JP5801506B1 - 生物的脱窒装置の運転方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】生物的脱窒装置において、脱窒工程に添加する還元剤量を適切に制御する方法を提供する。【解決手段】嫌気状態における脱窒反応速度が、好気状態における活性汚泥の酸素消費速度と比例関係にあると見做して、活性汚泥混合液をサンプリングして求めた活性汚泥混合液又は還元剤の酸素消費指標であるASact、BODts、BODactに基づいて、脱窒工程における還元剤添加量Sを制御する。但し、ASactは、活性汚泥混合液の内生呼吸状態における酸素消費速度、BODtsは、活性汚泥混合液中、又は、還元剤液中の溶解性易分解性有機物の分解に要する酸素消費量の指標、BODactは、活性汚泥混合液中および還元剤液中の溶解性易分解性有機物の分解の際の酸素消費速度の指標であって、BODts値を測定時間で除した値。【選択図】図1

Description

本発明は、廃水を硝化槽で硝化処理し、脱窒槽に有機炭素源を添加して液中の硝酸性窒素又は亜硝酸性窒素(以下NO-Nと略記する。)を活性汚泥により窒素に還元して除去する生物的脱窒方法において、脱窒槽に水素供与体として供給する有機炭素源(以下、還元剤と表記)の量に関する。
廃水の生物的脱窒処理は、一般に、廃水中のアンモニア性窒素を硝化工程(好気性)において硝化細菌等によりNO-Nに変換し、次いで脱窒工程(嫌気性)において脱窒細菌によりNO-NをN2 ガスまで還元して水中から除去することにより行われている。
NO-Nの還元反応は(1)、(2)、(3)式などで表される。
1/3NO2 +H+e→1/3H2O+1/6N2+1/3OH・・・(1)式
1/5NO3 +H+e→2/5H2O+1/10N2+1/5OH・・・(2)式
1/4O2+H+e→1/2 H2O ・・・(3)式
還元剤としてメタノールを用いてNO3 の還元を行う場合の反応式は、(4)式で表される。
6NO3 +5CH3OH→3N2↑+5CO2+7H2O+6OH・・・(4)式
また、廃水中のBOD成分など、組成の不明な有機物を還元剤として用いる場合は、(2)式、(3)式より、1molのNO3 と1.25molのO2が当量関係にあるため、1mg/lのNO3 -Nを還元するために必要なBOD成分は、完全酸化された場合の理論BODとして2.86mg/lとなる。
脱窒工程での還元剤の量は、脱窒槽に流入するNO-N量に対し、少な過ぎればNO-N量の除去率が低下し、多すぎれば、過剰の有機炭素源が流出し処理水が悪化する。また有機炭素源としてメタノールなどの薬液を使用する場合には、薬液の費用が嵩むことになる。
適切に脱窒を行うには、NO-N量に見合う還元剤の量を過不足なく制御する必要がある。
還元剤としてメタノールなどの特定の薬液を使用する場合には、(3)式などから理論量が判るため、脱窒槽に流入するNO-N量に対応する量を添加することで適正量を維持できるが、薬液費用が嵩むという問題点がある。このため、薬剤量を必要最小限に抑えるべく、脱窒反応終点を酸化還元電位計(以下、ORP計)による時間変化率で判定して、過剰な薬剤添加をなくす方法(例えば文献1)、モニター槽にてORP計で脱窒反応の終点を先行検知するとともに、薬液を不足気味に添加し、あとは内生呼吸による自己消化を利用して薬液量を削減する方法(例えば文献2)、などが提示されている。
また流入水や廃液を還元剤として使用できれば、薬液費用をゼロまたは大幅に削減できるため、従来から種々の提案がなされている。
文献3には、オキシデーションディッチでの脱窒法で、脱窒工程におけるBOD-SS負荷と脱窒速度との相関式を求め、NO-N量を還元するための必要脱窒速度を求め、両者から脱窒槽のT-BOD/T-N比が3になるように、脱窒工程に添加する流入水を制御する方法が提示されている。また文献4には、オキシデーションディッチでの脱窒法で、ORP計による酸化還元電位の変化計測し、電位変化に屈曲点を検知して嫌気撹拌と好気撹拌を制御することで、特別な薬品を添加することなく流入水の有機炭素源だけで脱窒を行う方法が提示されている。
文献5には、硝化液循環方式の生物的脱窒方法において、脱窒工程に流入する流入水のCODと脱窒工程前後のNOx-Nを測定し、数値モデルによるシミュレーションを行って硝化液の循環量制御を行い、適正な脱窒を行う方法が提示されている。
しかしながらこれらの方法によっても、流入水や廃液の成分や濃度が変動する場合には、BODやCODと有効な有機炭素源の関係が一定とはならないこと、また酸化還元電位は脱窒工程内のさまざまな酸化還元反応を一括して測定してしまい、必ずしも明確な指標にはならないこと、などのため適切な制御が難しい。
以上のように、生物的脱窒法において、脱窒工程において必要な有機炭素源(還元剤)として、メタノールなどの薬剤費用を削減する観点から、流入水や廃液を利用する適切な制御方法が望まれているが、性状変動が大きい流入水や廃液の場合にも適用できる制御方法は示されていないのが現状である。
特開平11−104691 特開平08−299987 特開2002−177985 特開平11−691 特開2001−314891
上記課題に鑑み、本発明は生物的脱窒方法において、脱窒工程に必要な還元剤量を適切に制御する方法を提供するものである。
本願発明者は、鋭意研究の結果、脱窒工程に必要な還元剤量を適切に添加する制御する方法を見出した。
(1)廃水を硝化工程で酸化処理して、廃水中の窒素成分を硝酸性窒素又は亜硝酸性窒素(以下、NO-N)に変換し、脱窒工程において酸素の供給を断って、水素供与体として有機炭素源(以下、還元剤)を添加して、液中のNO-Nを活性汚泥により窒素に還元して除去する生物的脱窒装置において、
嫌気状態における脱窒反応速度が、好気状態における活性汚泥の酸素消費速度と比例関係にあると見做して、
脱窒工程の活性汚泥混合液をサンプリングして求めた、活性汚泥混合液又は還元剤の酸素消費指標であるASact、BODts、BODactに基づいて、必要とする還元剤添加量Sを求め、
該還元剤添加量Sに従い、脱窒工程における還元剤添加量制御を行う、
ことを特徴とする生物的脱窒処理装置の運転方法。
但し、ASactは、活性汚泥混合液の内生呼吸状態における酸素消費速度、
BODtsは、活性汚泥混合液中又は還元剤液中の溶解性易分解性有機物の分解に要する酸素消費量の指標であって、
サンプリング活性汚泥混合液を曝気して内生呼吸状態になるまでの全酸素消費量から内生呼吸による酸素消費量を控除した値(BODts1)、又は、
サンプリング活性汚泥混合液を曝気して内生呼吸状態にしたのち、還元剤液を一定量添加し、還元剤液添加後の酸素消費速度が、還元剤液添加前の内生呼吸による酸素消費速度と等しくなるまでの測定時間内に、還元剤液添加後の活性汚泥混合液が消費した全酸素量から、内生呼吸による酸素消費量を控除した酸素消費量を求め、
活性汚泥混合液量と添加還元剤量の関係に基づいて、還元剤の酸素消費量に換算した値(標準還元剤の場合:BODts0、流入水または廃液を還元剤とする場合:BODts2)、
BODactは、活性汚泥混合液中および還元剤液中の溶解性易分解性有機物の分解の際の酸素消費速度の指標であって、BODts値を測定時間で除した値。
本発明において「廃水」とは、処理を要する汚濁水を総称する概念である。
また、「流入水」とはいわゆる「原水」と同義であり、硝化槽においてBOD処理対象となる廃水をいう。
また、「廃液」とは、硝化槽におけるBOD処理対象の廃水ではなく、専ら嫌気工程において添加還元剤として用いる廃水をいう。例えば、メタノール廃液を還元剤として用いる場合の、当該メタノール廃液がこれに該当する。メタノール廃液の成分濃度は時間経過とともに変動する場合があり、本発明が有効な還元剤添加量制御手段となる。
(2)上記発明において、流入水または廃液を還元剤とするときのBODts値(BODts2とする)を測定し、前記還元剤添加量Sを、次式(A)により求めることを特徴とする。
S=a・NO-N負荷量/BODts2・・・・・(A)
ここに、
NO-N負荷量=脱窒工程に流入するNO-N濃度×流入量、
aはNO-Nを還元するための当量関係にある酸素量の比をベースに実験的に求める係数。
(3)上記(1)の発明において、、流入水または廃液を還元剤として用いる場合の還元剤添加量Sを、以下により求めることを特徴とする。
(3-1)予め、装置内でサンプリングした活性汚泥混合液のASact値(ASact0とする)と、前記標準還元剤のBODact値(BODact0とする)と、内生呼吸状態の該活性汚泥混合液を嫌気状態にして測定した脱窒反応速度(R0とする)と、標準還元剤を添加したときの脱窒反応速度からR0を控除した脱窒反応速度(R1とする)と、を測定しておき、
(3-2)制御中の脱窒工程に流入前または流出後の活性汚泥混合液をサンプリングして、該活性汚泥混合液のASact値(ASact1とする)と、還元剤である流入水または廃液のBODts値(BODts2)及びBODact値(BODact2とする)と、を測定し、
(3-3)内生呼吸による脱窒反応速度R2を、
R2=R0×ASact1/ASact0
の関係から求め、
(3-4)還元剤による脱窒反応速度R3を、
R3=R1×BODact2/BODact0
の関係から求め、
(3-5)脱窒工程の平均滞留時間をHとし、還元剤による可能脱窒反応量Wr0を、
BODts2≦k・R3×Hのときは、
Wr0=BODts2/k
BODts2>k・R3×Hのときは、
Wr0=R3×H
の関係から求め、
(3-6)脱窒工程の処理量をFとし、脱窒工程で除去すべきNO-N量をWとするとき、還元剤による必要脱窒反応量Wrを、
W(R2×H+Wr0)のときは、
Wr=(W−R2×H)
W((R2×H+Wr0)のときは、
Wr=Wr0
の関係から求め、
(3-7)還元剤の添加量Sを、
S=k・F×Wr/BODts2
の関係から求める。
但し、kは、NO-Nを還元するための当量関係にある酸素量の理論的または実験的に求めた換算係数。
(4)上記(1)の発明において、流入水または廃液を還元剤として用いる場合の還元剤添加量Sを、以下により求めることを特徴とする。
(4-1)予め、生物的脱窒装置からサンプリングした活性汚泥混合液によるASact値(ASact0とする)と、前記標準還元剤のBODact値(BODact0とする)と、内生呼吸状態の該活性汚泥混合液を嫌気状態にして測定した脱窒反応速度(R0)と、該還元剤を添加したときの脱窒反応速度からR0を控除した脱窒反応速度(R1)と、を測定しておき、
(4-2)制御中の脱窒工程に流入する前の活性汚泥混合液をサンプリングして、該活性汚泥混合液のASact値(ASact1とする)と、BODts値(BODts1)と、BODact(BODact1)と、還元剤である流入水または廃液のBODts値(BODts2)及びBODact値(BODact2)と、を測定し、
(4-3)内生呼吸による脱窒反応速度R2を、
R2=R0×ASact1/ASact0
の関係から求め、
(4-4)内生呼吸以外の酸素消費速度による脱窒反応速度R2actを、
R2act=R1×BODact1/BODact0
の関係から求め、
(4-5)還元剤による脱窒反応速度R3を、
R3=R1×BODact2/BODact0
の関係から求め、
(4-6)脱窒工程の平均滞留時間をHとし、脱窒工程の処理量をFとするとき、kをNO-Nを還元するための当量関係にある酸素量の理論的または実験的に求めた換算係数として、内生呼吸以外の酸素消費速度による脱窒反応量W0を、
BODts1≦k・R2act×Hのときは、
W0=BODts1/k
BODts1>k・R2act×Hのときは、
W0=R2act×H
の関係から求め、
(4-7)還元剤による可能脱窒反応量Wr0を、
BODts2≦k・R3×Hのときは、
Wr0=BODts2/k
BODts2>k・R3×Hのときは、
Wr0=R3×H
の関係から求め、
(4-8)脱窒工程で除去すべきNO-N量をWとするとき、
還元剤による必要脱窒反応量Wrを、
W(R2×H+W0+Wr0)のときは、
Wr=W−(R2×H+W0)
W(R2×H+W0+Wr0)のときは、
Wr=Wr0
の関係から求め、
(4-9)脱窒反応量から還元剤の添加量Sを、
S=k・F×Wr/BODts2
の関係から求める。
以下、本願発明の具体的内容、及び、脱窒反応のための還元剤量の制御指標としてASact値、BODts値、BODact値(以下、これらの指標を適宜、「活性汚泥酸素消費指標」と総称する)を用いることの妥当性について、従来技術との比較も含め、さらに詳細に説明する。
脱窒反応に用いる還元剤添加量については、NO-N負荷量に見合う量と、脱窒槽滞留時間内に反応を遂行するに必要な反応速度の考慮が必要である。脱窒反応速度は、主として汚泥の脱窒菌活性と還元剤の生分解性のしやすさで決まる。還元剤として通常よく使用されるメタノールは、非常に生分解し易い物質であるため問題ないが、流入水や廃液を還元剤として使用する場合には、含まれる成分の脱窒反応速度を考慮する必要がある。
従来技術では、還元剤としての濃度はBODやCODやTOCなどで評価し、NO-Nの負荷量に基づいて理論的に脱窒必要量を計算して、その量のα倍を添加している。αは、流入水や廃液の成分などによって、実験的に決まる係数であり、流入水や廃液の性状が安定している場合には適切であるが、流入水や廃液の成分が変動する場合や汚泥の活性が変動する場合には、この値を用いることは必ずしも適正ではない。
流入水や廃液の脱窒のための還元剤濃度の指標として、従来、一般的に用いられている公定法のBODは、測定時間が5日間と長い。このため、後述するように加水分解に長い時間を要するXsや、一旦XSTOとなって体内に蓄積された栄養源も内生呼吸時の代謝によって消費され、BOD値として測定されることになる。
また、CODやTOCは、微生物反応とは異なる指標であるが、性状が安定している流入水や廃液の場合はBODと相関があるから、BODの代替指標として使用できる。しかし、流入水や廃液の成分変動が大きい場合にはBODとの相関がなくなるから、代替指標とすることは不適当である。
活性汚泥の有機汚濁物の分解除去のメカニズムに関しては諸説あるが、ここでは活性汚泥の反応現象からみて最も妥当と判断される、IWA(International Water Association)が提唱する活性汚泥モデルASM3を適用して、以下のように推定する。
同モデルでは、流入水中の生分解できる有機汚濁物を、溶解性易分解性有機物(以下、Ss)や遅分解性有機物(以下、Xs)に分類している。Xsは加水分解でSsに変換される。微生物はSsやXsを摂取して、細胞内蓄積可能物質(以下、Xsto)を合成するとしている。
これらの各過程の反応には、それぞれ特定の酵素が介在する。SsからXstoの合成は全体としては吸熱反応であり反応エネルギーを必要とするが、これには有機汚濁物の一部を酸化分解するときのエネルギーが充当される。
好気状態における活性汚泥混合液の酸素消費速度については、流入水のSsがないときはXstoを消費して、代謝により酸素を消費する速度(内生呼吸時の酸素消費速度)である。また、Ssがあるときには、この値にSs→XSTOの変換に必要なエネルギーを得るための酸素消費速度が上乗せされる。
Xsは加水分解されSs成分になってから微生物に利用される。一般に、加水分解速度は遅いから、Xsによる酸素消費速度は遅い。従って、好気状態におけるBOD分解時の酸素消費速度は、短期間では一定の内生呼吸時の酸素消費速度と、Ss→XSTOの変換に必要な酸素消費速度の合計となり、Ss成分の量により大きく変化する。
脱窒反応は、酸素を溶存酸素から得るかわりに、上述(1)式から(3)式で表現されるように硝酸イオンの酸素から得る作用であるから、脱窒反応速度は好気状態における酸素消費速度と比例関係にあると推定される。
本発明はこの推定に基づいて、活性汚泥混合液の好気状態における「活性汚泥酸素消費指標」であるASact、BODts、BODactに基づいて、脱窒工程における還元剤添加量Sを制御するものである。より詳細には、標準還元剤のASact0、BODact0、制御中における活性汚泥混合液のASact1、BODts1、BODact1、制御中における還元剤のBODts2、BODact2の中から、還元剤種類、測定段階に対応する最適な指標を用いて求めた還元剤添加量Sに基づいて、脱窒制御するものである。各指標の具体的内容及び取得方法は以下の通りである。
サンプリング活性汚泥混合液を曝気して、内生呼吸状態までもっていき、酸素の供給を断って、DOの減少速度を測定した値をASact0、ASact1とする。ASact0、ASact1のように区別したのは、標準還元剤を測定するときと、制御中に測定するときの活性汚泥混合液は異なるためである。
制御中のサンプリング活性汚泥混合液を曝気して、内生呼吸状態に至るまでの酸素消費量から内生呼吸による酸素消費量を控除した値をBODts1とする。
BODts1を、曝気開始から内生呼吸状態に至るまでの時間で除した値をBODact1として求める。
内生呼吸状態にした後、還元剤液を一定量添加し、還元剤液添加後の酸素消費速度が、還元剤液添加前の内生呼吸による酸素消費速度と等しくなるまでの時間に、サンプリング活性汚泥混合液が消費した全酸素量から、内生呼吸による酸素消費量を控除した酸素量をBODts2として求める。ここにBODts2は、(活性汚泥混合液+添加還元剤液)についての酸素消費量であるから、還元剤自体の酸素消費量(BODts2)については、活性汚泥混合液の量をM、還元剤の添加量をTとすると、
BODts2=BODts2×(M+T)/T
の計算で求めることになる。
さらに、BODts2を測定時間で除した量をBODact2として求める。
以上のような活性汚泥酸素消費指標の特性から見て、各指標とASM3による有機汚濁物分解メカニズムとは、それぞれ以下の対応関係にあると解釈できる。
ASact0、ASact1は、Xstoを消費する際の内生呼吸による酸素消費速度、
BODts1、BODact1は、活性汚泥混合液中のSs→Xstoの変換のために消費する酸素消費量と酸素消費速度、
BODts2、BODact2は、還元剤のSs成分を摂取し、Ss→Xstoの変換のために消費する酸素消費量と酸素消費速度。
各活性汚泥酸素消費指標は、内生呼吸状態の酸素消費速度が変化しない短時間(通常、1時間程度)で測定される値であるため、加水分解に時間がかかるXs成分はほとんど測定対象とはならない。また、内生呼吸状態からの変化量であるから、内生呼吸による酸素消費も控除された値である。このため、公定法のBODによる上述のような問題もない。
次に、活性汚泥酸素消費指標は、後述するように、サンプリングした活性汚泥のDO値を所定の手順に従って段階的に測定し、(17)式を用いて取得することができる。
さらにこれに限らず、例えば以下の方法によることもできる。内生呼吸状態の活性汚泥混合液を、予めDOを飽和溶存酸素濃度近くにした後、外部からの酸素の供給を断った状態で流入水を添加する。その後、DOの減少速度が内生呼吸状態の活性汚泥混合液の減少速度になるまでのDO減少量を求める。さらに、求めたDO値から内生呼吸による酸素消費量を控除することによりBODts1、BODts2が求まる。また、BODact1、BODact2は、取得したBODts1、BODts2をその間の時間で除することにより求めることができる。
活性汚泥酸素消費指標は、活性汚泥のMLSSや処理状態や流入水や廃水の成分によって大きく変化する値である。このように刻々変化する処理装置、流入水等の状況を、ほぼリアルタイムで反映できるこれらの活性汚泥酸素消費指標に基づいて脱窒制御を行うことに、本発明の意義がある。
次に(2)の発明について説明する。
本発明は、分解速度の大きいSs成分を多く含有する流入水を、還元剤として使用する場合に適した方法である。具体的には還元剤である流入水の添加量
S=a・NO-N負荷量/BODts2 (A)式
により求められるS値を用いて制御するものである。
なお、(A)式には直接ASactは表れないが、後述のようにBODts2を求めるに際してASact値が必要となる。
1mg/lのNO3-Nの還元に必要なBOD量は、完全酸化された場合の理論値として2.86mg/lであり、そのBOD供給源は内生呼吸による酸素消費及びBODts負荷(S・BODts2)である。
BODact2が内生呼吸による酸素消費速度BODact1に比べて非常に大きく、脱窒工程の反応時間が比較的短い場合には、脱窒工程において還元剤として消費される有機物量は、内生呼吸による酸素消費分の寄与は相対的に小さく、ほとんどBODts負荷量として表される量の寄与となる。従って、還元剤の添加量Sは(A)式のように、NO-N負荷量/BODts2に比例すると見做すことができる。
aは、上述理論値を中心値として、脱窒工程の反応時間(反応時間が短ければ、分解性の遅いSsの一部が利用できない、また、反応時間が長ければXsやXSTOの一部も還元剤として利用される)、目的とする脱窒除去率、装置上の脱窒効率などを考慮して、実験から求めることができる。
BODact2がBODact1より非常に大きい活性汚泥は、化学廃水の活性汚泥などに多くみられる。この場合には、後述の(3)のようなやや複雑な制御を行わずとも、(A)式により脱窒工程に必要な還元剤を適切に制御できる。
また、NO-N負荷量に対して、還元剤としての流入水の量が十分でない場合は、廃液や特定の薬品などの還元剤と併用できることはいうまでもない。その場合、NO-N負荷量から廃液や特定の薬品などで還元されるNO-N量を控除したNO-N負荷量に対して、(A)式を適用することができる。
次に、(3)の発明について説明する。
本発明は、脱窒反応速度を加味する分、(A)式より汎用性があり精度の高い還元剤量制御といえる。特に、脱窒工程に流入する活性汚泥混合液のBOD処理がほとんど終了している場合に有効である。
まず、標準還元剤のBODact0と、標準還元剤による脱窒反応速度R1の関係を求める。
予め、生物的脱窒装置からサンプリングした活性汚泥混合液を内生呼吸状態にして、そのときの酸素消費速度(ASact0)を測定する。また内生呼吸状態の活性汚泥混合液を用いて、標準還元剤の平均酸素消費速度(BODact0)を測定する。
同時に、内生呼吸状態の活性汚泥混合液を嫌気状態にして、還元剤を添加しない場合の時間当たりのNO-N減少量から、脱窒反応速度R0を測定する。さらに、還元剤を添加して脱窒反応速度R1'を測定し、R1'からR0を控除した還元剤による実質脱窒反応速度R1(=R1'-R0)を求める。
求めたBODact0、ASact0、R1の値はコンピュータなどに保存しておく。
制御中の生物的脱窒装置に供給する還元剤の添加量を制御する場合、まず、脱窒工程流入前または脱窒工程流出後の活性汚泥混合液をサンプリングして、内生呼吸状態における酸素消費速度ASact値(ASact1)、及び、流入水または廃液を還元剤とするときのBODts値(BODts2)、BODact値(BODact2)を取得する。
次に、制御中の活性汚泥混合液の内生呼吸による脱窒反応速度R2は、好気状態における内生呼吸時の酸素消費速度と比例関係にあるとして、
R2=R0×ASact1/ASact0
により求める。
さらに、還元剤による脱窒反応速度R3とし、還元剤による脱窒反応速度が還元剤の酸素消費速度と比例関係にあると見做して、
R3=R1×BODact2/BODact0
により求める。
脱窒工程の平均滞留時間をHとすると、還元剤による可能脱窒反応量Wr0は、BODts2≦k・R3×Hのときは、BODts2の量が律速となるので、Wr0=BODts2/kとなり、BODts2>k・R3×Hのときは、反応速度が律速となるので、Wr0=R3×Hとなる。 脱窒工程の処理量をFとし、脱窒工程に流入する除去すべきNO-N量をWとすれば、還元剤による必要脱窒反応量(Wrとする)は、
W≦(R2×H+Wr0)のときは、Wr0はWrの制限とはならないので
Wr=W−R2×H
W>(R2×H+Wr0)のときは、Wr0がWrの上限となるので
Wr=Wr0
になる。
脱窒反応量と完全酸化の場合のBODとの関係は、前述のように理論的に求められているので、還元剤の消費されるBOD量は、(A)式の係数aと同様、理論値をベースに処理条件で微調整するか、実験的に求められる係数kを用いて、
BOD量=k・Wr
の関係から求める。ここで求めたBOD量は、内生呼吸による酸素消費量が除かれているから、還元剤の添加量Sを、
S=F×BOD量/BODts2
の関係から求める。
以上より、脱窒工程に還元剤として添加する流入水または廃液の量を求めたSに制御することにより、脱窒工程で必要とするBOD量を、過不足なく制御できる。
なお、流入水または廃液の量が不足してS量を供給できない場合は、特定の薬品などの還元剤と併用することができることはいうまでもない。この場合、脱窒反応量から特定の薬品などで還元される脱窒反応量を控除した脱窒反応量に対し、Sを計算すればよい。
さらに、(4)の発明について説明する。
本発明は、負荷変動などにより、脱窒工程に流入する活性汚泥混合液のBODが未処理の状態で残っている場合であっても、添加還元剤量を適切に制御できる発明に係る。
(3)の発明と同様に、まず成分組成が一定の還元剤のBODact0と、該還元剤による脱窒反応速度R1の関係を求める。また、該還元剤のBODact0を測定し、さらに還元剤による脱窒反応速度R1を求める。BODact0、ASact0、R1の値はコンピュータなどに保存しておく。
制御中の生物的脱窒装置の脱窒工程に供給する還元剤の添加量を制御する場合、まず脱窒工程に流入する活性汚泥混合液をサンプリングして、該活性汚泥混合液のASact1、BODts1、BODact1、流入水または廃液を還元剤とするときのBODts2、BODact2を、それぞれ上述の方法で測定する。
次に、内生呼吸による脱窒反応速度R2を、(3)の発明と同様に、
R2=R0×ASact1/ASact0 ・・・・(4・1)
の関係から求める。
次いで、内生呼吸以外の酸素消費速度による脱窒反応速度R2actを、
R2act=R1×BODact1/BODact0 ・・・・(4・2)
の関係から求める。
次いで、還元剤による脱窒反応速度R3を、
R3=R1×BODact2/BODact0
の関係から求める。
脱窒工程の平均滞留時間をHとし、脱窒工程の処理量をFとするとき、内生呼吸以外の酸素消費速度による脱窒反応量W0は、脱窒反応速度からはR2act×Hが最大となる。その反応に必要なBOD量は、a・R2act×Hであり、このBOD量はBODts1から供給されるので、
kを、NO-Nを還元するための当量関係にある酸素量の換算係数として、
BODts1≦k・R2act×Hのときは、
W0=BODts1/k
BODts1>k・R2act×Hのときは、
W0=R2act×H
となる。
還元剤による可能脱窒反応量Wr0は、BODts2≦k・R3×Hのときは、BODts2の量が律速となるので、Wr0=BODts2/kとなり、BODts2>k・R3×Hのときは、反応速度が律速となるので、Wr0=R3×Hとなる。
kは、NO-Nを還元するための当量関係にある酸素量の比をベースに、硝酸性窒素と亜硝酸性窒素の構成比などを考慮して実験的に求める係数である。
脱窒工程で除去すべきNO-N量をWとするとき、還元剤による必要脱窒反応量Wrは、
W≦(R2×H+W0+Wr0)のときは、Wr0はWrの制限とはならないので
Wr=W−(R2×H+W0)
W>(R2×H+W0+Wr0)のときは、Wr0がWrの上限となるので
Wr=Wr0
となる。
脱窒反応量から還元剤の消費されるBOD量及び還元剤の添加量Sを、それぞれ、
BOD量=k・Wr
S=F×BOD量/BODts2
の関係から求める。
脱窒工程に還元剤として添加する流入水または廃液の量を、上式で求めたSに制御することで、脱窒工程で必要とするBOD量を、過不足なく制御できる。
流入水または廃液の量が不足してS量を供給できない場合は、特定の薬品などを還元剤と併用することができることはいうまでもない。この場合、脱窒反応量から特定の薬品などで還元される脱窒反応量を控除した脱窒反応量に対し、Sを計算すればよい。
標準還元剤としては、BODact0とBODact1やBODact2との比例関係を確保する観点から、実際に還元剤として使用する廃液を代表する廃液が好ましい。具体的には、流入水が、単純な成分や比較的分解性のよい成分で構成される場合には、標準還元剤として流入水中の主成分やメタノールなどの分解性のよい薬液などが適用できる。
また、流入水がいろいろな成分で構成され、酸素消費速度の遅い成分を多く含む廃水の場合には、標準還元剤としてメタノールなどの分解性のよい薬液を選択すると、BODact1やBODact2の値が酸素消費速度の遅い成分に大きく影響され、BODact0との相関性に誤差が生じる。従って、このような流入水を還元剤とする場合には、標準還元剤として流入水と成分が略同一の模擬廃水を用いるのが適当である。
以上、活性汚泥モデルASM3を前提として、脱窒工程における本発明の作用について説明したが、BODts値等が主として流入水中の溶解性易分解性有機物の分解に必要な酸素消費量の指標であることに鑑みれば、ASM3以外の微生物処理メカニズム、理論を前提とする場合についても、本発明による活性汚泥酸素消費指標に基づく処理制御の優位性は損なわれない。
本発明方法により、脱窒工程への還元剤量を適正に制御可能となり、NO-Nの除去や脱窒工程処理水の未処理のBOD負荷の軽減や、脱窒還元剤費用の節減などの効果がある。
本発明の一実施形態に係る生物的脱窒装置1を説明する図である。 還元剤添加量制御のための測定装置10を説明する図である。 活性汚泥酸素消費指標の測定操作フローを説明する図である。
以下、図1、2を参照して、本発明に係る活性汚泥酸素消費指標取得のための測定装置、及び、その具体的取得方法についてさらに詳細に説明する。なお、本発明の範囲は特許請求の範囲記載のものであって、以下の各実施形態に限定されないことはいうまでもない。
(生物的脱窒装置全体の構成)
図1を参照して、本実施形態に係る生物的脱窒装置1は、流入水のBODを除去し窒素分をNO-Nに酸化する好気性処理を行う硝化槽2と、NO-Nを嫌気状態で窒素に還元する脱窒槽3と、脱窒槽の処理水中の残BODを好気性処理する再曝気槽4と、活性汚泥混合液を固液分離する沈殿槽5と、沈殿槽5で沈殿した活性汚泥を硝化槽2に戻す返送汚泥ライン5aと、を備えて構成される。
生物的脱窒装置1には、還元剤の添加流量調節装置と、脱窒槽3入口の活性汚泥混合液をサンプリングするポンプ7または、脱窒槽3出口の活性汚泥混合液をサンプリングするポンプ8と、還元剤をサンプリングするポンプ9を備え、サンプリングした活性汚泥混合液を使って活性汚泥酸素消費指標を測定し、測定結果に基づいて脱窒槽3に供給する還元剤添加量を制御可能とする測定装置10と、が付設されている。ポンプ8は、再曝気槽4の出口に設置することもできる。
(測定装置の構成)
図2を参照して、本実施形態に係る測定装置10は、測定用活性汚泥混合液(以下、適宜、混合液と略記)を貯留する汚泥タンク13と、汚泥タンク13内の混合液を一定レベルに維持するオーバーフロー管14と、汚泥タンク13内に浸漬設置される曝気容器15と、曝気容器15内に汚泥混合液を導入・排出するための細管16と、大気開放弁17及び加圧コンプレッサー18と、汚泥タンク13外には混合液の溶存酸素濃度(DO)を測定するためのDO計電極19、DO測定容器20、循環ポンプ21、ラインミキサー22、曝気コンプレッサー23及びこれらを結ぶ接続配管と、還元剤を添加する添加ポンプ25、を主要構成として備えている。
曝気容器15は、接続配管を介してDO計電極19を格納するDO測定容器20を経由して、循環ポンプ21に接続されている。さらに、循環ポンプ21からラインミキサー22を経由して曝気容器15に戻るように配管構成されている。かかる構成により混合液循環路24が形成され、曝気容器15と測定容器20間の活性汚泥混合液循環を可能としている。
また必要時には、ラインミキサー22の上流側に配設される曝気コンプレッサー23により曝気空気が混入され、活性汚泥混合液を曝気可能としている。
曝気容器15には、汚泥タンク13内の活性汚泥混合液を曝気容器15内に導入・排出可能にする螺旋形状の細管16が付設されている。これにより、曝気容器15内の混合液を排出する際には、大気開放弁17を閉じ、加圧コンプレッサー18を稼働して容器内を加圧して、曝気容器15内から細管16を経由して汚泥タンク13に混合液を排出することができる。
また、混合液を導入する際には、空になった曝気容器15の大気開放弁17を開けて、汚泥タンク13の液レベルと曝気容器15内の液レベルの差圧により、汚泥タンク13から細管16を経由して曝気容器15内に混合液を導入することができる。
また曝気容器15には、還元剤を一定量注入できるように添加ポンプ25と、が付設されている。
なお、曝気容器15の計測操作、DO計19によるデータ計測を含め、測定装置10における測定制御はコンピュータ(図示せず)により全て管理されている。
(DO測定方法)
次に、測定装置10を用いたDO値計測は、以下の手順に従い行われる。脱窒槽3入口または脱窒槽3出口(図1参照)から曝気槽内の活性汚泥混合液を汲み上げ、汚泥タンク13内にオーバーフロー管14で一定レベルまで充満する。同時に、汚泥タンク13内に常時新鮮な活性汚泥混合液を循環させておく。また、新鮮な還元剤を曝気容器15に添加できるようにしておく。
混合液を導入する際には、空になった曝気容器15の大気開放弁17を開けて、汚泥タンク13の液レベルと曝気容器15内の液レベルの差圧により、汚泥タンク13から細管16を経由して曝気容器15内に混合液を導入する。次いで、混合液を混合液循環路24内に循環させ、曝気コンプレッサー23により曝気空気を混入して、循環路24内の混合液を曝気する。なお、混合液循環時における汚泥タンク13側への流出は、細管16の配管抵抗により無視できる。
曝気された活性汚泥混合液は曝気容器15に戻り、ここで気泡分離されてDO測定容器20に送られ、DO計電極19により活性汚泥混合液のDO値が測定される。
(DO値変測定に基づくBODts演算)
測定装置10を用いたDO値測定に基づくBODts演算の理論的根拠は、以下の通りである。なお、以下の内容は、本願発明者によって特開2001−235462等に開示されている。
活性汚泥混合液を曝気していくときの、混合液のDO値変化は(7)式で表される。なお本項では、煩雑さ回避のため、ASact、BODts、BODactについて、ASact1等の添え字1を省略して表記している。
Figure 0005801506
但し、DOsat:飽和溶存酸素濃度[mg/l]
DO:曝気槽内溶存酸素濃度[mg/l]
La:総括物質移動係数[1/hr]
ASact:活性汚泥が内生呼吸状態で使う酸素消費速度[mg/l/hr]
BODact:活性汚泥がBOD成分の分解で使う酸素消費速度 [mg/l/hr]

内生呼吸状態ではBODact=0、ASact=一定であるから、(7)式は積分でき、(8)式となる。
Figure 0005801506
ここに、αは(9)式で示される値である。また、DO0は曝気を開始したときの初期値である。
Figure 0005801506
(8)式は、曝気経過時間tが十分大きければ右辺第2項を無視でき、
DO=α
の値で一定となる。この値をDOhfと表せば、DOhfはBOD成分が殆ど0mg/lの混合液を曝気した場合の、最終的に到達するDO値(hf:high final)と定義できる。以上より、(8)式は、
Figure 0005801506
となる。
内生呼吸後の混合液に還元剤を添加すると、還元剤のBOD成分が分解していく過程で酸素を消費するため、混合液のDO値(DO)は、BODの消費とともに(7)式を書き換えた(11)式に従い変化する。
Figure 0005801506
一方、同じ初期値DO0を曝気した内生呼吸状態の活性汚泥混合液のDO値(DO)は(12)式に従い変化する。
Figure 0005801506
(12)式から(11)式を引くと、(13)式となり、変数を(14)式のようにΔDOとすることにより、(15)式となる。
Figure 0005801506
ΔDO=DO1−DO2 (14)式
とおくと、(13)式は、
Figure 0005801506
(15)式の両辺を積分すると(16)式となる。
Figure 0005801506
(16)式の左辺は、1,2の曲線ともDO 0からDOhfまでの積分であり、ともにΔDO=0であるから
Figure 0005801506
となる。(16)式の右辺第1項の積分はDOとDOの曲線で囲まれた面積Sを表す(後述の図3参照)。また、右辺第2項は消費速度×時間の積分であるから、t時間でのBOD成分の分解に要する酸素消費量となる。この量をBODtsで表せば、(16)式は(17)式となり、DOとDOの曲線で囲まれた面積SにKLaをかけた値が、BOD成分分解に要する酸素消費量になる。この値は、測定汚泥の添加前の酸素消費速度と添加後の酸素消費速度とが等しくなる測定時間tまでに、測定汚泥が消費した全酸素量から、内生呼吸による酸素消費量を控除した酸素量になる。
Figure 0005801506
また、BODts量に対する酸素消費速度BODact値は、BODtsを測定時間tで除した値であり、(18)式で示される。
BODact=BODts/t (18)式
(具体的計測方法)
上述の理論に基づく、測定装置10を用いた活性汚泥酸素消費指標の具体的取得方法について、以下に説明する。図3は、本実施形態に係る測定操作フローとDO値推移の関係を示す図である。
測定開始後、まず曝気容器15に導入した混合液を循環するとともに、曝気コンプレッサー23とラインミキサー22で混合液を曝気し、内生呼吸状態までもっていく(S101)。このときのDO変化(inDO曲線とする)は初期値DO0の値から、活性汚泥混合液中の未処理のBODを分解しながら最終的に内生呼吸による酸素消費速度と曝気による酸素供給速度がバランスするDOhfに向かって上昇していく変化となる。一方、内生呼吸状態の活性汚泥混合液を、初期値DO0から曝気したときのDO変化は(10)式で表される。この曲線とinDO曲線で囲まれた面積Sをコンピュータで計算し、(17)式により求めたKLa×SがBODts1となる。またBODts1をDOhfになるまでの曝気時間で除した値がBODact1となる。
内生呼吸状態に至ったか否かは、測定容器20のDO計電極19の測定値をコンピュータに取り込み、酸素消費速度が一定になることなどで判定する。
内生呼吸状態になったら曝気を停止し、循環のみの状態でDO計電極19でDOの低下速度を測定し、内生呼吸状態の酸素消費速度ASact1を取得する(S102)。曝気容器15は完全な密閉系ではないので、ASact1には液表面からのわずかの酸素の溶け込みによる誤差が生じるが、コンピュータで十分補正可能な範囲である。
ASact1を取得後、混合液を再度曝気コンプレッサー23とラインミキサー22で曝気すると、混合液のDO値は(9)式にしたがって上昇していくので(S103)、実測のDO変化値と(9)式のDO変化値とが合致するようなKLaを、反復法により求める。
KLa値取得後は、混合液は内生呼吸による酸素消費速度と曝気コンプレッサー23とラインミキサー22による酸素供給速度でバランスするDOhfに戻るので、還元剤を添加ポンプ25で所定量添加する(S104)。
還元剤のBOD成分分解のために酸素が消費され、DO値は低下する(S105)。分解が終わるとDO値はDOhfに戻り(S106)、(11)式で表されるDO変化となる。
一方、還元剤を添加しない場合のDO変化は(12)式で表されるDOの変化となる(S107)。この場合、初期値DOhfからスタートするので、DO=DOhfの直線となる。DOとDOで囲まれる面積Sをコンピュータで計算し、(17)式によりKLa×Sが還元剤が添加されたあとの活性汚泥混合液のBODts値(BODts2)が求まる。
さらに還元剤自体のBODts値(BODts2)を求めるためには、以下の換算が必要である。すなわち、サンプリング活性汚泥混合液量をMとし、還元剤添加量をTとして、
BODts2=BODts2×(M+T)/T
の計算で求められる。
さらに、(18)式によりBODact2が求められる。
測定後は、容器内の活性汚泥混合液を汚泥タンク13に排出し、混合液循環路24内を洗浄したのち、再び汚泥タンク13から新鮮な活性汚泥混合液をサンプリングし、測定を繰り返す。
以上のようにして求めた活性汚泥酸素消費指標を使って、脱窒工程に供給する還元剤液量を上述(2)〜(4)の各発明方法に従い供給することにより、NO-Nに対応した適正な還元剤の制御が可能となる。
以下、本発明に係る活性汚泥酸素消費指標を、還元剤添加量の制御指標に用いることの妥当性を、実施例に即して説明する。
<実施例1>
本実施例は、いろいろな基質を処理する活性汚泥混合液を使って測定したBODts値の測定例を、既存の諸水質指標と比較した例である。
メタノール、グルコースはSs成分、ペプトンはSs成分とXs成分の混合物、また溶性デンプンは大部分がXs成分であり、さらにSs成分であっても成分毎にXSTOへの変換率が異なる。
表1に示すように、COD等、他の指標では識別できない基質の違いが、BODts値では顕著に表れていることが分かる。
Figure 0005801506
<実施例2>
本実施例は、(2)、(3)、(4)の発明の妥当性評価に関する。脱窒工程の平均滞留時間が短く、還元剤の分解速度が大きい場合、還元剤のBODts値と脱窒量が概略比例することを示す例である。
表2は、メタノールを主成分とする流入水を処理する活性汚泥混合液(内生呼吸による酸素消費速度 10.8[mg/l/hr])100ccを嫌気状態にして、還元剤として流入水を添加したときの、1時間に脱窒されるNO3-N量を測定した結果を示したものである。
同表(5)より、添加BODts量が少ない場合には、内生呼吸による脱窒NO3-N量の寄与により、(添加BODts量/脱窒NO3-N量)の値はやや小さくなるが(No.1)、脱窒NO3-N量が多い場合にはほぼ一定値であり(No.2, No.3)、添加BODts量と脱窒NO3-N量が比例関係にあることがわかる。
脱窒が必要なNO3-N濃度は、一般的には30mg/l程度以上であり、本実施例による脱窒NO3-N量は2.0[mg]以上であるから、実用上、(A)式によりSを求めることが適当であることが示された。
Figure 0005801506
<実施例3>
本実施例は、(3)、(4)の発明の妥当性評価に関する。
表3は、活性汚泥混合液の内生呼吸時における酸素消費速度ASact値(ASact0、ASact1)と、脱窒反応速度の関係を調べたものである。ASact値を変化させ、還元剤を添加しないで一定時間嫌気状態にして、脱窒量から脱窒反応速度を測定した。同表(3)より、ASact値と脱窒反応速度とが比例関係にあることが分かる。
ASact値はMLSSと強い関連性があり、本実施例ではMLSSを変えることにより、ASact値を変化させている。
Figure 0005801506
表4は、各Noの流入水を処理している活性汚泥で、流入水を還元剤として脱窒工程に添加したときの、BODact値(BODact2)と、内生呼吸による脱窒速度を控除した脱窒反応速度との関係を調べたものである。同表(3)より、BODact2と脱窒反応速度とが、概略比例関係にあることが分かる。
Figure 0005801506
表5は、表4と同様に各Noの流入水を還元剤として脱窒工程に添加したときの、BODts量(BODts2)と、内生呼吸による脱窒量を控除した3時間の脱窒時間で脱窒される実質脱窒量((2))と、の関係を調べたものである。同表(3)より、BODts量と実質脱窒量とが概略比例関係にあることが分かる。
Figure 0005801506
<実施例4>
本実施例は、(2)の発明の具体的な適用事例に関する。
表6は、表5のメタノールとグルコースを成分とする流入水を処理する生物的脱窒装置において、脱窒工程流入前の活性汚泥混合液をサンプリングして、還元剤である流入水のBODts値(BODts2)とBODact値(BODact2)を測定し、換算計数aを2.86として、(A)式による計算を行って、還元剤添加量を計算したものである。ここに、脱窒工程入口のNOx-N濃度は38[mg/l]、脱窒工程の処理量Fは0.37[l/hr]、脱窒反応時時間は3.0[hr]である。
なお、本実施例では、脱窒工程に流入する前の活性汚泥混合液は、BOD処理がほとんど終了している状態である。
Figure 0005801506
表7、8は、表6で求めた還元剤添加量Sに対し、還元剤添加量を変えて、脱窒工程でのNOx-Nの除去とBODの結果を調べたものである。表7、8に示すように、表6による還元剤添加量によりNOx-Nを適切に除去でき、しかも脱窒工程出口におけるBOD流出量が少ないことが判る。
Figure 0005801506
Figure 0005801506
<実施例5>
本実施例は、(3)の発明の具体的な適用事例に関する。
表9は、図1に示す生物的脱窒装置を用い、標準還元剤としてメタノール液を使用した脱窒工程において、(3-1)〜(3-4)に従い、酸素消費速度指数ASact値(ASact0)、BODact値(BODact0)及び脱窒反応速度R0 、R1を求めた結果を示したものである。
Figure 0005801506
表10は、表9のグルコース1000[mg/l]を成分とする流入水を処理する生物的脱窒装置で、(3-2)〜(3-6)に従い還元剤の添加量を計算したものである。脱窒工程入口のNOx-N濃度は38[mg/l]、脱窒工程の処理量Fは0.37[l/hr]、脱窒反応時間は3.0[hr]である。また、換算計数kは2.86を用いた。
なお、脱窒工程に流入する前の活性汚泥混合液のBODts値(BODts1)はほとんど0であり、該活性汚泥混合液はBOD処理がほとんど終了している状態である。
Figure 0005801506
表11は、還元剤添加量を変えて、脱窒工程でのNOx-Nの除去とBODの結果を調べたものである。同表より、表10で求めた還元剤添加量により、NOx-Nを適切に除去できており、しかも脱窒工程からのBOD流出量も少ないことが分かる。

Figure 0005801506
<実施例
本実施例は、(4)の発明の具体的な適用事例に関する。
実施例と同じ活性汚泥混合液を使い、標準還元剤としてメタノール液を使用した場合の測定結果である。還元剤を添加しない場合の脱窒反応速度R0、還元剤を添加した脱窒反応速度R1は、表と同じである。
表12は、表9のグルコース1000[mg/l]を成分とする流入水を処理する生物的脱窒装置で、(3)の発明による計算を行って脱窒工程に添加する還元剤の量を計算したものである。実施例と同じく、標準還元剤としてメタノール液を使用し、AScat0、BODact0は表9の値であり、脱窒工程入口のNOx-N濃度は38[mg/l]、脱窒工程の処理量Fは0.37[l/hr]、反応時間は3.0[hr]である。また、換算計数kは2.86を用いた。
なお、硝化槽の滞留時間を短くして、脱窒工程に流入する前の活性汚泥混合液のBODts値(BODts1)は35[mg/l]で未処理のBODが多い状態であることが実施例と異なる。
Figure 0005801506
表13は、還元剤添加量を変えて、脱窒工程でのNOx-Nの除去とBODの結果を調べたものである。同表に示すように、表9で計算した還元剤添加量により、NOx-Nを適切に除去できており、しかも脱窒工程からのBOD流出量が少ないことが判る。
Figure 0005801506
本発明は、図1の単槽汚泥システム、硝化液循環システム、回分式脱窒システムなど、いろいろな形式の生物的脱窒方法の脱窒工程への還元剤添加量の制御に広く適用可能である。
1・・・・生物学的脱窒装置
2・・・・硝化槽
3・・・・脱窒槽
4・・・・再曝気槽
5・・・・沈殿槽
5a・・・・返送汚泥ライン
6・・・・還元剤流量調節装置
7・・・・活性汚泥混合液サンプリング装置
8・・・・活性汚泥混合液サンプリング装置
9・・・・還元剤サンプリング装置
10・・・活性汚泥酸素消費指標測定装置
11・・・・活性汚泥混合液サンプリングポンプ
13・・・・汚泥タンク
14・・・・オーバーフロー管
15・・・・曝気容器
16・・・・細管
17・・・・大気開放弁
18・・・・加圧コンプレッサー
19・・・・DO計電極
20・・・・DO測定容器
21・・・・循環ポンプ
22・・・ラインミキサー
23・・・曝気コンプレッサー
24・・・混合液循環部
25・・・還元剤添加ポンプ

Claims (3)

  1. 廃水を硝化工程で酸化処理して、廃水中の窒素成分を硝酸性窒素又は亜硝酸性窒素(以下、NO-N)に変換し、脱窒工程において酸素の供給を断って、水素供与体として有機炭素源(以下、還元剤)を添加して、液中のNO-Nを活性汚泥により窒素に還元して除去する生物的脱窒装置において、
    嫌気状態における脱窒反応速度が、好気状態における活性汚泥の酸素消費速度と比例関係にあると見做して、
    装置内の活性汚泥混合液をサンプリングして求めた、活性汚泥混合液又は還元剤の酸素消費指標であるASact、BODts、BODactに基づいて、必要とする還元剤添加量Sを求め、
    該還元剤添加量Sに従い、脱窒工程における還元剤添加量制御を行うものであり、かつ
    流入水または廃液を還元剤とするときのBODts値(BODts2)を測定し、
    還元剤添加量Sを、次式(A)により求めることを特徴とする生物的脱窒処理装置の運転方法。
    S=a・NO -N負荷量/BODts2・・・・・(A)
    ここに、
    NO -N負荷量=脱窒工程に流入するNO -N濃度×流入量、
    aはNO -Nを還元するための当量関係にある酸素量の比をベースに実験的に求める係数。
    但し、ASactは、活性汚泥混合液の内生呼吸状態における酸素消費速度、
    BODtsは、活性汚泥混合液中又は還元剤液中の溶解性易分解性有機物の分解に要する酸素消費量の指標であり、内生呼吸状態の酸素消費速度が変化しない短時間で測定され、かつ、内生呼吸状態からの変化量であって、
    サンプリング活性汚泥混合液を曝気して内生呼吸状態になるまでの全酸素消費量から内生呼吸による酸素消費量を控除した値(BODts1)、又は、
    サンプリング活性汚泥混合液を曝気して内生呼吸状態にしたのち、還元剤液を一定量添加し、還元剤液添加後の酸素消費速度が、還元剤液添加前の内生呼吸による酸素消費速度と等しくなるまでの測定時間内に、還元剤液添加後の活性汚泥混合液が消費した全酸素量から、内生呼吸による酸素消費量を控除した酸素消費量を求め、
    活性汚泥混合液量と添加還元剤量の関係に基づいて、還元剤の酸素消費量に換算した値(所定の標準還元剤の場合:BODts0、流入水または廃液を還元剤とする場合:BODts2)、
    BODactは、活性汚泥混合液中および還元剤液中の溶解性易分解性有機物の分解の際の酸素消費速度の指標であって、BODts値を測定時間で除した値。
  2. 請求項1において、
    「流入水または廃液を還元剤とするときのBODts値(BODts2)を測定し、
    還元剤添加量Sを、次式(A)により求めることを特徴とする生物的脱窒処理装置の運転方法。
    S=a・NO -N負荷量/BODts2・・・・・(A)
    ここに、
    NO -N負荷量=脱窒工程に流入するNO -N濃度×流入量、
    aはNO -Nを還元するための当量関係にある酸素量の比をベースに実験的に求める係数。」に替えて、
    流入水または廃液を還元剤として用いる場合の還元剤添加量Sを、以下により求めることを特徴とする生物学的窒素除去装置の運転方法。
    (3-1)予め、装置内でサンプリングした活性汚泥混合液のASact値(ASact0とする)と、前記標準還元剤のBODact値(BODact0とする)と、内生呼吸状態の該活性汚泥混合液を嫌気状態にして測定した脱窒反応速度(R0とする)と、標準還元剤を添加したときの脱窒反応速度からR0を控除した脱窒反応速度(R1とする)と、を測定しておき、
    (3-2)制御中の脱窒工程に流入前または流出後の活性汚泥混合液をサンプリングして、該活性汚泥混合液のASact値(ASact1とする)と、還元剤である流入水または廃液のBODts値(BODts2)及びBODact値(BODact2とする)と、を測定し、
    (3-3)内生呼吸による脱窒反応速度R2を、
    R2=R0×ASact1/ASact0
    の関係から求め、
    (3-4)還元剤による脱窒反応速度R3を、
    R3=R1×BODact2/BODact0
    の関係から求め、
    (3-5)脱窒工程の平均滞留時間をHとし、還元剤による可能脱窒反応量Wr0を、
    BODts2≦k・R3×Hのときは、
    Wr0=BODts2/k
    BODts2>k・R3×Hのときは、
    Wr0=R3×H
    の関係から求め、
    (3-6)脱窒工程の処理量をFとし、脱窒工程で除去すべきNO-N量をWとするとき、還元剤による必要脱窒反応量Wrを、
    W<(R2×H+Wr0)のときは、
    Wr=(W−R2×H)
    W≧((R2×H+Wr0)のときは、
    Wr=Wr0
    の関係から求め、
    (3-7)還元剤の添加量Sを、
    S=k・F×Wr/BODts2
    の関係から求める。
    但し、kは、NO-Nを還元するための当量関係にある酸素量の理論的または実験的に求めた換算係数。」であることを特徴とする生物学的窒素除去装置の運転方法。
  3. 請求項1において、
    「流入水または廃液を還元剤とするときのBODts値(BODts2)を測定し、
    還元剤添加量Sを、次式(A)により求めることを特徴とする生物的脱窒処理装置の運転方法。
    S=a・NO -N負荷量/BODts2・・・・・(A)
    ここに、
    NO -N負荷量=脱窒工程に流入するNO -N濃度×流入量、
    aはNO -Nを還元するための当量関係にある酸素量の比をベースに実験的に求める係数。」に替えて、
    流入水または廃液を還元剤として用いる場合の還元剤添加量Sを、以下により求めることを特徴とする生物学的窒素除去装置の運転方法。
    (4-1)予め、生物的脱窒装置からサンプリングした活性汚泥混合液によるASact値(ASact0とする)と、前記標準還元剤のBODact値(BODact0とする)と、内生呼吸状態の該活性汚泥混合液を嫌気状態にして測定した脱窒反応速度(R0)と、該還元剤を添加したときの脱窒反応速度からR0を控除した脱窒反応速度(R1)と、を測定しておき、
    (4-2)制御中の脱窒工程に流入する前の活性汚泥混合液をサンプリングして、該活性汚泥混合液のASact値(ASact1とする)と、BODts値(BODts1)と、BODact(BODact1)と、還元剤である流入水または廃液のBODts値(BODts2)及びBODact値(BODact2)と、を測定し、
    (4-3)内生呼吸による脱窒反応速度R2を、
    R2=R0×ASact1/ASact0
    の関係から求め、
    (4-4)内生呼吸以外の酸素消費速度による脱窒反応速度R2actを、
    R2act=R1×BODact1/BODact0
    の関係から求め、
    (4-5)還元剤による脱窒反応速度R3を、
    R3=R1×BODact2/BODact0
    の関係から求め、
    (4-6)脱窒工程の平均滞留時間をHとし、脱窒工程の処理量をFとするとき、kをNO-Nを還元するための当量関係にある酸素量の理論的または実験的に求めた換算係数として、内生呼吸以外の酸素消費速度による脱窒反応量W0を、
    BODts1≦k・R2act×Hのときは、
    W0=BODts1/k
    BODts1>k・R2act×Hのときは、
    W0=R2act×H
    の関係から求め、
    (4-7)還元剤による可能脱窒反応量Wr0を、
    BODts2≦k・R3×Hのときは、
    Wr0=BODts2/k
    BODts2>k・R3×Hのときは、
    Wr0=R3×H
    の関係から求め、
    (4-8)脱窒工程で除去すべきNO-N量をWとするとき、
    還元剤による必要脱窒反応量Wrを、
    W<(R2×H+W0+Wr0)のときは、
    Wr=W−(R2×H+W0)
    W≧(R2×H+W0+Wr0)のときは、
    Wr=Wr0
    の関係から求め、
    (4-9)脱窒反応量から還元剤の添加量Sを、
    S=k・F×Wr/BODts2
    の関係から求める。」であることを特徴とする生物学的窒素除去装置の運転方法。
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