JP5801463B1 - 樹脂着色用マスターバッチ及び着色樹脂成形体の製造方法 - Google Patents

樹脂着色用マスターバッチ及び着色樹脂成形体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】酸化チタンが均一に分散されて色分かれが生じにくく、表面の滑り性に優れた着色樹脂成形体を容易に製造することが可能な樹脂着色用マスターバッチを提供する。【解決手段】コンプレッションモールド成形法によって着色樹脂成形体を製造するために用いられる樹脂着色用マスターバッチである。ポリオレフィン樹脂30〜83質量%、酸化チタン0.1〜45質量%、相溶化剤1〜25質量%、及び脂肪酸アミド2〜35質量%を含有し、相溶化剤は、酸変性ポリマーであり、相溶化剤の含有量に対する脂肪酸アミドの含有量が、質量基準で、0.3〜7倍である。【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂着色用マスターバッチ、着色樹脂成形体の製造方法、及び着色樹脂成形体に関する。さらに詳しくは、その表面が良好な滑り性を有する表面を有するとともに、色分かれの発生が抑制された高品質の着色樹脂成形体を製造しうる樹脂着色用マスターバッチ、それを用いる着色樹脂成形体の製造方法、及び当該製造方法によって製造される着色樹脂成形体に関する。
ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂は、寸法安定性や耐衝撃性に優れていることから、自動車部品、家電製品、及びその他の成形品等として広く利用されている。ポリオレフィン樹脂の着色には様々な態様の着色剤が使用されている。なかでも、マスターバッチは、非汚染性、自動計量適性、及び輸送適性等の各種特性に優れていることから、着色剤の主流となっている。マスターバッチは、主成分である基材樹脂に対して、顔料等の色材及び添加剤等を混練機や押出機を使用して高濃度に練り込んだものである。このようにして得られるマスターバッチは、通常、ベース樹脂(希釈樹脂、被着色樹脂)に対して2〜150倍程度に希釈して混合される。
マスターバッチの主成分となる基材樹脂としては、通常、被着色樹脂の物性やマスターバッチの流動性を考慮し、被着色樹脂と同一の樹脂又は被着色樹脂と類似した物性を有する樹脂が使用される。例えば、エチレン−プロピレンブロック共重合体の着色成形加工においては、エチレン−プロピレンブロック共重合体を基材樹脂とし、これに顔料及び分散剤等を配合して溶融押出してペレット状に加工したマスターバッチが用いられている。
しかしながら、高流動性のエチレン−プロピレンブロック共重合体は融点及び溶融粘度が低いため、基材樹脂として高流動性のエチレン−プロピレンブロック共重合体を配合したマスターバッチを用いた場合であっても、混合の際に十分なシェアーをかけることが困難であった。このため、高流動性のエチレン−プロピレンブロック共重合体中に顔料等の色材を高濃度かつ均一に分散させることができず、得られる成形体に色分かれ等の色ムラが発生するといった課題があった。
このような課題を解決すべく、例えば、メタロセン触媒を用いて製造したポリオレフィンワックスを分散助剤としてポリプロピレンに添加し、顔料の分散状態を向上させる方法が提案されている(特許文献1)。また、熱可塑性樹脂、顔料、ポリプロピレンワックス、及びスリップ剤としての脂肪酸アミドを含有し、熱可塑性樹脂と顔料との界面自由エネルギーを制御したポリプロピレン樹脂用の着色樹脂組成物が提案されている(特許文献2)。さらに、熱可塑性樹脂、シリカ等の無機化合物で被覆された二酸化チタン、及びワックスを含有する着色成形用の樹脂組成物が提案されている(特許文献3)。
なお、ラミネート等の包装用フィルム等の成形品の作業性及び高速加工性を高めるために、成形品表面の滑り性を改善することが要求されている。ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂からなる成形品表面は、滑り性が特に低いため、射出成形時に課題を有している。このような課題を解決すべく、例えば、酸化チタン、ポリオレフィン樹脂、及びエルカ酸アミドを含有する食品容器用の着色樹脂組成物、並びにこの着色樹脂組成物を用いて得られる、滑り性に優れた着色樹脂成形品が提案されている(特許文献4)。
特表2003−525329号公報 特開2006−316178号公報 特開2013−209539号公報 特開2008−94998号公報
しかしながら、特許文献1〜3で提案された樹脂組成物等に配合されているポリオレフィンワックスの効果が十分発揮されない場合がある。例えば、いわゆる高速押出成形法やコンプレッション成形法のような高速条件下で酸化チタンを含有する樹脂成形品を成形する場合には、得られる成形品に色分かれ等の外観不良が発生しやすいという新たな課題が生じた。なお、表面処理による酸化チタンの分散性等の性質の改良は、一般に知られた技術である。
また、特許文献2で提案されたスリップ剤としての脂肪酸アミドを含有する樹脂組成物を使用し、高速条件下で酸化チタンを含有する樹脂成形品を成形しようとすると、色分かれ等の外観不良が生じやすくなる。さらに、特許文献4で提案されたエルカ酸アミドを配合した着色樹脂組成物は、得られる成形品の臭気や滑り性は改善されるが、色分かれ等の外観不良が生ずることがあった。
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、酸化チタンが均一に分散されて色分かれが生じにくく、表面の滑り性に優れた着色樹脂成形体を容易に製造することが可能な樹脂着色用マスターバッチを提供することにある。また、本発明の課題とするところは、この樹脂着色用マスターバッチを用いる着色樹脂成形体の製造方法、及びこの製造方法によって製造される着色樹脂成形体を提供することにある。
すなわち、本発明によれば、以下に示す樹脂着色用マスターバッチが提供される。
[1]コンプレッションモールド成形法によって着色樹脂成形体を製造するために用いられる樹脂着色用マスターバッチであって、ポリオレフィン樹脂30〜83質量%、酸化チタン0.1〜45質量%、相溶化剤1〜25質量%、及び脂肪酸アミド2〜35質量%を含有し、前記相溶化剤は、酸変性ポリマーであり、前記相溶化剤の含有量に対する前記脂肪酸アミドの含有量が、質量基準で、0.3〜7倍である樹脂着色用マスターバッチ。
[2]前記相溶化剤の含有量に対する前記脂肪酸アミドの含有量が、質量基準で、0.5〜6倍である前記[1]に記載の樹脂着色用マスターバッチ。
]前記ポリオレフィン樹脂が、ポリプロピレン、エチレン−プロピレンランダム共重合体、及びエチレン−プロピレンブロック共重合体からなる群より選択される少なくとも一種であり、JIS K7210に準拠し、荷重2.16kg及び190℃の条件で測定される前記ポリオレフィン樹脂のメルトフローレート(MFR)が、0.1〜45g/10minである前記[1]又は[2]に記載の樹脂着色用マスターバッチ。
]前記酸化チタンが、数平均一次粒子径が0.1〜0.5μmの、表面処理された酸化チタンである前記[1]〜[3]のいずれかに記載の樹脂着色用マスターバッチ。
]前記脂肪酸アミドが、エルカ酸アミドである前記[1]〜[]のいずれかに記載の樹脂着色用マスターバッチ。
]前記酸変性ポリマーが、マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂及びアクリル酸変性ポリオレフィン樹脂の少なくともいずれかである前記[1]〜[]のいずれかに記載の樹脂着色用マスターバッチ。
また、本発明によれば、以下に示す着色樹脂成形体の製造方法及び着色樹脂成形体が提供される。
]ベース樹脂となるポリオレフィン樹脂と、前記[1]〜[]のいずれかに記載の樹脂着色用マスターバッチと、を含有する原料混合物を、コンプレッションモールド成形法によって成形する工程を有する着色樹脂成形体の製造方法。
ベース樹脂となるポリオレフィン樹脂と、前記1〜6のいずれかに記載の樹脂着色用マスターバッチと、を含有する原料混合物を用いて作製された着色樹脂成形体。
本発明の樹脂着色用マスターバッチを用いれば、酸化チタンが均一に分散されて色分かれが生じにくく、表面の滑り性に優れた着色樹脂成形体を容易に製造することができる。また、本発明の着色樹脂成形体の製造方法によれば、上記の樹脂着色用マスターバッチを用いるので、酸化チタンが均一に分散されて色分かれが生じにくく、表面の滑り性に優れた本発明の着色樹脂成形体を容易に製造することができる。
<樹脂着色用マスターバッチ>
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。着色樹脂成形体の構成材料となる着色樹脂に配合する添加剤等の種類や含有量を設定するだけでは、得られる着色樹脂成形体に滑り性を付与するだけでなく、色分かれを防止するのは困難である。そこで本発明者らは、特に高速成形や無剪断域が長い押出成形の際に顕著に発生する外観不良を改善すべく、酸化チタンと滑剤との相溶性に着目した樹脂着色用マスターバッチの組成について種々検討した。
ポリオレフィン樹脂を主体として構成され、着色剤(色材)として酸化チタンを含有する着色樹脂成形体に生ずる色分かれを抑制するには、酸化チタンの分散性を改善することが必要である。しかしながら、ポリオレフィン樹脂と酸化チタンとの相溶性を向上させうる相溶化剤を配合したマスターバッチを用いると、得られる着色樹脂成形体に色分かれが生じにくくなる一方で、表面の滑り性が低下してしまう。そこで、マスターバッチに脂肪酸アミドを配合すると、表面の滑り性が向上した着色樹脂成形体を製造することができる。
しかしながら、酸化チタンは、相溶化剤よりも脂肪酸アミドとより親和性が高い。このため、着色樹脂成形体の表面の滑り性を向上させようとしてマスターバッチに配合した脂肪酸アミドが、酸化チタンの分散を阻害してしまう。特に、高速成形や無剪断域が長い押出成形工程を有する成形方法(例えば、180℃以下の比較的低温条件下で実施されるコンプレッションモールド成形法など)によって着色樹脂成形体を製造するような場合には、押出成形機等の混練機の滞留箇所(デッドスペース)に親和性の高い酸化チタンと脂肪酸アミドの混合物が高濃度に留まりやすい。そして、デッドスペースに留まった上記の混合物は時々剥離して押出方向へと流出するため、得られる着色樹脂成形体に色分かれが生じてしまうことが判明した。
以上の知見から、本発明者らは、酸化チタン、相溶化剤、及び脂肪酸アミドをポリオレフィン樹脂へと単に配合するだけでなく、酸化チタン、相溶化剤、及び脂肪酸アミドの相互の親和性等を考慮した上でマスターバッチの組成を設定することによって、コンプレッションモールド成形法による場合であっても、色分かれが生じにくく、表面の滑り性に優れた着色樹脂成形体を容易に製造することが可能となることを見出した。
本発明の樹脂着色用マスターバッチ(以下、単に「マスターバッチ」とも記す)は、コンプレッションモールド成形法によって着色樹脂成形体を製造するために用いられる。また、本発明のマスターバッチは、ポリオレフィン樹脂30〜83質量%、酸化チタン0.1〜45質量%、相溶化剤1〜25質量%、及び脂肪酸アミド2〜35質量%を含有する。そして、相溶化剤の含有量に対する脂肪酸アミドの含有量が、質量基準で、0.3〜7倍である。以下、本発明のマスターバッチのさらなる詳細について説明する。
(ポリオレフィン樹脂)
本発明のマスターバッチに用いるポリオレフィン樹脂の種類は特に限定されない。ポリオレフィン樹脂としては、例えば、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−プロピレンランダム共重合体、エチレン−プロピレングラフト共重合体、エチレン−プロピレンブロック共重合体、エチレン−ブテン共重合体などを挙げることができる。これらのポリオレフィン樹脂は、一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。なかでも、加工性及び成形性等を考慮すると、ポリプロピレン、エチレン−プロピレンランダム共重合体、及びエチレン−プロピレンブロック共重合体を用いることが好ましい。
ポリオレフィン樹脂の重量平均分子量は20,000以上であることが好ましい。また、ポリオレフィン樹脂の密度は0.880〜0.980g/cm3であることが好ましい。さらに、JIS K7210に準拠し、荷重2.16kg及び190℃の条件で測定されるポリオレフィン樹脂のメルトフローレート(MFR)は、0.1〜45g/10minであることが好ましい。ポリオレフィン樹脂のMFRが上記の数値範囲外であると、酸化チタン等の着色剤や各種添加剤の分散性に影響が及ぶことがあり、滑り性の低下や色分かれの原因となる場合がある。
本発明のマスターバッチ中のポリオレフィン樹脂の含有量は30〜83質量%であり、50〜60質量%であることが好ましい。ポリオレフィン樹脂の含有量が30質量%未満であると、各成分の分散性の面から、マスターバッチを安定して製造することが困難となる場合がある。一方、ポリオレフィン樹脂の含有量が83質量%を超えると、着色樹脂成形体を製造するのに必要なマスターバッチの量が多くなるので、コスト面で不利である。
(酸化チタン)
本発明のマスターバッチには、酸化チタンを着色剤として含有させる。酸化チタンとしては、分散性や凝集性を考慮すると、着色性及び隠ぺい性が損なわれず、触媒活性が抑制された、一般的な表面処理された酸化チタンを用いることが好ましい。酸化チタンの表面は、有機化合物及び無機化合物の少なくともいずれかで処理されていることが好ましく、樹脂に対する相溶性、耐候性、及び白色度等に応じて適宜調製される。
酸化チタンの表面処理に用いる無機化合物としては、アルミニウムの酸化物、アルミニウムの水酸化物、アルミニウムの水和酸化物、シリカ、ジルコニアが好ましい。これらの無機化合物は、一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。シリカとしては、ケイ酸ナトリウム、四塩化ケイ素等が用いられる。また、ジルコニアとしては、硫酸ジルコニウム、オキシ硫酸ジルコニウム、塩化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム等が用いられる。
酸化チタンの表面処理に用いる有機化合物としては、ポリシロキサン系、アルキルシラン系、シランカップリング剤等のオルガノシラン系の有機化合物が好ましい。これらの有機化合物は、一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。なかでも、シランカップリング剤がより好ましい。また、シランカップリング剤としては、アルコキシシラン、クロロシラン、ポリアルコキシアルキルシロキサン類を用いることができる。
酸化チタンを表面処理する際に用いる無機化合物の量は、処理前の酸化チタンに対して、0.01〜6質量%とすることが好ましい。また、酸化チタンを表面処理する際に用いる有機化合物の量は、処理前の酸化チタンに対して、0.01〜4質量%とすることが好ましい。表面処理に用いる無機化合物や有機化合物の量が少なすぎると、分散性が低下する又は触媒活性が残存する場合がある。一方、表面処理に用いる無機化合物や有機化合物の量が多すぎると、酸化チタンの粒子径に影響が及ぶとともに、コスト面で不利となる場合がある。
酸化チタンの数平均一次粒子径は、0.01〜1μmであることが好ましく、0.1〜0.5μmであることがさらに好ましく、0.15〜0.25μmであることが特に好ましい。酸化チタンの数平均一次粒子径が小さすぎると、凝集しやすいために分散性が低下する傾向にある。一方、酸化チタンの数平均一次粒子径が大きすぎると、得られる着色樹脂成形体に色分かれが生じやすくなる場合がある。酸化チタンの数平均一次粒子径は、透過型電子顕微鏡(例えば、商品名「H7100」日立製作所社製)を使用して撮影した画像から任意に選択した10個の酸化チタンの一次粒子の粒子径の数平均値として算出することができる。
本発明のマスターバッチ中の酸化チタンの含有量は、0.1〜45質量%であり、好ましくは15〜26質量%である。酸化チタンの含有量が0.1質量%未満であると、着色樹脂成形体の製造に必要なマスターバッチの量が多くなるため、コスト面で不利になる。一方、酸化チタンの含有量が45質量%を超えると、エルカ酸アミド等の脂肪酸アミドへの移行性が高まるために色分かれが生じやすくなる。さらには、マスターバッチを安定して製造することが困難になる場合がある。
アルミナ又はアルミナとシリカで表面処理された酸化チタンを用いると、凝集が防止されて分散性が良好となるために好ましい。また、シロキサンで表面処理された酸化チタンを用いると、ポリオレフィン樹脂への相溶性がより高まり、分散性が良好となるために好ましい。但し、シロキサンで表面処理された酸化チタンは、脂肪酸アミドに対する親和性も高いため、色分かれを抑制する効果が僅かに弱まる可能性がある。さらに、シロキサンで表面処理された酸化チタンは、臭気又は揮発成分を発生させる原因となる可能性が僅かにある。なお、表面処理に用いられたシロキサンは酸化チタンの表面に僅かに残存し、場合によってはシロキサンからなる被覆層が酸化チタンの表面に形成されることがある。
ジメチルシリコーンオイル等のシロキサンは、シロキサン結合の結合エネルギーが大きく、ある程度の耐熱性を有する。但し、酸化チタンは光触媒活性を有するため、酸化チタンの表面では活性酸素やOHラジカル等の活性種が生じやすい。このため、酸化チタンの表面に配置されたシロキサンは、発生する活性種の影響により分解が促進され、低分子量のシロキサンやホルムアルデヒド等の分解物が生じやすいと推測される。すなわち、シロキサンで表面処理された酸化チタンを用いると、低分子量のシロキサンやホルムアルデヒド等が発生する原因となる場合がある。このため、臭気等の発生を考慮すると、シロキサンで表面処理された酸化チタンよりも、アルミナ又はアルミナとシリカで表面処理された(シロキサンで表面処理されていない)酸化チタンを用いることが好ましい。
なお、表面処理されていない酸化チタンは凝集しやすい。このため、一般的には、表面処理されていない酸化チタンを用いると、プレートアウトやメヤニなどの凝集物が発生しやすいとともに、色分かれが生じやすくなる。これに対して、本発明のマスターバッチは酸化チタンの分散性が良好であるため、酸化チタンがポリオレフィン樹脂で十分に被覆されている。このため、溶融混練中や長い無剪断領域においても酸化チタンの良好な分散性が維持されており、酸化チタン同士が凝集しにくい。したがって、プレートアウトやメヤニなどの凝集物が発生しにくいとともに、着色樹脂成形体に色分かれが生じにくい。
酸化チタンとしては、市販の酸化チタンを使用することができる。市販の酸化チタンの具体例としては、以下商品名で、「FTR−700」(堺化学工業社製);「KR−380」(チタン工業社製);「タイピュアR−960」、「タイピュアR−350」、「CR−50」(以上、デュポン社製)等を挙げることができる。酸化チタンは、ルチル型、アナターゼ型、及びブルカイト型のいずれであっても用いることができる。なかでも、ルチル型の酸化チタンは触媒力が弱く、他の有機物質への影響が少ない。このため、樹脂の特性を維持する面で好ましい。一方、アナターゼ型の酸化チタンは、光触媒としての分解力が強い。このため、触媒効果により発生するOHラジカルやスーパーオキサイドアニオン等の活性酸素の強い酸化力によって、VOCが発生しやすいとともに、他の有機物質へ作用が及ぶ可能性があり、かつ、得られる着色樹脂成形体に変色が生じやすくなる傾向にある。さらに、アナターゼ型の酸化チタンは極めて微細な微粒子であるため、分散性が若干低いことがある。以上の点から、酸化チタンとしてはルチル型の酸化チタンが好ましい。
(その他の顔料)
本発明のマスターバッチには、目的とする色味に着色された着色樹脂成形体を製造すべく、必要に応じて、酸化チタン以外の「その他の顔料」を着色剤として含有させることができる。その他の顔料としては、色彩の微調整が可能であるとともに、ポリオレフィン樹脂中に分散可能なものであればよい。その他の顔料の具体例としては、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、ペリレン系顔料、及びイソインドリノン系顔料等の有機顔料;複合酸化物、弁柄、丹、群青、コバルトブルー等の無機顔料を挙げることができる。これらの顔料は、一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
(相溶化剤)
本発明のマスターバッチに用いる相溶化剤は、基材樹脂(ベース)であるポリオレフィン樹脂に対する非相溶化合物(例えば、酸化チタン)の分散性を高めうる化合物である。相溶化剤を含有させることで、酸化チタンの分散性を容易に制御し、色分かれが抑制された着色樹脂成形体を製造することができる。
相溶化剤としては、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物、又は不飽和カルボン酸エステルで変性された酸変性ポリマーを用いる。酸変性ポリマーとしては、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物、又は不飽和カルボン酸エステルでポリオレフィンを変性させた酸変性ポリオレフィンが好ましい。酸変性ポリマーは、一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
酸変性ポリマーを調製する際に用いられる不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸無水物としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、イタコン酸、無水イタコン酸等を挙げることができる。さらには、これらの不飽和カルボン酸とエポキシ化合物とのエステル化合物であってもよい。相溶化剤としては、酸化チタン及び脂肪酸アミドの分散性を考慮すると、エチレン系重合体やプロピレン系重合体をマレイン酸、無水マレイン酸、又はマレイン酸エステルで変性したマレイン酸変性ポリオレフィン樹脂、及びアクリル酸変性ポリオレフィン樹脂が好ましく、マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂がさらに好ましい。
相溶化剤として用いる酸変性ポリマーの変性率(酸変性率)は高いほど好ましい。具体的には、酸変性ポリマーの酸変性率は0.1質量%以上であることが好ましく、0.3%以上であることがさらに好ましく、0.5%以上であることが特に好ましい。より酸変性率が高い酸変性ポリマーを相溶化剤として用いることにより、色分かれがより有効に抑制された着色樹脂成形体を製造可能なマスターバッチとすることができる。
本発明のマスターバッチ中の相溶化剤の含有量は1〜25質量%であり、2〜20質量%であることが好ましい。相溶化剤の含有量が1質量%未満であると、得られる着色樹脂成形体に色分かれが生じやすくなる。一方、相溶化剤の含有量が30質量%を超えると、軟化溶融による成形不良が生じやすくなるとともに、滑り性が低下する。
(脂肪酸アミド)
本発明のマスターバッチに用いる脂肪酸アミドは、一般的に滑剤として知られている成分である。脂肪酸アミドを含有させることで、成形工程において適度な滑り性が付与されるとともに、得られる着色樹脂成形体の表面の滑り性を向上させることができる。脂肪酸アミドとしては、ステアリン酸アミド、ベヘニン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、パルミチン酸アミド、オレイルパルミトアミド、ステアリルエルカアミド等を用いることができる。なかでも、エルカ酸アミドが好ましい。
本発明のマスターバッチ中の脂肪酸アミドの含有量は2〜35質量%であり、3〜25質量%であることが好ましい。脂肪酸アミドの含有量が2質量%未満であると、滑剤としての効果が不足し、得られる着色樹脂成形体の表面の滑り性が低下する。一方、脂肪酸アミドの含有量が35質量%を超えると、加工性が低下するとともに、コスト面で不利である。
本発明のマスターバッチは、相溶化剤の含有量に対する脂肪酸アミドの含有量が、質量基準で、0.3〜7倍であり、好ましくは0.5〜6倍、さらに好ましくは0.8〜5倍である。相溶化剤の含有量に対する脂肪酸アミドの含有量が0.3倍(質量基準)未満であると、脂肪酸アミドの量が相対的に少なすぎる(相溶化剤の量が相対的に多すぎる)。このため、得られる着色樹脂成形体の表面の滑り性が不足する。一方、相溶化剤の含有量に対する脂肪酸アミドの含有量が7倍(質量基準)を超えると、脂肪酸アミドの量が相対的に多すぎる(相溶化剤の量が相対的に少なすぎる)。このため、得られる着色樹脂成形体に色分かれが生じてしまう。
(その他の添加剤)
本発明のマスターバッチには、必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、酸中和剤、発泡剤、顔料以外の染料等の着色剤、充填剤、金属石鹸、帯電防止剤、抗菌剤、防黴剤、顔料分散剤(ワックス)、脂肪酸アミド以外の滑剤、造核剤、難燃剤、ブロッキング防止剤、脱水剤、艶調整剤等を含有させてもよい。
酸化防止剤の具体例としては、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン等のフェノール系酸化防止剤;トリフェニルホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリスノリルフェニルホスファイト等のリン系酸化防止剤;テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]メタン等のヒンダードフェノール系酸化防止剤等を挙げることができる。
マスターバッチ中の酸化防止剤の含有量は、0.01〜3質量%であることが好ましく、0.05〜2質量%であることがさらに好ましい。酸化防止剤の含有量が0.01質量%未満であると、混練造粒工程でマスターバッチが劣化しやすくなる場合がある。一方、酸化防止剤の含有量が3質量%を超えると、コスト面で不利となる傾向にある。
紫外線吸収剤の具体例としては、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−第3ブチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−第3オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−第3アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス〔4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール〕等のトリアゾール系紫外線吸収剤;2,4−ジ−第3ブチルフェニル−3,5−ジ−第3−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等の安息香酸系紫外線吸収剤;p−t−ブチルフェニルサリシレート等のサリチル酸誘導体、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、4−ドデシロキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤;2−エトキシ−5−第3ブチル−2−エチル−2’−エチル蓚酸ビスアニリド、2−エトキシ−2−エチル蓚酸ビスアニリド等の蓚酸アニリド系紫外線吸収剤;2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、1,3−ビス−(4−ベンゾイル−3−ヒドロキシフェノキシ)−2−プロピルアクリレート、エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリルレート等のアクリルエステル系紫外線吸収剤等を挙げることができる。
顔料分散剤としては、ポリエチレンワックス、エステルワックス、及び脂肪酸金属石鹸等を用いることができる。ポリエチレンワックスの数平均分子量は300〜8,000であることが好ましく、1,000〜5,000であることがさらに好ましい。なお、ポリエチレンワックスとしては、低分子量ポリエチレン及びその誘導体を用いることができる。ポリエチレンワックスの数平均分子量が300未満であると、顔料の分散性には優れているものの、加工性が低下する傾向にある。一方、ポリエチレンワックスの数平均分子量が8,000超であると、加工性が低下する傾向にある。
マスターバッチ中のポリエチレンワックスの含有量は、0.01〜10質量%であることが好ましく、0.2〜2質量%であることがさらに好ましい。ポリエチレンワックスの含有量が0.01質量%未満であると、少な過ぎるために顔料の分散性に寄与しない場合がある。一方、ポリエチレンワックスの含有量が10質量%を超えると、マスターバッチを安定的に製造することが困難となる場合がある。
充填剤としては、無機充填剤と有機充填剤のいずれも用いることができる。無機充填剤の具体例としては、炭酸カルシウム、シリカ、タルク、マイカ、硫酸バリウム、アルミナ等を挙げることができる。また、有機充填剤の具体例としては、木粉、もみがら、新聞紙等の古紙、各種デンプン(アルファー化したデンプン等の構造を変化させたものも含む)、セルロース等を挙げることができる。
(着色樹脂マスターバッチの製造方法)
本発明のマスターバッチを製造する方法については特に制限はない。例えば、公知の混練造粒方法によって各成分を混練するとともに造粒すれば、ペレット状等の所望の形状を有するマスターバッチを製造することができる。以下、本発明のマスターバッチの製造工程の具体的な一例を示す。先ず、酸化チタン等の着色剤、脂肪酸アミド、及びポリエチレンワックス等を、160〜250℃の加熱条件下、ヘンシェルミキサー、三本ロール、二本ロール、押出機、又はその他の混練機を使用し、溶融混練して混練物を得る。次いで、得られた混練物を、ポリオレフィン樹脂、相溶化剤、金属石鹸、帯電防止剤、及び酸化防止剤等とともに押出機等を使用して溶融混練した後、ストランド状に押し出す。その後、ストランド状に押し出した混練物を所望とするペレット状やフレーク状等の形状に加工すれば、本発明のマスターバッチを得ることができる。
<着色樹脂成形体及びその製造方法>
本発明の着色樹脂成形体の製造方法は、ベース樹脂となるポリオレフィン樹脂と、前述の樹脂着色用マスターバッチと、を含有する原料混合物を、コンプレッションモールド成形法によって成形する工程を有する。以下、その詳細について説明する。
コンプレッションモールド成形法は、例えば、溶融樹脂押出工程と、圧縮成形工程とを有する。溶融樹脂押出工程では、押出成形機等の混練機を使用し、ベース樹脂及びマスターバッチを含有する原料混合物を加熱条件下で溶融混練して押し出す。これにより、マスターバッチ中の着色剤によって着色された着色樹脂を得ることができる。
押出成形機等の混練機の内部には、通常、内容物(溶融した樹脂組成物)の流れが滞りやすい、いわゆるデッドスペースが存在する。一般的に、マスターバッチ中の脂肪酸アミドはブリードしやすいとともに、酸化チタンは脂肪酸アミドと親和性が高いため、酸化チタンと脂肪酸アミドの混合物は上記のデッドスペースに滞留しやすい。しかしながら、本発明の製造方法で用いるマスターバッチは、相溶化剤をさらに含有するとともに、相溶化剤の含有量と脂肪酸アミドの含有量が特定の比率に設定されているため、酸化チタンと脂肪酸アミドの混合物が押出成形機中のデッドスペースに滞留するといった現象が極めて生じにくい。このため、本発明の製造方法によれば、色分かれが生じにくく、表面の滑り性に優れた着色樹脂成形体を、生産性を低下させることなく容易に製造することができる。
ベース樹脂として用いられるポリオレフィン樹脂は、マスターバッチに含有されるポリオレフィン樹脂と同一種類(同一品質)のものであることが好ましい。原料混合物は、ポリオレフィン樹脂(ベース樹脂)によってマスターバッチを適当な濃度に希釈して調製される。マスターバッチの量は、ベース樹脂100質量部に対して1.5〜10質量部とすることが好ましく、2.5〜6質量部とすることがさらに好ましい。ベース樹脂に対するマスターバッチの量を上記の範囲とすることで、着色剤(酸化チタン)の分散性が良好になるとともに、安定した着色効果を得ることができる。なお、得られる着色樹脂成形体に含まれる着色剤の量は、着色樹脂成形体の全質量に対して0.1〜10質量%とすることが好ましく、0.4〜3質量%とすることがさらに好ましい。
押出成形機等で溶融混練する際の温度は、例えば160〜230℃とすることができる。押出成形機等の温度は、通常、希釈樹脂やベース樹脂の種類によって調整する。ただし、押出成形機等の温度は、得られる着色樹脂成形体に生ずる色分かれ等の異常の原因の一つとなる場合があるため、考慮する必要がある。例えば、押出成形機等で溶融混練する際の温度がより高温であるほど、添加物の樹脂内分散性が良好となる傾向にあるが、必ずしも色分かれが生じないとは言えない。したがって、比較的低温条件下で実施されるコンプレッションモールド成形法によって着色樹脂成形体を製造する場合に、前述の組成を有する本発明のマスターバッチを用いることで、いずれの温度範囲においても対応することができる。
圧縮成形工程では、溶融樹脂押出工程で得られた着色樹脂を圧縮成形して所望の形状に加工する。これにより、本発明の着色樹脂成形体を得ることができる。着色樹脂成形体としては、例えば、飲料用等の樹脂キャップ、調味料用キャップ、及び酒類用キャップ等を挙げることができる。
なお、圧縮成形以外の成形方法によって成形体を製造することも勿論可能である。圧縮成形以外の成形方法としては、例えば、射出成形法、射出発泡成形法、超臨界射出発泡成形法、射出圧縮成形法、ガスアシスト射出成形法、サンドイッチ成形法、及びサンドイッチ発泡成形法等を挙げることができる。
次に、上記の製造方法によって得られる本発明の着色樹脂成形体について、CIE L***表色系(色空間)における2°及び/又は10°視野等色関数による外観評価を行った場合について説明する。本発明の着色樹脂成形体は、無作為に選択して測定した複数のL*値のうち、最大値と最小値の差ΔL*値が、好ましくは0≦ΔL*≦3の関係を満たす。L*値の測定数は特に限定されず、目標精度に応じて選択することができる。なお、着色剤の分散度合や製造方法に関するコスト等を考慮すると、0.1≦ΔL*≦3の関係を満たすことがさらに好ましく、0.1≦ΔL*≦1.5の関係を満たすことが特に好ましい。
ΔL*値が0に近づくほど、着色樹脂成形体の外観(表面)はより高品質であると言える。但し、ΔL*値が0.1未満の場合は、目視確認が不可能な程度の微小な凹凸による誤差等である場合が多い。また、ΔL*値が3を超えると、着色樹脂成形体の外観不良が目視により確認されやすくなる。なお、CIE L***表色系(色空間)とは、CIE(国際照明委員会:Commission Internationale de l’Eclairage)が1976年に推奨した色空間である。L*値が明度を表し、a*値及びb*値が、色度となる色相及び彩度をそれぞれ表し、現在、多くの分野で利用されている。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り質量基準である。
<マスターバッチの製造>
(実施例1)
エチレン−プロピレンランダム共重合体(ランダムPP、MFR=12g/10min)50部、酸化チタン1(Al23処理、数平均一次粒子径=0.21μm)15部、エルカ酸アミド21部、及びマレイン酸変性ポリプロピレン(マレイン酸変性PP1)14部を配合し、混合機を使用して均一に混合した。押出機を使用して得られた混合物を160〜200℃で混練造粒し、ペレット状のマスターバッチを製造した。
(実施例2〜13、比較例1〜10)
表1−1及び1−2の上段(単位:部)に示す配合としたこと以外は、前述の実施例1と同様にしてペレット状のマスターバッチを製造した。また、表1−1及び1−2の下段に「脂肪酸アミド/相溶化剤(質量比)」を示す。
Figure 0005801463
Figure 0005801463
表1−1及び1−2中の略号等の意味を以下に示す。
・ランダムPP:MFR=12g/10min
・ホモPP:MFR=15g/10min
・酸化チタン1:Al23処理、数平均一次粒子径=0.21μm
・酸化チタン2:Al23+Si処理、数平均一次粒子径=0.21μm
・酸化チタン3:Al23+Si+シロキサン処理、数平均一次粒子径=0.21μm
・酸化チタン4:Al23処理、数平均一次粒子径=0.25μm
・その他の顔料:PY93+PG7(1:1)
・マレイン酸変性PP1:MFR=53g/10min
・マレイン酸変性PP2:MFR=9g/10min
・マレイン酸変性PE:MFR=1.7g/10min
・PPワックス:融点=120℃、密度=0.89g/cm3
<評価>
(酸化チタンの分離性の評価)
製造したマスターバッチを箱形混練機に入れ、165℃で溶融混練後、エルカ酸アミドを投入してさらに混練した。溶融したエルカ酸アミドを取り出して2枚のPETフィルム(厚さ20μm×2枚)で挟み、プレス板の重さのみの荷重で常温(25℃)でプレスして測定用試料を作製した。エルカ酸アミド層の厚さは30μmであり、2枚のPETフィルムを含めた測定用試料の厚さは70μmであった。紫外・可視・近赤外分光光度計(商品名「SolidSpec−3700/3700DUV」、島津製作所社製)を使用し、測定波長200〜800nmにおける測定用試料の透過率(%)及びL*値を測定した。波長380nm及び780nmにおける透過率(%)及びL*値を表2に示す。透過率(%)の値が小さいほど、及びL*値が大きいほど、溶融混練中に酸化チタンがマスターバッチから分離し、箱形混練機の内部(特にデッドスペース)に付着していたことを示す。
(成形性評価)
製造したマスターバッチ1部、及びエチレン−プロピレンブロック共重合体20部を混合後、コンプレッションモールド成形にて試験片を作製した。作製した試験片について、以下に示す手順で「色分かれ」及び「滑り性」を評価した。結果を表2に示す。
[色分かれ]
作製した試験片の外観(表面)を目視で観察し、以下に示す基準にしたがって「色分かれ」を評価した。
◎:色分かれは皆無である。
○:色分かれ防止効果が認められる。
×:色分かれしている。
[滑り性(摩擦係数)]
作製した試験片表面の摩擦係数を測定し、以下に示す基準にしたがって「滑り性」を評価した。
◎:摩擦係数が0.5未満
○:摩擦係数が0.5以上1.0未満
×:摩擦係数が1.0以上
Figure 0005801463
本発明の樹脂着色用マスターバッチを用いれば、色分かれが生じにくく、表面の滑り性に優れた着色樹脂成形体を容易に製造することができる。このため、本発明の樹脂着色用マスターバッチは、例えば、飲料用等の樹脂キャップを製造するための材料として有用である。

Claims (8)

  1. コンプレッションモールド成形法によって着色樹脂成形体を製造するために用いられる樹脂着色用マスターバッチであって、
    ポリオレフィン樹脂30〜83質量%、酸化チタン0.1〜45質量%、相溶化剤1〜25質量%、及び脂肪酸アミド2〜35質量%を含有し、
    前記相溶化剤は、酸変性ポリマーであり、
    前記相溶化剤の含有量に対する前記脂肪酸アミドの含有量が、質量基準で、0.3〜7倍である樹脂着色用マスターバッチ。
  2. 前記相溶化剤の含有量に対する前記脂肪酸アミドの含有量が、質量基準で、0.5〜6倍である請求項1に記載の樹脂着色用マスターバッチ。
  3. 前記ポリオレフィン樹脂が、ポリプロピレン、エチレン−プロピレンランダム共重合体、及びエチレン−プロピレンブロック共重合体からなる群より選択される少なくとも一種であり、
    JIS K7210に準拠し、荷重2.16kg及び190℃の条件で測定される前記ポリオレフィン樹脂のメルトフローレート(MFR)が、0.1〜45g/10minである請求項1又は2に記載の樹脂着色用マスターバッチ。
  4. 前記酸化チタンが、数平均一次粒子径が0.1〜0.5μmの、表面処理された酸化チタンである請求項1〜3のいずれか一項に記載の樹脂着色用マスターバッチ。
  5. 前記脂肪酸アミドが、エルカ酸アミドである請求項1〜のいずれか一項に記載の樹脂着色用マスターバッチ。
  6. 前記酸変性ポリマーが、マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂及びアクリル酸変性ポリオレフィン樹脂の少なくともいずれかである請求項1〜のいずれか一項に記載の樹脂着色用マスターバッチ。
  7. ベース樹脂となるポリオレフィン樹脂と、請求項1〜のいずれか一項に記載の樹脂着色用マスターバッチと、を含有する原料混合物を、コンプレッションモールド成形法によって成形する工程を有する着色樹脂成形体の製造方法。
  8. ベース樹脂となるポリオレフィン樹脂と、請求項1〜6のいずれか一項に記載の樹脂着色用マスターバッチと、を含有する原料混合物を用いて作製された着色樹脂成形体。
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