JP5803836B2 - 熱間プレス鋼板部材、その製造方法と熱間プレス用鋼板 - Google Patents

熱間プレス鋼板部材、その製造方法と熱間プレス用鋼板 Download PDF

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本発明は、例えば、優れた衝突特性を必要とする自動車のボディー構造部品を始めとする機械構造部品等に使用される、熱間プレス鋼板部材およびその製造方法ならびに熱間プレス用鋼板に関する。具体的には、本発明は、980MPa以上の高い引張強度を有しながら、延性と曲げ性にも優れた熱間プレス鋼板部材およびその製造方法ならびにそれを得るための熱間プレス用鋼板に関する。
近年、自動車の軽量化のため、車体に使用する鋼材の高強度化を図り、鋼材の使用重量を減ずる努力が進められている。自動車に広く使用される薄鋼板においては、鋼板強度の増加に伴い、プレス成形性が低下し、複雑な形状の部品を製造することが困難になる。具体的には、延性が低下し、加工度が高い部位が破断する、あるいは、スプリングバックが大きくなり、寸法精度が劣化する、といった問題が発生する。したがって、高強度鋼板、特に、980MPa以上の引張強度を有する鋼板をプレス成形することによって部品を製造することは極めて困難である。プレス成形ではなく、ロール成形によれば、高強度の鋼板を加工できるが、その適用先は長手方向に一様な断面を有する部品に限定される。
一方、特許文献1に示されているように、加熱した鋼板をプレス成形する熱間プレスと呼ばれる方法では、鋼板が高温で軟質、高延性になっているため、複雑な形状に寸法精度よく成形することが可能である。さらに、鋼板をオーステナイト単相域に加熱しておき、金型内で急冷し、焼入れることによって、マルテンサイト単相組織が得られ、部材の高強度化が達成される。したがって、このような熱間プレス法は、部材の高強度化と鋼板の成形性とを同時に確保できる優れた成形方法である。
特許文献2には、鋼板を室温で予め所定の形状に成形した後、オーステナイト域に加熱し、金型内で急冷することによって、複雑な形状をもつ高強度の部材を成形できる予プレスクエンチ法が開示されている。このような予プレスクエンチ法は熱間プレスの一態様であるが、鋼板の成形を室温で行うため、より複雑な形状の部材の製造を可能にするとともに、金型で部材を拘束することにより熱歪による変形を抑制することができるので、部材の高強度化と高い寸法精度をともに確保することができる優れた成形方法である。
しかし、近年に至り、熱間プレス鋼板部材には、衝撃特性、具体的には延性、がさらに求められるようになってきており、鋼組織が実質的にマルテンサイト単相である、特許文献1や特許文献2に代表される従来技術では、斯かる要求に応えることができないという問題が生じている。
このような背景から、特許文献3には、鋼板をフェライトとオーステナイトとが共存する二相域に加熱しておき、さらに、二相組織を保ったままプレスし、金型内で急冷することによって、フェライトとマルテンサイトとの二相組織を有する、高強度かつ延性に優れるとされる熱間プレス鋼板部材が開示されている。
英国特許公報1490535号 特開平10−96031号公報 特開2010−65292号公報
特許文献3に開示される技術は、熱間プレス鋼板部材の鋼組織を制御することによって、その高強度化と延性向上とを両立させることを目指したものである。
上述したように、熱間プレス鋼板部材において高強度化と延性向上とが両立すると、優れた延性によって、その衝突特性も高められると考えられる。
ところで、部材の衝突時において、極度の塑性変形が生じることによって、部材の表層部が厳しい曲げ変形を受けることがある。
したがって、熱間プレス鋼板部材の衝突特性を高めるには、優れた延性のみならず、優れた曲げ性も必要である。
しかし、特許文献3に開示された発明は、鋼組織がフェライトとマルテンサイトとの二相組織であるため、部材の曲げ性が乏しい、という問題が発生する。この問題は、鋼材の引張強度が980MPa以上になると顕在化する。
このように、引張強度が980MPa以上であり、延性に加えて曲げ性にも優れた熱間プレス鋼板部材については、製造技術の確立はもちろんのこと、そのような製品それ自体が未だ提案されていないのが現状である。
本発明の課題は、引張強度が980MPa以上という高い強度を有しながらも、延性と曲げ性とに優れた熱間プレス鋼板部材およびその製造方法ならびにそれを得るための熱間プレス用鋼板を提供することである。
ここで、「延性に優れた」とは、引張試験によって得られる全伸び(El)が12%以上である機械特性を有することをいう。全伸び(El)は、好ましくは14%以上である。一方、「曲げ性に優れた」とは、先端角度が90°のV曲げ試験において、限界曲げ半径が5t以下(tは鋼板の板厚を示す)である機械特性を有することをいう。
本発明者は、上記課題を解決するための鋭意検討を行うことにより、特定のC及びMn含有量に対してSiを積極的に添加した化学組成を有するとともに、表面から深さ100μmまでの領域における鋼組織を制御した熱間プレス用鋼板を用い、さらに、その熱間プレス用鋼板に対する最適な熱間プレスの熱処理条件を適用することによって、従来の熱間プレス鋼板部材とは異なり、組織がフェライトとマルテンサイトからなる複相組織であるとともに、表層部のフェライトの面積率が内層部に比して高められ、980MPa以上という高い引張強度を有しながら、延性と曲げ性にも優れた熱間プレス鋼板部材を製造できるという新知見を得た。
本発明は上記新知見に基づいてなされたものであり、その要旨は以下のとおりである。
(1)質量%で、C:0.10%以上0.34%以下、Si:0.5%以上2.0%以下、Mn:1.0%以上3.0%以下、P:0.05%以下、S:0.01%以下、sol.Al:0.001%以上1.0%以下およびN:0.01%以下を含有し、残部Feおよび不純物からなる化学組成と、表面から深さ15μmまでの表層部におけるフェライトの面積率が、前記表層部を除いた部位である内層部におけるフェライトの面積率の1.20倍超であり、前記内層部が、面積%で、フェライト:10%以上70%以下、マルテンサイト:30%以上90%以下、フェライトおよびマルテンサイトの合計面積率:90%以上である鋼組織と、引張強度(TS)が980MPa以上であり、全伸びが12%以上であり、先端角度が90°のV曲げ試験の限界曲げ半径が5t以下である機械特性と、を有することを特徴とする、熱間プレス鋼板部材。
(2)前記化学組成が、Feの一部に代えて、質量%で、Ti:0.20%以下、Nb:0.20%以下、V:0.20%以下、Cr:1.0%以下、Mo:1.0%以下、Cu:1.0%以下およびNi:1.0%以下からなる群から選ばれた1種または2種以上を含有する上記(1)に記載の熱間プレス鋼板部材。
(3)前記化学組成が、Feの一部に代えて、質量%で、Ca:0.01%以下、Mg:0.01%以下、REM:0.01%以下およびZr:0.01%以下からなる群から選ばれた1種または2種以上を含有する上記(1)または(2)に記載の熱間プレス鋼板部材。
(4)前記化学組成が、Feの一部に代えて、質量%で、B:0.01%以下を含有する上記(1)〜(3)のいずれかに記載の熱間プレス鋼板部材。
(5)前記化学組成が、Feの一部に代えて、質量%で、Bi:0.01%以下を含有する上記(1)〜(4)のいずれかに記載の熱間プレス鋼板部材。
(6)上記(1)〜(5)のいずれかに記載の化学組成を有する鋼板であって、表面から深さ100μmまでの領域におけるフェライトの面積率が30%以上90%以下である鋼組織を有することを特徴とする、表面から深さ15μmまでの表層部におけるフェライトの面積率が、前記表層部を除いた部位である内層部におけるフェライトの面積率の1.20倍超であり、前記内層部が、面積%で、フェライト:10%以上70%以下、マルテンサイト:30%以上90%以下、フェライトおよびマルテンサイトの合計面積率:90%以上である鋼組織と、引張強度(TS)が980MPa以上であり、全伸びが12%以上であり、先端角度が90°のV曲げ試験の限界曲げ半径が5t以下である機械特性と、を有する熱間プレス鋼板部材の熱間プレス用鋼板。
(7)上記(1)から上記(5)までのいずれか1つに記載の化学組成を有する鋼板であって、表面から深さ100μmまでの領域におけるフェライトの面積率が30%以上90%以下である鋼組織を有する熱間プレス用鋼板を、720℃以上Ac点以下の温度域に加熱し、前記加熱の終了から熱間プレスの開始までの間に鋼板が空冷に曝される時間を5秒間以上50秒間以下として熱間プレスを施し、10℃/秒以上500℃/秒以下の平均冷却速度でMs点以下の温度域まで冷却することを特徴とする、表面から深さ15μmまでの表層部におけるフェライトの面積率が、前記表層部を除いた部位である内層部におけるフェライトの面積率の1.20倍超であり、前記内層部が、面積%で、フェライト:10%以上70%以下、マルテンサイト:30%以上90%以下、フェライトおよびマルテンサイトの合計面積率:90%以上である鋼組織と、引張強度(TS)が980MPa以上であり、全伸びが12%以上であり、先端角度が90°のV曲げ試験の限界曲げ半径が5t以下である機械特性と、を有する熱間プレス鋼板部材の製造方法。
本発明により、熱間プレスのままで、引張強度が980MPa以上と高く、延性に優れ、かつ曲げ性にも優れた熱間プレス鋼板部材の実用化が初めて可能になるという、技術的に価値ある効果が達成される。本発明に係る熱間プレス鋼板部材は、極度の塑性変形が生じる衝突でも表層部が曲げ変形することで衝撃を吸収することができるという極めて優れた衝突特性を示すので、特に自動車のボディー構造部品の製造に適しているが、機械構造部品など他の用途にも無論適用されうる。
本発明について、以下により詳しく説明する。
1.化学組成
本発明に係る熱間プレス鋼板部材(以下、単に「鋼板部材」ともいう。)および熱間プレス用鋼板の化学組成を上述のように規定した理由を説明する。以下の説明において、各合金元素の含有量を表す「%」は、特に断りがない限り「質量%」を意味する。
(C:0.10%以上0.34%以下)
Cは、鋼の焼入れ性を高め、かつ焼入れ後の強度を主に決定する、非常に重要な元素である。C含有量が0.10%未満では、焼入れ後の強度で980MPa以上の引張強度を確保することが困難となる。したがって、C含有量は0.10%以上とする。一方、C含有量が0.34%超では、溶接性の劣化が顕著となる。したがって、C含有量は0.34%以下とする。なお、熱間圧延および冷間圧延時における生産性の観点からは、C含有量を0.30%以下とすることが好ましい。さらに好ましくは0.25%以下である。
(Si:0.5%以上2.0%以下)
Siは、鋼の延性を向上させて、かつ焼入れ後の強度を安定して確保するために、非常に効果のある元素である。Si含有量が0.5%未満では、上記作用を得ることが困難である。なお、溶接性を向上させる観点からは、Si含有量を0.7%以上とすることが好ましい。一方、Si含有量が2.0%超では、上記作用による効果は飽和して経済的に不利となるうえに、めっき濡れ性の低下が著しくなり、不めっきが多発する。したがって、Si含有量は2.0%以下とする。また、熱間プレス鋼板部材の表面欠陥を抑える観点からは、Si含有量を1.8%以下にすることが好ましい。
(Mn:1.0%以上3.0%以下)
Mnは、鋼の焼入れ性を高め、かつ焼入れ後の強度を確保するために、非常に効果のある元素である。Mn含有量が1.0%未満では、焼入れ後の強度で980MPa以上の引張強度を確保することが非常に困難となる。したがって、Mn含有量は1.0%以上とする。上記作用をより確実に得るには、Mn含有量を1.1%以上とすることが好ましい。一方、Mn含有量が3.0%超では、焼入れ後の組織が顕著なバンド状になり、曲げ性の劣化が顕著になる。したがって、Mn含有量は3.0%以下とする。なお、熱間圧延および冷間圧延時における生産性の観点からは、Mn含有量を2.5%以下とすることが好ましい。
(P:0.05%以下)
Pは、一般には鋼に不可避的に含有される不純物であるが、固溶強化により鋼の強度を高める作用を有するので、積極的に含有させてもよい。しかし、P含有量が0.05%超では、溶接性の劣化が著しくなる。したがって、P含有量は0.05%以下とする。好ましくは0.018%以下である。上記作用をよる効果をより確実に得るには、P含有量を0.003%以上とすることが好ましい。
(S:0.01%以下)
Sは、鋼に不可避的に含有される不純物であり、溶接性の観点からは、低いほど好ましい。S含有量が0.01%超では、溶接性の低下が著しくなる。したがって、S含有量は0.01%以下とする。好ましくは0.003%以下、さらに好ましくは0.0015%以下である。
(sol.Al:0.001%以上1.0%以下)
Alは、鋼を脱酸して鋼材を健全化する作用を有する元素である。sol.Al含有量が0.001%未満では、上記作用を得ることが困難となる。したがって、sol.Al含有量は0.001%以上とする。好ましくは0.015%以上である。一方、sol.Al含有量が1.0%超では、溶接性の低下が著しくなるとともに、酸化物系介在物が増加し、表面性状の劣化が著しくなる。したがって、sol.Al含有量は1.0%以下とする。好ましくは0.080%以下である。
(N:0.01%以下)
Nは、鋼に不可避的に含有される不純物であり、溶接性の観点からは、低いほど好ましい。N含有量が0.01%超では、溶接性の低下が著しくなる。したがって、N含有量は0.01%以下とする。好ましくは0.006%以下である。
以下に説明する元素は、本発明の鋼板部材または熱間プレス用鋼板に場合により含有させてもよい任意元素である。
(Ti:0.20%以下、Nb:0.20%以下、V:0.20%以下、Cr:1.0%以下、Mo:1.0%以下、Cu:1.0%以下およびNi:1.0%以下からなる群から選ばれた1種または2種以上)
これらの元素は、いずれも焼入れ後の強度を安定して確保するために効果のある元素である。したがって、これらの元素の1種または2種以上を含有させてもよい。しかし、Ti、NbおよびVについては、それぞれ0.20%を超えて含有させると、熱間圧延および冷間圧延が困難になるだけでなく、逆に、強度を安定して確保することが困難になる。CrおよびMoについては、1.0%を超えて含有させると、熱間圧延および冷間圧延が困難になる。CuとNiは、それぞれ1.0%を超えて含有させても、上記作用による効果は飽和して経済的に不利となるうえに、熱間圧延や冷間圧延が困難になる。そのため、各元素の含有量はそれぞれ上記のとおりとする。上記作用による効果をより確実に得るには、Ti:0.003%以上、Nb:0.003%以上、V:0.003%以上、Cr:0.005%以上、Mo:0.005%以上、Cu:0.005%以上およびNi:0.005%以上の少なくとも一つを満足させることが好ましい。
(Ca:0.01%以下、Mg:0.01%以下、REM:0.01%以下およびZr:0.01%以下からなる群から選ばれた1種または2種以上)
これらの元素は、いずれも介在物制御、特に、介在物の微細分散化に寄与し、低温靭性を高める作用を有する元素である。したがって、これらの元素の1種または2種以上を含有させてもよい。しかし、いずれも0.01%を超えて含有させると、表面性状の劣化が顕在化する場合がある。そのため、各元素の含有量はそれぞれ上記のとおりとする。上記作用による効果をより確実に得るには、これらの元素の少なくとも一つの含有量を0.0003%以上とすることが好ましい。
ここで、REMはSc、Yおよびランタノイドの合計17元素を指し、上記REMの含有量はこれらの元素の合計含有量を意味する。ランタノイドの場合、工業的にはミッシュメタルの形で添加される。
(B:0.01%以下)
Bは、鋼板の低温靭性を高める作用を有する元素である。したがって、Bを含有させてもよい。しかし、Bは0.01%を超えて含有させると、熱間加工性が劣化して、熱間圧延が困難になる。そのため、B含有量は0.01%以下とする。上記作用による効果をより確実に得るには、B含有量を0.0003%以上とすることが好ましい。
(Bi:0.01%以下)
Biは、組織を均一にし、鋼板の低温靭性を高める作用を有する元素である。したがって、Biを含有させてもよい。しかし、Biは0.01%を超えて含有させると、熱間加工性が劣化して、熱間圧延が困難になる。そのため、Bi含有量は0.01%以下とする。上記作用による効果をより確実に得るには、Bi含有量を0.0003%以上とすることが好ましい。
2.熱間プレス鋼板部材の鋼組織
本発明に係る熱間プレス鋼板部材は、その表層部および内層部の鋼組織が下記の条件を満たす。ここで、熱間プレス鋼板部材の表層部とは、表面から深さ15μmまでの表面部位を意味し、内層部とはこの表層部を除いた部位を意味する。内層部の鋼組織は、表層部を除いた鋼板の厚み方向の全体についての平均をとるが、簡便には、厚み方向において平均的な鋼組織を示す、表面から鋼板厚みの1/4の深さの地点での鋼組織を採用することができる。本発明では、この1/4深さ位置で測定したフェライト面積率およびマルテンサイト面積率をそれぞれ内層部のフェライト面積率およびマルテンサイト面積率とする。
(表層部のフェライトの面積率:内層部のフェライトの面積率の1.20倍超)
内層部に比して表層部におけるフェライトの面積率を高めることにより、表層部が延性に富むようになり、980MPa以上という高い引張強度を有する場合であっても、延性と曲げ性とに優れた熱間プレス鋼板部材を得ることができる。表層部におけるフェライトの面積率が内層部におけるフェライトの面積率の1.20倍以下では、微小なクラックが表層部に発生しやすくなり、曲げ性が劣化する。したがって、表層部におけるフェライトの面積率は内層部におけるフェライトの面積率の1.20倍超とする。
(内層部のフェライトの面積率:10%以上70%以下)
適量のフェライトを鋼中に形成させることにより、延性を向上させることができる。そのため、内層部のフェライトの面積率(以下、単にフェライトの面積率という。)を規定する。フェライトの面積率が10%未満では、フェライトの殆どが孤立し、鋼の延性を向上させることができない。したがって、フェライトの面積率は10%以上とする。一方、フェライトの面積率が70%超では、強化相であるマルテンサイトの面積率を確保できなくなり、焼入れ後の強度で980MPa以上の引張強度を確保することが困難となる。したがって、フェライトの面積率は70%以下とする。
(内層部のマルテンサイトの面積率:30%以上、90%以下)
マルテンサイトを鋼中に形成させることにより、焼入れ後の強度を高めることができる。そのため内層部のマルテンサイトの面積率(以下、単にマルテンサイトの面積率という。)も規定する。マルテンサイトの面積率が30%未満では、焼入れ後の強度で980MPa以上の引張強度を確保することが困難となる。したがって、マルテンサイトの面積率は30%以上とする。一方、マルテンサイトの面積率が90%超では、フェライトの面積率が10%未満となり、上述したように、鋼の延性を向上させることができない。したがって、マルテンサイトの面積率は90%以下とする。
(内層部のフェライトおよびマルテンサイトの合計面積率:90%以上)
本発明に係る熱間プレス鋼板部材の内層部は、フェライトおよびマルテンサイトからなる組織を有すること基本とするが、製造条件によっては、フェライトおよびマルテンサイト以外の相または組織として、ベイナイト、残留オーステナイト、セメンタイトおよびパーライトの1種または2種以上が混入する場合がある。この場合、フェライトおよびマルテンサイト以外の相または組織が10%を超えると、これらの相または組織の影響により、目的とする特性が得られない場合がある。したがって、内層部におけるフェライトおよびマルテンサイト以外の相または組織の混入は10%以下とする。すなわち、内層部のフェライトおよびマルテンサイトの合計面積率は90%以上とする。
以上の鋼組織における各相の面積率の測定法は当業者には周知であり、本発明においても常法により測定することができる。後で実施例において示すように、これらの面積率は圧延方向と圧延方向に垂直方向の両方向における断面において測定し、その平均値として求められる。
3.製造方法
上述した化学組成及び鋼組織を有し、引張強度が980MPa以上である本発明に係る熱間プレス鋼板部材は、下記の方法により製造することができる。
引張強度が980MPa以上の強度下で優れた延性を得るには、焼入れ後の内層部の組織を、マルテンサイト単相とするのではなく、フェライトの面積率が10%以上70%以下、マルテンサイトの面積率が30%以上90%以下、フェライトおよびマルテンサイトの合計面積率が90%以上である複相組織とすることが肝要である。さらに、良好な曲げ性を得るには、表層部のフェライト層の形成を促し、表層部におけるフェライトの面積率を内層部におけるフェライトの面積率の1.20倍超とすることが肝要である。
このような組織を得るには、上記化学組成を有し、表面から深さ100μmまでの領域におけるフェライトの面積率が30%以上90%以下である鋼組織を有する鋼板(この鋼板を熱間プレス用鋼板という。)を、720℃以上Ac3点以下の温度域に加熱し、前記加熱の終了から熱間プレスの開始までの間に鋼板が空冷に曝される時間を5秒間以上50秒間以下として熱間プレスを施した後、10℃/秒以上500℃/秒以下の平均冷却速度でMs点以下の温度域まで冷却すればよい。
(熱間プレス用鋼板の鋼組織)
熱間プレス用鋼板には、上記化学組成を有し、表面から深さ100μmまでの領域におけるフェライトの面積率が30%以上90%以下である鋼組織を有する鋼板を用いる。この鋼板は、例えば、熱延鋼板、冷延鋼板、溶融亜鉛めっき冷延鋼板のいずれでもよい。上記鋼組織を有する熱間プレス用鋼板を後述するような条件で熱間プレスを施すことによって、表層部における脱炭が促進され、熱間プレス後において、所望の鋼組織を有し、引張強度が980MPa以上であり、延性と曲げ性に優れた熱間プレス鋼板部材が得られる。
上記鋼組織を有する熱延鋼板は、850℃以上で仕上圧延を完了し、720℃から650℃の範囲に10秒間以上保持したのち、600℃以上の温度域で巻き取る熱間圧延により製造することができる。また、上記鋼組織を有する冷延鋼板と溶融亜鉛めっき冷延鋼板は、冷間圧延後に、露点を−10℃以上とする窒素、水素混合ガスの雰囲気中で、720℃以上850℃以下の温度域に加熱する焼鈍を実施することによって製造することができる。
(熱間プレスに供する鋼板の加熱温度:720℃以上Ac3点以下の温度域)
熱間プレスに供する鋼板の加熱は、720℃以上で、下記実験式(i)により規定されるオーステナイト単相になるAc3点(℃)以下の温度域において行う。
Ac3=910−203×(C0.5)−15.2×Ni+44.7×Si+104×V+31.5×Mo−30×Mn−
11×Cr−20×Cu+700×P+400×Al+50×Ti ・・・ (i)
ここで、上記式中における元素記号は、鋼板の化学組成における各元素の含有量(単位:質量%)を示す。
加熱温度が720℃未満では、セメンタイトの固溶に伴うオーステナイトの生成が困難または不十分であり、焼入れ後の強度で980MPa以上の引張強度を確保することが困難となる。したがって、加熱温度は、720℃以上とする。一方、加熱温度がAc3点超になると、焼入れ後の組織がマルテンサイト単相となり、延性の劣化が顕著となる。したがって、加熱温度はAc3点以下とする。
このとき、720℃以上Ac3点以下の温度域までの加熱速度と上記温度域に保持する加熱時間は特に限定する必要はないが、それぞれ以下の範囲にすることが好ましい。
720℃以上Ac3点下の温度域までの加熱における平均加熱速度は、0.2℃/秒以上100℃/秒以下とすることが好ましい。上記平均加熱速度を0.2℃/秒以上とすることにより、より高い生産性を確保することが可能となる。また、上記平均加熱速度を100℃/秒以下とすることにより、通常の炉を用いて加熱する場合において、加熱温度の制御が容易となる。
720℃以上Ac3点以下の温度域における加熱時間は1分間以上10分間以下とすることが好ましい。ここで、加熱時間とは、鋼板の温度が720℃に到達した時から加熱終了時までの時間である。加熱終了時とは、具体的には、炉加熱の場合には鋼板が加熱炉から取り出された時であり、通電加熱や誘導加熱の場合には通電等を終了した時である。上記加熱時間を1分間以上とすることにより、加熱中の脱炭によって、表層部にフェライトが形成されやすくなる。上記加熱時間を4分間以上とすることがさらに好ましい。また、上記加熱時間を10分間以下とすることにより、鋼板部材の組織をより微細にすることができるので、鋼板部材の低温靭性が一層向上する。
(加熱の終了から熱間プレスの開始までの間に鋼板が空冷に曝される時間:5秒間以上50秒間以下)
一般に、熱間プレス用鋼板は、熱間プレスに供するに際して加熱炉等で加熱された後、熱間プレス装置まで搬送される。この際に、例えば、加熱炉からの抽出時や、熱間プレス装置への搬送時あるいは投入時などに、熱間プレス用鋼板は少なくとも一部において空冷状態に曝される。
上記化学組成を有し、表面から深さ100μmまでの領域におけるフェライトの面積率が30%以上90%以下である鋼組織を有する熱間プレス用鋼板を用いることによって、加熱された鋼板は空冷中に脱炭しやすくなる。上記加熱の終了から熱間プレスの開始までの間に鋼板が空冷に曝される時間を5秒間以上とすることによって、空冷過程における脱炭が促進され、表層部におけるフェライトの面積率を内層部におけるフェライトの面積率の1.20倍超とすることが容易になる。したがって、上記加熱の終了から熱間プレスの開始までの間に鋼板が空冷に曝される時間を5秒間以上とすることが好ましい。また、上記加熱の終了から熱間プレスの開始までの間に鋼板が空冷に曝される時間を50秒間以下とすることにより、ベイナイト変態の進行を抑制し、強化相であるマルテンサイトの面積率の確保が容易となり、焼入れ後の強度で980MPa以上の引張強度を確保することが容易になる。したがって、上記加熱の終了から熱間プレスの開始までの間に鋼板が空冷に曝される時間は50秒間以下とすることが好ましい。この時間は、好ましくは30秒間以下であり、さらに好ましくは20秒間以下である。
空冷に曝される時間の調整は、加熱炉からの取り出し後、通常は空冷に曝されるプレス金型までの搬送時間を調整することで行うことができる。
(Ms点以下の温度域までの平均冷却速度:10℃/秒以上500℃/秒以下)
次いで、熱間プレス用鋼板に熱間プレスを施し、ベイナイト変態等の拡散型変態が起きないように、10℃/秒以上500℃/秒以下の平均冷却速度でMs点以下の温度域まで冷却する。平均冷却速度が10℃/秒未満では、ベイナイト変態が過度に進行してしまい、強化相であるマルテンサイトの面積率を確保できなくなり、焼入れ後の強度で980MPa以上の引張強度を確保することが困難となる。したがって、上記温度域における平均冷却速度は10℃/秒以上とする。一方、上記平均冷却速度が500℃/秒超では、部材の均熱を保つことが極めて困難となり、強度が安定しなくなる。したがって、上記平均冷却速度は500℃/秒以下とする。
なお、Ms点以下の温度域に冷却する際、400℃到達以降は相変態による発熱が非常に大きくなる。そのため、400℃より低温での冷却は、400℃以上の温度域における冷却方法と同じ方法では十分な冷却速度が確保できない場合がある。その場合には、400℃までの冷却よりも400℃からMs点までの冷却をより強力に行う必要がある。具体的には以下に述べるようにすることが好ましい。
熱間プレス法では、通常、加熱された鋼板を常温または数10℃程度の温度の鋼製金型でプレスすることより冷却が達成される。したがって、冷却速度を変化させるためには、金型寸法を変えて、金型の熱容量を変化させればよい。また、金型材質を異種金属(例えば銅など)に変えることでも、冷却速度を変化させることができる。金型寸法を変えられない場合、水冷型の金型を用いて冷却水量を変えることによっても、冷却速度を変えることができる。また、予め溝を数カ所切った金型を用い、プレス中にその溝に水を通すことによって冷却速度を変えることができる。さらに、プレス途中でプレス機を上げ、その間に水を流すことでも、冷却速度を変えることができる。或いは、金型クリアランスを変え、鋼板との接触面積を変化させることでも冷却速度を変えることができる。
例えば400℃前後で冷却速度を変える手段には、次のような手段が考えられる。
(1)400℃到達直後に、熱容量の異なる金型または室温状態の金型に移動させて、冷却速度を変える;
(2)水冷金型の場合、400℃到達直後に金型中の流水量を変化させて、冷却速度を変える;
(3)400℃到達直後に、金型と部材との間に水を流すこと、或いはさらにその水量を変化させることで、冷却速度を変える。
本発明における熱間プレス法における成形の形態は特に制限されないが、例示すれば、曲げ加工、絞り成形、張出し成形、穴拡げ成形、フランジ成形が挙げられる。目的とする熱間プレス鋼板部材の種類によって適宜選べばよい。熱間プレス鋼板部材の代表例として、自動車用補強部品であるドアガードバーやバンパーレインフォースメントなどを挙げることができる。また、成形と同時または直後に鋼板を冷却する手段を備えていれば、プレス以外の成形法、例えばロール成形に適用してもよい。
上記方法により製造することができる、本発明に係る熱間プレス鋼板部材は、980MPa以上の高強度に加えて延性と曲げ性とに優れることが特徴であるが、そのときの実用に耐えうる延性としては、引張試験の全伸びが12%以上あることが好ましい。さらに好ましくは、全伸びが14%以上である。曲げ性としては、先端角度が90°のV曲げ試験の限界曲げ半径が5t以下であることが好ましい。
熱間プレス後は、通常、スケール除去目的でショットブラスト処理が施される。このショットブラスト処理には、表面に圧縮応力を導入する効果があるため、遅れ破壊が抑制され、また疲労強度が向上するという利点がある。
なお、上述したような予成形を伴わない熱間プレス加工においては、熱間プレス用鋼板を720℃以上Ac3点以下の温度域に加熱してある程度までオーステナイト変態をさせたのちに加工を施すため、加熱前の室温における機械的性質は重要ではない。
本発明の熱間プレス鋼板部材は予成形を伴う熱間プレス加工により製造することもできる。具体的には、熱間プレス用鋼板をまず所定の形状の金型でプレス加工して予成形し、同型の金型に投入し、押さえ圧を加え、急冷することにより、前述した加熱、空冷及び冷却速度を満たす条件で熱間プレス鋼板部材を製造する。この場合も、熱間プレス用鋼板の種類やその組織は限定されないが、予成形を容易にするために、できるだけ低強度で延性のある鋼板であることが望ましい。例えば、TSが700MPa以下であることが望ましい。
表1に示す化学組成および表2に示す鋼組織を有する、板厚2.0mmのフルハード鋼板(フルハードと記載する)、溶融亜鉛めっき冷延鋼板(めっき鋼板と記載する、片面当たりめっき付着量60g/m2)、熱延鋼板及び冷延鋼板を、熱処理に供する鋼板(熱間プレス用鋼板)として準備した。フルハードは板厚3.6mmの熱延鋼板を冷間圧延した鋼板(未焼鈍材)である。熱処理に供する鋼板における表面から100μmまでの領域におけるフェライトの面積率は、圧延方向と圧延方向に垂直方向の両方向における断面の電子顕微鏡観察画像より画像解析を行って算出した値の平均値である。
これらの鋼板を、空燃比を0.9としたガス炉内で表2に示した条件で加熱して、加熱炉より取り出し、空冷時間(炉から取り出した後、金型に入れるまでの時間)を種々変化させて、平板の鋼製金型を用いて熱間プレスを行い、金型と接触させたまま表示の平均冷却速度でMs点以下である150℃まで冷却し、金型から取り出して放冷することにより、各種供試用鋼板を準備した(以下、この供試用鋼板を熱間プレスした鋼板と記載する)。冷却は、金型の周囲を冷却水で冷却するか、または常温であった金型による冷却により実施した。150℃までの平均冷却速度は、鋼板に熱電対を貼付し、その温度履歴を解析することにより求めた。
本例において作製した鋼板は、金型による熱間プレス成形が施されていない(従って、熱処理である)が、熱間プレス鋼板部材と同じ熱履歴を受けているので、鋼板の機械的性質は、同じ熱履歴を有する熱間プレス鋼板部材と実質的に同一である。表示の加熱時間は、炉に装入後の720℃に達した時点から、炉から取り出すまでの時間をいう。加熱温度は鋼板温度ではなく、炉内温度である。
Figure 0005803836
Figure 0005803836
熱間プレスした鋼板のフェライトとマルテンサイトの面積率は、圧延方向と圧延方向に垂直方向の両方向における断面の電子顕微鏡観察画像より、画像解析を行って平均値として算出した。断面観察は、表面から深さ15μmまでの表層部と、板厚の1/4深さの内層部の2地点で実施し、前者ではフェライト面積率を、後者でのフェライト面積率とマルテンサイト面積率とを求めた。表3には、内層部のフェライト面積率に対する表層部のフェライト面積率の比、および内層部のフェライト面積率およびマルテンサイト面積率を示す。
熱間プレスした鋼板の機械的性質を次のようにして調査した。これらの測定結果も表3に併せて示す。
まず、各鋼板から圧延方向に垂直の直角の方向にJIS5号引張試験片を採取して引張試験を行い、TS(引張強度)およびEL(全伸び)を測定した。
また、各鋼板から曲げ稜線が圧延方向となるように採取した試験片(30×60mm)を用いて、先端角度が90°、先端半径が10mmのV曲げ試験により、曲げ性を評価した。試験後の曲げ部の表面を目視で観察し、割れが認められない場合を良好、割れが認められた場合を不良とした。
Figure 0005803836
表3に示すように、発明例である供試材No.2、5、7〜12、14、16、20、21、24および25は、優れた延性と曲げ性を有する。すなわち、本発明は、熱間プレス用鋼板の種類がフルハード、冷延鋼板、熱延鋼板、めっき鋼板のいずれにも適用できることがわかる。
一方、供試材No.1は、化学組成が不適切で延性が悪かった。供試材No.3、15および18は、製造条件が発明で規定する範囲を外れ、目標とする引張強度が得られなかった。供試材No.4は、製造条件が不適切であったため、熱間プレス後に所望の組織が得られず、曲げ性が悪かった。供試材No.6および17は、熱処理に供した鋼板の鋼組織が不適切であったため、熱間プレス後に所望の組織が得られず、曲げ性が悪かった。供試材No.13および19は、化学組成が不適切であったため、目標とする引張強度が得られなかった。供試材No.22は、製造条件が不適切であったため、熱間プレス後に所望の組織が得られず、延性が悪かった。供試材No.23は、化学組成が不適切であったため曲げ性が悪かった。
なお、比較例である供試材No.15では、内層部のフェライト面積率に対する表層部のフェライト面積率の比が1.20未満であるにもかかわらず曲げ性が良好であるが、これは引張強度(TS)が591MPaと非常に低いためである。

Claims (7)

  1. 質量%で、C:0.10%以上0.34%以下、Si:0.5%以上2.0%以下、Mn:1.0%以上3.0%以下、P:0.05%以下、S:0.01%以下、sol.Al:0.001%以上1.0%以下およびN:0.01%以下を含有し、残部Feおよび不純物からなる化学組成と、
    表面から深さ15μmまでの表層部におけるフェライトの面積率が、前記表層部を除いた部位である内層部におけるフェライトの面積率の1.20倍超であり、前記内層部が、面積%で、フェライト:10%以上70%以下、マルテンサイト:30%以上90%以下、フェライトおよびマルテンサイトの合計面積率:90%以上である鋼組織と、
    引張強度(TS)が980MPa以上であり、全伸びが12%以上であり、先端角度が90°のV曲げ試験の限界曲げ半径が5t以下である機械特性と、
    を有することを特徴とする、熱間プレス鋼板部材。
  2. 前記化学組成が、Feの一部に代えて、質量%で、Ti:0.20%以下、Nb:0.20%以下、V:0.20%以下、Cr:1.0%以下、Mo:1.0%以下、Cu:1.0%以下およびNi:1.0%以下からなる群から選ばれた1種または2種以上を含有する請求項1に記載の熱間プレス鋼板部材。
  3. 前記化学組成が、Feの一部に代えて、質量%で、Ca:0.01%以下、Mg:0.01%以下、REM:0.01%以下およびZr:0.01%以下からなる群から選ばれた1種または2種以上を含有する請求項1または請求項2に記載の熱間プレス鋼板部材。
  4. 前記化学組成が、Feの一部に代えて、質量%で、B:0.01%以下を含有する請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の熱間プレス鋼板部材。
  5. 前記化学組成が、Feの一部に代えて、質量%で、Bi:0.01%以下を含有する請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の熱間プレス鋼板部材。
  6. 請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の化学組成を有する鋼板であって、表面から深さ100μmまでの領域におけるフェライトの面積率が30%以上90%以下である鋼組織を有することを特徴とする、表面から深さ15μmまでの表層部におけるフェライトの面積率が、前記表層部を除いた部位である内層部におけるフェライトの面積率の1.20倍超であり、前記内層部が、面積%で、フェライト:10%以上70%以下、マルテンサイト:30%以上90%以下、フェライトおよびマルテンサイトの合計面積率:90%以上である鋼組織と、引張強度(TS)が980MPa以上であり、全伸びが12%以上であり、先端角度が90°のV曲げ試験の限界曲げ半径が5t以下である機械特性と、を有する熱間プレス鋼板部材の熱間プレス用鋼板。
  7. 請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の化学組成を有する鋼板であって、表面から深さ100μmまでの領域におけるフェライトの面積率が30%以上90%以下である鋼組織を有する熱間プレス用鋼板を、720℃以上Ac点以下の温度域に加熱し、前記加熱の終了から熱間プレスの開始までの間に鋼板が空冷に曝される時間を5秒間以上50秒間以下として熱間プレスを施し、10℃/秒以上500℃/秒以下の平均冷却速度でMs点以下の温度域まで冷却することを特徴とする、表面から深さ15μmまでの表層部におけるフェライトの面積率が、前記表層部を除いた部位である内層部におけるフェライトの面積率の1.20倍超であり、前記内層部が、面積%で、フェライト:10%以上70%以下、マルテンサイト:30%以上90%以下、フェライトおよびマルテンサイトの合計面積率:90%以上である鋼組織と、引張強度(TS)が980MPa以上であり、全伸びが12%以上であり、先端角度が90°のV曲げ試験の限界曲げ半径が5t以下である機械特性と、を有する熱間プレス鋼板部材の製造方法。
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