JP2016007577A - 汚泥転換率取得方法および測定装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】廃水の種類に関らず汚泥増殖量を推定可能とする汚泥転換率の計算方法、および、そのための測定装置を提供する。
【解決手段】易分解性有機物Ssについて、BODとして測定されるSs_BODと、BODとして測定されないSs_nonBODと、の2物質に分類して増殖メカニズムを考える。また、曝気槽における酸素必要量の計算に際して実際の活性汚泥の状態変化を反映したファクターを用いて得られるBODSRTを用いる。さらに、測定される内生呼吸状態での酸素消費速度ASactには汚泥増殖に比例する酸素消費速度部分と、蓄積無害物質XSTO_Yを細胞貯蔵有機物XSTOに変換するための酸素消費速度部分が含まれ、後者の速度を平均分解速度BODactと比例するとして算出し、AScatから差し引くことで、汚泥増殖に比例する酸素消費速度部分を算出して汚泥転換率を求める。
【選択図】図1

Description

本発明は活性汚泥における汚泥の増殖計算に必要な汚泥転換率を取得する技術に関する。
微生物を利用する工学的分野は多岐に亘っているが、代表的な分野として廃水処理があり、なかでも活性汚泥処理法は最も汎用的な廃水処理法である。
活性汚泥処理法は、曝気槽のなかに大量の微生物(以下、汚泥)を保有し、廃水中の汚濁有機物を主として微生物により摂取・分解させて廃水を浄化する方法である。廃水浄化に伴い増殖した微生物は、余剰汚泥として系外に排出される。
活性汚泥の汚泥生成量は、技術文献1に代表される多くの活性汚泥教材において、(1)式で表されている。
汚泥生成量=C・Lr−d・Sa (1)式
Lr:除去BOD(kg/d)
C:除去BODの汚泥への転換率
Sa:エアレーションタンク内汚泥量(Kg)
d:内生呼吸による汚泥の自己酸化率
(1)式で使用される係数のうち、Cは汚泥転換率と呼ばれ、一般的には0.5〜0.8とされている。また係数dは一般的には0.01〜0.07とされており、いずれも大きな幅をもっている。
これらの数値は、流入水(廃水)の基質やBOD負荷状態や運転条件により影響され、活性汚泥ごとに除去BOD量に対する汚泥生成量の実績から決定されており、理論的に導かれているものでない。なお、C:0.5〜0.8、d:0.01〜0.07は、主として下水の活性汚泥の実績から求められた値である。
活性汚泥の状態を定量的に解析した理論として、IWA(International Water Association)が提唱する活性汚泥モデルASM(ASM1、ASM2、ASM2d、ASM3)がある。その詳細は技術文献2に広く紹介されており、多くの活性汚泥技術者の思考のベースとなっている。
ASMは、活性汚泥プロセスの安定状態を記述するものであり、下水の活性汚泥を対象としている。下水は、世界的に基質が類似しており、流入水の流量変動は大きいものの、基質変動が小さいため、微生物の性状そのものの変化が小さいことが特徴である。
ASMは、活性汚泥の曝気槽における物質収支を、重クロム酸カリウムによる化学的酸素消費量(以下、CODcr)で表現している。図2は、ASM3の概念を表す図である。
ASM3では、流入水の成分を遅分解性有機物(以下、Xs)、易分解性有機物(以下、Ss)、浮遊不活性有機物(以下、XI)、溶解性不活性有機物(以下、SI)の4つに分類し、それぞれの特性について次のように想定している。
Ssは、水に溶解性で分解性容易な有機物で、生物が直接摂取して廃水から分離除去される成分としている。XsはSS成分や比較的高分子の有機物で、生物細胞内には直接摂取することはできないが、活性汚泥フロックにすみやかに吸着されて廃水からは分離除去される成分としている。Xsは吸着されたのち、酵素により加水分解されてSs成分に変換されたのち、生物の細胞内に摂取される。SIは水に溶解性の有機物であり、生物が利用できないため、溶解状態のまま活性汚泥をスルーする成分としている。XIはSS成分や比較的高分子の有機物で、活性汚泥で分解はできないが、活性汚泥フロックにすみやかに吸着されて廃水から分離除去され、最終的に余剰汚泥として系外に排出される成分としている。
Xs由来のSsを含めたSsは微生物により摂取され、好気性条件下で収率YSTO,O2で細胞貯蔵有機物(以下、XSTO)に変換される。さらに、XSTOは収率YH,O2で従属栄養生物XHに変換される。
以上より、汚泥の増殖量XHは、YSTO,O2×YH,O2×Ssで表わされる。
収率係数YSTO,O2、YH,O2は、キャリブレーションにより求めることになっている。下水の活性汚泥については、数多くのデータから実績平均値として、YSTO,O2=0.85、YH,O2=0.63が求められており、その値は(1)式におけるCの値と同等のものである。
活性汚泥は、様々な産業において有機性汚濁廃水処理に用いられている。このうち、流入水の成分、BOD負荷、MLSSともに下水の活性汚泥とは大きく異なる運転条件で運転されている活性汚泥も多くあり、実績として(1)式のCの値が、上記範囲を大きく逸脱するケースも多い。
活性汚泥ごとに、培養テストなどで流入水BOD負荷と汚泥増殖量を測定し、(1)式の係数Cやdを決定する作業は、非常に手間のかかる作業である。また、汚泥増殖量はいろいろな条件に左右されるため、その測定操作には熟練を要する。
活性汚泥は、広範囲の有機性汚濁廃水を処理できる非常に有用なプロセスであるが、汚泥増殖による余剰汚泥が多く発生することが難点とされている。このため、余剰汚泥の発生量を抑制できることを優位点とする様々な型式の好気性微生物処理装置や、汚泥増殖を抑制する添加薬剤や、余剰汚泥を薬品処理や物理的処理などを行って活性汚泥に戻して余剰汚泥量を低減する各種汚泥減容化プロセス等が提案されている。
しかしながら、比較のベースとなる泥増殖量の明確な計算基準がないため、削減率が曖昧になったり、自社測定による削減率で表示するなど、客観性に著しく欠ける事例が多いのが実状である。
以上のように、種々の活性汚泥に共通に通用するファクターで基本的な関係が説明でき、かつ、個々の活性汚泥の特性に合わせた若干の補正程度で、流入水の除去BODあたり汚泥増殖量を取得可能な方法が待ち望まれている。
この点に関して、IWAが提唱する活性汚泥モデルには提示されておらず、また先行特許文献を検索しても発見できなかった。
編集:公害防止の技術と法規編集委員会、題名:「新・公害防止の技術と法規2007(水質編)」、発行所:社団法人 産業環境管理協会、発売所:丸善株式会社、発行日:2007年2月15日発行 編集:国際水協会・生物学的廃水処理の設計および運転を支援するための数学モデルに関するタスクグループ、監訳:味埜俊、題名:「活性汚泥モデル」、発行者:波田幸夫、発行所:株式会社環境新聞社、発行日:2005年1月31日
本発明は、廃水の種類を問わず汚泥増殖量を推定可能とする汚泥転換率の計算方法、および、そのための測定装置を提供するものである。
本願発明者は、鋭意研究の結果、測定可能なデータをもとに汚泥増殖量を計算する基となる汚泥転換率の計算方法およびそのための計器を見出した。
第一の発明による曝気槽での除去BODあたりの汚泥転換率の計算方法は、
曝気槽による活性汚泥処理システムにおける、活性汚泥混合液の汚泥転換率(除去BODあたり汚泥増殖量)を取得する方法であって、
曝気槽容量V[m3]、汚泥濃度MLSS[mg/l]、流入水の処理水量F[m3/hr]の運転条件において、
汚泥転換率=V・(ASact*−ks・BODact*)/(F・BODSRT) ・・・(A)
により求めることを特徴とする活性汚泥処理システムにおける汚泥転換率の取得方法。
但し、
ASact*[mg/l/hr]:当該活性汚泥混合液の内生呼吸状態の活性汚泥混合液の酸素消費速度、
BODts[mg/l]:内生呼吸状態の活性汚泥混合液に、酸素を供給しつつ流入水を添加するときに、流入水添加直前から活性汚泥混合液の酸素消費速度がASact*に戻るまでの、流入水添加量あたり酸素消費量、
BODact*[mg/l/hr]:当該活性汚泥混合液のBODtsの平均酸素消費速度、
BODSRT[mg/l]:BODSRT=BODts+V/F・ASact*により与えられる流入水のBOD値、
(ASact*−ks・BODact*):ASact測定値から微生物の過渡的変換段階に必要な酸素消費速度(ΔASact)を除いた正味の代謝・増殖のための酸素消費速度(ASact0)、
ks[1/hr]:予め、多種類の廃水について測定したMLSSとASactの相関に基づいて、正味の代謝・増殖のための酸素消費速度と想定される比例直線の傾きkを求め、
次いでBODactとΔASact(=ASactーk・MLSS)の相関に基づいて求めた回帰直線の傾き。
なお、ASact*、BODact*は当該実測値であり、ASact、BODactはk、ksを得るために、予め集積するデータ群の測定値である。
(2)本発明に係る汚泥転換率測定装置は、装置上記(1)に従い汚泥転換率を取得するための汚泥転換率測定装置であって、
測定用活性汚泥混合液を貯留する汚泥タンクと、
汚泥タンク内の活性汚泥混合液を、適宜導入可能に構成した曝気容器と、
曝気容器内の活性汚泥混合液の溶存酸素濃度(DO)を計測する手段と、
曝気容器内の活性汚泥混合液を曝気する曝気手段と、
曝気容器に、新鮮流入水を添加可能とする流入水添加手段と、
曝気容器内に導入した活性汚泥混合液を曝気したのち、内生呼吸状態における活性汚泥混合液の酸素消費速度(ASact*)を求める手段と、
内生呼吸状態の活性汚泥混合液に流入水を添加し、流入水を添加する直前から、活性汚泥混合液の酸素消費速度がASactに戻るまでの酸素消費量に基づいて、BODtsを求める手段と、
求めたASact*と、BODtsを用いて、前記(A)式により、汚泥転換率を計算する手段と、
を備えて成ることを特徴とする。
従来技術(ASM3)と比較した本願発明の汚泥転換率計算の特徴的構成は、以下の3点である。
(a)従来、単一物質と捉えていた易分解性有機物(Ss)について、BODとして測定されるSs_BODと、BODとして測定されないSs_nonBOD と、の2物質に分類して増殖メカニズムを考える。
(b)曝気槽における酸素必要量の計算に際して、JIS K0102のBODでなく、実際の活性汚泥の状態変化を反映したファクターを用いて得られるBODSRTを用いる。
(c)従来技術では、ASactとMLSSが比例することを前提とし、汚泥転換率とASactを関連づけていないのに対して、本願発明では、ASactにはMLSSと比例する酸素消費速度部分と、蓄積無害物質(XSTO_Y)を細胞貯蔵有機物(XSTO)に変換するための酸素消費速度部分が含まれ、このうち後者を除く比例関係にある部分が汚泥増殖に関係するとして汚泥転換率を求める。
以下、(a)〜(c)の具体的内容、及び、その妥当性について、実証データに基づいてさらに詳細に説明する。
(a)増殖メカニズムと酸素消費の関係について
ASM3が、活性汚泥の状態を、重クロム酸による化学的酸素要求量CODcrをもとに、酸素の物質収支で論理を構築するのに対し、本発明では酸素の消費をエネルギーの発生・消費としてとらえて論理を構築するのが特徴である。
図1は、本発明概念に基づく、曝気槽における有機物除去に関する物質の流れを示した図である。流入水の要素をXs、XI、Ss、SI、に分類する点は、ASM3と同一である。各記号の意味についてもASM3と同一であり、遅分解性有機物(以下、Xs)、易分解性有機物(以下、Ss)、浮遊不活性有機物(以下、XI)、溶解性不活性有機物(以下、SI)である。同図において、角枠、点線部分が本発明で追加している概念である。
すなわち、本発明ではSs[g-COD/m3]を、BODとして測定されるSs_BOD[g-BOD/m3]と、BODとして測定されないSs_nonBOD [g-BOD/m3]と、の2物質により構成されていると捉える。そして、Ss_BODと酸素との反応により生じるエネルギーを使って、Ss_nonBODから細胞貯蔵有機物XSTOを合成する。さらに、XSTOの一部と酸素との反応により生じるエネルギーを使って代謝を行い、残りのXSTOとSs_nonBODを使って増殖を行うものと設定する。
ここに、Ss_BOD及びSs_nonBODは、物質ではなく作用により区分されるのであって、ひとつの物質が両方に分配される。また分配比率は固定的ではなく、微生物の状況により変化するものと考える。
安定状態においては、Ss_BODから生成されるXSTOと、代謝・増殖で消費されるXSTOは等しくなり、両過程で消費される酸素量の合計はSs_BODとなる。以下、Ss_BODをBODSRTと表記する。またXSTOを合成するための酸素消費量をBODtss、XSTO→代謝・増殖のための酸素消費量をBODSTOと表記する。
細胞貯蔵有機物XSTOとは、生物がSsを摂取し、Ssの成分を使って合成反応で生成するポリヒドロキシアルカン酸(PHA)や、グルコースやタンパク質などの微生物体内に無害で貯蔵できる有機物をいう。XSTOの概念についてはASM3と同じである。
本願発明では、有機物除去に関する曝気槽内の生物反応を、2つの反応(SsからXSTOへの変換、及び、XSTOから代謝・増殖)がそれぞれ独立・併行的に進行している状態、としてモデル化する。
まず、SsからXSTOに変換する反応は、同化(消化)に相当する工程である。XSTOに変換する際にはエネルギーが必要であり、そのエネルギーはSsの一部分のSs_BOD酸素が反応する際の反応熱を利用する。その際の酸素消費量をBODtssとする。
また、XSTOから代謝・増殖の反応は、異化に相当する工程である。XSTO→代謝&増殖する際にはエネルギーを必要とし、そのエネルギーはXSTOの一部分と酸素が反応する際の反応熱とを利用する。その際の酸素消費量をBODSTOとする。
活性汚泥処理は、「SsからXSTOの反応量は、Ssの量に見合った大きさになるように微生物が自ら調整する。また、SsからXSTOの反応量で生成するXSTOとXSTOを消費する反応量が等しくなるように微生物が自ら調整する」プロセスである。そして、安定状態ではSsからXSTOに変換する反応量とXSTOから代謝・増殖の反応量とが等しい。
(b)曝気槽における酸素必要量
活性汚泥における酸素必要量は、技術文献1に代表される多くの活性汚泥教材に記載されており、(2)式で表される。
X=a・Lr+b・Sa ・・・(2)式
X:必要酸素量[kg/d]
Lr:除去BOD量[kg/d]
Sa:エアレーションタンク内汚泥量[kg]
a:除去BODのうちエネルギー獲得のため利用される割合 0.35〜0.55
b:汚泥の内生呼吸に利用される割合 0.05〜0.24 [1/d]
(2)式におけるaの数値:0.35〜0.55は、主として下水の活性汚泥に適用される数値であるが、実際には流入水BODの成分によりこの範囲を大きく逸脱する活性汚泥(特に化学廃水)が多々ある(図3参照)。
一方、図4に示すように、MLSS[kg](=Sa/V)とASact[mg/l/hr]とは、流入水のBOD成分に拘わらずほぼ比例関係にあり、比例係数の中心値=0.08[1/d]である。同図には、比例係数bが0.05[1/d]及び0.24[1/d]の場合を点線で表示してあり、各データがこの範囲内にあることがわかる。
(2)式の除去BOD量LrはJIS K0102のBODを指すが、この値はBOD成分によっては5日間では100%の値を示さないものがあることが知られている。また試料中のBOD成分と測定に使用する植種汚泥によっては、測定値がバラツクことも知られている。
同式の意味から考えると、BOD値は曝気槽内で消費される酸素量、すなわち曝気槽内の馴養された高濃度の活性汚泥混合液を植種汚泥として使ったときの、曝気槽内汚泥滞留時間(SRT)に消費される酸素消費量とすべきであり、JIS K0102のBODを使っていることがa値の数値のバラツキの大きいことの一因と考えられる。
汚泥は曝気槽→沈殿槽→曝気槽と循環していることから、沈殿槽における生物活動を無視すれば、曝気槽出口と入口における活性汚泥混合液の呼吸による酸素消費速度(ASact[mg/l/hr])は等しいことになる。なお、以下の説明ではASactとASact*とを区別しないで用いる場合がある。BODactについても同様である。
今、曝気槽容量V[m3]、流入水処理水量F[m3/hr]の活性汚泥において、曝気槽入口において流入水から溶解性分解有機物Ssが供給されると、ASactの値以上の速度で酸素を消費し、消費し終わると、曝気槽出口において元のASactの値に戻る変化となる。
この間の酸素消費量をF・BODtsとすれば、曝気槽で消費される酸素量F・BODSRTは、
F・BODSRT=F・BODts+V・ASact ・・・(3)式
となる。(3)式をFで割れば、
BODSRT= BODts+V/F・ASact ・・・(4)式
で表される。浄化後の処理水BODを無視すれば、BODSRTは流入水のBODの値となる。
曝気槽出口の活性汚泥混合液が内生呼吸状態であれば、BODtsは図1のBODtssと同じであるから、ASactと同図のBODSTOとの間には、F・BODSTO=V・ASactの関係がある。
流入水の変動を無視できる場合であれば、BODSRTは今現在流入している流入水のBODとなるが、流入水の変動が大きい場合には、ASactは数日前から現在までの変動を反映するため、BODSRTと今現在流入している流入水のBODとは、必ずしも一致しない。しかしながら、ASactは微生物群の変化に追従する値であるから、BODSRTの継続的測定値の平均値は流入水の平均BODを表わしているといえる。
汚泥の増殖は、流入水のBOD成分や運転条件によって活性汚泥を構成する微生物群に影響されるはずである。従って、汚泥増殖率の計算に際しては、常に一定値となることが求められるJIS K0102のBODよりは、実際の活性汚泥の状態変化を反映するファクターから計算されるBODSRTを用いるのがより適切である。
以上より、汚泥増殖率の計算に際し、BODSRT((4)式)を使用する本発明の妥当性が認められる。
(c)ASactとMLSSの関係について
内生呼吸状態とは、ある微生物が同化(消化)を行っておらず、基礎代謝のみを行っている状態における酸素消費量である。しかし、活性汚泥は多種多様な微生物の集合体であるから、全ての微生物が均等に代謝のみの状態ということは、あり得ない。食物連鎖のピラミッド構造を示す図5を参照して、流入水中のBOD源がなくなると、最下位の微生物群は、体内のXSTO を消費して生命を維持する内生呼吸状態になり、XSTOを使い果たすと死滅していくが、中位、最上位の微生物群は、流入水中のBOD源がなくなると、不足分は下位の微生物群をより多く捕食して必要な栄養源を確保する。つまり最下位の微生物群が内生呼吸状態でも、中位、上位の微生物群は、まだ内生呼吸状態ではないので、活性汚泥全体としても内生呼吸状態とはいえない。中位、最上位の微生物群が内生呼吸状態ということは、最下層の微生物群を捕食し尽くした状態を意味するが、これは正常に稼働している活性汚泥の生物構成とは全く異質なものであり、考慮する必要はない。
図6は、培養槽出口で採取した活性汚泥混合液を一定速度の酸素供給量で曝気し続け、その間の汚泥の呼吸による酸素消費速度(ASact)の変化を概念的に示した図である。
同図のA区間は、活性汚泥混合液中の液側の分解速度の遅い残留BODが0[mg/l]に減少し、ASactが低下していく過程である。B区間は内生呼吸状態であり、ASactはほぼ一定の状態、C区間は微生物群が減少していく過程であり、ASactは低下していく。
A区間の長さは、処理が正常に行われている場合には数時間程度であるが、曝気槽出口における残留BOD量や残留BODの分解速度などで異なる。
B区間でのASactの変化は完全に一定ではなく、少しずつ低下する。A区間の最後とB区間の始まりのASactは、連続的な変化なので明確な区分は困難である。B区間の長さは、活性汚泥の状態(XSTOの蓄積程度など)で異なるが、半日程度はASactの変化が小さい状況が続くが、前述のようにASactは微生物の重量(MLSS)に依存する割合が大きいため、ASactが変化しなくとも、最下位の微生物群の数は時間の経過とともに確実に低下していく。
このように、活性汚泥における内生呼吸状態を定義することは難しいが、本発明では、「廃水中のBOD成分が、ほとんどなくなったときの微生物状態で、呼吸による酸素消費速度(ASact)がほぼ一定になり始めたときの状態」と定義して用いる。
図7は、流入水のBOD源が、溶解性分解有機物Ss≫吸着性分解有機物Xsである流入水を処理する活性汚泥において、BODの処理が終了している曝気槽出口の活性汚泥混合液を採取して、MLSSと呼吸による酸素消費速度(ASact)の測定結果を散布図にプロットした例である。なお図7には、図4の各データのうち、汚泥増殖のデータが存在するものを記載している。
ASactの値は、曝気槽の出口の活性汚泥混合液を一定の酸素供給速度で曝気し、DOの変化が殆どなくなった時点(概ね、曝気開始2〜3時間後)の、上述定義の内生呼吸状態における酸素消費速度である。
従来技術では、図7の分布に関して、図4に示すように、全てのASactを0点を通るMLSSに比例する(ASact=b・MLSS)ものとして捉え、データの広がりは係数bの変動幅であるとする。
これに対して本発明では、この分布を0点を通るASactとMLSSが比例関係にあるデータ群(グループA)と、0点を通らないMLSSの割にASactが顕著に大きいデータ群(グループB)と、に区分けして捉える。
本発明では、2つのグループに分かれる原因を以下のように解釈する。
微生物が廃水中の汚濁有機物を継続的に処理するためには、汚濁有機物を体内に取り込み消化し、細胞内蓄積可能物質XSTOに変化し、これと同量のXSTOを代謝・増殖により消費することが必要である。
XSTOによる酸素消費は代謝・増殖のためのエネルギーに使用されるので、酸素消費速度の大きさは、微生物重量(≒MLSS)に比例すると考えるのが自然である。グループAのデータ群がそれを表わしている。
一方、グループBは「0点を通らずMLSSの割に顕著にASactが大きい」ことから、MLSSの寄与が小さい最下位の微生物群による作用」と考えられる。
汚濁有機物→XSTOに変化する過程では、複雑な酵素反応が関与する。摂取した汚濁有機物は消化しないと継続して取り込めないが、一気にXSTOまで変換できない場合、少なくとも微生物体内にある程度蓄積可能な蓄積無害物質(XSTO_Y)に変化するまでは、速やかに変換する必要がある。
XSTO_Y→XSTOの過程の存在や、あるとすればどの程度の大きさか、は図7のASactとMLSSの関係データだけでは判断困難であるが、以下説明するように汚泥増殖量と関連付けることにより推定可能となる。
代謝・増殖に使われるエネルギーはASactであるから、増殖量はASactに比例するはずである。図8は、ASact(より詳細には(V/F・ASact)/BODSRT)と汚泥転換率との相関図である。同図で用いている「汚泥転換率」は、測定されたBODSRTあたりの汚泥増殖量を、(2)式の自己酸化率b=0.020として汚泥の自己酸化量をb・MLSSとして補正した、真の汚泥増殖量(測定された汚泥増殖量+汚泥の自己酸化量)を意味する。
同図に示されるように、図7のグループAに属する廃水については比較的相関があるものの、全体としては汚泥転換率=(V/F・ASact)/BODSRTの線にのらず、バラツキが大きく相関性が低いことが分かる。
この原因は、測定されるASactには、過渡的物質であるXSTO_Y→XSTOに使用されるエネルギーを得るための酸素消費速度が含まれており、本来の内生呼吸状態における酸素消費速度より大きな値となっているためと考えられる。XSTO_Y→XSTOはグループBに限らず、大なり小なり全てのデータに含まれているはずであるから、図7のほとんどのデータがASact>k・MLSSとなるようなkの最大値を求めると、比例直線ASact=k・MLSSはXSTO_Y→XSTOの反応に使われる酸素消費量が0の場合に相当する。すなわち、代謝・増殖のための正味の酸素消費速度ASact0は、ASact0=k・MLSSで表されることになる。図7からk=0.00225[1/hr]が読み取れる。
なお、k=0.00225[1/hr]=0.054[1/d]は、(2)式における係数bの下限値b=0.05 [1/d]と、ほぼ同じ値である。
kは多種多様な活性汚泥から導出される数値なので、汎用性が高いといえる。
XSTO_Y→XSTOによる酸素消費速度をΔASactで表すと、図7の各廃水について、ASact、ASact0、ΔASactの関係は図7(a)の如く示される。
ΔASactの測定は、上述したように最下位の微生物相が変化してしまうため、酸素消費速度の測定のみでは困難である。しかし、BODtsの平均酸素消費速度をBODactで表すとき、ΔASact、BODactはいずれもSsからXSTOに変換する反応であるから、ΔASactとBODactの間には何らかの関係があるはずである。
図9は、図7のデータについて BODact(より詳細にはBODact/MLSS)とΔASact(同ΔASact/ASact0)の関係をプロットした相関図である。
同図に示すように両者は概略直線関係にあり、ASact0=0.00225・MLSSを代入すると、
ΔASact=0.75・BODact
で示される。
今、(ASact−0.75・BODact)を代謝・増殖にかかわる真の酸素消費速度とすると、曝気槽全体ではV・(ASact−0.75・BODact)となる。この値と曝気槽における全酸素消費量(F・BODSRT)との比は、BODあたり代謝・増殖のための酸素消費量を意味する。この値を転換BOD率とすると、転換BOD率は、
転換BOD率=V・(ASact*−0.75・BODact*)/(F・BODSRT)・・・(5)式
となる。
図10は、図7の各データについて、(5)式の転換BOD率と汚泥転換率の関係をプロットしたものである。なお、汚泥転換率の概念については図8と同様である。
同図に示すように、全てのデータが、概略、汚泥転換率=転換BOD率の直線上周囲に良く分布している。以上より、本願発明において、転換BOD率を以て「汚泥転換率」と定義することの妥当性が証明された。
(5)式で用いた係数0.75は汎用性の高い係数ではあるが、個々の活性汚泥に適用する場合には若干の幅を考慮する必要がある。また、測定計器に起因する測定誤差もある。したがって、(5)式は一般式である(6)式で表現するのがより汎用的といえる。

汚泥転換率=V・(ASact*−ks・BODact*)/(F・BODSRT) ・・・(6)式

ここに、 係数ks[1/hr]は、予め、多種類の廃水について測定したMLSSとASactの相関に基づいて、正味の代謝・増殖のための酸素消費速度と想定される比例直線の傾きkを求め、次いでBODactとΔASact(=ASact ー k・MLSS)の相関に基づいて求めた回帰直線の傾きである。
なお、ksの設定に際して、kとして上述のk=0.00225[1/hr]を用いることもできるが、図7と同様の方法で当該活性汚泥独自に比例直線の傾きを求めてもよい。
流入水のBOD成分やBOD負荷量の変化、曝気槽の滞留時間やMLSSなどの運転条件等により生じる活性汚泥の微生物の状態変化は、BODts、BODact、ASactの測定値の変化として現れるので、(6)式による汚泥転換率の計算法は種々の活性汚泥に共通的に適用できる。
第二の発明は、第一の発明を実現するための測定計器に係る。
本発明に係る測定計器は、少なくとも、活性汚泥混合液を収納する曝気容器と曝気容器内の活性汚泥混合液を曝気する曝気装置と、活性汚泥混合液のDOを測定するDO計を具備する。
(6)式のBODSRT、BODts、ASact、BODactは、いずれも活性汚泥混合液が曝気槽に入っている状態では測定が難しいため、曝気槽の活性汚泥混合液を活性汚泥装置の外に設置した計器の曝気容器内にサンプリングする。
サンプリングした混合液を曝気装置で曝気し、内生呼吸状態まで持っていく。曝気槽の出口で活性汚泥混合液をサンプリングすれば、内生呼吸状態までもっていく時間が短くて済む。内生呼吸状態になったかどうかは、上述したように呼吸による酸素消費速度で判断できる。内生呼吸状態の活性汚泥混合液への曝気を停止し、外部からの酸素の供給を断って、DOの減少速度をDO計で測定し、内生呼吸状態の呼吸による酸素消費速度ASactを測定する。
また内生呼吸状態の酸素消費速度がASactである活性汚泥混合液に流入水を所定量添加すると、流入水のBOD成分が酸素を消費して分解していき、分解し終わると、活性汚泥混合液の呼吸による酸素消費速度が添加前のASactに戻る変化となるが、添加前から元に戻るまでの酸素消費量と時間を計測し、添加量あたりのBODを計算してBODtsを求める。またBODtsを時間で徐して平均分解速度BODactを求める。
活性汚泥の曝気槽容量V[m3]、流入水処理水量F[m3/hr]、活性汚泥混合液のMLSS[g/m3]を使って、流入水のBOD(BODSRT)を(4)式を使って計算し、(6)式で汚泥転換率を計算する。
本発明により、多種多様な流入水を処理する活性汚泥の汚泥増殖量を共通的に計算可能となる。
また、本発明による汚泥転換率は、余剰汚泥発生量の基準値を意味し、活性汚泥が正常に機能しているか否かの判断材料提供する。
さらに、余剰汚泥削減などのコストダウン効果を客観的データで評価可能とする。
本発明による曝気槽における有機物除去の流れを概念的に示す図である。 従来技術(ASM3)による同上の概念を説明する図である。 流入水BOD成分と(2)式の係数aの関係を示す図である。 種々の活性汚泥についてMLSSとASactの関係を示す図である。 活性汚泥における食物連鎖のピラミッド構造を説明する図である。 活性汚泥における酸素消費速度の変化で内生呼吸状態を説明する図である。 本発明概念に基づく、種々の活性汚泥のMLSSとASactの関係を示す図である。 ASact、ASact0、ΔASactの関係を示す図である。 (V/F・ASact)/BODSRTと汚泥転換率の関係をプロットした図である。 図7のデータを、BODact/MLSSとΔASact/ASact0の関係としてプロットした図である。 種々の活性汚泥について転換BOD率と汚泥転換率の関係を示す図である。 本発明の一実施形態に係る汚泥転換率取得のための測定装置1を説明する図である。 DO測定値変化フローを説明する図である。
以下、図11、12を参照して、本発明に係る汚泥転換率取得のための測定装置、及び、その具体的計算方法の実施形態についてさらに詳細に説明する。なお、本発明の範囲は特許請求の範囲記載のものであって、以下の各実施形態に限定されないことはいうまでもない。
(測定装置の構成)
図11を参照して、本実施形態に係る測定装置1は、測定用活性汚泥混合液を貯留する汚泥タンク1aと、汚泥タンク1a内の混合液を一定レベルに維持するオーバーフロー管2と、汚泥タンク1a内に浸漬設置される曝気容器3と、曝気容器3内に汚泥混合液を導入・排出するための細管4、大気開放弁5及び加圧コンプレッサー6と、汚泥タンク1a外には混合液の溶存酸素濃度(DO)を測定するためのDO計電極7、DO測定容器8、循環ポンプ9、ラインミキサー10、曝気コンプレッサー11及びこれらを結ぶ接続配管と、を主要構成として備えている。
曝気容器3は、接続配管を介してDO計電極7を格納するDO測定容器8を経由して循環ポンプ9に接続されている。さらに、循環ポンプ9からラインミキサー10を経由して曝気容器3に戻るように配管構成されている。かかる構成により混合液循環路13が形成され、曝気容器3と測定容器8間の活性汚泥混合液循環を可能としている。
また必要時には、ラインミキサー10の手前に配設される曝気コンプレッサー11により曝気空気が混入され、活性汚泥混合液を曝気可能としている。
曝気容器3には、汚泥タンク1a内の活性汚泥混合液を曝気容器3内に導入・排出可能にする螺旋形状の細管4が付設されている。これにより、曝気容器3内の混合液を排出する際には、大気開放弁5を閉じ、加圧コンプレッサー6を稼働して容器内を加圧して、曝気容器3内から細管4を経由して汚泥タンク1aに混合液を排出することができる。
また、混合液を導入する際には、空になった曝気容器3の大気開放弁5を開けて、汚泥タンク1aの液レベルと曝気容器3内の液レベルの差圧により、汚泥タンク1aから細管4を経由して曝気容器3内に混合液を導入することができる。
また曝気容器3には、流入水を一定量注入できるように添加ポンプ12が付設されている。
なお、測定容器8の計測操作、DO計7によるデータ計測を含め、測定装置1による測定制御はコンピュータ(図示せず)により全て管理されている。
(DO測定方法)
測定装置1によるDO値計測は、以下に従い行われる。活性汚泥の曝気槽(図示せず)出口付近から曝気槽内の活性汚泥混合液を汲み上げ、汚泥タンク1aに活性汚泥混合液をオーバーフロー管2で一定レベルまで充満する。同時に、汚泥タンク1a内に常時新鮮な活性汚泥混合液を循環させておく。また、新鮮な流入水(廃水)を汚泥タンク1aに添加できるようにしておく。
混合液を導入する際には、空になった曝気容器3の大気開放弁5を開けて、汚泥タンク1aの液レベルと曝気容器3内の液レベルの差圧により、汚泥タンク1aから細管4を経由して曝気容器3内に混合液を導入する。次いで、混合液を混合液循環路13内に循環させ、曝気コンプレッサー11により曝気空気を混入して、循環路13内の混合液を曝気する。なお、混合液循環時には、細管4を介しての汚泥タンク1a側への流出は、細管4の配管抵抗により無視できる。
曝気された活性汚泥混合液は曝気容器3に戻り、ここで気泡分離されてDO測定容器8に送られ、DO計電極7により活性汚泥混合液のDO値が測定される。
(DO値変測定に基づく汚泥転換率取得)
測定装置1を用いたDO値測定に基づく汚泥転換率取得の理論的根拠は、以下の通りである。なお、以下の内容は、本願発明者によって特開2001−235462等に開示されている。
活性汚泥混合液を曝気していくと、そのDO変化は(7)式で表される。
Figure 2016007577
ここに、DOsatは飽和溶存酸素濃度[mg/l]
DOは曝気槽内溶存酸素濃度[mg/l]
Laは総括物質移動係数[1/min]or [1/hr]
ASactは活性汚泥が内生呼吸状態で使う酸素消費速度[mg/l/min] or [mg/l/hr]
BODactは活性汚泥がBOD成分の分解で使う酸素消費速度[mg/l/min]or [mg/l/hr]

内生呼吸状態ではBODact=0、ASact=一定であるから、(7)式は積分でき、(8)式となる。
Figure 2016007577
但し、DO0は曝気を開始したときの初期値であり、αは(9)式で示される。
Figure 2016007577
(8)式は、曝気経過時間tが十分大きければ右辺第2項を無視でき、
DO=α
の値で一定となる。この値をDOhfで表せば、DOhfはBOD成分が殆ど0mg/lの混合液を曝気した場合の、最終的に到達するDO値と定義できる。以上より、(8)式は
Figure 2016007577
となる。
内生呼吸後の混合液に流入水を添加すると、流入水のBOD成分が分解していく過程で酸素を消費するため、混合液のDO値(DO2)は、BODの消費とともに(7)式を書き換えた(11)式に従い変化する。
Figure 2016007577
一方、同じ初期値DO0を曝気した内生呼吸状態の活性汚泥混合液のDO値(DO1)は(12)式に従い変化する。
Figure 2016007577
(12)式から(11)式を引くと、(13)式となり、変数を(14)式のようにΔDOとすることにより、(15)式となる
Figure 2016007577
ΔDO=DO1−DO2 (14)式
Figure 2016007577
(15)式の両辺を積分すると(16)式となる。
Figure 2016007577
(16)式の左辺は、1,2の曲線ともDO 0からDOhfまでの積分であり、ともにΔDO=0であるから
Figure 2016007577

となる。(16)式の右辺第1項の積分はDOとDOの曲線で囲まれた面積Sを表す(後述の図13参照)。また、右辺第2項は消費速度×時間の積分であるから、t時間でのBOD成分を分解するに要する酸素消費量となる。この量をBODtsで表せば、(16)式は(17)式となり、DOとDOの曲線で囲まれた面積SにKLaをかけた値が、BOD成分を分解するに要した酸素消費量になる。
Figure 2016007577
また、平均酸素消費速度BODactはBODact=BODts/tで求められる。
(17)式により求めたBODts、BODact値、及び予め取得したksを(6)式に適用することにより、対象活性汚泥の汚泥転換率を求めることができる。
(具体的計測方法)
以下、上述の理論に基づく測定装置1による具体的計測方法について説明する。図12は、本実施形態に係る測定操作フローを説明する図である。
測定開始後、まず曝気容器3に導入した混合液を循環するとともに、曝気装置3で混合液を曝気し、内生呼吸状態までもっていく(S101)。
内生呼吸状態になったかどうかは、測定容器8のDO計電極7の測定値をコンピュータに取り込み、上述したように呼吸による酸素消費速度を求め判断する。
内生呼吸状態になったら、曝気を停止し循環のみの状態で、DO計電極7でDOの低下速度を測定し、内生呼吸状態の酸素消費速度ASactの値を取得する(S102)。曝気容器3は完全な密閉系ではないので、ASactの値には液表面からのわずかの酸素の溶け込みによる誤差が生じるが、コンピュータで十分補正可能な範囲である。
ASactの値を取得後、混合液を再度曝気装置3で曝気すると、混合液のDO値は理論的に(9)式にしたがって上昇していくので、実測のDO変化値と(9)式のDO変化値が合致するようなKLaを求める(S103)。
KLa値を取得後は、混合液は内生呼吸による酸素消費速度と曝気装置3による酸素供給速度でバランスするDOhfに戻るので、流入水を添加ポンプ12で所定量添加する(S104)。
流入水のBOD分解のために酸素が消費されるのでDO値は低下し(S105)、分解が終わるとDO値はDOhfに戻り(S106)、(11)式で表されるDO変化となる。一方、流入水を添加しない場合のDO変化は(12)式で表されるDOの変化となる(S107)。
初期値がDOhfからスタートするので、DO=DOhfの直線となる。DOとDOで囲まれる面積Sをコンピュータで計算し、(17)式によりKLa×Sが流入水のBODtsとなる。
測定後は、容器内の活性汚泥混合液を汚泥タンク1aに排出し、混合液循環路13内を洗浄したのち、再び汚泥タンク1aから新鮮な活性汚泥混合液をサンプリングし、測定を繰り返す。
測定データに基づいて(6)式から汚泥転換率を計算し、さらに流入水処理量FとBODSRTと汚泥転換率から汚泥増殖量を計算する。
なお、ASact、KLa、BODtsの取得順番は、必ずしも本実施例に限定されない。また、測定時間を短縮するために、完全には内生呼吸状態にはなっていない状態でASactの値を取得し、内生呼吸になった段階で、(8)式の関係を使って補正してもよい。
本発明は、標準活性汚泥、オキシデーションディッチ、回分式活性汚泥、膜式活性汚泥、生物脱窒法、生物脱リン法、など好気性微生物を利用する廃水処理装置に広く適用可能である。
また担体活性汚泥や接触酸化法においても、好気性浮遊汚泥による処理の比率が大きい場合に適用可能である。
1・・・・測定装置
1a・・・汚泥タンク
2・・・・オーバーフロー管
3・・・・曝気容器
4・・・・細管
5・・・・大気開放弁
6・・・・加圧コンプレッサー
7・・・・DO計電極
8・・・・DO測定容器
9・・・・循環ポンプ
10・・・ラインミキサー
11・・・曝気コンプレッサー
12・・・添加ポンプ
13・・・混合液循環部

Claims (2)

  1. 曝気槽による活性汚泥処理システムにおける、活性汚泥混合液の汚泥転換率(除去BODあたり汚泥増殖量)を取得する方法であって、
    曝気槽容量V[m3]、汚泥濃度MLSS[mg/l]、流入水の処理水量F[m3/hr]の運転条件において、
    汚泥転換率=V・(ASact*−ks・BODact*)/(F・BODSRT) ・・・(A)
    により求めることを特徴とする活性汚泥処理システムにおける汚泥転換率の取得方法。
    但し、
    ASact*[mg/l/hr]:当該活性汚泥混合液の内生呼吸状態の活性汚泥混合液の酸素消費速度、
    BODts[mg/l]:内生呼吸状態の活性汚泥混合液に、酸素を供給しつつ流入水を添加したときに、流入水添加直前から活性汚泥混合液の酸素消費速度がASact*に戻るまでの、流入水添加量あたり酸素消費量、
    BODact*[mg/l/hr]:当該活性汚泥混合液のBODtsの平均酸素消費速度、
    BODSRT[mg/l]:BODSRT=BODts+V/F・ASact*により与えられる流入水のBOD値、
    (ASact*−ks・BODact*):ASact*から微生物の過渡的変換過程で必要な酸素消費速度(ΔASact)を除いた正味の代謝・増殖のための酸素消費速度(ASact0)、
    ks[1/hr]:予め、多種類の廃水について測定したMLSSとASactの相関に基づいて、正味の代謝・増殖のための酸素消費速度と想定される比例直線の傾きkを求め、
    次いでBODactとΔASact(=ASact−k・MLSS)の相関に基づいて求めた回帰直線の傾き。
  2. 請求項1に従い汚泥転換率を取得するための汚泥転換率測定装置であって、
    測定用活性汚泥混合液を貯留する汚泥タンクと、
    汚泥タンク内の活性汚泥混合液を、適宜導入可能に構成した曝気容器と、
    曝気容器内の活性汚泥混合液の溶存酸素濃度(DO)を計測する手段と、
    曝気容器内の活性汚泥混合液を曝気する曝気手段と、
    曝気容器に、新鮮流入水を添加可能とする流入水添加手段と、
    曝気容器内に導入した活性汚泥混合液を曝気したのち、内生呼吸状態における活性汚泥混合液の酸素消費速度(ASact*)を求める手段と、
    内生呼吸状態の活性汚泥混合液に流入水を添加し、流入水を添加する直前から、活性汚泥混合液の酸素消費速度がASact*に戻るまでの酸素消費量に基づいて、BODtsを求める手段と、
    求めたASact*と、BODtsを用いて、前記(A)式により、汚泥転換率を計算する手段と、
    を備えて成ることを特徴とする活性汚泥の汚泥転換率測定装置
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