物;ビニルナフタレン、ビニルピリジンなどのビニル化合物類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドなどのアクリル酸またはメタクリル酸誘導体などが挙げられる。これらのビニル系単量体は1種単独であるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記のスチレン−アクリル系樹脂を形成させるためのビニル系単量体としては、イオン性解離基を有するものを組み合わせて用いることが好ましい。イオン性解離基を有するビニル系単量体としては、たとえば、カルボキシル基、スルフォン酸基、リン酸基などの置換基を単量体の構成基として有するもので、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、フマール酸、マレイン酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステル、スチレンスルフォン酸、アリルスルフォコハク酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸、アシッドホスホオキシエチルメタクリレート、3−クロロ−2−アシッドホスホオキシプロピルメタクリレートなどが挙げられる。また、スチレン−アクリル系樹脂を形成させるためのビニル系単量体として、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレートなどの多官能性ビニル類を用い、スチレン−アクリル系樹脂を架橋構造のビニル系重合体よりなるものとすることもできる。
なお、本発明で使用する合成樹脂は、上記したスチレン-アクリル樹脂以外にも他の樹脂を適量含有することができる。他の樹脂としては、たとえばスチレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂等を併用することができる。
スチレン樹脂としては、特に限定されないが、樹脂中にスチレン成分が3〜40質量%含有されているものを例示することができる。スチレン樹脂の構成成分のうち、スチレン成分以外の構成成分としては、スチレンと共重合可能な単官能不飽和単量体成分であって、上記したスチレン-アクリル樹脂以外のものが挙げられる。単官能不飽和単量体としては、たとえば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、無水マレイン酸、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等が挙げられる。また、この共重合体は、無水グルタル酸単位、グルタルイミド単位をさらに含んでいてもよい。さらに上記した重合体、共重合体に、ゴム状重合体として、ジエン系ゴム、シリコーン系ゴム等をブレンドしたものを用いてもよい。
アクリル樹脂としては、特に限定されないが、アクリル成分が60〜95質量%含有されているものを例示することができ、溶液中における分散性を向上させるために、不飽和単量体の乳化重合で得られた樹脂粒子のエマルジョン(アクリルエマルジョン)の形態のアクリル樹脂が好ましい。アクリルエマルジョンは、公知の乳化重合法により得ることができる。たとえば、不飽和単量体(不飽和ビニルモノマー等)を重合開始剤、および界面活性剤を存在させた水中において乳化重合することによって得ることができる。具体例としては、たとえば、星光PMC(株)製のVS−1028等のアクリル樹脂が挙げられる。
不飽和単量体としては、一般に乳化重合で使用されるアクリル酸エステル単量体類、メタクリル酸エステル単量体類、芳香族ビニル単量体類、ビニルエステル単量体類、ビニルシアン化合物単量体類、ハロゲン化単量体類、オレフィン単量体類、ジエン単量体類等が挙げられる。さらに、具体例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、イソアミルアクリレート、n−へキシルアクリレート、2−エチルへキシルアクリレート、オクチルアクリレート、デシルアクリレート、ドデシルアクリレート、オクタデシルアクリレート、シクロへキシルアクリレート、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレート、グリシジルアクリレート等のアクリル酸エステル類、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、イソアミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、デシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、グリシジルメタクリレート等のメタクリル酸エステル類、および酢酸ビニル等のビニルエステル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルシアン化合物類;塩化ビニリデン、塩化ビニル等のハロゲン化単量体類;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、4−t−ブチルスチレン、クロルスチレン、ビニルアニソール、ビニルナフタレン等の芳香族ビニル単量体類;エチレン、プロピレン等のオレフィン類;ブタジエン、クロロプレン等のジエン類;ビニルエーテル、ビニルケトン、ビニルピロリドン等のビニル単量体類;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマール酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸類;アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N'−ジメチルアクリルアミド等のアクリルアミド類;2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等の水酸基含有単量体類等が挙げられ、これらを単独または2種以上混合して、混合樹脂として使用することができる。
また、エマルジョン樹脂の樹脂粒子としては、単相構造および複相構造(コアシェル型)のいずれのものも使用できる。
溶液中のスチレン−アクリル樹脂の含有量としては、特に限定されないが、潤滑剤との相溶性が高く、本発明の課題である商品への傷や商品包装袋にピンホール等の毀損を防止すると共に、段ボールケース内面からの紙粉の発生を抑えるに適度な被膜性と柔軟性の観点から、3.0〜40.0質量%であることが好ましく、5.0〜30.0質量%であることがより好ましい。3.0質量%未満の場合、充分な被膜性とアクリル樹脂の硬さを制御することが困難となり商品への傷や商品包装袋にピンホール等の毀損を防止すると共に、段ボールケース内面からの紙粉が生じやすくなる傾向がある。一方、40.0質量%を超える場合、段ボールケース内面の強度低下が生じ商品との接触により段ボールケース内面からの紙粉が生じや易くなるとともに、静摩擦係数が高くなり衝撃を受けた場合に傷等の毀損問題が生じる傾向がある。
本発明においては上記のとおり、合成樹脂として、スチレン−アクリル樹脂を含み、潤滑剤と組み合わせて使用することを特徴とする。これにより、たとえば輸送中に大きな衝撃がかかった場合でも、商品の急激な移動が起こらず、商品への傷入りや、商品包装袋にピンホールの発生を防止することができる。このため、後述する潤滑剤の含有量を最低限とすることができ、貼合性を低下させることがないため、高強度の段ボールケースを得られる段ボール用ライナーを製造することができる。
スチレン−アクリル樹脂と、潤滑剤との配合割合としては、特に限定されないが、本発明の課題である商品への傷や商品包装袋にピンホール等の毀損を防止すると共に、段ボールケース内面からの紙粉の発生を抑えるに適度な被膜性と柔軟性を確保する観点から、スチレン樹脂−アクリル樹脂が95.0〜99.9質量%、潤滑剤が0.1〜5.0質量%であることが好ましく、98.0〜99.8質量%、潤滑剤が0.2〜2.0質量%であることがより好ましい。
次に、潤滑剤ついて説明する。潤滑剤として好適にはワックス、フッ素系撥水剤、シリコーン系撥水剤から選択される少なくとも1種が用いられ、ワックスとしては、特に限定されず、従来一般に用いられるものを使用することができる。
たとえば、天然ワックス、合成ワックス等のワックス類を含有させることができる。天然ワックスとしては、キャンデリラワックス、カルナバワックス、ライスワックス、木ろう、ホホバ固体ろう等の植物系天然ワックス、みつろう、ラノリン、鯨ろう等の動物系天然ワックス、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン等の鉱物系天然ワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタムワックス等の石油系天然ワックス等が挙げられる。また合成ワックスとしては、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス等の合成炭化水素類、モンタンワックス誘導体、パラフィンワックス誘導体、マイクロクリスタリンワックス誘導体等の変性ワックス、硬化ひまし油、硬化ひまし油誘導体等の水素化ワックス、12−ヒドロキシステアリン酸、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド等が挙げられる。
市販のパラフィンワックス系撥水剤として、荒川化学工業(株)社製のHA−541、脂肪酸エステル・パラフィンワックス系の新中村化学(株)製のプルニット101Zなどの市販商品として入手することができる。
フッ素系撥水剤としては、パーフルオロアルキルアクリレート共重合物を含有するフッ素系撥水撥油剤がある。これらは、たとえば、NKガードシリーズ(日華化学(株)製)、アサヒガードシリーズ(明成化学工業(株)製)、ディックガードシリーズ(大日本インキ(株)製)などの市販商品として入手することができる。
シリコーン系撥水剤としては、たとえば、ジメチルシリコーン、アミノ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、カルボキシル変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン等を挙げることができる。
たとえば、東レダウコーニングシリコーン(株)製のSM7060、信越化学工業(株)製のポロン−C、ポロン−MWS、ポロン−MR、東芝シリコーン(株)製のTSW831、などの市販商品として入手することができる。これら潤滑剤は、単独または2種類以上を併用することができる。
溶液中の潤滑剤の含有量としては、0.1〜5.0質量%含有されていることが好ましく、0.2〜2.0質量%含有されていることがより好ましい。潤滑剤の含有量が0.1質量%未満の場合、塗布により基紙の表面に表面層(塗布層)を設けた際に塗布ムラが発生し、商品包装袋にピンホールが発生しやすい傾向がある。また、表面層の表面における動摩擦係数(JIS P 8147「紙および板紙の摩擦係数試験方法」で規定する動摩擦係数)が0.30を越えやすいため、商品に傷入りが発生しやすくなる傾向がある。一方、5.0質量%を超える場合、表面層の表面における動摩擦係数が0.10未満となりやすく、製函前の段ボールシートを積み重ねた際に、荷崩れが発生しやすくハンドリングに支障をきたす傾向がある。また、潤滑剤は糊を弾きやすいため、貼合性が悪くなる傾向がある。なお、上記動摩擦係数としては、0.10〜0.30であることが好ましく、0.15〜0.25であることがより好ましい。上記のとおり、動摩擦係数が0.1未満の場合、製函前の段ボールシートを積み重ねた際に、荷崩れが発生しやすくハンドリングに支障をきたす傾向がある。一方、動摩擦係数が0.3を超える場合、製函された段ボールの内容物である商品が滑りやすく、商品に傷入りが発生しやすくなる傾向がある。
<溶液の塗布について>
溶液は、上記の基紙の少なくとも片面に付与され、基紙の表面に表面層が設けられる。溶液を基紙に付与する方法としては、溶液に基紙を含浸させる方法や、溶液を基紙に塗布する方法として、サイズプレスコート、ブレードコート、バーコート、エアナイフコート、カーテンコート、ロールコート、グラビアコート等の一般的な手段が用いられるが、本発明者の知見では、フレキソ印刷などの印刷により塗布する方法が、段ボール用ライナー表面への印刷による溶液塗布が、溶液のロスがなく、均一な被膜形成に優れるとともに、各種段ボール箱の形態に即した必要最小限の塗布が可能であり、さらに簡便に所定の部位に、また、多層に塗布可能であり好適である。
また、2回以上の多層塗布にすると1層目の合成樹脂が目止めの役割を果たし、2回目以降に塗布した合成樹脂および潤滑剤のほぼ全量が皮膜形成に寄与するため、多層塗布の方が1回塗布に比較して少ない量で高い傷入り防止効果および商品包装袋にピンホール発生防止効果を得ることができるため、多層塗布が可能な印刷機を用いて表面層(塗布層)を形成することが好ましい。なお、多層塗布する場合には、1層目と2層目以降に塗布する溶液の組成を変えてもよく、同じであってもよい。本発明者の知見では、所定量を1層で設けるよりも2層以上の多層で設けることで、1層目の塗布層が基紙への塗液の浸透を抑制する働きを発現し、2層目以降の溶液を塗布した際の溶液の被膜形成を促す働きを醸し出し、基紙表面の柔軟性を損なうことなく傷入り防止に好適な表面性を得ることができること、同じ組成の溶液を積層することで層間の親和性が高くなり被膜強度も維持できる観点から、同じ組成の溶液を多層塗布する場合が好ましい。また、溶液をフレキソ印刷機で付与する場合には、ザーンカップNo.4(25℃)で測定した値で10〜30秒、好ましくは15〜20秒となるように溶液の粘度を調整する。溶液の粘度が10秒未満であると、基紙の表面への浸透が増加し、表面の皮膜性が低下する傾向がある。一方、溶液の粘度が30秒を超えると均一に溶液を供給することが難しく、塗布ムラが発生しやすくなる傾向がある。
溶液の付与量としては、基紙の片面あたり固形分換算で0.5〜3.0g/m2が好ましく、1.0〜2.5g/m2がより好ましい。付与量0.5g/m2を下回ると、商品包装袋にピンホールが発生しやすいだけでなく、塗布層が薄いためライナーの粗さを改善し難く商品に傷入りが発生しやすく、基紙が表出しやすいため紙紛発生しやすくなり、また、静耐磨耗性が低くなる傾向がある。また、表面層の表面における静摩擦係数(JIS P 8147「紙および板紙の摩擦係数試験方法」で規定する動摩擦係数)が0.30を越えやすいため、商品に傷入りが発生しやすくなる傾向がある。一方、3.0g/m2を超える場合、表面層が溶液により硬くなり、また溶液中に含有する潤滑剤により貼合性が悪くなる傾向がある。特に段ボールシートを仕切りパット(段ボールシート内に収納する仕切り板)として使用する場合、シート両面に本発明の表面層を設ける必要があるため、シート形成時に付与面がコルゲータ熱板と接触することで付与面が傷付きやすく、充分な傷入り防止効果が得られない傾向がある。また、コルゲータ熱板に表面層が溶けて付着し異物化しやすい可能性もあり、シート形成の作業性が低下する傾向がある。さらに、表面層の表面における静摩擦係数が0.10未満となりやすく、製函前の段ボールシートを積み重ねた際に、荷崩れが発生しやすくハンドリングに支障をきたす傾向がある。さらに、本発明では、上記のとおり、商品への傷入りや商品包装袋にピンホール等の毀損が生じることを防止する目的であるため、たとえば耐油紙に求められるように溶液を大量に付与する必要はなく、配合量の上限を3.0g/m2とすることにより、充分に上記目的を達成することができる。すなわち、商品への傷入りや商品包装袋にピンホール等の毀損が生じることを防止する、という新たな課題(新規用途)に着目した場合、上記した特定の合成樹脂および潤滑剤を含む溶液を上記のような少ない塗布量で塗布することにより、充分な効果を奏することを見出している点に最大の特徴を有している。言いかえれば、本発明は、新規用途に特に有効な配合で溶液を付与して得られる段ボール用ライナーを提案している。
なお、本発明では、上記のとおり基紙の表面の特性として、JIS P 8140「紙および板紙―吸水度試験方法―コッブ法」で規定する段ボールケース内面のコッブ吸水度が20〜80g/m2・2分であり、段ボールシートを形作る中芯からなるフルートと接触する側のコッブ吸水度が100〜190g/m2・2分であることが特徴の1つとなっている。これは、耐油紙の用途においては、基紙の表面に耐油性を付与する必要はなく、基紙を含んだ紙全体で耐油性を有していればよいため、耐油紙を構成する基紙表面におけるコッブ吸水度はそれほど重要ではないが、本発明は、耐油目的ではなく、商品への傷入りや商品包装袋にピンホール等の毀損が生じることを防止する、という新たな課題に着目し、表面において塗布した溶液が被膜を形成する必要があるため、基紙表面のコッブ吸水度は重要な特徴となっている。
基紙の表面に溶液を付与した後、乾燥工程で加熱して乾燥させ、表面層とする。乾燥工程における乾燥温度は100〜120℃が好ましい。乾燥温度が100℃未満であると溶液と基紙を構成する原料パルプとの親和性が低くなり所望の摩擦係数を確保するに塗被量を増加させる必要が生じ、製造コストの上昇と被膜の摩擦係数が高くなる傾向がある。一方、120℃を超えると、乾燥時間にもよるが、加熱により合成樹脂や潤滑剤が基紙中に過剰に浸透し、所望の被膜が得られ難いとともに、基紙表面の平坦性低下する傾向がある。
特に乾燥工程での120℃を超える乾燥は、本発明の構成である潤滑剤の基紙への浸透が助長され、動摩擦係数、静摩擦係数を所望の範囲に調整することが困難となる。
上記により得た段ボール用ライナーは、コルゲータで中芯と貼合し段ボールシートとする。なお、コルゲータの熱板の温度は150〜180℃が好ましく、紙表面の温度が80〜130℃になるように調整することが好ましい。表面層が溶けて付着し、異物化しないよう調整することができる。
なお、本発明にかかる段ボール用ライナーは、単に摩擦係数を大きくして商品の滑りを防止することで、商品の傷入りや商品包装袋のピンホール発生を防止するものではない。すなわち、摩擦係数が大きすぎると、輸送中に大きな衝撃がかかった場合、商品の急激な移動が起こり段ボールケース内面に衝突し、商品や箱内面に傷や商品包装袋にピンホールが発生する可能性があるため、急激な商品の移動が起こらないよう、潤滑剤を含有させて摩擦係数を上記の範囲に調整している。
上記表面層が設けられた本発明にかかる段ボール用ライナーにおいて、表面層が設けられた表面のJIS P 8119「紙および板紙―ベック平滑度試験機による平滑度試験方法」で規定するベック平滑度(B1)が9.0〜20.0であり、かつ、基紙のJIS P−8119「紙および板紙―ベック平滑度試験機による平滑度試験方法」で規定するベック平滑度(B2)との対比において、ベック平滑度(B1)とベック平滑度(B2)の関係が、(B1)>(B2)であることが好ましい。このように、本発明では、表面層を形成する前後において、ベック平滑度の値が向上することを特徴とする。
また、上記表面層が設けられた本発明にかかる段ボール用ライナーにおいて、表面層が設けられた表面のJIS P 8151「紙および板紙−表面粗さおよび平滑度試験方法(エア・リーク法)−プリント・サーフ試験機法」において、ソフトバッキングを使用し1MPaに加圧して測定したプリント・サーフ表面粗さが7.0μm〜10.0μmであることが好ましい。プリント・サーフ表面粗さが7.0μm未満の場合、商品包装袋にピンホールの発生を抑制する効果が得られにくい傾向がある。一方、10.0を超える場合には、段ボールケース内面と商品との接触面積が過度に広くなり、面での接触による傷入りとともに、段ボールケース内面商品と「面」で接触することによる段ボールケース内面からの紙粉発生を助長する傾向がある。
これらベック平滑度の比率およびプリント・サーフ表面粗さを、ベック平滑度を9.0〜20.0秒とし、かつ、プリント・サーフ表面粗さを7.0μm〜10.0μmの範囲を満たす所定の範囲にあるような表面性状を有するよう、上記した合成樹脂および潤滑剤を使用して段ボール用ライナーを作製することにより、商品の傷入りや商品包装袋のピンホールの発生を抑制し、段ボールケース内面からの紙粉の発生を抑えるに最適な段ボール用ライナーを提供することができる。
<その他の添加剤について>
その他の添加剤として、耐摩擦性の確保、放置安定性の確保等の目的で、消泡剤、溶解助剤、浸透制御剤、粘度調整剤、pH調整剤、酸化防止剤、防黴剤、腐食防止剤、分散に影響を与える金属イオンを捕獲するためのキレート剤等種々の添加剤を添加する場合がある。
以下、実施例を用いて本発明をさらに説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
使用原料を以下に示す。
(溶液)
スチレン−アクリル樹脂(ジョンクリル631、BASFジャパン(株)製)
アクリル樹脂(VS−1028、星光PMC(株)製)
潤滑剤(パラフィン系ワックス、HA−541、荒川化学工業(株)製)
潤滑剤(フッ素系撥水剤、NKガードSR−200、日華化学(株)製)
潤滑剤(シリコーン系撥水剤、ポロン−C、信越化学工業(株)製)
(基紙)
JEKライナー170(坪量:約170、コッブ吸水度:50g/2分、ベック平滑度(B1):11秒、大王製紙(株)製)
JEKライナー210(坪量:約210、コッブ吸水度:60g/2分、ベック平滑度(B1):12秒、大王製紙(株)製)
JEKライナー280(坪量:約280、コッブ吸水度:65g/2分、ベック平滑度(B1):14秒、大王製紙(株)製)
なお、コッブ吸水度は、各JEKライナー抄造時に表面サイズ剤を加減し調整している。
<実施例1>
坪量170g/m2のライナー(商品名:JEKライナー、大王製紙社製)の片面に、アクリル樹脂として星光PMC(株)製のVS−1028を、スチレン−アクリル樹脂としてBASFジャパン(株)製のジョンクリル631を潤滑剤としてパラフィン系ワックス(荒川化学工業(株)製HA−541)を表1に記載の割合で混合した溶液を、ハンドプルーファーで絶乾固形分として5g/m2塗布した。塗布後130℃に調整した送風乾燥機に入れて60秒間乾燥した。ザーンカップNo.4(25℃)で測定した粘度は8秒〜35秒であった。
<実施例2〜17、比較例1〜12および参考例1〜2>
表1および表2に記載の条件を変更した以外は、実施例1と同じ方法で段ボール用ライナーを作成した。なお、比較例12においては、星光PMC(株)製のVS−1028に置き換えて、星光PMC(株)製のスチレン−マレイン酸樹脂 X−228を用いた。また、参考例として、本発明と対比し、コスト的、リサイクル性に劣るものの、既存の傷防止処理として用いられている、ラミネート加工およびラミネート加工後さらにラミネート層上にパラフィンワックスを塗布した商品と対比した。「ラミネート加工」としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂などのポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、フッ素樹脂などのハロゲン含有樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリビニルアルコール(PVA)系樹脂、アクリル系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体などの共重合体樹脂などが挙げられ、低価格で耐水性、耐久性に優れる等の点から、ポリエチレン系樹脂が好ましい。このラミネート加工は、基紙の片面に溶融した樹脂をTダイ等を用いて厚さ5〜100μm、好ましくは10〜15μm程度の厚さにラミネートすることにより形成できる。本比較例においては、ポリエチレン系樹脂を用い、基紙の片面に溶融した樹脂をTダイ等を用いて厚さ15μmのラミネート加工を行い、「ラミネート+パラフィン塗布」としては、上記ラミネート加工の後に、パラフィンをコーティングロッドを用いて1.5g/m塗布を行った。
実施例および比較例で得られた段ボール用ライナーについて以下の試験を実施した。結果を表3および表4に示す。
試験方法を以下に示す。
a)摩擦係数
JIS P 8147「紙および板紙の摩擦係数試験方法」に規定する静摩擦係数および動摩擦係数を測定する。静摩擦係数および動摩擦係数が0.10〜0.30であれば摩擦係数に優れ、0.15〜0.20であれば摩擦係数が良好である。0.10未満では摩擦係数が低く、滑りが発生しやすくなるため好ましくなく、0.30を超過すると摩擦係数が大きく、傷入りが発生しやすいため好ましくない。
b)紙紛
JIS P 8136「板紙の耐摩耗強さ試験方法」に準拠し塗布面同士を接触させて段ボールケース内面からの紙粉が発生するまでの回数を測定する。評価基準を以下に示す。
◎:回数50,000で紙紛の発生が認められなかった。
○:回数10,000以上〜50,000回未満で紙紛の発生が認められた。
△:回数1,000以上〜10,000未満で紙紛の発生が認められ、実使用できる下限レベル。
×:回数1,000未満で紙紛の発生が認められ、実使用できない。
c)傷入り
JEKライナー(坪量:210g/m2、大王製紙(株)製)にハンドプルーファーで水性墨インキを5g/m2塗布した試験片を準備し、JIS P 8136「板紙の耐摩耗強さ試験方法」に準拠し、基紙の表面層と試験片とを接触させて500gの荷重をかけ往復500回の耐摩耗強さ試験を実施する。試験片の傷入りの状態を次のとおり目視で評価する。
◎:傷の発生が認められなかった。
○:傷が若干発生した。
△:傷が多少発生したが、実試用できる下限レベル。
×:傷が多く発生し、紙剥けが多量に見られ実使用不可能。
d)ピンホールの発生
JIS P 8136「板紙の耐摩耗強さ試験方法」に準じて厚さ0.05mmの延伸PPフィルム(摩擦部側)と段ボールケース内面に用いる本発明にかかる溶液を塗布したJEKライナー(坪量:210g/m2、大王製紙(株)製)の塗布面を接触面積1.0mm2で点接触させフィルムが破れる(ピンホールが発生するまでの)回数を測定する。
◎:回数10,000回でピンホールの発生が認められない。
○:回数1,000回以上〜10,000回未満でピンホールの発生が認められる。
△:回数500回以上〜1,000回未満でピンホールの発生が認められる。
×:回数500回未満でピンホールの発生が認められる。
e)貼合後のシートハンドリング
100×150センチ角の段ボールシートを100枚積み重ねて台車に載せ、歩く速度(時速約4キロメートル)で5メートル移動させ、停止した際の段ボールシートの荷崩れ状態を次のとおり目視で評価する。
◎:荷崩れなく、段ボールシートのズレもなかった。
○:荷崩れはないが、段ボールシートのズレが若干発生した。
△:荷崩れはないが、段ボールシートのズレが多少発生し、実使用できる下限レベル
×:荷崩れが発生し、実使用不可能
f)耐摩耗強さ
上記傷入り試験において塗布面の状態を次のとおり評価する。
◎:墨インキの転写が認められず、傷の発生も認められない。
○:墨インキの転写が認められないが、傷の発生が認められる。
△:墨インキの転写が多少認められるが、実使用できる下限レベル。
×:墨インキの転写が多量に見られ、実使用不可能。
g)糊貼り適性
段ボール用ライナーを表層および裏層として、中芯(120g/m2、大王製紙社製)とコルゲータマシン(型番:ベルトンプレス60G、三菱重工業(株)製)を用い、貼合速度180m/分で、塗布層を有する面を段ボールシートの表側となるよう(塗布層を中芯ライナーと貼合しないよう)貼合し、Aの段ボールシートを製造する。得られた段ボールシートを製函機(フレキソフォルダグルアー サミット100 三菱重工業(株)製)および糊(セビアンA56104 ダイセル化学工業(株)製)を用い、加工速度200枚/分にてA式の段ボールケースに製函加工し、1分後に貼合部分(シートのジョイント部分)を手で剥がし、次のとおり糊貼り適性を評価する。
◎:糊貼り個所が剥離しなかった(段ボールシートが破壊された)部分が、糊貼り面積全体うち2/3以上あり、糊貼り適性に優れる。
○:糊貼り個所が剥離しなかった(段ボールシートが破壊された)部分が、糊貼り面積全体うち1/3以上あり、糊貼り適性がよい。
△:糊貼り個所が剥離しなかった(段ボールシートが破壊された)部分が、糊貼り面積全体うち1/3以下あり、糊貼り適性がよい。
×:糊貼り個所が剥離しなかった(段ボールシートが破壊された)部分がなく、糊貼り適性が悪い。
h)ベック平滑度
JIS P−8119「紙および板紙―ベック平滑度試験機による平滑度試験方法」によりベック平滑度を測定する。
i)プリント・サーフ表面粗さ
JIS P 8151「紙および板紙−表面粗さおよび平滑度試験方法(エア・リーク法)−プリント・サーフ試験機法」において、ソフトバッキングを使用し1MPaに加圧してプリント・サーフ表面粗さを測定する。プリント・サーフ表面粗さが7.0μm〜10.0μmであることが好ましく、プリント・サーフ表面粗さが7.0μm未満の場合、商品の傷入りや商品包装袋にピンホールの発生を抑制する効果が得られにくい傾向がある。一方、10.0μmを超える場合には、商品包装袋のピンホール等の毀損や、段ボールケース内面からの紙粉が発生する傾向がある。
j)コッブ吸水度
JIS P 8140「紙および板紙 吸水度試験方法 コッブ法」に準拠し、測定時間2分におけるコッブ吸水度を測定する。
Figure 0005808159
Figure 0005808159
Figure 0005808159
Figure 0005808159
実施例の段ボールシートはいずれも、上記各評価項目において良好な結果が得られた。すなわち、各実施例にかかる段ボールシートは、本発明の課題を解決できるものである。
これに対して、比較例の段ボールシートはいずれも、本発明の構成を満たさないため、いずれかの評価項目において良好な結果が得ることができず、本発明の課題を必ずしも解決できないものである。

Claims (5)

  1. 基紙の少なくとも片面に、合成樹脂および潤滑剤を含む溶液を印刷にて付与して設けられた表面層を有する段ボール用ライナーであって、
    前記合成樹脂がスチレン−アクリル樹脂を含み、
    前記潤滑剤がワックス、フッ素系撥水剤、シリコーン系撥水剤から選択される少なくとも1種であり、
    前記潤滑剤が、前記溶液中に0.1〜2.0質量%含有されており、
    前記表面層が、2層以上の多層で、各層が同じ組成の前記溶液にて設けられたものであり、
    前記表面層は、前記溶液が片面あたり0.5〜3.5g/m となるように設けられてなることを特徴とする、段ボール用ライナー。
  2. 記段ボール用ライナーの前記表面層が設けられた表面におけるJIS P 8147「紙および板紙の摩擦係数試験方法」で規定する動摩擦係数が0.10〜0.30であることを特徴とする、請求項1記載の段ボール用ライナー。
  3. 記段ボール用ライナーの前記表面層が設けられた表面におけるJIS P 8147「紙および板紙の摩擦係数試験方法」で規定する静摩擦係数が0.10〜0.30であることを特徴とする、請求項1または2記載の段ボール用ライナー。
  4. 前記段ボール用ライナーの前記表面層が設けられた表面のJIS P 8119「紙および板紙−ベック平滑度試験機による平滑度試験方法」で規定するベック平滑度が9.0〜20.0であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の段ボール用ライナー。
  5. 前記段ボール用ライナーの前記表面層が設けられた表面のJIS P 8151「紙および板紙−表面粗さおよび平滑度試験方法(エア・リーク法)−プリント・サーフ試験機法」において、ソフトバッキングを使用し1MPaに加圧して測定したプリント・サーフ表面粗さが7.0μm〜10.0μmであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の段ボール用ライナー。
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