JP5804424B2 - クルイベロマイセス・マルシアヌス形質転換体の製造方法 - Google Patents

クルイベロマイセス・マルシアヌス形質転換体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、クルイベロマイセス・マルシアヌス形質転換体の製造方法や、該形質転換体を用いた有用物質の製造方法等に関する。
DNA断片の末端をつなぎ合わせて任意のDNA分子を作製する技術は、クローニングをはじめとする多くの分子生物学分野における実験操作に必須の基礎的な技術である。現在、DNA断片を連結させるために最も一般的に用いられている手法は、DNAリガーゼを用いて、平滑末端を有するDNA分子同士、又は相補的な突出末端を有するDNA分子同士を結合させるものである。また、この手法を応用したクローニング方法として、Cohen−Boyer法(非特許文献1参照)が知られており、この方法では、インサートDNAとベクターとをそれぞれ制限酵素で切断して精製した後に、DNAリガーゼによって連結させて目的のコンストラクトを作製し、該コンストラクトにより大腸菌を形質転換して増幅させる。しかし、制限酵素とDNAリガーゼによるDNA連結方法においては、あらかじめ末端同士が合うように調製されたDNA分子同士でなければ連結させることができないため、Cohen−Boyer法は、形質転換用のコンストラクトを作製するためにPCRや制限酵素処理等の複雑なin vitro操作を必要とし、さらに、形質転換後の大腸菌コロニーの中から目的のコンストラクトを含む大腸菌を選択するために多くの時間が必要とされる。以上のことから、より簡便で効率的なDNA分子の連結方法の開発が求められていた。
Cohen−Boyer法に代わる、制限酵素やDNAリガーゼを使用しないクローニング方法として、in vitro相同組換え法や、in vivo相同組換え法が開発されている。上記in vitro相同組換え法は、特定の組換え酵素と該酵素の認識配列を使用することによりDNA分子をつなぎ合わせるものであり、Invitrogen社のGateway法や、タカラバイオ社のIn−Fusionクローニング法等が知られている。しかし、これらの方法では、インサートDNAの両端、及びベクターに特定のDNA配列が存在する必要があるため、汎用性に優れた方法とは言えない。また、上記in vivo相同組換え法としては、大腸菌や(非特許文献2及び3参照)、パン酵母を用いた方法(非特許文献4及び5参照)が知られている。これらのin vivo相同組換え法は、ファージに由来する複数のタンパク質を発現させた大腸菌株や、パン酵母が極めて高い相同組換え能を持つことを利用した方法である。具体的には、インサートDNAの両端にクローニングベクターと相同な配列が付加されたインサートDNAと、制限酵素等で相同組換えが起こる部分が切断されたクローニングベクターとを調製し、大腸菌又はパン酵母を形質転換することにより、該形質転換細胞内(in vivo)で相同組換えが起こり、インサートDNAが挿入されたクローニングベクターを得ることができる。この反応は、制限酵素部位とは無関係に起こるため,ベクター配列中の様々な位置にDNA断片を挿入することが可能である。また、インサートDNAの長さによりクローン化の効率が変化しないことも特長である。しかし、いずれの方法も相同組換え利用したものであることから、インサートDNAにベクターとの相同配列を付加する必要がある。さらに、大腸菌を用いたin vivo相同組換え法は、高い形質転換効率を得るためにエレクトロポレーションを行う必要があり、その操作のための高価な装置や器具が必要となる等の短所がある。また、パン酵母を用いたin vivo相同組換え法では、DNAを大量に調製する際にクローニングベクターを大腸菌に移し替えるため、パン酵母−大腸菌シャトルベクターを用いる必要がある。しかし、パン酵母−大腸菌シャトルベクターは一般的に使用されているベクターではなく、その調製には手間と時間がかかる。
また、制限酵素やDNAリガーゼを使用しないで、環状DNAの構築と増幅を行う方法としては、ローリングサークル型増幅法により得られた直鎖状DNAを用いて原核細胞を形質転換し、該形質転換細胞内で環状DNAを再構築する方法が知られている(特許文献1参照)。しかし、ローリングサークル型増幅法より作製された増幅DNA断片は繰返し配列を含む特殊な構造をしており、この方法が、繰返し配列を含まないDNA断片の環状化に応用できるかは不明である。
特開2005−229950号公報
Cohen SN et al., Proc Natl Acad Sci USA. 70,3240-3244 (1973) Zhang Y et al., Nat Genet. 20, 123-128 (1998) Yu D et al., Proc Natl Acad Sci USA. 97,5978-5983 (2000) Marykwas DL and Passmore SE, Proc Natl AcadSci USA. 92, 11701-11705 (1995) Oldenburg KR et al., Nucleic Acids Res. 25,451-452 (1997)
本発明の課題は、特定の制限酵素やその認識配列を使用せずに、簡便かつ効率的にDNA断片の末端をつなぎ合わせてクルイベロマイセス・マルシアヌス形質転換体を製造する方法や、該形質転換体を用いた有用物質の製造方法等を提供することにある。
本発明者らはこれまでに、酵母の一種であるクルイベロマイセス・マルシアヌス菌が他の酵母では認められない種々の優れた性質を有することを明らかにしている(PCT/JP2007/001270、PCT/JP2009/001214)。さらに、クルイベロマイセス・マルシアヌス菌の形質転換方法に関する研究を行う過程で、相同配列を含まない直鎖状DNAが効率的にクルイベロマイセス・マルシアヌス菌のゲノムDNAに組み込まれることを示唆している(Nonklang S. et al. Appl Environ Microbiol 74: 7514-7521 (2008))。これらの知見から、本発明者らは、クルイベロマイセス・マルシアヌス菌が分子生物学研究の新たなツールとして使用できるのではないかと考え、クルイベロマイセス・マルシアヌス菌を用いた新たなDNA断片結合方法の開発を試みた。まず、URA3遺伝子の転写開始コドンATGのAから+771までの配列を含むDNA断片と、URA3遺伝子の+772からストップコドンまでの配列を含むDNA断片とを、ウラシル要求性遺伝子変異株であるクルイベロマイセス・マルシアヌス RAK3605に導入して、ウラシル欠損培地を用いて培養した。この結果、導入したDNA断片がつなぎ合わされたDNA連結体がゲノムDNAに含まれる形質転換体が効率よく得られることが明らかとなった。さらに、本発明者らは、これまで知られていなかったクルイベロマイセス・マルシアヌス菌の自律複製配列(ARS)の同定を試み、配列番号1〜5に示される新規ARS配列を決定するとともに、該ARS配列を含む直鎖状DNA断片をクルイベロマイセス・マルシアヌス菌に導入することにより、環状DNA連結体の作製が可能となることを見い出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は(1)2種以上の直鎖状の2本鎖DNA断片からなるDNA連結体を含む形質転換酵母の製造方法であって、前記2種以上の直鎖状の2本鎖DNA断片が、それぞれ単独ではマーカー遺伝子の発現に必要な配列の全部を含んでおらず、複数の2本鎖DNA断片が非相同末端結合で連結して所望のDNA連結体を形成した場合にのみマーカー遺伝子の発現が可能となるような配列を含む、以下の工程(a)及び(b)を順次備えることを特徴とする方法;(a)前記2種以上の直鎖状の2本鎖DNA断片をクルイベロマイセス・マルシアヌス菌に導入する工程;(b)上記工程(a)により得られる、上記所望のDNA連結体を含む形質転換体を、マーカー遺伝子の発現を指標として選択する工程;や、(2)2種以上の直鎖状の2本鎖DNA断片が、自律複製配列を含まないDNA断片であって、所望のDNA連結体が、ゲノムDNA中に挿入されることを特徴とする、上記(1)記載の方法や、(3)2種以上の直鎖状の2本鎖DNA断片のうち1種が、自律複製配列の全部を含み、所望のDNA連結体が、環状であることを特徴とする、上記(1)記載の方法や、(4)2種以上の直鎖状の2本鎖DNA断片が、自律複製配列の一部を含み、それぞれ単独では自律複製配列の全部を含んでおらず、複数の2本鎖DNA断片が非相同末端結合で連結した場合にのみ、自律複製配列の全部の発現が可能となるような配列を含むDNA断片であって、所望のDNA連結体が環状であることを特徴とする、上記(1)記載の方法や、(5)自律複製配列が、配列番号1〜5のいずれかに示される塩基配列を含むことを特徴とする上記(又は(4)に記載の製造方法や、(6)DNA連結体が、さらに、所望の有用物質をコードする遺伝子を含むことを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載の製造方法や、(7)クルイベロマイセス・マルシアヌス菌が、クルイベロマイセス・マルシアヌス RAK3605であり、マーカー遺伝子がURA3遺伝子であることを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかに記載の製造方法に関する。
本発明によると、特定の制限酵素やその認識配列を使用せずに、2種以上の直鎖状DNA断片の連結体がゲノムDNA中に挿入されたクルイベロマイセス・マルシアヌス菌の形質転換体を製造することができる。また、本発明によると、所望のDNA配列にクルイベロマイセス・マルシアヌス菌のARSをコードする配列を付加して、クルイベロマイセス・マルシアヌス菌に形質転換することにより、該DNA配列を含む環状DNA連結体を構築することが可能となり、煩雑な操作を行うことなく所望のDNA配列をクローニングすることができる。
本発明の2種の直鎖状の2本鎖DNA断片を用いたDNA連結体の作製方法の概要を示す図である。 本発明の方法により、URA3をコードするDNA連結体の作製を行った結果を示す図である。 本発明の2種の直鎖状の2本鎖DNA断片を結合させる方法の概要を示す図である。 本発明の方法により、URA3、TDH3p、及びyCLucをコードするDNA連結体の作製を行った結果を示す図である。 本発明の方法により、URA3をコードするDNA連結体の作製を行った結果を示す図である。 本発明のクルイベロマイセス・マルシアヌス菌の自律複製配列(KmARS)を取得するために用いたプラスミドを示す図である。 本発明のクルイベロマイセス・マルシアヌス菌の自律複製配列(KmARS)を取得するための実験の概要を示す図である。 本発明のクルイベロマイセス・マルシアヌス菌の自律複製配列(KmARS)を取得するために形質転換体を選択する方法を示す図である。 本発明のクルイベロマイセス・マルシアヌス菌の自律複製配列(KmARS)を含むプラスミドを取得する方法を示す図である。 本発明のクルイベロマイセス・マルシアヌス菌の自律複製配列(KmARS)を含むプラスミドを示す図である。 本発明のクルイベロマイセス・マルシアヌス菌の自律複製配列(KmARS)を決定するためのDeletionmutantを示す図である。 本発明のクルイベロマイセス・マルシアヌス菌の自律複製配列(KmARS)を示す図である。 本発明の環状DNA連結体の作製方法の概要を示す図である。
本発明の2種以上の直鎖状の2本鎖DNA断片からなるDNA連結体を含む形質転換酵母の製造方法としては、(a)自律複製配列を含まない2種以上の直鎖状の2本鎖DNA断片をクルイベロマイセス・マルシアヌス菌に導入する工程であって、上記2種以上の直鎖状の2本鎖DNA断片が、それぞれの2本鎖DNA断片が単独ではマーカー遺伝子の発現に必要な配列の全部を含んでおらず、複数の2本鎖DNA断片が連結して所望のDNA連結体を形成した場合にのみマーカー遺伝子の発現が可能となるような配列を含む2種以上の直鎖状の2本鎖DNA断片である前記工程;(b)上記工程(a)により得られる、上記所望のDNA連結体がゲノムDNA中に挿入された形質転換体を、マーカー遺伝子の発現を指標として選択する工程;の工程(a)及び(b)を順次備える方法(以下、「製造方法[I]」ということもある)であれば特に制限されず、ここで、「自律複製配列を含まない2種以上の直鎖状の2本鎖DNA断片」とは、それぞれの2本鎖DNA断片中に自律複製配列を含まず、さらに、複数のDNA断片が任意の順序で連結してDNA結合体を形成した場合にも、該DNA結合体中に自律複製配列を含むことのない2本鎖DNA断片を意味し、上記「所望のDNA連結体を形成した場合にのみマーカー遺伝子の発現が可能となるような配列を含む2種以上の直鎖状の2本鎖DNA断片」とは、それぞれの2本鎖DNA断片が、クルイベロマイセス・マルシアヌス菌内においてマーカー遺伝子を発現させるために必要な配列の一部を含んでいるが、クルイベロマイセス・マルシアヌス菌内においてマーカー遺伝子を発現させるために必要な配列の全部は含んでおらず、さらに、複数の2本鎖DNA断片が所望の順序で連結して所望のDNA連結体を形成した場合にのみ、クルイベロマイセス・マルシアヌス菌内において、マーカー遺伝子を発現させることが可能となるような配列を含む直鎖状の2本鎖DNA断片であって、複数の2本鎖DNA断片が所望の順序と異なる順序で連結して所望のDNA連結体とは異なるDNA連結体を形成した場合には、クルイベロマイセス・マルシアヌス菌内において、マーカー遺伝子を発現させることができない配列を含む直鎖状の2本鎖DNA断片を意味する。
本発明の製造方法[I]に用いる2種以上の直鎖状の2本鎖DNA断片としては、その配列や、長さや、末端の形状によって特に制限されるものではなく、クローニングのターゲットとなる所望の有用物質をコードする遺伝子等の任意の遺伝子DNAや、高発現プロモーターに連結された所望の有用物質をコードする遺伝子等の任意の遺伝子DNAの他、任意の配列のDNAをさらに含んでいてもよい。例えば、上記本発明の製造方法[I]において、所望のDNA連結体が、高発現プロモーター配列、マーカー遺伝子をコードする配列、及び、任意の塩基配列を順次含むDNA連結体である場合には、以下(i)又は(ii)に例示するような2種の直鎖状の2本鎖DNA断片の組合せを好適に用いることができる。
(i)高発現プロモーター配列と、マーカー遺伝子をコードする配列のうち機能的なマーカー遺伝子発現に必須の3’末端領域を欠失した配列とを含む直鎖状の2本鎖DNA断片、及び、上記機能的なマーカー遺伝子発現に必須の3’末端領域をコードする配列と、その下流に所望の有用物質をコードするDNA配列等の任意の塩基配列とを含む直鎖状の2本鎖DNA断片;
(ii)高発現プロモーター配列と、マーカー遺伝子をコードする配列のうち転写開始点を含む5’末端領域をコードする配列とを含む直鎖状の2本鎖DNA断片、及び、上記マーカー遺伝子をコードする配列のうち、上記マーカー遺伝子の5’末端領域を含まず、上記マーカー遺伝子の5’末端領域の下流の3’末端までをコードする配列と、その下流に所望の有用物質をコードするDNA配列等の任意の塩基配列とを含む直鎖状の2本鎖DNA断片;
上記直鎖状の2本鎖DNA断片を調製する方法としては、公知の直鎖状の2本鎖DNA断片を調製する方法であれば特に制限されず、比較的短い2本鎖DNA断片を調製する方法としては、ホスホロアミダイト法やホスファイト法により合成された1本鎖をアニーリングさせる方法や通常のPCR法により調製する方法を、長いDNA断片を調製する方法としては、フュージョンPCR法(特開2009−268360参照)により調製する方法を、好適に例示することができるが、なかでも、PCR法であることが好ましい。例えば、本発明の製造方法[I]において、上記(i)の2種の直鎖状の2本鎖DNA断片を用いる場合には、「高発現プロモーター配列と、マーカー遺伝子をコードする配列のうち機能的なマーカー遺伝子発現に必須の3’末端領域を欠失した配列とを含む直鎖状の2本鎖DNA断片」をPCR法によりあらかじめ調製しておき、もう一方の「上記機能的なマーカー遺伝子発現に必須の3’末端領域をコードする配列と、その下流に任意の塩基配列とを含む直鎖状の2本鎖DNA断片」を、該任意の塩基配列に対応するプライマーセット、すなわち、上記機能的なマーカー遺伝子発現に必須の3’末端領域をコードする配列と、任意の塩基配列の5’末端領域をコードする配列とを含むセンス(フォワード)プライマーと、任意の塩基配列の3’末端領域に相補的な配列を含むアンチセンス(リバース)プライマーとのプライマーセットを用いて調製することにより、上記共通の「機能的なマーカー遺伝子発現に必須の3’末端領域をコードする配列」が付加された様々な任意の塩基配列を含む直鎖状の2本鎖DNA断片を簡単に調製することができる。上記本発明の製造方法[I]により、ライゲーションを行うことなく、2以上の直鎖状の2本鎖DNA断片を直接酵母に導入するだけで、直鎖状の2本鎖DNA断片を連結させて所望のDNA連結体を形成させることが可能であり、さらに、該所望の連結体により形質転換された酵母を培養することにより、該所望のDNA連結体を増幅させることができることから、効率的な遺伝子のクローニング等を行うことが可能となる。
本発明の1種の直鎖状の2本鎖DNA断片からなる環状DNA連結体を含む形質転換酵母の製造方法としては、(a)自律複製配列の全部を含み、且つ、マーカー遺伝子の発現に必要な配列の全部を含む1種の直鎖状の2本鎖DNA断片をクルイベロマイセス・マルシアヌス菌に導入する工程;(b)上記工程(a)により得られる、所望の環状DNA連結体を、マーカー遺伝子の発現を指標として選択する工程;の工程(a)及び(b)を順次備える方法(以下、「製造方法[II]」ということもある)であれば特に制限されず、上記製造方法[II]に用いる、「自律複製配列の全部を含み、且つ、マーカー遺伝子の発現に必要な配列の全部を含む1種の直鎖状の2本鎖DNA断片」としては、クルイベロマイセス・マルシアヌス菌内において、機能的な自律複製配列の全部を含み、且つ、クルイベロマイセス・マルシアヌス菌内においてマーカー遺伝子の発現が可能となるような配列を含む直鎖状の2本鎖DNA断片であれば、その配列や、長さや、末端の形状によって特に制限されるものではなく、クローニングのターゲットとなる所望の有用物質をコードする遺伝子等の任意の遺伝子DNAや、高発現プロモーターに連結された所望の有用物質をコードする遺伝子等の任意の遺伝子DNAの他、任意の配列のDNAをさらに含んでいてもよい。また、上記直鎖状の2本鎖DNA断片を調製する方法としては、公知の直鎖状の2本鎖DNA断片を調製方法であれば特に制限されず、比較的短い2本鎖DNA断片を調整する方法としては、ホスホロアミダイト法やホスファイト法により合成された1本鎖をアニーリングさせる方法や通常のPCR法により調製する方法を、長いDNA断片を調製する方法としては、フュージョンPCR法(特開2009−268360参照)により調製する方法を例として好適に挙げることができるが、自律複製配列を含むプライマーを用いたPCR法であることが特に好ましい。上記製造方法[II]により作製された所望の環状DNA連結体は、上記製造方法[II]の工程(b)により選択された形質転換体から、公知の環状DNAの抽出方法を用いて得ることができる。上記本発明の製造方法[II]により、ライゲーションを行うことなく、自律複製配列を含む1種の直鎖状の2本鎖DNA断片を直接酵母に導入するだけで、所望の環状DNA連結体を形成させることが可能であり、さらに、上記所望の環状DNA連結体により形質転換された酵母を培養することにより、上記所望の環状DNA連結体を増幅させることができる。
本発明の2種以上の直鎖状の2本鎖DNA断片からなる環状DNA連結体を含む形質転換酵母の製造方法としては、(a)自律複製配列の全部を含み、且つ、マーカー遺伝子の発現に必要な配列の一部を含む直鎖状の2本鎖DNA断片を、1種以上の他の直鎖状の2本鎖DNA断片と組み合わせてクルイベロマイセス・マルシアヌス菌に導入する工程であって、上記1種以上の他の直鎖状の2本鎖DNA断片が、単独ではマーカー遺伝子の発現に必要な配列の全部を含んでおらず、上記自律複製配列を含み、且つ、マーカー遺伝子の一部を含む直鎖状の2本鎖DNA断片と連結して所望の環状DNA連結体を形成した場合にのみマーカー遺伝子の発現が可能となるような配列を含む直鎖状の2本鎖DNA断片である前記工程;(b)上記工程(a)により得られる、上記所望の環状DNA連結体を含む形質転換体を、マーカー遺伝子の発現を指標として選択する工程;の工程(a)及び(b)を順次備える方法(以下、「製造方法[III]」ということもある)や、(a)自律複製配列の一部を含み、且つ、マーカー遺伝子の発現に必要な配列の一部を含む直鎖状の2本鎖DNA断片を、1種以上の他の直鎖状の2本鎖DNA断片と組み合わせてクルイベロマイセス・マルシアヌス菌に導入する工程であって、上記1種以上の他の直鎖状の2本鎖DNA断片が、単独では自律複製配列の全部と、マーカー遺伝子の発現に必要な配列の全部とを含んでおらず、上記自律複製配列の一部を含み、且つ、マーカー遺伝子の発現に必要な配列の一部を含む直鎖状の2本鎖DNA断片と連結して所望の環状DNA連結体を形成した場合にのみ、自律複製配列の全部と、マーカー遺伝子の発現が可能となるような配列とを含む直鎖状の2本鎖DNA断片である工程;(b)上記工程(a)により得られる、上記所望の環状DNA連結体を含む形質転換体を、マーカー遺伝子の発現を指標として選択する工程;の工程(a)及び(b)を順次備える方法(以下、「製造方法[IV]」ということもある)であれば特に制限されず、上記製造方法[III]における「自律複製配列の全部を含み、且つ、マーカー遺伝子の発現に必要な配列の一部を含む直鎖状の2本鎖DNA断片」としては、クルイベロマイセス・マルシアヌス菌内において、機能的な自律複製配列の全部を含み、且つ、クルイベロマイセス・マルシアヌス菌内において、機能的なマーカー遺伝子の発現に必要な配列の全部を含まない2本鎖DNA断片であれば特に制限されず、また、「1種以上の他の直鎖状の2本鎖DNA断片」としては、クルイベロマイセス・マルシアヌス菌内において、単独ではマーカー遺伝子の発現に必要な配列の全部を含まない2本鎖DNA断片であって、所望の環状DNA連結体を形成した場合にのみ、クルイベロマイセス・マルシアヌス菌内において、マーカー遺伝子を発現させることが可能となるような配列であれば、その配列や、長さや、末端の形状はどのようなものであってもよい。上記製造方法[IV]における「自律複製配列の一部を含み、且つ、マーカー遺伝子の発現に必要な配列の一部を含む直鎖状の2本鎖DNA断片」としては、クルイベロマイセス・マルシアヌス菌内において、機能的な自律複製配列の全部を含まず、且つ、クルイベロマイセス・マルシアヌス菌内において、機能的なマーカー遺伝子の発現に必要な配列の全部を含まない2本鎖DNA断片であれば特に制限されず、また、上記「1種以上の他の直鎖状の2本鎖DNA断片」としては、クルイベロマイセス・マルシアヌス菌内において、単独では機能的な自律複製配列の全部を含まず、且つ、マーカー遺伝子の発現に必要な配列の全部を含まない2本鎖DNA断片であって、上記「自律複製配列の一部を含み、且つ、マーカー遺伝子の発現に必要な配列の一部を含む直鎖状の2本鎖DNA断片」と連結して所望のDNA結合体を形成した場合にのみ、該DNA結合体中に自律複製配列、及びマーカー遺伝子の発現に必要な配列を含むような2本鎖DNA断片であれば、その配列や、長さや、末端の形状はどのようなものであってもよい。
本発明の製造方法[III]に用いる、「自律複製配列の全部を含み、且つ、マーカー遺伝子の発現に必要な配列の一部を含む直鎖状の2本鎖DNA断片」、及び、「1種以上の他の直鎖状の2本鎖DNA断片」は、クローニングのターゲットとなる所望の有用物質をコードする遺伝子等の任意の遺伝子DNAや、高発現プロモーターに連結された所望の有用物質をコードする遺伝子等の任意の遺伝子DNAの他、任意の配列のDNAをさらに含んでいてもよい。また、本発明の製造方法[IV]に用いる、上記「自律複製配列の一部を含み、且つ、マーカー遺伝子の発現に必要な配列の一部を含む直鎖状の2本鎖DNA断片」、及び、上記「1種以上の他の直鎖状の2本鎖DNA断片」は、クローニングのターゲットとなる遺伝子配列を含む塩基配列や、高発現プロモーターとその下流に連結された任意の遺伝子配列を含む塩基配列等の任意の塩基配列をさらに含んでいてもよい。上記の直鎖状の2本鎖DNA断片を調製する方法としては、公知の直鎖状の2本鎖DNA断片を調製方法であれば特に制限されず、比較的短い2本鎖DNA断片を調整する方法としては、ホスホロアミダイト法やホスファイト法により合成された1本鎖をアニーリングさせる方法や通常のPCR法により調製する方法を、長いDNA断片を調製する方法としては、フュージョンPCR法(特開2009−268360)により調製する方法を例として好適に挙げることができるが、自律複製配列を含むプライマーを用いたPCR法であることが特に好ましい。上記製造方法[III]や[IV]により作製された所望の環状DNA連結体は、上記製造方法[III]や[IV]の工程(b)により選択された形質転換体から、公知の環状DNAの抽出方法を用いて得ることができる。上記本発明の製造方法[III]や[IV]により、ライゲーションを行うことなく、自律複製配列を含む1種の直鎖状の2本鎖DNA断片を直接酵母に導入するだけで、所望の環状DNA連結体を形成させることが可能であり、さらに、上記所望の環状DNA連結体により形質転換された酵母を培養することにより、上記所望の環状DNA連結体を増幅させることができる。
上記本発明の製造方法[I]〜[IV]において、直鎖状の2本鎖DNA断片をクルイベロマイセス・マルシアヌス菌の導入する方法としては、酵母の形質転換方法として通常用いられる手法であれば特に制限されず、例えば、酢酸リチウム法(J.Bacteriology, 153, p163 (1983)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 75 p1929 (1978)、Methods in yeast genetics, 2000 Edition : A Cold Spring Harbor Laboratory Course Manual)や、エレクトロポレーション法(Meth. Enzym., 194, p182 (1990))や、スフェロプラスト法(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 75 p1929(1978))等を好適に挙げることができるが、なかでも、酢酸リチウム法を有利に用いることができる。酢酸リチウム法は非常に簡便な方法であるが、他の形質転換方法と比較して形質転換効率が非常に低いことが知られている。しかし、本発明において用いられるクルイベロマイセス・マルシアヌス菌は、直鎖状の2本鎖DNA断片により効率的に形質転換することが可能であるため、酢酸リチウム法であっても十分な形質転換効率を得ることができる。
上記マーカー遺伝子としては、酵母において使用しうるマーカー遺伝子であれば特に制限されるものではなく、例えば、宿主となるクロイベロマイセス・マルシアヌス菌の栄養要求性を相補する栄養要求性マーカー遺伝子や、抗生物質等に対する薬剤耐性マーカー遺伝子や、グリーン蛍光タンパク質(GFP)等の蛍光タンパク質をコードする遺伝子や、βガラクトシダーゼをコードする遺伝子等を好適に挙げることができるが、なかでも、栄養要求性マーカー遺伝子であることが好ましい。上記栄養要求性マーカー遺伝子としては、例えば、トリプトファン、アルギニン、ロイシン等のアミノ酸の栄養要求性変異株の栄養要求性を相補する栄養要求性マーカー遺伝子であっても、アデニン、ウラシル等の核酸の栄養要求性変異株の栄養要求性を相補する栄養要求性マーカー遺伝子であってもよいが、ウラシル要求性変異株の栄養要求性を相補するURA3遺伝子であることが特に好ましい。さらに、本発明においては、2以上のマーカー遺伝子を組み合わせて用いることもできる。
また、上記クルイベロマイセス・マルシアヌス菌としては、特に制限されるものではなく、野生型株であっても、栄養要求性変異株等の遺伝子変異を有する変異株であってもよいが、栄養要求性マーカー遺伝子の発現を指標として容易に形質転換体を選択できることから、栄養要求性変異株であることが好ましく、なかでも、アデニン、ウラシル等の核酸の栄養要求性変異株であることが特に好ましい。例えば、本発明の製造方法[I]〜[IV]において、クルイベロマイセス・マルシアヌス菌のウラシル要求性変異株を用いる場合には、マーカー遺伝子としてURA3遺伝子を組み合わせることにより、クルイベロマイセス・マルシアヌス菌のアデニン要求性変異株を用いる場合には、マーカー遺伝子としてADE2遺伝子を組み合わせることにより、所望のDNA連結体を含む形質転換体を効率的に選択することができる。また、上記ウラシル要求性変異株としては、具体的には、クルイベロマイセス・マルシアヌス RAK3605、クルイベロマイセス・マルシアヌス RAK4071、クルイベロマイセス・マルシアヌス RAK4076、クルイベロマイセス・マルシアヌス RAK4077等を、アデニン要求性変異株としては、RAK6038等を例として好適に挙げることができる。
本発明に用いられる自律複製配列としては、クルイベロマイセス・マルシアヌス菌において自律複製起点となる配列であれば特に制限されるものではないが、例えば、配列番号1に示される塩基配列からなる自律複製配列KmARS7(201−250)(5'-CAAGACTTCTTGAAGTGAAAACCAACTTTCAGTCTTCAAACTAAAAATGA-3')や、配列番号2に示される塩基配列からなる自律複製配列KmARS11(46−105)(5'-TCCAAAATTAACTTTCTAAGCTAAATGTCATATTTCGCAATAAAATAATAAGAATATAGA-3')や、配列番号3に示される塩基配列からなる自律複製配列KmARS16(721−790)(5'-TTTTATTTTTTTTTAACTCAATTTCCAGTTTAAACACCAAAATACGTTTCCATATAATTGAAAAAGGAAG-3')や、配列番号4に示される塩基配列からなる自律複製配列KmARS18(80−159)(5'-GATTATTATAAGGCATAATGCCAGGAATCTTTCCATAATTTGGAATTGAAAGTCACTTTAGGTTCACTATATAATGAAAA-3')や、配列番号5に示される塩基配列からなる自律複製配列KmARS36(291−340)(5'-TCTTTAATATTATTTTTCATTTCAAAAAGTGTGAAATAAAAATTAAAATG-3')や、配列番号1〜5のいずれかに示される塩基配列において1又は数個の塩基が決失、置換、又は付加された自律複製配列であることが好ましい。上記配列番号1〜5のいずれかに示される塩基配列を含む自律複製配列や、配列番号1〜5のいずれかに示される塩基配列において1又は数個の塩基が欠失、置換、又は付加された自律複製配列を、PCR等の公知の方法により任意のDNA断片に付与することにより、自律複製配列を含む直鎖状の2本鎖DNA断片を作製し、本発明の製造方法[II]〜[IV]に用いることができる。
本発明の有用物質の製造方法としては、上記本発明の製造方法[I]〜[IV]により得られる所望の有用物質をコードする遺伝子を含むDNA連結体により形質転換された酵母を培地に培養し、培養物から所望の有用物質を採取する方法であれば特に制限されず、上記有用物質としては特に制限されないが、例えば、抗体やサイトカイン等の組換え医薬用タンパク質等を好適に挙げることができる。クルイベロマイセス・マルシアヌスは、タンパク質生産性が高く、さらに、耐熱性を有する酵母であることから(Biosci. Biotechnol. Biochem. 71: 1170-82, 2007)、本発明の有用物質の製造方法により、安価で効率的な有用物質の製造を行うことが可能となる。
本発明の形質転換酵母の製造方法に有用に用いることができるDNA連結体製造のためのキットや、環状DNA連結体製造のためのキットとしては、クルイベロマイセス・マルシアヌス菌を備えたものを例示することができ、上記クルイベロマイセス・マルシアヌス菌としては、野生型株であっても、栄養要求性変異株等の遺伝子変異を有する変異株であってもよいが、栄養要求性変異株であることが好ましく、なかでも、アデニン、ウラシル等の核酸の栄養要求性変異株であることが特に好ましい。上記ウラシル要求性変異株としては、具体的には、クルイベロマイセス・マルシアヌス RAK3605、クルイベロマイセス・マルシアヌス RAK4071、クルイベロマイセス・マルシアヌス RAK4076、クルイベロマイセス・マルシアヌス RAK4077等を、アデニン要求性変異株としては、RAK6038等を例として好適に挙げることができるが、ウラシル要求性変異株であるクルイベロマイセス・マルシアヌス RAK3605であることが特に好ましい。また、上記本発明の環状DNA連結体製造のためのキットは、さらに、配列番号1〜5のいずれかに示される塩基配列を含むプライマーや、配列番号1〜5のいずれかに示される塩基配列において1又は数個の塩基が欠失、置換、又は付加された自律複製配列を含むプライマーを備えていてもよい。また、上記キットは、マーカー遺伝子をコードする遺伝子配列の全部又は一部を含む2本鎖DNAや、クルイベロマイセス・マルシアヌス菌を培養するための培地や、緩衝液等を含んでいてもよい。
以下、実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
[URA3をコードするDNA連結体の作製]
1.DNA断片の調製
サッカロマイセス・セレビシエ BY4704由来のDNAを鋳型として、KOD−plusポリメラーゼ(TOYOBO社製)を用いたPCR反応を行い、URA3遺伝子の全部又は一部を含むDNA断片(URA3−290−280c、URA3−290+771c、URA3+772−280c)を作製した。PCR反応に用いたプライマーの配列は以下に示す通りである。URA3の全部を含むDNA断片URA3−290−280cの作製にはフォワードプライマーとしてURA3−290、リバースプライマーとしてURA3−280cを、URA3の一部(N末端側)を含むDNA断片URA3−290+771cの作製にはフォワードプライマーとしてURA3−290、リバースプライマーとしてURA3+771cを、URA3の一部(C末端側)を含むDNA断片URA3+772−280cの作製にはフォワードプライマーとしてURA3+772、リバースプライマーとしてURA3−280cをそれぞれ用いた。
(フォワードプライマー)
URA3−290(5'-GAGAAGGGCAACGGTTCATCATCTC-3';配列番号6)
URA3+772(5'-GCATATTTGAGAAGATGCGGCCAGC-3';配列番号7)
(リバースプライマー)
URA3+771c(5'-TTCCCAGCCTGCTTTTCTGTAACGT-3';配列番号8)
URA3−280c(5'-CAGTCTGTGAAACATCTTTCTACCA-3';配列番号9)
PCR反応は、94℃で1分間の初期変性を行い、その後、94℃で20秒間の熱変性、55℃で30秒間のアニーリング、68℃で2分30秒間の伸長反応を30サイクル行った。また、PCR反応液は以下の通りに調製した。反応後、得られたPCR産物のDNA濃度を測定し、それぞれのDNA増幅断片の濃度が10pMとなるよう調製した。
(反応液)
テンプレート 0.4μL
10xBuffer 1.0μL
2mM dNTPs 1.0μL
25mM MgSO 0.4μL
フォワードプライマー 0.2μL
リバースプライマー 0.2μL
KOD−plusポリメラーゼ 0.2μL
滅菌水 6.6μL
2.形質転換体の作製
ウラシル要求性遺伝子変異のクルイベロマイセス・マルシアヌス RAK3605株を、10mlのYPD培地(1%酵母エキス、2%ポリペプトン、2%グルコース)に接種して28℃で20時間培養した。培養液を回収して2本の15mLチューブに移し、8000rpmで3分間の遠心分離を行った。上清を捨てて、沈殿した細胞に300μL/チューブの形質転換用溶液[2000μlの60%PEG3350、150μLの4Mリチウムアセテート、300μLの1M DTT、550μLの滅菌水]を加えて、ボルテックスミキサーにより攪拌した。再び、8000rpmで3分間の遠心分離を行って上清を捨て、沈殿した細胞に600μL/チューブの形質転換用溶液を加えた後に、100μL/チューブとなるように1.5mLチューブに分注した。ここに、実施例1で作製したDNA断片(断片ごとに3μLずつ)を単独又は組み合わせて加え、47℃で15分間熱処理した。150μLの滅菌水を加え、細胞をウラシル欠損培地にスプレッドして28℃で3日培養し、生育したコロニー数をカウントした。
実験の概要を図1に、3回の形質転換実験を行った結果を図2に示す。URA3の全部を含むDNA断片URA3−290−280cにより形質転換した場合には平均275個のコロニーが得られた。また、URA3の一部(N末端側)を含むDNA断片URA3−290+771cとURA3の一部(C末端側)を含むDNA断片URA3+772−280cとを組み合わせて形質転換した場合には平均36個のコロニーが得られた。一方、DNA断片URA3−290+771c、DNA断片URA3+772−280cを単独で用いた場合には、コロニーは全く認められなかった。以上の結果から、URA3−290+771c及びURA3+772−280cを組み合わせて導入した形質転換体においては、2つのDNA断片が結合することにより完全長のURA3タンパク質が発現することが明らかとなった。
[URA3、TDH3p、及びyCLucをコードするDNA連結体の作製]
1.DNA断片の調製
サッカロマイセス・セレビシエ BY4704由来のDNAを鋳型として、KOD−plusポリメラーゼ(TOYOBO社製)を用いたPCR反応を行い、URA3遺伝子の全部又は一部を含むDNA断片(URA3−290−280c、URA3−290+771c、URA3+772−280c)を作製した。PCR反応に用いたプライマーの配列は以下に示す通りである。URA3の全部を含むDNA断片URA3−290−280cの作製にはフォワードプライマーとしてURA3−290、リバースプライマーとしてURA3−280cを用い、URA3の一部(N末端側)を含むDNA断片URA3−290+771cの作製にはフォワードプライマーとしてURA3−290、リバースプライマーとしてURA3+771cを用い、URA3の一部(C末端側)を含むDNA断片URA3+772−280cの作製にはフォワードプライマーとしてURA3+772、リバースプライマーとしてURA3−280cをそれぞれ用いた。
(フォワードプライマー)
URA3−290(5'-GAGAAGGGCAACGGTTCATCATCTC-3';配列番号6)
URA3+772(5'-GCATATTTGAGAAGATGCGGCCAGC-3';配列番号7)
(リバースプライマー)
URA3+771c(5'-TTCCCAGCCTGCTTTTCTGTAACGT-3';配列番号8)
URA3−280c(5'-CAGTCTGTGAAACATCTTTCTACCA-3';配列番号9)
また、クルイベロマイセス・マルシアヌス RAK4960株由来のDNAを鋳型として、KOD−plusポリメラーゼ(TOYOBO社製)を用いたPCR反応を行い、TDH3p及びyCLucをコードする配列を含むDNA断片(URA3+772TAA+1662c、URA3+772TAA+17+1662c)を作製した。PCR反応に用いたプライマー配列は以下に示す通りである。DNA断片URA3+772TAA+1662cの作製にはフォワードプライマーとしてURA3+772TAA−TDH−527を、リバースプライマーとしてyCLuc+1662cを用い、DNA断片URA3+772TAA+17+1662cの作製にはフォワードプライマーとしてURA3+772TAA+17−TDH−527を、リバースプライマーとしてyCLuc+1662cをそれぞれ用いた。
(フォワードプライマー)
URA3+772TAA−TDH−527(5'-GCATATTTGAGAAGATGCGGCCAGCAAAACTAAgctgtaacccgtacatgcccaa-3';配列番号10)
URA3+772TAA+17−TDH−527(5'-GCATATTTGAGAAGATGCGGCCAGCAAAACTAAaaaactgtattataagtGCTGTAACCCGTACATGCCCAA-3';配列番号11)
(リバースプライマー)
yCLuc+1662c(5'-CTACTTGCACTCATCTGGGACC-3';配列番号12)
PCR反応は、94℃で1分間の初期変性を行い、その後、94℃で20秒間の熱変性、55℃で30秒間のアニーリング、68℃で3分間の伸長反応を30サイクル行った。また、PCR反応液は以下の通りに調製した。反応後、得られたPCR産物のDNA濃度を測定し、それぞれのDNA増幅断片の濃度が10pMとなるよう調製した。
(反応液)
テンプレート 0.4μL
10xBuffer 1.0μL
2mM dNTPs 1.0μL
25mM MgSO 0.4μL
フォワードプライマー 0.2μL
リバースプライマー 0.2μL
KOD−plusポリメラーゼ 0.2μL
滅菌水 6.6μL
2.形質転換体の作製
ウラシル要求性遺伝子変異のクルイベロマイセス・マルシアヌス RAK3605株を、2mlのYPD培地(1%酵母エキス、2%ポリペプトン、2%グルコース)に接種して一晩時間培養した。1.5mLの培養液を回収して別のチューブに移し、12000rpmで1分間の遠心分離を行った。上清を捨てた後、沈殿した細胞に200μL/チューブの形質転換用溶液[2000μlの60%PEG3350、150μLの4Mリチウムアセテート、300μLの1M DTT、550μLの滅菌水]を加えて、ボルテックスミキサーにより攪拌した。再び、12000rpmで1分間の遠心分離を行って上清を捨て、沈殿した細胞に50μLの形質転換用溶液と、実施例3で作製したDNA断片(DNA断片ごとに3μLずつ)を組み合わせて加えてボルテックスミキサーにより攪拌し、47℃で15分間熱処理した。その後、150μLの滅菌水を加え、細胞をウラシル欠損培地にスプレッドして28℃で3日培養し、生育したコロニー数をカウントした。
実験の概要を図3に、形質転換実験を行った結果を図4に示す。URA3の全部を含むDNA断片URA3−290−280cにより形質転換した場合には327個のコロニーが、DNA断片URA3−290+771cとDNA断片URA3+772−280cとを組み合わせて形質転換した場合には243個のコロニーが得られた。また、DNA断片URA3−290+771cと、DNA断片URA3+772TAA+1662cとを組み合わせて形質転換した場合には130個のコロニーが、DNA断片URA3−290+771cと、DNA断片URA3+772TAA+17+1662cとを組み合わせて形質転換した場合には95個のコロニーが得られた。
[一部重複又は欠損した配列を有するDNA断片からなるDNA連結体の作製]
1.DNA断片の調製
サッカロマイセス・セレビシエ BY4704由来のDNAを鋳型として、KOD−plusポリメラーゼ(TOYOBO社製)を用いたPCR反応を行い、URA3遺伝子の全部又は一部を含むDNA断片(URA3−290−280c、URA3−290+771c、URA3+772−280c、URA3+773−280c、URA3+774−280c、URA3+770−280c、URA3+771−280c)を作製した。PCR反応に用いたプライマー配列は以下に示す通りである。DNA断片URA3−290−280cの作製にはフォワードプライマーとしてURA3−290、リバースプライマーとしてURA3−280cを、DNA断片URA3−290+771cの作製にはフォワードプライマーとしてURA3−290、リバースプライマーとしてURA3+771cを、DNA断片URA3+772−280cの作製にはフォワードプライマーとしてURA3+772、リバースプライマーとしてURA3−280cを、DNA断片URA3+773−280cの作製にはフォワードプライマーとしてURA3+773、リバースプライマーとしてURA3−280cを、DNA断片URA3+774−280cの作製にはフォワードプライマーとしてURA3+774、リバースプライマーとしてURA3−280cを、DNA断片URA3+770−280cの作製にはフォワードプライマーとしてURA3+770、リバースプライマーとしてURA3−280cを、DNA断片URA3+771−280cの作製にはフォワードプライマーとしてURA3+771、リバースプライマーとしてURA3−280cをそれぞれ用いた。
(フォワードプライマー)
URA3−290(5'-GAGAAGGGCAACGGTTCATCATCTC-3';配列番号6)
URA3+772(5'-GCATATTTGAGAAGATGCGGCCAGC-3';配列番号7)
URA3+773(5'-CATATTtGAGAAGATGCGGCCA-3';配列番号13)
URA3+774(5'-ATATTtGAGAAGATGCGGCCAG-3';配列番号14)
URA3+770(5'-AaGCATATTtGAGAAGATGCGG-3';配列番号15)
URA3+771(5'-aGCATATTtGAGAAGATGCGGC-3';配列番号16)
(リバースプライマー)
URA3+771c(5'-TTCCCAGCCTGCTTTTCTGTAACGT-3';配列番号8)
URA3−280c(5'-CAGTCTGTGAAACATCTTTCTACCA-3';配列番号9)
PCR反応は、94℃で1分間の初期変性を行い、その後、94℃で20秒間の熱変性、55℃で30秒間のアニーリング、68℃で2分30秒間の伸長反応を30サイクル行った。また、PCR反応液は以下の通りに調製した。反応後、得られたPCR産物のDNA濃度を測定し、それぞれのDNA増幅断片の濃度が10pMとなるよう調製した。
(反応液)
テンプレート 0.4μL
10xBuffer 1.0μL
2mM dNTPs 1.0μL
25mM MgSO 0.4μL
フォワードプライマー 0.2μL
リバースプライマー 0.2μL
KOD−plusポリメラーゼ 0.2μL
滅菌水 6.6μL
2.形質転換体の作製
ウラシル要求性遺伝子変異のクルイベロマイセス・マルシアヌス RAK3605株を、2mlのYPD培地(1%酵母エキス、2%ポリペプトン、2%グルコース)に接種して一晩時間培養した。1.5mLの培養液を回収して別のチューブに移し、12000rpmで1分間の遠心分離を行った。上清を捨てた後、沈殿した細胞に200μL/チューブの形質転換用溶液[2000μlの60%PEG3350、150μLの4Mリチウムアセテート、300μLの1M DTT、550μLの滅菌水]を加えて、ボルテックスミキサーにより攪拌した。再び、12000rpmで1分間の遠心分離を行って上清を捨て、沈殿した細胞に50μLの形質転換用溶液と、実施例5で作製したDNA断片(DNA断片ごとに3μLずつ)を組み合わせて加えてボルテックスミキサーにより攪拌し、47℃で15分間熱処理した。その後、150μLの滅菌水を加え、細胞をウラシル欠損培地にスプレッドして28℃で3日培養し、生育したコロニー数をカウントした。
形質転換実験を行った結果を図5に示す。URA3の全部を含むDNA断片URA3−290−280cにより形質転換した場合には329個のコロニーが得られた。また、URA3の一部(N末端側)を含むDNA断片URA3−290+771cとURA3の一部(C末端側)を含むDNA断片URA3+772−280cとを組み合わせて形質転換した場合には182個のコロニーが得られた。また、DNA断片URA3−290+771cとDNA断片URA3+773−280c、DNA断片URA3−290+771cとDNA断片URA3+774−280cの2つの組合せは、DNA断片が結合してもURA3をコードする塩基配列から1又は2塩基が欠損した連結配列となるDNA断片を組合せたものであるが、このような組合せであっても、それぞれ少数のコロニー(それぞれ4、1個)が確認できた。一方、DNA断片URA3−290+771cとDNA断片URA3+770−280c、DNA断片URA3−290+771cとDNA断片URA3+771−280cの2つの組合せはDNA断片が結合した場合にURA3をコードする塩基配列から1又は2塩基が重複した連結配列を形成するDNA断片の組合せであるが、このような組合せの結果、それぞれ28、21個のコロニーが確認できた。
以上の結果から、URA3遺伝子のN末端側をコードするDNA断片と、URA3遺伝子のC末端側をコードする配列を5’側に配置したDNA断片を作製し、クルイベロマイセス・マルシアヌス RAK3605株に導入することにより、目的のDNA配列を含む形質転換体を得ることができることが明らかとなった。
[クルイベロマイセス・マルシアヌスの自律複製配列の同定]
クルイベロマイセス・マルシアヌスにおける自律複製配列(ARS)を特定する目的で以下の実験を行った。クルイベロマイセス・マルシアヌス由来のゲノムDNAを制限酵素XhoI及びEcoRIで消化し、出芽酵母用単コピーベクターpRS316(Sikorski and Hieter, 1989; Genetics 122, 19-27)に挿入した(図6)。このベクターを大腸菌に導入して6868個のコロニーを得た。これらのコロニーからプラスミドを抽出/精製して、クルイベロマイセス・マルシアヌスのゲノムDNAライブラリを作製し、クルイベロマイセス・マルシアヌスに導入した(図7)。5−FOA培地を用いてURA3の脱落した株を選抜することにより、形質転換したプラスミド配列がゲノムに挿入されていないコロニーのみを選択した(図8)。
このようにして得られた168株の形質転換体を培養して、Zymoprep Yeast Plasmid Miniprep Kit II(Zymoresearch社製)を用いてプラスミドを精製し、大腸菌の形質転換を行った。さらに、大腸菌からプラスミドを抽出/精製し、ウラシル要求性遺伝子変異のクルイベロマイセス・マルシアヌス RAK3605を形質転換した(図9)。その結果、図10に示すような14種類のプラスミドを取得した。プラスミドKmARS7に含まれる配列を配列番号17に、プラスミドKmARS11に含まれる配列を配列番号18に、プラスミドKmARS14に含まれる配列を配列番号19に、プラスミドKmARS16に含まれる配列を配列番号20に、プラスミドKmARS18に含まれる配列を配列番号21に、プラスミドKmARS22に含まれる配列を配列番号22に、プラスミドKmARS36に含まれる配列を配列番号23に、プラスミドKmARS45に含まれる配列を配列番号24に、プラスミドKmARS51に含まれる配列を配列番号25にそれぞれ示す。
続いて、KmARS領域を決定する目的でDeletion mutant を作製して実験を行った。図11に実験の概要を示す。実験の結果、図12に示すように、KmARS7の205〜250bpにあたる領域(配列番号1)、KmARS11の46〜105bpにあたる領域(配列番号2)、KmARS16の721〜700bpにあたる領域(配列番号3)、KmARS18の80〜159bpにあたる領域(配列番号4)、KmARS36の291〜340bpにあたる領域(配列番号5)が、KmのARSであることが決定された。
以上のことから、図13に示すように、今回同定された50〜60bpのKmのARSを、任意のDNA断片に付加して、クルイベロマイセス・マルシアヌスに導入することにより、形質転換細胞内で環状DNAを構築できることが明らかとなった。

Claims (7)

  1. 2種以上の直鎖状の2本鎖DNA断片からなるDNA連結体を含む形質転換酵母の製造方法であって、前記2種以上の直鎖状の2本鎖DNA断片が、それぞれ単独ではマーカー遺伝子の発現に必要な配列の全部を含んでおらず、複数の2本鎖DNA断片が非相同末端結合で連結して所望のDNA連結体を形成した場合にのみマーカー遺伝子の発現が可能となるような配列を含む、以下の工程(a)及び(b)を順次備えることを特徴とする方法。
    (a)前記2種以上の直鎖状の2本鎖DNA断片をクルイベロマイセス・マルシアヌス菌に導入する工程;
    (b)上記工程(a)により得られる、上記所望のDNA連結体を含む形質転換体を、マーカー遺伝子の発現を指標として選択する工程;
  2. 2種以上の直鎖状の2本鎖DNA断片が、自律複製配列を含まないDNA断片であって、所望のDNA連結体が、ゲノムDNA中に挿入されることを特徴とする、請求項1記載の方法。
  3. 2種以上の直鎖状の2本鎖DNA断片のうち1種が、自律複製配列の全部を含み、所望のDNA連結体が、環状であることを特徴とする、請求項1記載の方法。
  4. 2種以上の直鎖状の2本鎖DNA断片が、自律複製配列の一部を含み、それぞれ単独では自律複製配列の全部を含んでおらず、複数の2本鎖DNA断片が非相同末端結合で連結した場合にのみ、自律複製配列の全部の発現が可能となるような配列を含むDNA断片であって、所望のDNA連結体が環状であることを特徴とする、請求項1記載の方法。
  5. 自律複製配列が、配列番号1〜5のいずれかに示される塩基配列を含むことを特徴とする請求項3又は4に記載の製造方法。
  6. DNA連結体が、さらに、所望の有用物質をコードする遺伝子を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
  7. クルイベロマイセス・マルシアヌス菌が、クルイベロマイセス・マルシアヌス RAK3605であり、マーカー遺伝子がURA3遺伝子であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
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