JP5805222B2 - かご位置検出装置 - Google Patents
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Description
即ち、各階の乗り場側の床面から一定の高さの位置に例えば金属板を設置し、乗りかごに設けた金属板検出器が金属板のエッジを検出した時点で、エンコーダの出力パルスカウント数に基づき定めていた停止予定階までの残距離を一旦リセットする。そして、乗り場側の床面から金属板の設置位置までの距離(設定値)をモータ制御に反映する。尚、リセットを行う領域(金属板の範囲)は、ドアゾーンと呼ばれる。
例えば、光電センサを用いた光学式、磁気センサや磁気リードスイッチを用いた磁気式、他にも静電容量式、渦電流式、共振コイル式などが挙げられる。光学式は、識別板を高精度に検出できるが、埃や水滴、外乱光に弱いといった欠点がある。これに対し、磁気式、静電容量式、渦電流式、共振コイル式などは、光学式に比べ、耐環境性に優れている。そのため、エレベータにおいて重大な事故を未然に防ぐ安全系の役割を果たすスイッチやセンサには、光学式以外の方式を採用することが一般的である。
即ち、本発明の一態様におけるかご位置検出装置は、識別用部材をセンサが検出することでエレベータのかご位置を検出するかご位置検出装置において、上記センサは、識別用部材に磁界を発生させる磁界発生器と、磁界発生器と対にて配置される磁界検出器と、磁界検出器に接続される信号処理部とを備え、上記識別用部材は、上記磁界発生器によって当該識別用部材に発生する渦電流の表皮深さに対して相対的に板厚を異ならせて形成された複数の導体部を有し、上記磁界検出器は、上記磁界発生器によって上記識別用部材から発生する渦電流磁界を検出し、上記信号処理部は、識別用部材の設置位置付近に乗りかごが昇降した際、乗りかごが上記識別用部材におけるいずれの導体部の範囲に位置するか、識別用部材の導体部の範囲外に位置するかを、上記磁界検出器の出力から得られる渦電流磁界の振幅及び位相の情報によって識別することを特徴とする。
図1は、本実施の形態1におけるかご位置検出装置101を備えたエレベータの概略構成を示した図であり、客が乗車する乗りかご40が乗り場口10にある状態を示している。このようなエレベータは、かご40と、つり合いおもり(不図示)とをロープ60で接続し、ロープ60をモータ(不図示)で巻き上げ、巻き下ろしすることよって、かご40を昇降路50内で昇降される。尚、乗り場口10は、乗り場天井1と乗り場床面2とから構成され、昇降路50は、乗り場口10と側壁3とによって形成される。また、乗りかご40の位置は、上記モータに接続されたエンコーダから出力されるインクリメンタルパルスをカウントすることによって検出することができる。尚、パルスのカウント値は、上述したように、かご位置検出装置101がドアゾーンを検出した時点でリセットされ、その後、設定値にて上記モータが制御されてかご40の所定階への着床がなされる。
識別板120は、外部から交流磁界が作用したときに、渦電流を生じる導体121及び導体122で構成され、本実施形態では、上記昇降方向に沿って導体121、導体122、導体121の順で、各導体の間隔を開けずに連続して配置される。
一般に、導体に交流磁界を印加すると、導体表面から内部にかけて渦電流が流れることが知られている。この渦電流の大きさは、導体表面から内部に進むほど、指数関数的に小さくなり、且つ、この渦電流の位相は、内部に進むほど、その深さに比例して遅れる。導体表面での渦電流に対して、渦電流の大きさが1/eになる深さ(導体表面での渦電流に対して、渦電流の位相が1rad遅れる深さ)を「表皮深さδ」と言い、印加する交流磁界の周波数f、透磁率μ、導電率σを用いて、δ=1/√(πfμσ)、で表すことができる。導体外部にて観測される渦電流磁界は、この導体中に流れる各深さでの渦電流から生じた励磁磁界を全て加算したものとなる。
即ち、交流電源132から励磁コイル131Bに周波数fの一定振幅の交流電流を通電することにより、励磁コイル131Bの周辺には、周波数fの交流磁界が発生し、励磁コイル131Bと同軸上に配置した検出コイル131Aにて、励磁コイル131Bが発生する交流磁界を検出することができる。そのため、励磁コイル131B及び検出コイル131Aの近傍に導体がない場合には、検出コイル131Aの出力は、周波数fで、かつ一定振幅の交流信号のみとなる。
交流磁界成分除去回路133では、検出コイル131Aから出力された電圧波形の内、渦電流磁界成分のみを取り出した電圧V1を出力する。交流磁界成分除去回路133は、例えば、ディレイ回路と差動増幅器、またはホイーストンブリッジ回路により構成することができる。
このように、識別板120つまり導体121、122が検出コイル131A及び励磁コイル131Bと対向したか否かを判別することが可能となる。
このように、識別板120の導体121または導体122のどちらかが検出コイル131A及び励磁コイル131Bと対向したか否かを判別することが可能となる。
そこで、識別板120の導体121は、図3A及び図3Bの横軸に示す、表皮深さδに対する導体の厚さdの割合nが「A」になる、板厚及び表皮深さδを有するように調整され、識別板120の導体122は、図3A及び図3Bの横軸に示す割合nが「B」になる、板厚及び表皮深さδを有するように調整される。さらに、図2に示すように、リレベルゾーンを検出すべき領域に導体122を位置決めし、かつリレベルゾーンを除くドアゾーンを検出すべき領域に導体121を位置決めする。例えば一例として、交流電源132の交流磁界の周波数が100kHzの場合には、導体121を板厚0.5mmの非磁性ステンレス(SUS304)(δ=1.4mm)とし、導体122を板厚1mmのアルミニウム合金(A5052)(δ=0.36mm)とする。
図4は、時間がt0からt5まで経過した場合の、識別板120と検出コイル131A及び励磁コイル131Bとの位置関係を示しており、検出コイル131A及び励磁コイル131Bは、導体なし(t0からt1)→ 導体121(t1からt2)→ 導体122(t2からt3)→ 導体121(t3からt4)→ 導体なし(t4からt5)の順に、識別板120内の各導体と対向する。また図5には、このような動作における時間軸を横軸に取り、励磁電流、交流磁界成分除去回路133の出力V1、振幅値検出回路135の出力V2、位相差検出回路134の出力V3を縦軸に取り、時間経過におけるV1、V2等の変化が示されている。
一般的に、エレベータの乗りかご40は、昇降路50にレールに沿って吊り下げられているため、乗りかご40は、昇降方向にほぼ直交する方向において、ある一定の範囲内で揺れることがある。そのため、昇降路50側に設置した識別板120と、乗りかご40側に設置したセンサ130との間の隙間は、変動することになる。この変動の中心位置をL、変動幅を「1」とした場合の、渦電流磁界の大きさ(振幅)、渦電流磁界の位相を図7に示す。
一方、渦電流磁界の位相について、検出コイル131Aで捕らえられる渦電流磁界は、導体121,122内に流れる渦電流から生じる励磁磁界の足し合わせであるため、隙間値に対して、導体121,122の板厚が十分に小さければ、隙間が変動しても、渦電流磁界の位相そのものは変動しない。
尚、本実施形態では図2に示すように、導体122をリレベルゾーンの検出に用いているが、導体121と導体122とを入れ替えて導体121をリレベルゾーン検出用に用いても良い。
励磁コイル131Bからの交流磁界の増強もしくは検出磁界の増強のために、図8Aに示すように、検出コイル131A及び励磁コイル131Bのコイル内部に高透磁率の棒状磁性体コア131Dを挿入しても良い。
また、図8Bに示すように、検出コイル131A及び励磁コイル131Bに対して、端部を尖らせた針状磁性体コア131Eを挿入し、交流磁界の指向性や位置検出精度を高めるように構成することも可能である。
また、検出コイル131Aと励磁コイル131Bとを、同一の一つの非磁性体からなるコイルボビンに巻回する必要もなく、例えば図9に示すように、昇降方向に直交する左右方向から識別板120を挟み込む形態を採ることもできる。
本発明の実施の形態2におけるかご位置検出装置について、図13を用いて説明する。 本実施の形態2におけるかご位置検出装置102は、図13に示すように、昇降方向に直交する方向において識別板120を挟んで、検出コイル131Aと励磁コイル131Bとを配置した。このような構成は、実施の形態1のかご位置検出装置101で、図9を参照して説明した構成に同じであるが、図9に示すセンサ130と、図13に示すセンサ130−4との構成上の相違点は、図9に示す交流磁界成分除去回路133を省いた点である。
このような構成では、検出コイル131Aは、交流磁界と渦電流磁界とを合成した電圧を出力する。
図14Aに示すように、合成磁界の振幅は、n≦1では単調減少し、n>1では一定値に収束する傾向を示す。一方、図14Bに示すように、合成磁界の位相は、n=1で最大となるピークを持つ振る舞いを示し、n>>1ではn=0(導体なし:渦電流磁界なし)と位相がほぼ等しくなる。
このような識別板120について、図13に示すように、リレベルゾーンを検出したい領域に導体122を設け、リレベルゾーンを除くドアゾーンの領域に導体121を設置する。例えば一例として、交流電源132の交流磁界の周波数が100kHzの場合には、導体122を板厚1.4mmの非磁性ステンレス(SUS304)(δ=1.4mm)、導体121を板厚1mmのアルミ合金(A5052)(δ=0.36mm)とする。
本実施形態2では、図13に示すように識別板120を挟んで、検出コイル131Aと励磁コイル131Bとが配置されている。上述したように走行中に乗りかご40の揺れが生じ、検出コイル131Aと識別板120との間の距離が増大すると、識別板120から検出コイル131Aに届く渦電流磁界の割合は減少するが、一方、励磁コイル131Bと識別板120との間の距離は減少するため、識別板120から生じる渦電流磁界の強度は増大する。結果的に、乗りかご40が揺れたとしても、検出コイル131Aに加わる渦電流磁界の強度は、ほとんど変動しないため、検出コイル131Aが出力する交流磁界と励磁磁界との合成磁界も、ほとんど変動しない。
さらに、本実施形態2のかご位置検出装置102では、実施形態1のかご位置検出装置101と比べると、交流磁界成分除去回路133を省いたことから、さらにセンサコストの低減を図ることができ、且つ、乗りかご40の揺れに対する検出コイル131Aの出力信号の変動を低く抑えることができるという効果を得ることもできる。
次に、図18を参照して、本発明の実施の形態3におけるかご位置検出装置103について説明する。
実施の形態3におけるかご位置検出装置103は、上述した実施の形態1のかご位置検出装置101における構成と同じ構成を備えるが、実施の形態3のかご位置検出装置103では、コンパレータ137が二つの閾値を有する点で、実施の形態1のかご位置検出装置101と相違する。この相違部分について、以下に詳しく説明する。
次に図19を参照して、本発明の実施の形態4におけるかご位置検出装置104について説明する。
本実施の形態4のかご位置検出装置104は、基本的に、上述した実施の形態1のかご位置検出装置101と同様の構成を備えるが、識別板120を識別板120−2に、コンパレータ137をオフセット補正回路138に、それぞれ変更した構成を有する。これらの相違点について、以下に詳しく説明する。
図21Aに示すように、識別板120−3の全体に渡り、その板厚を徐々に厚く形成してもよい。このような識別板120−3を用いることで、リレベルゾーンを含め、ドアゾーン全体で、各ゾーン内でのかご40の絶対位置を検出することも可能となる。
また、図21Bに示すように、識別板120−4の全体に渡り、その板厚を階段状に厚くすることにより、ドアゾーン内を複数のゾーンとして検出することも可能となる。
上記センサは、識別用部材に磁界を発生させる磁界発生器と、磁界発生器と対にて配置される磁界検出器と、磁界検出器に接続される信号処理部とを備え、
上記識別用部材は、上記磁界発生器によって当該識別用部材に発生する渦電流の表皮深さに対して相対的に板厚を異ならせて形成された複数の導体部を有し、
上記磁界検出器は、上記磁界発生器によって上記識別用部材から発生する渦電流磁界を検出し、
上記信号処理部は、識別用部材の設置位置付近に乗りかごが昇降した際、乗りかごが上記識別用部材におけるいずれの導体部の範囲に位置するか、上記識別用部材の範囲外に位置するかを、上記磁界検出器の出力から得られる渦電流磁界の振幅及び位相の情報によって識別する、
ことを特徴とする。
このように構成することで、磁界検出器及び磁界発生器と識別用部材との位置関係を知ることができる。
このように構成することで、識別用部材の低コスト化及び重量減少が図られ、識別用部材の据付性を向上することができる。
このように構成することで、識別用部材内における乗りかごの絶対位置を検出することが可能となる。
本発明は、添付図面を参照しながら好ましい実施形態に関連して充分に記載されているが、この技術の熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した請求の範囲による本発明の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。
又、2012年2月8日に出願された、日本国特許出願No.特願2012−24720号の明細書、図面、特許請求の範囲、及び要約書の開示内容の全ては、参考として本明細書中に編入されるものである。
101〜104 かご位置検出装置、
120 識別板、121 導体、122 導体、
130、130−2〜130−5 センサ、
131A 検出コイル、131B 励磁コイル、132 交流電源、
133 交流磁界成分除去回路、134 位相差検出回路、
135 振幅値検出回路、136 コンパレータ、137 コンパレータ、
138 オフセット補正回路。
Claims (9)
- 識別用部材(120)をセンサ(130)が検出することでエレベータのかご位置を検出するかご位置検出装置において、
上記センサは、識別用部材に磁界を発生させる磁界発生器(131B)と、磁界発生器と対にて配置される磁界検出器(131A)と、磁界検出器に接続される信号処理部(133〜137)とを備え、
上記識別用部材は、上記磁界発生器によって当該識別用部材に発生する渦電流の表皮深さと板厚との相対的関係を異ならせて形成された複数の導体部(121,122)を有し、
上記磁界検出器は、上記磁界発生器によって上記識別用部材から発生する渦電流磁界を検出し、
上記信号処理部は、識別用部材の設置位置付近に乗りかごが昇降した際、乗りかごが上記識別用部材におけるいずれの導体部の範囲に位置するか、上記識別用部材の範囲外に位置するかを、上記磁界検出器の出力から得られる渦電流磁界の振幅及び位相の情報によって識別する、
ことを特徴とするかご位置検出装置。 - 上記識別用部材における導体部は、当該識別用部材の板厚に対して渦電流の表皮深さが大きいものと、上記板厚に対して渦電流の表皮深さが小さいものとを有する、請求項1記載のかご位置検出装置。
- 上記識別用部材における導体部の少なくとも一つは、当該識別用部材の板厚に対する渦電流の表皮深さを変更した、他とは異種の金属である、請求項1記載のかご位置検出装置。
- 上記識別用部材における導体部の少なくとも一つは、非磁性ステンレスである、請求項3記載のかご位置検出装置。
- 上記識別用部材における導体部の少なくとも一つは、アルミニウム合金である、請求項3記載のかご位置検出装置。
- 上記識別用部材における導体部の少なくとも一つは、当該導体部の板厚が他の導体部とは異なる、請求項1記載のかご位置検出装置。
- 上記識別用部材は、第1の導体部と第2の導体部とを有し、
上記第1の導体部と第2の導体部とは、上記乗りかごの昇降方向に互いに隣接して配置される、請求項1記載のかご位置検出装置。 - 上記第1の導体部は、上記第2の導体部の両側に配置される、請求項7記載のかご位置検出装置。
- 上記識別用部材における導体部は、その長手方向において異なる板厚を有する、請求項1記載のかご位置検出装置。
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